JP5352360B2 - 電動送風機およびこれを備えた電気掃除機 - Google Patents
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Description
このうち、風損は、電機子への気流の衝突による摩擦、電気子表面に発生する2次流れによる乱流などによって発生し、電機子周速のおよそ3乗に比例して増加することが知られている。
例えば、電気掃除機用の電動機は、45,000回転/分程度の高速回転で駆動されることが多く、45,000回転/分において、風損は、電動機の全損失のうち約10%を占める割合となっている。
つまり、風損を低減することができれば、電動機の飛躍的な高効率化に繋がることとなり、風損の低減によって電気掃除機の吸引力の向上を図ることが期待できる。
この特許文献1に開示された技術では、電機子巻線を覆うようにカバーを設けることで風損の低減を図っている。
また、本発明は、電機子巻線を有する電機子と、界磁巻線を有する固定子と、前記電機子の一端を回転自在に支持するエンドブラケットと、前記電機子の他端を回転自在に支持するハウジングと、前記電機子における前記エンドブラケット側に直結された空気流れ発生用の遠心羽根車と、前記遠心羽根車の外周側に配置された複数の静翼と、を有する電動送風機において、前記電機子巻線を覆うカバー体を備え、前記カバー体と前記エンドブラケットとは、樹脂によって一体成形されており、前記カバー体は、前記電機子巻線の外周に沿って径方向に膨出しつつ後方へ延設された円環部を有しており、前記円環部の後端部は、前記電機子の前端部よりも軸方向前方に位置し、前記円環部の前記後端部と前記電機子の前記前端部との間には、前記電機子巻線の後端部分が露出することを特徴とする。
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース3と、手元操作SW等が設けられた操作管4と、継手管としての延長管5と、第1、第2の吸込具6、7とを備えて構成されている。
掃除機本体2の内部には、図2に示すように、吸引力を発生させる電動送風機10や、集塵室2cに配置され、電動送風機10の吸引力で吸い込まれた塵埃を捕集する紙パック8(捕集部材)、さらには、紙パック8で塵埃を取り除かれた空気が通過するフィルター9等が配置されている。
電動機20は、ハウジング21およびエンドブラケット22からなる外ケース23と、この外ケース23に軸受21a、22aを介して回転可能に支持された回転軸24と、この回転軸24に固定された電機子25と、この電機子25の周りに配置された固定子26とを主として備えている。電機子25の前後には、電機子巻線25a、25bが巻装されている。
そして、電動機20は、ブラシ27とこれに接触するように回転軸24に設けられたコンミテータ28との整流作用によって電力の供給を受け、連続的なトルクを発生して回転するようになっている。
さらに、固定子26と電機子25との間にも、軸方向の通風路R2が形成されている。この通風路R2には、後記するカバー体40によってハウジング21の後方(流れ方向下流側)へ導かれた空気の一部が通流するようになっている。
なお、回転軸24の先端には、送風機30を構成している羽根車31が固定されている。
送風機30は、図3に示すように、電動機20の回転軸24に直結された羽根車31と、この羽根車31の外周側に固定設置されるディフューザ32(静翼)と、このディフューザ32に対して仕切板33を挟んで対面に配置されるリターンガイド34と、を備え、これらがファンケーシング35内に収められた構成となっている。
リターンガイド34は、ディフューザ流路32aを流れて来た空気流を電動機20に導くリターン流路34bを形成している。
カバー体40は、電機子巻線25aを覆う部材であり、エンドブラケット22と一体に設けられた固定構造体である。カバー体40は、絶縁性および耐熱性を有する材料、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)等からなり、図5(a)(b)、図6に示すように、径方向に膨出する薄肉の湾曲円環状を呈している。
円環部41は、電機子巻線25aとの間に所定の隙間Sを隔てて配置されており、回転軸24と一体に回転する電機子巻線25aとの接触を回避しつつ、これを覆っている。
この場合には、射出成形時に、エンドブラケット22の挿通孔22dを通じて、エンドブラケット22の後面側から前面側に樹脂材が流れ込むように構成して、エンドブラケット22の前面側に流れ込んだ樹脂材でエンドブラケット22の前面側にカバー体40の脱落を防止するための係止部がカバー体40に一体的に形成されるように構成するとよい。
なお、電機子巻線25aは、電機子25に対して巻き付けられた後に、整形材等によって外部から押圧成形されるようになっており、外形状が所望の形状に整えられるようになっている。これによって、電機子巻線25aの外面と、電機子巻線25aを覆うように配置されるカバー体40の円環部41の内面との間には、所定の隙間Sが形成されるようになっている。
なお、発生した気流は、ハウジング21内を流れる空気を後方へ向けて円滑に導くように作用し、風損の低減に好適に寄与する。
つまり、電機子巻線25aの全体をカバー体40の円環部41で覆う構成とした場合に比べて、ハウジング21内を流れる空気を後方へ向けてより好適に導くことができる。
なお、ここでは、円環部41の内周面と電機子巻線25aとの間隔が最小となる部分(円環部41の後端部41aの近傍部分)を基準として隙間Sの寸法としている。
図7では、カバー体40無しの状態をゼロ(0)としたときの、電動送風機効率の差分(%)を表している。
2.0mm未満では、空気の粘性に起因する摩擦力が大きくなって、効率が低下するおそれがあるため好ましくない。
また、3.0mmより大きい場合には、電動送風機効率の値が飽和に向かう傾向となり、実質的な電動送風機効率の向上を図れず、また、電機子巻線25a周りのスペースをカバー体40で広く占有することとなるため、好ましくない。
したがって、隙間Sは、2.0mm〜3.0mmとすることが好ましい。
ここで、電動送風機10の入力、つまり、電気掃除機1の消費電力を1000Wとすると、隙間Sが2.0mmのときにはおよそ3.3Wの向上が見込め、同様に、隙間Sが2.5mmのときにはおよそ6W、隙間Sが3.0mmのときにはおよそ6.6Wの向上がそれぞれ見込めることになる。
図3に示すように、吸込部30aから流入した空気は、ひとまず羽根車31で昇圧され増速される。その後、ディフューザ32を通過した空気は、曲がり流路35aを経て略180度転向し、リターンガイド34に流入する。
そして、リターンガイド34に流入した空気は、減速されて圧力が上昇した状態となって、エンドブラケット22の側方を通じて電動機20のハウジング21内に流入する。
ここで、電動機20の電機子巻線25aは、エンドブラケット22に固定されたカバー体40で覆われているので、通風路R2に向かう空気Aは、カバー体40の円環部41の外周面に沿って下流側に流れ、電機子巻線25aの表面に直接的に触れることなくハウジング21の後方へ導かれる。
これによって、電機子巻線25aの全体をカバー体40の円環部41で覆う構成とした場合に比べて、ハウジング21内を流れる空気を後方へ向けてより好適に導くことができる。
この場合にも、カバー体40とエンドブラケット22とを一体成形することによって、カバー体40を別体とした場合に比べて、取付誤差などの影響を受けることがなくなり、円環部41と電機子巻線25aとの隙間Sの精度を高めることができる。これによって、効果的に風損低減を図ることができる。
2 掃除機本体
2c 集塵室
8 紙パック(捕集部材)
10 電動送風機
20 電動機
21 ハウジング
22 エンドブラケット
25 電機子
25a 電機子巻線
26 固定子
30 送風機
31 羽根車(遠心羽根車)
32 ディフューザ(静翼)
40 カバー体
41 円環部
R1、R2 通風路
S 隙間
Claims (3)
- 電機子巻線を有する電機子と、界磁巻線を有する固定子と、前記電機子の一端を回転自在に支持するエンドブラケットと、前記電機子の他端を回転自在に支持するハウジングと、前記電機子における前記エンドブラケット側に直結された空気流れ発生用の遠心羽根車と、前記遠心羽根車の外周側に配置された複数の静翼と、を有する電動送風機において、
前記電機子巻線を覆うカバー体を備え、
前記カバー体は、前記エンドブラケットにインサート成形されて前記エンドブラケットと一体に設けられ、前記電機子巻線の外周に沿って径方向に膨出しつつ後方へ延設された円環部を有しており、
前記円環部の後端部は、前記電機子の前端部よりも軸方向前方に位置し、前記円環部の前記後端部と前記電機子の前記前端部との間には、前記電機子巻線の後端部分が露出することを特徴とする電動送風機。 - 電機子巻線を有する電機子と、界磁巻線を有する固定子と、前記電機子の一端を回転自在に支持するエンドブラケットと、前記電機子の他端を回転自在に支持するハウジングと、前記電機子における前記エンドブラケット側に直結された空気流れ発生用の遠心羽根車と、前記遠心羽根車の外周側に配置された複数の静翼と、を有する電動送風機において、
前記電機子巻線を覆うカバー体を備え、
前記カバー体と前記エンドブラケットとは、樹脂によって一体成形されており、
前記カバー体は、前記電機子巻線の外周に沿って径方向に膨出しつつ後方へ延設された円環部を有しており、
前記円環部の後端部は、前記電機子の前端部よりも軸方向前方に位置し、前記円環部の前記後端部と前記電機子の前記前端部との間には、前記電機子巻線の後端部分が露出することを特徴とする電動送風機。 - 塵埃を捕集する捕集部材が配置される集塵室と、前記集塵室の下流側に配置され、前記捕集部材に塵埃を吸い込むための気流を発生させる電動送風機と、を有する電気掃除機において、
前記電動送風機として、請求項1または請求項2に記載の電動送風機を用いたことを特徴とする電気掃除機。
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JP2009161830A JP5352360B2 (ja) | 2009-07-08 | 2009-07-08 | 電動送風機およびこれを備えた電気掃除機 |
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