JP5351511B2 - 捺染インクジェット用インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、捺染インクジェット用インクセット、及び捺染物の製法方法に関する。
繊布、不繊布等の布帛に、文字、絵、図柄等の画像を捺染する方法として、スクリーン捺染法やローラー捺染法の他に、近年では、コンピュタで画像処理して実質無版で捺染できる捺染インクジェット方法が注目されている。
捺染用インクの色材として、染料と顔料がある。染料を用いる場合、発色の良さに加え、繊維の官能基との反応を利用して染着するために染色堅牢度が高いといった利点がある。しかし、染料自体の耐光性が低い、繊維の種類に合わせて染料を選定する必要があるとの問題がある。さらに、にじみ抑制のための前処理、ならびに、染料を定着させるための蒸し工程や未固着分の染料を洗浄する洗濯工程といった後処理が必要であって、これらの作業負担が生じるとともに、水質汚染やコスト高を引き起こす、といった問題が残されている。
これに対し、顔料を用いる場合、耐光性が高い、複数の繊維種に対応できる、色材除去工程が不要である、といった利点があり、染料に比べ、その簡便さが好まれている。
顔料インクでは、顔料を定着させるためのバインダー成分が必要となる。スクリーン方式の場合は、バインダーとなる樹脂の添加量を多くすることで堅牢度を確保することができるが、インクジェット方式の場合、インクの粘度、吐出性の観点から、樹脂の添加量には制約があるため、堅牢度に問題が残っている。
特許文献1は、布帛への印字を複数回重ね、かつ複数回印字を重ねる間に少なくとも1回仮加熱定着を行い、最終回の印字後に本加熱定着を行う方法を開示する。この方法は、強固な洗濯堅牢性を付与するとともに、濃色布帛への視認性に優れた白色のインクジェット画像を得ることを目的としている。しかし、複数回の印字や途中の加熱定着等の工程増加から、生産性の点で課題を残している。また、摩擦堅牢度、特に湿摩擦堅牢度にも改善が必要である。
特開2005−161583号公報
本発明は、各種繊維から構成される被印刷物において、洗濯堅牢度はもとより、摩擦堅牢度にも優れた捺染物を提供することができる捺染インクジェット用インクセット、及び捺染物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一側面としては、顔料、皮膜伸度が400%〜1000%であり、かつ皮膜強度が20N/mm〜50N/mmである水分散性樹脂、及び水を含むインクジェット用インクと、皮膜伸度が100%〜400%である樹脂を含むオーバーコート剤との組み合わせである、捺染インクジェット用インクセットである。
本発明の他の側面としては、以下の工程を含む、捺染物の製造方法である:(1)インクジェット記録法により上記インクジェット用インクによって布帛を印刷する工程、及び(2)上記オーバーコート剤を前記布帛に塗布する工程。
本発明の捺染インクジェット用インクセット、及び捺染物の製造方法によれば、各種繊維から構成される被印刷物において、洗濯堅牢度はもとより、摩擦堅牢度にも優れた捺染物を提供することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明するが、本実施の形態における例示が本発明を限定することはない。
本発明の捺染インクジェット用インクセットは、インクジェット用インク(以下、単に「インク」と称することがある)と、オーバーコート剤との組み合わせである。
本発明のインクとしては、顔料、皮膜伸度が400%〜1000%であり、かつ皮膜強度が20N/mm〜50N/mmである水分散性樹脂、及び水を含む組成である。
布帛のような伸縮しやすい基材に対して洗濯・摩擦堅牢度を確保するためには、インク膜の伸縮のしやすさ、すなわち皮膜伸度が重要である。すなわち、インク膜が布帛の伸縮に追随して伸縮することができる伸度を有することにより、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる。一方、樹脂の伸度が大きすぎると、インク膜の基材への密着性が減少し、洗濯・摩擦堅牢度が低下するため好ましくない。これは、インク膜の粘性が強くなりすぎて、繊維表面への充分なアンカー効果を発揮することができないことによると考えられる。
こうした観点から、水分散性樹脂の皮膜伸度は400%〜1000%の範囲が好ましい。さらに、水分散性樹脂の皮膜伸度は、500%〜1000%であることがより好ましく、600%〜1000%であることが一層好ましい。
インク膜の強度に関しては、樹脂の皮膜強度が重要である。皮膜強度が20N/mm以上であると、摩擦力によりインク膜が削られてしまうことを防止して、摩擦堅牢度を高めることができる。一方、皮膜強度が50N/mmを超えると、インク膜を形成したときに膜が硬くなり過ぎて風合いが低下するため、好ましくない。この皮膜強度はさらに、20N/mm〜40N/mmであることがより好ましく、20N/mm〜35N/mmであることが一層好ましい。
水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
水分散性樹脂の種類は、上記皮膜伸度と皮膜強度を有するものであれば、本発明の目的に鑑み特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、及びこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。
具体的には、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス460、460s、470、610、700、株式会社アデカ製アデカボンタイターシリーズのなかのアデカボンタイターHUX−380、290K、290H、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW−512A6等が挙げられる。これらは、ウレタン骨格を有する水分散性樹脂である。これらの樹脂は単独で、又は2種以上の組み合わせとして使用することができる。
水分散性樹脂の含有量(本発明で規定する物性を備えた樹脂以外の水分散性樹脂を含む場合はそれらを含む合計量)は、質量比で、顔料1に対し0.5〜2.5の範囲であることが好ましい。これにより、水分散性樹脂の配合効果を適切に発揮させることができる。すなわち、質量比で顔料1に対し0.5未満であると、充分な洗濯・摩擦堅牢度が確保できない恐れがある。一方、2.5を超えると、インクの粘度に影響を与えて印刷性を阻害する恐れがある。
さらに、インク放置後のヘッド目詰まりを回避し、復帰しやすさを確保する観点から、水分散性樹脂の含有量は、インク全量に対し、30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが一層好ましい。
顔料は、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができる。白インクには白色顔料が、色インクには、白以外の色顔料が使用される。
具体的には、白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどの無機顔料が挙げられる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分子微粒子を使用することもできる。
顔料の平均粒径は100nm〜500nmであることが好ましい。顔料の平均粒径が100nm未満の場合は隠蔽力が不充分となる傾向がみられ、500nmを超える場合は吐出安定性が不充分となる傾向にある。
なかでも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの平均粒径も、同様に100nm〜500nmであることが好ましい。酸化チタンを使用する場合は、光触媒作用を抑制するために、アルミナやシリカで表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理量は、顔料中に5質量%〜20重量%程度であることが好ましい。
色顔料としては、例えば、アゾ系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラックなど)、コバルト、鉄、クロム同、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物及び硫化物、ならびに黄土、群青、紺青などの無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。
これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
顔料の含有量(固形分量)は、使用する顔料の種類によっても異なるが、必要な発色を確保する等の観点から、インク中に1質量%〜30質量%含まれていることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましい。
インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される顔料分散剤を使用することが好ましい。
高分子分散剤としては、例えば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45)等のアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般的に、有効成分(固形分量)の質量比で顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。
さらに、顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散性顔料を使用することもできる。市販品としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ(CAB−O−JET200、300、250C、260M、270C)、オリエント化学工業株式会社製CW−1、CW−2等が挙げられる。
顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
インクに含まれる水としては、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水は、粘度調整の観点から、インク中に、20質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、30質量%〜70質量%含まれていることがより好ましい。
本発明のインクには、粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能な水溶性有機溶剤が含まれていることが好ましい。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、などのグリコール類、グリセリン、アセチン類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコール誘導体、トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオグリコール、スルホランなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種類以上組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に1質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
本発明のインクには、上記の成分に加え、本発明の効果を阻害しない範囲で、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(界面活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を任意に含有させることができる。
湿潤剤としては、多価アルコール類を使用することができる。
表面張力調整剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用することができる。
この界面活性剤を配合することにより、インクジェット方式でインクを安定に吐出させることができ、かつ、インクの浸透を適切に制御することができるために好ましい。その添加量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、インク中に0.1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。この範囲を超えて界面活性剤を多く配合すると、インクの表面張力を低下させ、その結果布帛上でのインクの浸透が速くなりすぎて、隠蔽性や発色性を妨げる恐れがある。
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、花王株式会社製エマールシリーズ(エマール0、10、2F、40、20C)、ネオペレックスシリーズ(ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−65)、ペレックスシリーズ(ペレックスOT−P、TR、CS、TA、SS−L、SS−H)、デモールシリーズ(デモールN、NL、RN、MS)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アセタミンシリーズ(アセタミン24、86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、86P、60W、86W)、サニゾールシリーズ(サニゾールC、B−50)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エアプロダクツ社製サーフィノールシリーズ(サーフィノール104E、104H、420、440、465、485)等のアセチレングリコール系界面活性剤や、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲン102KG、103、104P、105、106、108、120、147、150、220、350、404、420、705、707、709、1108、4085、2025G)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、花王株式会社製アンヒトールシリーズ(アンヒトール20BS、24B、86B、20YB、20N)等が挙げられる。
インクの粘度やpHを調整するために、インクに電解質を配合することもできる。電解質としては、例えば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インクの増粘助剤やpH調整剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
インクの粘度は、適宜調節することができるが、例えば吐出性の観点から、1〜30mPa・sであることが好ましい。この粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインク粘度である。
次に、本発明のオーバーコート剤について説明する。
本発明のオーバーコート剤は、皮膜伸度が100%〜400%である樹脂を含む組成である。
本発明のオーバーコート剤は、被印刷物に上記したインクを印刷した後に、少なくとも印刷領域を含む印刷面に塗布して使用するためのものである。
本発明のインクは、インクのみでも洗濯・摩擦堅牢度をある程度は高めることができるが、上記したオーバーコート剤で印刷面を保護することによって摩擦堅牢度をさらに高めることができる。
オーバーコート剤の皮膜伸度は、100%〜400%が好ましく、さらに、150%〜350%であることがより好ましい。400%以下であることで、摩擦力によってインク膜が削られてしまうことを防止し、摩擦堅牢度を向上させることができる。一方、100%未満であると、インク膜の柔軟性が悪化し、風合いが低下することがあるため、好ましくない。また、オーバーコート膜の皮膜伸度が低すぎると、インク膜が布帛とともに伸縮するときに、オーバーコート膜が追従して伸縮することができずに、インク膜が破断し、ひび割れてしまうことがある。そのためにも、100%以上であることが好ましい。
このようなインクとオーバーコート剤とを用いることで、あらゆる種類の繊維から布帛に対して、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる。例えば、綿は、単繊維のため繊維間の隙間が多く、また、OH基を有するため水分を保有しやすく、顔料が浸透しやすい。これに対し、ポリエステルは、長繊維のため繊維間の隙間が少なく、顔料が浸透しにくく強固な洗濯堅牢度を得ることが難しい。ポリエステルは繊維自体が水を吸収しにくい特性でもある。本発明のインクによれば、ポリエステルのようなインクが浸透しにくい繊維からなる布帛に対しても、インクが強固に定着することができ、このインク膜に本発明のオーバーコート剤を塗布することで、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる。本発明は、綿においてももちろん効果的に適用することができ、その他の繊維に対しても同様である。
オーバーコート剤は、環境負荷や安全性の観点から、水系であることが好ましい。また、オーバーコート剤に用いる樹脂は、耐水性の観点から水分散性樹脂が好ましく、この場合、オーバーコート剤は、水分酸性樹脂と水とを含む。水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
オーバーコート剤の樹脂の種類は、上記皮膜伸度を有するものであれば、本発明の目的に鑑み特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂等、及びこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。具体的には、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス150、410、420、650、E2500、R5002、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW615、W6010、W405、W635、WS5100等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
オーバーコート剤全量に対し、樹脂の含有量は、その効果を適切に発揮させるために、1質量%〜60質量%であることが好ましく、3質量%〜40質量%であることがより好ましい。60質量%を超えて多量に配合すると、布帛に均一に塗布することが困難となり、出来上がりの捺染物の商品性を低下させる恐れがある。
水としては、特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等、不純物の少ない水が好ましい。水の含有量は、特に制限されず、粘度調整の観点から、適宜調整することが好ましい。
オーバーコート剤には、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を添加することができる。このような水溶性有機溶剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
本発明のオーバーコート剤には、防腐剤、粘度調製剤、酸化防止剤、界面活性剤等の、一般的にインクに配合される添加剤を任意で加えてもよい。このような添加剤としては、上記インクに配合されるものと同様のものを使用することができる。
次に、本発明のインクを用いた捺染物の製造方法について説明する。布帛としては、綿、絹、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の任意の天然・合成繊維からなる布帛を用いることができる。本発明のインクは、様々な素材の布帛に対し、洗濯及び摩擦堅牢度の高い捺染印刷物を提供することができる。
本発明の捺染物の製造方法は、(1)インクジェット記録法により上記したインクジェット用インクによって布帛を印刷する工程、及び(2)上記したオーバーコート剤を前記布帛に塗布する工程を含む。
工程(1)では、印刷はインクジェット記録法により行われる。使用するインクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式等、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクの液滴を吐出させ、吐出されたインク液滴を、前処理剤が塗布された布帛上に付着させるようにすることができる。
布帛が濃色である場合は、インクの発色性が低下する恐れがある。したがって、布帛上の印刷箇所に、まず白インクを印刷し、そこに色インクを重ねることで、発色性のよい捺染物を得ることができる。一方、布帛が白色である場合に対しては、色インクを印刷するだけで、発色性にも優れた捺染物を得ることができ、この場合は、インクを重ねる必要がないため、捺先部分の風合いや通気性にも優れている。
インクの塗布量は、特に制限されないが、布帛の単位面積あたり、500g/m以下であることが、風合いの観点から好ましい。
工程(2)では、工程(1)でインクが印刷された布帛に、上記したオーバーコート剤を塗布する。
オーバーコート剤を布帛に塗布する方法は、特に限定されず、スプレー法、浸漬法、パッド法、コーティング法等の任意の方法を使用することができ、インクジェット記録法やスクリーン印刷法を用いてもよい。
オーバーコート剤は、布帛上の少なくともインクが印刷された領域に塗布される。印刷領域を含む布帛全面に塗布してもよい。
オーバーコート剤の塗布量は、布帛の単位面積あたり、1g/m〜500g/mであることが好ましく、10g/m〜100g/mであることがより好ましい。この範囲であることで、堅牢度の向上と風合い低下の抑制とを両立することができる。
工程(1)の印刷工程後、及び、工程(2)のオーバーコート剤の塗布後に、それぞれ、布帛に対し100℃〜180℃程度の熱処理を行うことが好ましい。工程(1)の後の熱処理により、インクを乾燥させるとともに、水分散性樹脂を成膜させて強固なインク膜を形成させることができる。工程(2)の後の熱処理は、樹脂を成膜させて強固なインク膜を形成させるためであり、また、オーバーコート剤に水が含まれる場合は水分を乾燥させるためでもある。
工程(1)で、白インクと色インクを印刷する場合は、色インク印刷後に熱処理を行うだけでよい。
熱処理条件は、特に限定されないが、例えば、工程(1)の後の熱処理、及び工程(2)の後の熱処理はともに、160℃で60秒間程度で行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1に示す成分を使用して、実施例及び比較例のインク及びオーバーコート剤を調製した。表1において、自己分散性顔料はオリヱント化学工業株式会社製自己分散顔料CW−2(固形分15%)を使用した。界面活性剤(表面張力調整剤として使用)はエアプロダクツ社製サーフィノール465を使用した。エチレングリコール及びグリセリンは和光純薬工業株式会社製を使用した。インクとオーバーコート剤に用いた水分散性樹脂は表2に示す。
インクの水分散性樹脂の皮膜伸度と皮膜強度、オーバーコート剤の樹脂の皮膜伸度について、各物性を次の手順に従って測定した。結果を表1に示す。
<皮膜強度>
乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性樹脂を塗布し、常温で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、及び120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して、水分散性樹脂フィルムを作製した。
テンシロン万能試験機RTC−1225A(株式会社オリエンテック製)を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、得られた樹脂フィルムの引張試験を行い、破断強度、すなわち皮膜強度を測定した。
<皮膜伸度>
皮膜強度測定と同様にして水分散性樹脂フィルムを作製し、同様の測定条件で樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、その割合をパーセントで皮膜伸度として表した。
<色(黒)インクの調製>
表1に示した配合(どちらも固形分量で表示)となるように各成分を混合し、5μmのメンブレンフィルターで粗粒子を除去して、実施例及び比較例の黒インクを調製した。
<オーバーコート剤の調製>
表1に示した配合(どちらも固形分量で表示)となるように各成分を混合し、実施例及び比較例のオーバーコート剤を調製した。
<捺染物の作製>
得られた各インクとオーバーコート剤を使用して、次のように捺染印刷を行った。
布帛として、実施例1では綿100%の白色Tシャツを用い、その他の実施例及び比較例ではポリエステル100%の白色Tシャツを用いた。
マスターマインド社製テキスタイルプリンタ「MMP813BT」にインクを導入し、布帛に対し黒インクで1440dpi×720dpi、80mm×80mmのベタ印刷を行い、160℃で1分間の熱処理を行った。
次に、捺染物に対して60g/mとなるように、エアスプレーを用いてオーバーコート剤を塗布し、160℃で1分間の熱処理を行った。
なお、比較例1として、オーバーコート剤を塗布しないものを作製し、その他は上記した方法と同様に作製した。
得られた捺染物の評価を、次のように行った。結果を表1に併せて示す。
<洗濯堅牢度>
三洋電機株式会社製全自動洗濯機ASW−45A1型を用いて、各印捺物を10回洗濯し、インクの剥がれの有無を目視で観察した。
○:インクの剥がれがなかった
×:インクの剥がれがあった
<摩擦堅牢度>
JIS L0849に規定の方法に従い、I型試験機を用いて試験を行った。乾摩擦はJIS L0849に規定される乾燥試験、湿摩擦はJIS L0849に規定される湿潤試験に則って試験し、汚染グレースケールを用いて評価した。
◎:4−5級〜5級
○:3−4級〜4級
△:2−3級〜3級
×:2級以下
Figure 0005351511
Figure 0005351511
表1に示すように、実施例のインクでは、強固な洗濯堅牢度と摩擦堅牢度が得られた。これに対し、比較例のインクでは、充分な堅牢度が得られなかった。これらの比較例より、インクの水分散性樹脂の皮膜伸度と皮膜強度、オーバーコート剤の樹脂の皮膜伸度が重要であることがわかった。

Claims (3)

  1. 顔料、皮膜伸度が400%〜1000%であり、かつ皮膜強度が20N/mm〜50N/mmである水分散性樹脂、及び水を含むインクジェット用インクと、
    皮膜伸度が100%〜400%である樹脂を含むオーバーコート剤との組み合わせである、
    捺染インクジェット用インクセット。
  2. 前記オーバーコート剤の樹脂は水分散性樹脂であり、前記オーバーコート剤は水をさらに含む、請求項1に記載された捺染インクジェット用インクセット。
  3. 以下の工程を含む、捺染物の製造方法:
    (1)インクジェット記録法により請求項1又は2に記載されたインクジェット用インクによって布帛を印刷する工程、及び
    (2)請求項1又は2に記載されたオーバーコート剤を前記布帛に塗布する工程。
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