JP2003267912A - 気相接触酸化方法 - Google Patents

気相接触酸化方法

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JP2003267912A JP2003001930A JP2003001930A JP2003267912A JP 2003267912 A JP2003267912 A JP 2003267912A JP 2003001930 A JP2003001930 A JP 2003001930A JP 2003001930 A JP2003001930 A JP 2003001930A JP 2003267912 A JP2003267912 A JP 2003267912A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定床式多管熱交換型反応器を用いる気相接
触酸化方法において、ホットスポットの発生を有効に防
止でき、かつ、反応管が閉塞することもなく、反応生成
ガスの収率も高く、触媒の寿命も長い、長期間安定した
運転が可能な気相接触酸化方法を提供する。 【解決手段】 複数の反応管と、反応管外部に流れる熱
媒体の流路を変えるために接続部位を介して反応管に接
続される邪魔板とを有する固定床式多管熱交換型反応器
を用い、反応管外部に熱媒体を循環させ、触媒を充填し
た反応管内部に反応原料ガスを供給することにより、反
応生成ガスを得る気相接触酸化方法において、反応管内
の触媒層ピーク温度部位が、邪魔板と反応管との接続部
位に位置しないよう、反応管における触媒の充填仕様を
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の反応管を有
し、反応管外部に流れる熱媒体の流路を変えるための邪
魔板を有する固定床式多管熱交換型反応器を用い、反応
管外部に熱媒体を循環させ、触媒を充填した反応管内部
に反応原料ガスを供給することにより、反応生成ガスを
得る気相接触酸化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、複数の反応管を有する固定床
式多管熱交換型反応器が知られている。また、固定床式
多管熱交換型反応器を用いて気相接触酸化方法を行うこ
とが知られている。
【0003】例えば、固定床式多管熱交換型反応器を用
い、反応管外部に熱媒体を循環させ、触媒を充填した反
応管内部に反応原料ガスを供給する。すると、反応管内
で接触酸化反応が生じ、該反応により反応生成ガスが得
られるというものである。
【0004】この場合、反応管内で生じた反応熱を吸収
するために熱媒体が使用されている固定床式多管熱交換
型反応器においては、熱媒体が該反応器内をできるだけ
均一に流れるようにするために、邪魔板と呼ばれる、熱
媒体の流路を変えるための板が設置されている。
【0005】しかし、このような、邪魔板を設置した固
定床式多管熱交換型反応器においては、この邪魔板と反
応管が溶接あるいは拡管等で固着されている場合は、こ
の部分には全く熱媒体は流れない。反応管外壁と邪魔板
を固着しない反応器もあるが、このクリアランスに流れ
る熱媒体の量は限られる。
【0006】上記のような固定床式多管熱交換型反応器
を用いた気相接触酸化方法では、以下のような問題が生
じる。
【0007】反応器シェル内での熱媒体の流れが充分で
ない部分に在る反応管では除熱の悪い状態が形成され
る。そして、このような除熱の悪い状態にさらされた反
応管においては、局部的異常高温帯(ホットスポット)
が発生し、反応の暴走が起こる場合がある。
【0008】また、反応の暴走が起きないまでも、反応
管が閉塞しやすくなり、反応生成ガスの収率が低下した
り、触媒の寿命が低下したり、長期間安定した運転が困
難になるという問題が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、複
数の反応管を有し、熱媒体の流路を変えるための邪魔板
を有する固定床式多管熱交換型反応器を用い、反応管外
部に熱媒体を循環させ、触媒を充填した反応管内部に反
応原料ガスを供給することにより、反応生成ガスを得る
気相接触酸化方法において、ホットスポットの発生を有
効に防止でき、かつ、反応管も閉塞することなく、反応
生成ガスの収率も高く、触媒の寿命も長い、長期間安定
した運転が可能な気相接触酸化方法を提供することを課
題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、邪魔板により熱媒体が全く流れない又は
流れにくくなった部分に、触媒層の高温部である触媒層
ピーク温度が位置すると、上記問題が発生することを確
認した。
【0011】そこで、本発明者らは、以下に記載する方
法とすることで、上記課題を解決する気相接触酸化方法
が提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 (1)複数の反応管と、反応管外部に流れる熱媒体の流
路を変えるために接続部位を介して反応管に接続される
邪魔板とを有する固定床式多管熱交換型反応器を用い、
反応管外部に熱媒体を循環させ、触媒を充填した反応管
内部に反応原料ガスを供給することにより、反応生成ガ
スを得る気相接触酸化方法において、反応管内の触媒層
ピーク温度部位が、邪魔板と反応管との接続部位に位置
しないよう、反応管における触媒の充填仕様を設定する
ことを特徴とする、気相接触酸化方法。 (2)前記熱媒体が、反応管から発生する反応熱を吸収
するためのものである、(1)に記載の気相接触酸化方
法。 (3)一つの反応管において、触媒の充填仕様の異なる
層が少なくとも2層以上設けられていることを特徴とす
る、(1)又は(2)に記載の気相接触酸化方法。 (4)前記触媒の充填仕様を決める項目として、触媒の
種類、触媒の量、触媒の形状、触媒の希釈方法、反応帯
域の長さの各項目が挙げられることを特徴とする、
(1)〜(3)の何れかに記載の気相接触酸化方法。 (5)前記気相接触酸化方法により、プロパン、プロピ
レン又はイソブチレンを分子状酸素で酸化して、アクリ
ル酸又はメタアクリル酸を製造することを特徴とする、
(1)〜(4)の何れかに記載の気相接触酸化方法。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明は、複数の反応管と、反応管外部に
流れる熱媒体の流路を変えるために接続部位を介して反
応管に接続される邪魔板とを有する固定床式多管熱交換
型反応器を用いて、気相接触酸化方法を行う。
【0015】つまり、上記反応器において、反応管外部
に熱媒体を循環させ、触媒を充填した反応管内部に反応
原料ガスを供給することにより、反応生成ガスを生成さ
せる。
【0016】本発明において、上記熱媒体は、反応管か
ら発生する反応熱を吸収するために使用することが好ま
しい。該熱媒体としては、反応管から発生する反応熱を
吸収する機能を有していれば、例えば、部分水素化トリ
フェニル等の有機熱媒や、ナトリウム、カリウム等のア
ルカリ金属(亜)硝酸塩いわゆるナイター等の無機溶触
塩等、如何なる材料も使用し得る。
【0017】また、本発明の気相接触酸化方法では、生
成させたい反応生成ガスの種類に応じて、反応原料ガス
や触媒を適宜選択することができる。
【0018】例えば、本発明の気相接触酸化方法によ
り、プロパン、プロピレンまたはイソブチレンを分子状
酸素または分子状酸素含有ガスにより、複合酸化物触媒
の存在下で酸化して、(メタ)アクロレイン或いは(メ
タ)アクリル酸を製造することができる。より詳しく
は、プロピレンまたはイソブチレンをMo−Bi系複合
酸化物触媒の存在下で酸化して主に(メタ)アクロレイ
ンを製造し(前段反応)、該前段反応で生成した(メ
タ)アクロレインをMo−V系複合酸化物触媒の存在下
で酸化して(メタ)アクリル酸を製造することができ
る。また、プロパンをMo−V−Te系複合酸化物触
媒、或いはMo−V−Sb系複合酸化物触媒を用いて気
相酸化させてアクリル酸を製造することもできる。
【0019】上記(メタ)アクロレイン或いは(メタ)
アクリル酸を本発明の気相接触酸化方法を用いて製造す
る場合、特に工業化を考慮すると、以下に記載する製造
方式を利用することが有効となる。以下、プロピレンを
例に挙げて説明する。 1)ワンパス方式 プロピレンと空気とスチームを混合供給して、主として
アクロレインとアクリル酸を製造する(前段反応)。こ
の前段反応で得られたガスを分離することなく後段反応
へ供給する。このとき、後段反応で反応させるのに必要
な空気およびスチームを前段反応で得られたガスに加え
て後段反応へ供給する方式。 2)未反応プロピレンリサイクル方式 後段反応で得られたアクリル酸を含有する反応生成ガス
をアクリル酸捕集装置に導き、アクリル酸を水溶液とし
て捕集する。該捕集装置より未反応プロピレンを含有す
る廃ガスの一部を分離する。該廃ガスを再び前段反応に
供するよう供給すると、未反応プロピレンの一部をリサ
イクルすることができる方式。 3)燃焼廃ガスリサイクル方式 後段反応で得られたアクリル酸を含有する反応生成ガス
をアクリル酸捕集装置に導き、アクリル酸を水溶液とし
て捕集する。該捕集装置より廃ガスを全量接触的に燃焼
酸化させ、含有される未反応プロピレン等を主として二
酸化炭素及び水に変換する。得られた燃焼廃ガスの一部
を再び前段反応に供するよう供給する方式。
【0020】本発明の気相接触酸化方法は、上記の3つ
の方式の何れを用いて、工業的製造を行ってもよく、特
に製造方式には限定されるものではない。
【0021】また、上記のオレフィンから不飽和アルデ
ヒドまたは不飽和酸を得る前段反応で使用する触媒とし
ては、下記一般式(1)で示されるMo−Bi系複合酸
化物触媒が好ましく用いられる。
【0022】
【化1】 MoabBicFedefghix ・・・(1) (上記式(1)中、Moはモリブデン、Wはタングステ
ン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケルおよびコ
バルトから選ばれる少なくとも一種の元素、Bはナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウム
から選ばれる少なくとも一種の元素、Cはアルカリ土類
金属から選ばれる少なくとも一種の元素、Dはリン、テ
ルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マン
ガン、ヒ素、ホウ素および亜鉛から選ばれる少なくとも
一種の元素、Eはシリコン、アルミニウム、チタニウム
およびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の元
素、そしてOは酸素であり、a、b、c、d、e、f、
g、h、iおよびxはそれぞれMo、W、Bi、Fe、
A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a=12
のとき、0≦b≦10、0<c≦10(好ましくは0.
1≦c≦10)、0<d≦10(好ましくは0.1≦d
≦10)、2≦e≦15、0<f≦10(好ましくは
0.001≦f≦10)、0≦g≦10、0≦h≦4、
0≦i≦30、xは各々の元素の酸化状態によって定ま
る数値である。)
【0023】また、上記のオレフィンから不飽和アルデ
ヒドまたは不飽和酸を得る後段反応で使用する触媒とし
ては、下記の一般式(2)で示されるMo−V系複合酸
化物触媒が好ましく用いられる。
【0024】
【化2】MoabcCudefg ・・・(2) (上記式(2)中、Moはモリブデン、Vはバナジウ
ム、Wはタングステン、Cuは銅、XはMg、Ca、S
rおよびBaよりなる群から選ばれる少なくとも一種の
元素、YはTi、Zr、Ce、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Zn、Nb、Sn、Sb、PbおよびBiよ
りなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、そしてO
は酸素であり、a、b、c、d、e、fおよびgはそれ
ぞれMo、V、W、Cu、X、YおよびOの原子比を示
し、a=12とするとき、2≦b≦14、0≦c≦1
2、0<d≦6、0≦e≦3、0≦f≦3であり、gは
各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
【0025】本発明の気相接触酸化方法で使用する反応
管には、触媒と必要に応じて触媒希釈用の不活性物質
(以下、「希釈剤」ともいう)とを充填する。
【0026】触媒の反応管への充填仕様は、触媒の種
類、触媒の量、触媒の形状(形、大きさ)、触媒の希釈
方法(希釈剤の種類、希釈剤の量)、反応帯域の長さ等
の各要素を総合的に勘案し、決定するとよい。反応帯域
の長さは、触媒の形状および使用量、希釈剤の併用等に
よって調整される。
【0027】本発明の気相接触酸化方法で使用する触媒
の形状(形、大きさ)は特に制限はなく、触媒の成型法
についても特に制限はない。例えば、押し出し成型法ま
たは打錠成型法の何れで成型された触媒でも使用可能で
あり、また触媒成分よりなる複合酸化物を、炭化ケイ
素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの不
活性な担体に担持して構成させた触媒を使用してもよ
い。また、触媒の形も、球状、円柱状、リング状、不定
形などのいずれの形でも良い。但し、特にリング状触媒
を使用するとホットスポット部における蓄熱の防止に効
果がある。
【0028】また、希釈剤の種類としては、気相接触酸
化反応条件下で安定であり、反応原料物質及び生成物と
反応性がない材質のものであれば何でもよく、具体的に
は、アルミナ、シリコンカーバイド、シリカ、酸化ジル
コニア、酸化チタン等、触媒の担体に使われるものを使
用するとよい。また、希釈剤の形状は触媒と同様に制限
はなく、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれ
でもよい。大きさは、反応管径及び差圧を考慮して決め
ればよい。
【0029】触媒と希釈剤との混合比は、特に制限はな
いが、混合比が極端に大きい、あるいは小さい場合は、
触媒と希釈剤の混合状態が不均一とならないよう混合比
を留意するとよい。
【0030】また、一つの反応管における反応帯域にお
いて、触媒の充填仕様を層状で異ならせてもよい。例え
ば、反応管上部に充填する触媒の充填仕様と、反応管下
部に充填する触媒の充填仕様とを異ならせてもよい。一
般に、一つの反応管における反応帯数は2〜3までの数
で設定するとよい。
【0031】また、反応原料ガスを導入する反応管の入
口部分から出口部分に向かって触媒活性が高くなるよう
に触媒を充填するとよい。
【0032】本発明の気相接触酸化方法では、反応管内
の触媒層ピーク温度部位が、邪魔板と反応管との接続部
位に位置しないようにする。
【0033】ここで、触媒層ピーク温度とは、反応時に
測定される触媒層の最も高い温度である。触媒層ピーク
温度部位とは、最も高い触媒層ピーク温度が測定される
部位であり、反応管に触媒を単層で充填する場合は、最
も温度の高い部分をいい、複数個の反応帯に分割して触
媒を充填する場合は、それぞれの反応帯での最も温度の
高い部分をいう。
【0034】この触媒層のピーク温度は、次のようにし
て求める。
【0035】反応管に多点式熱電対を挿入した上で触媒
を充填し、触媒層各部の温度を測定する。尚、多点式熱
電対の測定点数は、通常5〜100、好ましくは7〜5
0、より好ましくは10〜30点で行うとよい。また
は、反応管にウェルを挿入した上で触媒を充填し、ウェ
ル内で熱電対を移動させて温度を測定する。
【0036】触媒層ピーク温度部位は、例えば、移動式
の熱電対を使用した場合では、それぞれの反応帯で最も
温度の高い部位を指し、多点式熱電対で測定した場合で
は、それぞれの反応帯で最も温度の高い測定点の部位を
指す。
【0037】本発明において、邪魔板と反応管との接続
部位とは、より具体的には、邪魔板と反応管が溶接ある
いは拡管等で固着されている部位、又は、固着されてい
ないまでも反応管をまたいで邪魔板が存在する部位をい
う。
【0038】そして、本発明の気相接触酸化方法では、
反応管内の触媒層ピーク温度部位が、邪魔板と反応管と
の接続部位に位置しないよう反応管における触媒の充填
仕様を設定する。
【0039】つまり、反応管内の触媒層ピーク温度部位
が、邪魔板と反応管との接続部位に位置する反応管につ
いては、位置しないように、充填仕様を変更する。
【0040】触媒の充填仕様は、触媒の種類、触媒の
量、触媒の形状(形や大きさ)、触媒の希釈方法(希釈
剤の種類、希釈剤の量)、反応帯域の長さの各要素を考
慮して、変更することができる。
【0041】本発明では、反応管内の触媒層ピーク温度
部位が、邪魔板の厚さ方向の中心に対して、邪魔板の一
方の表面側を+方向とし、邪魔板の他方の表面側を−方
向としたときに、邪魔板の厚さ方向の中心から、邪魔板
厚の+/−100%以下の範囲に位置しないように、触
媒を充填していることが好ましい。ここで、通常用いら
れる邪魔板の厚さは、5mm〜50mm位である。
【0042】本発明では、一つの反応管において、触媒
の充填仕様の異なる層を少なくとも2層以上設けること
により、充填仕様を変更させることがより好ましい。
【0043】そして、このように複数の反応帯を有する
場合には、特に反応帯域の長さを変更することにより、
反応管に沿った縦方向に、触媒層のピーク温度を移動さ
せることができる。
【0044】また、本発明では、邪魔板と反応管との接
続部位に、希釈剤のみからなる不活性層を形成させる
か、または希釈剤の量を多くする等の処理によりその部
分での反応熱をおさえるように充填仕様を設定すること
も、好ましい方法となる。
【0045】また、本発明では、反応管内の触媒層ピー
ク温度部位を、邪魔板と反応管との接続部位に位置しな
いようすることができれば、同一反応器内に触媒の充填
仕様が異なる反応管が複数形成されていてもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明の気相接触酸化方法で用い
る、固定床式多管熱交換型反応器の第1の実施態様を図
1に示す。
【0047】図1において、1は反応器、2は反応原料
ガス導入口(ダウンフローの場合)或いは反応生成ガス
排出口(アップフローの場合)、3は反応生成ガス排出
口(ダウンフローの場合)或いは反応原料ガス導入口
(アップフローの場合)、4は反応管(内部には触媒を
充填)、5は上部管板、6は下部管板、7、8、9は邪
魔板、10は熱媒体出口ノズル、11は熱媒体入口ノズ
ル、13は反応温度調節用熱媒体入口ライン、14は熱
媒体オーバーフローラインをそれぞれ示す。
【0048】尚、図1の固定床式多管熱交換型反応器
は、アップフローで熱媒体を流したときの構成である
が、本発明では、むろんダウンフローで熱媒体を流すこ
ともできる。
【0049】反応原料ガスは空気及び/或いは希釈ガ
ス、リサイクルガス等と混合されて、反応原料ガス導入
口(2或いは3)から反応器(1)へ導入されて、触媒
が充填された反応管(4)へ供給、反応管内で接触酸化
反応により酸化されて生成した反応生成ガス及び未反応
ガスは、反応生成ガス排出口(3或いは2)より排出さ
れる。
【0050】熱媒体は、ポンプ(12)によって熱媒体
入口ノズル(11)より反応器シェルに導入され、反応
管内で発生した反応熱を除去しながら反応器シェル内を
流通し、熱媒体出口ノズル(10)より排出され、ポン
プにより循環される。熱媒体の温度制御は、反応温度調
節用熱媒体入口ライン(13)より冷熱媒体を導入する
ことにより行われ、反応温度調節用熱媒体入口ライン
(13)より導入された熱媒体量が熱媒体オーバーフロ
ーライン(14)より排出される。
【0051】上記本発明の固定床式多管熱交換型反応器
における邪魔板の構造は特に限定はない。本発明では、
例えば、図2で示すダブルセグメント・バッフルタイ
プ、図3で示すディスクアンドドーナツ・バッフルタイ
プ、図4で示すマルチ・バッフルタイプの邪魔板を有す
る固定床式多管熱交換型反応器の何れも使用できる。
尚、図2〜4には、邪魔板の形状及び熱媒体の流れを記
載している。
【0052】また、上記固定床式多管熱交換型反応器に
おいて、邪魔板と反応管との接続部位が、溶接あるいは
拡管等で固着されている場合には、この部分に熱媒体は
流れないことを説明するための概略図を図5に示す。ま
た、上記固定床式多管熱交換型反応器において、邪魔板
と反応管との接続部位が、固着されていないまでも反応
管をまたいで邪魔板が存在する場合には、この部分に流
れる熱媒体の量は限られていることを説明するための概
略図を図6に示す。
【0053】図5及び6中、符号15は反応管を、符号
16は邪魔板を、符号17、18は熱媒体の流れを示
す。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0055】
【実施例1】内径が27mm長さ5mのステンレス製反
応管20000本からなり、シェル側に熱媒体の流路を
変更する為にダブルセグメントタイプの邪魔板を設置し
た図7に示す固定床式多管熱交換型反応器を用いて、反
応管の触媒層温度を測定できるように多点式熱電対設置
した。熱媒体は、ナイターを用いた。
【0056】図7のAの位置にある反応管にアルミナボ
ール1.7mを充填し、次に常法に準じた方法により調
製したMo−Bi−Fe系触媒を触媒70%とアルミナ
ボール30%を体積比で混合したものを3m充填し、そ
の上にアルミナボールを0.3m充填した。
【0057】プロピレン9mol%、空気71mol
%、水蒸気10mol%及び窒素等からなる混合ガスを
接触時間3秒の条件でダウンフローで供給した。この時
の熱媒温度は320℃であった。
【0058】この時の触媒層ピーク温度部位は邪魔板
(第1の邪魔板、すなわち図7中に示される邪魔板のう
ち、上位に位置する邪魔板)の手前にあり、触媒層ピー
ク温度は400℃で、1年間運転後及び2年間運転後の
この反応管の差圧上昇は、それぞれ0.1kPa、0.
15kPaであった。
【0059】ここで、差圧上昇とは、反応管の温度が高
すぎることにより、反応原料が炭化し、反応管が閉塞
し、反応管内の圧力が上がる現象をいう。差圧測定は、
停止時、反応時と同じ流量の空気或いは窒素を各反応管
に供給して反応管入口の圧力を測定することにより得
た。
【0060】
【比較例1】図7のBの位置(Aの隣)にある反応管に
アルミナボール1.5mを充填し、次に実施例1と同じ
触媒70%とアルミナボール30%を体積比で混合した
ものを3m充填し、その上にアルミナボールを0.5m
充填した。
【0061】この時の触媒層ピーク温度部位は、第1の
邪魔板と反応管との接続部位にあり、触媒層ピーク温度
は415℃であり、1年間運転後のこの反応管の差圧上
昇は、0.5kPaであり、2年後は完全に閉塞して差
圧測定不可能であった。このように、触媒層ピーク温度
部位が前記接続部位に位置していると、触媒層ピーク温
度が高いことからも明らかなように反応熱の除熱は充分
ではなく、過度な反応が起こり、反応管の閉塞を生じ
る。
【0062】上記実験から明かなように、本発明の方法
は、反応管の閉塞をおさえ、長期間安定した運転が行え
るものである。
【0063】本発明により、ホットスポットの発生を有
効に防止でき、かつ、反応管の閉塞もなく、触媒の寿命
も長い、長期間安定した運転が可能な気相接触酸化方法
を提供することができた。
【0064】
【発明の効果】本発明により、複数の反応管を有し、熱
媒体の流路を変えるための邪魔板を有する固定床式多管
熱交換型反応器を用い、反応管外部に熱媒体を循環さ
せ、触媒を充填した反応管内部に反応原料ガスを供給す
ることにより、反応生成ガスを得る気相接触酸化方法に
おいて、ホットスポットの発生を有効に防止でき、か
つ、反応管の閉塞もなく、反応生成ガスの収率も高く、
触媒の寿命も長い、長期間安定した運転が可能な気相接
触酸化方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器の1態様図
【図2】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器の1態様図
【図3】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器の1態様図
【図4】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器の1態様図
【図5】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器において、邪魔板と反応管との接続部位における状態
を説明するための図
【図6】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応
器において、邪魔板と反応管との接続部位における状態
を説明するための図
【図7】 本発明の実施例1を説明するための概略図
【符号の説明】
1 反応器 2 反応原料ガス導入口(又は反応生成ガス排出口) 3 反応生成ガス排出口(又は反応原料ガス導入口) 4、15 反応管 5 上部管板 6 下部管板 7、8、9、16 邪魔板 10 熱媒体出口ノズル 11 熱媒体入口ノズル 12 ポンプ 13 反応温度調節用熱媒体入口ライン 14 熱媒体オーバーフローライン 17、18 熱媒体の流れを示す矢印
フロントページの続き (72)発明者 強力 正康 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 神野 公克 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 BA13 BA14 BA19 BA60 BD81 BD84 BE30 BS10 4H039 CA65 CC20 CC30 CD10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の反応管と、反応管外部に流れる熱
    媒体の流路を変えるために接続部位を介して反応管に接
    続される邪魔板とを有する固定床式多管熱交換型反応器
    を用い、反応管外部に熱媒体を循環させ、触媒を充填し
    た反応管内部に反応原料ガスを供給することにより、反
    応生成ガスを得る気相接触酸化方法において、反応管内
    の触媒層ピーク温度部位が、邪魔板と反応管との接続部
    位に位置しないよう、反応管における触媒の充填仕様を
    設定することを特徴とする、気相接触酸化方法。
  2. 【請求項2】 前記熱媒体が、反応管から発生する反応
    熱を吸収するためのものである、請求項1に記載の気相
    接触酸化方法。
  3. 【請求項3】 一つの反応管において、触媒の充填仕様
    の異なる層が少なくとも2層以上設けられていることを
    特徴とする、請求項1又は2に記載の気相接触酸化方
    法。
  4. 【請求項4】 前記触媒の充填仕様を決める項目とし
    て、触媒の種類、触媒の量、触媒の形状、触媒の希釈方
    法、反応帯域の長さの各項目が挙げられることを特徴と
    する、請求項1〜3の何れか一項に記載の気相接触酸化
    方法。
  5. 【請求項5】 前記気相接触酸化方法により、プロパ
    ン、プロピレン又はイソブチレンを分子状酸素で酸化し
    て、アクリル酸又はメタアクリル酸を製造することを特
    徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の気相接触
    酸化方法。
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