JP5346322B2 - 音場収音再生装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

この発明は、ある音場に設置されたマイクアレーで音信号を収音し、その音信号を用いてスピーカアレーでその音場を再現する波面合成法(Wave Field Synthesis)の技術に関する。
ダイポール特性のマイクで構成されるマイクアレーで計測した音圧勾配を用いて、音場を再現する波面合成法の技術が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
ダイポール特性のマイクm1は、図14に示すように例えば2個のモノポール特性のマイクm2により構成することができる。この場合、2個のモノポール特性のマイクm2で収音した音信号の差分を、ダイポール特性のマイクm1で収音した音信号とすればよい。図14において、2個のモノポール特性のマイクm2の中点がダイポール特性のマイクm1の位置となり、この位置にマイクアレーの面Mが形成される。2個のモノポール特性のマイクm2を結ぶ直線は、マイクアレーの面Mと直交する。
Sascha Spors, Rudolf Rabenstein, and Jens Ahrens, "The Theory of Wave Field Synthesis Revisited", 124th Convention of the Audio Engineering Society Amsterdam, 2008 May 17-20
しかしながら、図14に示すようにダイポール特性のマイクを2個のモノポール特性のマイクで構成した場合には、必要なマイクの数が多くなり、また、2個のモノポール特性のマイクの距離の長さと近い波長を有する波の音圧勾配を取得できないため、周波数特性にへこみができるという課題があった。
上記の課題を解決するために、空間の逆フーリエ変換によりマイクアレーで収音された音信号の振幅分布の角度スペクトル表現を計算する。角度スペクトル表現と、マイクアレー面の垂直方向における微分に対応する係数との積である空間微分後角度スペクトル表現を計算する。空間微分後角度スペクトル表現を空間のフーリエ変換により音信号の振幅分布に変換する。
ダイポール特性のマイクを2個のモノポール特性のマイクで構成した場合と比較して、少ないマイクで音場収音再生を行うことができる。また、2個のモノポール特性のマイクで構成したダイポール特性のマイクを用いないことにより、2個のモノポール特性のマイクの距離の長さと近い波長を有する波の音圧勾配を取得できないという問題が生じないため、周波数特性にへこみはできない。
第一実施形態の音場収音再生装置の例の機能ブロック図。 第一実施形態の音場収音再生装置のマイクアレー及びスピーカアレーの配置の例を説明するための図。 第二実施形態の音場収音再生装置の例の機能ブロック図。 第二実施形態の音場収音再生装置のマイクアレー及びスピーカアレーの配置の例を説明するための図。 音場収音再生方法の例を示す流れ図。 シミュレーションの条件を示すための図。 第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めたある時刻における音圧勾配の分布を示す図。 ダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めたある時刻における音圧勾配の分布を示す図。 第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めた音圧勾配の平均の分布を示す図。 ダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めた音圧勾配の平均の分布を示す図。 シミュレーションの条件を示すための図。 第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めた再現音場における両耳での周波数特性を示す図。 ダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めた再現音場における両耳での周波数特性を示す図。 ダイポール特性のマイクの例を説明するための図。
以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。
[第一実施形態]
第一実施形態の音場収音再生装置及び方法は、図2に示す第一の部屋のz=zの位置に配置されたN×N個の無指向性のマイクで構成される二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nで収音した音信号を用いて、以下に説明する方法でz=zの位置の音圧勾配を計算する。そして、計算された音圧勾配を用いて、第二の部屋に配置されたN×N個のモノポール特性のスピーカで構成される二次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nで音場を再現する。
,Nは任意の整数である。二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nを構成するマイクの数と二次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nを構成するスピーカの数は同じである。二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nの大きさと、二次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nの大きさはほぼ同じである。各マイクMi−jの二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nにおける位置は、その各マイクMi−jに対応するスピーカSi−jの二次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nにおける位置と同じであることが望ましいが、異なっていても良い。この位置が同じであれば、より忠実に音場の再生を行うことができる。
第一の部屋のz=zの位置に配置された二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nを構成する各マイクの位置をr=(x,y,z)と表わすことにする。
第一実施形態の音場収音再生装置は、図1に示すように周波数領域変換部1、窓関数部2、空間逆フーリエ変換部3、空間微分部4、空間フーリエ変換部5、時間領域変換部6を例えば含み、図5の実線で示された処理を行う。
第一の部屋のz=zの位置に配置された二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nは、第一の部屋の音源Sで発せられた音を収音して時間領域の音信号を生成する。生成された音信号は、周波数領域変換部1に送られる。r=(x,y,z)のマイクMi−jで収音された時間領域の時刻tの音信号をf(i,j,t)と表記する。
周波数領域変換部1は、マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nで収音された音信号f(i,j,t)をフーリエ変換により周波数領域信号F(i,j,ω)に変換する(ステップS1)。生成された周波数領域信号F(i,j,ω)は、窓関数部2に送られる。ωは周波数である。例えば、短時間離散フーリエ変換により周波数領域信号F(i,j,ω)が生成される。もちろん、他の既存の方法により周波数領域信号F(i,j,ω)を生成してもよい。
窓関数部2は、周波数領域信号F(i,j,ω)に窓関数を乗じて窓関数後周波数領域信号F(j,j,ω)を生成する(ステップS2)。窓関数後周波数領域信号F(j,j,ω)は、空間逆フーリエ変換部3に送られる。窓関数として、以下の式より定義されるいわゆるターキー(Turkey)窓関数w(i,j)を例えば用いる。Ntprは、テーパーを適用する点数であり1以上N,N以下の整数である。
Figure 0005346322
空間逆フーリエ変換部3は、空間の二次元逆フーリエ変換により窓関数後周波数領域信号F(j,j,ω)の角度スペクトル表現G(n,m,ω)を計算する(ステップS3)。角度スペクトル表現G(n,m,ω)は、各ωごとに計算される。計算された角度スペクトル表現G(n,m,ω)は、空間微分部4に送られる。空間逆フーリエ変換部3は、具体的には下記式(1)により定義されるG(n,m,ω)を計算する。
Figure 0005346322
(n)はx軸方向の角度スペクトルであり、nは角度スペクトルk(n)のインデックスであり、k(m)はy軸方向の角度スペクトルであり、mは角度スペクトルk(m)のインデックスである。角度スペクトルとは、いわゆる空間周波数又は波数のことである。
空間微分部4は、角度スペクトル表現G(n,m,ω)と、z軸方向における微分に対応する係数D(n,m,ω)との積である空間微分後角度スペクトル表現G(n,m,ω)を計算する(ステップS4)。z軸方向は、マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nの面の垂直方向である。計算された空間微分後角度スペクトル表現G(n,m,ω)は、空間フーリエ変換部5に送られる。
(n,m,ω)=D(n,m,ω)×G(n,m,ω)
角度スペクトル表現G(n,m,ω)に対応する係数は、次式のように定義される。kは波数であり、cを音速として、k=ω/cである。係数D(n,m,ω)が、z軸方向の微分に対応する理由については後述する。
Figure 0005346322
(n)+k(m)>kの場合に、D(n,m,ω)=0としてもよいとしているのは、k(n)+k(m)>kの成分はいわゆる不均質波に対応しているため無視しても良いためである。
空間フーリエ変換部5は、空間微分後角度スペクトル表現G(n,m,ω)を空間の二次元フーリエ変換により周波数領域信号F(i,j,ω)に変換する(ステップS5)。変換された周波数領域信号F(i,j,ω)は、時間領域変換部6に送られる。空間フーリエ変換部5は、具体的には下記式(3)により定義されるF(i,j,ω)を計算する。
Figure 0005346322
時間領域変換部6は、周波数領域信号F(i,j,ω)を逆フーリエ変換により時間領域信号f(i,j,t)に変換する(ステップS6)。逆フーリエ変換は短時間離散逆フーリエ変換等の既存の方法を用いればよい。時間領域信号f(i,j,t)は、スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nに送られる。逆フーリエ変換によりフレーム毎に得られた時間領域信号f(i,j,t)は適宜シフトされて線形和が取られて、連続した時間領域信号となる。
スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nは、時間領域信号f(i,j,t)に基づいて音を再生する。より詳細には、i=1,…,N,j=1,…,Nとして、スピーカSi−jが時間領域信号f(i,j,t)に基づいて音を再生する。これにより、第一の部屋のz=zの位置の波面を第二の部屋のスピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−Nで再現して、第一の部屋の音場を第二の部屋に再現することができる。
このような処理を行うことで、ダイポール特性のマイクを用いずに音圧勾配を計算することができる。これにより、ダイポール特性のマイクを2個のモノポール特性のマイクで構成した場合と比較して、少ないマイクで音場収音再生を行うことができる。また、2個のモノポール特性のマイクで構成したダイポール特性のマイクを用いないことにより、2個のモノポール特性のマイクの距離の長さと近い波長を有する波の音圧勾配を取得できないという問題が生じないため、周波数特性にへこみはできない。
『係数D(n,m,ω)がz軸方向の微分に対応する理由について』
以下、z=0とする。z=zにおける平面状の定常状態音圧分布F(x,y,ω)=P(x,y,0,ω)の角度スペクトル表現G(k,k,ω)は、以下のような音圧分布の二次元逆フーリエ変換として与えられる。
Figure 0005346322
角度スペクトル表現は、ある平面における音圧分布を平面波の重ね合わせとして分解するような演算となっており、ある平面状の角度スペクトルが得られれば、全空間における音圧分布を以下のように導出することが可能となることが知られている。
Figure 0005346322
ここで、k=ω/cとして、kは以下のように定義される。
Figure 0005346322
これは、z=zにおける角度スペクトルに対し、位相シフトによって任意のzにおける角度スペクトルを導出し、更に二次元フーリエ変換を行っていることに他ならない。
今回導出すべきは、z=zにおける音圧勾配である。これは、角度スペクトル領域でz軸方向に微分することで容易に導出可能であり、以下のようになる。
Figure 0005346322
つまり、z=zにおける音圧分布が取得可能であれば、それに対して二次元逆フーリエ変換を行い、−jk/4πを乗じた後、二次元フーリエ変換を行うことで、z=zにおける音圧勾配が得られることになる。このため、係数D(n,m,ω)=−jk/4πが、z軸方向の微分に対応するのである。
なお、上記(4)式を離散的に表記したものが上記(1)式であり、上記(5)式を離散的に表記したものが上記(3)式である。
[第二実施形態]
第一実施形態の音場収音再生装置及び方法は二次元マイクアレー及び二次元スピーカアレーを用いるのに対して、第二実施形態の音場収音再生装置及び方法は一次元マイクアレー及び一次元スピーカアレーを用いる。これにより、マイク数、スピーカ数及びチャネル数を少なくすることができるため、実装が比較的容易となる。
第二実施形態の音場収音再生装置及び方法は、図4に示す第一の部屋のy=y,z=zの位置に配置されたN個の無指向性のマイクで構成される一次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1で収音した音信号を用いて以下に説明する方法でz=zの位置の音圧勾配を計算する。そして、計算された音圧勾配を用いて、第二の部屋に配置されたN個のモノポール特性のスピーカで構成される一次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1’で再現する。
は任意の整数である。一次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1を構成するマイクの数と一次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1を構成するスピーカの数は同じである。一次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1の大きさと、一次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1の大きさはほぼ同じである。各マイクMi−1の一次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1における位置は、その各マイクMi−1に対応するスピーカSi−1の一次元スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1における位置と同じであることが望ましいが、異なっていても良い。この位置が同じであれば、より忠実に音場の再生を行うことができる。
第一の部屋のz=zの位置に配置された二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1を構成する各マイクの位置をr=(x,y,z)と表わすことにする。
第一実施形態の音場収音再生装置は、図3に示すように周波数領域変換部1、窓関数部2、空間逆フーリエ変換部3、空間微分部4、空間フーリエ変換部5、時間領域変換部6、補正フィルタ部7を例えば含み、図5の破線で示された処理を行う。
第一の部屋のz=zの位置に配置された二次元マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−Nは、第一の部屋の音源Sで発せられた音を収音して時間領域の音信号を生成する。生成された音信号は、周波数領域変換部1に送られる。r=(x,y,z)のマイクMi−jで収音された時間領域の時刻tの音信号をf(i,t)と表記する。
周波数領域変換部1は、マイクアレーM1−1,M2−1,…,MN−1で収音された音信号f(i,t)をフーリエ変換により周波数領域信号F(i,ω)に変換する(ステップS1)。生成された周波数領域信号F(i,ω)は、窓関数部2に送られる。ωは周波数である。例えば、短時間離散フーリエ変換により周波数領域信号F(i,ω)が生成される。もちろん、他の既存の方法により周波数領域信号F(i,ω)を生成してもよい。
窓関数部2は、周波数領域信号F(i,ω)に窓関数を乗じて窓関数後周波数領域信号F(i,ω)を生成する(ステップS2)。窓関数後周波数領域信号F(i,ω)は、空間逆フーリエ変換部3に送られる。窓関数として、以下の式より定義されるいわゆるターキー(Turkey)窓関数w(i)を例えば用いる。Ntprは、テーパーを適用する点数であり1以上N以下の整数である。
Figure 0005346322
空間逆フーリエ変換部3は、二次元逆フーリエ変換により窓関数後周波数領域信号F(j,ω)の角度スペクトル表現G(n,ω)を計算する(ステップS3)。角度スペクトル表現G(n,ω)は、各ωごとに計算される。計算された角度スペクトル表現G(n,ω)は、空間微分部4に送られる。空間逆フーリエ変換部3は、具体的には下記式(1)により定義されるG(n,ω)を計算する。
Figure 0005346322
(n)はx軸方向の角度スペクトルであり、nは角度スペクトルk(n)のインデックスである。角度スペクトルとは、いわゆる空間周波数又は波数のことである。
空間微分部4は、角度スペクトル表現G(n,ω)と、z軸方向における微分に対応する係数D(n,ω)との積である空間微分後角度スペクトル表現G(n,ω)を計算する(ステップS4)。計算された空間微分後角度スペクトル表現G(n,ω)は、空間フーリエ変換部5に送られる。
(n,ω)=D(n,ω)×G(n,ω)
角度スペクトル表現G(n,ω)に対応する係数は、次式のように定義される。kは波数であり、cを音速として、k=ω/cである。係数D(n,ω)が、z軸方向の微分に対応する理由については後述する。
Figure 0005346322
(n)>kの場合に、D(n,ω)=0としてもよいとしているのは、k(n)>kの成分はいわゆる不均質波に対応しているため無視しても良いためである。
空間フーリエ変換部5は、空間微分後角度スペクトル表現G(n,ω)を空間の一次元フーリエ変換により周波数領域信号F(i,ω)に変換する(ステップS5)。変換された周波数領域信号F(i,ω)は、補正フィルタ部7に送られる。空間フーリエ変換部5は、具体的には下記式(8)により定義されるF(i,ω)を計算する。
Figure 0005346322
補正フィルタ部7は、1次アレーで近似することによる誤差を補正するために、以下の補正フィルタを用いてF(i,ω)を補正して、補正後の信号F’(i,ω)を得る(ステップS7)。
Figure 0005346322
ω=0のDC成分の場合には上記式の右辺の平方根の分母jωが0となるため、上記の補正フィルタを適用することはできない。このため、ω=0の場合には、F’(i,ω)=F’(i,0)=0とする。
時間領域変換部6は、補正後の信号F’(i,ω)を逆フーリエ変換により時間領域信号f(i,t)に変換する(ステップS6)。逆フーリエ変換は短時間離散逆フーリエ変換等の既存の方法を用いればよい。時間領域信号f(i,t)は、スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1に送られる。逆フーリエ変換によりフレーム毎に得られた時間領域信号f(i,t)は適宜シフトされて線形和が取られて、連続した時間領域信号となる。
スピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1は、時間領域信号f(i,t)に基づいて音を再生する。より詳細には、i=1,…,Nとして、スピーカSi−1が時間領域信号f(i,t)に基づいて音を再生する。これにより、第一の部屋のz=zの位置の波面を第二の部屋のスピーカアレーS1−1,S2−1,…,SN−1で再現して、第一の部屋の音場を第二の部屋に再現することができる。
このような処理を行うことで、ダイポール特性のマイクを用いずに音圧勾配を計算することができる。これにより、ダイポール特性のマイクを2個のモノポール特性のマイクで構成した場合と比較して、少ないマイクで音場収音再生を行うことができる。また、2個のモノポール特性のマイクで構成したダイポール特性のマイクを用いないことにより、2個のモノポール特性のマイクの距離の長さと近い波長を有する波の音圧勾配を取得できないという問題が生じないため、周波数特性にへこみはできない。
『係数D(n,ω)がz軸方向の微分に対応する理由について』
以下、係数D(n,ω)が、z軸方向の微分に対応する理由について説明する。なお、z=0とする。z=zにおける平面状の定常状態音圧分布F(x,ω)=P(x,0,ω)の角度スペクトル表現G(k,ω)は、以下のような音圧分布の空間の逆フーリエ変換として与えられる。
Figure 0005346322
角度スペクトル表現は、ある平面における音圧分布を平面波の重ね合わせとして分解するような演算となっており、ある平面状の角度スペクトルが得られれば、全空間における音圧分布を以下のように導出することが可能となることが知られている。
Figure 0005346322
ここで、k=ω/cとして、kは以下のように定義される。
Figure 0005346322
これは、z=zにおける角度スペクトルに対し、位相シフトによって任意のzにおける角度スペクトルを導出し、更に空間の一次元フーリエ変換を行っていることに他ならない。
今回導出すべきは、z=zにおける音圧勾配である。これは、角度スペクトル領域でz軸方向に微分することで容易に導出可能であり、以下のようになる。
Figure 0005346322
つまり、z=zにおける音圧分布が取得可能であれば、それに対して空間の一次元逆フーリエ変換を行い、−jk/2πを乗じた後、空間の一次元フーリエ変換を行うことで、z=zにおける音圧勾配が得られることになる。このため、係数D(n,ω)=−jk/2πが、z軸方向の微分に対応するのである。
なお、上記(9)式を離散的に表記したものが上記(6)式であり、上記(10)式を離散的に表記したものが上記(8)式である。
[シミュレーション結果]
図6のように、z=0の位置に直線状に2cm間隔で配置された96個のマイクからなる一次元マイクアレーでz<0の領域の音場の音信号を収音して、z=0の位置に直線状に4cm間隔で配置された96個のマイクからなる一次元スピーカアレーでz>0の領域において収音された音信号を用いてその音場を再現するシミュレーションを行った。一次元マイクアレー及び一次元スピーカアレーの全体の長さは3.84mであり、チャネル数は96である。音源は、(x,z)=(0.4m,−1.0m)の位置にある点音源である。音源信号は、3000Hzの正弦波である。
図7は第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めたある時刻における音圧勾配の分布である。図8はダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めたある時刻における音圧勾配の分布である。図9は第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めた音圧勾配の平均の分布である。図10はダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めた音圧勾配の平均の分布である。
図7から図10において、実線は各方法により求めた値であり、点線は真値である。図7から図10を見ると、第二実施形態の音場再生収音装置及び方法の方が、高い精度で音圧勾配の分布が得られていることがわかる。
次に、図11のように、z=0の位置に直線状に2cm間隔で配置された192個のマイクからなるマイクアレーでz<0の領域の音場の音信号を収音して、z<0の領域の音場の音信号を収音して、z=0の位置に直線状に2cm間隔で配置された192個のマイクからなるスピーカアレーでz>0の領域において収音された音信号を用いてその音場を再現するシミュレーションを行った。チャネル数は192である。音源は、(x,z)=(0.0m,−1.0m)の位置にある点音源である。(0.68m,0.88m)の位置に直径0.29mの頭部があると仮定し、両耳での周波数特性を計算した。
図12は第二実施形態の音場収音再生装置及び方法により求めた再現音場における両耳での周波数特性である。図13はダイポール特性のマイクを用いた従来法により求めた再現音場における両耳での周波数特性である。
図12及び図13を比較すると、図13では周波数特性にディップが生じているのに対して、図12では空間エイリアシング周波数よりも低い帯域においてはフラットな特性が得られていることがわかる。
[変形例等]
音場収音再生装置を構成する各部は、第一の部屋に配置された収音装置と第二の部屋に配置された再生装置の何れに備えられていてもよい。換言すれば、周波数領域変換部1、窓関数部2、空間逆フーリエ変換部3、空間微分部4、空間フーリエ変換部5、時間領域変換部6、補正フィルタ部7のそれぞれの処理は、第一の部屋に配置された収音装置で実行されてもよいし、第二の部屋に配置された再生装置で実行されてもよい。収音装置で生成された信号は、再生装置に送信される。
第一の部屋と第二の部屋の位置は、図2及び図4に示したものに限定されない。第一の部屋と第二の部屋は、隣接していても互いに離れた位置にあってもよい。また、第一の部屋と第二の部屋の向きもどのようなものであってもよい。
補正フィルタ部7はなくてもよい。この場合、時間領域変換部6は、空間フーリエ変換部5からの周波数領域信号F(i,ω)を逆フーリエ変換により、時間領域信号f(i,t)に変換する。
窓関数の処理は、周波数領域で行っても、時間領域で行ってもよい。
また、周波数領域変換部1及び窓関数部2はなくてもよい。この場合、空間逆フーリエ変換部3はマイクアレーで入力された音信号の振幅分布に対して処理を行い、空間フーリエ変換部5は空間のフーリエ変換により音信号の振幅分布を生成する。
音場収音再生装置は、コンピュータによって実現することができる。この場合、この装置の各部の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、この装置における各部がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、これらの装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1 周波数領域変換部
2 窓関数部
3 空間逆フーリエ変換部
4 空間微分部
5 空間フーリエ変換部
6 時間領域変換部
7 補正フィルタ部

Claims (10)

  1. 空間の逆フーリエ変換によりマイクアレーで収音された音信号の振幅分布の角度スペクトル表現を計算する空間逆フーリエ変換部と、
    上記角度スペクトル表現と、上記マイクアレー面の垂直方向における微分に対応する係数との積である空間微分後角度スペクトル表現を計算する空間微分部と、
    上記空間微分後角度スペクトル表現を空間のフーリエ変換により音信号の振幅分布に変換する空間フーリエ変換部と、
    を含む音場収音再生装置。
  2. 空間の逆フーリエ変換によりマイクアレーで収音された音信号の振幅分布の角度スペクトル表現を計算する空間逆フーリエ変換部と、
    上記角度スペクトル表現と、上記マイクアレー面の垂直方向における微分に対応する係数との積である空間微分後角度スペクトル表現を計算する空間微分部と、
    を含む音場収音再生装置。
  3. 空間の逆フーリエ変換により計算されたマイクアレーで収音された音信号の振幅分布の角度スペクトル表現と、上記マイクアレー面の垂直方向における微分に対応する係数との積である空間微分後角度スペクトル表現を計算する空間微分部と、
    上記空間微分後角度スペクトル表現を空間のフーリエ変換により音信号の振幅分布に変換する空間フーリエ変換部と、
    を含む音場収音再生装置。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の音場収音再生装置において、
    上記マイクアレーは、二次元に配置された複数の無指向性のマイクであり、
    ωを周波数、cを音速、nをx軸方向の角度スペクトルk(n)のインデックス、mをy軸方向の角度スペクトルk(m)のインデックス、kをk=ω/cとして、
    角度スペクトル表現G(n,m,ω)に対応する係数は、次式で定義されるD(n,m,ω)である、
    Figure 0005346322
    ことを特徴とする音場収音再生装置。
  5. 請求項1から3の何れかに記載の音場収音再生装置において、
    上記マイクアレーは、一次元に配置された複数の無指向性のマイクであり、
    ωを周波数、cを音速、nをx軸方向の角度スペクトルk(n)のインデックス、kをk=ω/cとして、
    角度スペクトル表現G(n,ω)に対応する係数は、次式で定義されるD(n,ω)である、
    Figure 0005346322
    ことを特徴とする音場収音再生装置。
  6. 請求項5に記載の音場収音再生装置において、
    上記空間のフーリエ変換により変換された周波数領域信号F(i,ω)に対して次式により定義されるフィルタ処理を行う補正フィルタ部を更に含み、
    Figure 0005346322
    上記時間領域変換部は、上記空間のフーリエ変換により変換された周波数領域信号に代えて、上記補正フィルタによる補正後の信号F’(i,ω)を逆フーリエ変換により時間領域信号に変換する、
    ことを特徴とする音場収音再生装置。
  7. 請求項6に記載の音場収音再生装置において
    上記音場収音再生装置は、収音装置及びと再生装置を備え、
    上記収音装置は、上記周波数領域変換部と上記空間逆フーリエ変換部と上記空間微分部と上記空間フーリエ変換部と上記補正フィルタ部とを含み、
    上記再生装置は、上記時間領域変換部を含む、
    ことを特徴とする音場収音再生装置。
  8. 請求項6に記載の音場収音再生装置において
    上記音場収音再生装置は、収音装置及びと再生装置を備え、
    上記収音装置は、上記周波数領域変換部と上記空間逆フーリエ変換部と上記空間微分部と上記空間フーリエ変換部とを含み、
    上記再生装置は、上記補正フィルタ部と上記時間領域変換部とを含む、
    ことを特徴とする音場収音再生装置。
  9. 空間の逆フーリエ変換によりマイクアレーで収音された音信号の振幅分布の角度スペクトル表現を計算する空間逆フーリエ変換ステップと、
    上記角度スペクトル表現と、上記マイクアレー面の垂直方向における微分に対応する係数との積である空間微分後角度スペクトル表現を計算する空間微分ステップと、
    上記空間微分後角度スペクトル表現を空間のフーリエ変換により音信号の振幅分布に変換する空間フーリエ変換ステップと、
    を含む音場収音再生方法。
  10. 請求項1から6に記載された音場収音再生装置の各部としてコンピュータを機能させるための音場収音再生プログラム。
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