JP5348880B2 - 反応器への触媒の充填方法及び計測器固定装置 - Google Patents
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Description
また、多管式反応器による反応では、反応管内の圧力損失を低くすることも重要であり、反応管内に圧力計測器が設けられることもあり、その場合にも同様の問題が生じることがある。
そのため、反応管内に挿入した各種計測器を、反応管の内壁に接触させずに、反応管の長さ方向の所定位置に位置させることができ、かつ反応管への触媒の充填が円滑に行えるような方策が望まれている。
また、本発明の反応器への触媒の充填方法は、前記反応器が複数の反応管を有している多管式反応器であって、前記計測器を固定する反応管とは別の反応管に触媒を予め充填し、前記装置の一部を該別の反応管内の触媒に差し込んで固定するか、あるいは、前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の内壁に前記装置の一部を直接固定するか、あるいは前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の開口部における、前記複数の反応管を固定する管板よりも上に出ている部分に前記装置の一部を接続して固定することが好ましい。
また、前記反応器が複数の反応管を有している多管式反応器の反応管内に計測器を固定する装置であって、前記位置決め手段が、前記計測器を固定する反応管とは別の反応管に予め充填された触媒に前記位置決め手段の一部を挿入して固定するか、あるいは前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の内壁に前記位置決め手段の一部を直接固定するか、あるいは前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の開口部における、前記複数の反応管を固定する管板よりも上に出ている部分に前記位置決め手段の一部を接続して固定して、前記固定手段で固定された糸条の位置を決める手段であることが好ましい。
また、本発明の計測器固定装置は、反応器が有する反応管内の長さ方向の所定位置に、反応管の内壁に接触させないように計測器を固定できる。
反応器は、反応管を有しているものであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを気相接触酸化させてアクロレインやアクリル酸を得る反応や、イソブチレンやtert−ブチルアルコールを気相接触酸化させてメタクロレインやメタクリル酸を得る反応等に用いられる多管式反応器等が挙げられる。また、反応管を1本のみ有する反応管であってもよい。
このような多管式反応器としては、例えば、図1に示すような多管式反応器1が挙げられる。
シェル3の内部には、管板5a、5bが設けられ、該管板5a、5bには長尺の反応管6が複数本固定される。
反応管6の本数は多管式反応器により異なるが、通常、数百〜数万本である。これらの複数の反応管6は、各反応管6の温度を正確に制御しやすい点から、図4に示すように、規則的に配列されることが好ましい。
[計測器固定装置]
本発明の計測器固定装置20は、(1)温度計測器10に取り付けた糸条21の一部を、反応管6の開口6bよりも外側で、糸条21を緊張させた状態で固定する固定手段と、(2)温度計測器10が反応管6の内壁に接触しないように、糸条21の位置を決める位置決め手段とを有する。
糸条21の材質としては、ステンレス、鉄、樹脂等を用いることができる。特に好ましい糸条21は、耐久性及び反応への影響等の点からステンレスワイヤーである。
温度計測器10への糸条21の取り付けは、特に限定されないが、例えば、溶接で固定することができる。
温度計測器10に取り付けられた糸条22は、反応管6の開口6aよりも外側にある部分が多管式反応器1に固定される。糸条22が固定される場所は、糸条21と糸条22を緊張させて温度計測器10を所定位置に位置させることができる場所であればよい。例えば、糸条22の反応管6の開口6aよりも外側にある部分を、金網9a、パンチングプレート9bと共に管板5aに固定することが挙げられる。また、金網9aの開口6aの位置に相当する部分に糸条22の自由端が直接固定されていてもよく、開口6a側の反応管6内で固定されていてもよい。
また、温度計測器10の導線部11を糸条22として使用する場合には、図3に示すように、糸条22の反応管6の開口6aよりも外側にある部分が、金網9a、パンチングプレート9bと共にボルト9c等を用いて管板5aに固定され、さらに多管式反応器1の外側に導かれているのがよい。
温度計測器10を複数の反応管6に設置する場合は、それらの糸条22を束ねて一箇所に固定してもよく、温度計測器10の本数が多い場合には、ある程度まとめて複数箇所で固定してもよい。
例えば、図2に示すように、計測器固定装置本体上部23aに下から上にボルト状の固定部材25を設置し、糸条21の自由端21aを固定し、該ボルト状の固定部材25を締めていくことにより糸条21を引っ張るようにすればよい。また、固定部材25の糸条21を固定する部分をフックにしてもよい。また、固定部材25は、糸条21の自由端21aを固定して、糸条21を巻き取ることのできる構造としてもよい。
管状部材24は、計測器固定装置本体23に完全に固定されていても、計測器固定装置本体23を固定した状態で鉛直方向または水平方向に移動させて位置を微調整できるようになっていてもよい。
前記側部23a、23cを挿入して固定する別の反応管とは、糸条21の位置決めができる範囲であればいずれの反応管6であってもよく、位置決めが容易で精度が高くなる点から、温度計測器10を設置する反応管6から数本以内に位置する反応管6であることが好ましい。
また、反応管が1本のみである反応器に対して温度計測器を固定して触媒の充填を行う場合等は、側部23b、23cを管板5b上に固定して糸条21の位置決めが行える計測器固定装置であってもよい。
以下、本発明の、反応管6に温度計測器10を固定して触媒を充填する方法について説明するが、本発明の方法はこれに限定されない。尚、温度計測器10が、圧力計測器であっても、反応管6への固定及び触媒の充填は同様の方法で行うことができる。
これらの反応管6への挿入方法としては、糸条21、温度計測器10、糸条22が繋がった状態のものをこの順に、反応管6の開口6aの内径方向の中心部分に対応する、金網9aの部分から挿入していく方法が好ましい。
温度計測器10の導線部11を糸条22として用いる場合には、糸条22である導線部11の、反応管6の開口6aよりも外側にある部分を、金網9a及びパンチングプレート9bと共にボルト9cにより管板5aに固定し、さらに計測器用ノズル2bから多管式反応器1の外側に導けばよい。
温度計測器10を複数の反応管6に固定して糸条22が複数本ある場合には、それらを束ねて一箇所に固定してもよく、数が多い場合にはある程度まとめたものを複数箇所に固定してもよい。
触媒としては、固体触媒が使用でき、例えば、モリブデン、ビスマスを含む複合酸化物等の固体酸化触媒等が挙げられる。また、触媒は、触媒以外に反応に関与しない不活性な粒子を含んでいても構わない。
計測器固定装置20は、触媒の充填後に、糸条21を切断することにより取り外すことができる。
温度計測器10の設置間隔を2m以下とすれば、反応管内の正確な温度分布を測定することが容易になり、ホットスポット部の位置および温度を把握するのが容易になる。
また、多管式反応器では、反応管6内に設置した温度計測器10と同じ高さで、熱媒中に熱媒温度を測定する温度計測器を設けることが好ましい。そのため、温度計測器10の設置間隔を0.1m以下とすれば熱媒中の温度計測器の数も多くなり、装置コストが高くなるだけでなく、熱媒の流れを妨げてしまうおそれがある。
また、本発明の計測器固定装置20を用いれば、このような多管式反応器に計測器を固定して触媒の充填する作業を容易に行うことができる。
例えば、計測器固定装置20の固定方法は、計測器を固定する反応管6とは別の反応管6に挿入して固定する方法に限定されず、計測器を所定の位置に位置させることができる方法であれば、前記別の反応管6の開口部6bの形状や管板5bの形状を利用して固定できる側部を有する計測器固定装置を用いた別の固定方法であってもよい。
また、糸条21は、計測器固定装置20における管状部材24の先端部24dに取り付け、開口6b側の反応管6内で固定するようにしても構わない。
また、計測器固定装置20を、管板5a側に固定できるような構造とし、糸条22が反応管6の開口6bよりも外側にあるように温度計測器10を挿入し、糸条22の開口6bよりも外側の部分を管板5b上に固定する方法であってもよい。
また、計測器固定装置20も図2に示したものに限定されず、管状部材24及び固定部材25は、計測器を反応管内の所定位置に位置させることができるものであればよい。また、管状部材24及び固定部材25は、計測器固定装置本体23のいずれの部位に設置されていてもよく、例えば、管状部材24の上部に滑車を設け、固定部材25を側部23bに設置して、固定部材25が糸条21を水平方向に引っ張るような計測器固定装置20としてもよい。
6 反応管
10 温度計測器
20 計測器固定装置
21、22 糸条
21a 糸条の自由端
24 管状部材
25 固定部材
Claims (4)
- 反応器が有する反応管内に計測器を固定し、触媒を充填する方法であって、
2本の糸条が取り付けられた計測器を、一方の糸条の一部が反応管の一方の開口よりも外側にあり、他方の糸条の一部が反応管の他方の開口よりも外側にあるように、反応管内に挿入し、
前記計測器が反応管の長さ方向の所定位置に位置するように、かつ反応管の内壁に接触しないように、2本の糸条を緊張させた状態で、反応管内に触媒を充填する、反応器への触媒の充填方法。 - 前記反応器が複数の反応管を有している多管式反応器であって、
前記計測器を固定する反応管とは別の反応管に触媒を予め充填し、前記装置の一部を該別の反応管内の触媒に差し込んで固定するか、
あるいは、前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の内壁に前記装置の一部を直接固定するか、
あるいは、前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の開口部における、前記複数の反応管を固定する管板よりも上に出ている部分に前記装置の一部を接続して固定する、請求項1に記載の反応器への触媒の充填方法。 - 請求項1に記載の反応器への触媒の充填方法に用いる、前記反応器が有する反応管内に計測器を固定する計測器固定装置であって、
前記計測器に取り付けられた2本の糸条のうち、一方の糸条の一部が反応管の一方の開口よりも外側にあるようにして、他方の糸条の一部を反応管の他方の開口よりも外側で、該糸条を緊張させた状態で固定する固定手段と、
前記計測器が前記反応管の内壁に接触しないように、固定手段で固定された前記糸条の位置を決める位置決め手段とを有する計測器固定装置。 - 前記反応器が複数の反応管を有している多管式反応器の反応管内に計測器を固定する装置であって、
前記位置決め手段が、
前記計測器を固定する反応管とは別の反応管に予め充填された触媒に前記位置決め手段の一部を挿入して固定するか、
あるいは前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の内壁に前記位置決め手段の一部を直接固定するか、
あるいは前記計測器を固定する反応管とは別の反応管の開口部における、前記複数の反応管を固定する管板よりも上に出ている部分に前記位置決め手段の一部を接続して固定して、
前記固定手段で固定された糸条の位置を決める手段である、請求項3に記載の計測器固定装置。
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