JP5348416B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
これは、第1プレートと、第2プレートと、これら両プレート相互間に挟持されるプレートであって、積層時に電解質層及び電極層と重なる領域の一部に、厚さ方向に貫通し、冷媒が流れる冷媒流路を第1及び第2プレート相互間に形成する冷媒流路形成部を有する第3プレートとを備える。そして、冷媒流路に配置されると共に、燃料電池の発電時におけるセパレータ面内の温度分布において、より温度が高くなる領域ほど冷媒の流速が速くなるように、冷媒流路内における冷媒の流速を調整する流速調整部を備える、というものである。
すなわち、上記第1〜第3の3つのプレートは、積層後に加熱圧着して相互接合するが、この加熱圧着の際、第3プレートを形成するラミネート樹脂材が溶け出して不定形に広がり、第3プレートにおいて形成される複数のガス供給,排出流路の寸法、特に幅寸法(以下、単に幅と記す)が不均一になった。
このため、第3プレートの各ガス供給,排出流路をガス供給,排出マニホールドに均一な幅で連通させることが難しくなり、上記流路及びマニホールド間におけるガスの供給、排出が安定せず、圧損バラツキ、配流バラツキの発生の原因となった。
図1は、本発明による燃料電池用セパレータが適用された燃料電池の一例を示す断面図である。
図示するように燃料電池は、セパレータ10と、MEA(膜−電極接合体、Membrane Electrode Assembly)30と、ガス流路形成部40,41とを順次積層した積層体を備えている。
この場合、セパレータ10は、カソード側プレート12、中間プレート13及びアノード側プレート14の3層からなる。MEA30とガス流路形成部40,41とは、発電の単位である単セル60を形成しているが、上記セパレータ10は、各単セル60間に配設されて、内部に冷媒流路18を形成している。
このような単セル60及びセパレータ10からなる構成の単位を繰り返し積層することによって燃料電池が構成される。
なお酸化ガスは、酸素を含有するガスであり、ここでは空気を用いている。
なお冷媒としては、例えば不凍液や空気が用いられている。また燃料ガスは、水素を含有するガスであり、ここでは水素ガスを用いている。
なお、穴部に付された符号20〜25は、便宜上、各々対応するマニホールドにも付した。
なお、各穴部20,21、23,24が有する上記複数の突出部を、それぞれ連通部70,71,73,74と記す。また、連通部70,71,73,74を形成するための中間プレート13の部分を、それぞれガス流路形成片部80,81,83,84と記す。
また、アノード側プレート14に設けられた穴部29と、中間プレート13に設けられた連通部74とは、燃料ガス供給マニホールド24を流れる燃料ガスを、セパレータ10内部を通って、ガス流路形成部41が配設されたセパレータ10表面へと導く燃料ガス供給路を形成する。そして、アノード側プレート14に設けられた穴部28と、中間プレート13に設けられた連通部73とは、ガス流路形成部41が配設されたセパレータ10表面から、セパレータ10内部を通って、燃料ガス排出マニホールド23へと燃料ガスを導く燃料ガス排出路を形成する。
セパレータ10を形成する際には、カソード側プレート12、中間プレート13、アノード側プレート14の順(又はその逆順)に、各穴部20〜25を位置合わせしつつ重ね合わせ、加熱圧着により各プレート12〜14間をシール接合している。
ガス流路形成部40,41は、導電性及びガス透過性を有する板状部材であり、ガス流路形成部40,41と接するMEA30表面上には、カーボン多孔質体からなる層が配設されている。
このガス流路形成部40,41の内部に形成される空間は、電気化学反応に供されるガスの単セル60内での流路を形成する。すなわち、MEA30とカソード側プレート12との間に配設されるガス流路形成部40は、酸化ガスが流れる単セル内酸化ガス流路を形成する。また、MEA30とアノード側プレート14(図示する単セル60の下方側に積層されている図示しないセパレータ10のアノード側プレート14を指す。)との間に配設されるガス流路形成部41は、燃料ガスが流れる単セル内燃料ガス流路を形成する。
図3は、このようなMEA30と一体に設けられたシール部42の平面図である。
図中のシール部42は、外形状、寸法がセパレータ10とほぼ等しい長方形をなし、セパレータ10と同様に穴部20〜25が形成されている。
この図3において、冷媒供給マニホールドを形成する穴部22は「冷媒入口」、冷媒排出マニホールドを形成する穴部25は「冷媒出口」、燃料ガス供給マニホールドを形成する穴部24は「H2入口」、燃料ガス排出マニホールドを形成する穴部23は「H2出口」となっている。
分配された酸化ガスは、電気化学反応に供されつつ、単セル内酸化ガス流路を、酸化ガス排出マニホールド21側へと流れる。単セル内酸化ガス流路における酸化ガスの流れの向きを、MEA30面に対する向きとして、図3に矢印アで示す。
単セル内酸化ガス流路を通過した酸化ガスは、セパレータ10における穴部27と連通部71とからなる酸化ガス排出路を通って、酸化ガス排出マニホールド21へと排出される。マニホールド近傍における酸化ガスの流出入の様子を、図1中に矢印イで示す。
図4は、図1に示す燃料電池の長手方向の断面図であり、その断面位置を代表して図2(a)中にIV−IV線にて示す。
図4では、冷媒供給マニホールド22を流れる冷媒が、複数の貫通孔72〔図2(b)参照〕を通って冷媒流路18へと流入する様子を矢印ウで示している。
貫通孔72を通って分配された冷媒は、冷媒流路18を、冷媒排出マニホールド25側へと流れる。
冷媒流路18における冷媒の流れの向きを、MEA30面に対する向きとして、図3に矢印エで示している。冷媒流路18内を流れた冷媒は、図2(b)に示す中間プレート13の貫通孔75を通って、冷媒排出マニホールド25へと排出される。
燃料ガス供給マニホールド24から単セル内燃料ガス流路へと燃料ガスが流入する様子を、図4に矢印オで示す。
分配された燃料ガスは、電気化学反応に供されつつ、単セル内燃料ガス流路を、燃料ガス排出マニホールド23側へと流れる。単セル内燃料ガス流路における燃料ガスの流れの向きを、MEA30面に対する向きとして、図3に矢印オで示す。
単セル内燃料ガス流路を通過した燃料ガスは、図2に示す穴部28と連通部73とからなる燃料ガス排出路を通って、燃料ガス排出マニホールド23へと排出される。
各図において、燃料ガス供給マニホールド24はカソード側プレート12、中間プレート13及びアノード側プレート14を貫通して設けられた穴である。
連通部74は、燃料ガス供給マニホールド24に一端が連通し、他端側がアノード側プレート14に形成された穴部(ガス出入口)29に連通するガス流路であり、中間プレート13に形成されている。ガス流路形成片部84は、連通部74を形成するための中間プレート13部分である。
このため本実施形態では、連通部70,71,73,74の寸法を均一にするための前処理を案出し、この前処理を施す工程(前処理工程)を、燃料電池用セパレータの製造工程中において、上記3つのプレート12〜14を接合する工程(接合工程)に前置させたものである。
図2(b)に示すように、連通部70,71,73,74は、各マニホールド20,21,23,24について複数形成され、したがって、ガス流路形成片部84も各マニホールド20,21,23,24について複数備えている。
図8に示す本実施形態において、前処理は、このようなカソード側プレート12及びアノード側プレート14の斜線を付して示すガス流路形成片部84の対向面部分(ガス流路形成片部対向面部分)92,94の全てについて施す。
前処理は親水処理であって、例えばこの親水処理を施さない部分(中間プレート13が存在しない部分、つまり連通部70〜74部分)をテープ、治具等によってマスキングした状態で、ブラスト処理、イオンスパッタ、UV照射、親水性樹脂塗工等の手法で施される。テープ、治具等によるマスキングは親水処理後に除去される。
マスキング部分を変更し、親水処理回数を変化させる等によれば、親水度に勾配(傾斜)を与えることが可能である。
接合工程は、例えば次のような条件下で行われる。加熱温度は130〜200℃、加圧力は、初期は15kN程度かけるがその後は治具により定寸で止まるようにして加圧力を調整し、厚みを制御する。
このような加熱及び定寸状態を1〜5分間ホールドした後、同ホールドを解除し、その後冷却へ移行する。冷却は、徐冷(20℃程度で20分間)にて行い、常温まで温度が下がったところで終了し、接合完了となって接合工程を終える。
この図から分かるように、中間プレート13における燃料ガス供給マニホールド24及び穴部(ガス出入口)29間を連通する連通部74、つまりガス流路の幅は均一に整列している。
これによれば、3つのプレート12〜14の加熱圧着時における中間プレート13を形成するラミネート樹脂材の溶け出しが親水処理を施した領域内、つまりガス流路形成片部対向面部分92,94で納まり、ガス流路(本実施形態では連通部74)側に不定形に広がることを防止できる。したがって、ガス流路の幅を均一にすることができ、ガスの供給,排出を安定化でき、圧損バラツキ、配流バラツキの発生を抑止可能な燃料電池用セパレータを製造できる。
図11及び図12において、(a)は中間プレート13の連通部74及びその周辺部分を示す図、(b)図は(a)図中のB−B線断面図である。
図11は、本実施形態により製造された燃料電池用セパレータにおいて、ガス供給マニホールド24から穴部29に向かう複数の連通部74の幅が均一になっている様子を示す。
図12は、本実施形態における前処理を経ないで製造された燃料電池用セパレータにおいて、ガス供給マニホールド24から穴部29に向かう複数の連通部74の幅が不均一になっている様子を示す。
これら図11、図12を対照して分かるように、本実施形態における前処理を経ないで燃料電池用セパレータを製造した図12に示す場合には、ガス供給マニホールド24から穴部29に向かう複数の連通部74の幅、つまりガス流路幅が不均一になった。
これに対して本実施形態(図11)によれば、上述したように複数の連通部74の幅、つまりガス流路幅が均一になった。つまり、ガスの供給を安定化でき、圧損バラツキ、配流バラツキの発生が抑止可能になった。
また前処理として、カソード側プレート12及びアノード側プレート14の少なくとも一方(片面)のガス流路形成面部分102,104(図8参照)に撥水処理を施すようにしてもよい。この撥水処理によっても、3つのプレート12〜14の加熱圧着時において中間プレート13を形成するラミネート樹脂材が溶けてガス流路(連通部70,71,73,74)側に不定形に広がることを防止でき、ガス流路の幅を均一にすることができる。このような撥水処理を上記親水処理に加えて施してもよい。
このようなプレート形状である場合も、3つのプレート12〜14の加熱圧着に先立って、プレート12,14の少なくとも一方のガス流路形成片部対向面部分(図示省略)に親水処理を施し、及び/又は、上記プレート12,14の少なくとも一方のガス流路形成面部分(図示省略)に撥水処理を施せば、図2(a)〜(c)に示すプレート形状の燃料電池用セパレータにおけると同様の効果を奏する。
なお、図13(b)は、冷媒流路18を中間プレート12とは別体に構成した例を示している。
このような冷媒流路18を備える場合には、同冷媒流路18を中間プレート12内方の所定位置に位置決めし、この状態で3つのプレート12〜14を位置合わせして重ね合せ(図14参照)、加熱圧着する。これにより、冷媒流路18が中間プレート12に位置決め保持された燃料電池用セパレータが製造される。
図15は、上記のような中間プレート12とは別体の冷媒流路18を備えてなる燃料電池用セパレータが適用された燃料電池を概略的に示す。この図15において、矢印カは燃料ガス(水素ガス)の流れ、矢印キは酸化ガス(空気)の流れを示す。
Claims (1)
- カソード側プレートとアノード側プレートとによってラミネート樹脂材からなる中間プレートを狭持して流体流路を形成する燃料電池用セパレータの製造方法であって、
前記3つのプレートを貫通して設けられたガス排出マニホールド又はガス供給マニホールドに一端が連通し、他端側が前記カソード側プレート又はアノード側プレートに形成されたガス出入口に連通するガス流路を形成するため前記中間プレートに形成されたガス流路形成片部と接合される、前記カソード側プレート及びアノード側プレートの少なくとも一方のガス流路形成片部対向面部分に親水処理を施し、及び/又は、前記カソード側プレート及びアノード側プレートの少なくとも一方のガス流路形成面部分に撥水処理を施す前処理工程と、
この前処理工程を経た前記3つのプレートを位置合わせして重ね合せ、加熱圧着する接合工程を含むことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
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