JP5352503B2 - 多板摩擦係合装置 - Google Patents

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Description

本発明は、チャンバー室の内部の油圧によってピストンを作動させることによりドリブンプレートに挟まれたドライブプレートを係合する多板摩擦係合装置に関するものである。
自動車などの変速機においては、駆動源からのトルクの伝達装置として湿式多板クラッチ装置や湿式多板ブレーキ装置などの多板摩擦係合装置が設けられている。そして、このような多板摩擦係合装置においては、チャンバー室の内部の油圧によってピストンを作動させてドリブンプレートを押圧することにより、ドリブンプレートに挟まれたドライブプレートを係合する動作が行われる。
ここで、チャンバー室の内部は、オイルが供給・排出される油路と連通する以外は密閉され、滞留したエアを意図的に排出するような構造になっていないので、気液分布(エアとオイルとの分布)が安定しないおそれがある。そして、このようにチャンバー室の内部の気液分布が安定しないと、ピストンの作動時におけるチャンバー室の内部の油圧再現性が良くない。そのため、ピストンが作動する毎にドライブプレートの係合状態が異なり、変速品質がばらついてしまう。
また、ピストンの上部と下部とにおけるチャンバー室の内部の気液分布が大きく異なる場合(例えば、チャンバー室の内部において、ピストンの下部ではオイルが充填されているが、ピストンの上部ではエアが充満している場合など)には、ピストンの作動時にピストンの上部と下部のチャンバー室の内部にて油圧に大きな差が生じてしまう。すると、ピストンが上下方向に対し傾いた状態で作動し、ドライブプレートの係合状態が安定しないおそれがある。
そこで従来より、チャンバー室の内部の油圧を常時調整する制御や一定時間経過後に変速する制御を行って、チャンバー室の内部に滞留するエアの排出の助長を試みているが、ピストンの作動時におけるチャンバー室の内部の油圧再現性は不十分である。また、変速機の組み立て後にエア抜きを実施しているが、余分な工数と時間を要してしまっている。また、コントロールバルブのドレンポートの部分にチェックバルブを設けて、常に油圧を一定に保ちつつエアの混入を防止しているが、十分な効果は得られていない。
ここで特許文献1には、ケースに設けられた潤滑流路を通じてチャンバー室の内部のエアを排出する技術が開示されている。
特開2009−144738号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、ピストンがストロークエンドに達した後においても、潤滑油路からオイルが排出されてしまう。そのため、チャンバー室の内部の油圧が十分に得られず、ドライブプレートのトルク容量を低下させるおそれがある。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ドライブプレートのトルク容量を低下させることなく、ピストンの作動時におけるチャンバー室の内部の油圧再現性を向上させることができる多板摩擦係合装置を提供すること、を課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、円環状の空間を区画するハウジング部材と、前記ハウジング部材の内周面を摺動する円環状に形成された押圧部材と、前記ハウジング部材と前記押圧部材との間に設けられた圧力室と、前記圧力室の内部の圧力が上昇するときの前記押圧部材の移動方向の先に設けられ円環状に形成された複数のドリブンプレートと、各々の前記ドリブンプレートの間に設けられ円環状に形成されたドライブプレートと、前記圧力室に連通し前記圧力室に流体を供給する流路と、を有する多板摩擦係合装置において、前記押圧部材は、前記圧力室の内部と前記圧力室の外部とを連通し前記流路の径より小さい径の連通孔と、複数の前記ドリブンプレートのうち前記押圧部材に最も近い位置に設けられた前記ドリブンプレートを押圧する押圧部と、を備え、前記連通孔における前記圧力室の外部側の開口部は、前記押圧部に設けられ、前記押圧部材の下方向を重力の作用する方向とするときに、前記連通孔は、前記押圧部材の中心軸よりも前記押圧部材の上方向の位置に設けられ、前記押圧部は、前記押圧部材の周方向に分割された複数の分割押圧部から構成され、前記開口部は、前記複数の分割押圧部のうち前記押圧部材の上方向における最も上の位置に設けられた前記分割押圧部に設けられていること、を特徴とする。
本発明によれば、圧力室の内部に滞留している気体を連通孔から排出させることができるので、押圧部材の作動時における圧力室の内部の圧力の再現性を向上させることができる。また、押圧部材がドリブンプレートを押圧する時には連通孔がドリブンプレートに塞がれるので、圧力室の内部の圧力を上昇させることにより押圧部材からドリブンプレートへ確実に押圧力を与えることができる。そのため、押圧部材の作動時におけるドライブプレートの係合動作を安定して行うことができるので、ドライブプレートのトルク容量を低下させない。また、押圧部材における中心軸よりも上方向の位置と押圧部材における中心軸よりも下方向の位置とにおける圧力室の内部の圧力差を抑制することができるので、押圧部材が上下方向に傾きながら作動することを防止できる。そのため、押圧部材の上下方向で押圧部材からドリブンプレートへ確実に押圧力を与えることができ、ドライブプレートの係合状態が安定する効果が得られる。さらに、より確実に押圧部材が上下方向に傾きながら作動することを防止できる。そのため、押圧部材の上下方向で押圧部材からドリブンプレートへより確実に押圧力を与えることができ、ドライブプレートの係合状態がより確実に安定する効果が得られる。
上記態様においては、前記ハウジング部材は、変速機のケースであること、が好ましい。
かかる態様によれば、例えば、多板ブレーキ装置において、摩擦材ディスクのトルク容量を低下させることなく、ピストンの作動時におけるチャンバー室の内部の圧力の再現性を向上させることができる。
上記態様においては、前記押圧部材の外周面には周方向に溝が形成されており、前記連通孔は、前記溝にかからない前記押圧部材の上方向における最も上の位置に設けられていること、が好ましい。
かかる態様によれば、より確実に押圧部材が上下方向に傾きながら作動することを防止できる。
上記態様においては、前記押圧部材の外周面および前記ハウジング部材の内周面のいずれか一方に凸部を備え、他方に凹部を備えること、が好ましい。
かかる態様によれば、押圧部材が周方向に回転することを防止できる。そのため、押圧部材の周方向における連通孔の位置を常にほぼ同じ位置に維持することができる。したがって、押圧部材の周方向における連通孔の位置を圧力室における気体が滞留しやすい位置に設けることにより、圧力室に滞留した気体を確実に連通孔から排出することができる。ゆえに、圧力室の内部の圧力分布が安定するので、押圧部材の作動状態が安定して、ドライブディスクの係合状態が安定する効果が得られる。
上記態様においては、前記流路は前記ハウジング部材の外部に設けられ、前記ハウジング部材には前記圧力室と前記ハウジング部材の外部とを貫通する貫通路が設けられ、前記流路は前記貫通路を介して前記圧力室に連通していること、が好ましい。
かかる態様によれば、ハウジング部材の外部に設けられた流路の径がハウジング部材に設けられた貫通路の径以下であっても、押圧部材の作動時における圧力室の内部の圧力の再現性を向上させることができる。
上記態様においては、前記連通孔は複数設けられ、複数の前記連通孔における径方向の断面の総面積は前記流路における径方向の断面積より小さくすること、が好ましい。
かかる態様によれば、圧力室の内部に滞留している気体を複数の連通孔から排出させることができるので、押圧部材の作動時における圧力室の内部の圧力の再現性をさらに向上させることができる。
上記態様においては、前記流路はオリフィスを備えること、が好ましい。
かかる態様によれば、圧力室に連通する流路がオリフィスのような絞り手段であっても、押圧部材の作動時における圧力室の内部の圧力の再現性を向上させることができる。
本発明に係る多板摩擦係合装置によれば、ドライブプレートのトルク容量を低下させることなく、ピストンの作動時におけるチャンバー室の内部の油圧再現性を向上させることができる。
本実施例の多板摩擦係合装置の全体構造図である。 ピストンの周辺の拡大図である。 油圧回路の概要を示す模式図である。 ピストンがストロークエンドに達した時の図である。 ピストンの平面図である。 ピストンの回り止めについての説明図である。 従来の多板ブレーキ装置におけるアプライ性能の評価結果の図である。 本実施例の多板ブレーキ装置におけるアプライ性能の評価結果の図である。
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔多板摩擦係合装置の全体構造〕
図1は、本実施例の多板摩擦係合装置の全体構造図である。図2は、ピストンの周辺の拡大図である。
図1に示すように、本実施例では、多板摩擦係合装置の一例として、自動車などの変速機に搭載された多板ブレーキ装置を挙げて説明する。図1に示すように、本実施例の多板ブレーキ装置1は、ピストンリテーナ10、ピストン12、セパレータプレート14、摩擦材ディスク16、スナップリング18、リターンスプリング20、第1固定具22、第2固定具24、チャンバー室26などから構成されている。
ピストンリテーナ10は、本発明におけるハウジング部材の一例であって、多板ブレーキ装置1が搭載された変速機のケース(ハウジング部材)の一部分に相当し、円環状の空間を区画している。ピストンリテーナ10には、ピストン12との間に設けられたチャンバー室26(本発明の圧力室の一例)に連通する油路27(本発明の貫通路の一例)が設けられている。油路27は、チャンバー室26の内部とピストンリテーナ10のバルブボディ28との間を貫通するように設けられている。
油路27は、ピストンリテーナ10の外部に設けられたバルブボディ28内の油圧回路に連通している。図3は、油路27に連通する油圧回路の概要を示している。図3に示すように、油路27はバルブボディ28に設けられたアプライオリフィス30(本発明の流路の一例)を介して、不図示のコントロールバルブなどの調圧機構に連通している。なお、調圧機構は、オイルパン36(図1参照)内の不図示のオイルポンプに接続している。また、バルブボディ28には、アプライオリフィス30に並列的にチェックボール38が付属されたドレンオリフィス40が設けられている。
そして、多板ブレーキ装置1のチャンバー室26にオイルを供給する場合には、オイルパン36内に貯留されたオイルを、調圧機構を介してアプライオリフィス30に供給する。そして、アプライオリフィス30においてオイルの流量や圧力を調整した後、油路27を介してチャンバー室26に供給する。一方、チャンバー室26からオイルを排出する場合には、チェックボール38による閉塞が解除されたドレンオリフィス40を介して、オイルパン36に排出する。
図1と図2の説明に戻り、ピストン12は、本発明の押圧部材の一例であって、円環状に形成され、その中心軸S(図5参照)方向に沿ってピストンリテーナ10の内周面を摺動しながら移動してセパレータプレート14を押圧することにより、ブレーキ作動を行う。ピストン12の外周面には溝41が形成され、この溝41に挿入されたOリング43が、ピストンリテーナ10の内周面に接触している。また、チャンバー室26からピストン12を隔てて、リングギヤ42やプラネタリギヤ44などの各種ギヤが設けられたギヤ室46が設けられている。なお、ピストン12の詳細については、後述する。
セパレータプレート14は、本発明のドリブンプレートの一例であって、円環状に形成された板であって、チャンバー室26の内部の油圧が上昇するときのピストン12の移動方向の先において、ピストンリテーナ10の内周に設けられている。具体的には、ピストンリテーナ10の内周にスプライン48が等角度間隔で複数形成されている一方で、セパレータプレート14の内周にはスプライン48にそれぞれ係合するスプラインエッジ50が等角度間隔で複数形成されている。そして、スプライン48とスプラインエッジ50とが係合することにより、セパレータプレート14は、その周方向の回転が規制される一方で、リングギヤ42の回転軸方向(図1の左右方向)に沿って摺動することができる。
本実施例では、セパレータプレート14は、合計6枚設けられ、各セパレータプレート14の間には摩擦材ディスク16が設けられている。なお、セパレータプレート14と摩擦材ディスク16の枚数は、特に限定されない。また、本実施例ではピストン12に一番近い部分に設けられたセパレータプレート14の厚みが他のセパレータプレート14の厚みよりも小さいが、これに限定されず、全てのセパレータプレート14の厚みが等しくてもよい。
摩擦材ディスク16は、本発明のドライブプレートの一例であって、円環状に形成された板であって、リングギヤ42の外周に設けられている。具体的には、リングギヤ42の外周にはスプライン52が等角度間隔で複数形成されている一方で、摩擦材ディスク16の内周にはスプライン52にそれぞれ係合するスプラインエッジ54が等角度間隔で複数形成されている。そして、スプライン52とスプラインエッジ54とが係合することにより、摩擦材ディスク16は、リングギヤ42と一体的に回転するとともに、リングギヤ42の回転軸方向に沿って摺動することができる。
スナップリング18は、円環状に形成され、ピストンリテーナ10の内周に形成された溝56に挿入され、ピストン12の押圧方向におけるセパレータプレート14と摩擦材ディスク16の摺動を規制するものである。
リターンスプリング20は、ピストンリテーナ10に設けられた第1固定具22とピストン12に設けられた第2固定具24との間に設けられている。リターンスプリング20は、セパレータプレート14と摩擦材ディスク16との圧接を解除する方向にピストン12を付勢するものである。このリターンスプリング20により、ブレーキ非作動時には、セパレータプレート14から離間する位置にピストン12が配置される。
〔ピストンの説明〕
図1に示すように、ピストン12には、チャンバー室26とギヤ室46とに連通する連通孔58が設けられている。そして、連通孔58の径Dは、油路27に接続するアプライオリフィス30のオリフィス径d(図3参照)より小さくしている。
そこで、ピストン12を作動させるためチャンバー室26の内部の油圧を上昇させるべく、油路27からチャンバー室26の内部にオイルを供給する。このとき、バルブボディ28の油圧回路内にエアが滞留していた場合、そのエアが油路27を介してチャンバー室26の内部に移動することが考えられる。すると、チャンバー室26の内部に移動したエアは、すでにチャンバー室26の内部に滞留していたエアと合流して、図2に示すように、チャンバー室26の内部にエア59が滞留する。
本実施例では、ピストン12に連通孔58が設けられている。そのため、油路27からチャンバー室26の内部にオイルが供給されピストン12が作動するに伴って、チャンバー室26の内部に滞留しているエア59が連通孔58からギヤ室46へ排出される。そして、図4に示すように、ピストン12がストロークエンドに達した時には、チャンバー室26の内部に滞留しているエア59の排出が完了する。
また、本実施例では、連通孔58の径Dはアプライオリフィス30のオリフィス径dより小さくしているので、連通孔58からギヤ室46へエア59とともに排出されるオイルの量は、アプライオリフィス30を介して油路27からチャンバー室26の内部に供給されるオイルの量に対して小さい。そのため、チャンバー室26の内部の油圧を上昇させることができ、ピストン12を作動させることができる。なお、本実施例では、連通孔58において、チャンバー室26側の開口部に面取り加工なされているが、この加工はなくてもよい。
また、図5に示すように、ピストン12はセパレータプレート14が配置される側の面に、ピストン12に最も近い位置に設けられたセパレータプレート14に接触して押圧する押圧部60が設けられている。そして、本実施例では、押圧部60はピストン12の周方向について分割されており、第1分割押圧部62と第2分割押圧部64と第3分割押圧部66とが構成されるように3分割されている。そして、連通孔58のギヤ室46側の開口部68は、第1分割押圧部62に設けられている。なお、押圧部60の分割数は本実施例のように特に3つに限定されるものではなく、また、押圧部60が分割していない仕様も考えられる。
このように、連通孔58のギヤ室46側の開口部68が第1分割押圧部62に設けられているので、ピストン12が作動してストロークエンドに達した時に、第1分割押圧部62がセパレータプレート14に接触することにより連通孔58はセパレータプレート14によって塞がれる。そのため、ピストン12がストロークエンドに達した後は連通孔58からオイルが排出されない。したがって、ピストン12がストロークエンドに達した後、チャンバー室26の内部の油圧を上昇させることによりピストン12からセパレータプレート14へ確実に押圧力を与えることができる。ゆえに、ピストン12の作動時における摩擦材ディスク16の係合動作を安定して行うことができるので、摩擦材ディスク16のトルク容量を維持できる。
また、ピストン12の下方向を重力の作用する方向としたとき、図5に示すように、第1分割押圧部62がピストン12の中心軸Sよりも上方向の位置に設けられている。また、第2分割押圧部64と第3分割押圧部66は、第1分割押圧部62よりもピストン12の下方向の位置に設けられている。具体的には、本実施例の第1分割押圧部62は、ピストン12におけるセパレータプレート14が配置される側の面において、ピストン12の上下方向に沿って引かれる左右方向の中心線Lを境にピストン12の周方向の左右に各々角度α=約50°〜55°に亘る範囲に設けられている。
連通孔58は、ピストン12の上下方向についてどの位置に設けても、チャンバー室26の内部に滞留しているエアをギヤ室46へ排出することができる。しかしながら、連通孔58のギヤ室46側の開口部68が第1分割押圧部62に設けられるように連通孔58を設けることにより、ピストン12の上部のチャンバー室26の内部に滞留しやすいエア59をより確実に連通孔58から排出することができる。
そのため、例えば、多板ブレーキ装置1を組み込んだ変速機を車体に搭載する際にピストン12の下方向が車体の下方向になる場合など、ピストン12の下方向が重力の作用する方向となるときであっても、ピストン12の上部と下部とでチャンバー室26の内部の油圧に大きな差が生じない。したがって、ピストン12が上下方向に対し傾いた状態で作動することはなく、ピストン12の上下方向でピストン12からセパレータプレート14へ確実に押圧力を与えることができ、摩擦材ディスク16の係合状態が安定する効果が得られる。なお、本実施例では、ピストン12の下方向にバルブボディ28やオイルパン36が設けられている。
なお、連通孔58は、ピストン12においてOリング43を挿入するための溝41にかからない位置であって、ピストン12の上方向における最も上の位置である最上位の位置、または、その周辺の位置に設けられていることが望ましい。これにより、ピストン12の上部のチャンバー室26の内部に滞留しやすいエア59をより確実に連通孔58から排出することができ、ピストン12の上部と下部とでチャンバー室26の内部の油圧に大きな差が生じない。そのため、ピストン12が上下方向に対し傾いた状態で作動することはなく、摩擦材ディスク16の係合状態が安定する効果がさらに大きくなる。
また、連通孔58は複数設けられていてもよい。このとき、複数の連通孔58における径方向の断面の総面積は、アプライオリフィス30における径方向の断面積より小さくする。これにより、ピストン12を作動させながら、チャンバー室26の内部のエアをより多く確実に排出することができる。
そのため、ピストン12がストロークエンドに達した時には、より確実にチャンバー室26の内部に滞留しているエアの排出が完了する。したがって、ピストン12がストロークエンドに達した後、チャンバー室26の内部の油圧を上昇させることによりピストン12からセパレータプレート14へより確実に押圧力を与えることができる。ゆえに、ピストン12の作動時における摩擦材ディスク16の係合動作を安定して行うことができるので、摩擦材ディスク16のトルク容量を維持できる。
また、ピストン12の外周面に図6に示すような凸部70を設け、ピストンリテーナ10の内周面にこの凸部70に対応する凹部72を設けることが望ましい。このような回り止めを設けることにより、ピストン12が周方向に回転しようとしても凸部70が凹部72に当たって回転することができない。そのため、ピストン12の周方向における連通孔58の位置を常にほぼ同じ位置に維持することができる。したがって、例えば、連通孔58のギヤ室46側の開口部68のピストン12の周方向における位置を、ピストン12の中心軸Sよりも上方向の位置に維持することができる。
そのため、ピストン12の上部のチャンバー室26の内部に滞留しやすいエア59をより確実に連通孔58から排出することができ、ピストン12の上部と下部とでチャンバー室26の内部の油圧に大きな差が生じず、チャンバー室26の内部の油圧分布が安定する。したがって、ピストン12が上下方向に対し傾いた状態で作動することはなくピストン12の作動状態が安定して、摩擦材ディスク16の係合状態が安定する効果が得られる。なお、ピストン12の外周面に凹部を設け、この凹部に対応する凸部をピストンリテーナ10の内周面に設けてもよい。
〔アプライ性能の評価〕
図7は従来の多板ブレーキ装置におけるアプライ性能の評価結果の図であり、図8は本実施例の多板ブレーキ装置1におけるアプライ性能の評価結果の図である。ここでいうアプライ性能とは、ピストン12の作動時のチャンバー室26の内部の油圧の時間経過の特性をいう。図7と図8では、横軸に時間を取り、縦軸にチャンバー室26の内部の油圧を取り、従来の多板ブレーキ装置と本実施例の多板ブレーキ装置1とについて各々、ピストン12を5回作動させたときのアプライ性能の評価結果を示している。
図7と図8に示すように、ピストン12がストロークエンドに達した時点での経過時間について、ピストン12の5回分の作動におけるばらつき量は、従来の多板ブレーキ装置では約25msであったのに対し、本実施例の多板ブレーキ装置1では約15msとなり低減した。
このように、本実施例の多板ブレーキ装置1は、従来の多板ブレーキ装置に比べてチャンバー室26の内部の気液分布が安定しており、ピストン12の作動時におけるチャンバー室26の内部の油圧再現性が向上して、ピストン12がストロークエンドに達するまでの時間が安定していることが分かる。
以上のように、本実施例の多板ブレーキ装置1によれば、チャンバー室26の内部に滞留しているエアを連通孔58から排出させることができるので、ピストン12の作動時におけるチャンバー室26の内部の油圧再現性を向上させることができる。また、ピストン12がセパレータプレート14を押圧する時には連通孔58がセパレータプレート14に塞がれるので、摩擦材ディスク16のトルク容量を低下させない効果が得られる。
また、従来のようにチャンバー室26の内部の油圧を常時調整する制御や一定時間経過後に変速する制御などの対策制御を行なわなくても、ピストン12の作動時のチャンバー室26の内部の油圧再現性が良くなる。そのため、無駄な変速動作が省かれることによりフェールセーフの向上を図ることができ、多板ブレーキ装置1の品質向上を図ることができる。また、本実施例の多板ブレーキ装置1が設けられた変速機にエンジン接続する場合には、燃費の向上を図ることができる。
また、従来のようにドレンチェックバルブを設ける必要がないので、製品コストの低減を図ることができる。また、変速機の組み立て後にエア抜きを行う必要がないので、生産時間の短縮を図ることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
例えば、多板摩擦係合装置として、ピストンリテーナ10の代わりにクラッチハウジングを使用した多板クラッチ装置においても適用することができる。
1 多板ブレーキ装置
10 ピストンリテーナ
12 ピストン
14 セパレータプレート
16 摩擦材ディスク
26 チャンバー室
27 油路
30 アプライオリフィス
42 リングギヤ
46 ギヤ室
58 連通孔
59 エア
60 押圧部
62 第1分割押圧部
64 第2分割押圧部
66 第3分割押圧部
68 開口部
D 径
d オリフィス径

Claims (7)

  1. 円環状の空間を区画するハウジング部材と、前記ハウジング部材の内周面を摺動する円環状に形成された押圧部材と、前記ハウジング部材と前記押圧部材との間に設けられた圧力室と、前記圧力室の内部の圧力が上昇するときの前記押圧部材の移動方向の先に設けられ円環状に形成された複数のドリブンプレートと、各々の前記ドリブンプレートの間に設けられ円環状に形成されたドライブプレートと、前記圧力室に連通し前記圧力室に流体を供給する流路と、を有する多板摩擦係合装置において、
    前記押圧部材は、
    前記圧力室の内部と前記圧力室の外部とを連通し前記流路の径より小さい径の連通孔と、
    複数の前記ドリブンプレートのうち前記押圧部材に最も近い位置に設けられた前記ドリブンプレートを押圧する押圧部と、を備え、
    前記連通孔における前記圧力室の外部側の開口部は、前記押圧部に設けられ
    前記押圧部材の下方向を重力の作用する方向とするときに、前記連通孔は、前記押圧部材の中心軸よりも前記押圧部材の上方向の位置に設けられ、
    前記押圧部は、前記押圧部材の周方向に分割された複数の分割押圧部から構成され、
    前記開口部は、前記複数の分割押圧部のうち前記押圧部材の上方向における最も上の位置に設けられた前記分割押圧部に設けられていること
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  2. 請求項1に記載する多板摩擦係合装置において、
    前記ハウジング部材は、変速機のケースであること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  3. 請求項またはに記載する多板摩擦係合装置において、
    前記押圧部材の外周面には周方向に溝が形成されており、
    前記連通孔は、前記溝にかからない前記押圧部材の上方向における最も上の位置に設けられていること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  4. 請求項乃至のいずれか一項に記載する多板摩擦係合装置において、
    前記押圧部材の外周面および前記ハウジング部材の内周面のいずれか一方に凸部を備え、他方に凹部を備えること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  5. 請求項乃至のいずれか一項に記載する多板摩擦係合装置において、
    前記流路は前記ハウジング部材の外部に設けられ、
    前記ハウジング部材には前記圧力室と前記ハウジング部材の外部とを貫通する貫通路が設けられ、
    前記流路は前記貫通路を介して前記圧力室に連通していること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載する多板摩擦係合装置において、
    前記連通孔は複数設けられ、複数の前記連通孔における径方向の断面の総面積は前記流路における径方向の断面積より小さくすること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載する多板摩擦係合装置において、
    前記流路はオリフィスを備えること、
    を特徴とする多板摩擦係合装置。
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