JP5348032B2 - 光フィルター並びにそれを用いた分析機器及び光機器 - Google Patents

光フィルター並びにそれを用いた分析機器及び光機器 Download PDF

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Description

本発明は、光フィルター並びにそれを用いた分析機器及び光機器等に関する。
透過波長を可変にする干渉フィルターが提案されている(特許文献1)。特許文献1の図1に示すように、互いに平行に保持された一対の基板と、この一対の基板上に互いに対向すると共に一定間隔のギャップを有するように形成された一対の多層膜(反射膜)とを備える。一対の多層膜間に入射された光はファブリペロー干渉計と同じ原理で多重反射され、特定波長帯域以外の光は干渉により打ち消され、特定波長帯域の光のみが透過される。つまり、この種の干渉フィルターはバンドバスフィルターとして機能し、エタロンと称されている。
ここで、外力により一対の多層膜(反射膜)間のギャップの大きさを変化させると、ギャップの大きさに応じた波長を選択して透過させることが可能となる。よって、透過波長が可変である透過波長可変干渉フィルターとなる。
特許文献1では、図4に示すように、一対の基板上に形成した一対の多層膜(反射膜)上にさらに、静電アクチュエーターである一対の静電駆動電極を設けている。一対の静電駆動電極に電圧を印加して、一対の多層膜間のギッャプの大きさを可変としている。
特開平11−142752号公報
こうした波長可変干渉フィルターの課題は、ギャップの制御を精度よく行うことである。しかしながら、上記特許文献においては、一対の静電駆動電極に電圧を印加して、一対の多層膜間のギッャプの大きさを可変としているため、ノイズ等による駆動電圧の変動によって、正確なギャップ制御を行うことが容易ではない。
本発明の幾つかの態様では、より高い精度で反射膜間のギャップ制御が可能な光フィルター並びにそれを用いた分析機器及び光機器を提供することにある。
(1)本発明の一態様に係る光フィルターは、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板に設けられた第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と対向する第2反射膜と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1電極と前記第1反射膜との間に設けられた第2電極と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1電極の周囲に設けられた第2電極と、前記第2基板に設けられ、前記第1電極と対向する第3電極と、前記第2基板に設けられ、前記第2電極と対向する第4電極と、前記第1電極と前記第3電極との電位差と、前記第2電極と前記第3電極との電位差とを制御する電位差制御部と、有し、前記第1電極と前記第3電極とは、第1距離を隔てて対向し、前記第2電極と前記第4電極とは、前記第1距離と異なる第2距離を隔てて対向し、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に電位差を生じさせることによって前記第1電極と前記第3電極とを当接させ、前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2電極と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、電位差制御部は、第1電極と第3電極との間に電位差を生じさせることによって第1電極と第3電極とを当接させ、第2電極と第4電極との間に電位差を生じさせることによって第2電極と第4電極とを当接させることを含む。第1電極と第3電極とを当接させ、第2電極と第4電極とを当接させることで、電圧変動等の外乱があっても、第1反射膜と第2反射膜との間のギャップが変動し難いため、高い精度でギャップ制御を行うことができる。
(2)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極とを当接させた後に、前記第2電極と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、第1電極と第3電極との当接に対応する反射膜間ギャップと、第2電極と第4電極との当接に対応する反射膜間ギャップとを確保することができる。
(3)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との電位差を第1電位差と設定した後に、第1電極と前記第3電極との電位差を前記第1電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第1電極と前記第3電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(4)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第2電極と前記第4電極との間の電位差を第2電位差と設定した後に、第2電極と前記第4電極との間の電位差を前記第2電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第2電極と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(5)本発明の一態様に係る光フィルターは、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板に設けられた第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と対向する第2反射膜と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1反射膜の周囲に設けられた第1電極と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1電極と前記第1反射膜との間に設けられた第2電極と、前記第2基板に設けられ、前記第1電極と対向する第3電極と、前記第2基板に設けられ、前記第2電極と対向する第4電極と、前記第1電極に設けられた第1絶縁膜と、前記第2電極に設けられた第2絶縁膜と、前記第1電極と前記第3電極との電位差と、前記第2電極と前記第3電極との電位差とを制御する電位差制御部と、有し、前記第1電極と前記第3電極とは、第1距離を隔てて対向し、前記第2電極と前記第4電極とは、前記第1距離と異なる第2距離を隔てて対向し、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に電位差を生じさせることによって前記第1絶縁膜と前記第3電極とを当接させ、前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2絶縁膜と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、電位差制御部は、第1電極と第3電極との間に電位差を生じさせることによって第1絶縁膜と第3電極とを当接させ、第2電極と第4電極との間に電位差を生じさせることによって第2絶縁膜と第4電極とを当接させることを含む。第1絶縁膜と第3電極とを当接させ、第2絶縁膜と第4電極とを当接させることで、電圧変動等の外乱があっても、第1反射膜と第2反射膜との間のギャップが変動し難いため、高い精度で反射膜間のギャップ制御を行うことができる。
(6)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第1絶縁膜と第3電極とを当接させた後に、前記第2絶縁膜と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、第1絶縁膜と第3電極との当接に対応する反射膜間ギャップと、第2絶縁膜と第4電極との当接に対応する反射膜間ギャップとを確保することができる。
(7)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間の電位差を第1電位差と設定した後に、前記第1電極と前記第3電極との間の電位差を前記第1電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第1絶縁膜と前記第3電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(8)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第2電極と前記第4電極との間の電位差を第2電位差と設定した後に、前記第2電極と前記第4電極との間の電位差を前記第2電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第2絶縁膜と前記第4電極とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(9)本発明の一態様に係る光フィルターは、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板に設けられた第1反射膜と、前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と対向する第2反射膜と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1反射膜の周囲に設けられた第1電極と、前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1電極と前記第1反射膜との間に設けられた第2電極と、前記第2基板に設けられ、前記第1電極と対向する第3電極と、前記第2基板に設けられ、前記第2電極と対向する第4電極と、前記第1電極に設けられた第1絶縁膜と、前記第2電極に設けられた第2絶縁膜と、前記第3電極に設けられた第3絶縁膜と、前記第4電極に設けられた第4絶縁膜と、前記第1電極と前記第3電極との電位差と、前記第2電極と前記第3電極との電位差とを制御する電位差制御部と、有し、前記第1電極と前記第3電極とは、第1距離を隔てて対向し、前記第2電極と前記第4電極とは、前記第1距離と異なる第2距離を隔てて対向し、前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に電位差を生じさせることによって前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜とを当接させ、前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2絶縁膜と前記第4絶縁膜とを当接させることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、電位差制御部は、第1電極と第3電極との間に電位差を生じさせることによって第1絶縁膜と第3絶縁膜とを当接させ、第2電極と第4電極との間に電位差を生じさせることによって第2絶縁膜と第4絶縁膜とを当接させることを含む。第1絶縁膜と第3絶縁膜とを当接させ、第2絶縁膜と第4絶縁膜とを当接させることで、電圧変動等の外乱があっても、第1反射膜と第2反射膜との間のギャップが変動し難いため、高い精度で反射膜間のギャップ制御を行うことができる。
(10)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、前記第1絶縁膜と第3絶縁膜とを当接させた後に、前記第2絶縁膜と前記第4絶縁膜とを当接させることを特徴とする。
これにより、第1絶縁膜と第3絶縁膜との当接に対応する反射膜間ギャップと、第2絶縁膜と第4絶縁膜との当接に対応する反射膜間ギャップとを確保することができる。
(11)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、第1電極と前記第3電極との間の電位差を第1電位差と設定した後に、第1電極と前記第3電極との間の電位差を前記第1電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(12)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記電位差制御部は、第2電極と前記第4電極との間の電位差を第2電位差と設定した後に、第2電極と前記第4電極との間の電位差を前記第2電位差よりも大きい電位差に設定して、前記第2絶縁膜と前記第4絶縁膜とを当接させることを特徴とする。
これにより、より多段階で反射膜間ギャップを確保することができる。
(13)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1距離は、前記第1電極と前記第3電極との電位差が零のときの距離であり、前記第2距離は、前記第2電極と前記第4電極との電位差が零のときの距離であることを特徴とする。
(14)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1電極の第2基板側の表面を第1表面とし、前記第2電極の第2基板側の表面を第2表面とし、前記第3電極の第1基板側の表面を第3表面とし、前記第4電極の第2基板側の表面を第4表面とし、前記第1距離は、前記第1表面の垂線方向における、前記第1表面から前記第3表面までの距離であり、前記第2距離は、前記第2表面の垂線方向における、前記第2表面から前記第4表面までの距離であることを特徴とする。
(15)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1電極と前記第3電極との電位差が零のときで、かつ、前記第2電極と前記第4電極との電位差が零のときに、第1反射膜と前記第2反射膜とは、第3距離を隔てて対向し、前記第1距離は、前記第2距離よりも小さく、前記第2距離は、前記第3距離よりも小さいことを特徴とする。
(16)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1反射膜の第2基板側の表面を第1反射膜表面とし、前記第2反射膜の第1基板側の表面を第2反射膜表面とし、前記第3距離は、前記第1反射膜表面の垂線方向における、前記第1反射膜表面から前記第2反射膜表面までの距離であることを特徴とする。
(17)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1基板は、前記第2基板側に、第1面と、前記第1面よりも高い第2面と、前記第2面よりも高い第3面とを有し、前記第1面に、前記第1反射膜が形成され、前記第2面に、前記第2電極が形成され、前記第3面に、前記第1電極が形成されることを特徴とする。
(18)本発明の一態様に係る光フィルターは、前記第1基板は、前記第2基板側に、第1面と、前記第1面と同じ高さを有する第2面と、前記第2面と同じ高さを有する第3面とを有し、前記第1面に、前記第1反射膜が形成され、前記第2面に、前記第2電極が形成され、前記第3面に、前記第1電極が形成され、前記第1電極の膜厚は、前記第2電極の膜厚と異なることを特徴とする。
(19)本発明の一態様に係る光フィルターは、さらに、前記第1電極に接続された引き出し配線を有し、前記第1電極は、平面視において、第1リング形状を有し、前記第2電極は、平面視において、スリットを有する第2リング形状を有し、前記第3電極は、平面視において、第3リング形状を有し、前記第4電極は、平面視において、スリットを有する第4リング形状を有し、前記第1電極に接続された引き出し配線の一部は、前記第2リング形状の前記スリットが形成された領域に形成され、前記第4リング形状のスリットは、前記2リング形状のスリットの上方に形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、第1電極に接続された引き出し配線の一部は、第2リング形状の前記スリットが形成された領域に形成され、第4リング形状のスリットは、第2リング形状のスリットの上方に形成されている。つまり、引き出し配線の一部の上方には、第4リング形状が形成されていない。これにより、引き出し配線に電圧を印加したとしても、引き出し配線と第4電極との間の作用する不要な静電引力が発生することを抑制することができる。
(20)本発明の一態様に係る光フィルターは、第1電極と前記第2電極とは、離間して形成され、前記第3電極と前記第4電極とは、連結部を介して電気的に接続されていることを特徴とする。
これにより、第3電極と第4電極とを共通電極とすることができ、第2基板に形成される配線(第3電極、第4電極および引き出し配線)のレイアウトを簡略化することができる。
(21)本発明の一態様に係る分析機器は、上述した光フィルターを含むことを特徴とする。
(22)本発明の一態様に係る光機器は、上述した光フィルターを含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態である光フィルターの電圧非印加状態を示す断面図である。 図1に示す光フィルターの電圧印加状態の一例を示す断面図である。 図1に示す光フィルターの図2とは異なる電圧印加状態の一例を示す断面図である。 図4(A)は第1電極の平面図であり、図4(B)は第2電極の平面図である。 一対の対向電極の表面に形成される絶縁膜を示す断面図である。 図6(A)(B)は、第1,第2電極の重なり状態を第2基板側から見た平面図である。 第2基板側から第2基板を透視して、第1〜第4引き出し配線の配線レイアウトを示す平面図である。 光フィルターの印加電圧制御系ブロック図である。 光フィルターの他の印加電圧制御系ブロック図である。 電圧テーブルデータの一例を示す特性図である。 光フィルターの第1,第2反射膜間ギャップと透過ピーク波長との関係を示す特性図である。 電圧テーブルデータの他の一例を示す特性図である。 電圧テーブルデータのさらに他の一例を示す特性図である。 第1,第2電極間の電位差と静電引力との関係を示す特性図である。 静電引力と電極間ギャップとの関係を示す特性図である。 電圧テーブルデータのさらに他の一例を示す特性図である。 本発明の更に他の実施形態である分析装置のブロック図である。 図17に示す装置での分光測定動作を示すフローチャートである。 本発明の更に他の実施形態である光機器のブロック図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.光フィルター
1.1.光フィルターのフィルター部
1.1.1. フィルター部の概要
図1は本実施形態の光フィルター10の電圧非印加状態(初期状態)の断面図であり、図2及び図3は電圧印加状態(駆動状態)の断面図である。図1〜図3に示す光フィルター10は、第1基板20と、第1基板20と対向する第2基板30とを含む。本実施形態では、第1基板20を固定基板とし、第2基板30を可動基板またはダイヤフラムとするが、いずれか一方又は双方が可動であれば良い。
本実施形態では、第1基板20と例えば一体で、第2基板30を可動に支持する支持部22が形成されている。支持部22は、第2基板30に設けても良く、あるいは第1,第2基板20,30とは別体で形成しても良い。
第1,第2基板20,30は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板20,30の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板20,30を形成することで、後述する反射膜40,50や、各電極60,70の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板20,30は、例えばプラズマ重合膜を用いた表面活性化接合などにより接合されることで、一体化されている。第1,第2基板20,30の各々は、一辺が例えば10mmの正方形に形成され、ダイヤフラムとして機能する部分の最大直径は例えば5mmである。
第1基板20は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。第1基板20は、第2基板30と対向する対向面20Aのうちの中央の第1対向面20A1に、例えば円形の第1反射膜40が形成されている。同様に、第2基板30は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。第2基板30は、第1基板20と対向する対向面30Aの中央位置に、第1反射膜40と対向する例えば円形の第2反射膜50が形成されている。
なお、第1,第2反射膜40,50は、例えば直径が約3mmの円形状に形成されている。この第1,第2反射膜40,50は、AgC単層により形成される反射膜であり、スパッタリングなどの手法により第1,第2基板20,30に形成することができる。AgC単層反射膜の膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。本実施形態では、第1,第2反射膜40,50として、可視光全域を分光できるAgC単層の反射膜を用いる例を示すが、これに限定されず、分光可能な波長域が狭いが、AgC単層反射膜よりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiOとSiOとの積層膜を積層した誘電体多層膜を用いてもよい。
さらに、第1,第2基板20,30の各対向面20A,30Aとは逆側の面にて、第1,第2反射膜40,50に対応する位置に図示しない反射防止膜(AR)を形成することができる。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、第1,第2基板20,30の界面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
これら第1,第2反射膜40,50は、図1に示す電圧非印加状態にて第3ギャップG3(第3の距離)を介して対向配置されている。なお、本実施形態では、第1反射膜40を固定鏡とし、第2反射膜50を可動鏡とするが、上述した第1,第2基板20,30の態様に応じて、第1,第2反射膜40,50のいずれか一方又は双方を可動とすることができる。
平面視で第1反射膜40の周囲には、第1基板20の対向面20Aに下部電極60が設けられている。同様に、第2基板30の対向面30Aには、下部電極60と対向して上部電極70が設けられている。本実施形態では、第1基板20の第1対向面20A1の周囲には第2対向面20A2が設けられ、第2対向面20A2の周囲には第3対向面20A3が設けられている。
下部電極60は、必ずしもセグメント化される必要はないが、本実施形態ではK(Kは2以上の整数)個のセグメント電極に分割され、K=2の例として第1,第2電極62,64を有する。第1電極(以下、「第1のセグメント電極」という)62は第3対向面20A3に形成され、第2電極(以下「第2のセグメント電極」という)64は第2対向面20A2に形成されている。なお、後述する通り、K個のセグメント電極62,64は、同一電圧に設定されても良いし、あるいは異なる電圧に設定されても良い。
上部電極70は、本実施形態では同電位(例えば接地電位)となる共通電極である。上部電極70は、必ずしもセグメント化される必要はないが、本実施形態ではK(Kは2以上の整数)個のセグメント電極に分割され、K=2の例として第3,第4電極72,74を有する。第3電極(以下「第3のセグメント電極」という)72は第1のセグメント電極62と対向して設けられ、第4電極(以下「第4のセグメント電極」という)74は第2のセグメント電極64と対向して設けられている。なお、K≧3の場合には、第1,第2セグメント電極62,64に関して以下にて説明する関係は、相隣り合う任意の2つのセグメント電極について適用することができる。
図1に示すように、第1,第3のセグメント電極62,72は、一対の第1対向電極80を構成する。第2,第4のセグメント電極64,74は、一対の第2対向電極90を構成する。つまり、下部、上部電極60,70は、一対の第1対向電極80及び一対の第2対向電極90を有している。
1.1.2 第1ギャップG1と第2ギャップG2との関係(G1<G2)
図1に示すように、第1のセグメント電極62と第3のセグメント電極72とは、第1ギャップ(第1の距離)G1を隔てて対向配置されている。第2のセグメント電極64と第4のセグメント電極74とは、第2ギャップ(第2の距離)G2を隔てて対向配置されている。そして、本実施形態では、第1ギャップG1<第2ギャップG2の関係が成立する。
ここで、第1ギャップG1<第2ギャップG2の関係が成立する時とは、第1,第2対向電極80,90に静電引力が実質的に作用していない時、つまり下部、上部電極60,70間の電位差が実質的に零の時である。この状態を換言すれば、下部、上部電極60,70に電界が実質的に形成されていない状態、あるいは少なくとも一方の電極に電圧が印加されていない電圧非印加状態であり、静電引力が作用する駆動状態とは対立する初期状態である。
初期のギャップG1,G2のうち、最初に駆動される例えば第1,第3のセグメント電極62,72と対応する初期の第1ギャップG1は、その第1セグメント電極62と第3電極72との間に作用する静電引力により狭められる。このとき、同時に第2ギャップG2も狭められ、第2ギャップG2も初期ギャップより小さくなる。よって、後に第2,4のセグメント電極64,74を駆動する時には、第2ギャップG2は初期値よりも小さくなっている。
ここで、仮に第2対向面20A2と第3対向面20A3とが面一であって第1,第2ギャップG1,G2の初期値が同一である比較例と対比する。比較例では、例えば第1,第3のセグメント電極62,64を最初に駆動するときの第1ギャップG1は、後に第2,4のセグメント電極64,74を駆動するときの第2ギャップG2よりも必ず大きくなってしまう。
ここで、静電引力Fは、F=(1/2)ε(V/G)S……(1)と示すことができる。式(1)中、ε:誘電率、V:印加電圧(電位差)、G:電極間ギャップ、S:電極対向面積である。式(1)から分かるように、下部、上部電極60,70間の電位差Vの二乗に比例し、下部、上部電極60,70間のギャップG(第1ギャップG1または第2ギャップG2)の二乗に反比例する。従って、比較例では大きなギャップの電極間にて所定の静電引力を作用させるために、図1の実施形態よりも大きな駆動電圧(電位差)が必要となってしまう。これに対して、本実施形態では一対の第1対向電極80の第1ギャップG1を小さくできるので低電圧駆動が可能となる。
なお、図1ではギャップG1の初期値をギャップG2の初期値よりも小さくしているが、第2,4のセグメント電極64,74を最初に駆動する場合には、ギャップG2の初期値をギャップG1の初期値よりも小さくしておけばよく、要は第1,第2ギャップG1,G2が異なっていれば良い。ただし、本実施形態のように、外周側の一対の第1対向電極80の第1ギャップG1を、内周側の一対の第2対向電極90の第2ギャップG2よりも小さくすることが好ましい。これは、後述する通り外周側の一対の第1対向電極80を先に駆動した方が可変波長動作を行ない易いからである。
このような構造の光フィルター10は、第1,第2基板20,30が共に、反射膜(第1,第2反射膜40,50)が形成される領域と、電極(下部、上部電極60,70)が形成される領域とは、平面視で異なる領域となり、特許文献1のように反射膜と電極と積層されることがない。よって、第1,第2基板20,30の少なくとも一方(本実施形態では第2基板30)が可動基板とされても、反射膜と電極と積層されずに可動基板は撓み易さを確保できる。しかも、特許文献1とは異なり、下部、上部電極60,70上には反射膜が形成されないので、透過型または反射型波長可変干渉フィルターとして光フィルター10を利用しても、下部、上部電極60,70を、透明電極とする制約も生じない。
1.1.3. 第1ギャップG1と第3ギャップG3との関係(G1<G3)
本実施形態では、図1に示すように一対の第1対向電極80が第1ギャップG1で対向し、かつ、一対の第2対向電極90が第2ギャップG2で対向している初期状態では、第1及び第2反射膜40,50は第3ギャップ(第3の距離)G3で対向している。このときの第1ギャップG1は第3ギャップG3より小さくすることができる(G1<G3)。
こうすると、図2の駆動状態を実現できる。図2では、一対の第1対向電極80に所定値以上の電位差が与えられることで、一対の第1対向電極80は当接している。図1に示す第1ギャップG1と第3ギャップG3とがG1<G3の関係を満たしていれば、図2の駆動状態でも第1,第2反射膜40,50間のギャップG3’が確保される。しかも、図2では一対の第1対向電極80は当接しているので、電圧変動等の外乱があっても第1,第2反射膜40,50間のギャップG3’は変動せずに安定するという効果を奏することができる。このことは、第1,第2反射膜40,50間のギャップ精度を高めることに寄与する。
ここで、図1にてG1<G2であるので、図2の駆動状態でも一対の第2対向電極90のギャップG2’が確保される。従って、次に一対の第2対向電極90を駆動する際には、一対の第1対向電極80に所定値以上の電位差が与え続けられる限り一対の第1対向電極80は当接状態を維持している。よって、一対の第2対向電極90の駆動は、第1,第2反射膜40,50間がギャップG3’で安定している状態から再開できる。このことも、第1,第2反射膜40,50間のギャップ精度を高めることに寄与する。
なお、図2の駆動状態を実現しないのであれば、図1での第1ギャップG1と第3ギャップG3との関係は、G1=G3、G1>G3またはG1<G3のいずれにも設定してもよい。
1.1.4. 第2ギャップG2と第3ギャップG3との関係(G2<G3)
さらに、図1において、第2のギャップG2を第3ギャップG3よりも小さくすることができる(G2<G3)。こうすると、図3の駆動状態を実現できる。図3では、一対の第2対向電極90に所定値以上の電位差が与えられることで、一対の第2対向電極90を当接させても、G2<G3の関係を満たしていれば、第1,第2反射膜40,50間のギャップG3’’(G3’’<G3’)が確保される。しかも、一対の第2対向電極90が当接していると、電圧変動等の外乱があっても第1,第2反射膜40,50間のギャップG3’’は変動せずに安定するという効果を奏することができる。このことも、第1,第2反射膜40,50間のギャップ精度を高めることに寄与する。
なお、図3の駆動状態を実施しないのであれば、図1での第2ギャップG2と第3ギャップG3との関係は、G2=G3、G2>G3またはG2<G3のいずれにも設定してもよい。
1.1.5. 異なる電極間ギャップG1,G2の形成方法
図1に示す第1,第2ギャップG1,G2を異ならせるには、様々な手法が考えられるが、その一つは第1,第2基板20,30の対向面20A,30Aの少なくとも一方に段差面を形成することである。図1では、第1基板20が固定基板とされ、第2基板30が可動基板とされ、第1基板20に第1反射膜40及び下部電極60が形成される面20Aに段差面を形成して、第1ギャップG1を第2ギャップG2よりも小さくしている。第2基板30は可動基板であるので、対向面30Aに段差を設けると、第2基板30が局所的に厚くなることもあり、第2基板30を撓ませることに支障が生ずる虞がある。第1基板20は固定基板であるので、そのような心配はない。
第1,第2基板20,30の対向面20A,30Aの少なくとも一方に段差面を形成することに代えて、下部、上部電極60,70の少なくとも一方の膜厚を局所的に変えてもよい。
1.1.6. 下部電極
第1基板20に配置された下部電極60は、第1基板20のうち、第2基板30に形成された上部電極70(第3,第4セグメント電極72,74)と対向する領域を含む領域にベタ電極として形成することができる。あるいは、下部電極60は、図4(B)に示す上部電極70と同様に構成しても良い。本実施形態では、後述する通り、下部電極60を構成する第1,第2セグメント電極62,64に同一電圧を印加して駆動することができるからである。
これに代えて、下部電極60を構成するK個のセグメント電極62,64は、図4(A)の通り、第1反射膜40の中心に対して同心リング状に配置することができる。つまり、第1セグメント電極62は第1リング状電極部62Aを有し、第2セグメント電極64はリング状電極部62Aの内側に第2リング状電極部64Aを有し、各リング状電極部62A,64Aが第1反射膜に対して同心リング状に形成される。なお、「リング状」とは、第2リング状電極部64Aのような無端リングに限らず、第1リング状電極部62Aのような不連続リング形状も含み、円形リングに限らず矩形リングまたは多角形リング等を含む用語である。
こうすると、図1に示すように、第1反射膜40の中心線Lに対して、第1,第2セグメント電極62,64の各々が線対称配置となる。これにより、電圧印加時に下部、上部電極60,70間に作用する静電引力は、第1反射膜40の中心線Lに対して線対称に作用するので、第1,第2反射膜40,50の平行度が高まる。
なお、図4(A)に示すように、第1セグメント電極62のリング幅W1は、第2セグメント電極64のリング幅W2よりも広くすることができる(W1>W2)。静電引力は電極面積に比例するので、第1セグメント電極62により生じさせる静電引力の方が、第2セグメント電極64により生じさせる静電引力よりも大きく求められる時に有利となる。さらに詳しく言えば、外側の第1セグメント電極62は、ヒンジ部として機能する基板支持部22に対して第2セグメント電極64よりも近くに設けられる。このため、第1セグメント電極62はヒンジ部40での抵抗力に抗する大きな静電引力を発生する必要がある。外側の第1セグメント電極62は、内側の第2セグメント電極64に比べて直径が大きく、幅W1=幅W2であっても第1セグメント電極62の面積は大きい。よって、幅W1=幅W2としてもよいが、リング幅W1をより広げることにより、更に面積を増大させて大きな静電引力の発生を可能とした。
ここで、第1セグメント電極62には第1引き出し配線62Bが、第2セグメント電極64には第2引き出し電極64Bがそれぞれ接続される。これら第1,第2引き出し電極62B,64Bは例えば第1反射膜40の中心から放射方向に向けて延在形成される。第1セグメント電極62の第1リング状電極部62Aを不連続とする第1スリット62Cが設けられている。内側の第2セグメント電極64から延びる第2引き出し配線64Bは、外側の第1セグメント電極62に形成された第1スリット62Cを介して、第1セグメント電極62の外方に引き出される。
このように、第1,第2セグメント電極62,64をそれぞれリング状電極部62A,64Aとした場合に、外側の第1セグメント電極62に形成された第1スリット62Cより、内側の第2セグメント電極64の第2引き出し配線64Bの取り出し経路を容易に確保できる。
1.1.7. 上部電極
第2基板30に配置された上部電極70は、第2基板30のうち、第1基板20に形成された下部電極60(第1,第2セグメント電極62,64)と対向する領域を含む域にベタ電極として形成することができる。上部電極70は同一電圧に設定される共通電極だからである。
これに代えて、本実施形態のように第1基板20に対して変位する第2基板30に配置された上部電極70は、下部電極60と同様に、K個のセグメント電極とすることができる。このK個のセグメント電極もまた、第2反射膜50の中心に対して同心リング状に配置することができる。こうすると、可動である第2基板30に形成される電極面積は、必要最小限に縮小されるので、第2基板30の剛性が低くなり、撓み易さを確保できる。
上部電極70を構成するK個のセグメント電極は、図1及び図4(B)に示すように、弟3セグメント電極72及び第4セグメント電極74を有することができる。第3セグメント電極72は第3リング状電極部72Aを有し、第4セグメント電極74は第3リング状電極部62Aの内側に第4リング状電極部74Aを有し、各リング状電極部72A,74Aが第2反射膜50に対して同心リング状に形成される。「同心リング状」の意味は、下部電極60に対するものと同一である。第3セグメント電極72は第1セグメント電極62と対向し、第4セグメント電極74は第2セグメント電極64と対向している。よって、本実施形態では第3セグメント電極72のリング幅(第1セグメント電極62のリング幅W1と同じ)は、第4セグメント電極74のリング幅(第2セグメント電極64のリング幅W2と同じ)よりも広い。
また、第3,第4セグメント電極72,74同士は電気的に接続されて、同一電位に設定される。このために、例えば第3,第4引き出し電極76A,76Bが例えば第2反射膜50の中心から放射方向に向けて延在形成される。第3,第4引き出し電極76A,76Bの各々は、内側の第3セグメント電極72と外側の第4セグメント電極74の双方と電気的に接続される。なお、共通電極である第3.第4セグメント電極72,74は1本の引き出し電極により接続されても良いが、引き出し電極を複数とすることで配線容量を少なくして、共通電極の充放電速度を速めることができる。
なお、下部電極60を構成する第1,第2セグメント電極62,64に同一電圧を印加して駆動することもできるので、図4(B)の構造を下部電極60に採用しても良い。
1.1.8. 一対の対向電極の張り付き防止策
本実施形態にて、図2または図3の駆動状態を実現する場合、一対の第1対向電極80または一対の第2対向電極90が当接する。この際、当接して電極間が直流的に短絡することを防止しなければならない。そのためには、図5に示すように、第1セグメント電極62または第2セグメント電極64の表面に第1絶縁膜68を形成し、第3セグメント電極72または第3セグメント電極74の表面に第2絶縁膜78を形成すれば良い。なお、4つの電極62,64,72,74のうち、相対向する電極62,72の一方、および相対向する電極64,74の一方に絶縁膜を形成するものであっても良い。あるいは、相対向する電極62,72の双方、および相対向する電極64,74の双方に絶縁膜を形成するものであっても良い。
また、電位差を解除した後も一対の第1対向電極80または一対の第2対向電極90が張り付いて離れなくなることを防止するためには、互いに接触する第1,第2絶縁膜68,78を同一材料(例えばSiO等)により形成すれば良い。これとは異なり、異種材料の絶縁膜が表面にある場合、当接離脱を繰り返すことにより、接触帯電が発生する。接触帯電が大きくなると、電圧を印加していない状態においても、対向電極間に電位差が発生するため、電極間の距離が変化してしまう。そのため、第1,第2の反射膜40,50間のギャップも変化して、高いギャップ精度を確保できなくなる。また、接触帯電が大きくなると、対向電極同士が貼り付く場合もある。図5の構造のように、対向する電極62,72(64,74)の対向表面に同種材料の絶縁膜68,78を用いると、接触帯電の発生を抑えることができるため、上述した弊害を解消できる。
1.1.9. 下部、上部電極の重合領域
図6(A)は、図4(A)に示す下部電極60と図4(B)に示す上部電極70を第2基板30側から見た平面視での重なり状態を示している。図6(A)において、下側に位置する下部電極60は、第1,第2セグメント電極62,64が上部電極70の第3,第4セグメント電極72,74と対向しているため、第2基板30側から見た平面視では現れない。下側に位置する下部電極60は、ハッチングで示すように第1,第2引き出し配線62B,64Bのみが、第2基板30側から見た平面視で現れている。第2引き出し配線64Bは、上部電極70の第3リング状電極部72Aが周方向で連続するので、中間領域64B1が第3リング状電極部72Aの対向領域72A1と対向する。
本実施形態では、図4(A)に示すように、下部電極60のうちの外側の第1セグメント電極62は、第1スリット62Cを有するので、このスリット62Cの領域では第1セグメント電極62に印加した電圧に基づく静電引力は作用しない。
一方、この第1スリット62C内には図4(A)に示すように第2引き出し配線64Bが配置されるので、内側の第2セグメント電極64と同電位である第2引き出し配線64Bと、外側の第3セグメント電極72間に作用する静電引力を第1スリット62C内にて生じさせることができる。その利点として、例えば第1,第2セグメント電極62,64を実質的に同電圧で駆動した場合には、外側の第3セグメント電極72のほぼ全周(第1スリット62Cとの対向領域72A1を含む)に均等な静電引力を生じさせることができる。
図6(B)は、変形例である下部、上部電極60,70’を第2基板30側から見た平面視での重なり状態を示している。図6(B)の上部電極70’が図6(A)の上部電極70と相違する点は、第3セグメント電極72’が、下部電極60の第1スリット62Cと対向する位置にて第3リング状電極部72A’を不連続とする第2スリット79をさらに有する点である。その余の点では、図6(B)の上部電極70’は図6(A)の上部電極70と同一である。
こうすると、第2引き出し配線64Bと対向する電極が存在しなくなる。よって、例えば、内側の第2セグメント電極64を駆動した時、内側の第2セグメント電極64と同電位である第2引き出し配線64Bと、外側の第3セグメント電極72’間に作用する不要な静電引力が、第1スリット62C内で発生することを阻止できる。
1.1.10. 引き出し配線
図7は、第2基板30側から第2基板30を透視して平面図であり、第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bの配線レイアウトを示している。図7において、第1,第2基板20,30の少なくとも一方が、第1及び第2対角線を有する矩形基板とされる。本実施形態では、第1,第2基板20,30の各々が、一辺が例えば10mmの正方形に形成されている。第2引き出し配線64Bが、第1対角線に沿って第2セグメント電極64より延びる方向を第1方向D1としたとき、第1引き出し配線62Bは、第1対角線上にて第1方向D1とは逆方向となる第2方向D2に延びている。第3引き出し配線76Aは、第2対角線に沿った第3方向D3に延びている。第4引き出し配線76Bは、第2対角線上にて第3方向D3とは逆方向となる第4方向D4に延びている。そして、平面視にて矩形基板20,30の四隅の位置にて、第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bが接続される第1〜第4接続電極部101〜104が設けられている。
こうすると、先ず、第1基板20に形成される第1,第2引き出し配線62B,64Bと、第2基板30に形成される第3,第4引き出し配線76A,76Bとは、平面視で重なり合うことはなく、平行電極を構成しない。よって、第1,第2引き出し配線62B,64Bと、第3,第4引き出し配線76A,76Bとの間に無駄な静電引力は生じない。また、第1〜第4接続電極部101〜104にそれぞれ至る第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bの配線長が最短となる。よって、第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bの配線長及び寄生容量に基づく配線容量及び配線抵抗が小さくなり、第1〜第4セグメント電極62,64,72,74を高速に充放電することができる。
なお、第1〜第4外部接続電極部101〜104は、第1,第2基板20,30のいずれか一方か、あるいは双方に各一部を設けても良い。第1,第2基板20,30のいずれか一方にのみ第1〜第4外部接続電極部101〜104を設ける場合には、第1,第2基板20,30の他方に配置された引き出し配線は、導電性ペースト等によって一方の基板に形成された外部接続電極部に接続することができる。なお、第1〜第4外部接続電極部101〜104は、リード線またはワイヤボンディング等の接続部を介して、外部と接続される。
また、第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bは、第1,第2基板20,30を接合する例えばプラズマ重合膜と交差してもよい。あるいは、第1,第2基板20,30の接合面の一方に設けた溝部を介して、第1〜第4引き出し配線62B,64B,76A,76Bを、接合面を超えて外部に引き出しても良い。
1.2. 光フィルターの電圧制御系
1.2.1. 印加電圧制御系ブロックの概要
図8は、図4(A)に示す下部電極60と図4(B)に示す上部電極70を有する光フィルター10の印加電圧制御系ブロック図である。図8に示すように、光フィルター10は、下部電極60と上部電極70との間の電位差を制御する電位差制御部110を有する。本実施形態では、共通電極である上部電極70(第3,第4セグメント電極72,74)は一定の共通電圧例えば接地電圧(0V)に固定されているため、電位差制御部110は、下部電極60を構成するK個のセグメント電極である第1,第2セグメント電極62,64への印加電圧を変化させて、第1,第2セグメント電極62,64の各々と上部電極70との間の外周側電位差ΔVseg1及び内周側電位差ΔVseg2をそれぞれ制御する。なお、上部電極70は接地電圧以外の共通電圧を印加してもよく、その場合、電位差制御部110が上部電極70に共通電圧の印加/非印加を制御しても良い。
図8では、電位差制御部110は、第1セグメント電極62に接続された第1セグメント電極駆動部例えば第1デジタル−アナログコンバータ(DAC1)112と、第2セグメント電極64に接続された第2セグメント電極駆動部例えば第2デジタル−アナログコンバータ(DAC2)114と、それらを制御例えばデジタル制御するデジタル制御部116とを含んでいる。第1,第2デジタル−アナログコンバータ112,114には電源120からの電圧が供給される。第1,第2デジタル−アナログコンバータ112,114は、電源120からの電圧の供給を受けると共に、デジタル制御部116からのデジタル値に応じたアナログ電圧を出力する。電源120は、光フィルター10が装着される分析機器または光機器に装備されているものを利用できるが、光フィルター10専用の電源を用いても良い。
図9は、共に図4(B)に示す構造の下部、上部電極60,70を有する光フィルター10の印加電圧制御系ブロック図である。この場合、電位差制御部110’は、下部電極60の第1,第2セグメント62,64に接続される一つのデジタル−アナログコンバータ(DAC)111と、それを制御するデジタル制御部116を含んでいる。電位差制御部110’は、第1,第3セグメント62,72電極間の電位差と、第2,第4セグメント電極64,74間の電位差とを、共に等しい電位差ΔVsegに可変設定する。
1.2.2. 光フィルターの駆動方法
図10は、図8に示すデジタル制御部116での制御の元データである電圧テーブルデータの一例を示す特性図である。この電圧テーブルデータは、デジタル制御部116自体に設けても良いし、あるいは光フィルター10が装着される分析機器または光機器に装備しても良い。
図10は、一対の第1,第2対向電極80,90のうちの下部電極60が、図4(A)に示すように互いに絶縁された第1,第2セグメント電極62,64を含む場合の駆動方法の一例である。この場合、電位差制御部110は、第1,第2セグメント電極62,64に対してそれぞれ独立して電圧を設定制御し、一対の第1,第2対向電極80,90のうちの上部電極70(第3,第34セグメント電極72,74)を共通電圧(例えば接地電圧)に設定制御している。換言すれば、図10は、K個のセグメント電極62,64の各々に順次電圧を印加することで、計N段階で第1,第2反射膜40,50の間のギャップを可変するための電圧テーブルデータとして、N=3の例を示している。電位差制御部110は、図10に示す電圧テーブルデータに従って、K個のセグメント電極(第1,第2セグメント電極62,64)毎に設定された電圧値を、K個のセグメント電極(第1,第2セグメント電極62,64)の各々に印加している。
図10に示すように、テーブルNO.1では、第1,第2セグメント電極62,64には電圧が印加されず(電圧0)、下部、上部電極60,70間の電位差が0であるので、図1に示す初期状態となる。
図10のテーブルNO.2では、第1セグメント電極62に電圧VOが印加され、第2セグメント電極64には電圧が印加されない(電圧0)。このとき、外側の第1,第3セグメント62,72の間に電位差VOが生成され、図2に示すように一対の第1対向電極80が当接する。この駆動前の第1,第3セグメント62,72の間の第1ギャップG1は比較的小さいので、上述した式(1)から、駆動電圧VOは比較的低電圧で済む。
図10のテーブルNO.3では、第1セグメント電極62に電圧VOが印加され続ける一方で、第2セグメント電極64には電圧VIが印加される。このとき、図3に示すように、外側の第1,第3セグメント62,72の間に電位差VOが生成されて一対の第1対向電極80の当接が維持されると共に、内側の第2,第4セグメント電極64,74間に電位差VIが生成されて一対の第2対向電極90が当接する。図1に示す初期状態では第1,第3セグメント62,72の間の第2ギャップG2は第1ギャップG1よりも大きいが、その後図2に示すように第2ギャップG2’は第1ギッャプG1とほぼ同等に小さくすることができる。よって、上述した式(1)から、駆動電圧VIもまた比較的低電圧で済む。
この駆動方法では、光フィルター10に供給される最大電圧Vmaxをそれぞれ駆動電圧VO及び駆動電圧VIに割り当てることができる(例えばVmax=VO=VI)。しかも、光フィルター10に供給すべき最大電圧Vmaxを低電圧にすることができる。
このような電圧制御により、光フィルター10では、図11に示す波長透過特性を実現できる。図11は、第1,第2反射膜40,50間の第3ギャップG3の大きさを例えばg0〜g2に変化した時の波長透過特性を示している。光フィルター10では、第1,第2反射膜40,50の間の第3ギャップG3の大きさが例えばg0〜g2(g0>g1>g2)と可変されると、その第3ギャップG3の大きさに応じて透過ピーク波長が決定される。すなわち、光フィルター10を透過する光の波長λは、その半波長(λ/2)の整数(n)倍が図1〜図3の第3ギャップG3,G3’,G3’’と一致する光であり(例えばn×λ=2G3)、半波長(λ/2)の整数(n)倍が第3ギャップG3と一致しない光は、第1,第2反射膜40,50により多重反射される過程で干渉しあって減衰され、透過することがない。
したがって、図11に示すように、第1,第2反射膜40,50間の第3ギャップG3の大きさをg0、g1、g2と狭めるように変化させることで、光フィルター10を透過する光、すなわち透過ピーク波長がλ0、λ1、λ2(λ0>λ1>λ2)と、順次短くなるように変化する。
ここで、図10の電圧テーブルデータに従って駆動すると、先ず、光フィルター10の初期状態により図1の第3ギャップG3(=g0)が一義的に定まり、次に外側の一対の第1対向電極80が当接することで図2の第3ギャップG3’(=g1)が一義的に定まり、最後に内側の一対の第2対向電極90が当接することで図3の第3ギャップG3’’(=g2)が一義的に定まる。こうして、電圧変動等の外乱ノイズに対してもギャップ精度を高めた波長可変駆動が実現できる。
1.2.3. 光フィルターの他の駆動方法
図12は、図9に示すデジタル制御部116での制御の元データである電圧テーブルデータの一例を示す特性図である。図12は、電位差制御部110が、一対の第1,第2対向電極80,90のうちの下部電極60を第1電圧に設定制御し、一対の第1,第2対向電極80,90のうちの上部電極70を第1電圧とは異なる第2電圧に設定制御する駆動方法を示している。換言すれば、図12は、K個のセグメント電極62,64に共通電圧を順次電圧を印加することで、N=3段階で第1,第2反射膜40,50の間のギャップを可変するための電圧テーブルデータである。電位差制御部110は、図12に示す電圧テーブルデータに従って、K個のセグメント電極(第1,第2セグメント電極62,64)に共通に設定された電圧値を、K個のセグメント電極(第1,第2セグメント電極62,64)に同時に印加している。
図12に示すように、テーブルNO.1では、第1,第2セグメント電極62,64には電圧が印加されず(電圧0)、下部、上部電極60,70間の電位差が0であるので、図1に示す初期状態となる。テーブルNO.2では、第1,第2セグメント電極62,64に電圧VOが印加される。このとき、外側の第1,第3セグメント62,72の間に生成される電位差VOに起因した静電引力により、図1に示す比較的小さな第1ギャップG1分だけ第2基板30が移動して、図2に示すように一対の第1対向電極80が当接する。この駆動前の第1,第3セグメント62,72の間の第1ギャップG1は比較的小さいので、上述した式(1)から、駆動電圧VOは比較的低電圧で済む点は図10と同じである。
図12のテーブルNO.3では、第1,第2セグメント電極62,64に電圧VI(VI>VO)が印加される。このとき、図3に示すように、外側の第1,第3セグメント62,72の間には電位差VOより大きい電位差VIが生成されて一対の第1対向電極80の当接が維持されると共に、内側の第2,第4セグメント電極64,74間にも電位差VOより大きな電位差VIが生成されて一対の第2対向電極90が当接する。図1に示す初期状態では第1,第3セグメント62,72の間の第2ギャップG2は第1ギャップG1よりも大きいが、その後図2に示すように第2ギャップG2’は第1ギッャプGとほぼ同等に小さくすることができる。よって、上述した式(1)から、駆動電圧VIは駆動電圧VOよりも大きいとは言え、比較的低電圧で済む。このような電圧制御によっても、光フィルター10では、図11に示す波長透過特性を実現できる。
1.2.4. 光フィルターのさらに他の駆動方法
図13は、K個のセグメント電極62,64の各々に順次電圧を印加することで、N=9段階で第1,第2反射膜40,50の間のギャップを可変するための電圧テーブルデータを示している。なお、図13では、第1,第2セグメント電極62,64の双方と上部電極70との間の各電位差が共に0Vであるときは、N段階のギャップ可変範囲に含めていない。電位差0の初期状態を含めてN=10段階の駆動としても良い。
図13に示すように、第1セグメント電極62には、L=4種類の電圧(VI1〜VI4:VI1<VI2<VI3<VI4)を印加し、第2セグメント電極64には、M=5種類の電圧(VO1〜VO5:VO1<VO2<VO3<VO4<VO5)を印加し、第1,第2反射膜40,50の間の第3ギャップG3をg0〜g8の9(N=L+M=9)段階にて可変している。なお、L及びMの個数には、印加電圧0(電位差0)をカウントしても良い。
ここで、L,M,Nの値は任意に変更できるが、L≧3,M≧3、N≧6の整数とすることが好ましい。L≧3,M≧3、N≧6とすると、第1,第2セグメント電極62,64毎に設定されている、第1電位差ΔV1から、第1電位差ΔV1より大きい第2電位差ΔV2、第2電位差ΔV2より大きい第3電位差ΔV3へと、図8に示す外周側電位差ΔVseg1及び内周側電位差ΔVseg2をそれぞれ切り替えることができる。これにより、特許文献3のように、2値で電圧駆動されるものと比較すれば、セグメント電極数を増加させずに多段階に透過波長を変化させることができる。
図13では、例えば透過ピーク波長の最大波長λ0=700nmから最小波長λ8=380nmの9段階で透過ピーク波長を可変するために、第1,第2反射膜40,50間の第1ギャップG1は例えば最大ギャップg0=300nmから最小ギャップg8=140nmの9段階に可変することができる。しかも、図13では、最大ギャップg0から最小ギャップg8までの9段階のギャッブg0〜g8を等間隔(=40nm)に設定することにより、最大波長λ0から最小波長λ8までの9段階の波長λ0〜λ8も等間隔(=40nm)とすることができる。このように、第1,第2反射膜間の第1ギャップG1の大きさを一定量ずつ順次狭まるように変化させることで、透過ピーク波長も一定値ずつ短くなる。
図13に示すように、電位差制御部110は、先ず、外側の第1セグメント電極62に電圧VO1〜電圧VO5を順次印加する。上部電極70が0Vであることから、上部電極70と第1セグメント電極62との間の電位差は、第1電位差VO1、第2電位差VO2、第3電位差VO3、第4電位差VO4、第5電位差VO5と、外周側電位差Vseg1を順次大きくすることができる。それにより、第1,第2反射膜40,50間の第3ギャップG3の大きさが、go→g1→g2→g3→g4と順次小さくなる。この結果、光フィルター10を透過する光、すなわち透過ピーク波長がλ0→λ1→λ2→λ3→λ4と、順次短くなるように変化する。
ここで、図13に示すテーブルNO.1〜NO.4では、一対の第1対向電極80の第1ギャップG1の大きさが順次小さくなり、テーブルNO.5で第1セグメント電極62に最大電圧VO5が印加されると、図2に示すように一対の第1対向電極80が当接する。
つまり、電位差制御部110は、一対の第1対向電極80を、第1ギャップG1よりも狭める第1の電位差(VO1〜V04のいずれか一つ)に設定制御した後に、第1の電位差よりも大きい第2の電位差(VO5)に設定制御して、一対の第1対向電極80を当接させることができる。こうすることで、一対の第1対向電極80を第1ギャップG1以外の非接触状態と、接触状態とに切り換えて、図10及び図12の駆動方法よりも多段階に第1,第2反射膜40,50間の距離を可変することができる。
さらに、図13の駆動方法では、電位差制御部110は、一対の第2対向電極90に電位差を生じさせる前に、一対の第1対向電極80を当接させることができる。換言すれば、電位差制御部110は、内側の第2セグメント電極64に電圧を印加する前に、一対の第1対向電極80を当接させて、第1,第2反射膜40,50間の距離を一義的に設定することができる。よって、これ以降に内側の第2セグメント電極64に電圧を印加して駆動する際の基準位置を、一対の第1対向電極80を当接させて設定することができる。従って、第1,第2反射膜40,50間の第3のギャップG3が変化する過程でのギャップ精度を高めることができる。
次に電位差制御部110は、図13に示すように、第1セグメント電極62への最大印加電圧VO5の印加を維持したまま、電位差制御部110は、内側の第2セグメント電極64に電圧VI1〜電圧VI4を順次印加する。上部電極70が0Vであることから、上部電極70と第2セグメント電極64との間の電位差は、第1電位差VI1、第2電位差VI2、第3電位差VI3、第4電位差VIO4と、内周側電位差Vseg2を順次大きくすることができる。それにより、第1,第2反射膜40,50間の第3ギャップG3の大きさが、g5→g6→g7→g8と順次小さくなる。この結果、光フィルター10を透過する光、すなわち透過ピーク波長がλ5→λ6→λ7→λ8と、順次短くなるように変化する。
ここで、図13に示すテーブルNO.5〜NO.8では、一対の第2対向電極90の第2ギャップG2の大きさが順次小さくなり、テーブルNO.9で第2セグメント電極64に最大電圧VI4が印加されると、図3に示すように一対の第2対向電極90を当接させることができる。つまり、電位差制御部110は、一対の第1対向電極80の当接を維持して、一対の第2対向電極90第3の電位差(VI1〜VI3のいずれか一つ)に設定制御した後に、第3の電位差よりも大きい第4の電位差(VI4)に設定制御して、一対の第2対向電極90を当接させることができる。こうすることで、一対の第2対向電極90を第2ギャップG2以外の非接触状態と、接触状態とに切り換えて、図10及び図12の駆動方法よりも多段階に第1,第2反射膜40,50間の距離を可変することができる。
さらに、一対の第2対向電極90を当接させると、第1,第2反射膜40,50間の距離を一義的に設定でき、ギャップ精度を高めることができる。ただし、テーブルNO.9で第2セグメント電極64に最大電圧VI4が印加されても、必ずしも一対の第2対向電極90を当接させなくてもよい。
このように、電位差制御部110は、外周側電位差Vseg1ついて少なくとも、第1電位差VO1から、第1電位差VO1より大きい第2電位差VO2へ、さらに第2電位差VO2よりも大きい第3電位差VO3に切り替え、内周側電位差Vseg2について少なくとも、第1電位差VI1から、第1電位差VI1より大きい第2電位差VI2へ、さらに第2電位差VI2よりも大きい第3電位差VI3に切り替えるため、可動側の第2基板30の減衰自由振動を抑制することができ、迅速な波長可変動作が実施することができる。しかも、電位差制御部110は、第1,第2セグメント電極62,64の各々に対して3値以上の電圧(電圧0を含んでも良い)として、第1セグメント電極62に対して少なくとも第1セグメント電圧VO1、第2セグメント電圧VO2及び第3セグメント電圧VO3を、第2セグメント電極64に対して少なくとも第1セグメント電圧VI1、第2セグメント電圧VI2及び第3セグメント電圧VI3を印加している。よって、第1,第2セグメント電極62,64の各一つを駆動するだけで、それぞれ3段階以上のギャップ可変が可能となり、図10の駆動例のように下部電極60のセグメント電極数を多くする必要がない。
ここで、印加電圧の最大値をVmaxとし、ギャップをN段階で可変するものとする。下部電極60が複数に分割されていない比較例を想定すると、その比較例では最大電圧VmaxをN分割して印加電圧を割り当てる必要がある。このとき、異なる印加電圧間の電圧変化量の最小値をΔV1minとする。一方、本実施形態では、K個のセグメント電極の各々への印加電圧は、それぞれ最大電圧Vmaxをフルスケールとして用いることができる。このとき、K個のセグメント電極の各々について、同一セグメント電極に印加される異なる印加電圧間の電圧変化量の最小値をΔVkminとする。その場合、ΔV1min<ΔVkminが成立することが明らかである。
このように、電圧最小変化量ΔVkminを大きく確保できれば、電源変動や環境等に依存したノイズによってK個のセグメント電極62,64への印加電圧が多少変動してもギャップ変動は小さくなる。つまり、ノイズに対する感度が小さい、換言すれば電圧感度が小さくなる。それにより、高精度なギャップ制御が可能となり、特許文献1のようにギャップを帰還制御することは必ずしも要しない。また、ギャップを帰還制御したとしても、ノイズに対する感度が小さいために早期に安定させることができる。
また、平面視で第1,第2反射膜40,50の周囲にのみ配置された独立する複数(K個)の一対の第1,第2対向電極80,90を有することで、第1,第2反射膜40,50の平行度を保ちながらその間のギャップを細かく変化させる制御力の発生が可能となる。これとは異なり、中央位置の第1,第2反射膜に電極を設けると、中央電極面積を相当広く確保しない限り、第1,第2反射膜の平行度を維持することは困難となるからである。本実施形態では、中央側の第1,第2反射膜40,50の領域は非駆動領域とし、その周囲を駆動領域とすることで、第1,第2反射膜40,50の平行度を維持している。第1,第2反射膜40,50の平行度は、第1,第2反射膜40,50間で多重反射させて干渉により不要波長の光を減衰させるファブリペロー型干渉フィルターにとっては重要な技術要素である。
1.2.4.1. 電圧変化量(第1電位差と第2電位差との差の絶対値等)
電位差制御部110は、外周側電位差Vseg1及び内周側電位差Vseg2の各々について、第2電位差と第3電位差との差の絶対値を、第1電位差と第2電位差との差の絶対値よりも小さくすることができる。本実施形態では上部電極70は共通電圧0Vで不変であるので、例えば外周側電位差Vseg1としての第1電位差と第2電位差との差の絶対値とは、図13に示すように、第1セグメント電極62に印加される第1セグメント電圧VO1及び第2セグメント電圧VO2間の電圧変化量ΔVO1と等価である。外周側電位差Vseg1の電圧変化量は、ΔVO1>ΔVO2>ΔVO3>ΔVO4と順次小さくなる関係にあり、内周側電位差Vseg2の電圧変化量も、ΔVI1>ΔVI2>ΔVI3と順次小さくなる関係にある。
このような関係にした理由は次の通りである。上述した式(1)から、静電引力Fは、下部、上部電極60,70間の電位差(本実施形態では下部電極60への印加電圧V)の二乗に比例する。図14は、電位差Vの二乗に比例する静電引力Fの特性図(F=Vの図)である。図14に示すように、電位差Vが大きくなる方向に、第1電位差、第2電位差、第3電位差と切り替えたとき、第1電位差と第2電位差との差の絶対値ΔV1と、第2電位差と第3電位差との絶対値の差ΔV2が同じ場合(図14ではΔV1=ΔV2)、静電引力の増加量ΔFは、ΔF1からΔF2へと急激に増大することになり、オーバーシュートの原因となる。
そこで、第2電位差と第3電位差との差の絶対値ΔV2は、第1電位差と第2電位差との差の絶対値ΔV2よりも小さくする。これにより、ギャップが狭くなった際の静電引力の急激な増大を抑制することができ、図13のテーブルNO.1−4及びNO.6−8でのオーバーシュートをより抑制することができ、より迅速な波長可変動作を実現することができる。
一方、図13のテーブルNO.5またはNO.9では、ギャップが狭くなった際の静電引力の急激な増大をむしろ許容して、一対の第1,第2対向電極80,90の当接を積極的に利用している。
静電引力Fは、式(1)の通り下部、上部電極60,70間のギャップG(第1,第2ギャップG1,G2)の二乗に反比例する。静電引力Fの変化量ΔFと、下部、上部電極60,70間のギャップGの変化量ΔGとの関係を、図15に示す。図15では、電極間ギャップGが小さい領域でのギャップ変化量ΔG1と、電極間ギャップGが大きい領域でのギャップ変化量ΔG2(=ΔG1)とが示されている。電極間ギャップGが小さい領域では、ギャップがギャップ変化量ΔG1だけ変化するだけで、静電引力FはΔF1と大きく変化する。これに対して、電極間ギャップGが大きい領域では、ギャップ変化量ΔG1と同じギャップ変化量ΔG2だけ変化しても、静電引力Fの変化量は比較的小さいΔF2となる。
このように、電極間ギャップGが比較的狭い領域では、ギャップGがわずかに変化しただけで静電引力Fは急激に変化し、所定の静電引力Fを得るためのギャップ制御が極めて困難である。そこで、図13のテーブルNO.5またはNO.9では、ギャップが狭くなった際の静電引力の急激な増大をむしろ許容して、一対の第1,第2対向電極80,90を当接させている。
1.2.4.2. 電圧印加期間
電位差制御部110は、外周側電位差Vseg1及び内周側電位差Vseg2の各々について、第2電位差に設定されている期間は、第1電位差に設定されている期間より長く、第3電位差に設定されている期間は、第2電位差に設定されている期間より長くすることができる。本実施形態では、図13に示すように、外周側電位差Vseg1について、第2電位差VO1の期間TO2は、第1電位差VO1の期間TO1よりも長く、第3電位差VO3の期間TO3は、第2電位差VO2の期間TO2よりも長く、TO1<TO2<TO3<TO4と順次長くなる関係にある。同様に、図13に示すように、内周側電位差Vseg2について、第2電位差VI1の期間TI2は、第1電位差VI1の期間TI1よりも長く、第3電位差VI3の期間TI3は、第2電位差VI2の期間TI2よりも長く、TI1<TI2<TI3と順次長くなる関係にある。
第1電位差よりも大きい第2電位差としたとき、または第2電位差より大きい第3電位差としたとき、第2基板30の復元力も大きくなる。このため、第2基板30が静止するまでの時間が長くなる。すなわち、第1,第2反射膜40,50間の第3ギャップG3が、定位置に安定するまでの時間が長くなる。これに対して、本実施形態のように、第2電位差に設定されている期間を、第1電位差に設定されている期間より長く、第3電位差に設定されている期間を、第2電位差に設定されている期間より長く設定することにより、第3ギャップG3を所定値に安定させることができる。
ただし、一対の第1対向電極80が当接する駆動期間T05と、一対の第2対向電極90が当接する駆動期間TI4とは、第2基板30は瞬時に当接位置にて安定するので、各期間TO1〜T04及びTI1〜TI3よりも短くすることができる。
1.2.5. 光フィルターのさらに他の駆動方法
図16は、K個のセグメント電極62,64に共通電圧を印加することで、N=9段階で第1,第2反射膜40,50の間のギャップを可変するための電圧テーブルデータを示している。つまり、図10と図12の関係と、図15と図16の関係は等価である。
図16でも、テーブルNO.1〜NO.4では、一対の第1対向電極80の第1ギャップG1の大きさが順次小さくなり、テーブルNO.5で第1,第2セグメント電極62,64に共通電圧VO5が印加されると、図2に示すように一対の第1対向電極80が当接する。また、テーブルNO.5〜NO.8では、一対の第2対向電極90の第2ギャップG2の大きさが順次小さくなり、テーブルNO.9で第1,第2セグメント電極62,64に最大の共通電圧VI4が印加されると、図3に示すように一対の第2対向電極90を当接させることができる。よって、図16の駆動方法でも図13の駆動方法と同様な効果を奏すことができるが、VO5<VI1となることから、最大電圧VmaxをN=9分割して各印加電圧を設定する点で、ノイズ感度は図13の駆動方法よりも大きくなる。
2.分析機器
図17は、本発明に係る一実施形態の分析機器の一例である測色器の概略構成を示すブロック図である。
図17において、測色器200は、光源装置202と、分光測定装置203と、測色制御装置204と、を備えている。この測色器200は、光源装置202から検査対象Aに向かって例えば白色光を射出し、検査対象Aで反射された光である検査対象光を分光測定装置203に入射させる。そして、分光測定装置203にて検査対象光を分光し、分光した各波長の光の光量を測定する分光特性測定を実施する。言い換えると、検査対象Aで反射された光である検査対象光を光フィルター(エタロン)10に入射させ、エタロン10から透過した透過光の光量を測定する分光特性測定を実施する。そして、測色制御装置204は、得られた分光特性に基づいて、検査対象Aの測色処理、すなわち、どの波長の色がどの程度含まれているかを分析する。
光源装置202は、光源210、複数のレンズ212(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ212には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置202は、光源210から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。
分光測定装置203は、図17に示すように、エタロン10と、受光素子としての受光部220と、駆動回路230と、制御回路部240と、を備えている。また、分光測定装置203は、エタロン10に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(測定対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。
受光部220は、複数の光電交換素子(受光素子)により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光部220は、制御回路部240に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御回路部240に出力する。
駆動回路230は、エタロン10の下部電極60、上部電極70、および制御回路部240に接続される。この駆動回路230は、制御回路部240から入力される駆動制御信号に基づいて、下部電極60および上部電極70間に駆動電圧を印加し、第2基板30を所定の変位位置まで移動させる。駆動電圧としては、下部電極60と上部電極70との間に所望の電位差が生じるように印加されればよく、例えば、下部電極60に所定の電圧を印加し、上部電極70をアース電位としてもよい。駆動電圧としては、直流電圧を用いるのが好ましい。
制御回路部240は、分光測定装置203の全体動作を制御する。この制御回路部240は、図17に示すように、例えばCPU250、記憶部260などにより構成されている。そして、CPU250は、記憶部260に記憶された各種プログラム、各種データに基づいて、分光測定処理を実施する。記憶部260は、例えばメモリーやハードディスクなどの記録媒体を備えて構成され、各種プログラム、各種データなどを適宜読み出し可能に記憶する。
ここで、記憶部260には、プログラムとして、電圧調整部261、ギャップ測定部262、光量認識部263、および測定部264が記憶されている。なお、ギャップ測定部262は上述の通り省略しても良い。
また、記憶部260には、第3ギャップG3の間隔を調整するために静電アクチュエーター80,90に印加する電圧値、およびその電圧値を印加する時間を関連付けた図10、図12、図13または図16のいずれかに示す電圧テーブルデータ265が記憶されている。
測色制御装置204は、分光測定装置203および光源装置202に接続されており、光源装置202の制御、分光測定装置203により取得される分光特性に基づく測色処理を実施する。この測色制御装置204としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、測色制御装置204は、図17に示すように、光源制御部272、分光特性取得部270、および測色処理部271などを備えて構成されている。
光源制御部272は、光源装置202に接続されている。そして、光源制御部272は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置202に所定の制御信号を出力し、光源装置202から所定の明るさの白色光を射出させる。
分光特性取得部270は、分光測定装置203に接続され、分光測定装置203から入力される分光特性を取得する。
測色処理部271は、分光特性に基づいて、検査対象Aの色度を測定する測色処理を実施する。例えば、測色処理部271は、分光測定装置203から得られた分光特性をグラフ化し、図示しないプリンターやディスプレイなどの出力装置に出力するなどの処理を実施する。
図18は、分光測定装置203の分光測定動作を示すフローチャートである。まず、制御回路部240のCPU250は、電圧調整部261、光量認識部263、および測定部264を起動させる。また、CPU250は、初期状態として、測定回変数nを初期化(n=0に設定)する(ステップS1)。なお、測定回変数nは、0以上の整数の値をとる。
この後、測定部264は、初期状態、すなわち、静電アクチュエーター80,90に電圧が印加されていない状態で、エタロン10を透過した光の光量を測定する(ステップS2)。なお、この初期状態における第3ギャップG3の大きさは、例えば分光測定装置の製造時において予め測定し、記憶部260に記憶しておいてもよい。そして、ここで得られた初期状態の透過光の光量、および第3ギャップG3の大きさを測色制御装置204に出力する。
次に、電圧調整部261は、記憶部260に記憶されている電圧テーブルデータ265を読み込む(ステップS3)。また、電圧調整部261は、測定回変数nに「1」を加算する(ステップS4)。
この後、電圧調整部261は、電圧テーブルデータ265から、測定回変数nに対応する第1,第2セグメント電極62,64の電圧データ及び電圧印加期間データを取得する(ステップS5)。そして、電圧調整部261は、駆動回路230に駆動制御信号を出力し、電圧テーブルデータ265のデータに従って静電アクチュエーター80,90を駆動する処理を実施する(ステップS6)。
また、測定部264は、印加時間経過タイミングで、分光測定処理を実施する(ステップS7)。すなわち、測定部264は、光量認識部263により透過光の光量を測定させる。また、測定部264は、測定された透過光の光量と、透過光の波長とを関連付けた分光測定結果を測色制御装置204に出力する制御をする。なお、光量の測定は、複数回または全ての回数の光量のデータを記憶部260に記憶させておき、複数回毎の光量のデータまたは全ての光量のデータの取得後に、まとめて、それぞれの光量を測定してもよい。
この後、CPU250は、測定回変数nが最大値Nに達したか否かを判断し(ステップS8)、測定回変数nがNであると判断すると、一連の分光測定動作を終了する。一方,ステップS8において、測定回変数nがN未満である場合、ステップS4に戻り、測定回変数nに「1」を加算する処理を実施し、ステップS5〜ステップS8の処理を繰り返す。
3.光機器
図19は、本発明に係る一実施形態の光機器の一例である波長多重通信システムの送信機の概略構成を示すブロック図である。波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)通信では、波長の異なる信号は干渉し合わないという特性を利用して、波長が異なる複数の光信号を一本の光ファイバー内で多重的に使用すれば、光ファイバー回線を増設せずにデータの伝送量を向上させることができるようになる。
図19において、波長多重送信機300は、光源301からの光が入射される光フィルター10を有し、光フィルター10からは複数の波長λ0,λ1,λ2,…の光が透過される。波長毎に送信器311,312,313が設けられる。送信器311,312,313からの複数チャンネル分の光パルス信号は、波長多重装置321にて1つに合わせられて一本の光ファイバー伝送路331に送出される。
本発明は光符号分割多重(OCDM: Optical Code Division Multiplexing)送信機にも同様に適用できる。OCDMは、符号化された光パルス信号のパターンマッチングによってチャンネルを識別するが、光パルス信号を構成する光パルスは、異なる波長の光成分を含んでいるからである。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
10 光フィルター、20 第1基板、20A 対向面、20A1 第1対向面、20A2 第2対向面、20A3 第3対向面、30 第2基板、30A 対向面、40 第1反射膜、50 第2反射膜、60 下部電極、62 第1電極(第1セグメント電極)、62A 第1リング状電極、62B 第1引き出し配線、62C 第1スリット、64 第2電極(第2セグメント電極)、64A 第2リング状電極、64B 第2引き出し配線、68 絶縁膜、70,70’ 上部電極、72,72’ 第3電極(第3セグメント電極)、72A,72A’ 第3リング状電極、74 第4電極(第4セグメント電極)、74A 第4リング状電極、76A 第3引き出し配線、76B 第4引出し配線、78 絶縁膜、79 第2スリット、80 第1対向電極、90 第2対向電極、101〜104 第1〜第4外部接続電極、110 電位差制御部、111 下部電極駆動部、112 第1セグメント駆動部、114 第2セグメント駆動部、116 デジタル制御部、120 電源、200 分析機器(測色器)、300 光機器、G1 第1の距離(第1ギャップ)、G2 第2の距離(第2ギャップ)、G3 第3の距離(第3ギャップ)、L 中心線、ΔVseg1 外周側電位差、ΔVseg2 内周側電位差、W1,W2 リング幅

Claims (14)

  1. 第1基板と、
    前記第1基板と対向する第2基板と、
    前記第1基板に設けられた第1反射膜と、
    前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と対向する第2反射膜と、
    前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1反射膜の周囲に設けられた第1電極と、
    前記第1基板に設けられ、且つ、平面視において前記第1電極と前記第1反射膜との間に設けられた第2電極と、
    前記第2基板に設けられ、前記第1電極と対向する第3電極と、
    前記第2基板に設けられ、前記第2電極と対向する第4電極と、
    前記第1電極と前記第3電極との電位差と、前記第2電極と前記第電極との電位差とを制御する電位差制御部と、
    を有し、
    前記第1電極と前記第3電極とは、第1距離を隔てて対向し、
    前記第2電極と前記第4電極とは、前記第1距離と異なる第2距離を隔てて対向し、
    前記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に、第1電位差、前記第1電位差よりも大きい第2電位差、前記第2電位差よりも大きい第3電位差順次生じさせる電圧印加を経て前記第1電極と前記第3電極とを当接させ、その後前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2電極と前記第4電極とを当接させ、前記第2電位差と前記第3電位差との差の絶対値を、前記第1電位差と前記第2電位差との差の絶対値よりも小さくすることを特徴とする光フィルター。
  2. 請求項において、
    前記電位差制御部は、前記第2電極と前記第4電極との間に、第4電位差、前記第4電位差よりも大きい電位差、前記第5電位差よりも大きい第6電位差を生じさせる電圧印加を経て、前記第2電極と前記第4電極とを当接させ、前記第5電位差と前記第6電位差との差の絶対値を、前記第4電位差と前記第5電位差との差の絶対値よりも小さくすることを特徴とする光フィルター。
  3. 請求項1または2において、
    前記電位差制御部は、前記第1電位差に設定する期間よりも前記第2電位差に設定する期間を長くし、前記第1電位差及び前記第2電位差に設定する各期間よりも前記第3電位差に設定する期間を短くすることを特徴とする光フィルター。
  4. 請求項2において、
    前記電位差制御部は、前記第4電位差に設定する期間よりも前記第5電位差に設定する期間を長くし、前記第4電位差及び前記第5電位差に設定する各期間よりも前記第6電位差に設定する期間を短くすることを特徴とする光フィルター。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    記第1電極に設けられた第1絶縁膜と、
    前記第2電極に設けられた第2絶縁膜と、
    をさらに有し、
    記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に電位差を生じさせることによって前記第1絶縁膜と前記第3電極とを当接させ、前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2絶縁膜と前記第4電極とを当接させることを特徴とする光フィルター。
  6. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    記第1電極に設けられた第1絶縁膜と、
    前記第2電極に設けられた第2絶縁膜と、
    前記第3電極に設けられた第3絶縁膜と、
    前記第4電極に設けられた第4絶縁膜と、
    をさらに有し、
    記電位差制御部は、前記第1電極と前記第3電極との間に電位差を生じさせることによって前記第1絶縁膜と前記第3絶縁膜とを当接させ、前記第2電極と前記第4電極との間に電位差を生じさせることによって前記第2絶縁膜と前記第4絶縁膜とを当接させることを特徴とする光フィルター。
  7. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1距離は、前記第1電極と前記第3電極との電位差が零のときの距離であり、
    前記第2距離は、前記第2電極と前記第4電極との電位差が零のときの距離であることを特徴とする光フィルター。
  8. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1電極と前記第3電極との電位差が零のときで、かつ、前記第2電極と前記第4電極との電位差が零のときに、第1反射膜と前記第2反射膜とは、第3距離を隔てて対向し、
    前記第1距離は、前記第2距離よりも小さく、
    前記第2距離は、前記第3距離よりも小さいことを特徴とする光フィルター。
  9. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1基板は、前記第2基板側に、第1面と、前記第1面よりも高い第2面と、前記第2面よりも高い第3面とを有し、
    前記第1面に、前記第1反射膜が形成され
    前記第2面に、前記第2電極が形成され、
    前記第3面に、前記第1電極が形成されることを特徴とする光フィルター。
  10. 請求項1乃至のいずれかにおいて
    前記第1基板は、前記第2基板側に、第1面と、前記第1面と同じ高さを有する第2面と、前記第2面と同じ高さを有する第3面とを有し、
    前記第1面に、前記第1反射膜が形成され
    前記第2面に、前記第2電極が形成され、
    前記第3面に、前記第1電極が形成され、
    前記第1電極の膜厚は、前記第2電極の膜厚と異なることを特徴とする光フィルター。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    さらに、前記第1電極に接続された引き出し配線を有し、
    前記第1電極は、平面視において、第1リング形状を有し、
    前記第2電極は、平面視において、スリットを有する第2リング形状を有し、
    前記第3電極は、平面視において、第3リング形状を有し、
    前記第4電極は、平面視において、スリットを有する第4リング形状を有し、
    前記第1電極に接続された引き出し配線は、前記第2リング形状の前記スリットが形成された領域に形成され、
    前記第4リング形状のスリットは、前記2リング形状のスリットと対向して形成されていることを特徴とする光フィルター。
  12. 請求項1乃至11のいずれかにおいて
    第1電極と前記第2電極とは、離間して形成され、
    前記第3電極と前記第4電極とは、連結部を介して電気的に接続されていることを特徴とする光フィルター。
  13. 請求項1乃至12のいずれか記載の光フィルターを含む分析機器。
  14. 請求項1乃至12のいずれか記載の光フィルターを含む光機器。
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