JP5344948B2 - 湾曲型連続鋳造機向けの浸漬ノズル - Google Patents
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Description
浸漬ノズル1は、図3に示すように、内径φ[mm]を有する有底円筒状であって、整流突起5と共に耐火物で一体形成される。浸漬ノズル1の内径φ[mm]は例えば、60〜100とされる。
吐出孔2は、図5に示すように一対で対向するように浸漬ノズル1の周壁に形成され、図4に示すように浸漬ノズル1の内周面4から外周面7へ向かって若干斜め下向きに傾斜し、図3に示すように浸漬ノズル1の内周面4においては丸みを帯びた矩形の縁8を有し、浸漬ノズル1の外周面7においても同様に丸みを帯びた矩形の縁9を有する(図4を併せて参照)。また、吐出孔2の形成方向6は、図5の平面視で鋳型幅方向に対して平行とされる。また、吐出孔2は、図5に示されるように浸漬ノズル1の内周面4から外周面7へ向かって緩やかに幅広となるように形成される。
<断面形状>図3に示すように、鋳型幅方向に対して垂直な断面において、整流突起5は略台形状であって、内周面4から浸漬ノズル1の軸心Cに向かって次第に窄まる形状である。即ち、整流突起5は、軸心C側下方へ向かって傾斜する平面としての突起上面11と、軸心C側上方へ向かって傾斜する平面としての突起下面12と、突起上面11と突起下面12を連結する突起内周面13と、を有する。図3に示す断面視で突起上面11及び突起下面12は水平に対して概ね30〜60度で傾斜する。上記の突起内周面13は平面であって、鋳型厚み方向に対して直交する関係にある。この突起内周面13は図4に示す断面視において鋳型幅方向に延在し、特に突起内周面13の下端線13d(整流突起5の下端部5d)は、図4の立面視で鋳型幅方向に対して平行とされる。同様に、突起内周面13の上端線13u(整流突起5の上端部5u)も、図4の立面視で鋳型幅方向に対して平行とされる。端的に言えば、本実施形態において整流突起5は、鋳型幅方向に延在するように形成される。
各試験は、鋳型と溶鋼に代えて水槽と水を採用した所謂水モデル試験である。各試験は、浸漬ノズル1の構造や水槽のサイズなどに細かな変更を加えながら実施した。
本試験においては、浸漬ノズル1に所定の水流量Wat[L/min]で水が供給されている定常状態において、100秒間、浸漬ノズル1からの吐出流の様子を図9(a)の平面視で市販のビデオカメラを用いて撮影し記録した。このとき、浸漬ノズル1内を流れる水に対して空気を含ませることで、上記吐出流の様子を可視化した。そして、このときの映像を適宜の画像処理を踏まえて解析することで、上記100秒のうちどれくらいの時間、吐出流の向きが湾曲内側へ十分に方向付けされていたかを調査した。この調査の結果、吐出流の向きが湾曲内側へ十分に方向付けされていた時間、具体的には湾曲内側への方向付けを正とする吐出流の吐出角α[deg.]が5以上であった時間を、上記100秒で除した値としての内側吐出時間率Rを求めた。そして、この内側吐出時間率Rが略100%であったとき、その浸漬ノズル1は、吐出流の向きを湾曲内側へ十分に方向付けできるとして「○」と評価し、そうでない場合を「×」と評価した。なお、図9における数値の単位はmmであり、符号Wは水槽の幅(鋳型幅に相当する。)を、符号Dは水槽の厚み(鋳型厚みに相当する。)を夫々示す。また、吐出流の吐出角α[deg.]の閾値として5を採用した根拠は、本願明細書の末尾に記載する。
次に、各試験の個別の試験条件とその試験結果を下記表1に示す。下記表1において、列タイトル「W mm」は水槽のサイズであって、実機における鋳型幅に相当する。列タイトル「D mm」も水槽のサイズであって、実機における鋳型厚みに相当する。下記表1の水槽のサイズは、一般的なスラブ向けの鋳型を想定したものである。列タイトル「Air NL/min」は試験中に浸漬ノズルに導入する空気の流量を意味する。この空気は、図2に示される浸漬ノズルの上端近傍から吹き込んだ。列タイトル「SV開閉方向」とあるのは、スライドバルブの開閉方向を意味する。即ち、一般に、浸漬ノズル1の上端には、鋳型への溶鋼の流量を調整するためのスライドバルブが設けられており、このスライドバルブは、バルブをある特定の方向にスライドさせ、このスライドの開度を調整することで上記流量を調整できるようになっている。このバルブのスライド方向が鋳型厚み方向と一致する場合、列タイトル「SV開閉方向」において該当する箇所に「鋳型厚方向」と記載し、このバルブのスライド方向が鋳型幅方向と一致する場合、同様に、「鋳型幅方向」と記載した。列タイトル「吐出孔形状」において、「ラッパ」とあるのは図5に相当し、「平行」とあるのは図8(c1)に相当する。列タイトル「S mm」とあるのは、図3に示す立面視において、浸漬ノズル1の内周面4における吐出孔2の縁8を投影することで二次元的に特定できる吐出孔2の流路断面積を意味し、この流路断面積を同一の面積を有する円の直径で表現した場合のその直径[mm]を記載した。列タイトル「整流段差位置」において、「外側」とあるのは、図5の平面視で、湾曲外側に整流突起5を配置したことを意味し、「内側」とあるのは、図5の平面視で、湾曲内側に整流突起5を配置したことを意味する。列タイトル「数式(1)」などについては、各数式を参照されたい。なお、該当する数式を満足する場合を「○」とし、そうでない場合を「×」とした。列タイトル「R %」は、上記の内側吐出時間率R[%]を意味する。参考までに、列タイトル「Ave(α) deg.」欄には、吐出角α[deg.]の平均値を記載した。列タイトル「総合評価」には、上記内側吐出時間率Rの基づく評価の結果を記載した。なお、試験No.6、11、25、30、44、49では、他の特別な理由でこの総合評価の欄が「×」となっている。
(請求項1)
以上説明したように上記実施形態において、浸漬ノズル1は、以下のように構成される。即ち、浸漬ノズル1の湾曲外側の内周面4であって、平面視で一対の吐出孔2の間に挟まれる位置に、整流突起5が設けられる。下記式(1)〜(4)の条件を満足する。
以下、上記表1の結果を詳細に考察する。
試験No.1〜57によれば、吐出孔形状のバリエーションとして、図5に示すラッパ型に加え、図8(c1)に示す平行型も十分、有効であることが実証された。
試験No.1〜57によれば、吐出流の向きを湾曲内側に方向付けしつつ、吐出孔2の流路断面積を特許文献1等と比較して大きく設定することが可能であることが示された。
試験No.1、20、39と、その他の試験と、の対比によれば、上記の整流突起5を湾曲内側に配置するか湾曲外側に配置するかということと、吐出流の向きが湾曲内側に方向付けされるか湾曲外側に方向付けされるかということと、が密接に一対一で対応していることが判る。なお、実際に試験してはいないが、整流突起5を湾曲外側でも湾曲内側でもない他の位置へ配置した場合は、理屈で考えると図6に示すような渦流Pは形成されないだろう。また、試験No.2、21、40では、整流突起5を設けなかった。このときの溶鋼の流れはまさに図1(c2)及び(d2)の行き来だった。
試験No.2〜11、21〜30、40〜49によれば、図5の平面視において整流突起5が過小であると、内側吐出時間率Rに関する評価が良好ではなかったことが判る。このときの溶鋼の流れはまさに図1(c2)及び(d2)の行き来だっただろう。即ち、図6(a)に示す負圧域Fが十分には確保されなかったからだと考えられる。
試験No.12〜15、31〜34、50〜53によれば、d1/φが1.0に近いほど内側吐出時間率Rに関する評価が良好であることが判る。これは、d1/φが1.0に近いほど、図6(a)に示すように、整流突起5と内側底面3と内周面4に囲まれる領域が一層正方形に近づき、この領域が正方形に近ければ近いほど渦流Pが発生し易く、また、発生した渦流Pが真円形に近く、更には、発生した渦流Pが型崩れし難いからだと考えられる。
試験No.16、35、54に係る整流突起5の断面形状では、実機の鋳造で使用に耐え得る十分な強度を確保することはできない。この意味で、いずれにせよ、これらの試験No.の総合評価は×となる。また、試験No.19、38、57によれば、図3に示す整流突起5の断面形状を扁平形状とすると、内側吐出時間率Rに関する評価が良好ではないことが判る。これは、図10に示すように、整流突起5の突起上面11との衝突で剥離した溶鋼の流れが整流突起5の突起内周面13上に再付着し、この結果、整流突起5の下方に、十分な大きさの負圧域Fが形成されなかったからだと考えられる。なお、『機械工学便覧 基礎編α4 流体工学 初版P.47』には、『流れ方向の長さがBで厚さがHである角柱において、・・・、B/H>6.0では、前縁角から剥離した剪断層は側壁上で再付着し・・・』なる記載がある。この記載は、上記実施形態において数式(4)の右辺に6.0を採用することとした補強的な裏付けとなっている。
図11に、特開昭51−138526号公報に開示のデータをグラフ化したものを示す。なお、下向き吐出角θ[deg.]は何れのプロットにおいても15である。このグラフによれば、吐出角α[deg.]を5以上とすれば、吐出角α[deg.]が0の場合と比較して介在物量を概ね6割程度、低減し、鋳片品質を改善できることが判る。従って、得られる鋳片品質の観点から、吐出角α[deg.]の閾値として5を採用した。
2 吐出孔
3 内側底面
5 整流突起
Claims (1)
- タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズルであって、湾曲型連続鋳造機向けであり、前記浸漬ノズルの周壁には、一対の対向する吐出孔が形成される、浸漬ノズルにおいて、
前記浸漬ノズルの湾曲外側の内周面であって、平面視で前記一対の吐出孔の間に挟まれる位置に、整流突起が設けられ、
・前記浸漬ノズルの内径φ[mm]と、
・前記整流突起の、平面視で鋳型厚み方向において特定する突起水平厚みA[mm]と、
・前記整流突起の、平面視で鋳型幅方向において特定する突起水平長さB[mm]と、
・前記整流突起の下端である整流突起下端と、前記浸漬ノズルの内側底面との間の垂直方向における距離である整流突起下端距離d1[mm]と、
・前記整流突起の上端である整流突起上端と、上記の整流突起下端との間の垂直方向における距離である突起垂直厚みd2[mm]と、
は、下記式(1)〜(4)の条件を満足する。
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