JP5347672B2 - 鉛蓄電池用懸垂基板 - Google Patents

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本発明は、鉛蓄電池用懸垂基板に関する。
電池は、マンガン、水銀、アルカリ等に代表される一次電池と、鉛、ニッケル−カドミウム、リチウムイオン、ニッケル−水素等に代表される充電可能な二次電池とに大別される。
また現在は、携帯電話等に多く使用されることから、次世代の二次電池としてリチウムイオン電池や、ニッケル水素電池等の小型且つ高性能な電池の開発が進んでいる。
他方で、前記リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池は、価格の面で不利であり、特に前者は、安全性の面でも十分な配慮が必要であるため、オフィスビル、病院等の停電時における、瞬時電圧低下対策用の産業用電池、また自動車用バッテリー等では、主に鉛蓄電池が用いられている。
鉛蓄電池は、一般的に希硫酸等の電解液を樹脂製の容器内に収容し、この電解液に複数の極板を浸漬させたものであり、この極板は、鉛又は鉛合金により形成された格子基板に、ペースト状の鉛化合物等を用いた活物質を付着させたものを熟成・乾燥した後に、充電して作製されることが多い。
格子基板は、先に述べたように、ペースト状の活物質を保持させる都合上、図1に示すように、枠骨1の内側に、縦骨2及び横骨3を格子状になるように配置してセル4を形成し、このセル4に活物質を充填して保持させる。
格子基板の製造方法について、図2を用いて述べると、格子基板5は、鉛合金を溶融して鋳型6内に流し込み、その後、鋳型6を開いて脱型させ、成形された格子基板5が、鋳型6からスロープ面7に落下して、水平静置される。
また、格子基板は、1つの鉛蓄電池に対して、数多く使用することから、1つ1つ作製されることは少なく、複数の格子基板を連結させることにより、1つの鋳型で一度に複数個の格子基板を作製することが多い(特許文献1参照)。
特開2006−173029号公報
しかしながら、先に述べた図2に示す、重力鋳造法による格子基板の製造は、脱型した格子基板5が、スロープ面7に落下した際に、格子基板5が変形し易いとの問題がある。
これは、脱型時の格子基板が、150℃程の温度を有していて未だ変形し易い硬度であり、格子基板5の底面が、水平に落下すれば良いものの、僅かにでも傾いてしまうと、先に落下した角部が変形して、潰れてしまう可能性があるためである。
格子基板全体の反り変形については、図2に示すように、後にプレス加工することで直しがきくものの、角部が潰れたものについては、直しがきかず、しかも、そのまま使用していたのでは、活物質の付着量が既定値通りにならず、ただ1つの活物質の付着量を満足しない格子基板のために、鉛蓄電池全体が不良となってしまう。
このような変形は、格子基板の温度が十分に下がり、変形し難い硬度になってから脱型することで、対応可能なものであるが、そのような温度低下を待つことは、生産性を著しく下げてしまう。
また、別な方法としては、格子基板が落下する場所に、クッションのようなものを配置しておくことで、変形防止できるが、これでは、格子基板が落下した場所に留まることになり、次工程のプレス加工へ、移送させる手段が新たに必要となって、工程数が増加してしまう。
本発明は、生産性を下げることも、工程を増やすこともない、鉛蓄電池用懸垂基板を、提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
(1)横長の懸垂板と、この懸垂板に懸垂する複数の格子基板とを備え、前記格子基板が、枠骨及びこの枠骨内に格子状に配置され活物質を保持するセルを構成する縦骨と横骨とを有し、前記懸垂板から直交方向に見た際に最も遠い位置にあるセルに限定して、格子基板角部セルにのみ一対の対角を結ぶ斜骨を有する、鉛蓄電池用懸垂基板。
(2)項(1)において、格子基板が、直接懸垂板に懸垂される直接格子基板と、この直接格子基板を介して懸垂板に懸垂される間接格子基板とを有する、鉛蓄電池用懸垂基板。
(3)項(1)又は(2)において、斜骨が、複数の格子基板の中の最も外側となる両端格子基板の、外側角部セルにのみ設けられる、鉛蓄電池用懸垂基板。
(4)項(3)において、外側角部セルにのみ設けられる斜骨が、各格子基板の中央部から外側へと向かう方向である、鉛蓄電池用懸垂基板。
本発明の鉛蓄電池用懸垂基板は、懸垂板から直交方向に見た際に最も遠い位置にあるセルに限定して、格子基板の角部セルにのみ斜骨を有することから、基板落下時に多少斜めに落下しても、その衝撃を斜骨が受け止め、角部が潰れることがない。
また、直接格子基板及び間接格子基板を有するものは、格子基板を横一列に並べるだけでなく、縦横に格子基板を並べることができ、一度により多くの格子基板を作製することができる。
斜骨を複数の格子基板の中の、最も外側となる両端格子基板の、外側角部セルにのみ設けたものは、両外側セル間のセルに斜骨を設けなくとも、格子基板が傾いて落下した際に、最初に衝撃を受ける両端格子基板の外側角部のセルに斜骨があることから、角部が潰れることがなく、斜骨の本数を減らせることから、鉛又は鉛合金の使用量を低減させることができる。
斜骨が、各格子基板の中央部から外側へと向かう方向である場合は、格子基板の角部強度を最も大きくする効果がある。外側から中央部側へと向かう反対方向に斜骨を入れた場合は、外側角部セル以外に効果があるものの、角部セル自身は潰れてしまう可能性が高く効果が小さい。
本発明の鉛蓄電池用懸垂基板の製造方法では、生産性を下げることなく、安定した鉛蓄電池の極板を作製することができ、工程内不良を大幅に減らすことが可能となる。
従来例である、格子基板の平面図を示す。 重力鋳造法による、格子基板の鋳造工程図を示す。 本発明の1実施例である、鉛蓄電池用懸垂基板の平面図である。 本発明の1実施例である、鉛蓄電池用懸垂基板の平面図であり、(a)は枠骨の形状及び大きさが等しい格子基板を配置したものを示し、(b)は枠骨の形状及び大きさが、一部異なる格子基板を用いた場合のものを示す。 本発明の1実施例である、鉛蓄電池用懸垂基板Aの平面図である。 本発明の比較例である、鉛蓄電池用懸垂基板Cの平面図である。
本発明にて述べる懸垂板は、後に説明する複数の格子基板を懸垂するものであり、1つ1つの格子基板を切り離す迄は、この懸垂板を用いて搬送、ぶら下げ等を行う。
懸垂板は、鋳型に予め設置しておくこともできるが、効率及びリサイクル性を考えると、格子基板と同一材質のものを用いて、鋳型内にて格子基板と同時に作製することが好ましい。
懸垂板の大きさは、特に制限されるものではないが、図3に示すように、複数の格子基板5の(格子基板間の接続部を含む)横方向長さ:Lよりも長いことが好ましく、このようにすることで、ぶら下げする際に、格子基板が邪魔にならない。
本発明にて述べる格子基板は、後に活物質を充填して、極板として使用するものであり、枠骨の内部に、縦骨及び横骨を格子状に配置し、この縦骨と横骨により形成されるセル内に、ペースト状の活物質を充填する。
格子基板は、前述した枠骨、縦骨及び横骨が、全て同一材質であって、鋳型により一度に作製される。格子基板の材質は、鉛又は鉛合金であり、合金材質としては、スズ、カルシウム、アンチモン等を用いることができ、中でも、スズ及びカルシウムの両方を用いるのが、好ましい。これは、カルシウムを添加すると、強度を保つことができ、また、自己放電の割合を、減少させることもでき、更に、このカルシウムを添加した際の課題である、骨の腐食の起こり易さを、スズの添加により、抑制することができるためである。
縦骨及び横骨は、その全てを同じ太さにすることもできるが、太さを変えることもできる。縦骨及び横骨は、酸化劣化により脆くなることから、太い方が好ましいが、全ての骨を一様に太くするのでは、ペースト状の活物質を充填する際に、充填方向裏側への回り込みが乏しいことから、交互又は複数本の骨毎に、相対的に他の骨よりも細い骨を配置することが好ましい。逆に、可能な限り骨を細くすれば、蓄電池の容量に寄与する活物質を多く充填でき、更に、格子基板に使用する鉛量も少なくすることができる。
格子基板は、先に述べた懸垂板に対して、複数懸垂させるが、この個数は鋳型の大きさにより決定されるものであり、上限があるものではない。
また、格子基板は、直接懸垂板に懸垂される直接格子基板と、この直接格子基板を介して懸垂板に懸垂される間接格子基板との2種類があるが、間接格子基板は、直接格子基板を介してさえいれば、更にその間に、別の間接格子基板を配置してもよく、鋳型の大きさが許す限り、多くの間接格子基板を連続接続させることができる。
各格子基板は、その全てが同じ形状である必要はないが、後に述べる斜骨部分を除けば、全てを同じ形状とすることが好ましい。これは、鋳型の作製がし易く、1つ1つの格子基板を切断した際の管理も、行い易い為である。
更には、1つの鋳型にて作製される複数の格子基板は、斜骨部分を含めて全て同じ形状にすることが好ましい。このようにすると、1つ1つを切断して完成した単位格子基板の形状が、全く同じ形状であるため、蓄電池の容量に寄与する活物質を均一に充填でき、蓄電池間の容量バラツキを低減することができる。
尚、各格子基板の配置は、特に制限されるものではないが、有限面積上に可能な限り多くの格子基板を配置できるように、縦位置、横位置を揃えるように、配置することが好ましい。
本発明にて述べる斜骨は、懸垂板から直交方向に見た際に最も遠い位置にあるセルに限定して、格子基板角部セルにのみ一対の対角を結ぶように形成される。
ここで述べる最も遠い位置とは、横長の懸垂板から直交方向を見た際に、懸垂板端部からの離間が、最も長いものを意味している。
より具体的に述べると、図4(a)の場合には、懸垂板8に対して、枠骨1の形状及び大きさが等しい格子基板5を、横方向に5個、縦方向に2個配置しており、最もい位置のセル行9の最も外側となる両端格子基板10の、各々が有する外側角部セル11に、斜骨12を配置する。
図4(b)の場合には、枠骨1の形状及び大きさが、一部異なる格子基板5を用いており、最もい位置のセル行9が、一部突出したセルになる。
図5の場合には、懸垂板8に対して、枠骨1の形状及び大きさが等しい格子基板5を、横方向に5個、縦方向に2個配置しており、最も遠い位置のセル行9の全ての格子基板10の、各々が有する角部セル11に、斜骨12を配置する。
このような場合の斜骨12は、鉛蓄電池用懸垂基板13が、懸垂板8を配置したのと対向する位置を下にして落下した場合に、最初に他物体に接触する部分のセルに設けられる。
斜骨は、角部セルの一対の対角を結ぶものであれば、その方向を規定されるものではないが、各格子基板の中央部から外側へと向かう方向であることが好ましい。このような方向に斜骨を配置すれば、鋳型内での鉛又は鉛合金の流動性が、損なわれることが少ない。
斜骨の太さは、特に限定されるものではないが、斜骨の配置されるセルを構成する縦骨及び横骨の太さに等しくすることが好ましく、セルを構成する縦骨と横骨との太さが異なる際には、太い骨の太さに合わせることが好ましい。これは、太い骨であれば鋳造性が良くなることと、可能な限り太い骨を有したほうが、落下時の衝撃に耐えられるからである。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
(極板格子の作製)
スズ:1.0質量%、カルシウム:0.6質量%とし、残部を鉛とする鉛合金を溶融し、異なる3種類の型を用いて重力鋳造方式によって、鉛蓄電池用懸垂基板A、B、Cを作製した。
<実施例1:鉛蓄電池用懸垂基板A>
鉛蓄電池用懸垂基板A(懸垂板を除く)の大きさは、縦:140mm、横:385mm、厚み:3.8mmである。
また、懸垂板にて懸垂されている格子基板は、図5に示すように、枠骨1の内側に、縦骨2及び横骨3を格子状になるように配置して、セル4を形成しており、更に、懸垂板8から最も遠い位置にあるセルのみが、セル一対の対角を結ぶ斜骨12を有している。
より詳細に述べると、斜骨12は、懸垂板8に懸垂される直接格子基板14に、各々懸垂される間接格子基板15であって、個々の間接格子基板15の最もい位置のセル行9の、全ての格子基板の角部セルに配置した。
<実施例2:鉛蓄電池用懸垂基板B>
鉛蓄電池用懸垂基板B(懸垂板を除く)の大きさは、懸垂基板Aと同様に、縦:140mm、横:385mm、厚み:3.8mmである。
また、懸垂板にて懸垂されている格子基板は、前述した図4(a)に示すように、枠骨1の内側に、縦骨2及び横骨3を格子状になるように配置して、セル4を形成しており、懸垂板8から最も遠い位置にあるセルに限定して、両端格子基板10の外側角部セル11のみが、セル一対の対角を結ぶ斜骨12を有している。
尚、斜骨12は、両端格子基板10の、中央部から外側へと向かう方向としている。
<比較例1:鉛蓄電池用懸垂基板C>
鉛蓄電池用懸垂基板C(懸垂板を除く)の大きさは、先に述べた実施例1、2と同様に、縦:140mm、横:385mm、厚み:3.8mmである。
また、懸垂板にて懸垂されている格子基板は、図6に示すように、枠骨1の内側に、縦骨2及び横骨3を格子状になるように配置して、セル4を形成している。
尚、比較例1の鉛蓄電池用懸垂基板Cでは、斜骨を設けていない。
(格子基板の変形確認)
前述した鉛蓄電池用懸垂基板A、B、Cに対し、重力鋳造後に金型から脱型した懸垂基板が、図2に示したスロープ面7に落下した際に、変形したか否かの確認を行った。この時の落下距離は、鉛直方向に対し、420mmである。確認方法は、複数の格子基板の中の最も外側となる両端格子基板の、外側角部セルの縦骨と横骨に囲まれたセル部の面積を求め、本来有するべきセル部の面積との比を求めることによって行った。
(確認結果)
鉛蓄電池用懸垂基板A、B、Cの変形確認した結果を以下に記す。
実施例1に用いた鉛蓄電池用懸垂基板Aは、枠骨の変形が全くなく、本来有するべきセル部の面積比において、100%であった。
実施例2に用いた鉛蓄電池用懸垂基板Bは、枠骨の変形がごく僅かに見られたが、本来有するべきセル部の面積比において99%であり、実使用において問題とはならない。
比較例1に用いた鉛蓄電池用懸垂基板Cは、枠骨の変形が大きく、本来有するべきセル部の面積比において50%であり、歩留まりが悪く、修復することは困難であった。
この結果より、本発明では、従来の鉛蓄電池用懸垂基板に比べ、変形を抑えることが可能であり、生産性を下げることも、工程を増やすこともない、鉛蓄電池用懸垂基板を提供可能であることが、確認できた。
1…枠骨、2…縦骨、3…横骨、4…セル、5…格子基板、6…鋳型、7…スロープ面、8…懸垂板、9…遠方セル行、10…両端格子基板、11…外側角部セル、12…斜骨、13…鉛蓄電池用懸垂基板、14…直接格子基板、15…間接格子基板

Claims (4)

  1. 横長の懸垂板と、この懸垂板に懸垂する複数の格子基板とを備え、前記格子基板が、枠骨及びこの枠骨内に格子状に配置され活物質を保持するセルを構成する縦骨と横骨とを有し、前記懸垂板から直交方向に見た際に最も遠い位置にあるセルに限定して、格子基板角部セルにのみ一対の対角を結ぶ斜骨を有する、鉛蓄電池用懸垂基板。
  2. 請求項1において、格子基板が、直接懸垂板に懸垂される直接格子基板と、この直接格子基板を介して懸垂板に懸垂される間接格子基板とを有する、鉛蓄電池用懸垂基板。
  3. 請求項1又は2において、斜骨が、複数の格子基板の中の最も外側となる両端格子基板の、外側角部セルにのみ設けられる、鉛蓄電池用懸垂基板。
  4. 請求項3において、外側角部セルにのみ設けられる斜骨が、各格子基板の中央部から外側へと向かう方向である、鉛蓄電池用懸垂基板。
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