JP5350620B2 - 粒子の製造方法、及び粒子 - Google Patents

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本発明は、粒子の製造方法、及び粒子に関する。詳しくは、高分子を含有する高分子粒子を簡便に製造できる粒子の製造方法及び粒子に関する。
従来から様々な分野で、様々な特性を有する高分子を含有する粒子の簡易な製造方法の開発が要望されている。
これら高分子の粒子の製造方法としては、高分子を液中あるいは気体中で固化して得る方法がある。この方法としては例えば、(1)界面重合法、(2)相分離法、(3)液中乾燥法、(4)溶媒抽出法、(5)スプレードライ法、(6)オリフィス法などがある。以下、これらの方法を説明する。
(1)界面重合法
重合反応を利用した界面重合法は、カプセル化物の壁膜がモノマーの重合反応を伴って形成されるカプセル化法である。この方法は、2つの互いに交じり合わない溶液の分散相の界面で重合反応が起こることにより、高分子膜が得られる現象を利用する方法である。しかし、この方法は、モノマーの組合せの選択に関して取扱い上の制約を受けることや、粒子形成後に未反応モノマーを除去するなどの精製工程が必要となる、等の問題を有している。
(2)相分離法
相分離法は、高分子を溶媒に溶解させた状態で、高分子を沈殿させる溶媒を添加したり、不溶になるように温度を操作してポリマーを相分離させて均一な核の発生を促進させると共に、凝集過程を制御して粒子化していく方法である。この方法は、製造時間が長く、工程が複雑でしかも低濃度の微小カプセル分散液しか得られず、製造の過程で粒子同士の凝集が起こりやすい。また、分散媒として鉱物油や植物油を使用するため、取り出し及び洗浄において困難が伴う、等の問題を有している。
(3)液中乾燥法
液中乾燥法では、芯物質を乳化または分散してなる膜物質の溶液を、溶液が溶解しない媒体中に分散させてエマルジョンを形成した分散液を得る。次に、昇温や減圧により徐々に溶媒を除去して高分子を界面に析出させる方法である。この方法は、分散液の安定性が粒子の出来に大きく影響するため、界面活性剤や高分子を最外相に添加する必要がある。また、溶媒除去速度は分散安定性に影響を与えるので、この過程の温度を制御する必要がある、等の問題を有している。
(4)溶媒抽出法
溶媒抽出法では、まず、高分子と薬剤を溶解した高分子溶液を、高分子に対し不溶性であり、且つ高分子溶液と相溶性の無い第二の溶媒中にホモジナイザーによる攪拌や超音波処理により微小滴化する。この後、高分子溶液と第二の溶媒を相溶させる共通溶媒を添加し、高分子を溶解している溶媒を微小滴から第二の溶媒へ抽出して高分子を析出させて粒子化する方法である。この方法は、操作が煩雑であるだけでなく、溶媒抽出操作時に薬剤が第二の溶媒へ移行してしまい、最終的な高分子材料内に包含される薬剤の量が少なくなるといった問題がある。
(5)スプレードライ法
スプレードライ法は、高分子材料の溶液を、高圧ガスを用いて噴霧し、乾燥室内で乾燥させ、乾燥固形粒子として回収する方法である。この方法は、高圧のガスを用いて噴霧を行うため、噴霧条件を正確に制御することが困難であり、噴霧により形成された粒子の粒度分布が広い。このため、噴霧された原料が固化する前に、噴霧された粒子間での衝突、凝集が起こり、最終的に得られる粒子の中に異形状の粒子が存在し、バラつきが大きくなってしまう、といった問題を有している。
(6)オリフィス法
オリフィス法は芯物質を高分子溶液中に分散させ、この溶液を、オリフィスを通して成型しながら高分子を固化させることによって、マイクロカプセル状に成型する方法である。これらマイクロカプセルを成型する方法としては、アガロースの温度によるゲル化を利用する方法が挙げられる。また、ポリアクリル酸とポリエチレンイミンの反応による電解質膜の調整や、アルギン酸ナトリウムとカルシウムの反応により、アルギン酸カルシウムゲルが出来る反応を利用する方法などが挙げられる。しかし、微粒子を組成的に均質に再現良く製造するには、pHの調整や、各成分の微妙な濃度調整と温度のコントロールなどの複雑な操作が必要となる、等の問題を有している。
また、上記以外の粒子の製造方法も検討されている。
特許文献1には、20℃で水に対する溶解度が10g/水100g以下である有機溶媒中に、水溶性蛋白質の水溶液を乳化させ、この乳化液より水分を留去する水溶性蛋白質の球状粒子の製造方法が開示されている。しかし、この発明では、乳化液から水分を留去するため、長時間の乾燥工程が必要となる、等の問題を有している。
また、均一な粒径を持つ粒子を作製する方法として、インクジェット技術を用いた方法が検討されている。例えば、特許文献2には、ポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物とを水性液状物側と分散媒側に分け、水性液状物側を液滴吐出ノズルから噴出させ、分散媒中に分散させることにより両相を接触させている。そして、両相の界面においてポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物との界面重合膜を形成させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、マイクロカプセルを構成する少なくとも一つの材料の全部又は一部を含む液体を、インクジェット式ヘッドから、被吐出液体に吐出供給する方法が開示されている。
また、均一な粒径を持つ粒子を作製するための乳化工程として、特許文献4に記載された膜乳化法、特許文献5に記載されたマイクロチャンネル乳化法、特許文献6に記載されたマイクロ流路分岐法等の乳化法などが開発されている。これらの乳化法によれば、ばらつきの小さいエマルジョンの製造が可能なため、粒径の揃った粒子を作製する事が出来る。
特開平4−275339号公報 特開2000−5593号公報 特開2001−232178号公報 特許第2733729号公報 特開2003−71261号公報 特開2004−12402号公報
以上のように、これまでに開示されている高分子を含有する粒子の製造方法は、高分子の析出を促進するための物質の添加が必要な場合には、粒子製造後の洗浄・精製などの処理が必要であった。また、高分子溶液を溶媒に混合または乳化するステップと、析出させるステップが分離している場合には、乳化が不安定になりやすく、乳化滴が融合したり、高分子の凝集が起こりやすかった。このため、乳化状態の安定化のために活性剤の添加や攪拌条件の厳密な調整が必要であった。
一方、インクジェット法や、膜乳化法、マイクロチャンネル乳化法、マイクロ流路分岐法により乳化を行う方法は、粒径の揃った粒子を作製することが可能となる。しかしながら、これらの手法は粒子形状を揃えるために従来は攪拌によって乳化または粒化を行っていたプロセスを上記のような手法に置き換えた以外は、従来の粒子製造方法を踏襲しているに過ぎない。このため、上記と同様の課題を内包していた。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、以下の事実を見出した。
すなわち、溶媒として水が自由に混和する(溶解可能な)ものを用いると、水溶液中の水が速やかに溶媒中に拡散して混ざりあい、水溶液中の高分子が乳化状態を経ること無く析出してしまう。この結果、粗大な析出物や不定形な粒子が生じる。
また、(水の質量)/(水+溶媒の総質量)×100で表される、溶媒中に溶解可能な水の量が1質量%未満の場合には、溶媒中で乳化した水溶液の液滴から水が溶媒中にほとんど溶解できない。このため、乳化状態から高分子の析出が起こらず、相分離を起こしたり従来の粒子製造方法と同様の追加工程が必要であった。
これに対して、本発明者は、高分子を含む水溶液を水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満となる溶媒中に投入することにより、以下の過程を経て粒子化が起こることを発見した。すなわち、溶媒中で粒子化した水溶液の液滴が溶媒への投入直後の極めて短時間だけ乳化状態を形成し、続いて速やかに液滴中の水が溶媒中に移動・溶解することにより、分散性、粒子径が均一な高分子を析出できることを見出した。
以上のように、本発明の目的は、高分子を含む水溶液を水の溶解度が所定範囲となる溶媒中に投入することによって粒子を製造可能な、単純で簡便な工程の粒子の製造方法を提供することにある。また、本発明の製造方法を用いることにより、高収率で、粒子径が均一で液中での分散性に優れた粒子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、次のような構成としたことを特徴とする。
1.(1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、前記水溶液を液滴として投入する工程と、
(3)前記溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。
2.(a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように前記水溶液を混合して、前記水溶液と溶媒の混合液中で前記高分子を粒子化、分散させて前記高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。
本発明の粒子の製造方法を用いることで、煩雑な操作を省き、単純な工程で高分子を含有する粒子を作製することが出来る。また、本発明によれば、目的とする高分子、水と溶媒を使用して粒子を製造することが出来る。このため、精製工程が簡略化され、場合によっては不要となり、従来よりも大幅に簡便な工程で、粒子の均一性、液中での分散性に優れた安定した高分子粒子を高収率で製造することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる溶媒に対する水の溶解度は、下記式(1)のように表される。
(溶媒中に溶解可能な水の最大質量(g))/(溶媒中に溶解可能な水の最大質量(g)+溶媒の質量(g))×100(質量%)
−−−−−−−−式(1)
本発明で用いる溶媒に対する水の溶解度は、次の方法によって測定することが出来る。
まず、溶媒と水を等量混合し、所定の温度で24時間攪拌し、その後、その温度で12時間静置して分液させる。次に、溶媒相中の水分量をカールフィッシャー法等を用いて測定し、溶媒中の水の含量を求める。
1.使用材料
以下に、本発明の粒子の製造方法で使用する材料を記載する。
<高分子>
本発明で使用される高分子は、水に溶解可能なものであっても、水に不溶なものであっても、水に部分的に溶解するものであっても良い。また、高分子は天然のものでも合成のものでも特に限定されるものではないが、生体内で用いる場合には生体内で分解される生分解性高分子が好適である。また、生体内で使用する場合には高分子が分解しても毒性を生じない高分子であることが好ましい。
なお、本発明の高分子としては水溶性高分子を使用することが好ましい。水溶性高分子を使用することで、水と混合液(水溶液と溶媒の混合液)中での水溶性高分子の溶解度の差を利用して、混合液中で水溶性高分子を効果的に析出させることができる。
また、水溶性高分子と非水溶性高分子を組み合わせて使用することにより、水溶性高分子と非水溶性高分子を含む粒子を作製することができる。この場合、水溶液として、少なくとも一種類以上の水溶性高分子を含み、且つ、少なくとも一種類以上の非水溶性高分子が分散されている混合溶液を準備することが好ましい。このように粒子が親水性高分子と非親水性高分子の両者を含むことによって、疎水性の薬剤を担持した非親水性高分子を親水性の粒子に内包させて運搬させることが出来る。このため、親水性高分子の良好な細胞親和性を保ちつつ疎水性の薬剤の運搬が可能となる。この非水溶性高分子としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン又はポリ乳酸とグリコール酸との共重合体を用いることが好ましい。また、水溶性高分子が、少なくともゼラチン、又はゼラチン誘導体を含むことが好ましい。
この水溶性高分子の水に対する溶解度は、0.05質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上、70質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、50質量%以下であることが更に好ましい。このような溶解度の水溶性高分子を使用することによって、高い収量で高分子の粒子を得ることができる。また、高分子の水溶液の粘度が高くなりすぎず、溶媒中への水溶液の投入、混合が容易となる。
なお、水に対する高分子の溶解度は下記式(2)のように表される。
(水中に溶解可能な高分子の最大質量(g))/(水の質量(g)+水中に溶解可能な高分子の最大質量(g))×100(質量%)
−−−−−−−−式(2)
本発明で使用される高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記のものを用いることができる。
多糖類、ポリアミノ酸、タンパク質、脂質、水溶性天然ゴム、核酸、などの天然高分子、これらの誘導体;
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニアルコール、ポリアミドアミン、ポリリンゴ酸、ポリ(ω−ヒドロキシアルキル)アクリレート及びメタクリレート、水酸基含有モノマー単位を含むコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸共重合体、これらの誘導体。
これらの高分子は単独又は複数種を組み合わせて用いることが出来る。また、本発明で使用できる高分子の誘導体としては、側鎖にポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドを導入した誘導体が好ましい。これにより、粒子の凝集を抑制することが出来る。また、高分子の誘導体は粒子を作製した後に誘導体化しても良い。
本発明の高分子として用いることが出来る多糖類は、ホモグリカン(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ガラクツロン酸、グルコサミンなどを単糖とする多糖類)、ヘテログリカン(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、グルクロン酸などを構成糖とする多糖類)のいずれであっても良い。
上記のような多糖類またはその誘導体としては、例えば、プルラン、ザンサンゴム、ウェランゴム、ラムザンゴム、サクシノグリカン、デキストラン、グァーゴム、タラゴム、ローカストビーンゴム、ガティゴム、アラビノガラクタンゴム、アラビアゴム、クイスシードガム、サイリュームシードガム、キサンタンゴム、ジェランゴム、タマリンドガム、トラガントゴム、カラヤゴム、エルウィナゴム、スクレログルカン、ガラクトグルカン、グルコマンナン、イヌリン、レバン、キシラン、カラギーナン、ペクチン、デンプン、フコイダン、アルギン酸、寒天、ヒアルロン酸塩、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヘミセルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン、プルラン、カードラン、ジェランガム、リグニン、キトサン、デキストリン、カルボキシアルキルキトサン、水溶性セルロース誘導体などを提示することが出来る。特に、プルランやデキストランは好適に用いることが出来る。
本発明の高分子として用いることが出来るポリアミノ酸は、基本骨格は、アミノ酸が脱水縮合したポリペプチドから成る。アミノ酸成分の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、20種類の必須アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であっても良い。
また、ポリアミノ酸は他の単量体成分を含む共重合体であっても良い。共重合体の単量体成分の例としては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。
また、多価アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等が挙げられる。共重合体である場合は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コポリマーであっても構わない。また、グラフトであっても構わない。
本発明の高分子として用いることが出来るタンパク質は、特に限定されるものではないが、公知のタンパク質、公知のアミノ酸配列を組み合わせた融合タンパク質、あるいは人工的なアミノ酸配列を有するタンパク質であっても良い。
このようなタンパク質の一例としては、フィブロネクチン,ラミニン,ビトロネクチン,フィブリノゲン、フィブリン、コラーゲン,ゼラチン、などの細胞外マトリックス構成タンパク質、セリシン、フィブロイン、ケラチン、アルブミン、カゼインなどが挙げられる。これらの材料は適当な官能基を導入した誘導体として用いることも出来る。特に、ゼラチンおよびその誘導体は、様々な生理活性物質や薬剤などの物質を担持することが出来るため、有用である。
ゼラチンとしては、牛、豚、魚類等を始めとする各種の動物種の皮膚、骨、腱などの身体のあらゆる部位から採取できるコラーゲン、あるいはコラーゲンとして用いられている物質から、アルカリ加水分解、酸加水分解、および酵素分解などの種々の処理によって変性させて得ることが出来る。遺伝子組換え型コラーゲンの変性体であるゼラチンを用いても良い。ゼラチンの性質は、用いる材料及び処理方法により様々であるが、そのいずれの性質を持つゼラチンも本発明における粒子の材料として利用することが出来る。
また、本発明で用いることが出来る高分子としては、水に安定的に分散する高分子(水に不溶の高分子又は水に部分的に溶解する高分子)を用いることが出来る。このような高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ−L−乳酸、ポリD,L−乳酸、ポリグリコール酸、それらのコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキソネン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸−カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸−カプロラクトン)、ポリ無水物、ポリホスファジン、ポリラクチドーコーグリコリド、蝋、ポリスチレン、ポリエステルなどが好適に用いられる。
<高分子以外の成分>
本発明の粒子は、その中に生理活性物質及び標識物質の少なくとも一方の物質を含むことが出来る。
本発明で用いることの出来る生理活性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、抗癌剤、抗生物質、血栓溶解剤、血管新生因子、細胞増殖因子、ホルモン剤、サイトカイン、生理活性を有するポリペプチド、下熱剤、鎮静剤、免疫賦活剤、デキサメタゾンなどの抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、抗腫瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、麻薬拮抗剤、止血剤、抗結核剤、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチンなどの高脂血症治療薬、DNA、RNAなどが挙げられる。
本発明で用いることの出来る抗癌剤の種類は特に限定されるものではないが、テガフール、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、メトトレキサート、マイトマシン、ブレオマイシン、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イリノテカン、シスプラチン、パクリタキセル等を使用できる。また、骨癌、骨腫瘍、骨髄腫、骨肉腫に有効なものとして、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ラニムスチン等を使用でき、この他にもブスルファン、チオテパ等のアルキル化剤、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、フロクスウリジン(FUDR)、UFT等の代謝拮抗剤、ダウノマイシン、アドリアマイシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、ネオカルチノスタチン、メソトレキセート(MTX)等の抗癌性抗生物質、及びビンブラスチン、ビンクリスチン等の植物アルカロイド、クレスチン等の免疫強化剤等が挙げられる。
また、本発明で用いることの出来る標識物質としては、特に限定されるものではないが、染料、蛍光染料、近赤外色素、放射性同位元素で標識された物質、ヨード化合物、バリウム化合物、磁性金属、金属酸化物、気体などが挙げられる。これらにより、蛍光分光画像、近赤外分光画像、シンチグラフィ、陽電子放出断層撮影、核磁気共鳴画像、X線写真、超音波造影などの種々のイメージング手法によって検出することができる。
さらに、本発明の水溶液は、水不溶性物質を含むことができる。本発明で用いられる水不溶性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、磁性体、金属粒子、金属酸化物、疎水性生理活性物質、顔料、疎水性高分子微粒子などが好適に用いられる。これらの水不溶性物質は、自己分散性であっても良いし、分散剤により分散させたものを用いても良い。
本発明の粒子中に、生理活性物質、標識物質及び水不溶性物質からなる群から選択された少なくとも一種の物質を含ませる方法としては、特に限定されるものではない。例えば、予め高分子中に化学的に上記物質をグラフトさせて導入しても良い。また、水溶液中に予め上記物質を溶解、分散させて、上記物質を含んだ粒子を作製しても良い。この場合、例えば、下記第1及び第2の粒子の製造方法の工程(1)、(a)で準備する水溶液中に予めこれらの物質を溶解、分散させておけば良い。そして、次の工程(2)、(b)で、溶媒としてこれらの物質の溶解度が低くなる溶媒を使用することによって、水溶液中に溶解していたこれらの物質が高分子と共に水溶液と溶媒の混合液中に析出するか、分散する。
また、工程(2)、(b)において上記物質を溶媒中に添加しても良い。この場合、水溶液と溶媒の混合液中で、これらの物質と高分子との間で凝集して粒子化することによって生理活性物質、標識物質及び水不溶性物質からなる群から選択された少なくとも一種の物質と、高分子を含む粒子を製造することができる。
更に、粒子を製造した後に、上記物質を担持させる工程を追加しても良い。粒子を製造した後に上記物質を担持させる工程としては、粒子に上記物質を含浸させても良いし、静電相互作用、共有結合、または疎水性相互作用を利用して粒子に結合させても良い。
また、本発明の粒子中には、標識物質として気体を含ませることもできる。標識物質として気体を含ませた粒子は、超音波造影が可能となる。本発明の粒子中に含ませることのできる気体としては、特に限定されるものではないが、生体内においても気体状態が維持されるように沸点が体温以下、好ましくは、10℃以下であれば好ましい。
具体的には、ペルフルオロカーボンのガスを好ましく用いることが出来る。また、これ以外にも例えば、オクタフルオロシクロブタン、オクタフルオロプロパン、ヘキサフルオロエタンなどが挙げられる。また、使用する気体は水に難溶性であるものが好ましく、これにより、例えば生体内に投与した際に、血液などの体液内に溶解することが無く、造影効果の持続時間を長くすることが出来る。
粒子内に気体を含ませる方法は何でも良いが、例えば、前記粒子を減圧乾燥し、ついで減圧状態のチャンバーに該気体を注入することによって、粒子内を該気体で置換することが出来る。
なお、粒子中に生理活性物質、標識物質、水不溶性物質を含有する場合、粒子中の高分子の含量は、0.1質量%以上、99.9質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、99質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、99質量%以下であることが更に好ましい(全て乾燥固形物基準)。また、粒子中の生理活性物質、標識物質及び水不溶性物質の含量は、0.001質量%以上、99質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上、70質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上、50質量%以下であることが更に好ましい(全て乾燥固形物基準。ただし、標識物質としての気体は除く)。
<溶媒>
本発明の製造方法に用いる溶媒は、水が1質量%以上、50質量%未満の溶解度で溶解可能なものであれば、特に限定されるものではない。なお、この溶解度とは、特定の温度における溶解度を表すのではなく、本発明の下記第1及び第2の粒子の製造方法の工程(2)、(b)の溶媒に水溶液を投入又は混合した混合液の温度における、溶媒に対する水の溶解度を表している。
この溶解度は温度に依存するため、本発明の工程(2)、(b)において混合液の温度を調整することによって、溶媒に対する水の溶解度を1質量%以上、50質量%未満内の所望の範囲となるように制御しても良い。このような溶媒としては温度調節の容易さや使用する材料の安定性の観点から、5℃以上、40℃以下の温度で水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満となる溶媒が好ましい。
ここで、水の溶解度が1質量%未満の溶媒は、工程(2)、(b)において水が溶媒中にほとんど溶解しなくなるため、水溶液と溶媒の混合液中で高分子を粒子状に析出させることが困難となる。一方、水の溶解度が50質量%以上となる溶媒は、水が速やかに溶媒中に拡散して混ざりあってしまい乳化状態となることが無い。このため、不定形な粒子の形成や粗大な析出物が生じるため、粒子化が困難となる。
本発明で用いることの出来る、水が1質量%以上、50質量%未満、溶解する溶媒としては、以下のものを挙げることができる。
例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、無水酢酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピオン酸ニトリル、トリエチルアミンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独、または組み合わせて用いることが出来る。
これらの溶媒の中でも、特に水の溶解度が、7.5質量%以上、50質量%未満である溶媒が好ましい。水の溶解度が7.5質量%以上の溶媒であると、溶媒中に投入できる高分子を含有する水溶液の量が多いため、製造収率が高くなる。
水の溶解度が、7.5質量%以上、50質量%未満となる溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、フェノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソ酪酸、吉草酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピオン酸ニトリル、トリエチルアミンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独、または組み合わせて用いることが出来る。
また、本発明の溶媒の沸点としては特に限定されるものではない。粒子製造後の溶媒と水の除去を真空乾燥で行う場合には、沸点が水と近い溶媒を用いることが好ましい。
この溶媒の沸点としては、好ましくは50℃以上、160℃以下、より好ましくは75℃以上、135℃以下が良い。沸点が水よりも高すぎると、混合液中から溶媒の除去を行うこと、特に真空乾燥によって溶媒の除去を行うことが困難となる。一方、沸点が水よりも低すぎると、粒子の製造時や乾燥時に溶媒が水より速く蒸発して混合液中の水の濃度が高くなることとなり、粒子状に析出した高分子が一部、再溶解して、粒子形状が崩れる場合がある。
なお、このような問題が生じることを回避するため、粒子を乾燥させる工程において、溶媒を乾燥工程に好ましい溶媒に置換しても良い。このような沸点が75℃以上、135℃以下の溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、メチルエチルケトン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
また、溶媒中には、あらかじめ水を添加しても良い。添加する水の量は、溶媒に対する水の溶解度以下であれば特に限定されるものではないが、10質量%以下の範囲内で添加しておくことができる。
また、溶媒中には、予め塩を添加することが出来る。塩としては特に限定されるわけではないが、例えば、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウムなどを好適に用いることが出来る。塩を添加することによって、高分子の析出を促進させることが出来る。
上記の種々の高分子及び溶媒の組み合わせとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。
高分子としてゼラチン、デキストラン、プルラン、およびそれらの誘導体、溶媒として1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノールを用いた組み合わせが好ましい。より好ましい組み合わせは、高分子としてゼラチン及びその誘導体、溶媒として1ブタノールまたは2−ブタノールを用いるのが良い。
<高分子を含有する水溶液>
本発明の高分子として水溶性高分子を用いる場合、イオン交換水中に高分子を安定して溶解させるため、種々の緩衝液を含有させることが出来る。
また、高分子を含有する水溶液中には、あらかじめ必要に応じて水溶性溶剤を添加することができる。
水溶性溶剤としては、1種類あたり、水溶液中に好ましくは20質量%以下、より好ましくは5質量%以下となるような範囲で添加するのが良い。水溶性溶剤は水に溶解するものであれば何れであっても良く、例えば、下記のものを使用できる。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2から6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;
グリセリン;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、2,1−ジメチル−2−イミダゾリン。
これらの水溶性溶剤は、1種又は2種以上を適宜、選択して使用できる。
なお、本明細書においては、上記水溶性溶剤のうち水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満となるものについては、本発明の下記第1及び第2の粒子の製造方法の工程(2)又は(b)の「溶媒」に含まれるものとする。このため、水溶性溶剤への水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の時、下記第1の粒子の製造方法の工程(2)において、溶媒に対して水溶液中の水が全て溶解するように、溶媒中に投入する水溶液の量を調節する際の溶媒には、上記水溶性溶剤が含まれる。また、下記第2の粒子の製造方法において、溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように水溶液を混合する際の溶媒には、上記水溶性溶剤が含まれる。
2.粒子の製造方法
本発明の粒子の製造方法(第1及び第2の粒子の製造方法)では、上記「1.使用材料」に記載の材料を使用することができる。以下に、本発明の粒子の製造方法について詳細に説明する。
第1の粒子の製造方法
本発明の第1の粒子の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程。
(2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、水溶液を液滴として投入する工程。
(3)溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程。
ここで、高分子としては上記<高分子>に記載の高分子を用いることができる。また、この水溶液中には高分子以外の成分として、生理活性物質、標識物質、水不溶性物質、磁性体、水溶性溶剤を溶解、分散させておいても良い。この水溶液中で高分子は水中に完全又は部分的に溶解しているか、不溶である。
次に、工程(2)では、溶媒中に水溶液を液滴として投入する。図1は、この状態を表したものである。この時の溶媒に対する水の溶解度は1質量%以上、50質量%未満となっている。このため、溶媒中の水溶液の液滴は、溶媒への投入直後の極めて短時間だけ乳化状態を形成する。この後、投入された水溶液中の水が溶媒中に溶解する。この際、水溶液は液滴として溶媒中に投入されるため、溶媒との接触面積が大きくなり、溶媒中への水の溶解は速やかに起こる。
そして、このように溶媒中への水の溶解が起こると、予め水溶液中に含有されていた高分子は完全に水溶液(水)と溶媒の混合液中に溶解できないため、混合液中に析出(粒子化)する。この際、水溶性高分子を用いた場合には、予め水中に溶解していた高分子が析出するため、析出した高分子の粒子は粒子特性が均一なものになると共に、混合液中の分散性も良好なものとなる。また、水に不溶性の高分子を用いた場合には、水との相互作用により予め水中に均一に分散していた高分子を粒子化させるため、混合液中での分散性に優れた粒子を得ることができる。また、粒子径の分布が狭い、粒子径が均一な粒子を得ることができる。
更に、溶媒に対する水の溶解度、溶媒中への水溶液の添加量、溶媒に対する高分子の溶解度、水溶液中の高分子濃度を調整することによって、工程(2)において析出する粒子特性(粒子径の均一性、粒子の分散性など)を制御することが可能となる。
本発明では、(A)工程(2)において、溶媒中に投入する水溶液の量を、溶媒に対して水溶液中の全ての水が溶解可能となるような量(溶媒に対する水の溶解度以下となる量)に調節することが好ましい。上記(A)の条件を満たすように溶媒中に水溶液を投入することによって、溶媒に溶解できない水が生じない。この結果、予め水溶液中に溶解していた高分子を効果的に混合液中に析出(粒子化)させることができる。
本発明では、(B)工程(2)において、混合液に対して高分子が溶解可能な量を超える量(混合液に対する高分子の溶解度を超える量)となるように、溶媒中に投入する水溶液の量を調節することが好ましい。このようにするためには、工程(1)の水溶液中の高分子濃度や工程(2)での溶媒への水溶液の添加量を調節すれば良い。上記(B)の条件を満たすように溶媒中に水溶液を投入することによって、混合液中に溶解できない高分子が発生する。この結果、予め水溶液中に溶解していた高分子を効果的に混合液中に析出(粒子化)させることができる。
より好ましくは、上記(A)及び(B)の条件を満たすように、工程(2)を行うのが良い。上記(A)及び(B)の条件を満たすように工程(2)を行うことにより、高収率で粒子特性に優れた粒子を製造することができる。
本発明においては、上記のように従来技術では別工程で行われていた液滴の乳化状態の形成、乳化滴内の溶媒除去及び高分子の析出を一度の工程で連続的、且つ速やかに単一溶媒によって行うことができる。また、分散補助剤や、重合開始剤などを用いる必要も無い。
<混合液>
本発明では、高分子を含有する水溶液を溶媒中に投入して、溶媒と水溶液の混合液中で高分子を粒子化、分散させて粒子を製造する。この際、溶媒中に投入する水溶液の量は、溶媒に対して水が溶解度以下となる量であることが好ましい。より好ましくは、溶媒に対する水の溶解度(溶媒に溶解可能な水の最大量)の8割以下となる量であるのが良い。溶媒に対する水の溶解度に近い量の水を溶媒中に投入すると、予め工程(1)において高分子に水和している水が十分、除去されず、高分子の粒子の析出が不完全となり粒子の凝集が起こりやすくなる場合がある。
<投入方法>
本発明では、工程(2)において、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する。この場合、液滴の大きさは特に限定されるものではないが、直径が0.5μm以上、500μm以下の液滴であることが好ましい。液滴の直径が0.5μm未満であると、空気抵抗によって液滴を溶媒中に投入することが困難になる場合がある。一方、液滴の直径が500μmよりも大きい場合には、溶媒中で液滴が他の液滴と融合するといった問題が生じることがある。この場合には、均一な粒子の製造が困難となる。
また、必要ならば、溶媒中に水溶液を液滴として投入後、攪拌操作を行っても良い。この際の攪拌方法としては特に限定されるものではないが、例えば、マグネチックスターラー、断続振盪法、プロペラ型攪拌機、タービン型攪拌機などのミキサーを用いる攪拌法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが挙げられる。本発明では、これらの方法を適宜、組み合わせて使用しても良い。
<液滴付与手段>
本発明の、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する方法としては、小液滴を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、液滴吐出手段を好適に用いることができる。
液滴吐出手段とは、好ましくは1滴あたりの体積が100nl以下の液滴が良く、より好ましくは1nl以下の液滴が吐出可能なものが良い。このような液滴吐出手段としては、マイクロピペット、マイクロディスペンサーや、エネルギー発生素子を用いてノズルから液滴を吐出させる方法である、いわゆるインクジェット法を用いた吐出装置、霧化装置などが挙げられる。液滴吐出手段としては、安価に作製でき小液滴が吐出できる点でインクジェット法を用いた吐出装置を好適に用いることができる。
インクジェット法としては、特に限定されるものではないが、コンティニュアス法、静電誘引インクジェット法、サーマルインクジェット法、ピエゾインクジェット法が挙げられる。さらにインクジェット法の中でも、サーマルインクジェット法とピエゾインクジェット法を好適に用いることができ、サーマルインクジェット法による吐出装置は、吐出口の微細加工が容易で、小液滴を容易に形成することが出来る。また、ピエゾインクジェット法による吐出装置は、圧電素子の変位により、吐出エネルギーを発生させるので、生物活性物質に熱的なストレスを付加することがなく、生物活性物質を安定して吐出することができる。
液滴吐出手段に用いるノズルは、好ましくはノズル径が50μm以下が良く、より好ましくはノズル径が20μm以下であるのが良い。液滴吐出手段を用いる場合には、溶媒は攪拌することなく静置することが好ましい。
<マイクロチャネル乳化法>
また、本発明の、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する手段としては、膜乳化法、マイクロチャネル乳化法、またはマイクロ流路分岐法などを好適に用いることができる。
膜乳化法やマイクロチャネル乳化法とは、多数の細孔を有する膜を溶媒に接触させ、この細孔内に存在する水溶液に加圧することでこの膜内を、水溶液を透過させ、この細孔より水溶液を溶媒中に分散させる方法である。この細孔径分布を均一にすることによって、粒子径の均一な粒子を作成することができる。この細孔の穴面積としては、0.01μm2以上、5000μm2以下が好ましく、0.1μm2以上、2000μm2以下がより好ましい。
膜乳化法やマイクロチャネル乳化法では、水溶液を溶媒中に投入する際に、溶媒にせん断力を加えても良い。このせん断力を加える方法としては、溶媒の攪拌や、水溶液の投入部分に溶媒を一定流量で供給することなどを使用できる。膜乳化法としては、例えば宮崎県工業試験場が開発した多孔質ガラス(SPG)を膜として用いる方法などを好適に用いることが出来る。このSPG多孔質ガラスは細孔のサイズが0.008μm以上、15μm以下程度の範囲内にあり、この範囲内において細孔径は均一で、単分散に近い細孔分布を有する。また、マイクロチャネル乳化法は、マイクロチャネル乳化装置(イーピーテック社製)などを好適に用いることが出来る。
マイクロ流路分岐法としては、一定の速度で第1の微小流路を流れる溶媒に、一定の速度で第2の微小流路を流れる水溶液を合流させることにより、水溶液を溶媒中に放出させる方法である。流路のサイズや流速によって粒子径を容易に制御することができる。
<粒子の回収方法>
上記製造方法により製造した高分子を含有する粒子は、分散液としてそのまま使用しても良いし、水及び溶媒を除去して乾燥粉末として回収しても良い。水及び溶媒を除去する方法は特に限定されるものではない。例えば、遠心分離機によって遠心分離した後、上清を除去しても良いし、熱を与えて蒸発させても良いし、真空下に放置することによって乾燥させても良いし、これらの方法を適宜、組み合わせても良い。
第2の粒子の製造方法
本発明の第2の粒子の製造方法は、以下の工程を有する。
(a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程。
(b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように水溶液を混合して、水溶液と溶媒の混合液中で高分子を粒子化、分散させて高分子を含有する粒子を得る工程。
上記工程(a)は、上記第1の粒子の製造方法の工程(1)と同様に行うことができる。
本発明では、(C)工程(b)において、溶媒中に投入する水溶液の量を、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるような量とする。上記(C)の条件を満たすように溶媒中に水溶液を投入することによって、溶媒に溶解できない余剰の水が生じない。また、この際、溶媒中の水溶液の液滴は、溶媒への投入直後の極めて短時間だけ乳化状態を形成した後、投入された水溶液中の水が溶媒中に溶解する。
そして、このように溶媒中への水の溶解が起こると、予め水溶液中に含有されていた高分子は完全に水溶液(水)と溶媒の混合液中に溶解できないため、混合液中に析出(粒子化)する。
この際、水溶性高分子を用いた場合には、予め溶解していた高分子が析出するため、析出した高分子の粒子は粒子特性が均一なものになると共に、混合液中の分散性も良好なものとなる。また、水に不溶性の高分子を用いた場合には、水中に均一に分散していた高分子を核として更に高分子を析出させることができるため、混合液中での分散性に優れ、粒子径が均一な粒子を得ることができる。
好ましくは、溶媒中に混合する水溶液の量は、溶媒に対する水の溶解度(溶媒に溶解可能な水の最大量)の8割以下となる量であるのが良い。溶媒に対する水の溶解度に近い量の水を溶媒中に投入すると、予め工程(b)において高分子に水和している水が十分、除去されず、高分子の粒子の析出が不完全となり粒子の凝集が起こりやすくなる場合がある。
更に、溶媒に対する水の溶解度、溶媒中への水溶液の添加量、溶媒に対する高分子の溶解度、水溶液中の高分子濃度を調整することによって、工程(b)において析出する粒子特性(粒子径、分散性など)を制御することが可能となる。
また、本発明では、(D)工程(b)において、混合液に対して高分子が溶解可能な量を超える量(混合液に対する高分子の溶解度を超える量)となるように、溶媒中に水溶液を混合することが好ましい。上記(D)の条件を満たすように溶媒中に水溶液を混合することによって、混合液に溶解できない高分子が発生する。この結果、予め水溶液中に溶解していた高分子を効果的に混合液中に析出(粒子化)させることができる。
<混合方法>
本発明の工程(b)では、溶媒と水溶液を混合する。この溶媒と水溶液の混合方法は特に限定されないが、例えば、所定量の溶媒と水溶液を一回、又は数回に分けて混ぜ合わせ、この混合液を公知の攪拌方法を用いて攪拌することにより行っても良い。
この攪拌方法としては特に限定されるものではないが、例えば、マグネチックスターラー、断続振盪法、プロペラ型攪拌機、タービン型攪拌機などのミキサーを用いる攪拌法を挙げることができる。また、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが挙げられる。本発明では、これらの方法を適宜、組み合わせて使用しても良い。
また、水溶液を液滴として溶媒中に混合した後、水溶液と溶媒の混合液を攪拌しても良い。この際の液滴の溶媒中への混合方法及び液滴の条件としては、上記第1の粒子の製造方法と同様に行うことができる。
<粒子の回収方法>
上記第1の粒子の製造方法と同様に、粒子の回収を行うことができる。
また、本発明の粒子の製造方法(第1及び第2の粒子の製造方法)では、一種類以上の高分子を含有する水溶液として少なくとも高分子及び磁性体を含有する水溶液を用いることで、以下に示す磁性粒子を製造することも出来る。
3.粒子
上記第1又は第2の粒子の製造方法を用いることにより、粒子を得ることが出来る。この粒子中には、高分子が含まれている。高分子は、親水性高分子又は非親水性高分子が単独で含まれていても良いし、これらの高分子が組み合わされて含まれていても良い。また、高分子以外にも粒子中には、生理活性物質、標識物質、磁性体及び水不溶性物質からなる群から選択された少なくとも一種の物質を含有していても良い。
このようにして得た本発明の粒子は、液中での分散性や粒子径の均一性に優れている。この粒子の粒径は0.5μm以上、500μm以下であることが好ましい。本発明の粒子は、このような範囲の粒径を有することによって、様々な分野に好適に使用できる。
また、この粒子の粒度分布は、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.00以上、1.50以下が好ましく、1.00以上、1.25以下であることがより好ましい。このような粒度分布の均一な粒子とすることにより、粒子特性を容易に制御することができる。なお、粒度分布の均一な粒子を製造するためには、上記の液滴付与手段や、膜乳化法、マイクロチャネル乳化法、マイクロ流路分岐法などを用いて、大きさの揃った液滴を溶媒に投入することで、容易に作製することが出来る。
また、本発明の粒子の粒子径を測定する方法としては、電子顕微鏡の画像等を用いた画像解析法、動的光散乱法、レーザ回折/散乱式測定法などを使用することができる。特に好ましい測定方法としては、電子顕微鏡の画像による画像解析法があげられる。
<粒子の架橋>
本発明の第1及び第2の粒子の製造方法においては、高分子を含有する粒子を得る工程の実施中か、又はこの工程の後に、粒子を架橋する工程を含んでいても良い。本発明の粒子を特に生体内など水系環境で用いるためには、架橋またはコーティングすることで粒子を溶解させることなく保持できるため、架橋またはコーティングすることが好ましい。架橋の方法は特に限定されるものではないが、化学架橋、電子線架橋、紫外線架橋、γ線架橋、脱水架橋、コーティングなどが好適に用いられる。この場合、上記架橋方法により架橋が可能なものを選択する。また、架橋の度合いは、使用目的に応じた架橋度を選択することが出来る。
化学架橋を行う場合には特に限定されるものではないが、予め工程(2)又は(b)で小液滴を投入する溶媒中に架橋剤を添加しておき、微小液滴を投入しながら架橋を同時に行わせても良い。また、乾燥した粒子を、架橋剤を含んだ適当な溶液中に懸濁して架橋しても良い。
架橋剤としては様々なものを用いることが出来る。水系架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどが用いられる。また、非水系架橋剤としては、例えば、ジイソシアン酸ヘキサメチレンなどが好適に用いられる。
また、電子線架橋、紫外線架橋、γ線架橋、脱水架橋については、それぞれ電子線照射装置、紫外線照射機、γ線照射装置、真空オーブンを用いて行うことが出来る。架橋は、適宜、選択して単独で、又は組み合わせて行うことが出来る。
4.磁性粒子
本発明では、粒子として、磁性体を含有する磁性粒子を製造することができる。この場合、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(1)及び(a)において、水溶液として高分子の他に更に、磁性体を含有する水溶液を準備することが好ましい。また、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(3)及び(b)である高分子を含有する粒子を得る工程において、粒子として少なくとも高分子と磁性体とを含む磁性粒子を得ることが好ましい。
以下に、本発明の磁性粒子を構成する材料を詳細に説明する。
<生分解性高分子>
本発明の磁性粒子中には、高分子として生分解性高分子を含有することができる。この生分解性高分子とは、生体内で分解可能な高分子のことを表す。生分解性高分子としては、このような性質を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、多糖類、ポリアミノ酸、タンパク質、脂質、核酸、水溶性天然ゴムなどの天然高分子のうち生分解性のもの、又は、これらの誘導体を単独、又は複数、組み合わせたものを好適に用いることが出来る。
本発明で使用できる生分解性高分子の誘導体としては、側鎖にポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドを導入した誘導体が好ましい。これらの誘導体では、血中での磁性粒子の凝集を抑制することが出来る。高分子の誘導体は磁性粒子を製造した後に誘導体化しても良い。また、生体で使用する場合には、分解しても毒性を生じない高分子が好ましい。
<磁性体>
本発明の磁性粒子は、磁性体を含有することによって磁性を有している。この磁性体は、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(1)、(a)で準備する水溶液中に予め含有させておくことが好ましい。この磁性体としては、特に限定されるものではないが、例えば、磁性を有する金属や、金属酸化物や、有機磁性体を用いることが出来る。例えば、四酸化三鉄(Fe34)、γ−三酸化二鉄(γ−Fe23)、MnZnフェライト、NiZnフェライト、YFeガーネット、GaFeガーネット、Baフェライト、Srフェライト等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、クロム、ガドリニウムなどの金属、鉄、マンガン、コバルト、ニッケルなどの合金、高結晶性鉄化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ここで、例えば、磁性体上に生体物質を固定する場合、又は磁性体を生体内に投与する場合には、生体に対する適合性の良好なマグネタイト(Fe34)を使用できる。このほか、必要に応じてマグネタイトの金属元素の一部を少なくとも1種類の他の金属元素で置換した各種フェライト組成などが好適に適用可能である。
好ましくは、本発明の磁性粒子は磁性体として酸化鉄を含有するのが良い。本発明の磁性粒子は、酸化鉄を含有することによって高い磁化率を達成することができる。
<磁性粒子>
本発明の磁性粒子としては、下記(A)又は(B)の構成の粒子を挙げることができる。
(A)生分解性高分子及び磁性体を含む微粒子が凝集してなると共に、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する医療用の磁性粒子。
(B)生分解性高分子及び磁性体を含む微粒子が凝集してなると共に、不完全架橋された磁性粒子。
上記(A)又は(B)の磁性粒子の分解は、微粒子の凝集が解けたり、微粒子自体が分解することにより起こる。なお、本明細書では、この「微粒子」には分子状の大きさのものや、分子がある程度、集合した塊状のもの、コロイド状のものなど、様々な大きさのものが含まれる。本発明で使用する微粒子の粒子径はその用途に応じて適宜、選択可能であるが、例えば、粒径が1nm以上500nm未満の微粒子を用いることが好ましい。微粒子がこのような粒径を有することによって、分解後の微粒子を人体内の目的の部位、場所まで効果的に到達させることができる。
上記(A)の磁性粒子は、生分解性高分子及び磁性体を含有し、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する。従来の磁性体では磁性体同士の凝集性が低く、各磁性体が凝集して磁化率の高い磁性粒子となることが困難な場合があった。これに対して、本発明の磁性粒子は、生分解性高分子と磁性体を含有しているため、この生分解性高分子を介して磁性体同士が高い密度で凝集することができる。この結果、本発明の磁性粒子は、従来の微粒子よりも高い磁化率を実現でき、磁場を印加することによって人体内の所定の部位に効率的に誘導することができる。
更に、この磁性粒子は、特定の条件下で分解可能となっている。このため、人体内に投与した磁性粒子を磁力によって上記のように人体内の特定の部位まで移動させた後、この特定の部位内で特定の条件を付与することによって、磁性粒子を分解させることができる。この結果、磁性粒子の内部に含有していた薬剤などの生理活性物質や標識物質を特定の部位内で放出させることができ、他の部位に副作用を生ずることなく、目的の部位に効果的に薬剤などの生理活性物質や標識物質の機能を発現させることができる。
上記(B)の磁性粒子は、生分解性高分子及び磁性体を含有する。従来の磁性体では、例えば、液中では分散性が低く、各磁性体同士を凝集させて磁性体密度が高い磁性粒子とすることが困難であった。この結果、磁化率の高い磁性粒子を得ることが困難な場合があった。これに対して、本発明の磁性粒子は、生分解性高分子と磁性体を含有しておりこの生分解性高分子は凝集作用が大きいため、磁性体同士を高い密度で凝集させることができる。この結果、本発明の磁性粒子は、従来の微粒子よりも高い磁化率を実現でき、磁場を印加することによって所定の場所に効率的に誘導することができる。
更に、この生分解性高分子は、不完全架橋されている。このように不完全架橋をする場合、第1及び第2の粒子の製造方法において、溶媒への水溶液の投入時又は混合時、或いは高分子及び磁性体を含む磁性粒子を得た後に更に磁性粒子を不完全架橋する工程を有することが好ましい。
このように生分解性高分子を不完全架橋すると共に、磁性粒子を構成する材料や不完全架橋の架橋度を制御することによって、磁性粒子が分解する条件を制御することができる。この結果、例えば、人体や製造工程内などに投入した磁性粒子を磁力によって人体内の特定の部位や工程内の特定の部分まで移動させた後、特定の条件を付与することによって、磁性粒子を容易に分解させることができる。更に、磁性粒子中に薬剤やセンサー、トレーサーなどを含有させることによって人体や製造工程内の他の部分に悪影響を及ぼすことなく、目的の場所で薬剤、センサー、トレーサー等の機能をより効果的に発現させることができる。
なお、不完全架橋とは、完全に架橋が行われておらず、磁性粒子が分解性を有していることを表す。より具体的には、下記式(I)で表される架橋度が100%未満であることを表す。
(架橋した官能基)/(架橋が可能な官能基)×100(%)―――――式(I)
なお、この(架橋した官能基)、(架橋が可能な官能基)は架橋反応前後のIRスペクトルを測定することによって測定可能である。
この不完全架橋の架橋度は、0.1%以上、80%以下が好ましく、1%以上、50%以下がより好ましく、5%以上、35%以下が更に好ましく、5%以上、25%以下が特に好ましい。架橋度がこれらの範囲内にあることによって、磁性粒子を所定時間、特定の条件下で効果的に分解させることができる。
また、この不完全架橋の方法としては、特に限定されるものではないが、化学架橋、脱水架橋、電子線架橋、紫外線架橋、γ線架橋及びコーティングからなる群から選択された少なくとも一種の架橋方法が好適に用いられる。これらの架橋方法を用いることにより、容易に架橋度を制御することができる。
化学架橋を行う場合には、特に限定されるものではないが、あらかじめ溶媒中に架橋剤を添加しておき、この溶媒中に生分解性高分子と磁性体を含有する微小液滴を投入しながら、生分解性高分子の架橋を同時に行わせても良い。また、乾燥した磁性粒子を、架橋剤を含んだ適当な溶媒中に懸濁させて架橋してもよい。この際の架橋剤としては様々なものを用いることが出来るが、水系架橋剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどが用いられる。また、非水系架橋剤としては、例えば、ジイソシアン酸ヘキサメチレンなどが好適に用いられる。
また、電子線架橋、紫外線架橋、γ線架橋、脱水架橋については、それぞれ電子線照射装置、紫外線照射機、γ線照射装置、真空オーブンを用いて行うことが出来る。これらの架橋は適宜、選択して単独で、または組み合わせて行うことが出来る。
上記(A)及び(B)の磁性粒子は、直径が0.5μm以上、500μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、100μm以下であることがより好ましい。磁性粒子がこのような直径を有することによって、目的の部位、場所まで効果的に到達させることができる。
また、上記(A)及び(B)の磁性粒子は、超音波の照射、磁場の印加、及び電磁波の照射からなる群から選択される少なくとも一種の外部刺激によって分解可能に構成されていることが好ましい。なお、これらの外部刺激は、単独で、又は複数の方法を組み合わせて使用することが好ましい。
また、上記(A)及び(B)の磁性粒子のその他の構成材料は特に限定されるものではないが、その表面上にポリエチレンオキサイド基又はポリプロピレンオキサイド基を有することが好ましい。このように表面上にポリエチレンオキサイド基又はポリプロピレンオキサイド基を露出させるためには、磁性粒子を製造する際に、予めこれらの基をグラフトした生分解性高分子を用いても良い。また、溶媒中にポリエチレンオキサイド基又はポリプロピレンオキサイド基がグラフトされた高分子誘導体を添加しても良い。
<機能性磁性粒子>
本発明の上記(A)の磁性粒子は、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する。
また、本発明の上記(B)の磁性粒子は、好ましくは生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有するのが良い。
磁性粒子中の磁性体の含量は、0.1質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、80質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上、70質量%以下であることが更に好ましい(全て乾燥固形物基準)。磁性粒子中の生理活性物質の含量は、0.1質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、80質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、70質量%以下であることが更に好ましい(全て乾燥固形物基準)。
磁性粒子中の標識物質の含量は、0.001質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上、70質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上、50質量%以下であることが更に好ましい(全て乾燥固形物基準。ただし、標識物質としての気体は除く)。
5.磁性粒子の使用方法
上記磁性粒子の使用方法では、磁性粒子に磁場を印加することによって磁性粒子との間に磁力を働かせ、この磁力によって磁場印加手段と対応する位置に磁性粒子を固定させる。そして、このように磁場印加手段と対応する位置に磁性粒子を固定させたままで磁場印加手段を移動させることで、磁性粒子を所定の場所に誘導することができる。この磁性粒子は磁化率が高いため、磁場印加手段によって効果的に磁性粒子を固定して目的の場所、部位まで移送させることができる。
この磁場印加手段としては磁石を用いることができ、磁石としては特に限定されるものではないが、電磁石により局部的な磁場勾配を形成させても良い。また、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼、新KS鋼、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などを単独または組み合わせて用いることが出来る。
また、外部刺激を与えて磁性粒子を分解させることが出来る。この外部刺激は特に限定されるものではないが、例えば、収束超音波照射などの超音波、交番磁場などの磁場、または電磁波などを好適に用いることができる。これらの外部刺激は単独で、又は複数種を組み合わせても良い。このように外部刺激を加えることによって、磁性粒子を目的の部位まで移送した後、瞬間的又は極めて短時間に磁性粒子を分解させることができる。また、磁気共鳴映像法を用いることによって、磁性粒子の存在位置を確認することができる。上記磁性粒子の使用方法は、単独で行っても、複数の使用方法を組み合わせて用いても良い。例えば、磁気共鳴映像法を用いて磁性粒子の存在位置を確認すると共に、磁場によって磁性粒子を所定の場所に移送させた後、外部刺激を与えることによって磁性粒子の凝集を解除しても良い。
本発明で製造される粒子、および磁性粒子は、例えば、医療分野では薬剤粒子として使用できる。この薬剤の人体への投与方法としては、注射器での静脈注入による全身への投与や、患部近傍への注射が挙げられる。本発明の粒子を用いることで、薬剤の人体中での拡散による副作用が低減し、薬剤効果の持続性の向上を期待できる。即ち、薬剤を選択的に患部に到達させ患部に留めて、薬剤の放出及び作用時間を制御することができる。特に、抗癌剤は、その由来と作用の如何に関わらず、腫瘍細胞と正常細胞のそれぞれに対して毒性発揮値が近似しているため、副作用も大きく本発明の粒子を用いることでこれらの課題を解決することが可能となる。
また、医薬品分野においては、今まで薬効持続時間が短かった薬物を長時間にわたり効果を発揮できるように改良し得る徐放性製剤としての応用検討がなされている。そこで、本発明の粒子を徐放性製剤として用いることで、薬理効果の持続性はもとより薬物使用量の低減、副作用の軽減、ノンコンプライアンスの改善等の効果を期待できる。
さらに、一定の率で薬物を放出することができ、薬物放出速度が実質的にゼロ次である放出制御製剤として利用できる。このような放出制御製剤としては例えば、経口製剤、注射剤、皮膚貼付剤等に利用できる。このような放出制御製剤は、血流を介して患部に到達させる方法や、近年では薬剤を粒径の揃った微粒子として経肺投与することで治療する方法が注目されており、本発明はこれらに応用できる。また、到達時のつまりを防ぎ薬剤徐放の持続時間を揃えるためにも出来る限り均一な大きさの粒子が求められており、本発明はこれらの課題も解決することができる。
また、本発明の粒子を用いて製造された薬剤を人体内の特定の部位まで誘導する技術として、磁気による誘導技術が挙げられる。ファーマコロジー・セラピューティクス、ケー・ジェイ・ウィダー、エー・イー・セニイェイ、1983年、20巻、377−395ページ(K.J. Widder, A.E. Senyei., Pharmac. Ther. 20 (1983) 377−395)は薬剤に関するものではないが、粒子中にカプセル化された磁性流体により、外部に置かれた磁場を介して所定の物体断面内に粒子を蓄積させる技術が開示されている。この技術のように、磁場を利用することにより粒子の動きを制御することが出来、薬剤へ応用することができる。
磁石を利用して微粒子の動きを制御する技術としては、他にも強磁性体を混入させた磁気感応性ビーズを用いて磁石によってビーズを回収する技術がある。この技術の医療分野への応用方法としては例えば、鉄粉その他強磁性体粉末を混入した磁気感応性ビーズ表面に抗体を固定化させる方法が提案されている。この方法では、磁気感応性イムノビーズを血液中に入れ、血液中の相応抗原と反応させて抗原イムノビーズ上に固定化し、磁石によって磁気感応性イムノビーズを収集することができる。これによって、血液中から抗原を除去したり、骨髄から腫瘍細胞を除去することができる。
磁気感応性ビーズは薬物運搬用にも使用されている。すなわち、ドラッグデリバリーシステム用の治療用粉体として使用するものである。この場合、磁気感応性ビーズを人体など生体の静脈中に注入し、体外より患部箇所に磁石などをあてがい、この磁気的誘導によって患部に誘導することができる。この磁気感応性ビーズの一例としては、高分子ミクロスフェア中にマグネタイトを核物質として封入し、同時に薬物を担持させた医療用粉体を挙げることができる。
また、薬剤を人体内の任意の場所で、任意のタイミングで放出させる方法として、例えば、国際公開第95/07072号パンフレットには有効成分の他に気体を含む有効成分含有ミクロ粒子が開示されている。この粒子は、診断用の超音波の照射により破壊でき、その際、カプセル化された有効成分が放出されるようになっている。
また、微細気泡を含有するマイクロカプセルは、超音波診断または検査のために非常に効果的な超音波リフレクターとなる。そこで、高い造影効果を発揮する超音波造影剤として、生体吸収性高分子を用いて中空性微粒子を使用することができる。さらには、農業分野においては、徐放性機能を有する農薬や肥料が、また、記録材料分野においては各種カプセルインクの応用等が検討されている。本発明はこれらの分野に応用が可能である。
また、生体内に用いられる材料としては、薬剤を保持できること、生体に害を及ぼさないこと、生体内で分解・排出されることが重要である。これらの機能を兼ね備えた材料として、デキストランなどの糖類や、フィブリンやゼラチンなどの生体由来のタンパク質などが用いられる。これらの材料は親水性の材料であり、高い生体適合性を有する。特に、様々な等電点を持った誘導体を用意することの出来るゼラチンは、薬剤との静電的相互作用により幅広い薬剤を担持出来るため、しばしば用いられる。一方、疎水性の材料としては、ポリ乳酸やポリ乳酸とグリコール酸の共重合体などが用いられる。この材料は静電的相互作用による担持が出来ない疎水性の薬剤であっても担持できるため、上記親水性材料とは異なる薬剤の移送に用いることが出来る。
一方、生体内での分解挙動や機械的強度は親水性材料と疎水性材料では特性が異なるため、両者の特性を利用した、複合体の研究が進められている。例えば、Acta Pharmacol Sin. 2006 Jun;27(6):754−759では、薬剤を担持した親水性材料であるゼラチンからなる微粒子を、疎水性材料であるポリ乳酸とグリコール酸の共重合体で被覆した粒子を用いており、生体内での薬剤の放出時間の延長と、薬剤の分解を防ぐ効果を報告している。
また、J Biomed Mater Res A. 2006 Dec 15;79(4):963−973では、親水性材料であるゼラチン、及びエラスチンに、疎水性材料であるポリ乳酸とグリコール酸の共重合体を組み合わせた複合材料を提供している。そして、これらの材料を複合化することによって、架橋処理を行わずに、水中に不溶性で良好な細胞親和性を示すことを報告している。このように、高い生体親和性を持つ親水性材料と、高い機械的強度を持つ疎水性材料の利点を兼ね備えた材料が注目されている。しかし、これらの従来技術では、親水性材料と疎水性材料の複合体からなる粒子を簡便に作製することは困難であった。これに対して、本発明の製造方法によって製造された粒子は、上記の問題を克服することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。なお、特に表示していない限り、「%」とは質量基準を表す。
<高分子の調整>
ゼラチンA:牛骨由来、等電点5.0(新田ゼラチン社製)
ゼラチンB:豚皮由来、等電点9.0(新田ゼラチン社製)
ゼラチンC:コハク化ゼラチン(新田ゼラチン社製)
ゼラチンD:PEG化ゼラチン。
上記ゼラチンDは以下のようにして調整した。
まず、ゼラチンA 10gと、MeO−PEG−NHS(MEC−50HS(商品名)、日本油脂社製)3.5gを、それぞれDMSO中に溶解、混合して室温で1時間、攪拌した。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、PEG化ゼラチンを作製した。
ゼラチンE:エチレンジアミン導入ゼラチン
上記ゼラチンEは以下のようにして調整した。
ゼラチンB 20gをリン酸緩衝液500mlに溶解させた後、40℃に加温した。次に、これにエチレンジアミン(ナカライテスク社製)60mlを投入してpHを5.0に調整した。次に、この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(ナカライテスク社製)を10g投入して24時間、反応を行わせた。次に、透析を3日間、行った後、凍結乾燥を行い、エチレンジアミン導入ゼラチンを作製した。
樹脂A:スチレン−アクリル酸系樹脂(ジョンクリル678(商品名)、ジョンソンポリマー株式会社製、重量平均分子量8500、酸価215KOHmg/g)。
顔料樹脂分散液:
C.I.ピグメントレッド122. 10質量部
グリセリン 6質量部
樹脂A 10質量部
水酸化カリウム 0.5質量部
水 74質量部
上記組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて、1500rpmで5時間、分散した。次いで、イオン交換水で顔料濃度が5質量%になるまで希釈して、顔料樹脂分散液を調製した。
DNA−ゼラチンコンプレックス:
0.2%ゼラチンE(高分子)水溶液と、0.2mg/mlのEGFP発現プラスミドDNA(生理活性物質)水溶液を等量混合し、速やかにピペッティングしてDNA−ゼラチンコンプレックスを作製した。更にこの溶液中に5%ゼラチンE水溶液を添加して、ゼラチンEの最終濃度が1%となるように調整した。
PLGA分散体:
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA:乳酸/グリコール酸モル比=50/50;和光純薬工業製)を、クロロホルム中に1%(w/w)となるように溶解させた。次に、この溶液を1%ポリビニルアルコール(和光純薬工業製)水溶液中に徐々に滴下し、1時間攪拌した後、エバポレータにて溶媒を除去することでPLGA分散体を得た。
PLGA−パクリタキセル分散体:
ジクロロメタン中に、30%ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA:乳酸/グリコール酸モル比=75/25;和光純薬工業製)と、OregonGreen488標識パクリタキセル(インビトロジェン社製)を溶解させた。この際、パクリタキセル/PLGAが、10%(w/w)となるように溶解させた。次に、この溶液を1%ポリビニルアルコール(和光純薬工業製)水溶液(100ml)中に徐々に滴下し、1時間攪拌した後、エバポレータにて溶媒を除去することでPLGA−パクリタキセル分散体を得た。
<粒子の製造>
<実施例1>
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをインクジェットプリンター(Pixus950i(商品名);キヤノン製)のプリントヘッドに充填した。次に、1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を100g、ビーカー内に用意し、ビーカーをプリントヘッドの直下に静置した。次に、プリントヘッドに吐出信号を与えてゼラチン水溶液の液滴を吐出させ、1−ブタノール中に10g、投入してゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。この際、混合液の温度は20℃とした。
さらに、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去し、1−ブタノールを100ml、加えて沈降物を再懸濁した後、再度、500Gで5分間遠心分離した後、上清を除去した。この後、沈降物を減圧乾燥して残留溶媒、水を留去し、乾燥粒子を得た。
上記のゼラチンAの分散液を目視で評価したところ、分散液は相分離することなく、かつ、粗大凝集物を形成することもなかった。また、分散液を24時間放置すると粒子が自然沈降したが、分散液を攪拌することで粒子は容易に再分散され、沈降粒子が強固に凝集することはなかった。
また、得られた乾燥粒子を、電子顕微鏡(S−4800(商品名);HITACHI社製)を用いて撮影し(図2)、粒度分布及び粒子形状を評価した。この際、平均粒子径及び、体積平均粒子径と個数平均粒子径の測定には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー(商品名)、マウンテック社製)を用いた。
この結果、図2に示されるように、粒子形状は真球状で均一であり、平均粒子径が2.7μm、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.17であり、粒度分布が狭い粒子を得ることが出来た。また、粒子の分散液及び乾燥粒子について下記の通り評価した。結果を表1に示す。
<評価>
・「粒子分散」の評価
得られた粒子の分散液を目視で、下記の基準に基づいて評価した。
○:相分離することなく、かつ、粗大凝集物の形成も認められない安定な分散液が得られた。また、自然沈降した粒子は容易に再分散され、粒子が強固に凝集することはなかった。
×:高分子の一部又は全部が凝集して粗大凝集物を形成し、安定な分散液が得られなかった。
−:非水溶液と水性液体が相分離を起こし、析出物が得られなかった。
・「乾燥粒子」の評価
得られた乾燥粒子を、電子顕微鏡(S−4800(商品名);HITACHI社製)を用いて撮影し、下記の基準に基づいて粒度分布及び粒子形状を評価した。なお、この測定には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー(商品名)、マウンテック社製)を用いた。
○:粒子形状は真球状で、かつ、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.25以下となる。
△:粒子形状は真球状であったが、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.25を超える。
×:不均一粒子または粗大凝集塊/析出物ないため評価不可能である。
<実施例2〜32>
表1,2に示す高分子を精製水に溶解して、高分子水溶液(本発明の水溶液)を得た後、この高分子水溶液をインクジェットプリンター(キヤノン製、Pixus950i)のプリントヘッドに充填した。次に、表1、2に示す溶媒を100g、ビーカーに用意してビーカーをプリントヘッドの直下に静置した。次に、プリントヘッドに吐出信号を与えて高分子水溶液の液滴を吐出し、前記溶媒中に投入して混合液を得ると共に、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。なお、この時の混合液の温度は、実施例2、3、5〜7、9〜17、19〜32については20℃、実施例4,8については30℃、実施例18については25℃とした。
さらに、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離をした後、上清を除去した。この後、1−ブタノールを100ml加えて沈降物を再懸濁した後、再度500Gで5分間、遠心分離をした後、上清を除去した。この沈降物を減圧乾燥して残留溶媒を留去して乾燥粒子を得た。また、粒子の分散液及び乾燥粒子について実施例1と同様に評価した。結果を表1、2に示す。
溶解度データは、特記されているもの以外は、20℃におけるデータを示す(溶剤ハンドブック 浅原 照三ほか編 講談社)。
*1: 溶解度不明(ただし、1−ブタノールに対する水の溶解度は20質量%、2−ブタノールに対する水の溶解度は44.1質量%であるため、これらのブタノールを1:1の割合で混合した溶媒の溶解度は、これらの溶解度(20質量%と44.1質量%)の間にあるものと推定される。)
溶解度データは、20℃におけるデータを示す(溶剤ハンドブック 浅原 照三ほか編 講談社)。
<実施例33>
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解させて、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を作製した。次に、1−ブタノール(溶媒)100gを、マグネチックスターラーで撹拌しながら、高分子水溶液を10g、ゆっくりと投入し、10分間撹拌を継続した。そして、この際、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。
次に、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離をした後、上清を除去し、1−ブタノールを100ml、加えて沈降物を再懸濁した。この後、再度、500Gで5分間、遠心分離を行った後、上清を除去して沈降物を得た。この沈殿物を減圧乾燥して残留溶媒を留去し、乾燥粒子を得た。また、得られた乾燥粒子を、電子顕微鏡(S−4800(商品名);HITACHI社製)を用いて撮影した(図3)。粒子の分散液及び乾燥粒子については、実施例2〜20と同様に評価した。結果を表3に示す。
<実施例34〜43>
表3に示した高分子を精製水に溶解して、高分子水溶液を得た(本発明の水溶液)。次に、表3に示した溶媒100gを、マグネチックスターラーで撹拌しながら、高分子水溶液を表3に示した量だけゆっくりと投入し、10分間撹拌を継続した。そして、この際、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。
次に、得られた分散液を500Gで5分間遠心分離をして、上清を除去し、1−ブタノールを100ml加えて沈降物を再懸濁した。この後、再度、500Gで5分間、遠心分離を行った後、上清を除去して沈降物を得た。この沈殿物を減圧乾燥して残留溶媒を留去し、乾燥粒子を得た。粒子の分散液及び乾燥粒子について実施例2〜20と同様に評価した。結果を表3に示す。
<比較例1〜10>
表4に示す高分子、溶媒、粒子化方法を用い、溶媒中に表4に示す量の水溶液を投入した以外は、実施例1又は33と同様の方法で、水溶液と溶媒の混合液と乾燥粒子を得た。これらについて、上記実施例2〜20と同様に評価した。結果を表4に示す。なお、この時の混合液の温度は、比較例1〜5、7,8,10については20℃、比較例6については25℃、比較例9については30℃とした。また、比較例8〜10で粒子を製造する際には、溶媒に対して水溶液中の水が溶解可能な量を超える量となるように、溶媒中に水溶液を混合した。
<実施例44>
実施例9で作製した乾燥粒子を、真空オーブンに入れて160℃で72時間処理することによって、架橋乾燥粒子を得た。得られた架橋乾燥粒子をイオン交換水に入れ、攪拌したところ、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
<実施例45>
実施例1で製造した乾燥粒子を少量のアセトン中に懸濁させ、1%グルタルアルデヒド水溶液中に投入して4℃で24時間攪拌を行った後、500Gで5分間、遠心分離した。この後、上清を除去し、更に0.1Mグリシン水溶液を加えて室温で1時間攪拌した。次に、500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去してイオン交換水を加え攪拌した。この結果、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
<実施例46>
実施例8で作製した乾燥粒子500mgを少量の100mlのアセトン中に分散させ、これにジイソシアン酸ヘキサメチレンを20ml滴下して室温で5時間、架橋反応を行った。この後、これをアセトンで洗浄し精製水で洗浄して凍結乾燥を行うことにより架橋粒子を得た。次に、この架橋粒子を500Gで5分、遠心分離をした後、上清を除去してイオン交換水を加えて攪拌した。この結果、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
<実施例47>
プラスミドDNAをローダミン標識キット(Mirus社製)を用いてプロトコルに従ってローダミン標識をした。次に、実施例44で作製した架橋粒子の水分散体に、ローダミンで標識したルシフェラーゼ遺伝子のプラスミドDNA(生理活性物質)の水溶液を加え、ピペッティングを行って粒子−DNAコンプレックス溶液を作製した。作製した粒子−DNAコンプレックス溶液を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子表面にローダミンの蛍光像が重なり、プラスミドDNAが粒子に担持されていることが確認された。
<実施例48>
200μlの塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF(商品名)、R&D社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.5mg/ml)中に、5μlのNa125I(NEZ033(商品名)、Perkinelmer社製)と、100μlのクロラミンT(ナカライテスク社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.2mg/ml)を加えて2分間、攪拌した。次に、4mg/mlの二亜硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製)を加えて2分間攪拌した後、ゲルクロマトグラフィカラム(PD−10、GEヘルスケア(商品名)、バイオサイエンス社製)を用いて遊離放射ヨードと放射ラベル化bFGFを分離し、放射ラベル化bFGF(標識物質)を作製した。
次に、実施例46で作製した架橋粒子の水分散体に、上記放射ラベル化bFGF水溶液を混合してピペッティングを行い、粒子−bFGF懸濁液を作製した。次に、粒子−bFGF懸濁液を500Gで5分間、遠心分離をして粒子沈降物の放射活性をガンマカウンター(パーキンエルマー製)で測定したところ、沈降粒子は放射活性があり、bFGFが粒子に担持されていることが確認された。
<実施例49>
実施例47で作製した乾燥粒子を真空チャンバー内に入れて真空にした後、真空チャンバー内にパーフルオロプロパン(和光純薬社製)を入れ、粒子内にパーフルオロプロパンを含ませた。この粒子を水溶液中に懸濁させ、超音波造影装置で粒子を撮影したところ、粒子の存在によってコントラストが増強された画像を得ることができた。
表3、4において、溶解度データは、特記されているもの以外は、20℃におけるデータを示す(溶剤ハンドブック 浅原 照三ほか編 講談社)。
<膜乳化法・マイクロチャネル乳化法・マイクロ流路分岐法による方法>
<実施例50>
1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を100g、ビーカー内に用意した。次に、ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをSPGテクノ社製内圧式膜乳化マイクロユニット(SPG細孔径:1.2μm)にセットし、SPG膜を1−ブタノールに浸した。次に、1−ブタノールをマグネチックスターラーで攪拌しながら膜乳化マイクロユニットに圧力をかけて、ゼラチン水溶液を10g、SPG膜を通して1−ブタノール中へ投入してゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。また、この際、混合液の温度は20℃とした。
さらに、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去し、1−ブタノールを100ml、加えて沈降物を再懸濁した後、再度、500Gで5分間遠心分離した後、上清を除去した。この後、沈降物を減圧乾燥して残留溶媒、水を留去し、乾燥粒子を得た。また、粒子の分散液及び乾燥粒子について実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
<実施例51>
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをイーピーテック社製マイクロチャネル乳化装置(スリットサイズ:10μm×100μm)の分散相として4ml/分で流動させ、連続相としての1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を2ml/分で流動させた。これにより、1−ブタノール中へゼラチン水溶液を10g、投入して、ゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。この際、混合液の温度は20℃とした。
さらに、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去し、1−ブタノールを100ml、加えて沈降物を再懸濁した後、再度、500Gで5分間遠心分離した後、上清を除去した。この後、沈降物を減圧乾燥して残留溶媒、水を留去し、乾燥粒子を得た。また、粒子の分散液及び乾燥粒子について実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
<実施例52>
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た。次に、マイクロ流路1(幅:15μm)に、マイクロ流路2(幅:10μm)が直角に結合しているマイクロ流路を用意した。そして、マイクロ流路1に1−ブタノール(溶媒)を導入し、マイクロ流路2にゼラチン水溶液を導入し、マイクロシリンジポンプを用いて、それぞれ流速を0.1m/s、0.01m/sで送液を行い、1−ブタノール中へゼラチン水溶液を10g、投入して、ゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。なお、この際、混合液の温度は20℃とした。
さらに、得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去し、1−ブタノールを100ml、加えて沈降物を再懸濁した後、再度、500Gで5分間遠心分離した後、上清を除去した。この後、沈降物を減圧乾燥して残留溶媒、水を留去し、乾燥粒子を得た。また、粒子の分散液及び乾燥粒子について実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
<実施例53>
実施例27で用いた、水分散ポリエステル溶液に、ゼラチンA(高分子)を溶解させ、0.5%のゼラチン−ポリエステル混合水溶液を得た。そして、実施例1のゼラチン水溶液を、該ゼラチン−ポリエステル混合水溶液に変えた以外は実施例1と同様の工程により、ゼラチンA−ポリエステル複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子をイオン交換水中に懸濁したところ、粒子が溶解することなく、ゼラチン−ポリエステル粒子の水分散体を得ることが出来た。
<実施例54>
実施例53の水分散ポリエステル溶液を、<高分子の調製>で作製したPLGA分散体に置き換えた以外は実施例53と同様の工程により、ゼラチンA−PLGA複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子をイオン交換水中に懸濁したところ、粒子が溶解することなく、ゼラチン−PLGA粒子の水分散体を得ることが出来た。
<実施例55>
実施例53の水分散ポリエステル溶液を、<高分子の調製>で作製したPLGA−パクリタキセル分散体に置き換えた以外は実施例53と同様の工程により、ゼラチンA−PLGA−パクリタキセル複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子とOregonGreenの蛍光像が重なり、粒子内にパクリタキセルが担持されていることが確認された。
なお、実施例1〜55では、粒子を製造する際、溶媒に対して水溶液中の水が全て溶解するような量の水溶液を溶媒中に液滴として投入又は混合した。また、比較例5〜10で粒子を製造する際には、溶媒に対して水溶液中の水が溶解可能な量を超える量となるように、溶媒中に水溶液を混合した。
表1〜5の結果より、本発明の粒子の製造方法を用いて粒子を製造した実施例1〜55の場合では、全て粒子分散が「○」であることが分かる。また、乾燥粒子の評価も「○」又は「△」であることが分かる。
これに対して、本発明の粒子の製造方法を用いなかった比較例1〜10では、粒子分散が「×」又は「−」、乾燥粒子の評価が「×」となっている。この結果より、本発明の製造方法を使用することにより、粒子分散及び乾燥粒子の評価において、良好な結果が得られることが分かる。
<磁性粒子の製造>
<実施例56>
ゼラチンA(高分子;牛骨由来、等電点5.0)4gを精製水に溶解し、塩化鉄(II)四水和物(和光純薬社製)8gと塩化鉄(III)六水和物(和光純薬社製)20gの混合水溶液に加えて、混合した。次に、この混合溶液にアンモニア水を加え、40℃で20分反応させて、酸化鉄(磁性体)を析出させた。その後、脱塩カラム(PD−10、GEヘルスケア(商品名)、バイオサイエンス社製)を用いて脱塩し、酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。この酸化鉄微粒子の平均粒径を動的光散乱装置(DLS−7000(商品名)、大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒径は155nmであった。
酸化鉄微粒子の懸濁液をインクジェットプリンター(キヤノン製、Pixus950i(商品名))のプリントヘッドに充填した。次に、2−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度:44.1質量%)を100g、ビーカーに用意し、ビーカーをプリントヘッドの直下に静置した。
次に、プリントヘッドに吐出信号を与えて酸化鉄微粒子の懸濁液の液滴を吐出させて2−ブタノール中に10g投入し、この混合液中で高分子及び磁性体(酸化鉄)を粒子化させることにより酸化鉄微粒子が凝集した磁性粒子を得た。また、この磁性粒子が分散した分散液を得た。このようにして得られた分散液を500Gで5分間、遠心分離をした後、上清を除去して沈降物を得た。
次に、この沈殿物を減圧乾燥して残留溶媒を留去して乾燥磁性粒子を得た。この乾燥磁性粒子を真空オーブン(エスペック社製)に入れ、160℃で12時間、処理して不完全架橋を行った。
この乾燥磁性粒子を、電子顕微鏡(S−4800(商品名)、HITACHI社製)を用いて撮影し(図4)、粒度分布及び粒子形状を評価した。なお、平均粒子径及び、体積平均粒子径と個数平均粒子径の解析には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック製)を用いた。粒子形状は真球状で、平均粒子径が2.4μm、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.11であり、粒度分布が狭い磁性粒子を得ることが出来た。
<実施例57>
ゼラチンB(高分子;豚皮由来、等電点9.0)20gを、リン酸緩衝液500ml中に溶解させて40℃に加温した。次に、この溶液中にエチレンジアミン(ナカライテスク社製)60mlを投入し、pHを5.0に調整した。次に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(ナカライテスク社製)を10g投入し、24時間、反応を行った。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、エチレンジアミン導入ゼラチン(生分解性高分子)を作製した。
次に、実施例56のゼラチンを上記エチレンジアミン導入ゼラチンに置き換えた以外は、実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製し、さらにこれを用いて実施例56と同じ方法で、磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。この乾燥磁性粒子を真空オーブン(エスペック社製)に入れ、160℃で12時間、処理して不完全架橋を行い、磁性粒子を得た。
<実施例58>
ゼラチンA(高分子;牛骨由来、等電点5.0)10gと、MeO−PEG−NHS(MEC−50HS,日本油脂製)3.5gと、をそれぞれDMSO中に溶解させ、混合して室温で1時間、攪拌した。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、PEG化ゼラチン(生分解性高分子)を作製した。
次に、実施例56のゼラチンを上記PEG化ゼラチンに置き換えた以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製し、更にこれを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。この乾燥磁性粒子を真空オーブン(エスペック社製)に入れ、160℃で12時間、処理して不完全架橋を行い、磁性粒子を得た。
<実施例59>
実施例56のゼラチンの懸濁液を、実施例56及び実施例58で作製した酸化鉄微粒子の懸濁液を等量、混合したもの(生分解性高分子)で置き換えた以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。
この実施例59で作製した乾燥磁性粒子500mgを100mlのアセトン中に分散させ、ジイソシアン酸ヘキサメチレンを5ml滴下し、室温で15分、反応を行った。この後、反応生成物をアセトンで洗浄し、更に精製水で洗浄して凍結乾燥を行い、不完全架橋を行い、磁性粒子を得た。
<不完全架橋の評価>
実施例56〜59で作製した不完全架橋を行った粒子を水中に懸濁させ、懸濁液に超音波発生装置(UR−20P(商品名)、トミー精工社製)のプローブを入れ、5分間、超音波処理(外部刺激)を行った。次に、超音波処理を行う前の粒子懸濁液と、超音波処理済み懸濁液と、をそれぞれ透明ガラス瓶に入れ、フェライト磁石を容器に密着させて、分散液を15分静置した後、粒子の状態を目視で確認した。
この結果、超音波処理を行う前の懸濁液は、フェライト磁石が密着した側面に粒子が集積することが確認された。また、フェライト磁石が密着した側面に集積した部分を含む懸濁液を位相差顕微鏡で観察したところ、多数の粒子が観察された。一方、超音波処理済の懸濁液は、フェライト磁石に対する反応は見られなかった。さらに、超音波処理済の懸濁液を位相差型顕微鏡で観察したところ、粒子は確認されなかった。この結果により、超音波処理(外部刺激)によって磁性粒子が分解していることが確認された。
<薬剤徐放の確認>
<実施例60>
200μlの塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF(商品名)、R&D社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.5mg/ml)に、5μlのNa125I(NEZ033(商品名)、Perkinelmer社製)と、100μlのクロラミンT(ナカライテスク社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.2mg/ml)と、を加えて2分間、攪拌した。次に、この溶液に4mg/mlの二亜硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製)を加えて2分間、攪拌した後、ゲルクロマトグラフィカラム(PD−10(商品名)、GEヘルスケア バイオサイエンス社製)を用いて遊離放射ヨードと放射ラベル化bFGFを分離し、放射ラベル化bFGF(標識物質)を作製した。
次に、実施例56で作製した不完全架橋した磁性粒子の水分散体に、上記放射ラベル化bFGF水溶液を混合してピペッティングを行い、磁性粒子−bFGF懸濁液を作製した。次に、磁性粒子−bFGF懸濁液を500Gで5分間、遠心分離を行い、粒子沈降物の放射活性をガンマカウンター(パーキンエルマー社製)で測定したところ、沈降物に放射活性があり、bFGFが粒子に担持されていることが確認された。
さらに、磁性粒子−bFGF懸濁液に、超音波発生装置(UR−20P(商品名)、トミー精工社製)のプローブを入れ、5分間、超音波処理を行った。次に、懸濁液を透明ガラス瓶に入れ、フェライト磁石を容器に密着させて15分静置した後、粒子の状態を目視で確認したが、懸濁液に特に変化は見られなかった。この結果により、超音波処理(外部刺激)によって磁性粒子が分解していることが確認された。
また、超音波処理をしていない懸濁液と、超音波処理を行った懸濁液それぞれ500Gで5分間、遠心分離をした上澄み液の放射活性を比較したところ、超音波処理を行った懸濁液の上澄み液の放射活性が顕著に高かった。
<実施例61>
EGFP発現プラスミドDNAを、ローダミン標識キット(Mirus社製)を用いてプロトコルに従ってローダミン標識をした。次に、実施例57で作製した不完全架橋した磁性粒子の水分散体に、ローダミンで標識したEGFP発現プラスミドDNA(生理活性物質)の水溶液を加え、ピペッティングを行って磁性粒子−DNAコンプレックス懸濁液を作製した。このように作製した磁性粒子−DNAコンプレックス懸濁液を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子表面にローダミンの蛍光像が重なり、プラスミドDNAが粒子に担持されていることが確認された。
また、磁性粒子−DNAコンプレックス溶液に、超音波発生装置(UR−20P(商品名)、トミー精工社製)のプローブを入れ、5分間、超音波処理を行った。次いで、懸濁液を透明ガラス瓶に入れ、フェライト磁石を容器に密着させて15分静置した後、粒子の状態を目視で確認したところ、懸濁液は特に変化が見られなかった。この結果により、超音波処理(外部刺激)によって磁性粒子が分解していることが確認された。
また、超音波処理をしていない懸濁液と、超音波処理を行った懸濁液それぞれ500Gで5分間遠心した上澄み液の蛍光強度を、蛍光マイクロプレートリーダー(GeminiEM;なお、平均粒子径、体積平均粒子径、及び個数平均粒子径の解析には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック製)を用いた。、日本モレキュラーデバイス社製)を用いて比較したところ、超音波処理を行った懸濁液の上澄み液の蛍光強度が顕著に高かった。
<実施例62>
シスプラチン(生理活性物質;日本化薬社製)を超音波ホモジナイザー(Ultrasonic generator MODEL US150(商品名), Nisei社製)を用いて2mg/mlのシスプラチン水溶液を作製した。次に、実施例56で作製した磁性粒子を水中に懸濁させ、シスプラチン水溶液と混合して、磁性粒子−シスプラチンを含んだ磁性粒子の懸濁液を作製した。
作製した懸濁液に超音波発生装置(UR−20P(商品名)、トミー精工社製)のプローブを入れ、5分間超音波処理を行った。次に、超音波処理を行った懸濁液を500Gで5分間、遠心分離をした後、上澄み液を原子吸光装置(Hitachi Model Z−8000(商品名),日立製作所社製)を用いて測定したところ、上澄み液中にプラチナが検出され、シスプラチンが放出されていることが確認された。
<実施例63>
実施例56のゼラチンをプルラン(生分解性高分子;和光純薬社製)に置き換え、不完全架橋を行わなかった以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製し、更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。
<実施例64>
実施例56のゼラチンをデキストラン(生分解性高分子;和光純薬社製)に置き換え、不完全架橋を行わなかった以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。電子顕微鏡(HITACHI社製、S−4800(商品名))を用いて撮影したところ、粒子形状は真球状の良好な磁性粒子を得ることが出来た。
本発明の製造方法における粒子化の過程を示す模式図である。なお、図1の水溶液中の高分子は、溶解状態または分散状態である。 本発明の実施例1で製造したゼラチン粒子の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例33で製造したゼラチン粒子の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例56で作製した磁性粒子の電子顕微鏡写真である。

Claims (21)

  1. (1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
    (2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、前記水溶液を液滴として投入する工程と、
    (3)前記溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程と、
    を有することを特徴とする粒子の製造方法。
  2. 前記工程(2)において、
    前記水溶液の液滴の直径が、0.5μm以上、500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。
  3. 前記工程(2)において、
    前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、液体に吐出エネルギーを付与することで吐出口から液滴を吐出させる手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  4. 前記工程(2)において、
    前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、穴面積が0.01μm2以上、5000μm2以下の細孔を有する膜を前記溶媒に接触させ、前記細孔内に存在する水溶液に加圧することで細孔より水溶液を前記溶媒中に放出する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  5. 前記工程(2)において、
    前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、一定の速度で第1の微小流路を流れる前記溶媒に、一定の速度で第2の微小流路を流れる前記水溶液を合流させることにより、前記水溶液を前記溶媒中に放出する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  6. 前記工程(2)において、
    前記溶媒に対して水溶液中の水が全て溶解するように、前記溶媒中に投入する水溶液の量を調節することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  7. (a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
    (b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように前記水溶液を混合して、前記水溶液と溶媒の混合液中で前記高分子を粒子化、分散させて前記高分子を含有する粒子を得る工程と、
    を有することを特徴とする粒子の製造方法。
  8. 前記工程(b)は、
    前記溶媒中に前記水溶液を投入する工程と、
    前記水溶液と溶媒の混合液を攪拌する工程と、
    を有することを特徴とする請求項7に記載の粒子の製造方法。
  9. 前記工程(b)において、
    前記混合液に対して高分子が溶解可能な量を超える量となるように、前記溶媒と混合する水溶液の量を調節することを特徴とする請求項7又は8に記載の粒子の製造方法。
  10. 前記溶媒は、水の溶解度が7.5質量%以上、50質量%未満の溶媒であることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  11. 前記高分子を含有する粒子を得る工程の後、
    更に、前記溶媒、水、粒子の混合液から水及び溶媒を除去する工程を有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  12. 前記高分子を含有する粒子を得る工程の実施中か、又はこの工程の後に、
    更に前記高分子を架橋する工程を有することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  13. 前記高分子が、少なくとも一種類以上の水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  14. 前記水溶液を準備する工程において、
    前記水溶液として、少なくとも一種類以上の水溶性高分子を含み、且つ、少なくとも一種類以上の非水溶性高分子が分散されている混合溶液を準備し、
    前記高分子を含有する粒子を得る工程において、
    前記水溶性高分子と非水溶性高分子とを含む粒子を粒子化、分散させて粒子を得ることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  15. 前記非水溶性高分子が、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン又はポリ乳酸とグリコール酸との共重合体であることを特徴とする請求項14に記載の粒子の製造方法。
  16. 前記水溶性高分子が、少なくともゼラチン、又はゼラチン誘導体を含むことを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  17. 前記高分子が生分解性高分子であることを特徴とする、請求項13から16の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  18. 前記水溶液として、更に、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する水溶液を準備するか、又は
    前記溶媒として、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する溶媒を使用することにより、
    前記高分子を含有する粒子を得る工程において、前記高分子と、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質とを含む粒子を得ることを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  19. 前記水溶液として更に磁性体を含有する水溶液を準備することにより、前記高分子を含有する粒子を得る工程において、前記粒子として少なくとも前記高分子と磁性体とを含む磁性粒子を得ることを特徴とする請求項13から18の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
  20. 前記溶媒への水溶液の投入時又は混合時、或いは、前記高分子及び磁性体を含む磁性粒子を得た後に、
    更に前記磁性粒子を不完全架橋する工程を有することを特徴とする請求項19に記載の粒子の製造方法。
  21. 前記溶媒として、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、フェノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソ酪酸、吉草酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピオン酸ニトリル、及びトリエチルアミンからなる群から選択された少なくとも一種の物質を含むことを特徴とする請求項1から20の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
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