以下、送風機及び送風システムの具体的な実施形態の説明に先立って、実施形態と比較するための比較例の送風機について説明する。
図1は、比較例の送風機を示す模式的な斜視図である。また、図2は、その送風機の内部構造を示す模式図である。
以下、比較例の送風システムについて、図1および図2の双方を参照して説明する。
比較例の送風機500は、送風機本体510と、その送風機本体510が有するハウジング511を回転自在に支持する支持フレーム520と、ハウジング511および後述の排気筒513の位置を変化させる変位機構530とを備えている。
尚、図1では、送風機本体510が、その送風機本体510の内部構造の一部を透視した透視図で示されている。
送風機本体510は、ハウジング511、ファン512、排気筒513、およびファン回転モータ514を備えている。
ハウジング511は、中空の円柱形状を有している。そして、そのハウジング511に内蔵されたファン回転モータ514によって回転軸514a回りにファン512が回転駆動される。回転軸514aは、円柱形状のハウジング511の中心軸と合致している。ハウジング511の周面以外の上下両面のうち、後述の支持板521bと対向する上面に吸気口511aが開いている。また、ハウジング511の周面には排気口が空いている。
ハウジング511内でファン512が回転すると、その回転によって吸気口511aから図1の矢印Aが示すように空気がハウジング511内に取り込まれる。その空気は、ファン512の回転によってハウジング511内を内側面に沿って流れる。その結果、吸気口511aから、周面に空いた排気口へと向かう風が発生する。
排気筒513は、四角筒形状を有している。この排気筒513は、ハウジング511の周面の、上記の排気口が空いた箇所から突出している。また、その突出の方向は、排気口が空いた箇所における周面の接線方向に近い方向となっている。ファン512によって生じた風は、この排気筒513から図1の矢印Bが示すようにハウジング511外に排気される。排気筒513の突出方向が、上記のような周面の接線方向に近い方向となっているので、排気時にはハウジング511に、この排気における空気流の反動力が加わる、この反動力によりハウジング511は周面に沿う方向に押される。また、排気筒513は、図2に示す揺動軸513a回りに揺動自在に取り付けられている。この揺動軸513aは、図1の矢印Bが示す排気方向と交わる方向に延びている。
支持フレーム520は、固定台座522およびフレーム部分521を備えている。
固定台座522は、円板形状を有している。フレーム部分521は、2本の支柱521aと支持板521bとを有している。
2本の支柱521aは、固定台座522の縁に、この固定台座522の中心を挟んで相互に対向するように立設されている。各支柱521aには、後述の回転台座531を回転自在に支持するための支持溝521a_1が設けられている。
支持板521bは、固定台座522の中心上空を通過して延びて2本の支柱521aを相互に繋いでいる。この支持板521bの、固定台座522の中心と対向する位置には、ハウジング511を回転自在に支持する支軸521b_1が、固定台座522に向かって突出するように固定されている。ハウジング511は上面の中央部が、この支軸521b_1に、ベアリングを介して回転自在に取り付けられている。上記のように、ハウジング511は、排気時にはその排気における空気流の反動力により周面に沿う方向に押される。ハウジング511は、上記の支軸521b_1に回転自在に取り付けられているので、排気時の反動力で、この支軸521b_1を中心軸として周面に沿う方向(図1の矢印Cが示す方向)に回転する。つまり、上記の排気筒513は、ハウジング511の排気口から出た空気流をこの回転伴う周面の移動の上流側へと導くことで、その空気流の反動力でハウジング511をその移動の下流側へと回転させていることとなる。
さらに、ハウジング511は、支軸521b_1に沿って図中の上下方向に移動自在となるように、この支軸521b_1に取り付けられている。また、ハウジング511の上面と支持板521bとの間には、支軸521b_1が貫通するコイルバネ521b_2が、支持板521bとの間に後述のアームを挟んで配置されている。このコイルバネ521b_2によってハウジング511は、固定台座522に向かって付勢されている。
上記のようにハウジング511は、排気における空気流の反動力により、図1の矢印Cが示す方向に回転する。その結果、ファン512の回転軸514aや支軸521b_1等を中心とした円周上の各角度方向に、ハウジング511から風が送り出されることとなる。ここで、排気によるハウジング511の回転は、一定の回転周期での回転となる。
変位機構530は、回転台座531、内側周壁532、ハウジング案内部533、外側周壁534、排気筒案内部535、および台座回転モータ536を備えている。
尚、図1には、回転台座531の中央下部に配置された台座回転モータ536が、回転台座531、内側周壁532、および外側周壁534の各一部が切り取られて見える状態で示されている。
回転台座531は、上記の固定台座522よりも小さな円板形状を有している。この回転台座531は、固定台座522の中心と回転台座531の中心とが対向するように配置されている。そして、この回転台座531の縁が、2本の支柱521aそれぞれに設けられた支持溝521a_1にベアリングを介して嵌め込まれている。このような構造により、回転台座531は、2本の支柱521aによって、この回転台座531の中心周りに回動自在に支持されることとなっている。
内側周壁532は、回転台座531にハウジング511側に向かって立設された円筒形状の壁である。この内側周壁532の中心軸は、回転台座531の中心に合致している。内側周壁532の内面には、後述のハウジング案内部533を案内するハウジング案内溝532aが設けられている。このハウジング案内溝532aは、内側周壁532の内面を所定周期の正弦波状に蛇行している。そして、内側周壁532のハウジング511側の縁も、このハウジング案内溝532aの蛇行に沿って蛇行した形状となっている。
ハウジング案内部533は、ハウジング511の、回転台座531と対向する下面から内側周壁532の内側に向かって突出して先端が内側周壁532の内面側に折れ曲がった形状を有している。ハウジング511の下面は円形となっている。2本のハウジング案内部533が、この下面の縁から、この下面の中心を挟んで互いに対向するように突出している。そして、各ハウジング案内部533の先端が、ハウジング案内溝532aにベアリングを介して嵌り込んでいる。この構造により、各ハウジング案内部533の先端は、ハウジング案内溝532aの内部を移動できるようになっている。
外側周壁534は、回転台座531にハウジング511側に向かって内側周壁532を囲んで立設された円筒形状の壁である。この外側周壁534の中心軸は、回転台座531の中心に合致している。外側周壁534の内面には、後述の排気筒案内部535を案内するハウジング案内溝534aが設けられている。このハウジング案内溝534aは、外側周壁534の内面をハウジング案内溝532aの蛇行周期と同周期で正弦波状に蛇行している。そして、外側周壁534のハウジング511側の縁は、このハウジング案内溝534aの蛇行に沿って蛇行した形状となっている。
排気筒案内部535は、排気筒513の、回転台座531と対向する下面から外側周壁534の内側に向かって突出して先端が外側周壁534の内面側に折れ曲がった形状を有している。そして、この排気筒案内部535の先端が、ハウジング案内溝534aにベアリングを介して嵌り込んでいる。この構造により、排気筒案内部535の先端は、ハウジング案内溝532aの内部を移動できるようになっている。
台座回転モータ536は、上記のように2本の支柱521aに回転自在に支持されている回転台座531を回転駆動する。この回転駆動における回転周期は、排気時に上記のように回転するハウジング511の回転周期とは異なる回転周期となっている。
また、ここでは、この回転駆動は、回転方向についてはハウジング511の回転方向と同方向か逆方向か特定しないが、ハウジング511に対して回転台座531が相対回転するような駆動となっている。
台座回転モータ536の回転駆動により回転台座531と共に上記の内側周壁532と外側周壁534が、ハウジング511に対して相対回転する。その結果、内側周壁532のハウジング案内溝532aの中をハウジング案内部533の先端が移動し、外側周壁534のハウジング案内溝534aの中を排気筒案内部535の先端が移動する。
ハウジング511は、ハウジング案内部533の先端の移動により、ハウジング案内溝532aの蛇行に追随して、支軸521b_1に沿った図中の矢印Dが示す方向に上下動を繰り返す。さらに、排気筒513も、排気筒案内部535の先端の移動により、ハウジング案内溝534aの蛇行に追随して、その回転軸514aに沿った図中の矢印Eが示す方向に先端が上下する揺動を繰り返す。
ここで、図1から分かるように、2つのハウジング案内部533の並びの延長線上からずれた位置に排気筒案内部535が配置されている。このため、排気筒513の先端は、ハウジング511の上下動の位相とは異なる位相で上下動する。その結果、排気筒513の先端がハウジング511に対して相対的に上下動する。そして、排気筒513から、支軸521b_1を中心とした円周上の各角度方向に、その支軸521b_1と交わる上下方向に向きを変えながら風が送り出されることとなる。
ここで、このような送風機は、例えば多数のコンピュータが配置される室内等に、室内各所での過度の温度上昇を防ぐための風を発生させることを目的として設置される。上述したように、比較例の送風機500によれば、ハウジング511の回転により、室内各所に向けて風を送り出すことができる。しかしながら、上記のような室内に配置されたコンピュータは、互いに稼働状態に差が有り、そのために各コンピュータでの発熱の程度、即ち室内各所での温度上昇の程度にばらつきが生じることがある。比較例の送風機500では、風は、室内各所に満遍なく送り出される。一方で、比較例の送風機500では、各所における温度上昇の程度の高低に係らず冷却用の風が同じように送り出される。そのため、温度上昇の程度の高い箇所も低い箇所も同じように風が吹き付けられるので、室内をバランス良く冷却することが難しい。ここで、バランスの良い冷却のために、例えば送風機500の回転機構等を改良することが考えられる。しかしながら、回転機構等についてはコストの面から複雑化を避けたいという要望がある。
この比較例の送風機500に対し、以下に説明する実施形態では、簡単な構成で室内をバランス良く冷却するための工夫が施されている。
以下、上述の比較例の送風機500の説明と若干重複する部分もあるが、送風機及び送風システムの具体的な実施形態について詳細に説明する。
まず、第1実施形態について説明する。
図3は、送風システムの第1実施形態を示す模式的な斜視図である。また、図4は、図3の送風システムを、その送風システムが備えた送風機の内部構造に注目して示す模式図である。
以下、第1実施形態の送風システムについて、図3および図4の双方を参照して説明する。
本実施形態の送風システム10は、送風機100、複数の温度センサ200、および制御装置300を備えている。
ここで、図3および図4に示す送風機100は、送風機の第1実施形態に相当する。
本実施形態の送風機100は、送風機本体110と、その送風機本体110が有するハウジング111を回転自在に支持する支持フレーム120と、ハウジング111および後述の排気筒の位置を変化させる変位機構130とを備えている。
尚、図3では、送風機本体110が、その送風機本体110の内部構造の一部を透視した透視図で示されている。
送風機本体110は、ハウジング111、ファン112、排気筒113、およびファン回転モータ114を備えている。
ハウジング111は、中空の円柱形状を有している。そして、そのハウジング111に内蔵されたファン回転モータ114によって回転軸114a回りにファン112が回転駆動される。回転軸114aは、円柱形状のハウジング111の中心軸と合致している。ハウジング111の周面以外の上下両面のうち、後述の支持板121bと対向する上面に吸気口111aが開いている。また、ハウジング111の周面には排気口が空いている。このハウジング111が、周面以外の部分に吸気口が空いていて周面には排気口が空いているハウジングの一例に相当する。また、円柱形状のハウジング111における周面が、丸い周面の一例に相当する。尚、この丸い周面は、例えば楕円柱等といった円柱以外の形状の周面であっても良い。
ハウジング111内でファン112が回転すると、その回転によって吸気口111aから図3の矢印Fが示すように空気がハウジング111内に取り込まれる。このファン112はいわゆる遠心ファンであって、ハウジング111内に取り込まれた空気は、ファン112の回転によって生じる遠心力でハウジング111内を内側面に沿って流れる。その結果、吸気口111aから、周面に空いた排気口へと向かう風が発生する。このファン112が、空気流を生成するファンの一例に相当する。ここで、このような空気流を生成するファンは、遠心ファンに限るものではなく、例えば軸流ファン等であっても良い。
尚、本実施形態では、ファン回転モータ114の回転速度、即ちファン112の回転速度として、基本の回転速度(基本ファン速度)と、その基本ファン速度よりも速い回転速度(高速ファン速度)が予め定められている。後述の制御装置300がファン回転モータ114を基本ファン速度で駆動させると、ファン回転モータ114によってこの基本ファン速度でファン112が回転駆動される。また、制御装置300がファン回転モータ114を高速ファン速度で駆動させると、ファン回転モータ114によってこの高速ファン速度でファン112が回転駆動される。
排気筒113は、四角筒形状を有している。この排気筒113は、ハウジング111の周面の、上記の排気口が空いた箇所から突出している。また、その突出の方向は、排気口が空いた箇所における周面の接線方向に近い方向となっている。ファン112によって生じた風は、この排気筒113から図3の矢印Gが示すようにハウジング111外に排気される。排気筒113の突出方向が、上記のような周面の接線方向に近い方向となっているので、排気時にはハウジング111に、この排気における空気流の反動力が加わる。この反動力によりハウジング111は周面に沿う方向に押される。また、排気筒113は、図4に示す揺動軸113a回りに揺動自在に取り付けられている。この揺動軸113aは、図3の矢印Gが示す排気方向と交わる方向に延びている。
支持フレーム120は、固定台座122およびフレーム部分121を備えている。
固定台座122は、円板形状を有している。フレーム部分121は、2本の支柱121aと支持板121bとを有している。
2本の支柱121aは、固定台座122の縁に、この固定台座122の中心を挟んで相互に対向するように立設されている。各支柱121aには、後述の回転台座131を回転自在に支持するための支持溝121a_1が設けられている。
支持板121bは、固定台座122の中心上空を通過して延びて2本の支柱121aを相互に繋いでいる。この支持板121bの、固定台座122の中心と対向する位置には、ハウジング111を回転自在に支持する支軸121b_1が、固定台座122に向かって突出し、かつ回転自在にベアリングを介して取り付けられている。ハウジング111は上面の中央部が、この支軸121b_1に、ベアリングを介して回転自在に取り付けられている。上記のように、ハウジング111は、排気時にはその排気における空気流の反動力により周面に沿う方向に押される。ハウジング111は、上記の支軸121b_1に回転自在に取り付けられているので、排気時の反動力で、この支軸121b_1を中心軸として周面に沿う方向(図3の矢印Hが示す方向)に回転する。
つまり、上記の排気筒113は、ハウジング111の排気口から出た空気流をこの回転に伴う周面の移動の上流側へと導くことで、その空気流の反動力でハウジング111をその移動の下流側へと回転させていることとなる。この排気筒113が、空気流を、ハウジングの回転に伴う周面の移動の上流側へと導くことにより、その空気流の反動力でハウジングをその移動の下流側へと回転させる排気筒の一例に相当する。尚、本実施形態では、この排気筒における突出構造の一例として、周面の接線方向に近い方向に直線的に突出した構造を例示した。しかしながら、排気筒の突出構造はこのような方向に限るものではなく、例えば、周面の法線方向に突出した後、法線から離れる方向へと折れ曲がった構造等であっても良い。
さらに、ハウジング111は、支軸121b_1に沿って図中の上下方向に移動自在となるように、この支軸121b_1に取り付けられている。また、ハウジング111の上面と支持板121bとの間には、支軸121b_1が貫通するコイルバネ121b_2が、支持板121bとの間に後述のアームを挟んで配置されている。このコイルバネ121b_2によってハウジング111は、固定台座122に向かって付勢されている。
上記のようにハウジング111は、排気における空気流の反動力により、図3の矢印Hが示す方向に回転する。その結果、ファン112の回転軸114aや支軸121b_1等を中心とした円周上の各角度方向に、送風機本体110から風が送り出されることとなる。ここで、排気によるハウジング111の回転は、後述のストッパ141や押しアーム142の働きがなければ、一定の回転周期での回転となる。
以上に説明したようにハウジング111が回転自在に軸支される支持フレーム120が、回転自在な状態でハウジングを支持する支持部の一例に相当する。尚、回転自在な状態でのハウジングの支持構造は軸支に限るものではなく、例えばハウジングの周面を上記のような2本の支柱で、ベアリング等を介して挟んで支持する構造等であっても良い。
変位機構130は、回転台座131、内側周壁132、ハウジング案内部133、外側周壁134、排気筒案内部135、および台座回転モータ136を備えている。
尚、図3には、回転台座131の中央下部に配置された台座回転モータ136が、回転台座131、内側周壁132、および外側周壁134の各一部が切り取られて見える状態で示されている。
回転台座131は、上記の固定台座122よりも小さな円板形状を有している。この回転台座131は、固定台座122の中心と回転台座131の中心とが対向するように配置されている。そして、この回転台座131の縁が、2本の支柱121aそれぞれに設けられた支持溝121a_1にベアリングを介して嵌め込まれている。このような構造により、回転台座131は、2本の支柱121aによって、この回転台座131の中心周りに回動自在に支持されることとなっている。
内側周壁132は、回転台座131にハウジング111側に向かって立設された円筒形状の壁である。この内側周壁132の中心軸は、回転台座131の中心に合致している。内側周壁132の内面には、後述のハウジング案内部133を案内するハウジング案内溝132aが設けられている。このハウジング案内溝132aは、内側周壁132の内面を所定周期の正弦波状に蛇行している。そして、内側周壁132のハウジング111側の縁も、このハウジング案内溝132aの蛇行に沿って蛇行した形状となっている。
ハウジング案内部133は、ハウジング111の、回転台座131と対向する下面から内側周壁132の内側に向かって突出して先端が内側周壁132の内面側に折れ曲がった形状を有している。ハウジング111の下面は円形となっている。2本のハウジング案内部133が、この下面の縁から、この下面の中心を挟んで互いに対向するように突出している。そして、各ハウジング案内部133の先端が、ハウジング案内溝132aにベアリングを介して嵌り込んでいる。この構造により、各ハウジング案内部133の先端は、ハウジング案内溝132aの内部を移動できるようになっている。
外側周壁134は、回転台座131にハウジング111側に向かって内側周壁132を囲んで立設された円筒形状の壁である。この外側周壁134の中心軸は、回転台座131の中心に合致している。外側周壁134の内面には、後述の排気筒案内部135を案内するハウジング案内溝134aが設けられている。このハウジング案内溝134aは、外側周壁134の内面をハウジング案内溝132aの蛇行周期と同周期で正弦波状に蛇行している。そして、外側周壁134のハウジング111側の縁は、このハウジング案内溝134aの蛇行に沿って蛇行した形状となっている。
排気筒案内部135は、排気筒113の、回転台座131と対向する下面から外側周壁134の内側に向かって突出して先端が外側周壁134の内面側に折れ曲がった形状を有している。そして、この排気筒案内部135の先端が、ハウジング案内溝134aにベアリングを介して嵌り込んでいる。この構造により、排気筒案内部131の先端は、ハウジング案内溝132aの内部を移動できるようになっている。
台座回転モータ136は、上記のように2本の支柱121aに回転自在に支持されている回転台座131を回転駆動する。この回転駆動における回転周期は、排気時に上記のように回転するハウジング111の、後述のストッパ141や押しアーム142の働きがないと仮定したときの回転周期とは異なる回転周期となっている。
また、ここでは、この回転駆動は、回転方向についてはハウジング111の回転方向と同方向か逆方向か特定しないが、ハウジング111に対して回転台座131が相対回転するような駆動となっている。
台座回転モータ136の回転駆動により回転台座131と共に上記の内側周壁132と外側周壁134が、ハウジング111に対して相対回転する。その結果、内側周壁132のハウジング案内溝132aの中をハウジング案内部133の先端が移動し、外側周壁134のハウジング案内溝134aの中を排気筒案内部135の先端が移動する。
これにより、ハウジング111が、ハウジング案内部133の先端の移動により、ハウジング案内溝132aの蛇行周期で、支軸121b_1に沿った図中の矢印Jが示す方向に上下動を繰り返す。さらに、排気筒113も、排気筒案内部135の先端の移動により、ハウジング案内溝134aの蛇行周期で、その回転軸114aに沿った図中の矢印Kが示す方向に先端が上下する揺動を繰り返す。
ここで、図3から分かるように、2つのハウジング案内部133の並びの延長線上からずれた位置に排気筒案内部135が配置されている。このため、排気筒113の先端は、ハウジング111の上下動の位相とは異なる位相で上下動する。その結果、排気筒113の先端がハウジング111に対して相対的に上下動する。そして、排気筒113から、支軸121b_1を中心とした円周上の各角度方向に、その支軸121b_1と交わる上下方向に向きを変えながら風が送り出されることとなる。
本実施形態の送風機100は、以上に説明した要素に加えて、更に、ストッパ141と、押しアーム142と、アーム駆動モータ150と、磁気センサ160とを備えている。
ストッパ141は、第1ストッパアーム141aと第2ストッパアーム141bとを有している。
第1ストッパアーム141aは、一端が支軸121b_1に固定されている。そして、第1ストッパアーム141aは、ハウジング111の周面側へと延びている。上記のように支軸121b_1は、支持板121bに回転自在に取り付けられ、ハウジング111はこの支軸121b_1に回転自在に取り付けられている。その結果、この第1ストッパアーム141aは、ハウジング111の回転中心の回りに回転自在となっている。また、第1ストッパアーム141aの支軸121b_1とは反対側の端部は、排気筒113における、ハウジング111の回転に伴う移動方向下流側に達している。
第2ストッパアーム141bは、第1ストッパアーム141aの支軸121b_1とは反対側の端部に固定されている。そして、ハウジング111の回転による排気筒113の移動経路上に、その端部から突き出している。
押しアーム142は、第1押しアーム142aと第2押しアーム142bとを有している。
第1押しアーム142aは、一端が支軸121b_1に固定されている。そして、第1押しアーム142aは、ハウジング111の周面側へと延びている。上記のように支軸121b_1は、支持板121bに回転自在に取り付けられ、ハウジング111はこの支軸121b_1に回転自在に取り付けられている。その結果、この第1押しアーム142aは、ハウジング111の回転中心の回りに回転自在となっている。また、第1押しアーム142aの支軸121b_1とは反対側の端部は、排気筒113における、ハウジング111の回転に伴う移動方向上流側に達している。
第2押しアーム142bは、第1押しアーム142aの、支軸121b_1とは反対側の端部に固定されている。そして、排気筒113の移動経路上に、その端部から突き出している。
本実施形態では、排気筒113は、上記の第2ストッパアーム141bと第2押しアーム142bとによって、ハウジング111の回転に伴う移動方向の上流側と下流側とから若干の隙間を開けて挟まれている。
アーム駆動モータ150は、回転軸が支軸121b_1に電磁クラッチを介して連結されている。そして、この支軸121b_1に、上記のように2つのアーム141,142が固定されている。
このアーム駆動モータ150の電磁クラッチは、送風システム10への電源投入時点では、初期状態としてオフ状態となっている。電源投入中は、電磁クラッチは、後述するように制御装置300からの指示によって適宜にオンオフされる。また、電磁クラッチがオン状態のまま送風システム10の電源が遮断されたときには、電磁クラッチへの電力供給そのものが絶たれるのでオフ状態となる。
本実施形態では、このアーム駆動モータ150は、電磁クラッチのオン状態で支軸121b_1の回転を止めるブレーキの役割を担っている。このアーム駆動モータ150が、支軸121b_1の回転を止めることで、その支軸121b_1に固定されている第1ストッパアーム141aの回転が止められる。その結果、第2ストッパアーム141bが、排気筒113に、ハウジング111の回転に伴う移動方向の下流側から当接してそのハウジング111の回転を止めることとなる。
本実施形態では、以上に説明した2つのストッパアームを有するストッパ141が、排気筒の移動を遮ることでハウジングの回転を止めるストッパの一例に相当する。また、アーム駆動モータ150が、ストッパによる排気筒の移動の遮断と再開とを切り換える切換機構の一例に相当する。尚、本実施形態では、ストッパの一例として、ハウジングの回転中心から延びたストッパ141を例示した。しかしながら、ハウジングの回転を止めるストッパは、このようなストッパ141に限るものではない。ハウジングの回転を止めるストッパは、例えば、ハウジングの内側面や底面から延びて排気筒の移動を遮るもの等であっても良い。
また、本実施形態では、このアーム駆動モータ150は、電磁クラッチのオン状態で、排気の反動力でハウジング111が回転して進んでいく方向と同じ方向に支軸121b_1を回転する役割も担っている。さらに、アーム駆動モータ150は、支軸121b_1をこのように回転する際には、排気の反動力でのハウジング111の回転速度よりも速い回転速度で支軸121b_1を回転する。アーム駆動モータ150が、支軸121b_1をこのような方向および速度で回転することで、第1押しアーム142aはハウジング111の回転速度よりも速い回転速度で動かされる。その結果、第2押しアーム142bが、排気筒113をハウジング111の回転に伴う移動方向の上流側から押して、ハウジング111が排気の反動力での回転速度よりも速い回転速度で動かされることとなる。
アーム駆動モータ150の電磁クラッチがオフ状態にあるときには、ハウジング111の回転によって移動中の排気筒113によって第2ストッパアーム141bが押されるままに、ハウジング111の回転に追随して支軸121b_1が回転することとなる。
本実施形態では、アーム駆動モータ150における電磁クラッチのオンオフ、アーム駆動モータ150の回転が制御装置300によって制御される。
この制御装置300は、アーム駆動モータ150の回転を制御することで、ハウジング111の回転遮断や、第2押しアーム142bで排気筒113を押し動かすことよる空気流の向きの制御を担っている。この制御装置300は、送風システムにおいて空気流の向きを制御する制御装置の一例に相当する。
磁気センサ160は、上記の2本の支柱121aのうち図中の左側の支柱121aの内側面に1つ取り付けられている。この磁気センサ160での検出結果は、制御装置300にデータとして送られる。ここで、排気筒113の、回転台座131側を向いた下面には、図4に示すように永久磁石113bが固定されている。本実施形態では、排気筒113が、左側の支柱121aの方を向いたことが、制御装置300において磁気センサ160による永久磁石113bからの磁場の検出によって判定される。本実施形態では、左側の支柱121aの方に排気筒113が向いたときのアーム駆動モータ150の角度方向が後述のホームポジション(0°)として扱われる。
以上に説明した送風機100を有する送風システム10では、複数の温度センサ200は、この送風システム10が設置される室内で温度上昇が想定される各所に1つずつ配置される。この温度センサ200の具体的な設置場所としては、例えば多数のコンピュータが配置される室内における各コンピュータの近傍等が挙げられる。各温度センサ200では、温度検出が一定の時間間隔で行われる。そして、検出結果を示す温度データが、制御装置300へと送信される。また、各温度センサ200には、その温度センサ200を識別する識別番号が割り振られている。各温度センサ200は、温度データにその温度センサ200の識別番号を添付して制御装置300に送信する。
制御装置300は、上述したように、ファン回転モータ114の回転、アーム駆動モータ150の回転、および、アーム駆動モータ150が有する電磁クラッチのオンオフを制御する。
図5は、制御装置の内部構成を模式的に示す図である。
この図5に示すように、制御装置300は、CPU310、タイマ320、およびメモリ330を備えている。
CPU310は、後述する制御処理を実行するものである。
タイマ320は、ハウジング111の回転がストッパ141によって止められてからの経過時間を計測するためのものである。
メモリ330には、クラッチフラグ331、基本ファン速度332、高速ファン速度333、角度テーブル334、時間テーブル335、および指示テーブル336が記憶されている。
クラッチフラグ331は、アーム駆動モータ150における電磁クラッチがオン状態にあるか否かを示すフラグである。CPU310によって電磁クラッチをオンさせる旨の指示が出されたときに、CPU310によってメモリ330にクラッチフラグ331として「1」が記録される。そして、電磁クラッチをオフさせる旨の指示が出されたときにクラッチフラグ331として「0」が記録される。また、本実施形態では、送風システム10の電源遮断時点で、上述したように電磁クラッチが強制的にオフ状態となる。このため、本実施形態では、この電源遮断時点にもクラッチフラグ331として「0」が記録される。従って、送風システム10への電源投入時点では、メモリ330には、クラッチフラグ331の初期値として「0」が記録されていることとなっている。
基本ファン速度332は、上記のようにファン回転モータ114の基本の回転速度、即ちファン112の基本の回転速度である。そして、高速ファン速度333は、その基本ファン速度よりも速い回転速度である。
図6は、図5に示されている角度テーブル、時間テーブル、および指示テーブルを詳細に示す図である。
図6のパート(A)には角度テーブル334が示されている。パート(B)には、時間テーブル335が示されている。パート(C)には、指示テーブル336が示されている。
角度テーブル334は、各温度センサ200を示す識別番号1、2、…、nと、角度方向θ1、θ2、…、θnとが一対一に対応付けられたテーブルである。各角度方向は、各温度センサ200の配置場所に排気筒113を押しアーム142で向けるときのアーム駆動モータ150の角度方向である。この角度方向の基準となるホームポジションは、排気筒113を押しアーム142で図4中の左側の支柱121aの方に向けたときのアーム駆動モータ150の角度方向である。この角度テーブル334は、室内における各温度センサ200の配置場所を決定する設計時あるいは各温度センサ200の設置時に、設計者あるいは施工業者によって内容が記録される。
時間テーブル335は、複数の温度範囲と送風機停止時間t1、t2、…tnとが一対一に対応付けられたテーブルである。これら複数の温度範囲は、第1閾値温度D1未満の第1温度範囲、第1閾値温度D1以上で第2閾値温度D2未満の第2温度範囲、…、および第n閾値温度Dn以上の第n温度範囲である。本実施形態では、時間テーブル335において、温度が高い温度範囲ほど、長い送風機停止時間が対応付けられている。この時間テーブル335も、上記のような設計時あるいは設置時にメモリ330内に内容が記録される。
指示テーブル336は、上記の2つのテーブルとは異なり、後述の制御処理においてCPU310によって内容が記録されるものである。
詳細については後述するが、CPU310は、この制御処理で、角度テーブル334中の複数の角度方向θ1、θ2、…、θnの中から、アーム駆動モータ150に指示する角度方向θa、θb、…を抽出する。さらに、CPU310は、この制御処理で、時間テーブル335中の複数の送風機停止時間t1、t2、…tnの中から、アーム駆動モータ150の回転を実際に停止させる送風機停止時間ta、tb、…を抽出する。そして、CPU310は、それら抽出した角度方向θa、θb、…と送風機停止時間ta、tb、…とを一対一に対応付けて指示テーブル336に記録する。
以下、CPU310によって実行される制御処理について説明する。
図7は、図5に示すCPUによって実行される制御処理を表わすフローチャートの前半を示す図である。図8は、そのフローチャートの後半を示す図である。
このフローチャートが表わす制御処理は、上記の第1閾値温度D1以上の温度が検出された場合に、そのような温度を検出した温度センサ200の方に排気筒113を向かせ、ハウジング111の回転を検出温度に応じた時間だけ止めるという処理である。この制御処理は、CPU310によって、図3および図4に示す送風システム10に電源が投入されている間繰返し実行される。
このフローチャートが表わす制御処理は、送風システム10に電源が投入されるとスタートする。送風システム10では、電源が投入されると、複数の温度センサ200から制御装置300への温度データの送信が始まる。
制御処理がスタートすると、まず、CPU310が、メモリ330から基本ファン速度332を読出し、ファン回転モータ114をその基本ファン速度332で駆動させる(ステップS101)。すると、その基本ファン速度332でファン112が回転を始め風が発生して排気筒113からの排気が始まる。そして、その排気の反動力でハウジング111が回転を開始する。
次に、CPU310は、各温度センサ200からの温度データを取得する(ステップS102)。
すると、CPU310は、取得した各温度データが、第1閾値温度D1以上という高い温度を示しているか否かを判定する(ステップS103)。
第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データが1つも無い場合(ステップS103におけるNo判定)、CPU310は、次のステップS104を実行する。
ステップS104では、CPU310は、アーム駆動モータ150の電磁クラッチがオン状態にあるか否かを、メモリ330に記録されているクラッチフラグ331が「1」であるか否かを確認することによって判定する。
ここで、上述したようにこの図7および図8のフローチャートが表わす制御処理は、送風システム10に電源が投入されている間繰返し実行される。電源投入直後の初回の制御処理では、電磁クラッチはオフ状態にあるので、ステップS104ではその旨が判定され(ステップS104におけるNo判定)、処理はステップS102まで戻る。一方、2回目以降の制御処理では、前回の制御処理において電磁クラッチが後述のステップS109の処理でオン状態となっている場合がある。この場合には、ステップS104で電磁クラッチがオン状態にあると判定される(ステップS104におけるYes判定)。そして、CPU310が電磁クラッチをオフさせ(ステップS105)、処理がステップS102まで戻ることとなる。
一方、上記のステップS103で第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データがあると判定された場合(ステップS103におけるYes判定)、CPU310は、次のステップS106を実行する。
ステップS106では、CPU310が、第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データに添付された識別番号に角度テーブル334中で対応付けられている角度方向を、その角度テーブル334から取得する。また、CPU310は、上記の温度データが示す温度が属する温度範囲に時間テーブル335中で対応付けられている送風機停止時間を、その時間テーブル335から取得する。さらに、CPU310は、取得した角度方向と送風機停止時間とを互いに対応付けて指示テーブル336に記録する。第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データの数が1つの場合には、この指示テーブル336には角度方向と送風機停止時間との組が1組記録される。また、第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データの数が複数の場合には、この指示テーブル336には角度方向と送風機停止時間との組が複数組記録される。また、複数組が記録される場合には、CPU310は、指示テーブル336の1段目から、角度方向の昇順で角度方向と送風機停止時間との組を記録する。
次に、CPU310は、アーム駆動モータ150の電磁クラッチがオン状態にあるか否かを、図5のクラッチフラグ331に記録されているクラッチフラグが「1」であるか否かを確認することによって判定する(ステップS107)。
電磁クラッチがオフ状態にある場合(ステップS107におけるNo判定)、CPU310は、左側の支柱121aの方を排気筒113が向いて上記の磁気センサ160で磁場が検出されるまで待機状態となる。そして、CPU310は、磁気センサ160で磁場が検出されると、その時点におけるアーム駆動モータ150の角度方向をホームポジションとして検出する(ステップS108)。このようにホームポジションが検出されると、CPU310は電磁クラッチをオンさせる(ステップS109)。また、このステップS109では、CPU310は、メモリ330にクラッチフラグ331として「1」を上書きする。
本実施形態では、アーム駆動モータ150は、回転駆動について任意の角度方向を指定できるステッピングモータである。そして、このステッピングモータは、角度方向の基準となるホームポジションを内部に有している。しかしながら、本実施形態では、アーム駆動モータ150がどの角度方向を向いているときに電磁クラッチがオン状態となるかは不明である。従って、アーム駆動モータ150が元々持っているホームポジションとストッパアーム141や押しアーム142の向きとの対応も不明となってしまう。そこで、本実施形態では、アーム駆動モータ150が元々持っているホームポジションとは別に上記のようなホームポジションが検出された時点で、CPU310が電磁クラッチをオンさせる。そして、電磁クラッチのオン以降は、その検出されたホームポジションがアーム駆動モータ150の角度方向の基準として使われる。
また、上述したように、2回目以降の制御処理では、前回の制御処理において電磁クラッチが既にオン状態となっている場合がある。この場合には、ステップS107で電磁クラッチがオン状態にある旨が判定され(ステップS107におけるYes判定)、ホームポジションの検出と電磁クラッチのオンとが省略される。
次に、CPU310は、アーム駆動モータ150に対して次のように角度方向を指示する(ステップS110)。このステップS110では、CPU310は、指示テーブル336中の角度方向のうち、アーム駆動モータ150に対して未指示の角度方向の中で最上段に記録されている角度方向を指示する。このように角度方向が指示されると、アーム駆動モータ150が回転を開始する。すると、図3に示す押しアーム142によってハウジング111が排気の反動力での回転速度よりも速い回転速度で動かされる。その結果、排気筒113が、上記の第1閾値温度D1以上という高い温度を検出した温度センサ200の方に向かって移動する。
そして、CPU310は、アーム駆動モータ150がその指示した角度方向に達すると、今度は、アーム駆動モータ150の回転を停止させる(ステップS111)。
ここで、図3〜図5において図示は省略されているが、本実施形態の送風システム10は、ファン回転モータ114やアーム駆動モータ150や台座回転モータ136に電源を供給する電源装置を備えている。CPU310は、この電源装置に対して各種指示信号を送信することで、各種モータの回転の開始や停止、またアーム駆動モータ150の電磁クラッチのオンオフ等を制御している。
続いて、CPU310は、図5の高速ファン速度333をメモリ330から読出し、ファン回転モータ114のファン速度を、基本ファン速度332からその高速ファン速度333に切り替える(ステップS112)。すると、それまで基本ファン速度332で回転していたファン112が、今度は高速ファン速度333で回転を始める。
さらに、CPU310は、回転の停止を指示してからの経過時間をタイマ320で監視する(ステップS113)。そして、CPU310は、その経過時間が、指示テーブル336においてその指示した角度方向に対応付けられている送風機停止時間に達すると(ステップS113におけるYes判定)、次のステップS114に進む。
ステップS114では、CPU310は、図5の基本ファン速度332をメモリ330から読出し、ファン回転モータ114のファン速度を、高速ファン速度333からその基本ファン速度332に切り替える(ステップS114)。すると、ファン112の回転速度が、高速ファン速度333から基本ファン332速度に戻る。
ここまでの処理により、上記のような高い温度を検出した温度センサ200の方に排気筒113から、高速ファン速度333でのファン回転によって生じた風が送風機停止時間の間排出され続けることとなる。
次に、CPU310は、指示テーブル336において、今回指示した角度方向の次の段に未指示の角度方向が記録されているか否かを判定する(ステップS115)。
次の段に未指示の角度方向が記録されている場合(ステップS115におけるYes判定)、処理がステップS110まで戻ってステップS110〜ステップS114の処理が繰り返される。
一方、今回指示した角度方向が指示テーブル336の最下段の角度方向であった場合(ステップS115におけるNo判定)、CPU310は、アーム駆動モータ150に角度方向として「0°」即ちホームポジションを指示する(ステップS116)。そして、CPU310は、アーム駆動モータ150がホームポジションに達すると、指示テーブル336をリセットして記録内容を全て削除する(ステップS117)。このステップS117の終了後、処理は、ステップS102まで戻る。
以上に説明した制御処理により、今回高い温度を検出した温度センサ200があった場合に、その温度センサ200の方に風を集中的に吹きつけながらハウジング111が一回転する。そして、ハウジング111が一回転してホームポジションに戻ると、次回の制御処理によるハウジング111の回転が始まる。本実施形態ではこのような制御処理が、送風システム10の電源投入中、繰返し実行される。
以上に説明した本実施形態の送風システム10によれば、送風システム10が設置された冷却対象の室内において特に温度が高くなっている高温箇所には、送風機100から集中的に冷却用の風が送出される。その結果、冷却対象の室内各所での温度上昇の程度にばらつきがあったとしても、室内がバランス良く冷却されることとなる。
また、本実施形態では、ストッパ141は、ハウジング113の回転中心の回りに回転自在な第1ストッパアーム141aと、その先端に保持され排気筒113の移動経路上に突き出した第2ストッパアーム141bとを有している。そして、アーム駆動モータ150が、第1ストッパアーム141aの回転を止めるブレーキの役割を担っている。また、アーム駆動モータ150において電磁クラッチがオフ状態となることでそのブレーキは開放される。本実施形態では、上記のような2つのアームを有したストッパ141と、アーム駆動モータ150の電磁クラッチのオンオフという簡単な構成により排気筒113延いてはハウジング111の回転停止と回転再開とが簡単に制御されることとなっている。
このことは、送風機および送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態では、上記ストッパが、第1アームと第2アームとを有するものとなっている。第1アームは、上記ハウジングの回転中心側から周面側へと延びた、その回転中心の回りに回転自在なものである。第2アームは、上記アームに保持されて排気筒の移動経路上に突き出したものである。そして、上記切換機構が、上記第1アームの回転を止める、解放自在なブレーキとなっている。
本実施形態のストッパ141は、第1アームと第2アームとを有するストッパの一例にも相当している。また、本実施形態の第1ストッパアーム141aが、上記第1アームの一例に相当する。また、本実施形態の第2ストッパアーム141bが、上記第2アームの一例に相当する。また、本実施形態のアーム駆動モータ150は、第1アームの回転を止める、解放自在なブレーキとなった切換機構の一例にも相当している。尚、本実施形態では、解放自在なブレーキとなった切換機構の一例として、電磁クラッチを有するアーム駆動モータ150を例示した。しかしながら、このような切換機構は電磁クラッチを有するアーム駆動モータ150に限るものではなく、例えば第1アームを解除自在に係止するロック機構等であっても良い。
また、本実施形態では、押しアーム142がアーム駆動モータ150によって回転駆動されることで、排気筒113延いてはハウジング111が、排気の反動力による回転方向に押し動かされる。このような構造により、本実施形態では、排気筒113が、集中的に排気すべき方向に、排気の反動力による回転速度よりも早く向けられる。その結果、室内における高温箇所に早く風の吹き付けが行われ、延いては室内が早く冷却されることとなっている。
このことは、送風機および送風システムに対し、上記排気筒を、上記ハウジングの回転方向に押し動かす駆動機構を備えたという応用形態が好適であることを意味している。
本実施形態の押しアーム142と支軸121b_1とアーム駆動モータ150とを合わせたものが、上記駆動機構の一例に相当する。尚、ここでは、この駆動機構の一例として、ハウジング111の回転中心から延びた押しアーム142を有した機構を例示した。しかしながら、この駆動機構は、この押しアーム142を有した機構に限るものではない。この駆動機構は、例えば、ハウジングの内側面や底面から延びて排気筒を押し動かすアーム等を有した機構であっても良い。
また、本実施形態では、ファン112は、ハウジング111の回転が止められている間は、ハウジングが回転しているときの基本ファン速度よりも速い高速ファン速度で回転する。これにより、排気筒113が集中的に排気すべき方向に向けられハウジング111の回転が止められている間、ファン112の高速回転により冷却用の風が多めに排気される。その結果、室内が一層早く冷却されることとなっている。
このことは、送風機および送風システムに対し、上記ファンは、上記ストッパが上記排気筒の移動を遮断している場合には、その排気筒が移動している場合よりも速く回転するものであるという応用形態が好適であることを意味している。
本実施形態のファン112は、排気筒の移動の遮断中に移動中よりも早く回転するファンの一例にも相当している。
また、本実施形態では、変位機構130によって、排気筒113は、ハウジング111の回転中に先端が図4の矢印Kが示す上下方向に変位するように揺動される。本実施形態では、排気筒113の揺動によって排気方向が上下方向に変位されることとなり、室内の上下方向についても各所に満遍なく排気が行われる。その結果、室内が効率的に冷却されることとなっている。
このことは、送風機および送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態では、上記排気筒が、上記ハウジングの回転軸と交わる揺動軸の回りに揺動自在に上記周面に取り付けられたものとなっている。そして、この応用形態は、上記排気筒に連結されて、その排気筒を上記揺動軸の回りに揺動させる排気筒変位機構を備えている。
本実施形態の排気筒113は、揺動自在にハウジングの周面に取り付けられた排気筒の一例にも相当している。また、本実施形態の変位機構130は、排気筒を揺動させる排気筒変位機構の一例にも相当している。
また、本実施形態では、変位機構130は、回転台座131、台座回転モータ136、排気筒113から延びた排気筒案内部135、および、排気筒案内部135の先端を案内するハウジング案内溝134aが設けられた外側周壁134を有している。これにより、回転台座131を台座回転モータ136で回転するという単純な操作により、ハウジング案内溝134aに沿って排気筒113が揺動されることとなっている。
このことは、排気筒変位機構を備えたという応用形態に対し、次のような応用形態が更に好適であることを意味している。
この応用形態では、上記排気筒変位機構が、台座と、台座回転機構と、排気筒案内部と、排気筒案内周壁とを備えている。台座は、上記ハウジングの回転軸に交わって広がった表面を有し、上記支持部に、その回転軸の回りに回転自在に支持されたものである。台座回転機構は、上記台座を上記ハウジングに対して相対的に回転させるものである。排気筒案内部は、上記排気筒から上記台座に向かって延び、先端がその台座の表面に沿い上記回転軸から離れる方向に曲がったものである。排気筒案内周壁は、上記台座から上記ハウジングに向かって、上記回転軸を囲んで円筒状に立ち上がった周壁であって、内面に、次のような排気筒案内溝が設けられたものである。排気筒案内溝は、上記台座からの距離を変えつつその内面を周回する、上記排気筒案内部の上記先端が移動自在に嵌ることで、上記台座の回転につれてその排気筒案内部を案内するものである。
本実施形態の変位機構130は、上記の排気筒変位機構の一例にも相当している。また、本実施形態の回転台座131が、排気筒変位機構が有する台座の一例に相当する。また、本実施形態の台座回転モータ136が、排気筒変位機構が有する台座回転機構の一例に相当する。また、本実施形態の排気筒案内部135が、排気筒から延びた排気筒案内部の一例に相当する。また、本実施形態の外側周壁134が、排気筒案内溝が設けられた排気筒案内周壁の一例に相当する。
また、本実施形態では、変位機構130によって、ハウジング111も、回転中に図4の矢印Jが示す上下方向に変位される。これにより、排気筒113の上下方向の向きがこのハウジング111の上下動によっても変位されることとなる。その結果、例えば上記のような排気筒113の上下方向の変位と組み合わせて排気筒113の振れ幅を大きくするといった運用が可能となる。そして、そのような運用により室内の上下方向について一層広範に排気することができる。
このことは、送風機および送風システムに対し、上記ハウジングに連結されて、そのハウジングの回転方向と交わる方向にそのハウジングの位置を変化させるハウジング変位機構を備えたという応用形態が好適であることを意味している。
本実施形態の変位機構130が、ハウジングの位置を変化させるハウジング変位機構の一例に相当する。
また、本実施形態では、変位機構130は、回転台座131、台座回転モータ136、ハウジング111から延びたハウジング案内部133、および、ハウジング案内部133の先端を案内するハウジング案内溝132aが設けられた内側周壁132を有している。これにより、回転台座131を台座回転モータ136で回転するという単純な操作により、ハウジング案内溝132aに沿ってハウジングの位置が変位されることとなっている。
このことは、ハウジング変位機構を備えたという応用形態に対し、次のような応用形態が更に好適であることを意味している。
この応用形態では、上記ハウジング変位機構が、台座と、台座回転機構と、ハウジング案内部と、ハウジング案内周壁とを備えている。台座は、上記ハウジングの回転軸に交わって広がった表面を有し、上記支持部に、その回転軸の回りに回転自在に支持されたものである。台座回転機構は、上記台座を上記ハウジングに対して相対的に回転させるものである。ハウジング案内部は、上記ハウジングから上記台座に向かって延び、先端がその台座の表面に沿い上記回転軸から離れる方向に曲がったものである。ハウジング案内周壁は、上記台座から上記ハウジングに向かって、上記回転軸を囲んで円筒状に立ち上がった周壁であって、内面に、次のようなハウジング案内溝が設けられたものである。ハウジング案内溝は、上記台座からの距離を変えつつその内面を周回する、上記ハウジング案内部の上記先端が移動自在に嵌ることで、上記台座の回転につれてそのハウジング案内部を案内するものである。
本実施形態の変位機構130は、上記のハウジング変位機構の一例にも相当している。また、本実施形態のハウジング案内部133が、ハウジングから延びたハウジング案内部の一例に相当する。また、本実施形態の内側周壁132が、ハウジング案内溝が設けられたハウジング案内周壁の一例に相当する。
また、本実施形態では、冷却対象の室内の各箇所に設置された複数の温度センサ200での検知温度に基づいて、制御装置300がストッパ141によるハウジング111の回転停止および回転再開を制御している。これにより、冷却対象の室内で特に温度が高くなっている箇所に確実に風が排出されることとなっている。
このことは、送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態は、上記送風機が設置されてその送風機からの空気流が届くエリア内の、上記ハウジングの回転方向に異なった各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備えている。そして、この応用形態では、上記制御装置が、上記複数の温度センサから検知温度を取得し、その取得した検知温度に基づいて上記切換機構を稼働させるものとなっている。
本実施形態の複数の温度センサ200が、エリア内の各箇所の温度を検知する複数の温度センサの一例に相当する。また、本実施形態の制御装置300は、検知温度に基づいて上記切換機構を稼働させる制御装置の一例にも相当している。
また、本実施形態では、制御装置300が、メモリ330内に、排気筒113を向けるべき各角度方向と、ハウジング111の回転停止の可否判断の閾値となる第1閾値温度D1とを記憶している。そして、制御装置300は、第1閾値温度D1以上の高い温度を検知した温度センサ200に対応した角度方向を、アーム駆動モータ150に指示する。これにより、室内で特に温度が高くなっている箇所に一層確実に風が排出されることとなっている。
このことは、送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態は、上記各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備えている。また、この応用形態では、上記制御装置が、上記各箇所に空気流を向かわせる、各温度センサに対応した上記ストッパの各遮断位置と、予め決められた閾値温度とを記憶している。そして、この制御装置は、各温度センサから検知温度を取得し、その閾値温度を超えた検知温度を取得した温度センサに対応した遮断位置で上記ストッパに上記排気筒の移動を遮らせるものとなっている。
本実施形態の制御装置300は、閾値温度を超えた検知温度を取得した温度センサに対応した遮断位置で上記ストッパに上記排気筒の移動を遮らせる制御装置の一例にも相当している。
また、本実施形態では、制御装置300は、ハウジング111の回転停止を指示するに当たり、温度センサでの検知温度が、時間テーブル335中の高い温度範囲に属しているほど長くハウジング111の回転を停止させる。これにより、温度が高くなっている箇所に集中的に風が排出される際に、その箇所の温度が高いほど長時間に亘って風がその箇所に向けて排出されるので効率的である。
このことは、送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態は、上記各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備えている。また、この応用形態では、上記制御装置が、上記各箇所に空気流を向かわせる、各温度センサに対応した上記ストッパの各遮断位置を記憶している。そして、この制御装置が、上記温度センサから検知温度を取得し、その温度センサに対応する遮断箇所で、その検知温度が高いほど長く上記ストッパに上記排気筒の移動を遮らせるものとなっている。
本実施形態の制御装置300は、検知温度が高いほど長く上記ストッパに上記排気筒の移動を遮らせる制御装置の一例にも相当している。
次に、第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、上述の第1実施形態とは、ストッパ、押しアーム、アーム駆動モータ、および制御装置が異なっている。以下では、この第2実施形態について、これらの相違点に注目して説明を行う。
図9は、送風システムの第2実施形態を、その送風システムが備えた送風機の内部構造に注目して示す模式図である。
尚、この図9では、図4に示す第1実施形態の送風システム10の構成要素と同等な構成要素については図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
本実施形態の送風システム20では、アームの一部が可動する可動ストッパ601および可動押しアーム602を備えている。これら2つのアームは、互いに同等な可動構造を有している。以下では、可動ストッパ601および可動押しアーム602の可動構造について、可動ストッパ601の可動構造を代表例として説明する。
図10は、可動ストッパの可動構造を詳細に示す図である。
図10のパート(A)には、可動ストッパ601の側面図が示されている。また、パート(B)には、可動ストッパ601の上面図が示されている。
可動ストッパ601は、一端が図9の支軸121b_1に固定された固定アーム601aと、この固定アーム601aの他端に、図9および図10中の矢印L方向に回動自在に保持された回動アーム601bとを備えている。
また、可動ストッパ601は、回動アーム601bを回動させる回動モータ601cを備えている。この回動モータ601cは、固定アーム601aの上記の他端に搭載されている。そして、この回動モータ601cの回転軸と回動アーム601bとが、互いに噛み合った2つのギア601dによって連結されている。
回動モータ601cが回転すると回転軸の動きが、2つのギア601dを介して回動アーム601bに伝わり、その結果、回動アーム601bが矢印L方向に回動する。本実施形態では、この回動アーム601bの回動量は、約90°となっている。即ち、回動アーム601bは、図9に実線で示されている第1位置P1と、その第1位置から約90°回動した第2位置P2との2つの位置を取り得る。
図9に示されているように、第1位置P1は、排気筒113の移動経路上に回動アーム601bが突き出して、その排気筒113の移動を遮断する遮断位置である。また、第2位置P2は、固定アーム601aと同方向に延びた、排気筒113の移動経路から外れた退避位置である。この回動アーム601bの位置の、第1位置P1と第2位置P2との間での切替えは、後述するように制御装置700が回動モータ601cを駆動させることによって行われる。
本実施形態の可動押しアーム602も、このストッパ601と同様の可動構造を有している。そして、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの固定アームは、回動アームを保持している先端が排気筒113の幅よりも若干広めに開くように、支軸121b_1に固定されている。
これら2つの回動アームの位置は、送風システム20への電源投入時点では、初期状態として第2位置P2となっている。電源投入中は、回動アームの位置は、後述するように制御装置700によって適宜に切替えられる。また、回動アームの位置が第1位置P1であるときに送風システム20の電源が遮断されたときには、回動アームの位置が第2位置P2に切替えられた後に電源が落とされる。
本実施形態では、温度センサ200での検知温度が、上記の第1閾値温度D1未満となっている間は、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームが上記の第2位置P2に退避した状態となる。その結果、ハウジング111は、ストッパ601および押しアーム602に回転を遮られることなく、排気の反動力で回転を続ける。
そして、温度センサ200での検知温度が1つでも第1閾値温度D1以上となると、可動ストッパ601および可動押しアーム602が移動中の排気筒113を挟む位置まで、支軸121b_1が回転駆動される。そして、その位置で、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームが上記の第1位置P1まで回動される。その回動により、排気筒113が、2の回動アームによって挟まれる。その後、そのように回動アームで挟んだ状態で、さらに支軸121b_1が回転駆動されることで、ハウジング111が押し動かされて排気筒113が、風を排出すべき方向に向けられる。
このように、本実施形態では、移動中の排気筒113が可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームによって言わば捕捉される構造となっている。このため、本実施形態では、移動中の排気筒113の位置を検出するための位置センサ603が、図9に示すように、外側周壁134の上端に、360°に亘って周回するように取り付けられている。この位置センサ603は、排気筒113の下面に取り付けられている永久磁石113bが発する磁場の位置を検出することでこの排気筒113の位置を検出する。位置センサ603での検出結果は、制御装置700に送信される。
また、本実施形態のアーム駆動モータ604は、上述の第1実施形態のアーム駆動モータ150の回転軸が電磁クラッチを介して支軸121b_1と連結されていたのに対し、支軸121b_1に固定的に回転軸が連結されている。また、本実施形態のアーム駆動モータ604は、第1実施形態のアーム駆動モータ150と同様にステッピングモータであり、ホームポジションを有している。本実施形態では、上記のようにアーム駆動モータ604の回転軸が支軸121b_1に固定的に連結されているので、アーム駆動モータ604のホームポジションが、この送風機600でのホームポジションとして使われる。
次に、本実施形態の制御装置700について説明する。
この制御装置700は、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームによる排気筒113の捕捉、捕捉後のアーム駆動モータの回転等を制御する。
図11は、制御装置の内部構成を模式的に示す図である。
尚、この図11では、図5に示す第1実施形態の制御装置300の構成要素と同等な構成要素については図5と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
本実施形態の制御装置700は、第1実施形態とは異なる構成要素として、後述の制御処理を実行するCPU710と、アームフラグ721が記録されるメモリ720と備えている。
アームフラグ721は、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームの位置が上記の第1位置P1にあるか否か、即ち、2つの回動アームによって排気筒113が捕捉されているか否かを示すフラグである。CPU310によって回動アームの位置が第1位置P1に切り替えられたときに、そのCPU310によってアームフラグ721として「1」が記録される。そして、回動アームの位置が第2位置P2に切り替えられたときにアームフラグ721として「0」が記録される。また、本実施形態では、送風システム20の電源遮断時点で、上述したように回動アームの位置が強制的に第2位置P2に切り替えられる。このため、本実施形態では、メモリ720には、この電源遮断時点にもアームフラグ721として「0」が記録される。
次に、CPU710によって実行される制御処理について説明する。
尚、本実施形態では、このCPU710による制御処理を表わすフローチャートの後半は、図8に示す第1実施形態の制御処理を表わすフローチャートの後半と同じである。そこでは、以下では、CPU710による制御処理を表わすフローチャートの前半についてのみ説明し、後半については重複説明を割愛する。
図12は、図11に示すCPUによって実行される制御処理を表わすフローチャートの前半を示す図である。
尚、この図12に示すフローチャートの前半にも、図7に示す第1実施形態の制御処理を表わすフローチャートの前半と同等なステップが含まれている。図12では、この同等なステップについては、図7と同じステップ番号が付されており、以下では、同等なステップについての重複説明を省略する。
送風システム20に電源が投入されて制御処理がスタートすると、CPU710は、ステップS101でファン回転モータ114を基本ファン速度で駆動させる。そして、CPU710は、ステップS102およびステップS103において、温度データの中に、上記の第1閾値温度D1以上という高い温度を示すものが1つでもあるか否かを判定する。
第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データが1つも無い場合(ステップS103におけるNo判定)、CPU710は、次のステップS201を実行する。
ステップS201では、CPU710は、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動アームの位置が上記の第1位置P1にあるか否かを判定する。CPU710は、この判定を、図11のメモリ720に記録されているアームフラグ721が「1」であるか否かを確認することによって行う。
ここで、この制御処理は、送風システム20に電源が投入されている間繰返し実行される。電源投入直後の初回の制御処理では、回動アームの位置は第2位置P2にある。そのため、初回の制御処理では、ステップS201ではその旨が判定され(ステップS201におけるNo判定)、処理はステップS102まで戻る。一方、2回目以降の制御処理では、前回の制御処理において回動アームの位置が後述のステップS207の処理で第1位置P1となっている場合がある。この場合には、ステップS201で回動アームの位置が第1位置P1にあると判定される(ステップS201におけるYes判定)。
このときには、CPU710が、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動モータを、回動アームが第2位置P2に位置するまで回動させ(ステップS202)、処理がステップS102まで戻ることとなる。
一方、上記のステップS102で第1閾値温度D1以上の温度を示す温度データがあると判定された場合(ステップS103におけるYes判定)、ステップS106によってCPU710が、角度方向および送風機停止時間の取得と記録を行う。
次に、CPU710は、回動アームの位置が第1位置P1にあるか否かを、図5のアームフラグ721に記録されているアームフラグが「1」であるか否かを確認することによって判定する(ステップS203)。
回動アームの位置が第1位置P1にはなく第2位置P2にあった場合(ステップS203におけるNo判定)、CPU710は次のステップS204を実行する。
ステップS204では、CPU710は、現時点での排気筒113の位置を、上記の位置センサ603から送信されてくる検出結果によって把握する。次に、CPU710は、その把握した位置を、アーム駆動モータ604のホームポジションを基準とした角度方向に換算する。そして、CPU710は、その換算した角度方向までアーム駆動モータ604を回転駆動させることで、可動ストッパ601および可動押しアーム602を、上記のステップS204で把握した位置まで動かす(ステップS205)。
続いて、CPU710は、移動後の時点での排気筒113の位置の把握および上記の換算を行い、その換算した角度方向が、移動後のアーム駆動モータ604の角度方向と一致するか否かを判定する(ステップS206)。
両者が不一致であった場合(ステップS206におけるNo判定)、処理がステップS204まで戻り、排気筒113の位置の把握、可動ストッパ601および可動押しアーム602の移動、移動後の一致判定が繰り返される。これらステップS204とステップS205の処理は、ステップS206において両者が一致したと判定されるまで(ステップS206におけるYes判定)繰り返される。
ステップS206で両者が一致したと判定されると、CPU710が、可動ストッパ601および可動押しアーム602それぞれの回動モータを、回動アームが第1位置P1に位置するまで回動させる(ステップS207)。これにより、排気筒113が2つの回動アームによって捕捉されることとなる。
排気筒113の捕捉後は、図8に示す第1実施形態での処理と同じ処理が行われ、冷却対象の室内で、温度センサ200で高い温度が検知された箇所に向かって、集中的に風の排出が行われる。そして、以上に説明した制御処理が、送風システム20への電源投入中は繰返し実行される。
以上に説明した第2実施形態でも、上述した第1実施形態と同様に高い温度が検知された箇所に向けて集中的に風の排出が行われるので、室内各所での温度上昇の程度にばらつきがあったとしても、室内がバランス良く冷却されることとなる。
また、本実施形態では、可動ストッパ601が、アーム駆動モータ604で回転駆動される支軸121b_1に固定された固定アーム601aと、その先端に上記の第1位置P1と第2位置P2との間で回動自在に保持された回動アーム601bとを有している。そして、固定アーム601aに搭載された回動モータ601cが、回動アーム601bの位置の切り替えを担っている。そして、回動アーム601を排気筒113の移動経路から外れた第2位置P2に配置することで、全ての温度センサ200の検知温度が低温であるときの排気筒113の移動を自由とすることができる。このため、アーム駆動モータ604の回転軸と、固定アーム601aが固定された支軸121b_1との固定的な連結が可能となっている。その結果、アーム駆動モータ604の構造が簡単で済むと共に、アーム駆動モータ604が元々有しているホームポジションをこの送風システム20でのホームポジションとして利用することができるので処理が簡単となっている。
このことは、送風機および送風システムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。
この応用形態では、上記ストッパが、第1アームと第2アームとを有するものとなっている。第1アームは、上記ハウジングの回転中心側から周面側へと延びた、その回転中心の回りに回転自在なものである。第2アームは、上記アームに保持されて上記排気筒の移動経路上に突き出したものである。そして、この応用形態では、上記切換機構が、上記第2アームを駆動することによりその第2アームの位置を、上記排気筒の移動経路上の遮断位置とその移動経路から外れた待避位置とに切り換えるものとなっている。
本実施形態の可動ストッパ601が、第2アームの位置を遮断位置と待避位置とに切り換えるという形態において第1アームと第2アームとを有するストッパの一例に相当する。また、本実施形態の固定アーム601aが、その形態における第1アームの一例に相当する。また、本実施形態の回動アーム601bが、その形態における第2アームの一例に相当する。そして、本実施形態の回動モータ601cが、第2アームの位置を遮断位置と待避位置とに切り換える切換機構の一例に相当する。また、ここでは、第2アーム(回動アーム601)の駆動方法としてを回転駆動を例示したが、この駆動方法は回転駆動に限るものではなく、例えばスライド駆動等であっても良い。
尚、上記では、送風機の具体的な実施形態として、排気筒が、移動経路を遮るストッパと、排気筒延いてはハウジングを押し動かす押しアームとで挟まれるという形態を例示した。しかしながら、送風機は、この形態に限るものではなく、ストッパのみを有した形態であっても良い。
以下、上述した基本形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
周面を有する、該周面以外の部分に吸気口が空いていて該周面には排気口が空いているハウジングと、
前記ハウジング内に配備された、前記吸気口から前記排気口へと向かう空気流を生成するファンと、
前記周面に沿う方向に前記ハウジングが回転自在な状態で該ハウジングを支持する支持部と、
前記周面の、前記排気口が空いた箇所から突出した、該排気口から出た空気流を、前記ハウジングの回転に伴う前記周面の移動の上流側へと導くことにより、その空気流の反動で該ハウジングを該移動の下流側へと回転させる排気筒と、
前記ハウジングの回転に伴って移動する排気筒の移動経路上に位置して該排気筒の移動を遮ることで該ハウジングの回転を止めるストッパと、
前記ストッパによる前記排気筒の移動の遮断と再開とを切り換える切換機構と、
を備えたことを特徴とする送風機。
(付記2)
前記ストッパが、
前記ハウジングの回転中心側から周面側へと延びた、該回転中心の回りに回転自在な第1アームと、
前記アームに保持されて排気筒の移動経路上に突き出した第2アームとを有するものであり、
前記切換機構が、前記第1アームの回転を止める、解放自在なブレーキであることを特徴とする付記1記載の送風機。
(付記3)
前記ストッパが、
前記ハウジングの回転中心側から周面側へと延びた、該回転中心の回りに回転自在な第1アームと、
前記アームに保持されて前記排気筒の移動経路上に突き出した第2アームとを有するものであり、
前記切換機構が、前記第2アームを駆動することにより該第2アームの位置を、前記排気筒の移動経路上の遮断位置と該移動経路から外れた待避位置とに切り換えるものであることを特徴とする付記1記載の送風機。
(付記4)
前記排気筒を、前記ハウジングの回転方向に押し動かす駆動機構を備えたことを特徴とする付記1から3のうちいずれか1項記載の送風機。
(付記5)
前記ファンは、前記ストッパが前記排気筒の移動を遮断している場合には、該排気筒が移動している場合よりも速く回転するものであることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の送風機。
(付記6)
前記排気筒が、前記ハウジングの回転軸と交わる揺動軸の回りに揺動自在に前記周面に取り付けられたものであり、
前記排気筒に連結されて、該排気筒を前記揺動軸の回りに揺動させる排気筒変位機構を備えたことを特徴とする付記1から5のうちいずれか1項記載の送風機。
(付記7)
前記排気筒変位機構が、
前記ハウジングの回転軸に交わって広がった表面を有し、前記支持部に、該回転軸の回りに回転自在に支持された台座と、
前記台座を前記ハウジングに対して相対的に回転させる台座回転機構と、
前記排気筒から前記台座に向かって延び、先端が該台座の表面に沿い前記回転軸から離れる方向に曲がった排気筒案内部と、
前記台座から前記ハウジングに向かって、前記回転軸を囲んで円筒状に立ち上がった周壁であって、内面に、前記台座からの距離を変えつつ該内面を周回する、前記排気筒案内部の前記先端が移動自在に嵌ることで、前記台座の回転につれて該排気筒案内部を案内する排気筒案内溝が設けられた排気筒案内周壁とを備えたものであることを特徴とする付記6記載の送風機。
(付記8)
前記ハウジングに連結されて、該ハウジングの回転方向と交わる方向に該ハウジングの位置を変化させるハウジング変位機構を備えたことを特徴とする付記1から7記載の送風機。
(付記9)
前記ハウジング変位機構が、
前記ハウジングの回転軸に交わって広がった表面を有し、前記支持部に、該回転軸の回りに回転自在に支持された台座と、
前記台座を前記ハウジングに対して相対的に回転させる台座回転機構と、
前記ハウジングから前記台座に向かって延び、先端が該台座の表面に沿い前記回転軸から離れる方向に曲がったハウジング案内部と、
前記台座から前記ハウジングに向かって、前記回転軸を囲んで円筒状に立ち上がった周壁であって、内面に、前記台座からの距離を変えつつ該内面を周回する、前記ハウジング案内部の前記先端が移動自在に嵌ることで、前記台座の回転につれて該ハウジング案内部を案内するハウジング案内溝が設けられたハウジング案内周壁とを備えたものであることを特徴とする付記8記載の送風機。
(付記10)
周面を有する、該周面以外の部分に吸気口が空いていて該周面には排気口が空いているハウジングと、
前記ハウジング内に配備された、前記吸気口から前記排気口へと向かう空気流を生成するファンと、
前記周面に沿う方向に前記ハウジングが回転自在な状態で該ハウジングを支持する支持部と、
前記周面の、前記排気口が空いた箇所から突出した、該排気口から出た空気流を、前記ハウジングの回転に伴う前記周面の移動の上流側へと導くことにより、その空気流の反動で該ハウジングを該移動の下流側へと回転させる排気筒と、
前記ハウジングの回転に伴って移動する排気筒の移動経路上に位置して該排気筒の移動を遮ることで該ハウジングの回転を止めるストッパと、
前記ストッパによる前記排気筒の移動の遮断と再開とを切り換える切換機構と、
を備えた送風機;および
前記切換機構を稼働させることで、前記送風機から出て行く空気流の向きを制御する制御装置;
を備えたことを特徴とする送風システム。
(付記11)
前記送風機が設置されて該送風機からの空気流が届くエリア内の、前記ハウジングの回転方向に異なった各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備え、
前記制御装置が、前記複数の温度センサから検知温度を取得し、その取得した検知温度に基づいて前記切換機構を稼働させるものであることを特徴とする付記10記載の送風システム。
(付記12)
前記送風機が設置されて該送風機からの空気流が届くエリア内の、前記ハウジングの回転方向に異なった各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備え、
前記制御装置が、前記各箇所に空気流を向かわせる、各温度センサに対応した前記ストッパの各遮断位置と、予め決められた閾値温度とを記憶している、各温度センサから検知温度を取得し、該閾値温度を超えた検知温度を取得した温度センサに対応した遮断位置で前記ストッパに前記排気筒の移動を遮らせるものであることを特徴とする付記10または11記載の送風システム。
(付記13)
前記送風機が設置されて該送風機からの空気流が届くエリア内の、前記ハウジングの回転方向に異なった各箇所の温度を検知する複数の温度センサを備え、
前記制御装置が、前記各箇所に空気流を向かわせる、各温度センサに対応した前記ストッパの各遮断位置を記憶している、前記温度センサから検知温度を取得し、該温度センサに対応する遮断箇所で、該検知温度が高いほど長く前記ストッパに前記排気筒の移動を遮らせるものであることを特徴とする付記10から12のうちいずれか1項記載の送風システム。