JP2019153386A - 鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 正極格子体のグロースに起因する内部短絡を防止し、鉛蓄電池の寿命を向上する。【解決手段】 鉛蓄電池用正極格子体であって、横方向に延びる第1の横枠骨及び第2の横枠骨と、縦方向に延びる第1の縦枠骨及び第2の縦枠骨とを備える矩形枠状の枠骨;枠骨内に配列され、枠骨と接続して格子状に設けられる複数本の横桟及び縦桟を備える内骨;枠骨と複数本の横桟及び縦桟とによって囲まれる領域、及び複数本の横桟及び縦桟によって囲まれる領域として規定される複数の開口部;及び第2の縦枠骨側に位置する第1の横枠骨と接続する正極集電耳;を備え、正極集電耳は、第1の横枠骨との接続端と反対側の端から接続端に向けて幅が段階的に大きくなり、正極集電耳の直下に配置される複数本の縦桟は、第2の横枠骨側から第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体。【選択図】図1

Description

本発明は、鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池に関する。
近年の環境問題の深刻化と排出ガス規制に対応するため、停車時に一時的にエンジンを停止させるアイドリングストップ機能を搭載した自動車(以下、「ISS車」と表記する。)が普及しつつある。ISS車は、信号待ち等で停車した際のアイドリングによる燃料の消費を抑制できるので、燃費が向上しさらに排出ガス量も低減できる。
上記の様なISS車に搭載された鉛蓄電池は、早期寿命に至り易いことが知られている。この理由としては、ISS車では、信号待ち等でエンジンが停止した際、エアコン、ライト、ワイパー、カーナビ等の機器へ電力を供給するため、鉛蓄電池が深い放電状態で使用されること、また、発進時にエンジンを再始動するための放電と、オルタネーターや回生ブレーキによる充電を繰り返すことなどにより、鉛蓄電池に大きな負荷がかかることが挙げられる。
鉛蓄電池は、積層構造の極板群を電槽内に収納した後、当該電槽内に電解液である希硫酸を注液する工程を経て製造される。積層構造の極板群は、主として鉛又は鉛合金からなる格子体にペースト状の活物質が充填された正極板及び負極板とセパレータとが交互に積層されている。当該格子体としては、例えば枠骨と当該枠骨に囲まれた内骨とを有する構造のものが知られている。枠骨は、上側に配置され集電耳が形成される第1の横枠骨と、下側に配置される第2の横枠骨と、第1,2の横枠骨の端部同士を接続する第1,2の縦枠骨とを有する。内骨は、複数本の横桟及び縦桟を有する。格子体は少なくとも、枠骨と内骨とによって囲まれる領域として規定される開口部に活物質が充填されている。
このような鉛蓄電池の寿命要因の一つが、正極格子体の腐食に伴う正極格子体全体の膨張、変形である。このような正極格子体の変形は、グロースと呼ばれている。グロースが生じると、正極格子体の一部が湾曲して折損し、その折損端がセパレータを突き破り対向する負極板と接触する、又は上側へ膨張して負極ストラップ等の負極の一部に接触して内部短絡を起こし、鉛蓄電池が早期に寿命に至る虞がある。また、正極格子体のグロースは、正極活物質の剥落又は脱落を招き、早期の容量低下の原因になる。上述するような事情より、鉛蓄電池を設計する際には、正極格子体のグロースへの対策を講じる必要がある。
グロースが生じる機構は、次のように考えられる。鉛蓄電池における腐食は、正極格子体を形成する鉛又は鉛合金が、充放電により、主に電解液や活物質中に含まれる硫酸イオンと反応してPbO(x:1〜2)やPbSO等からなる多層構造の腐食反応生成物へと変化する酸化反応に起因する。当該腐食は充放電の繰り返しに伴って進行する。このとき、電解液と接触する正極格子体の表面近傍において、腐食反応生成物の層が成長する。当該腐食反応生成物の成長は、正極格子体の体積の増加を伴うため、腐食が進行すると正極格子体の表面近傍の腐食反応生成物と内部の正極格子体自体の膨張度合いの差により大きな応力が発生する。結果として、当該応力が正極格子体を延伸させる引張応力となり、正極板全体の膨張に伴うグロースを生じる。
鉛蓄電池の極板群は、ストラップから上側に延出するよう設けた極柱やセル間の接続部材によって、蓋あるいは電槽の上側に固定されているため、グロースが生じると正極板はまず固定されていない左右側と下側に対して伸びる。初期のグロースでは、正極板の左右側への伸び代と比較して下側への伸び代は小さくなる場合が多い。これは、当該極板群を支持するために、当該極板群の下端が、電槽底面や当該底面に設けた鞍部に当接していることによる。従って、グロースが生じると正極板の下側への伸びは上側への伸びに転じるため、正極板の上端が負極ストラップ等の負極の一部に接触して内部短絡を生じる虞がある。
正極格子体の上側へのグロースによる内部短絡を防止する手段として、出願人は特許文献1及び特許文献2において、極板群を保持する電槽の鞍部をスポンジや発泡性樹脂で形成した鉛蓄電池を提案している。電槽の鞍部をスポンジや発泡性樹脂で形成することによって、正極格子体にグロースが生じた際、下側への伸びを鞍部が潰れて吸収するため、正極格子体の上側への伸びを抑制して負極ストラップ等への接触、内部短絡を防止できる。
これに対し、特許文献1,2の構成と異なる形態で正極格子体と負極格子体の内部短絡を抑制する発明が種々提案されている。特許文献3では、正極板を宙吊り状態とし、正極板の下側が電槽底部に接触しない構造を有する鉛蓄電池が開示されている。この鉛蓄電池では、グロースが生じた際に正極板が下側へ優先的に伸びるため、上側への伸びとそれに伴う正極板と負極板との接触による内部短絡が抑制される。
特許文献4及び特許文献5には、グロースによる正極板と負極板の接触を抑制する手法として、正極格子体の所定の部分に切り欠きやくびれ部分等、機械的強度の低い箇所を設けた鉛蓄電池が開示されている。このように、正極格子体の一部に機械的強度の低い箇所を形成することによって、グロースが生じた際に、機械的強度の低い箇所が優先的に折損又は変形し、正極格子体全体の膨張が抑制される。
また、腐食による正極格子体のグロースを抑制する技術の他に、充放電サイクル中の活物質の膨張、収縮による変形を防止し鉛蓄電池の寿命を向上することも検討されている。
特許文献6では、正極格子体において、内骨を構成する横桟及び縦桟の配列間隔を、中心部から周辺部に向かって小さくした鉛蓄電池が開示されている。このように横桟及び縦桟の配列間隔を中心部から周辺部に向かって小さくすることによって、正極格子体の周辺部ほど横桟及び縦桟が密に配列されるため、正極格子体の機械的強度が向上する。そのため、正極活物質が充電によって面方向に膨張した際の正極格子体の特に横方向への変形が抑制され、鉛蓄電池のサイクル特性が向上する。
特開2001−351671号公報 実開平5−45901号公報 特開2012−079609号公報 特許第5103385号公報 特開2013−16499号公報 特開平2−281563号公報
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の鉛蓄電池は、静置した状態で使用される据置電源用の鉛蓄電池を想定したものであり、激しい振動が想定される用途、例えば車載用の始動用電源としては耐久性に改良すべき点があった。特許文献1乃至3に記載の鉛蓄電池では、重量の大きい極板群がほぼ上側のストラップと接続した集電耳のみで支持・保持された状態となるため、激しい振動が加わると極板群が集電耳の部分で破断する虞がある。
一方、特許文献4及び特許文献5に記載の鉛蓄電池では、正極格子体の一部に切り欠きやくびれを設けるため、当該部分において電気抵抗が局所的に大きくなり、充放電時の電位分布が不均一化して集電効率が低下し、出力特性等の低下を招く虞がある。また切り欠きやくびれ部分を設けると、正極格子体の製造に使用される金型の形状が複雑化し、製造コストの増大や歩留まりの悪化等を招く虞がある。特に、鋳造による正極格子体の製造においては、金型における溶融した鉛又は鉛合金の湯周り不良による目切れ等の鋳造欠陥も危惧される。
特許文献6に記載の正極格子体のように、内骨を構成する横桟及び縦桟の配列間隔を、中心部から周辺部に向かって小さくすると、正極格子体の周辺部に位置する開口部は正極格子体の中心部に位置するものと比較して面積が小さくなり、正極格子体の中心部に位置する開口部の面積が大きくなる。一般的に、正極格子体における充放電時の電流密度は、上側の正極集電耳付近に位置するほど大きく、下側に位置するほど小さくなる。また正極活物質の膨張、収縮は充放電反応に伴って生じ、その充放電反応は電流密度に比例する。このため、正極格子体の上側では正極活物質の膨張、収縮が大きく、下側では小さくなる。その結果、特許文献6のように、開口部の面積の分布を正極格子体の中心部を基点として点対称的にすると、電流密度分布を考慮した場合、必ずしも正極活物質の膨張、収縮を最も効率的に防ぐ方法とはいえず、改良の余地があった。また、特許文献6にも記載されるように、横桟及び縦桟の本数を増やすことは鉛蓄電池自体の重量の増加に繋がる。そのため、正極活物質の膨張、収縮の防止に対して寄与の小さい正極格子体の下側まで横桟及び縦桟の配列間隔を密にすることは、鉛蓄電池の軽量化が損なわれる。
本発明は上記事情を鑑み、正極格子体のグロースに起因する内部短絡を防止でき、鉛蓄電池の寿命を向上し得る鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、一つの実施形態によると、横方向に延びる第1の横枠骨及び第2の横枠骨と、縦方向に延びる第1の縦枠骨及び第2の縦枠骨とを備える矩形枠状の枠骨;枠骨内に配列され、枠骨と接続して格子状に設けられる複数本の横桟及び縦桟を備える内骨;枠骨と複数本の横桟及び縦桟によって囲まれる領域、並びに複数本の前記横桟及び前記縦桟によって囲まれる領域として規定される複数の開口部;及び第2の縦枠骨側に位置する第1の横枠骨と接続する正極集電耳;を備え、前記正極集電耳は、前記第1の横枠骨との接続端と反対側の端から前記接続端に向けて幅が段階的に大きくなり、前記正極集電耳の直下に配置される複数本の前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ前記第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体が提供される。
別の実施形態によると、鉛蓄電池用正極格子体であって、横方向に延びる第1の横枠骨及び第2の横枠骨と、縦方向に延びる第1の縦枠骨及び第2の縦枠骨とを備える矩形枠状の枠骨;前記枠骨内に配置され、前記枠骨と接続して格子状に設けられる複数本の横桟及び縦桟を備える内骨;前記枠骨と複数本の前記横桟及び前記縦桟とによって囲まれる領域、及び複数本の前記横桟及び前記縦桟によって囲まれる領域として規定される複数の開口部;及び前記第2の縦枠骨側に位置する前記第1の横枠骨と接続する正極集電耳;を備え、前記正極集電耳は、前記第1の横枠骨との接続端と反対側の端から前記接続端に向けて幅が段階的に大きくなり、前記正極集電耳の質量は、正極格子体全体の質量の5〜15%であり、前記正極集電耳の直下に配置される複数本の前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ前記第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体が提供される。
上記の課題を解決するために、別の実施形態によると、上述する鉛蓄電池用正極格子体を備えることを特徴とする鉛蓄電池が提供される。
本発明によれば、正極格子体のグロースに起因する内部短絡を防止でき、鉛蓄電池の寿命を向上し得る鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池を提供できる。
図1は、第1の実施形態に係る正極格子体の平面図である。 図2は、第2の実施形態に係る正極格子体の平面図である。 図3は、第4の実施形態に係る鉛蓄電池を示す斜視図である。 図4は、第3の実施形態に係る正極格子体を備える鉛蓄電池の低温高率放電特性試験の結果を示す図である。 図5は、第3の実施形態に係る正極格子体を備える鉛蓄電池の正極集電耳の質量差に対する放電電圧差をプロットした結果を示す図である。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る鉛蓄電池用正極格子体1の平面図である。
正極格子体1は、枠骨と、当該枠骨内に配列される内骨と、正極集電耳11Aとを備えている。枠骨は、矩形枠状であって、横方向Xに延び当該横方向Xの中間からずれた位置に正極集電耳11Aが接続される第1の横枠骨13aと、第2の横枠骨13bと、縦方向Yに延びる第1の縦枠骨14aと、第2の縦枠骨14bとを備えている。なお本明細書中では、図1に示すように、第1の横枠骨13a及び第2の横枠骨13bが延びる方向を横方向X、第1の縦枠骨14a及び第2の縦枠骨14bが延びる方向を縦方向Yと定義する。また、第1の横枠骨13aが配置される部位を上側、第2の横枠骨13bが配置される部位を下側、第1の縦枠骨14aが配置される部位を左側、第2の縦枠骨14bが配置される部位を右側と定義する。
正極集電耳11Aは、第2の縦枠骨14b側に位置する第1の横枠骨13aと接続し、第1の横枠骨13aとの接続端11Aaと反対側の端11Abから、当該接続端11Aaに向けて幅が段階的に大きくなるように形成されている。図1に示す例では、例えば、正極集電耳11Aは、当該反対側の端11AbではW1の幅を有している。また正極集電耳11Aは、当該反対側の端11Abから下側に向けて、W1の幅で一定の部分を有している。さらに正極集電耳11Aは、当該W1の幅で一定の部分から下端の接続端11Aaに向けて、連続的に幅が大きくなる部分を有し、当該接続端11AaではW2の幅を有している。ここで幅W2は、幅W1よりも大きければ特に限定されないが、例えば、図1に示す例ではW2はW1の約2.5倍の幅である。このような幅W1及び幅W2の関係において、幅W2は第1の横枠骨13aの全長に対して5〜20%を占めることが好ましい。具体的に、図1に示す例では正極集電耳11Aの幅W2は第1の横枠骨13aの全長に対して約19%占める。
なお、後述するように正極板と負極板とを積層して極板群を構成すると、正極集電耳11Aと負極集電耳11Bとは、極板群の積層方向に向かって透視した時、第1の横枠骨13aの長さ方向に互いにずれて配置され、同極性の集電耳同士のみ重なるように配置される。特に図1に示す例では、正極集電耳11Aと負極集電耳11Bとは、正極格子体1の横方向Xにおける中心線を基準にして互いに左右対称の位置に配置されている。
枠骨内には、枠骨と接続して、格子状に配列される複数本の横桟15a及び縦桟15bを備える内骨が配列されている。複数本の横桟15aは、例えば、第1の縦枠骨14a及び第2の縦枠骨14bにそれぞれ接続して、横方向Xに延びている。複数本の縦桟15bは、第1の横枠骨13a及び第2の横枠骨13bにそれぞれ接続して縦方向Yに延びている。複数本の横桟15aは、例えば縦方向Yに互いに離間してそれぞれの軸を平行に配列されている。複数本の縦桟15bは、例えば横方向Xに互いに離間してそれぞれの軸を平行に配列されている。複数本の縦桟15b及び複数本の横桟15aは、例えばそれぞれの軸を互いに直角に交差して配列されている。
正極集電耳11Aの直下に配置される複数本の縦桟15bは、第1の横枠骨13aに接続する部分で断面積が最大であり、第2の横枠骨13b側(すなわち図1における下側)から第1の横枠骨13a(すなわち図1における上側)に向けて断面積が大きくなるように形成されている。具体的には、図1に示す例では、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの約80%の区間において、正極集電耳11Aの直下に配置される2本の縦桟15bは、第2の横枠骨13b側から第1の横枠骨13aに接続する部分にかけて断面積が大きくなるテーパー形状を有する。
正極格子体1において、複数の開口部16は、枠骨と複数本の横桟15a及び縦桟15bとによって囲まれる領域、並びに複数本の横桟15a及び複数本の縦桟15bによって囲まれる領域、で規定される。複数の開口部16を平面視した形状は、それぞれ四角形、例えば矩形状又は台形状を有する。なお、複数の開口部を平面視した形状は上記に限定されず、例えば斜めの補強桟が入る場合などには、その他の四角形や三角形などの多角形、円形、又は矩形の四隅に丸みRを備えた形状に形成することが好ましい。
次に、第1の実施形態に係る正極格子体1の作用を説明する。
背景技術で説明したように、鉛蓄電池の正極板を含む極板群は、上側においては、第1の横枠骨13aの右側に接続される正極集電耳11Aを介して蓋あるいは電槽の上部に固定されている。一方、前記極板群は下側においては、当該極板群を支持する電槽の底面、又は底面に設けた鞍部に当接している。そのため正極格子体1は、正極集電耳11Aによって固定されている右上側、及び電槽と当接している下側では、当該方向への膨張が制限されるためグロースが起こり難い。
しかしながら、正極格子体1のうち、正極集電耳11Aによって固定されない左上側、及び左右側の電槽と当接していない箇所ではグロースが生じ易い。特に、正極格子体1の左上方向へのグロースによって正極板の上端が後述する負極ストラップ12B等の負極の一部に接触して内部短絡を生じる虞がある。
また、発明者等が見出した、グロースが助長されるメカニズムについて以下に述べる。グロースにより正極格子体が拡張するように変形すると、正極活物質が枠骨や内骨から剥離したり、開口部から脱落したり、隙間を生じたりする。当該隙間に電解液が侵入して正極格子体と接触すると、充放電に伴う正極格子体の腐食が促されるため、グロースが加速的に進行する。以下、このような正極格子体の縦枠骨に接した正極活物質の剥離又は脱落に伴うグロースの著しい進行を「加速的グロース」と表記する。一般的に、正極格子体の断面積が大きいほど、腐食時のグロース度合も大きくなることが知られている。従って、正極格子体の縦枠骨が外側に湾曲することにより正極活物質との剥離又は脱落を生じた場合、放電容量や出力特性のような電池性能の低下のみならず、上下方向への加速的グロースを招く。
加えて、正極活物質と正極格子体が密着した状態であれば、当該正極活物質と正極格子体表面との間に結合に必要な腐食層が形成される。正極活物質と正極格子体の間に腐食層が介在されると、正極活物質が正極格子体を引っ張る力が働くため、正極格子体のグロースを抑制する。しかしながら、剥離又は脱落が生じた状態では前記作用が働かず、加速的グロースが助長される。
第1の実施形態に係る正極格子体1では、正極集電耳11Aの幅を、第1の横枠骨13aとの接続端11Aaと反対側の端11Abから、接続端11Aaに向けて段階的に大きくすることによって、正極格子体1全体の充放電時の電位分布を均一化できる。このため、正極集電耳11Aから離れた位置である正極格子体1の下側においても、正極活物質から充放電反応によって取り出される電気を効率よく集電でき、当該正極格子体1を備える鉛蓄電池の入出力特性を向上できる。
また、正極集電耳11Aの幅が第1の横枠骨13aとの接続端11Aaを中心として第1の横枠骨13aの機械的強度が向上し、正極格子体1の上側に向かうグロースを抑制できる。その結果、正極格子体1の上側への変形を防止でき、上側に向かうグロースに伴う正極板と負極板の内部短絡を抑制できる。
また図1に示す例では、正極集電耳11Aは幅が一定の部分と、上側から下端の接続端11Aaにかけて連続的に幅が大きくなる部分とで構成されている。この構成によれば、当該正極集電耳11Aの一定の幅部分を矩形板状とすることによって、前述した内部短絡の抑制を達成でき、同時に汎用の製造設備を用いて、低コストで鉛蓄電池を製造することが可能になる。
さらに、第1の実施形態に係る正極格子体1は、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの約80%の区間において、正極集電耳11Aの直下に配置される複数本(例えば、2本)の縦桟15bが、第2の横枠骨13b側(下側)から第1の横枠骨13a(上側)に向けて断面積が大きくなるように形成されている。
第1の実施形態に係る正極格子体は、上記のように複数本の縦桟において、その断面積を下側から上側に向けて大きくした補強構造を有するため、電流密度が大きく正極格子体が腐食しやすい正極集電耳の近傍において、縦桟の腐食に伴う折損を防止できるとともに、機械的強度を向上して、正極格子体のグロースを抑制できる。その結果、正極活物質の剥離又は脱落を抑制して、正極格子体の加速的グロースを抑制できる。また、正極格子体は正極活物質の膨張、収縮の影響の少ない正極格子体の下側において、複数本の縦桟の断面積が相対的に小さくなるため、鉛蓄電池の軽量化が損なわれない。
また、電流密度が最大となる正極集電耳の直下に配置される縦桟の断面積を、第1の横枠骨に接続する部分が最大となるように上側に向けて大きく形成することによって、正極格子体全体の充放電時の電位分布が均一化される。その結果、正極格子体に充填された正極活物質から充放電反応によって取り出される電力を効率良く集電でき、当該正極格子体を備える鉛蓄電池の入出力特性を向上できる。
なお、「複数本の縦桟の断面積を大きく形成する」とは、当該複数本の縦桟の断面積を連続的及び/又は段階的に大きく形成することを意味する。すなわち、図1に示す例のように、縦桟15bは下側から上端に向けて連続的に一定のテーパー角で断面積が大きくなるように形成してもよく、又は下側から上端に向けて断面積が一定となる複数の区間を有し、当該複数の区間が何段階かに亘って断面積が大きくなるように形成してもよい。
図1に示す例では、正極集電耳11Aの直下に配置される2本の縦桟15bが、同様の形状を有する例を示したがこれに限定されない。すなわち、当該2本の縦桟15bは、互いに形状が異なっていてもよく、例えば、断面積を大きくする区間の長さや、断面形状が異なってもよい。当該断面積を大きくする縦桟15bは、例えば、一方は段階的、他方は連続的に断面積を大きくしてもよい。
図1に示す例では、正極集電耳11Aの直下に配置される2本の縦桟15bの断面積が、第1の横枠骨13aに接続する部分で最大であり、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの約80%の区間において、第2の横枠骨13b側(下側)から第1の横枠骨13a(上側)に向けて大きくなるように形成されている例を示したが、これに限定されない。すなわち、当該2本の縦桟15bは、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの50〜80%の区間において、下側から上側に向けて断面積が大きくなるように形成されていることが好ましく、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの55〜70%の区間において、下側から上側の接続部分に向けて断面積が大きくなるように形成されていることがさらに好ましい。
また、正極格子体1に形成された複数の開口部16を平面視した四隅を、丸みRを備えた形状に形成することが好ましい。このようにすることによって、当該開口部16への正極活物質の充填性が向上し、未充填領域が減少するため、正極格子体1と正極活物質の密着性を向上できる。また、当該開口部16内の四隅の機械的強度が向上するため、正極格子体1のグロースを防止でき、正極板と負極板又は負極ストラップ等との接触による内部短絡や、正極活物質の剥離又は脱落とそれに伴う加速的グロースを防止できる。
従って、第1の実施形態によれば、正極格子体のグロースに起因する内部短絡を防止でき、鉛蓄電池の寿命を向上し得る鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池を提供できる。
また、正極格子体1を構成する枠骨、複数本の横桟15a及び縦桟15bを備える内骨、並びに正極集電耳11Aは、例えば鉛又は鉛合金からなり、一体成形されている。鉛合金に添加する金属元素は限定されず、公知のものを使用できる。特に、Ca、Sn、Al又はAgを所定量添加した場合は、正極格子体1の機械的強度及び耐腐食性を向上できるため、グロースの抑制においてより好ましい。正極格子体1は、例えば、鉛又は鉛合金からなる圧延板の打ち抜き格子体やエキスパンド格子体、又は圧延板を放電ワイヤーカット法等により切り抜いて作製できる。また、ブックモールド法等により鋳造格子体として作製してもよい。特に、正極格子体1のグロースは鉛又は鉛合金を含む結晶粒が配向した圧延板から成形される格子体で生じやすい。このため、グロースを抑制する効果は、打ち抜き格子体やエキスパンド格子体、又は放電ワイヤーカット法等により圧延板から作製された格子体に適用した場合、顕著に得られる。
上述した正極格子体1は、例えばCaが0.02〜0.08質量%、Snが0.4〜2.5質量%、Alが0.005〜0.04質量%、Agが0.001〜0.0049質量%、及び残部がPbと不可避の不純物からなる鉛合金から形成されている。
Ca、Sn、Al、Agの成分元素を特定の範囲で添加すると、得られる鉛合金の耐食性と機械的強度の双方を向上させることが可能になる。Caの添加は正極格子体の機械的強度を向上させる。Caの配合量が0.02質量%未満ではその効果が少なく、0.08質量%を超えると耐食性が低下する虞がある。Snの添加は鉛合金の溶湯の湯流れ性を向上させるとともに、正極格子体の機械的強度を向上させる。Snの配合量が0.4質量%未満ではその効果が少なく、2.5質量%を超えると耐食性が低下する虞がある。Alの添加は溶湯の酸化によるCaの損失を防止し、さらに正極格子体の機械的強度を向上させる。Alの添加量が0.005質量%未満ではその効果が少なく、0.04質量%を超えるとAlがドロスとして析出し易くなる。Agの添加は機械的強度を向上し、特に高温での耐クリープ特性を高める。Agの添加量が0.001質量%未満ではその効果が少なく、0.0049質量%を超えると添加量の増加に伴う効果の増大を期待できない。
なお、図1に示す例では、正極格子体の横枠骨及び複数本の横桟が平行に配列され、横枠骨及び複数本の横桟が縦枠骨及び複数本の縦桟に対して直角に配列された例を説明したが、これに限定されない。例えば、横枠骨及び複数本の横桟は、互いに平行に配列されなくてもよく、互いに角度をなして配列されていてもよい。同様に、縦枠骨及び複数本の縦桟とは、互いに平行に配列されなくてもよく、互いに所望の角度をなして配列されていてもよい。また、枠骨を構成する横枠骨及び縦枠骨、複数本の桟は、それぞれ直線状であるものを例に説明したが、これに限定されず曲線状でも、分岐していてもよい。また、複数本の横桟及び複数本の縦桟は、同一の太さのものが一定間隔で配列されている例を説明したが、これに限定されずその太さ、配列される間隔は適宜変更されてよい。
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態に係る鉛蓄電池用正極格子体1の平面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
図2に示す第2の実施形態に係る正極格子体1は、正極集電耳11Aの直下に位置する複数本の縦桟15bを含む、全ての縦桟15bにおいて、第1の横枠骨13aに接続する部分で断面積が最大で、かつ第2の横枠骨13b側から第1の横枠骨13aに向けて断面積が大きくなるように形成されている。図2に示す例では、正極集電耳11Aの直下に位置する2本の縦桟15bの形状は第1の実施形態と同様であってさらに残り全ての縦桟15bも、第1の横枠骨13aから第2の横枠骨13b側に向かう第1の縦枠骨14aの縦方向Yの長さWの約80%の区間において、下側から上側の接続部分に向けて断面積が大きくなるように形成されている。
第2の実施形態に係る正極格子体1では、上記構成の複数本の縦桟15bを有するため、電流密度が大きく、腐食しやすい正極格子体1の上側の機械的強度が向上するとともに、正極格子体1における縦方向Yにおける電位分布がより一層均一になるため好ましい。その結果、正極格子体1の上側に向かうグロースをより抑制するとともに、正極活物質から充放電反応によって取り出される電力を効率よく集電でき、当該正極格子体1を備える鉛蓄電池の入出力特性をさらに向上できる。
正極格子体1の電流分布をより良好に均一化する観点から、正極集電耳11Aの直下に配置される複数本の縦桟15bの少なくとも一部は上側に向けて断面積が大きくなる構成に加え、平均的な断面積も残りの複数本の縦桟15bと比較して大きくすることが好ましい。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る鉛蓄電池用正極格子体1を、前述した図1を参照して説明する。第3の実施形態に係る正極格子体1は、正極集電耳11Aは、第2の縦枠骨14b側に位置する第1の横枠骨13aと接続し、第1の横枠骨13aとの接続端と反対側の端から、当該接続端に向けて幅が段階的に大きくなるように形成されている。当該正極集電耳11Aの質量は、正極格子体1全体の質量の5〜15%である。
このような構成の正極格子体1によれば、正極集電耳11Aの質量を正極格子体1全体の質量の5〜15%の範囲に規定することによって、当該正極格子体1を組み込んだ鉛蓄電池の放電電圧を改善できる。
<第4の実施形態>
図3は、第4の実施形態に係る鉛蓄電池(図示せず)を構成する極板群10を示す斜視図である。第4の実施形態に係る鉛蓄電池は、第1〜第3の実施形態に係る正極格子体1を備える。第4の実施形態に係る鉛蓄電池の構成は、少なくとも正極板に第1〜第3の実施形態に係る正極格子体1を用いる点を除き、特に限定されるものではない。図3に示すように、鉛蓄電池は単一のセルからなる起電力2Vの鉛蓄電池であり、正極板P、負極板N、電解液としての希硫酸、セパレータS(ガラス繊維製のリテーナマット等)、電槽(図示せず)、蓋(図示せず)等の部材から製造される。例えば、正極板Pと負極板Nとの間にセパレータSを介在させながら、正極板Pと負極板Nとを1枚ずつ交互に積層して、正極集電耳11A同士及び負極集電耳11B同士をそれぞれ正極ストラップ12A及び負極ストラップ12Bで連結させ、極板群10を構成する。正極ストラップ12A及び負極ストラップ12Bには、上側に延びる正極極柱18A及び負極極柱18Bが接続されている。この極板群を電槽の開口部から電槽の中に入れて蓋を嵌合し、当該蓋に設けられた中空の正極端子(図示せず)及び負極端子(図示せず)に対して、各正極極柱18A及び負極極柱18Bを挿入して溶接する。蓋に設けられた注液口から、電解液である希硫酸を注液した後に化成を行って起電力2Vの鉛蓄電池を完成する。
以上詳述したように、第1〜第4の実施形態に係る正極格子体1及び鉛蓄電池100によれば、正極格子体1の変形に起因する正極板と負極板又は負極ストラップ12B等の負極の一部との接触による内部短絡を防止し、鉛蓄電池の耐久性を向上し長寿命化を実現できる。
なお、第4の実施形態では鉛蓄電池として液式鉛蓄電池を例示したが、制御式鉛蓄電池であってもよい。
本発明の鉛蓄電池用正極格子体及び鉛蓄電池について、実施例及び比較例により具体的に、第3の実施形態に係る正極格子体1の構成による効果を示す。
<正極格子体Aの作製例>
正極集電耳を形成した第1の横枠骨と第2の横枠骨を並行に配置した後、前記第1,第2の横枠骨同士と第1,第2の縦枠骨とがそれぞれ直角をなすように接続して矩形の枠骨とした。当該枠骨に囲繞される矩形の空間に、両端が第1,第2の縦枠骨と水平に接続した15本の横桟と、両端が第1,第2の横枠骨と垂直に接続した12本の縦桟とを配置して内骨とした、高さ113.0mm、幅105.0mmの正極格子体であって、前記正極集電耳は、縦寸法を11.0mm、そのうち溶接部分を5.0mmとしたもので、その幅寸法は、図1に示す幅W1が10mm、幅W2が11mmで、質量が1.3gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Aとした。この正極格子体Aに対する正極集電耳11Aの質量割合は、5.7%である。また、当該正極集電耳の中心位置は、第1の横枠骨中心から20.0mm右側にずらして設けた。
正極格子体の内骨を構成する12本の縦桟において、正極集電耳の直下に位置する2本の縦桟は第1の横枠骨に接続する部分で断面積を1.20mmとし、かつ第2の横枠骨側(下側)における断面積1.00mmから第1の横枠骨(上側)に向けて断面積を大きくした。その他10本の縦桟は、第1の横枠骨側に接続する部分で断面積を1.00mmとし、かつ下側における断面積0.90mmから上側に向けて断面積を大きくした。他方、複数本の前記横桟は、それぞれ断面積は0.56mmで一定となるように形成した。
このような正極格子体はCaが0.06質量%、Snが1.6質量%、Alが0.02質量%、Agが0.002質量%、残部がPbと不可避の不純物からなるPb−Ca−Sn−Al−Ag系鉛合金をスラブの素材に用い、スラブ鋳造工程、圧延工程を経て厚さ1.0mmの圧延シートとした後、当該圧延シートをパンチングプレス機によりプレス打ち抜きを行って作製した。
<正極格子体Bの作製例>
以下に説明する構成を有する以外、正極格子体Aと同様な正極格子体Bを作製した。
図1に示す幅W1が10mm、幅W2が20mmで、質量が1.9gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Bとした。この正極格子体Bに対する正極集電耳11Aの質量割合は、8.3%である。
<正極格子体Cの作製例>
図1に示す幅W1が10mm、幅W2が40mmで、質量が3.1gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Cとした。この正極格子体Cに対する正極集電耳11Aの質量割合は、13.5%である。
<正極格子体Dの作製例>
図1に示す幅W1が20mm、幅W2が30mmで、質量が3.1gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Dとした。この正極格子体Dに対する正極集電耳11Aの質量割合は、13.5%である。
<正極格子体Eの作製例>
図1に示す幅W1が5mm、幅W2が10mmで、質量が0.9gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Eとした。この正極格子体Eに対する正極集電耳11Aの質量割合は、3.9%である。
<正極格子体Fの作製例>
図1に示す幅W1が10mm、幅W2が50mmで、質量が3.7gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Fとした。この正極格子体Fに対する正極集電耳11Aの質量割合は、16.1%である。
<正極格子体Gの作製例>
図1に示す幅W1が20mm、幅W2が40mmで、質量が3.7gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Gとした。この正極格子体Gに対する正極集電耳11Aの質量割合は、16.1%である。
<正極格子体Hの作製例>
幅W1及び幅W2が10mmで、質量が1.2gの正極集電耳11Aを備える、質量が23gの正極格子体Hとした。この正極格子体Hに対する正極集電耳11Aの質量割合は、5.2%である。なお、正極格子体Hは幅W1及び幅W2が同じである矩形状の正極集電耳11Aを有し、当該形状の正極集電耳11Aを除いて図1に示す正極格子体1と同じ構成である。
(実施例1)
前述した方法で作製した正極格子体Aを用いて以下の方法により鉛蓄電池を製造した。
まず、正極格子体Aに常法に従って調整した正極活物質ペーストを充填して正極充填板を製造した。次に、鉛を主成分としCa、Snを含む鉛合金を連続鋳造によって正極格子体Aと同じ高さ、幅及び厚さ1.0mmを有し、集電耳が正極格子体Aの正極集電耳と対称位置にあるラジアル形状の負極格子体を用意し、当該負極格子体に常法に従って調整した負極活物質ペーストを充填し負極充填板を製造した。続いて、正極充填板及び負極充填板を常法に従って熟成及び乾燥して、それぞれ未化成の正極熟成板及び負極熟成板を得た。
次いで、負極熟成板をポリエチレン樹脂製の袋状セパレータに収納し、当該袋状セパレータの開口部から負極熟成板の負極集電耳を外部に引き出した。続いて、7枚の正極熟成板及び袋状セパレータに収納された8枚の負極熟成板を、ガラス繊維を抄造して得たリテーナマットを介して交互に積層した。正極熟成板の正極集電耳同士及び負極熟成板の負極集電耳同士をそれぞれストラップ溶接により電気的に接続し、正極ストラップ及び負極ストラップを形成して極板群とした。また、前記正極ストラップ及び負極ストラップには、セル間接続体又は極柱端子を設けた。
次いで、12Vタイプの電槽に設けた複数のセル室に前記極板群をそれぞれ収納した。隣り合う極板群同士は、それぞれのストラップに設けたセル間接続体を抵抗溶接して電気的に直列に接続した。続いて、電槽の開口部に蓋を冠着した後、蓋のブッシングに極柱端子を貫通させた状態でこれをヒートシールによって溶着した。そして、比重を1.240に調整した希硫酸電解液を蓋に開口した注液口を通して電槽内に所定量注入し、注液栓と排気栓を螺合して電槽内部を封止した後、所定の電流値、温度、時間に基づいて化成を行った。化成終了後、電解液を補充し、5時間率で32AhのM−42型の鉛蓄電池を製造した。
(実施例2〜4及び比較例1〜4)
前述した方法で作製した正極格子体B,C,D,E,F,G,Hをそれぞれ用いて実施例1と同様な方法により実施例2〜4及び比較例1〜4の鉛蓄電池を製造した。
<評価試験>
得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の鉛蓄電池について、JIS D 5301の低温高率放電特性試験に準拠し、温度−15℃、放電電流150Aの条件下で放電5秒目の端子電圧(5秒目電圧)[V]を測定して、放電電圧特性を検証した。評価の結果を図4に示す。
図4から明らかなように、正極格子体A〜Hをそれぞれ組み込んだ実施例1〜4及び比較例1〜4の鉛蓄電池では、正極格子体に対する正極集電耳の質量割合が増加するに従って、低温高率放電特性試験の5秒目電圧が増大していることがわかる。一方、正極格子体に対する正極集電耳の質量割合が3.9%である比較例1は、従来例である比較例4よりも軽量化できるが、従来例である比較例4よりも5秒目電圧が低下した。
次に、正極格子体に対する正極集電耳の質量割合が5%以上である実施例1〜4及び比較例2、3について、従来例である比較例4の正極集電耳の質量及び5秒目電圧を基準とした正極集電耳の質量差に対する5秒目電圧差を、質量当たりの5秒目電圧差[△V/g]として縦軸にとり、正極格子体に対する正極集電耳の質量割合に対してプロットした結果を図5に示す。なお、比較例1は図4で示したように従来例である比較例4よりも5秒目電圧が低下したため、ここでは省略している。
図5から明らかなように、正極集電耳の質量割合を5〜15%にした正極格子体A〜Dを組み込んだ実施例1〜4の鉛蓄電池では、正極集電耳の質量割合の増加に伴う質量当たりの5秒目電圧差の低下割合を緩慢にできる。すなわち、正極集電耳の質量割合が5%に近いほど、正極集電耳の質量を大きくした際の低温高率放電特性の向上が大きい。
これに対し、正極集電耳の質量割合が15%を超える正極格子体を組み込んだ比較例2、3の鉛蓄電池では、5秒目電圧の増大は見られる(図4参照)ものの、質量当たりの5秒目電圧差の低下割合が急峻になる。
従って、図4及び図5の結果から正極集電耳11Aの質量割合を正極格子体全体の質量に対し5〜15%にすることによって、鉛蓄電池の低温高率放電特性試験における5秒目電圧の増大と質量当たりの5秒目電圧差の低下割合の緩慢化を達成でき、低温高率放電特性を向上、改善を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について、具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく種々の変更が可能である。
1…正極格子体、11A…正極集電耳、11B…負極集電耳、12A…正極ストラップ、12B…負極ストラップ、13a…第1の横枠骨、13b…第2の横枠骨、14a…第1の縦枠骨、14b…第2の縦枠骨、15a…横桟、15b…縦桟、16…開口部、18A…正極極柱、18B…負極極柱、P…正極板、N…負極板、S…セパレータ、10…極板群

Claims (8)

  1. 鉛蓄電池用正極格子体であって、
    横方向に延びる第1の横枠骨及び第2の横枠骨と、縦方向に延びる第1の縦枠骨及び第2の縦枠骨とを備える矩形枠状の枠骨;
    前記枠骨内に配列され、前記枠骨と接続して格子状に設けられる複数本の横桟及び縦桟を備える内骨;
    前記枠骨と複数本の前記横桟及び前記縦桟とによって囲まれる領域、及び複数本の前記横桟及び前記縦桟によって囲まれる領域として規定される複数の開口部;及び
    前記第2の縦枠骨側に位置する前記第1の横枠骨と接続する正極集電耳;
    を備え、
    前記正極集電耳は、前記第1の横枠骨との接続端と反対側の端から前記接続端に向けて幅が段階的に大きくなり、
    前記正極集電耳の直下に配列される複数本の前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ前記第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体。
  2. 鉛蓄電池用正極格子体であって、
    横方向に延びる第1の横枠骨及び第2の横枠骨と、縦方向に延びる第1の縦枠骨及び第2の縦枠骨とを備える矩形枠状の枠骨;
    前記枠骨内に配列され、前記枠骨と接続して格子状に設けられる複数本の横桟及び縦桟を備える内骨;
    前記枠骨と複数本の前記横桟及び前記縦桟とによって囲まれる領域、及び複数本の前記横桟及び前記縦桟によって囲まれる領域として規定される複数の開口部;及び
    前記第2の縦枠骨側に位置する前記第1の横枠骨と接続する正極集電耳;
    を備え、
    前記正極集電耳は、前記第1の横枠骨との接続端と反対側の端から前記接続端に向けて幅が段階的に大きくなり、
    前記正極集電耳の質量は、正極格子体全体の質量の5〜15%であり、
    前記正極集電耳の直下に配置される複数本の前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ前記第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体。
  3. 前記正極集電耳の直下に配置される複数本の前記縦桟を含む全ての前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨に向けて断面積が大きくなり、かつ前記第1の横枠骨に接続する部分で断面積が最大になることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉛蓄電池用正極格子体。
  4. 前記第1の横枠骨から前記第2の横枠骨側に向かう第1の縦枠骨の縦方向の長さの50〜80%の区間において、前記縦桟は、前記第2の横枠骨側から前記第1の横枠骨側に向けて断面積が大きくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用正極格子体。
  5. 複数の前記開口部を平面視した四隅は、丸みRを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用正極格子体。
  6. 鉛又は鉛合金の圧延板の打ち抜き格子体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用正極格子体。
  7. 前記鉛合金は、Caが0.02〜0.08質量%、Snが0.4〜2.5質量%、Alが0.005〜0.04質量%、Agが0.001〜0.0049質量%、及び残部がPbと不可避の不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項6に記載の鉛蓄電池用正極格子体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用正極格子体を備えることを特徴とする鉛蓄電池。
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