JP5351235B2 - 車両の燃料供給制御装置 - Google Patents

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本発明は、通信によって情報伝達される複数の制御機器によりエンジンへの燃料供給を制御する車両の燃料供給制御装置に関し、特に、これら制御機器間の通信に異常が生じても、最低限の運転性能を確保させる技術に関する。
特許文献1には、電子制御装置(ECU)が、エンジン回転速度、冷却水温など運転状態に基づいて、燃料ポンプの駆動制御、即ち、燃料の圧力(燃圧)の制御を行う構成が開示されている。
ところで、エンジンの停止時、燃料ポンプのリリーフ弁を開放操作することで、燃圧を低下させ、燃料噴射弁の油密状態を緩和したいが、特許文献1に記載の構成では、リリーフ弁を開閉制御するECUが、エンジン停止に伴って給電停止されるため、エンジン停止時にリリーフ弁を開放操作できない。
また、ECUは、燃料噴射時期など種々の制御に加えて燃料ポンプの駆動制御(デューティ制御)を行うと、発熱量が増大する。
上記のような理由から、前記ECUとは別体かつ別電源の電子制御装置として燃圧コントローラを設け、燃料ポンプの駆動制御機能及びリリーフ弁の開閉制御機能を該燃圧コントローラに分離させることがある。このような構成では、ECUと燃圧コントローラとが、運転状態や実際の燃圧などの信号を相互通信しながら、エンジンへの燃料供給制御を行う。
特開平6−74120号公報
しかしながら、ECUと燃圧コントローラとの間で、通信にノイズが発生したり通信が途絶えたりして異常が発生すると、エンジンへの燃料供給制御を適切に行えなくなり、車両走行に影響を及ぼす。
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、通信によって情報伝達される複数の制御機器によりエンジンへの燃料供給を制御する車両において、これら複数の制御機器間の通信に異常が生じても、エンジンへの燃料供給量を適正範囲に維持し、可及的に良好な運転性能を確保させることができる車両の燃料供給制御装置を提供することを目的とする。
このため、本発明に係る発明は、
通信によって情報伝達される複数の制御機器により、燃料ポンプを制御する車両の燃料供給制御装置において、
他の制御機器から受信した運転状態に基づいて設定した目標燃料圧力と、検出された実際の燃料圧力とに基づいて、燃料ポンプを制御する燃圧制御機器を備え、
前記燃圧制御機器は、前記他の制御機器からの受信状態が異常であるときに、該受信される側の制御機器に直接入力される燃圧センサからの信号を含む車両状態の信号に基づきフェールセーフ用の目標燃料圧力を設定し、該フェールセーフ用の目標燃料圧力と、前記実際の燃料圧力とを用いて前記燃料ポンプをフェールセーフ制御するフェールセーフ手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、燃圧制御機器は、他の制御機器からの受信状態が異常であるとき、フェールセーフ制御に切り換えて、エンジンへの燃料供給を継続させることができる。これにより、エンジンへの燃料供給の状態が異常となるのを回避することができる。
また、受信される側の制御機器に直接入力される燃圧センサからの信号を含む車両状態の信号に基づき、フェールセーフ用の目標燃料圧力を設定し、該フェールセーフ用の目標燃料圧力と、実際の燃料圧力とを用いて、可及的に良好なフェールセーフ制御を行うことができる。
本発明の実施形態におけるシステム構成を示す図 システム構成の第1実施形態に係る異常パターン及び異常時の処理を示す図 図1における受信状態が異常であるかの診断の詳細を示す図 目標燃圧の設定処理の第1実施形態を示す図 目標燃圧の設定処理の第2実施形態を示す図 システム構成の第1実施形態に係る他の異常パターン及び異常時の処理を示す図 システム構成の第1実施形態に係る他の異常パターン及び異常時の処理を示す図 システム構成の第1実施形態に係る信号処理の変形形態、及び、該変形形態における異常パターン及び異常時の処理を示す図
以下に、本発明の実施形態を説明する。
図1は、システム構成の第1実施形態を示す。
図1において、燃料タンク1は、内燃機関3の燃料を貯留するタンクである。
燃料タンク1内には、電動式の燃料ポンプ5が設置されている。
燃料ポンプ5は、燃料タンク1内の燃料を吸い込み口から吸い込んで吐出口から吐き出す、例えばタービン式のポンプであり、前記吐出口には、燃料パイプ7の一端が接続されている。
また、燃料ポンプ5の吐出口には、吐出側の燃圧が閾値を越えたときに開弁して、燃料を燃料タンク1内にリリーフするリリーフ弁9が設けられており、燃料パイプ7内の燃圧が上限値を超えて上昇することが阻止されるようになっている。
燃料パイプ7の他端には、気筒数と同じ数の噴射弁接続部(図示せず)が設けられ、各噴射弁接続部には、電磁式の燃料噴射弁11の燃料取り入れ口がそれぞれ接続される。
燃料噴射弁11は、電磁コイルへの通電によって磁気吸引力が発生すると、スプリングによって閉弁方向に付勢されている弁体がリフトして開弁し、燃料を噴射する。
燃料噴射弁11は、内燃機関3の各気筒にそれぞれ設置され、各気筒に燃料をそれぞれ噴射供給する。
マイクロコンピュータを内蔵する電子制御ユニット(ECM)13は、燃料噴射弁11それぞれに対して個別に開弁制御パルス信号を出力して、各燃料噴射弁11による燃料噴射時期を制御する。
また、本実施形態では、マイクロコンピュータを内蔵する燃圧コントローラ14が、電子制御ユニット13とは別体かつ別電源の状態で、電子制御ユニット13と相互通信可能に設けられている。この燃圧コントローラ14は、燃料ポンプ5への通電のオン・オフをデューティ制御することで、燃料ポンプ5の燃料の吐出量を制御する。また、燃圧コントローラ14は、燃料ポンプ5のリリーフ弁9の開閉を制御する。
燃圧コントローラ14が、電子制御ユニット13とは別体かつ別電源の状態で設けられるのは、以下のような理由による。
まず、内燃機関3の停止時、燃料ポンプ5のリリーフ弁9を開放操作することで、燃圧を低下させ、燃料噴射弁11の油密状態を緩和したいが、電子制御ユニット13によってリリーフ弁9を開閉制御する構成では、内燃機関3の停止に伴って電子制御ユニット13への給電が停止した場合、内燃機関3の停止時にリリーフ弁9を開放操作できなくなる。
また、電子制御ユニット13は、燃料噴射時期など種々の制御に加えて燃料ポンプ5の駆動制御(デューティ制御)を行うと、発熱量が増大する。
そこで、内燃機関3の停止時にリリーフ弁9を開放操作可能とし、かつ、電子制御ユニット13の発熱量を抑える目的で、燃圧コントローラ14を、電子制御ユニット13とは別体かつ別電源の状態で設け、燃料ポンプ5の駆動制御機能及びリリーフ弁9の開閉制御機能を、電子制御ユニット13から燃圧コントローラ14へ分離している
なお、内燃機関3を制御する電子制御ユニット13は、該内燃機関3の近傍に配置し、燃料ポンプ5を制御する燃圧コントローラ14は、該燃料ポンプ5の近傍に配置するのが望ましい。
電子制御ユニット13及び燃圧コントローラ14には、各種センサからの検出信号が入力される。
電子制御ユニット13に検出信号を入力する前記各種センサとしては、内燃機関3の吸入空気流量を検出するエアフローメータ15、所定クランク角位置毎に検出信号を出力するクランク角センサ17、内燃機関3の冷却水温度Twを検出する水温センサ19などが設けられている。
燃圧コントローラ14に検出信号を入力する前記各種センサとしては、燃料パイプ7内における燃料の圧力を検出する燃圧センサ21、燃料パイプ7内における燃料の温度を検出する燃温センサ23などが設けられている。
そして、電子制御ユニット13は、クランク角センサ17からの信号に基づいて内燃機関3の回転速度Neを演算し、エアフローメータ15で検出された吸入空気流量Qaと前記機関回転速度Neとに基づいて燃料噴射量Tiを演算する。
更に、電子制御ユニット13は、燃圧コントローラ14から燃圧センサ21で検出される実際の燃圧の信号を受信し、該実際の燃圧で前記燃料噴射量Tiに対応する量の燃料を噴射させるための開弁時間である噴射パルス幅を求める。実際の燃圧が高いほど燃料噴射弁11の実際の燃料噴射量も多くなるため、電子制御ユニット13は、実際の燃圧を受信し、該実際の燃圧に基づいて噴射パルス幅を決定する。
そして、電子制御ユニット13は、各気筒の燃料噴射タイミングをクランク角センサ17からの信号に基づいて検出して、前記噴射タイミングに合わせて前記噴射パルス幅の噴射パルス信号を該当する気筒の燃料噴射弁11に出力する。
また、燃圧コントローラ14は、電子制御ユニット13から内燃機関3の運転状態(機関負荷,機関回転速度Ne,冷却水温度Twなど)の信号を受信し、該運転状態に基づいて目標燃圧を設定し、燃圧センサ21で検出される実際の燃圧が前記目標燃圧に近づくように、燃料ポンプ5の燃料の吐出量をフィードバック制御する。
このように、前記目標燃圧は、前記運転状態に基づいて可変に設定されるが、具体的には、高負荷・高回転領域では目標燃圧を高く設定し、低負荷・低回転領域では目標燃圧を低く設定することで、高負荷で要求燃料量が多く、かつ、高回転で吸気行程期間が短時間であるときに、要求量を吸気行程期間中に噴射させることができるようにする一方で、低負荷・低回転領域では、目標燃圧を低下させることで燃料ポンプ5の負荷を減らして電力消費を低下させる。
尚、前記機関負荷は、前記燃料噴射量Ti,吸入空気流量Qa,吸気通路のスロットルバルブ(図示せず)の開度,吸入負圧などから判断することができる。
ところで、図1のシステムでは、図2に示すような異常が発生する可能性がある。
即ち、電子制御ユニット13から燃圧コントローラ14へ送信する前記運転状態の信号などにノイズが発生したり、該信号の送信が途絶えたりして、燃圧コントローラ14において電子制御ユニット13から送信される前記運転状態の信号の受信状態が異常となると、燃圧コントローラ14は、目標燃圧を異常な値に設定してしまうことがある。これにより、実際の燃料噴射量が要求量(燃料噴射量Ti)と大きく異なってしまい、車両走行に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、燃圧コントローラ14は、このような異常時と評価したときには、目標燃圧が異常な値に設定されることを回避し、また、要求量を大幅に下回る又は上回る燃料が噴射されることがないように処理する。
図3のフローチャートは、燃圧コントローラ14による電子制御ユニット13からの受信状態が異常であるかの診断の詳細を示す。
図3のフローチャートにおいて、まず、ステップS11では、電子制御ユニット13からの信号が未受信であるかを判別する。
ステップS11で、電子制御ユニット13からの信号が未受信であると判断されたときは、ステップS12へ進む。
ステップS12では、電子制御ユニット13からの信号の未受信カウンタを加算,更新し、ステップS13へ進む。ここで、例えば、前記ステップS11の判別を一定時間間隔で行えば、前記未受信カウンタも前記一定時間間隔で加算,更新され、電子制御ユニット13からの信号が未受信の状態の継続時間を求めることができる。
ステップS13では、前記未受信カウンタが所定値以上であるかを判別する。
ステップS13で、前記未受信カウンタが前記所定値未満であると判断されたときは、電子制御ユニット13からの信号が未受信の状態の継続時間が十分でなく、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であることを十分に確認できないため、異常とは判定せず、リターンとなる。
一方、ステップS13で、前記未受信カウンタが前記所定値以上であると判断されたとき、即ち、電子制御ユニット13からの信号が未受信の状態が十分に長く継続しているときは、電子制御ユニット13からの受信状態の異常を十分に確認できたと判断し、ステップS14へ進み、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であると判定する。
ステップS11で、電子制御ユニット13からの信号を受信したと判断されたときは、電子制御ユニット13からの受信状態が異常ではない(又は正常に復帰した)と判断し、ステップS15へ進んで、前記未受信カウンタを初期化(リセット)し、リターンとなる。このときは、電子制御ユニット13からの信頼性の高い信号に基づいて、支障なく燃料供給制御を継続できるため、フェールセーフ制御を行う必要はない。
電子制御ユニット13からの受信状態が異常であるかの判定の方法は、上記図3に示した方法に限定されるものではなく、例えば、電子制御ユニット13又は燃圧コントローラ14の通信用マイコン自身における通信異常情報に基づいて、異常の有無を判断したりすることもできる。
本実施形態によれば、燃圧コントローラ14が、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であると評価したとき、フェールセーフ用の目標燃圧を設定して燃圧制御をフェールセーフ制御に切り換えることで、目標燃圧が異常な値に設定されることを回避できる。
これにより、燃料ポンプ5への異常なデューティ出力を回避して、燃料噴射弁11によって要求量を大幅に下回る又は上回る燃料が噴射されることを防止し、最低限の車両の運転性能を確保することができる。
図4のフローチャートは、燃圧コントローラ14による目標燃圧の設定処理の第1実施形態を示す。
図4のフローチャートにおいて、まず、ステップS21では、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であるか(異常時か)を判別する。
ステップS21で異常時でないと判断されると、電子制御ユニット13から信頼性の高い信号を受信可能であるため、ステップS22へ進み、電子制御ユニット13から受信した信頼性の高い運転状態の信号に基づいて、目標燃圧を設定する。
そして、燃圧コントローラ14は、実際の燃圧が該目標燃圧に近づくように、燃料ポンプ5へデューティを出力する。
一方、ステップS21で、異常時であると判断されると、ステップS23へ進み、図2に示すように、電子制御ユニット13から送信される信号以外の車両状態の信号(例えば、燃圧センサ21や燃温センサ23の検出信号など、電子制御ユニット13を介さず燃圧コントローラ14へ直接入力される信号)に基づいて、フェールセーフ用の目標燃圧を設定する。
このとき、燃圧コントローラ14は、実際の燃圧が該フェールセーフ用の目標燃圧に近づくように、燃料ポンプ5へデューティを出力する。
図4の処理によれば、異常時に、電子制御ユニット13からの異常な信号が目標燃圧の設定に用いられることを回避でき、燃圧コントローラ14へ直接入力される信頼性の高い信号に基づいて目標燃圧を設定することで、可及的に良好なフェールセーフ時の車両の運転性能を確保することができる。
図5のフローチャートは、燃圧コントローラ14による目標燃圧の設定処理の第2実施形態を示す。
図5のフローチャートにおいて、まず、ステップS31では、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であるか(異常時か)を判別する。
ステップS31で異常時でないと判断されると、電子制御ユニット13から信頼性の高い信号を受信可能であるため、ステップS32へ進み、電子制御ユニット13から受信した信頼性の高い運転状態の信号に基づいて、目標燃圧を設定する。
そして、燃圧コントローラ14は、実際の燃圧が該目標燃圧に近づくように、燃料ポンプ5へデューティを出力する。
一方、ステップS31で、異常時であると判断されると、ステップS33へ進み、図2に示すように、電子制御ユニット13から送信される信号以外の車両状態の信号(例えば、燃圧センサ21や燃温センサ23の検出信号など、電子制御ユニット13を介さず燃圧コントローラ14へ直接入力される信号)に基づいて、フェールセーフ用の目標燃圧を設定する。これにより、第1実施形態同様、燃圧コントローラ14へ直接入力される信頼性の高い信号に基づいて目標燃圧を設定することで、可及的に良好なフェールセーフ時の車両の運転性能を確保することができる。
ここで、前記ステップS33で設定された目標燃圧は、以下のステップS34〜S38において、適正な範囲内に収まるように補正される。
ステップS34では、ステップS33で設定された目標燃圧が、予め記憶してある設定値11未満であるかを判別する。
ステップS34で、目標燃圧が設定値11未満であると判断されたときは、ステップS35へ進んで、目標燃圧を前記設定値11へと補正することで、目標燃圧が前記設定値11を下回ることを阻止する下限リミッタ処理を行う。
一方、ステップS34で、目標燃圧が前記設定値11以上であると判断されたときは、ステップS36へ進む。
ステップS36では、目標燃圧が設定値12(設定値12>設定値11)より大きいかを判別する。
ステップS36で、目標燃圧が設定値12より大きいと判定されたときは、ステップS37へ進んで、目標燃圧を前記設定値12へと補正することで、目標燃圧が前記設定値12を上回ることを阻止する上限リミッタ処理を行う。
一方、ステップS36で、目標燃圧が設定値12以下であると判定されたときは、目標燃圧が適正な範囲内に収まっている(設定値11≦目標燃圧≦設定値12)ことから、ステップS38へ進んで、前記ステップS33で設定された目標燃圧を維持する。
そして、燃圧コントローラ14は、設定値11以上かつ設定値12以下の範囲に設定されたフェールセーフ用の目標燃圧へ実際の燃圧が近づくように、燃料ポンプ5へデューティを出力する。
図5の処理によれば、電子制御ユニット13からの受信状態が異常であるとき(異常時)に、強制的に目標燃圧を設定値11(下限値)以上かつ設定値12(上限値)以下に制限することで、例えば、運転条件に応じた燃圧変更を行わない車両と同等の基準燃圧を確保し、該基準燃圧で燃料噴射を行わせることができる。
なお、前記設定値11及び設定値12は、冷却水温度Twや吸気温度などに基づいて可変に設定することもできる。
また、前記設定値11≦目標燃圧≦設定値12の範囲は、例えば、燃料の温度に応じて、燃料の沸騰を回避できる燃圧の範囲として設定するとよい。
図6及び図7は、システム構成の第1実施形態に係る他の異常パターン及び異常時の処理を参考例として示す。なお、図6及び図7では、電子制御ユニット13における燃圧コントローラ14からの受信状態が異常となっている。
図6(a)では、電子制御ユニット13は、実際の燃圧の信号について受信状態が異常であるため、実際の燃料噴射量が要求量と大きく異なってしまったり、実際の燃圧に応じた燃料噴射量の補正に支障が生じたりする。
この場合、電子制御ユニット13は、実際の燃圧に代えて、予め記憶しておいたフェールセーフ用の実際の燃圧を噴射パルス幅の演算に用いることで対処することができる。
図6(b)では、電子制御ユニット13が、実際の燃圧の信号について受信状態が異常なとき、予め記憶しておいたフェールセーフ用の噴射パルス信号を燃料噴射弁11へ出力することで対処している。
図7(a)では、電子制御ユニット13が、実際の燃圧の信号について受信状態が異常なとき、燃圧コントローラ14から送信される信号以外の情報(例えば、機関負荷,機関回転速度Ne,冷却水温度Twなど、燃圧コントローラ14を介さずに得られる運転状態の情報)に基づいて、フェールセーフ用の実際の燃圧を設定している。そして、電子制御ユニット13は、実際の燃圧に代えて該フェールセーフ用の実際の燃圧を噴射パルス幅の演算に用いることで対処している。
なお、例えば、燃料噴射量Tiが小さいアイドル時に、フェールセーフ用の実際の燃圧が高く設定されると、噴射パルス幅が極端に短く演算され、燃料噴射弁11のダイナミックレンジを外れてしまう可能性がある。したがって、前記運転状態などに応じて、フェールセーフ用の実際の燃圧を補正するのが望ましい。
図7(b)では、電子制御ユニット13が、前記運転状態の情報に基づいてフェールセーフ用の噴射パルス幅を設定し、該フェールセーフ用の噴射パルス幅に対応するパルス信号を燃料噴射弁11へ出力するようにしている。
図8は、システム構成の第1実施形態に係る信号処理の変形形態(第3実施形態)、及び、該変形形態における異常パターン及び異常時の処理を示す。
電子制御ユニット13が、内燃機関3の運転状態(機関負荷,機関回転速度Ne,冷却水温度Twなど)に基づいて目標燃圧を設定し、燃圧コントローラ14が、電子制御ユニット13から目標燃圧の信号を受信する構成である。
そして、燃圧コントローラ14が、前記目標燃圧の信号の受信状態が異常なとき、実際の燃圧や燃料の温度などに基づいて、目標燃圧を、フェールセーフ用の目標燃圧に設定することで対処している。これにより、第1及び第2実施形態同様、燃圧コントローラ14へ直接入力される信頼性の高い信号に基づいて目標燃圧を設定することで、可及的に良好なフェールセーフ時の車両の運転性能を確保することができる。
以上の説明では、目標燃圧に基づき燃料ポンプ5の燃料の吐出量を制御するシステムとしたが、これに代わり、燃料配管の途中から燃料タンク1内に戻す燃料量を制御することで実際の燃圧を目標燃圧に近づけるシステムとしてもよい。
3…内燃機関(エンジン)
13…電子制御ユニット
14…燃圧コントローラ

Claims (2)

  1. 通信によって情報伝達される複数の制御機器により、燃料ポンプを制御する車両の燃料供給制御装置において、
    他の制御機器から受信した運転状態に基づいて設定した目標燃料圧力と、検出された実際の燃料圧力とに基づいて、燃料ポンプを制御する燃圧制御機器を備え、
    前記燃圧制御機器は、前記他の制御機器からの受信状態が異常であるときに、該受信される側の制御機器に直接入力される燃圧センサからの信号を含む車両状態の信号に基づきフェールセーフ用の目標燃料圧力を設定し、該フェールセーフ用の目標燃料圧力と、前記実際の燃料圧力とを用いて前記燃料ポンプをフェールセーフ制御するフェールセーフ手段を備えたことを特徴とする車両の燃料供給制御装置。
  2. 前記他の制御機器からの受信状態が異常であるときは、通信情報の未受信の状態が所定時間以上継続したときである請求項1に記載の車両の燃料供給制御装置。
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