JP2021163676A - 液式鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命特性に優れた液式鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】本発明の液式鉛蓄電池を構成する正極集電体5は、鉛合金製の圧延板に対する打ち抜き加工で形成され、正極集電体5の格子状基板51は、長方形の四辺をなす枠骨と、枠骨に接続されて枠骨より内側に存在する複数本の中骨と、を有する。枠骨は、格子状基板の上側に位置し横方向に延びる上枠骨511と、下側に位置し横方向に延びる下枠骨512と、左側に位置し縦方向に延びる左枠骨513と、右側に位置し縦方向に延びる右枠骨514と、を有する。中骨は、上枠骨から下枠骨側に向かう複数本の縦中骨516と、左枠骨と右枠骨とを接続する複数本の横中骨517と、を有する。格子状基板は、複数本の横中骨の断面積の平均値の1.15倍以上1.25倍以下となる断面積を有する太い横中骨517a,517bを有する。化成後の正極板の平面度は4.0mm以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、液式鉛蓄電池に関する。
近年の環境問題の深刻化と排出ガス規制に対応するため、停車時に一時的にエンジンを停止させるアイドリングストップ機能を搭載した自動車(以下、「ISS車」と表記する。)が普及しつつある。ISS車は、信号待ち等で停車した際のアイドリングによる燃料の消費を抑制できるので、燃費が向上しさらに排出ガス量も低減できる。
上記の様なISS車に搭載された鉛蓄電池は、早期寿命に至りやすいことが知られている。この理由としては、ISS車では、信号待ち等でエンジンが停止した際、エアコン、ライト、ワイパー、カーナビ等の機器へ電力を供給するため、鉛蓄電池が深い放電深度まで使用されること、また、発進時にエンジンを再始動するための放電と、オルタネーターや回生ブレーキによる充電を繰り返すことなどにより、鉛蓄電池に大きな負荷がかかることが挙げられる。
特許文献1には、極板群と、硫酸を含む電解液と、を含む液式鉛蓄電池が記載されている。極板群は、複数の正極と、複数の正極を並列に接続する正極棚(正極ストラップ)と、複数の負極と、複数の負極を並列に接続する負極棚(負極ストラップ)と、互いに隣接する正極と負極との間に介在するセパレータと、を備えている。複数の正極は、正極活物質と、正極活物質を担持する正極格子と、正極板を正極棚に接続する正極格子と一体の正極耳部と、を含み、複数の負極は、負極活物質と、負極活物質を担持する負極格子と、負極を負極棚に接続する負極格子と一体の負極耳部と、を含んでいる。
一般的な液式鉛蓄電池の極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。そして、正極板は、正極集電体と正極活物質を含む正極合剤とを有し、正極活物質は二酸化鉛を含有し、正極集電体は、長方形の格子状基板と格子状基板に連続する耳とを有し、格子状基板に正極合剤が保持されている。複数枚の正極板の正極集電体の耳は正極ストラップで連結されている。
負極板は、負極集電体と負極活物質を含む負極合剤とを有し、負極活物質は金属鉛を含有し、負極集電体は、長方形の格子状基板と格子状基板に連続する耳とを有し、格子状基板に負極合剤が保持されている。複数枚の負極板の負極集電体の耳は負極ストラップで連結されている。正極集電体および負極集電体は主に鉛又は鉛合金からなり、格子状基板の開口部に正極合剤および負極合剤が充填されている。
格子状基板としては、例えば枠骨と枠骨に囲まれた中骨とを有する構造のものが従来知られている。枠骨は、上側に配置され耳(以下、「集電耳」とも言う)が形成される上枠骨と、下側に配置される下枠骨と、上下の枠骨の端部同士を接続する左枠骨及び右枠骨とを有する。中骨は、複数本の縦中骨及び横中骨を有する。格子状基板は少なくとも、枠骨と中骨とによって囲まれる領域として規定される開口部に活物質が充填されている。
このような液式鉛蓄電池の寿命要因の一つが、正極格子体(正極集電体の格子状基板)の腐食と膨張に伴う正極格子体全体の膨張、変形である。このような正極格子体の変形はグロースと呼ばれている。グロースが生じると、正極格子体の一部が湾曲して折損し、その折損端がセパレータを突き破り対向する負極板と接触する、又は上側へ膨張して負極ストラップ等の負極の一部に接触して内部短絡を起こし、液式鉛蓄電池が早期に寿命に至る虞がある。また、正極格子体の変形は、正極活物質の剥離又は脱落を招き、早期の容量低下の原因になる。上述するような事情より、液式鉛蓄電池を設計する際には、正極格子体のグロースへの対策を講じる必要がある。
グロースが生じる機構は、次のように考えられる。液式鉛蓄電池における腐食は、正極格子体を形成する鉛又は鉛合金が、充放電により、主に電解液や活物質中に含まれる硫酸イオンと反応してPbOx(x:1〜2)やPbSO等からなる多層構造の腐食反応生成物へと変化する酸化反応に起因する。この腐食は充放電の繰り返しに伴って進行する。このとき、電解液と接触する正極格子体の表面近傍において、腐食反応生成物の層が成長する。この腐食反応生成物の成長は、正極格子体の体積の増加を伴うため、腐食が進行すると、正極格子体の表面近傍の腐食反応生成物と内部の正極格子体自体の膨張度合いの差に起因して、大きな応力が発生する。この応力が正極格子体を延伸させる引張応力となることで、正極格子体全体の膨張に伴うグロースが生じる。
特許文献2には、上方への加速的グロースを防止するために、第一の横枠骨(上枠骨)の正極集電耳が接続されている位置とは反対側の枠骨上部領域に、断面積の大きい横桟(横中骨)を配置することが記載されている。
特開2017−92001号公報 特許第6456537号公報
本発明の課題は、寿命特性に優れた液式鉛蓄電池を提供することである。
上述の課題を解決するために、本発明は、下記の構成(1)〜(5)を有する液式鉛蓄電池を提供する。
(1)電解液および極板群が収容されたセル室を備えた液式鉛蓄電池であって、極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。正極板は、正極集電体と正極活物質を含む正極合剤とを有し、正極活物質は二酸化鉛を含有する。正極集電体は、長方形の格子状基板と格子状基板に連続する耳とを有する。格子状基板に正極合剤が保持されている。
(2)正極集電体は、鉛合金製の圧延板に対する打ち抜き加工で形成されたものであり、格子状基板は、格子状基板の長方形の四辺をなす枠骨と、枠骨に接続されて記枠骨より内側に存在する複数本の中骨と、を有する。枠骨は、格子状基板の上側に位置し横方向に延びる上枠骨と、格子状基板の下側に位置し横方向に延びる下枠骨と、格子状基板の左側に位置し縦方向に延びる左枠骨と、格子状基板の右側に位置し縦方向に延びる右枠骨と、を有する。
(3)耳は、上枠骨の長手方向中心から左枠骨に近い側および右枠骨に近い側のいずれかの側にずれた位置から上側に突出する。複数本の中骨は、上枠骨から下枠骨側に向かう複数本の縦中骨と、左枠骨と右枠骨とを接続する複数本の横中骨と、を有する。
(4)複数本の横中骨のうちの少なくとも一本は、複数本の横中骨の断面積の平均値Aより大きな断面積Bを有する太い横中骨であり、断面積の比B/Aは1.15以上である。
なお、平均値Aは、太い横中骨を含む全ての横中骨の断面積の平均値である。
また、横中骨は、横中骨の長手方向において断面積が均一である場合と、縦方向に延びる右枠骨および左枠骨の少なくともいずれかから中央部に向けて断面積が小さくなる等のように、断面積を長手方向において変化させる場合がある。このように断面積を長手方向において変化させている場合は、断面積の最小値を用いて比B/Aを算出する。
(5)化成後の正極板の平面度は4.0mm以下である。
本発明によれば、寿命特性に優れた液式鉛蓄電池を提供することが期待できる。
本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池の構造を説明する部分断面図である。 本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池が有する正極集電体を示す正面図である。 極板の平面度の測定方法を説明する図である。 正極活物質の厚塗り度の差による湾曲の発生を模式的に示した正極板の図である。
[本発明者の知見]
〔課題の発見〕
正極格子体(正極集電体の格子状基板)が、横方向の寸法よりも縦方向の寸法(耳を除く寸法)の方が大きい縦長形状である場合、縦方向へのグロースが大きくなりやすく、上方の負極ストラップとの接触短絡が寿命要因となることが多かった。
しかし、発明者が検討した結果、正極格子体が、縦方向の寸法(耳を除く寸法)よりも横方向の寸法の方が大きい横長形状である場合、縦方向へのグロースよりも横方向へのグロースが大きくなりやすいことが分かった。そして、横方向へのグロースが進行すると、膨張する正極板の左右の枠骨が、接触するセパレータを引き伸ばし、これを引き裂くことがあり、その結果、セパレータを介して相互に積層された正極と負極が接触短絡し、早期に寿命に至ることが分かった。なお、セパレータを引き裂くまで至らなくても、腐食によって折損した正極格子体の一部が、セパレータを突き破ることで負極板と接触短絡を生じ、早期寿命に至ることもある。
鉛合金の圧延板から成形される格子状基板(打ち抜き格子状基板、エキスパンド格子状基板など)は、鉛合金を含む結晶粒が一定の方向に配向した微細な繊維状の結晶組織を有するため、腐食にともなうグロースが進行しやすい。一方、鋳造板は粗大な粒状の結晶組織を有し、粒界が優先的に腐食するためグロースが進行しにくいことが知られている。グロース速度の大きな違いは、結晶組織(転位運動が盛んな小粒界はクリープを促進する)による影響が大きいため、圧延板は鋳造板に比べてグロースが大幅に進行しやすい。
鋳造法や打ち抜き法で形成された格子状基板は、一般的に、上下には左右の枠骨よりも太い枠骨が配置されているため、上部と下部は機械的強度が高く、縦方向に比べて横方向への伸びは生じにくい。
一方、枠骨の内側、特に上下方向の中央部付近は、枠骨に対し相対的に細い中骨が配置され、上下の枠骨からも遠いため、格子状基板の上部及び下部と比較すると、機械的強度が不足する。このような格子状基板を使用した場合、腐食により極板全体を膨張させる力が生じると、横方向においては、上部と下部の変化は小さく、中央部が大きい樽型の変形が見られる。この樽型の変形は、縦長の正極格子体よりも、横長の正極格子体でより顕著に生じる。
この理由は定かではないが、正極格子体の開口部に充填された正極活物質が、充放電により膨張、収縮した際に、その膨張、収縮力が正極格子体の中央部から外周部に向かって伝搬されることと、外周部付近は伝搬の総和によって大きな力が加わること、この膨張、収縮力が正極活物質の体積に比例することなどによると推定される。要するに、正極格子体が縦長の場合は上下方向に大きな膨張力が生じやすく、横長の場合は左右方向に大きな膨張力が生じやすく、特に横長の場合は上下方向の中央部の機械的強度が上部や下部に比して小さいため、樽型の変形が顕著に見られる。
また、上記のように横長の正極格子体が樽型に変形した後、さらに使用を続けグロースが進行した場合、正極格子体の変形は中央部に留まらず、上部よりも機械的強度の小さい下部を変形させ、正極格子体は樽型から山型へと形態を変えることがわかった。このような山型の変形は、従来の寿命の液式鉛蓄電池には見られない現象であり、特許文献2に記載された発明により上部短絡が抑制され長寿命化した液式鉛蓄電池で発見された新規の課題である。
正極格子体の上部と下部における機械的強度の違いについて簡単に述べる。
先ず、一般的に、正極格子体は、充放電時に上部から下部まで正極活物質が使用されるように、均一な電位分布を示すように設計することが好ましい。そのために、正極格子体上部には補強用の中骨を複数設けるなどして、集電耳付近の開口部の面積を小さくし、正極活物質の集電効率を高める手法がとられる。一方、軽量化の必要から、正極格子体の下部には補強用の中骨を設けないことが多い。このように正極格子体の上部は、中骨の密度が高くなるため、下部と比べ機械的強度が大きくなる。
なお、特許文献2に記載された発明では、上方への加速的グロースを防止するために、第一の横枠骨(上枠骨)の正極集電耳が接続されている位置とは反対側の枠骨上部領域に、断面積の大きい横桟(横中骨)を配置しており、正極格子体の上部と下部の機械的強度の差はより大きいものとなる。
上述の通り、横長の格子状基板を有する正極板を長期に渡り使用すると、格子状基板が樽型に変形し、セパレータの横方向の引き裂きを招き、負極板との接触短絡に至るおそれがあるが、さらに発明者が検討を重ねたところ、負極板が袋状セパレータに収納されている場合に、正極板が湾曲していると、接触短絡のリスクが高くなることが分かった。
正極板がほぼ湾曲していない状態、すなわち平面度が4.0mm以下である場合には、極板群を構成する正極板と、負極板を収納した袋状セパレータとは、互いの面が平行に近くなり一定の面間隔を有した状態となる。この状態でグロースが進行すると、正極板は面方向に伸びる(拡がる)ように変形するため、正極板の左右の端部(左枠骨及び右枠骨)がセパレータの表面に引っ掛かりにくくなる。
しかしながら、正極板が大きく湾曲し平面度が4.0mmを超えると、横方向において、正極板とセパレータの面間隔は平行でなくなり、中央付近では面間の距離が大きく左右の端部では小さくなる。したがって、この状態でグロースが進行すると、湾曲した正極板の左右の端部(左枠骨及び右枠骨)がセパレータの平面を、湾曲面のなす角度で強く押圧する。
さらにグロースが進行した場合、正極板の端部(左枠骨及び右枠骨)が、セパレータを強く押圧した状態で、面方向に拡張するように変形するため、セパレータを容易に引き裂き負極板との接触短絡を引き起こす。加えて、もし正極板の左右の端部がセパレータを引き裂かなかった場合でも、正極板が湾曲していた場合、腐食によって折損した中骨がセパレータを貫通しやすくなるので、正極板と負極板の接触短絡を招きやすい。
なお、液式鉛蓄電池は、正極活物質の軟化や脱落を防止するため、極板群が電槽のセル室に収納された状態で、所定の圧迫力(以下、群圧とも呼ぶ)が生じる様に寸法設計することがある。その場合、上記の湾曲した横長の正極板がグロースすることによるセパレータの貫通は、非常に容易かつ早期に発現しやすい。
〔本発明の一態様の液式鉛蓄電池の作用、効果〕
これに対して、本発明の一態様の液式鉛蓄電池は、前記構成(1)〜(3)を有する液式鉛蓄電池において、前記構成(4) (5)を有すること、つまり、複数本の横中骨のうちの少なくとも一本は、複数本の横中骨の断面積の平均値Aより大きな断面積Bを有する太い横中骨であり、断面積の比B/Aは1.15以上であるとともに、化成後の正極板の平面度は4.0mm以下であることによって、正極板の機械的強度が向上して横方向に伸びにくくなり、正極格子体(正極集電体の格子状基板)の樽型や山型の変形を抑制することができる。
つまり、正極格子体において、例えば、横伸びが発生しやすい正極格子体の縦方向の中央部よりも下方に、少なくとも1本の太い横中骨を設置することで、機械的強度が向上して横方向に伸びにくくなり、正極格子体の樽型や山型の変形を抑制することができる。また、正極格子体の変形が防止されると、活物質の剥離や脱落が抑制されるため、放電容量の低下が抑制されるほか、活物質の剥離や脱落が生じた箇所への電解液の侵入による格子状基板の腐食と、加速的グロースによる早期寿命も防止できる。
つまり、本発明の一態様によれば、圧延板からなる正極集電体において、格子状基板の腐食にともなうグロースが抑制されるため、正極板と負極板の接触による短絡が抑制されて、寿命が長い液式鉛蓄電池が提供される。
なお、太い横中骨の本数は多いほど、また太い横中骨の断面積が大きいほど、変形を抑制する効果は大きくなるが、電池重量の増加にもつながるため、液式鉛蓄電池の軽量化を妨げない観点から、断面積の比B/Aは1.25以下とすることが好ましい。
〔極板の湾曲について〕
極板が湾曲する原因は、本発明者の検討により、以下の通りであることが判明した。基板の表面に活物質からなる活物質層を形成し極板を製造する際には、基板の両板面に同一厚さの活物質層を形成しようとするが、両板面に同一厚さの活物質層を形成することは容易ではなく、異なる厚さの活物質層が形成されてしまうこともある。例えば、図4の例であれば、極板100の基板101の右側の板面101aに形成された活物質層102Aの厚さよりも、左側の板面101bに形成された活物質層102Bの厚さの方が大きい。
このように基板101の両板面101a、101bに形成された活物質層102A、102Bの厚さが異なると、図4に示すように、化成によって極板100が湾曲して、略椀状に変形する。そして、図4に示すように、活物質層102Bの厚さが大きい方の板面101bが凸面となり、活物質層102Aの厚さが小さい方の板面101aが凹面となるように、極板100が湾曲する。
両板面に同一厚さの活物質層を形成する方法としては、例えば、以下の2つの方法を挙げることができる。第一の方法は、厚さの異なる活物質層が両板面に形成された正極板を、負極板及びセパレータと積層する前に、正極板の厚さの大きい方の活物質層を削って、厚さの小さい方の活物質層と厚さを一致させる方法である。
正極板の両板面に同時に活物質層を形成しようとすると、同一厚さの活物質層を形成することが難しくなるので、第二の方法は、片面ずつ正極活物質のペーストを充填して活物質層を形成することにより、同一厚さの活物質層を形成する方法である。
正極板の平面度が4.0mm以下であると、正極集電体の格子状基板にグロースが生じた場合でも、セパレータが引き裂かれることを抑制できる。ただし、化成後の正極板の平面度が0.5mm未満の場合は、グロースがさらに抑制されやすくなるものの、極板群を電槽内に収容した際に電槽の内壁面により極板群に負荷される群圧が不十分となるおそれがある。その結果、正極活物質の軟化や脱落が生じやすくなり、液式鉛蓄電池の性能や寿命が低下する場合がある。よって、化成後の正極板の平面度は0.5mm以上とすることが好ましい。
〔正極活物質が含有する二酸化鉛について〕
二酸化鉛には、斜方晶系であるα相(α−二酸化鉛)と、正方晶系のβ相(β−二酸化鉛)がある。正極活物質が含有するα−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)は、20%以上40%以下であることが好ましい。このような構成であれば、電解液の成層化が生じにくいので、液式鉛蓄電池の寿命が向上するという効果が奏される。
α−二酸化鉛は、多孔性に乏しく比表面積が小さいため放電能力が小さいが、結晶の崩壊が極めて徐々に進行するため軟化速度が小さい。一方、β−二酸化鉛は、多孔性に富み比表面積が大きいため放電能力が大きい反面、結晶の崩壊が速く進み軟化速度が大きい。よって、液式鉛蓄電池の長寿命化と優れた放電能力との両立のためには、正極活物質が含有するα−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)が20%以上40%以下となるように、正極活物質内にα−二酸化鉛とβ−二酸化鉛が分散していることが好ましい。
α−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)が20%より小さいと、液式鉛蓄電池の寿命が不十分となるおそれがある。一方、α−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)が40%より大きいと、液式鉛蓄電池の容量が低下するおそれがある。
[実施形態]
本発明の一実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池の構造について、図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、正極板10と負極板20とがリブ付きセパレータ30を介して複数枚交互に積層された極板群1を備えている。極板群1は、その積層方向が水平方向に沿うように(すなわち、正極板10及び負極板20の板面が鉛直方向に沿うように)、図示しない電解液とともに電槽41のセル室内に収容され、電槽41のセル室内で電解液に浸漬されている。すなわち、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、極板群1と、極板群1を電解液ともに収容するセル室を備えた電槽41と、を有し、一つのセル室に一つの極板群1が収容され、極板群1を構成する正極板10の枚数は負極板20の枚数以下となっている。
正極板10は、正極集電体と正極活物質を含む正極合剤とを有し、正極活物質は二酸化鉛を含有する。正極集電体は、長方形の格子状基板と格子状基板に連続する耳11とを有し、格子状基板に正極合剤が保持されたものである。負極板20は、負極集電体と負極活物質を含む負極合剤とを有し、負極活物質は金属鉛を含有する。負極集電体は、長方形の格子状基板と格子状基板に連続する耳21とを有し、格子状基板に負極合剤が保持されたものである。
正極合剤および負極合剤は、それぞれの格子状基板の開口部内に充填されているとともに、格子状基板の両板面に活物質層として存在する。
正極集電体については以下で詳述する。負極板20を構成する負極集電体は、鉛合金製圧延板に対する打ち抜き法で形成されたものである。正極集電体および負極集電体の打ち抜き法以外の製造方法としては、鉛合金の鋳造法、鉛合金製圧延板を用いたエキスパンド法が挙げられる。セパレータ30は、例えば、樹脂、ガラス等からなる多孔質の膜状体であり、平板状のベース面と、必要に応じてベース面の面方向に対し直行する方向に突出する襞状のリブとを有する。
複数枚の正極板10の耳11は正極ストラップ13で連結され、複数枚の負極板20の耳21は負極ストラップ23で連結されている。そして、正極ストラップ13は正極端子15の一端に接続され、負極ストラップ23は負極端子25の一端に接続されており、正極端子15の他端及び負極端子25の他端が、電槽41の開口部を閉塞する蓋43を貫通して、電槽41と蓋43からなる液式鉛蓄電池のケース体の外部に露出している。
〔正極集電体について〕
図2に示すように、正極板10を構成する正極集電体5は、鉛合金製の圧延板に対する打ち抜き加工で形成されたものであり、横長の長方形の格子状基板51と格子状基板に連続する耳11とを有し、格子状基板51に正極合剤が保持されている。格子状基板51は、長方形の四辺をなす枠骨と、枠骨に接続されて枠骨より内側に存在する複数本の中骨と、を有する。
枠骨は、格子状基板の上側に位置し横方向に延びる上枠骨511と、格子状基板の下側に位置し横方向に延びる下枠骨512と、格子状基板の左側に位置し縦方向に延びる左枠骨513と、格子状基板の右側に位置し縦方向に延びる右枠骨514と、を有する。
耳11は、上枠骨511の長手方向中心から右枠骨514側にずれた位置から上側に突出する。複数本の中骨は、上枠骨511から下枠骨512側に向かう複数本の縦中骨516と、左枠骨513と右枠骨514とを接続する複数本の横中骨517と、を有する。
そして、複数本の横中骨517のうちの二本は、複数本の横中骨517の断面積の平均値Aより大きな断面積Bを有する太い横中骨517a,517bであり、断面積の比B/Aは1.15以上である。
上枠骨の縦方向での中心位置と下枠骨の縦方向での中心位置との距離をL0、上枠骨の縦方向での中心位置と太い横中骨517aの縦方向での中心位置との距離をL1としたとき、比L1/L0は0.70である。上枠骨の縦方向での中心位置と太い横中骨517bの縦方向での中心位置との距離をL2としたとき、比L2/L0は0.50である。
つまり、この実施形態の液式鉛蓄電池では、正極板10を構成する正極集電体5の格子状基板51は、二本の太い横中骨517a,517bを有し、太い横中骨517aは下半分の領域に存在し、太い横中骨517bは格子状基板51の縦方向の中央部に存在する。
〔正極板の平面度について〕
本実施形態に係る液式鉛蓄電池において、化成後の正極板10の平面度は4.0mm以下とされている。平面度の数値が小さいほど正極板10は平らであり、ガスの気泡が正極板10の表面に付着しにくい。化成後の正極板10の平面度が4.0mm以下であれば、ガスは極板群1の外部に排出されやすくなるので、液式鉛蓄電池の内部抵抗の上昇が抑制され、内部抵抗を測定する方法により充電状態や劣化状態を正確に判定することが可能となる。
化成後の正極板10の平面度を4.0mm以下とする方法は特に限定されるものではなく、化成による湾曲を抑える方法により液式鉛蓄電池を製造してもよいし、化成により湾曲した正極板10を矯正して平面度を4.0mm以下としてもよい。
前述したように、正極板の両板面に形成した活物質層の厚さが異なると、化成時に正極板に湾曲が生じるので、両板面に略同一厚さの活物質層が形成された正極板を化成に供すれば、湾曲を抑えて平面度を4.0mm以下とすることができる。
両板面に同一厚さの活物質層を形成する方法としては、例えば、以下の2つの方法を挙げることができる。第一の方法は、厚さの異なる活物質層が両板面に形成された正極板を、負極板及びセパレータと積層する前に、正極板の厚さの大きい方の活物質層を削って、厚さの小さい方の活物質層と厚さを一致させる方法である。
正極板の両板面に同時に活物質層を形成しようとすると、同一厚さの活物質層を形成することが難しくなるので、第二の方法は、正極活物質のペーストを板状格子状基板の開口部に片面ずつ充填して活物質層を形成することにより、同一厚さの活物質層を形成する方法である。
ただし、化成後の正極板10の平面度が0.5mm未満の場合は、ガスが極板群1の外部に排出されやすくなるものの、極板群1を電槽41内に収容した際に電槽41の内壁面により極板群1に負荷される群圧が不十分となるおそれがある。その結果、正極活物質の軟化や脱落が生じやすくなり、液式鉛蓄電池の性能や寿命が低下する場合がある。よって、化成後の正極板10の平面度は0.5mm以上とすることが好ましい。
正極板の平面度は、JIS B0419:1991に規定された方法によって測定することができる。すなわち、図3に示すように、基台の平面上に、正極板の板面と基台の平面とが略平行をなすように、且つ、湾曲した正極板の凸面を上方に向けて正極板を載置して、湾曲した正極板の凸面の頂点(基台の平面から最も離れた部分)と基台の平面との間の距離hを測定する。そして、この距離hから正極板の厚さを差し引いた値を平面度とする。
なお、従来の液式鉛蓄電池においても極板は湾曲しており、平面度が4.0mm以下の極板を有する液式鉛蓄電池は確認されていなかった。例えば特許文献1の図面には、湾曲していない平らな極板が描画されているが、便宜上、平らに描画されているのであって、実際には極板は平らではなく湾曲していた。また、極板の湾曲によってガスが極板群の内部に閉じ込められ内部抵抗が上昇するという知見は、当業者においても全く知られていなかった。
〔実施形態の液式鉛蓄電池が奏する作用、効果〕
以上のように、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、化成、定電圧充電等による内部抵抗の上昇が生じにくく、充電後の内部抵抗の低下も早い。また、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、優れた放電容量を有する。さらに、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、優れた耐久性も有している。よって、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、充電制御車、アイドリングストップ車のような充電制御を行う車両に搭載され且つ主に部分充電状態で用いられる液式鉛蓄電池として好適である。なお、部分充電状態とは、充電状態が例えば70%超過100%未満の状態である。
また、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、車両の内燃機関を起動する電源としての用途のみならず、電動自動車、電動フォークリフト、電動バス、電動バイク、電動スクータ、小型電動モペッド、ゴルフ用カート、電気機関車等の動力電源や補機用予備(バックアップ)電源としても使用可能である。さらに、本実施形態に係る液式鉛蓄電池は、照明用電源、予備電源としても使用可能である。あるいは、太陽光発電、風力発電等により発電された電気エネルギーの蓄電装置としても使用可能である。
なお、本実施形態に係る液式鉛蓄電池においては、化成後の正極板の平面度と化成後の負極板の平面度は、同一であってもよいし異なっていてもよいが、異なっている方が好ましい。例えば、正極板の平面度に対する負極板の平面度の比を、極板群内において平均で50%以上80%以下とすれば、極板群内にガスが滞留しにくく、極板群からのガスの排出が生じやすい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(A)液式鉛蓄電池の性能に対する、正極板の平面度、及び横中骨の断面積比B/Aが及ぼす影響についての検討
電池サイズがQ−85である液式鉛蓄電池を以下の方法で作製した。
先ず、正極板用および負極板用の集電体(格子状基板+耳)を、Pb−Ca−Sn合金製の圧延板から打ち抜き法で作製した。
具体的には、実施例23が図2に示す正極集電体5を用いた例であり、格子状基板51の幅(横方向の寸法)は137mm、高さ(縦方向の寸法)は116.5mmである。これらの寸法はいずれも、枠骨の中心線ではなく、最外辺同士の間隔である。また、複数本の横中骨517のうちの二本は、太い横中骨517a,517bとなっている。太い横中骨517a,517bの断面積Bは1.25mm2である。太い横中骨517a,517b以外の横中骨517の断面積は全て同じで1.00mm2である。そして、太い横中骨517a,517bを含む全ての横中骨517の断面積の平均値Aは1.04mm2である。よって、比B/Aは1.20となっている。
また、格子状基板51の縦方向の中央部から下半分の領域に存在する太い横中骨517aと上枠骨511との距離(縦方向での中心位置同士の距離)L1と、上枠骨511と下枠骨512との距離(縦方向での中心位置同士の距離)L0との比L1/L0は0.70である。もう一本の太い横中骨517bは格子状基板51の縦方向の中央位置に存在している。つまり、この太い横中骨517bと上枠骨511との距離(縦方向での中心位置同士の距離)L2と、距離L0との比L2/L0は0.50である。
実施例18〜22では、格子状基板51の縦方向の中央部から下半分の領域に存在する太い横中骨517aは実施例23と同じ位置に存在するが、もう一本の太い横中骨517bを格子状基板51の縦方向の中央部から上半分の領域の各位置に存在させた。また、断面積比B/Aは1.20で一定になるようにした。
実施例1〜12および比較例1〜13では、図2に示す正極集電体5と同じ形状であるが、二本の太い横中骨517a,517bに代えて、図2の太い横中骨517bよりも上枠骨511側のL1/L0=0.40となる位置に、太い横中骨を一本だけ有する正極集電体を用いた。そして、断面積比B/Aが1.10〜1.30となるように太い横中骨の断面積を設定した。
実施例13〜17では、図2に示す正極集電体5と同じ形状であるが、二本の太い横中骨517a,517bに代えて、L1/L0=0.40〜0.90となる各位置に、太い横中骨を一本だけ有する正極集電体を用いた。また、断面積比B/Aは1.20で一定になるようにした。
また、正極集電体の従来例として、図2に示す正極集電体5と同じ形状であるが、全ての横中骨の太さが同じものを用意した。
負極集電体としては、図2に示す正極集電体5と同じ形状であるが、全ての横中骨の太さが同じものを用いた。
さらに、実施例1〜12および比較例1〜13では、化成後の正極板の平面度が1.0〜5.0の各値となるようにし、実施例13〜23では、化成後の正極板の平面度が4.0となるようにした。化成後の正極板の平面度は、化成前の正極板の両板面に形成された正極活物質の活物質層の厚塗り度比を変更することで調整した。ただし、化成後の正極板の平面度を調整する方法は、厚塗り度比を変更する方法に限定されるものではなく、他の方法を用いても差し支えない。化成後の正極板の平面度の測定方法については、後に詳述する。
次に、一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸で混練し、さらに必要に応じて添加剤を混合し練り合わせて、正極合剤用ペーストを作製した。正極活物質が含有するα−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)は20%とした。また、一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸で混練し、さらに必要に応じて添加剤を混合し練り合わせて、負極合剤用ペーストを作製した。
そして、正極合剤用ペーストを正極集電体の格子状基板に充填した後に、熟成及び乾燥を行い、化成前の正極板を作製した。同様に、負極合剤用ペーストを負極集電体の格子状基板に充填した後に、熟成及び乾燥を行い、化成前の負極板を作製した。
正極板が有する正極活物質の密度は4.2g/cm3であり、負極板が有する負極活物質の密度は4.0g/cm3であった。
また、セパレータとして、多孔質の合成樹脂からなり、平板状のベース面と、ベース面の面方向に対し直交する方向に突出する襞状のリブと、を有するリブ付きセパレータを用意した。リブ付きセパレータの総厚さは0.90mmとし、リブ高さは0.65mmとし、ベース面の厚さは0.25mmとした。
作製された化成前の正極板と負極板とを、リブ付きセパレータを介在させつつ交互に複数枚積層して、極板群を作製した。正極板の枚数は7枚とし、負極板の枚数は8枚とした。
この極板群を電槽内に収容し、各正極板の正極集電体の耳を正極ストラップで連結し、各負極板の負極集電体の耳を負極ストラップで連結した。そして、正極ストラップは正極端子の一端に接続し、負極ストラップは負極端子の一端に接続した。なお、電槽は、極板群を収容するセル室を複数有しているが、一つのセル室当たりのアッパーレベル(最高液面線)以下の部分の容積は570cm3である。また、極板群には、所定の群圧が負荷されるようにした。
さらに、蓋で電槽の開口部を閉塞した。正極極柱と負極極柱は、それぞれ蓋にインサート成形したブッシングに貫通させ、正極極柱の他端と負極極柱の他端を鉛蓄電池の外部に露出させた状態で溶接し、正極端子と負極端子を形成した。蓋に形成された注液口から、比重1.23の希硫酸からなり、硫酸アルミニウムを0.1モル/Lの濃度で含有する電解液を電槽のアッパーレベルまで注入し、注液口を栓体により封口して、電槽化成を行い、鉛蓄電池を得た。
電解液の注入から化成のための通電開始までの時間(すなわちソーキング時間)は30分間、化成のための電気量は230%、化成時の電解液の温度は45℃とした。このとき、注入した電解液の量は一つのセル室当たり375cm3であった。なお、化成後の電解液の比重は1.28であった。
なお、後の解体調査のため、各ロットの鉛蓄電池は複数個作製し、同じロットの鉛蓄電池であれば、同一の構造と電池特性を有するものと見なした。
正極板の平面度は、以下のようにして測定した。
先ず、化成後の鉛蓄電池を解体し、正極板を無作為に複数枚取り出した。取り出した正極板は、正極板が変形しないように注意を払い、流水に晒した状態で4時間保つことで、表面に付着した硫酸を水洗した後、60℃の乾燥機にて120分間乾燥させた。そして、マイクロメータを用いて、正極板の複数箇所において厚さを測定し、その平均値を正極板の厚さとする。
次に、図3に示すように、基台の平面上に、正極板の板面と基台の平面とが略平行をなすように、且つ、湾曲した正極板の凸面を上方に向けて正極板を載置し、ハイトゲージを用いて、湾曲した正極板の凸面の頂点と基台の平面との間の距離hを測定する。そして、この距離hから正極板の厚さを差し引いた値を平面度とする。
このようにして得られた実施例1〜23、比較例1〜13、および従来例の各液式鉛蓄電池について、75℃での複合寿命試験を行い、寿命までのサイクル数を調査した。
寿命試験の条件は下記の通りである。先ず、75℃環境下において、2秒間の300A放電、60分間のCCCV充電(14.5V、最大充電電流50A)、5分間の25A放電、30分間のCCCV充電(14.5V、最大充電電流50A)を、この順に行うことを複数サイクル繰り返し、各放電時の電圧が7.2Vにまで低下した時に寿命に達したと判定し、それまで行ったサイクル数を寿命とした。
寿命試験後の電池について解体調査を実施し、正極グロースに伴うセパレータ破れの状況(ダメージの程度)を確認した。セパレータ破れの状況については、表1に「セパレータの状態」として、以下の四つの状態のいずれであるかを示した。
×:セパレータのベース面を目視で観察したところ、ベース面の破れ又は貫通が見られた。
△:セパレータのベース面を目視で観察したところ、ベース面の両面に変形変色等の応力印加の形跡が見られた。
○:セパレータのベース面を目視で観察したところ、ベース面の片面にのみ、変形変色等の応力印加の形跡が見られた。
◎:セパレータのベース面を目視で観察したところ、変形変色等の応力印加の形跡が見られなかった。
また、液式鉛蓄電池には軽量化が求められており、質量は数gでも少なくしたい状況にあるため、電池重量増加の抑制に関しても以下の基準で評価した。
従来例の正極集電体の質量は48.0gであり、それに対する質量の増加量が0.5g未満であれば「◎」、0.5g以上1.0g未満であれば「○」、1.0g以上1.5g未満であれば「△」、1.5g以上であれば「×」とした。
さらに、「重量増加の抑制」と「セパレータの状態」の両観点から、以下のように総合判定を行った。両方とも「○」であれば「◎」、一方が「○」他方が「△」であれば「○」、重量増加の抑制が「×」でセパレータの状態が「◎」であれば「△」、セパレータの状態が「×」であれば「×」とした。
これらの結果を表1、表2、表3に示す。
Figure 2021163676
Figure 2021163676
Figure 2021163676
表1、表2、表3の試験結果から、太い横中骨の断面積が大きくなると、横方向のグロースを抑制する効果が大きくなって、セパレータへのダメージが軽減され、寿命サイクルも向上する傾向にあることが分かる。
具体的には、セパレータの状態が「×」の場合、正極板と負極板の接触短絡が生じ、短寿命化したと考えられる。セパレータの状態が「△」の場合、目視では確認できなかったが、正極板の膨張に伴う歪みが大きくなったことで、正極活物質の軟化や剥離が進行したと考えられる。セパレータの状態が「○」の場合、正極板の膨張に伴う歪みが抑制されて、寿命特性が良好になったと考えられる。セパレータの状態が「◎」の場合、正極板の膨張に伴う歪みの抑制効果が高く、優れた寿命特性が得られたと考えられる。
また、太い横中骨の断面積が大きくなるほど、正極集電体の格子状基板の重量(質量)が増加するため、液式鉛蓄電池を軽量化する観点からは、太い横中骨の断面積断面積を1.25以下にすることが好ましい。
一方、化成後の正極極板の平面度が大きい状態において、グロースが進行すると、極板の縦外枠格子が鋭角にセパレータに突き刺さるため、セパレータ破れによる直接短絡を招きやすく短寿命となる。横中骨の断面積比(B/A)が1.15より小さい(比較例1〜3)、横方向への補強の効果がないため、横方向へのグロースが強烈に起き、その結果、湾曲が少ない状態においても横伸びにおけるセパレータの引裂きが早期に起こる。そのため、湾曲の度合いは寿命にあまり影響を及ぼさない(早期に引裂きとなるか、貫通となるかの違いで、いずれもセパレータ損傷による直接短絡に変わりはない)。そのため、湾曲の度合いが変化しても、寿命サイクルの差は僅差になっている。
これに対して、横中骨の断面積比(B/A)が1.15以上の場合、補強効果によって、横方向へのグロースが抑制された状態になるため、その時の極板の縦外枠格子の向く方向が重要になる。そのため、横中骨の断面積比(B/A)を1.15以上とすることで、平面度の影響度合いがより強くなる。
太い横中骨は、寿命特性の観点から、正極集電体の格子状基板における下半分の領域と上半分の領域に1本ずつ計2本配置されることが望ましく、下半分の領域に配置される太い横中骨は上枠骨から50〜80%(L1/L0が0.50以上0.80以下)の位置に配置され、上半分の領域に配置される太い横中骨は上枠骨から20〜45%(L1/L0が0.20以上0.45以下)の位置に配置されることが望ましい。
(B)液式鉛蓄電池の性能に対する二酸化鉛のαβ比率の影響についての検討
実施例24〜28では、正極活物質が含有するα−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)の影響について検討した。
正極板の平面度は4.0mm、断面積比B/Aは1.25、太い横中骨はL1/L0=0.40となる位置に存在する一本のみとし、二酸化鉛の比率α/(α+β)のみを10〜50%の各値に変化させた。これ以外の構成及び製造方法については、上記(A)の検討で作製した液式鉛蓄電池と同じである。
液式鉛蓄電池の性能試験としては、上記(A)の検討で行ったものと同じ試験と、放電容量を調べる試験を行った。
その結果を表4に示す。
Figure 2021163676
表4の結果から、α/(α+β)が20%以上40%以下であると、優れた寿命特性が得られるとともに良好な放電容量も維持できることが分かる。
1 極板群
10 正極板
20 負極板
30 セパレータ
41 電槽
5 正極集電体
51 格子状基板
11 格子状基板に連続する耳
511 上枠骨
512 下枠骨
513 左枠骨
514 右枠骨
516 縦中骨
517 横中骨
517a 太い横中骨
517b 太い横中骨

Claims (7)

  1. 電解液および極板群が収容されたセル室を備えた液式鉛蓄電池であって、
    前記極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有し、
    前記正極板は、正極集電体と正極活物質を含む正極合剤とを有し、前記正極活物質は二酸化鉛を含有し、前記正極集電体は、長方形の格子状基板と前記格子状基板に連続する耳とを有し、前記格子状基板に前記正極合剤が保持され、
    前記正極集電体は、鉛合金製の圧延板に対する打ち抜き加工で形成されたものであり、
    前記格子状基板は、前記長方形の四辺をなす枠骨と、前記枠骨に接続されて前記枠骨より内側に存在する複数本の中骨と、を有し、
    前記枠骨は、前記格子状基板の上側に位置し横方向に延びる上枠骨と、前記格子状基板の下側に位置し横方向に延びる下枠骨と、前記格子状基板の左側に位置し縦方向に延びる左枠骨と、前記格子状基板の右側に位置し縦方向に延びる右枠骨と、を有し、
    前記耳は、前記上枠骨の長手方向中心から前記左枠骨に近い側および前記右枠骨に近い側のいずれかの側にずれた位置から上側に突出し、
    前記複数本の中骨は、前記上枠骨から前記下枠骨側に向かう複数本の縦中骨と、前記左枠骨と前記右枠骨とを接続する複数本の横中骨と、を有し、
    前記複数本の横中骨のうちの少なくとも一本は、前記複数本の横中骨の断面積の平均値Aより大きな断面積Bを有する太い横中骨であり、断面積の比B/Aは1.15以上であり、
    化成後の前記正極板の平面度は4.0mm以下である液式鉛蓄電池。
  2. 前記太い横中骨は、前記格子状基板の縦方向の中央部から下半分の領域に存在する請求項1に記載の液式鉛蓄電池。
  3. 前記上枠骨の前記縦方向での中心位置と前記下枠骨の前記縦方向での中心位置との距離をL0、前記上枠骨の前記縦方向での中心位置と前記太い横中骨の前記縦方向での中心位置との距離をL1としたとき、比L1/L0は0.50以上0.80以下である請求項1に記載の液式鉛蓄電池。
  4. 前記上枠骨の前記縦方向での中心位置と前記下枠骨の前記縦方向での中心位置との距離をL0、前記上枠骨の前記縦方向での中心位置と前記太い横中骨の前記縦方向での中心位置との距離をL1としたとき、比L1/L0は0.20以上0.45以下である請求項1に記載の液式鉛蓄電池。
  5. 前記太い横中骨は、前記格子状基板の縦方向の中央部から下半分の領域にも存在する請求項4に記載の液式鉛蓄電池。
  6. 前記太い横中骨が二本存在する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液式鉛蓄電池。
  7. 前記正極活物質が含有するα−二酸化鉛の質量αとβ−二酸化鉛の質量βの比率α/(α+β)は20%以上40%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の液式鉛蓄電池。
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