JP5350620B2 - 粒子の製造方法、及び粒子 - Google Patents
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これら高分子の粒子の製造方法としては、高分子を液中あるいは気体中で固化して得る方法がある。この方法としては例えば、(1)界面重合法、(2)相分離法、(3)液中乾燥法、(4)溶媒抽出法、(5)スプレードライ法、(6)オリフィス法などがある。以下、これらの方法を説明する。
重合反応を利用した界面重合法は、カプセル化物の壁膜がモノマーの重合反応を伴って形成されるカプセル化法である。この方法は、2つの互いに交じり合わない溶液の分散相の界面で重合反応が起こることにより、高分子膜が得られる現象を利用する方法である。しかし、この方法は、モノマーの組合せの選択に関して取扱い上の制約を受けることや、粒子形成後に未反応モノマーを除去するなどの精製工程が必要となる、等の問題を有している。
相分離法は、高分子を溶媒に溶解させた状態で、高分子を沈殿させる溶媒を添加したり、不溶になるように温度を操作してポリマーを相分離させて均一な核の発生を促進させると共に、凝集過程を制御して粒子化していく方法である。この方法は、製造時間が長く、工程が複雑でしかも低濃度の微小カプセル分散液しか得られず、製造の過程で粒子同士の凝集が起こりやすい。また、分散媒として鉱物油や植物油を使用するため、取り出し及び洗浄において困難が伴う、等の問題を有している。
液中乾燥法では、芯物質を乳化または分散してなる膜物質の溶液を、溶液が溶解しない媒体中に分散させてエマルジョンを形成した分散液を得る。次に、昇温や減圧により徐々に溶媒を除去して高分子を界面に析出させる方法である。この方法は、分散液の安定性が粒子の出来に大きく影響するため、界面活性剤や高分子を最外相に添加する必要がある。また、溶媒除去速度は分散安定性に影響を与えるので、この過程の温度を制御する必要がある、等の問題を有している。
溶媒抽出法では、まず、高分子と薬剤を溶解した高分子溶液を、高分子に対し不溶性であり、且つ高分子溶液と相溶性の無い第二の溶媒中にホモジナイザーによる攪拌や超音波処理により微小滴化する。この後、高分子溶液と第二の溶媒を相溶させる共通溶媒を添加し、高分子を溶解している溶媒を微小滴から第二の溶媒へ抽出して高分子を析出させて粒子化する方法である。この方法は、操作が煩雑であるだけでなく、溶媒抽出操作時に薬剤が第二の溶媒へ移行してしまい、最終的な高分子材料内に包含される薬剤の量が少なくなるといった問題がある。
スプレードライ法は、高分子材料の溶液を、高圧ガスを用いて噴霧し、乾燥室内で乾燥させ、乾燥固形粒子として回収する方法である。この方法は、高圧のガスを用いて噴霧を行うため、噴霧条件を正確に制御することが困難であり、噴霧により形成された粒子の粒度分布が広い。このため、噴霧された原料が固化する前に、噴霧された粒子間での衝突、凝集が起こり、最終的に得られる粒子の中に異形状の粒子が存在し、バラつきが大きくなってしまう、といった問題を有している。
オリフィス法は芯物質を高分子溶液中に分散させ、この溶液を、オリフィスを通して成型しながら高分子を固化させることによって、マイクロカプセル状に成型する方法である。これらマイクロカプセルを成型する方法としては、アガロースの温度によるゲル化を利用する方法が挙げられる。また、ポリアクリル酸とポリエチレンイミンの反応による電解質膜の調整や、アルギン酸ナトリウムとカルシウムの反応により、アルギン酸カルシウムゲルが出来る反応を利用する方法などが挙げられる。しかし、微粒子を組成的に均質に再現良く製造するには、pHの調整や、各成分の微妙な濃度調整と温度のコントロールなどの複雑な操作が必要となる、等の問題を有している。
特許文献1には、20℃で水に対する溶解度が10g/水100g以下である有機溶媒中に、水溶性蛋白質の水溶液を乳化させ、この乳化液より水分を留去する水溶性蛋白質の球状粒子の製造方法が開示されている。しかし、この発明では、乳化液から水分を留去するため、長時間の乾燥工程が必要となる、等の問題を有している。
すなわち、溶媒として水が自由に混和する(溶解可能な)ものを用いると、水溶液中の水が速やかに溶媒中に拡散して混ざりあい、水溶液中の高分子が乳化状態を経ること無く析出してしまう。この結果、粗大な析出物や不定形な粒子が生じる。
1.(1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、前記水溶液を液滴として投入する工程と、
(3)前記溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。
2.(a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように前記水溶液を混合して、前記水溶液と溶媒の混合液中で前記高分子を粒子化、分散させて前記高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。
本発明で用いる溶媒に対する水の溶解度は、下記式(1)のように表される。
(溶媒中に溶解可能な水の最大質量(g))/(溶媒中に溶解可能な水の最大質量(g)+溶媒の質量(g))×100(質量%)
−−−−−−−−式(1)
本発明で用いる溶媒に対する水の溶解度は、次の方法によって測定することが出来る。
まず、溶媒と水を等量混合し、所定の温度で24時間攪拌し、その後、その温度で12時間静置して分液させる。次に、溶媒相中の水分量をカールフィッシャー法等を用いて測定し、溶媒中の水の含量を求める。
以下に、本発明の粒子の製造方法で使用する材料を記載する。
<高分子>
本発明で使用される高分子は、水に溶解可能なものであっても、水に不溶なものであっても、水に部分的に溶解するものであっても良い。また、高分子は天然のものでも合成のものでも特に限定されるものではないが、生体内で用いる場合には生体内で分解される生分解性高分子が好適である。また、生体内で使用する場合には高分子が分解しても毒性を生じない高分子であることが好ましい。
(水中に溶解可能な高分子の最大質量(g))/(水の質量(g)+水中に溶解可能な高分子の最大質量(g))×100(質量%)
−−−−−−−−式(2)
本発明で使用される高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記のものを用いることができる。
多糖類、ポリアミノ酸、タンパク質、脂質、水溶性天然ゴム、核酸、などの天然高分子、これらの誘導体;
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニアルコール、ポリアミドアミン、ポリリンゴ酸、ポリ(ω−ヒドロキシアルキル)アクリレート及びメタクリレート、水酸基含有モノマー単位を含むコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸共重合体、これらの誘導体。
本発明の粒子は、その中に生理活性物質及び標識物質の少なくとも一方の物質を含むことが出来る。
本発明で用いることの出来る生理活性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、抗癌剤、抗生物質、血栓溶解剤、血管新生因子、細胞増殖因子、ホルモン剤、サイトカイン、生理活性を有するポリペプチド、下熱剤、鎮静剤、免疫賦活剤、デキサメタゾンなどの抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、抗腫瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、麻薬拮抗剤、止血剤、抗結核剤、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチンなどの高脂血症治療薬、DNA、RNAなどが挙げられる。
本発明の製造方法に用いる溶媒は、水が1質量%以上、50質量%未満の溶解度で溶解可能なものであれば、特に限定されるものではない。なお、この溶解度とは、特定の温度における溶解度を表すのではなく、本発明の下記第1及び第2の粒子の製造方法の工程(2)、(b)の溶媒に水溶液を投入又は混合した混合液の温度における、溶媒に対する水の溶解度を表している。
例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、無水酢酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピオン酸ニトリル、トリエチルアミンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独、または組み合わせて用いることが出来る。
高分子としてゼラチン、デキストラン、プルラン、およびそれらの誘導体、溶媒として1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノールを用いた組み合わせが好ましい。より好ましい組み合わせは、高分子としてゼラチン及びその誘導体、溶媒として1ブタノールまたは2−ブタノールを用いるのが良い。
本発明の高分子として水溶性高分子を用いる場合、イオン交換水中に高分子を安定して溶解させるため、種々の緩衝液を含有させることが出来る。
また、高分子を含有する水溶液中には、あらかじめ必要に応じて水溶性溶剤を添加することができる。
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2から6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;
グリセリン;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、2,1−ジメチル−2−イミダゾリン。
これらの水溶性溶剤は、1種又は2種以上を適宜、選択して使用できる。
本発明の粒子の製造方法(第1及び第2の粒子の製造方法)では、上記「1.使用材料」に記載の材料を使用することができる。以下に、本発明の粒子の製造方法について詳細に説明する。
本発明の第1の粒子の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程。
(2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、水溶液を液滴として投入する工程。
(3)溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程。
ここで、高分子としては上記<高分子>に記載の高分子を用いることができる。また、この水溶液中には高分子以外の成分として、生理活性物質、標識物質、水不溶性物質、磁性体、水溶性溶剤を溶解、分散させておいても良い。この水溶液中で高分子は水中に完全又は部分的に溶解しているか、不溶である。
本発明では、高分子を含有する水溶液を溶媒中に投入して、溶媒と水溶液の混合液中で高分子を粒子化、分散させて粒子を製造する。この際、溶媒中に投入する水溶液の量は、溶媒に対して水が溶解度以下となる量であることが好ましい。より好ましくは、溶媒に対する水の溶解度(溶媒に溶解可能な水の最大量)の8割以下となる量であるのが良い。溶媒に対する水の溶解度に近い量の水を溶媒中に投入すると、予め工程(1)において高分子に水和している水が十分、除去されず、高分子の粒子の析出が不完全となり粒子の凝集が起こりやすくなる場合がある。
本発明では、工程(2)において、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する。この場合、液滴の大きさは特に限定されるものではないが、直径が0.5μm以上、500μm以下の液滴であることが好ましい。液滴の直径が0.5μm未満であると、空気抵抗によって液滴を溶媒中に投入することが困難になる場合がある。一方、液滴の直径が500μmよりも大きい場合には、溶媒中で液滴が他の液滴と融合するといった問題が生じることがある。この場合には、均一な粒子の製造が困難となる。
本発明の、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する方法としては、小液滴を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、液滴吐出手段を好適に用いることができる。
また、本発明の、高分子を含む水溶液を液滴として溶媒中に投入する手段としては、膜乳化法、マイクロチャネル乳化法、またはマイクロ流路分岐法などを好適に用いることができる。
上記製造方法により製造した高分子を含有する粒子は、分散液としてそのまま使用しても良いし、水及び溶媒を除去して乾燥粉末として回収しても良い。水及び溶媒を除去する方法は特に限定されるものではない。例えば、遠心分離機によって遠心分離した後、上清を除去しても良いし、熱を与えて蒸発させても良いし、真空下に放置することによって乾燥させても良いし、これらの方法を適宜、組み合わせても良い。
本発明の第2の粒子の製造方法は、以下の工程を有する。
(a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程。
(b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように水溶液を混合して、水溶液と溶媒の混合液中で高分子を粒子化、分散させて高分子を含有する粒子を得る工程。
本発明では、(C)工程(b)において、溶媒中に投入する水溶液の量を、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるような量とする。上記(C)の条件を満たすように溶媒中に水溶液を投入することによって、溶媒に溶解できない余剰の水が生じない。また、この際、溶媒中の水溶液の液滴は、溶媒への投入直後の極めて短時間だけ乳化状態を形成した後、投入された水溶液中の水が溶媒中に溶解する。
本発明の工程(b)では、溶媒と水溶液を混合する。この溶媒と水溶液の混合方法は特に限定されないが、例えば、所定量の溶媒と水溶液を一回、又は数回に分けて混ぜ合わせ、この混合液を公知の攪拌方法を用いて攪拌することにより行っても良い。
上記第1の粒子の製造方法と同様に、粒子の回収を行うことができる。
上記第1又は第2の粒子の製造方法を用いることにより、粒子を得ることが出来る。この粒子中には、高分子が含まれている。高分子は、親水性高分子又は非親水性高分子が単独で含まれていても良いし、これらの高分子が組み合わされて含まれていても良い。また、高分子以外にも粒子中には、生理活性物質、標識物質、磁性体及び水不溶性物質からなる群から選択された少なくとも一種の物質を含有していても良い。
本発明の第1及び第2の粒子の製造方法においては、高分子を含有する粒子を得る工程の実施中か、又はこの工程の後に、粒子を架橋する工程を含んでいても良い。本発明の粒子を特に生体内など水系環境で用いるためには、架橋またはコーティングすることで粒子を溶解させることなく保持できるため、架橋またはコーティングすることが好ましい。架橋の方法は特に限定されるものではないが、化学架橋、電子線架橋、紫外線架橋、γ線架橋、脱水架橋、コーティングなどが好適に用いられる。この場合、上記架橋方法により架橋が可能なものを選択する。また、架橋の度合いは、使用目的に応じた架橋度を選択することが出来る。
本発明では、粒子として、磁性体を含有する磁性粒子を製造することができる。この場合、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(1)及び(a)において、水溶液として高分子の他に更に、磁性体を含有する水溶液を準備することが好ましい。また、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(3)及び(b)である高分子を含有する粒子を得る工程において、粒子として少なくとも高分子と磁性体とを含む磁性粒子を得ることが好ましい。
以下に、本発明の磁性粒子を構成する材料を詳細に説明する。
本発明の磁性粒子中には、高分子として生分解性高分子を含有することができる。この生分解性高分子とは、生体内で分解可能な高分子のことを表す。生分解性高分子としては、このような性質を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、多糖類、ポリアミノ酸、タンパク質、脂質、核酸、水溶性天然ゴムなどの天然高分子のうち生分解性のもの、又は、これらの誘導体を単独、又は複数、組み合わせたものを好適に用いることが出来る。
本発明の磁性粒子は、磁性体を含有することによって磁性を有している。この磁性体は、第1及び第2の粒子の製造方法の工程(1)、(a)で準備する水溶液中に予め含有させておくことが好ましい。この磁性体としては、特に限定されるものではないが、例えば、磁性を有する金属や、金属酸化物や、有機磁性体を用いることが出来る。例えば、四酸化三鉄(Fe3O4)、γ−三酸化二鉄(γ−Fe2O3)、MnZnフェライト、NiZnフェライト、YFeガーネット、GaFeガーネット、Baフェライト、Srフェライト等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、クロム、ガドリニウムなどの金属、鉄、マンガン、コバルト、ニッケルなどの合金、高結晶性鉄化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の磁性粒子としては、下記(A)又は(B)の構成の粒子を挙げることができる。
(A)生分解性高分子及び磁性体を含む微粒子が凝集してなると共に、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する医療用の磁性粒子。
(B)生分解性高分子及び磁性体を含む微粒子が凝集してなると共に、不完全架橋された磁性粒子。
(架橋した官能基)/(架橋が可能な官能基)×100(%)―――――式(I)
なお、この(架橋した官能基)、(架橋が可能な官能基)は架橋反応前後のIRスペクトルを測定することによって測定可能である。
本発明の上記(A)の磁性粒子は、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する。
また、本発明の上記(B)の磁性粒子は、好ましくは生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有するのが良い。
上記磁性粒子の使用方法では、磁性粒子に磁場を印加することによって磁性粒子との間に磁力を働かせ、この磁力によって磁場印加手段と対応する位置に磁性粒子を固定させる。そして、このように磁場印加手段と対応する位置に磁性粒子を固定させたままで磁場印加手段を移動させることで、磁性粒子を所定の場所に誘導することができる。この磁性粒子は磁化率が高いため、磁場印加手段によって効果的に磁性粒子を固定して目的の場所、部位まで移送させることができる。
ゼラチンA:牛骨由来、等電点5.0(新田ゼラチン社製)
ゼラチンB:豚皮由来、等電点9.0(新田ゼラチン社製)
ゼラチンC:コハク化ゼラチン(新田ゼラチン社製)
ゼラチンD:PEG化ゼラチン。
まず、ゼラチンA 10gと、MeO−PEG−NHS(MEC−50HS(商品名)、日本油脂社製)3.5gを、それぞれDMSO中に溶解、混合して室温で1時間、攪拌した。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、PEG化ゼラチンを作製した。
上記ゼラチンEは以下のようにして調整した。
ゼラチンB 20gをリン酸緩衝液500mlに溶解させた後、40℃に加温した。次に、これにエチレンジアミン(ナカライテスク社製)60mlを投入してpHを5.0に調整した。次に、この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(ナカライテスク社製)を10g投入して24時間、反応を行わせた。次に、透析を3日間、行った後、凍結乾燥を行い、エチレンジアミン導入ゼラチンを作製した。
C.I.ピグメントレッド122. 10質量部
グリセリン 6質量部
樹脂A 10質量部
水酸化カリウム 0.5質量部
水 74質量部
上記組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて、1500rpmで5時間、分散した。次いで、イオン交換水で顔料濃度が5質量%になるまで希釈して、顔料樹脂分散液を調製した。
0.2%ゼラチンE(高分子)水溶液と、0.2mg/mlのEGFP発現プラスミドDNA(生理活性物質)水溶液を等量混合し、速やかにピペッティングしてDNA−ゼラチンコンプレックスを作製した。更にこの溶液中に5%ゼラチンE水溶液を添加して、ゼラチンEの最終濃度が1%となるように調整した。
ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA:乳酸/グリコール酸モル比=50/50;和光純薬工業製)を、クロロホルム中に1%(w/w)となるように溶解させた。次に、この溶液を1%ポリビニルアルコール(和光純薬工業製)水溶液中に徐々に滴下し、1時間攪拌した後、エバポレータにて溶媒を除去することでPLGA分散体を得た。
ジクロロメタン中に、30%ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA:乳酸/グリコール酸モル比=75/25;和光純薬工業製)と、OregonGreen488標識パクリタキセル(インビトロジェン社製)を溶解させた。この際、パクリタキセル/PLGAが、10%(w/w)となるように溶解させた。次に、この溶液を1%ポリビニルアルコール(和光純薬工業製)水溶液(100ml)中に徐々に滴下し、1時間攪拌した後、エバポレータにて溶媒を除去することでPLGA−パクリタキセル分散体を得た。
<実施例1>
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをインクジェットプリンター(Pixus950i(商品名);キヤノン製)のプリントヘッドに充填した。次に、1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を100g、ビーカー内に用意し、ビーカーをプリントヘッドの直下に静置した。次に、プリントヘッドに吐出信号を与えてゼラチン水溶液の液滴を吐出させ、1−ブタノール中に10g、投入してゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。この際、混合液の温度は20℃とした。
・「粒子分散」の評価
得られた粒子の分散液を目視で、下記の基準に基づいて評価した。
○:相分離することなく、かつ、粗大凝集物の形成も認められない安定な分散液が得られた。また、自然沈降した粒子は容易に再分散され、粒子が強固に凝集することはなかった。
×:高分子の一部又は全部が凝集して粗大凝集物を形成し、安定な分散液が得られなかった。
−:非水溶液と水性液体が相分離を起こし、析出物が得られなかった。
得られた乾燥粒子を、電子顕微鏡(S−4800(商品名);HITACHI社製)を用いて撮影し、下記の基準に基づいて粒度分布及び粒子形状を評価した。なお、この測定には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー(商品名)、マウンテック社製)を用いた。
○:粒子形状は真球状で、かつ、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.25以下となる。
△:粒子形状は真球状であったが、体積平均粒子径と個数平均粒子径との比が1.25を超える。
×:不均一粒子または粗大凝集塊/析出物ないため評価不可能である。
表1,2に示す高分子を精製水に溶解して、高分子水溶液(本発明の水溶液)を得た後、この高分子水溶液をインクジェットプリンター(キヤノン製、Pixus950i)のプリントヘッドに充填した。次に、表1、2に示す溶媒を100g、ビーカーに用意してビーカーをプリントヘッドの直下に静置した。次に、プリントヘッドに吐出信号を与えて高分子水溶液の液滴を吐出し、前記溶媒中に投入して混合液を得ると共に、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。なお、この時の混合液の温度は、実施例2、3、5〜7、9〜17、19〜32については20℃、実施例4,8については30℃、実施例18については25℃とした。
*1: 溶解度不明(ただし、1−ブタノールに対する水の溶解度は20質量%、2−ブタノールに対する水の溶解度は44.1質量%であるため、これらのブタノールを1:1の割合で混合した溶媒の溶解度は、これらの溶解度(20質量%と44.1質量%)の間にあるものと推定される。)
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解させて、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を作製した。次に、1−ブタノール(溶媒)100gを、マグネチックスターラーで撹拌しながら、高分子水溶液を10g、ゆっくりと投入し、10分間撹拌を継続した。そして、この際、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。
表3に示した高分子を精製水に溶解して、高分子水溶液を得た(本発明の水溶液)。次に、表3に示した溶媒100gを、マグネチックスターラーで撹拌しながら、高分子水溶液を表3に示した量だけゆっくりと投入し、10分間撹拌を継続した。そして、この際、この混合液中で高分子を粒子化、分散させた。
表4に示す高分子、溶媒、粒子化方法を用い、溶媒中に表4に示す量の水溶液を投入した以外は、実施例1又は33と同様の方法で、水溶液と溶媒の混合液と乾燥粒子を得た。これらについて、上記実施例2〜20と同様に評価した。結果を表4に示す。なお、この時の混合液の温度は、比較例1〜5、7,8,10については20℃、比較例6については25℃、比較例9については30℃とした。また、比較例8〜10で粒子を製造する際には、溶媒に対して水溶液中の水が溶解可能な量を超える量となるように、溶媒中に水溶液を混合した。
実施例9で作製した乾燥粒子を、真空オーブンに入れて160℃で72時間処理することによって、架橋乾燥粒子を得た。得られた架橋乾燥粒子をイオン交換水に入れ、攪拌したところ、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
実施例1で製造した乾燥粒子を少量のアセトン中に懸濁させ、1%グルタルアルデヒド水溶液中に投入して4℃で24時間攪拌を行った後、500Gで5分間、遠心分離した。この後、上清を除去し、更に0.1Mグリシン水溶液を加えて室温で1時間攪拌した。次に、500Gで5分間、遠心分離した後、上清を除去してイオン交換水を加え攪拌した。この結果、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
実施例8で作製した乾燥粒子500mgを少量の100mlのアセトン中に分散させ、これにジイソシアン酸ヘキサメチレンを20ml滴下して室温で5時間、架橋反応を行った。この後、これをアセトンで洗浄し精製水で洗浄して凍結乾燥を行うことにより架橋粒子を得た。次に、この架橋粒子を500Gで5分、遠心分離をした後、上清を除去してイオン交換水を加えて攪拌した。この結果、粒子が溶解することなく、架橋粒子の水分散体を得ることが出来た。
プラスミドDNAをローダミン標識キット(Mirus社製)を用いてプロトコルに従ってローダミン標識をした。次に、実施例44で作製した架橋粒子の水分散体に、ローダミンで標識したルシフェラーゼ遺伝子のプラスミドDNA(生理活性物質)の水溶液を加え、ピペッティングを行って粒子−DNAコンプレックス溶液を作製した。作製した粒子−DNAコンプレックス溶液を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子表面にローダミンの蛍光像が重なり、プラスミドDNAが粒子に担持されていることが確認された。
200μlの塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF(商品名)、R&D社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.5mg/ml)中に、5μlのNa125I(NEZ033(商品名)、Perkinelmer社製)と、100μlのクロラミンT(ナカライテスク社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.2mg/ml)を加えて2分間、攪拌した。次に、4mg/mlの二亜硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製)を加えて2分間攪拌した後、ゲルクロマトグラフィカラム(PD−10、GEヘルスケア(商品名)、バイオサイエンス社製)を用いて遊離放射ヨードと放射ラベル化bFGFを分離し、放射ラベル化bFGF(標識物質)を作製した。
実施例47で作製した乾燥粒子を真空チャンバー内に入れて真空にした後、真空チャンバー内にパーフルオロプロパン(和光純薬社製)を入れ、粒子内にパーフルオロプロパンを含ませた。この粒子を水溶液中に懸濁させ、超音波造影装置で粒子を撮影したところ、粒子の存在によってコントラストが増強された画像を得ることができた。
<実施例50>
1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を100g、ビーカー内に用意した。次に、ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをSPGテクノ社製内圧式膜乳化マイクロユニット(SPG細孔径:1.2μm)にセットし、SPG膜を1−ブタノールに浸した。次に、1−ブタノールをマグネチックスターラーで攪拌しながら膜乳化マイクロユニットに圧力をかけて、ゼラチン水溶液を10g、SPG膜を通して1−ブタノール中へ投入してゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。また、この際、混合液の温度は20℃とした。
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た後、これをイーピーテック社製マイクロチャネル乳化装置(スリットサイズ:10μm×100μm)の分散相として4ml/分で流動させ、連続相としての1−ブタノール(溶媒;溶媒に対する水の溶解度=20質量%)を2ml/分で流動させた。これにより、1−ブタノール中へゼラチン水溶液を10g、投入して、ゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。この際、混合液の温度は20℃とした。
ゼラチンA(高分子)を精製水に溶解して、0.5%のゼラチン水溶液(本発明の水溶液)を得た。次に、マイクロ流路1(幅:15μm)に、マイクロ流路2(幅:10μm)が直角に結合しているマイクロ流路を用意した。そして、マイクロ流路1に1−ブタノール(溶媒)を導入し、マイクロ流路2にゼラチン水溶液を導入し、マイクロシリンジポンプを用いて、それぞれ流速を0.1m/s、0.01m/sで送液を行い、1−ブタノール中へゼラチン水溶液を10g、投入して、ゼラチンA粒子の分散液(混合液)を得ると共に、この混合液中でゼラチンAを粒子化させた。なお、この際、混合液の温度は20℃とした。
実施例27で用いた、水分散ポリエステル溶液に、ゼラチンA(高分子)を溶解させ、0.5%のゼラチン−ポリエステル混合水溶液を得た。そして、実施例1のゼラチン水溶液を、該ゼラチン−ポリエステル混合水溶液に変えた以外は実施例1と同様の工程により、ゼラチンA−ポリエステル複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子をイオン交換水中に懸濁したところ、粒子が溶解することなく、ゼラチン−ポリエステル粒子の水分散体を得ることが出来た。
実施例53の水分散ポリエステル溶液を、<高分子の調製>で作製したPLGA分散体に置き換えた以外は実施例53と同様の工程により、ゼラチンA−PLGA複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子をイオン交換水中に懸濁したところ、粒子が溶解することなく、ゼラチン−PLGA粒子の水分散体を得ることが出来た。
実施例53の水分散ポリエステル溶液を、<高分子の調製>で作製したPLGA−パクリタキセル分散体に置き換えた以外は実施例53と同様の工程により、ゼラチンA−PLGA−パクリタキセル複合体からなる粒子の分散液(混合液)及び、乾燥粒子を得た。得られた乾燥粒子を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子とOregonGreenの蛍光像が重なり、粒子内にパクリタキセルが担持されていることが確認された。
<実施例56>
ゼラチンA(高分子;牛骨由来、等電点5.0)4gを精製水に溶解し、塩化鉄(II)四水和物(和光純薬社製)8gと塩化鉄(III)六水和物(和光純薬社製)20gの混合水溶液に加えて、混合した。次に、この混合溶液にアンモニア水を加え、40℃で20分反応させて、酸化鉄(磁性体)を析出させた。その後、脱塩カラム(PD−10、GEヘルスケア(商品名)、バイオサイエンス社製)を用いて脱塩し、酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。この酸化鉄微粒子の平均粒径を動的光散乱装置(DLS−7000(商品名)、大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、平均粒径は155nmであった。
ゼラチンB(高分子;豚皮由来、等電点9.0)20gを、リン酸緩衝液500ml中に溶解させて40℃に加温した。次に、この溶液中にエチレンジアミン(ナカライテスク社製)60mlを投入し、pHを5.0に調整した。次に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(ナカライテスク社製)を10g投入し、24時間、反応を行った。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、エチレンジアミン導入ゼラチン(生分解性高分子)を作製した。
ゼラチンA(高分子;牛骨由来、等電点5.0)10gと、MeO−PEG−NHS(MEC−50HS,日本油脂製)3.5gと、をそれぞれDMSO中に溶解させ、混合して室温で1時間、攪拌した。次に、透析を3日間行った後、凍結乾燥を行い、PEG化ゼラチン(生分解性高分子)を作製した。
実施例56のゼラチンの懸濁液を、実施例56及び実施例58で作製した酸化鉄微粒子の懸濁液を等量、混合したもの(生分解性高分子)で置き換えた以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。
実施例56〜59で作製した不完全架橋を行った粒子を水中に懸濁させ、懸濁液に超音波発生装置(UR−20P(商品名)、トミー精工社製)のプローブを入れ、5分間、超音波処理(外部刺激)を行った。次に、超音波処理を行う前の粒子懸濁液と、超音波処理済み懸濁液と、をそれぞれ透明ガラス瓶に入れ、フェライト磁石を容器に密着させて、分散液を15分静置した後、粒子の状態を目視で確認した。
<実施例60>
200μlの塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF(商品名)、R&D社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.5mg/ml)に、5μlのNa125I(NEZ033(商品名)、Perkinelmer社製)と、100μlのクロラミンT(ナカライテスク社製)のカリウムリン酸バッファー溶液(0.2mg/ml)と、を加えて2分間、攪拌した。次に、この溶液に4mg/mlの二亜硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製)を加えて2分間、攪拌した後、ゲルクロマトグラフィカラム(PD−10(商品名)、GEヘルスケア バイオサイエンス社製)を用いて遊離放射ヨードと放射ラベル化bFGFを分離し、放射ラベル化bFGF(標識物質)を作製した。
EGFP発現プラスミドDNAを、ローダミン標識キット(Mirus社製)を用いてプロトコルに従ってローダミン標識をした。次に、実施例57で作製した不完全架橋した磁性粒子の水分散体に、ローダミンで標識したEGFP発現プラスミドDNA(生理活性物質)の水溶液を加え、ピペッティングを行って磁性粒子−DNAコンプレックス懸濁液を作製した。このように作製した磁性粒子−DNAコンプレックス懸濁液を、蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、粒子表面にローダミンの蛍光像が重なり、プラスミドDNAが粒子に担持されていることが確認された。
シスプラチン(生理活性物質;日本化薬社製)を超音波ホモジナイザー(Ultrasonic generator MODEL US150(商品名), Nisei社製)を用いて2mg/mlのシスプラチン水溶液を作製した。次に、実施例56で作製した磁性粒子を水中に懸濁させ、シスプラチン水溶液と混合して、磁性粒子−シスプラチンを含んだ磁性粒子の懸濁液を作製した。
実施例56のゼラチンをプルラン(生分解性高分子;和光純薬社製)に置き換え、不完全架橋を行わなかった以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製し、更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。
実施例56のゼラチンをデキストラン(生分解性高分子;和光純薬社製)に置き換え、不完全架橋を行わなかった以外は実施例56と同じ方法で酸化鉄微粒子の懸濁液を作製した。更に、これを用いて、実施例56と同じ方法で磁性粒子の分散液及び、乾燥磁性粒子を得た。電子顕微鏡(HITACHI社製、S−4800(商品名))を用いて撮影したところ、粒子形状は真球状の良好な磁性粒子を得ることが出来た。
Claims (21)
- (1)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(2)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、前記水溶液を液滴として投入する工程と、
(3)前記溶媒中に高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。 - 前記工程(2)において、
前記水溶液の液滴の直径が、0.5μm以上、500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。 - 前記工程(2)において、
前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、液体に吐出エネルギーを付与することで吐出口から液滴を吐出させる手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。 - 前記工程(2)において、
前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、穴面積が0.01μm2以上、5000μm2以下の細孔を有する膜を前記溶媒に接触させ、前記細孔内に存在する水溶液に加圧することで細孔より水溶液を前記溶媒中に放出する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。 - 前記工程(2)において、
前記溶媒中に前記水溶液を液滴として投入する手段が、一定の速度で第1の微小流路を流れる前記溶媒に、一定の速度で第2の微小流路を流れる前記水溶液を合流させることにより、前記水溶液を前記溶媒中に放出する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。 - 前記工程(2)において、
前記溶媒に対して水溶液中の水が全て溶解するように、前記溶媒中に投入する水溶液の量を調節することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の粒子の製造方法。 - (a)一種類以上の高分子を含有する水溶液を準備する工程と、
(b)水の溶解度が1質量%以上、50質量%未満の溶媒中に、(水の質量)/(溶媒と水の総質量)×100が溶媒に対する水の溶解度以下となるように前記水溶液を混合して、前記水溶液と溶媒の混合液中で前記高分子を粒子化、分散させて前記高分子を含有する粒子を得る工程と、
を有することを特徴とする粒子の製造方法。 - 前記工程(b)は、
前記溶媒中に前記水溶液を投入する工程と、
前記水溶液と溶媒の混合液を攪拌する工程と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の粒子の製造方法。 - 前記工程(b)において、
前記混合液に対して高分子が溶解可能な量を超える量となるように、前記溶媒と混合する水溶液の量を調節することを特徴とする請求項7又は8に記載の粒子の製造方法。 - 前記溶媒は、水の溶解度が7.5質量%以上、50質量%未満の溶媒であることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
- 前記高分子を含有する粒子を得る工程の後、
更に、前記溶媒、水、粒子の混合液から水及び溶媒を除去する工程を有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の粒子の製造方法。 - 前記高分子を含有する粒子を得る工程の実施中か、又はこの工程の後に、
更に前記高分子を架橋する工程を有することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の粒子の製造方法。 - 前記高分子が、少なくとも一種類以上の水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
- 前記水溶液を準備する工程において、
前記水溶液として、少なくとも一種類以上の水溶性高分子を含み、且つ、少なくとも一種類以上の非水溶性高分子が分散されている混合溶液を準備し、
前記高分子を含有する粒子を得る工程において、
前記水溶性高分子と非水溶性高分子とを含む粒子を粒子化、分散させて粒子を得ることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の粒子の製造方法。 - 前記非水溶性高分子が、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン又はポリ乳酸とグリコール酸との共重合体であることを特徴とする請求項14に記載の粒子の製造方法。
- 前記水溶性高分子が、少なくともゼラチン、又はゼラチン誘導体を含むことを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
- 前記高分子が生分解性高分子であることを特徴とする、請求項13から16の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
- 前記水溶液として、更に、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する水溶液を準備するか、又は
前記溶媒として、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質を含有する溶媒を使用することにより、
前記高分子を含有する粒子を得る工程において、前記高分子と、生理活性物質及び標識物質のうち少なくとも一方の物質とを含む粒子を得ることを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の粒子の製造方法。 - 前記水溶液として更に磁性体を含有する水溶液を準備することにより、前記高分子を含有する粒子を得る工程において、前記粒子として少なくとも前記高分子と磁性体とを含む磁性粒子を得ることを特徴とする請求項13から18の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
- 前記溶媒への水溶液の投入時又は混合時、或いは、前記高分子及び磁性体を含む磁性粒子を得た後に、
更に前記磁性粒子を不完全架橋する工程を有することを特徴とする請求項19に記載の粒子の製造方法。 - 前記溶媒として、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、フェノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソ酪酸、吉草酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピオン酸ニトリル、及びトリエチルアミンからなる群から選択された少なくとも一種の物質を含むことを特徴とする請求項1から20の何れか1項に記載の粒子の製造方法。
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