以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示す処理システム1は、ウェハWを処理システム1に対して搬入出させる搬入出部2、真空引き可能なロードロック室3、ウェハWに対してハロゲン元素を含むガスを供給して、犠牲膜Dを反応生成物に変質させる反応処理を行う反応処理装置4、ウェハWに対して反応処理後の熱処理(PHT(Post Heat Treatment))を行う熱処理装置5、処理システム1の各部に制御命令を与える制御コンピュータ6を備えている。この処理システム1では、反応処理装置4と熱処理装置5が2つずつ設けられており、搬入出部2から搬入されたウェハWが、並列的にロードロック室3を介して反応処理装置4、熱処理装置5の順に搬送されてそれぞれ処理され、ロードロック室3を介して再び搬入出部2にウェハWが搬出されるようになっている。
搬入出部2は、ウェハWを搬送可能な搬送機構10を有しており、搬送機構10の側方には、ウェハWを複数枚並べて収容可能なキャリアCを載置するキャリア載置台11が、例えば3つ備えられている。また、例えば略円盤形状をなすウェハWを回転させて位置合わせを行うオリエンタ12が設置されている。搬送機構10は、これら3つのキャリアC、オリエンタ12および2つのロードロック室3の間で、任意にウェハWを一枚ずつ搬送することが可能である。
ロードロック室3は、搬入出部2との間および熱処理装置5との間に、開閉可能なゲートバルブを備えている。このため、反応処理装置4および熱処理装置5内を所定の圧力に保ちながら、搬入出部2から反応処理装置4および熱処理装置5にウェハWを搬入し、反応処理装置4および熱処理装置5から搬入出部2にウェハWを搬出することができる。
図2に示すように、反応処理装置4は、ウェハWを収納する密閉構造の反応処理室20を備えており、反応処理室20内には、ウェハWを略水平にして保持する載置台21が設けられている。また、載置台21には、ウェハWを所望の温度にさせる温調手段22が設けられている。なお、図示はしないが、反応処理室20の側方には、PHT処理装置5との間でウェハWを搬入出させるための搬入出口が設けられている。
さらに、反応処理装置4には、反応処理室20内にハロゲン元素を含むガスとしてフッ化水素ガス(HF)を供給する供給路25と、反応処理室20内に塩基性ガスとしてアンモニアガス(NH3)を供給する供給路26と、反応処理室20内に希釈ガスとして窒素ガス(N2)等の不活性ガスを供給する供給路27と、反応処理室20内を排気する排気路28が接続されている。供給路25はフッ化水素ガスの供給源30に接続され、供給路25には、開閉およびフッ化水素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁31が設けられている。供給路26はアンモニアガスの供給源32に接続され、供給路26には、開閉およびアンモニアガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁33が設けられている。供給路27は窒素ガスの供給源35に接続され、供給路27には、開閉および窒素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁36が設けられている。
反応処理室20の天井部には、これら供給路25、26、27を通じて供給されたフッ化水素ガス、アンモニアガスおよび窒素ガスを、載置台21に置かれたウェハWの上面全体に均一に供給させるためのシャワーヘッド37が設けてある。
排気路28には、圧力コントローラー40および強制排気を行うための排気ポンプ41が設けられている。これら排気ポンプ41の稼動と圧力コントローラー40の調整によって、反応処理室20の内部は所定の圧力に減圧されるようになっている。
図3に示すように、熱処理装置5は、ウェハWを収納する密閉構造の熱処理室50を備えており、熱処理室50内には、ウェハWを略水平にして保持する載置台51が設けられている。また、載置台51には、ウェハWを所望の温度にさせる温調手段52が設けられている。なお、図示はしないが、熱処理室50の側方には、反応処理装置4の反応処理室20との間でウェハWを搬入出させるための搬入出口と、ロードロック室3との間でウェハWを搬入出させるための搬入出口とが設けられている。
さらに、熱処理装置5には、熱処理室50内に希釈ガスとして窒素ガス(N2)等の不活性ガスを供給する供給路55と、熱処理室50内を排気する排気路56が接続されている。供給路55は窒素ガスの供給源60に接続され、供給路55には、開閉および窒素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁61が設けられている。
熱処理室50の天井部には、供給路55を通じて供給された窒素ガスを、載置台51に置かれたウェハWの上面全体に均一に供給させるためのシャワーヘッド62が設けてある。
排気路56には、圧力コントローラー65および強制排気を行うための排気ポンプ66が設けられている。これら排気ポンプ66の稼動と圧力コントローラー65の調整によって、熱処理室50の内部は所定の圧力に減圧されるようになっている。
処理システム1の各機能要素は、処理システム1全体の動作を自動制御する制御コンピュータ6に、信号ラインを介して接続されている。ここで、機能要素とは、例えば前述した反応処理装置4の温調手段22、流量調整弁31、33、36、圧力コントローラー40、排気ポンプ41、熱処理装置5の温調手段52、流量調整弁61、圧力コントローラー65、排気ポンプ66等の、所定のプロセス条件を実現するために動作する総ての要素を意味している。制御コンピュータ6は、典型的には、実行するソフトウェアに依存して任意の機能を実現することができる汎用コンピュータである。
図1に示すように、制御コンピュータ6は、CPU(中央演算装置)を備えた演算部6aと、演算部6aに接続された入出力部6bと、入出力部6bに挿着され制御ソフトウェアを格納した記録媒体6cと、を有する。この記録媒体6cには、制御コンピュータ6によって実行されることにより処理システム1に後述する所定の基板処理方法を行わせる制御ソフトウェア(プログラム)が記録されている。制御コンピュータ6は、該制御ソフトウェアを実行することにより、処理システム1の各機能要素を、所定のプロセスレシピにより定義された様々なプロセス条件(例えば、処理室20、50内の圧力等)が実現されるように制御する。
記録媒体6cは、制御コンピュータ6に固定的に設けられるもの、あるいは、制御コンピュータ6に設けられた図示しない読み取り装置に着脱自在に装着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであっても良い。最も典型的な実施形態においては、記録媒体6cは、処理システム1のメーカーのサービスマンによって制御ソフトウェアがインストールされたハードディスクドライブである。他の実施形態においては、記録媒体6cは、制御ソフトウェアが書き込まれたCD−ROM又はDVD−ROMのような、リムーバブルディスクである。このようなリムーバブルディスクは、制御コンピュータ6に設けられた図示しない光学的読取装置により読み取られる。また、記録媒体6cは、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)のいずれの形式のものであっても良い。さらに、記録媒体6cは、カセット式のROMのようなものであっても良い。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを記録媒体6cとして用いることが可能である。なお、複数の処理システム1が配置される工場においては、各処理システム1の制御コンピュータ6を統括的に制御する管理コンピュータに、制御ソフトウェアが格納されていても良い。この場合、各処理システム1は、通信回線を介して管理コンピュータにより操作され、所定のプロセスを実行する。
次に、本発明の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法について説明する。
(第1の実施の形態)
図4〜12は、本発明の第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法におけるウェハWの膜構造の変化を示す説明図である。
先ず、例えば図4に示すように、ウェハW上に形成されているSiOなどのゲート酸化膜A上に、有機系のポリシリコンなどの被エッチング膜Bが形成され、その上層には、下地膜としてのSiNなどのハードマスク膜Cが形成され、さらにその上層に酸化シリコンからなる犠牲膜Dが形成される。なお、被エッチング膜Bは、シリコン酸化膜でも良い。ハードマスク膜Cは、被エッチング膜Bをエッチングするときのエッチングとなる膜である。犠牲膜Dは、ホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでいる酸化シリコンでも良い。即ち、犠牲膜Dは、例えばBPSG(Boro-Phospho Silicated
Glass)膜、BSG(Boro Silicated Glass)膜、PSG(Phospho Silicated Glass)膜でも良い。
そして、フォトリソグラフィー工程が行われて、図5に示すように、犠牲膜Dの表面にレジストパターンEが形成される。この場合、レジストパターンEの幅L1は、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図6に示すように、レジストパターンEをマスクとして下層の犠牲膜Dがエッチングされ、犠牲膜Dが所定のパターンに加工される。こうして所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2は、レジストパターンEの幅L1とほぼ等しく、したがって、所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図7に示すように、所定のパターンに加工された犠牲膜Dおよびハードマスク膜Cの上に側壁スペーサF’を形成するためのスペーサ膜Fが成膜される。この場合、スペーサ膜Fは、酸化シリコン以外の材料からなり、例えば窒化シリコンからなる。スペーサ膜Fの成膜は、例えばMLD(Molecular Layer Deposition)法を用いた堆積によって行うことができる。MLD法を用いた堆積によってスペーサ膜Fを成膜した場合、分子層レベルの極めて薄いスペーサ膜Fを形成することができ、例えばスペーサ膜Fの厚さL3をフォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L3<L1、L2)とすることができる。なお、MLD法による基本的な成膜技術は、本件特許出願人による特願2006−265818に記載されている。
次に、図8に示すように、スペーサ膜Fがエッチバックされ、所定のパターンに加工されている犠牲膜Dの側壁に、側壁スペーサF’が形成される。この場合、スペーサ膜Fのエッチバックは異方性エッチングによって行われ、例えばRIE法等が用いられる。こうして形成された側壁スペーサF’の幅L4は、スペーサ膜Fの厚さL3とほぼ等しく、したがって、側壁スペーサF’の幅L4も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L4<L1、L2)となる。
次に、図9に示すように、側壁スペーサF’を残しながら、ハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する。
ここで、側壁スペーサF’を残しながら、ハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する場合、従来は、エッチング液を用いたウェットエッチング処理が行われていた。しかしながら、ウェットエッチング処理によって犠牲マスクDを除去した場合、エッチング液の表面張力により、側壁スペーサF’が倒れてしまう心配がある。特に、側壁スペーサF’の幅L4は微細であり、ウェットエッチング処理を行うと倒れやすい。
そこで、本発明の第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法では、ハロゲン元素を含むガスと塩基性ガスを用いて犠牲膜Dを反応生成物に変質させた後、熱処理を行ってハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する工程が行われる。
即ち先ず、図8に示したように、ウェハW表面のハードマスク膜C上において、所定のパターンに加工されている犠牲膜Dの側壁に側壁スペーサF’が形成された状態のウェハWが、キャリアC内に収納され、処理システム1に搬入される。
処理システム1においては、図1に示すように、複数枚のウェハWが収納されたキャリアCがキャリア載置台11上に載置される。そして、ウェハ搬送機構10によってキャリアCから一枚のウェハWが取り出され、ロードロック室3に搬入される。ロードロック室3にウェハWが搬入されると、ロードロック室3が密閉され、減圧される。その後、ロードロック室3と予め減圧されている反応処理装置4の反応処理室20および熱処理装置5の熱処理室50とが連通させられる。
そして、ウェハWは、先ず反応処理装置4の反応処理室20内に搬入される。ウェハWは、表面(デバイス形成面)を上面とした状態で、反応処理室20内の載置台21上に載置される。これにより、図8に示したように、ウェハW表面に形成されたハードマスクCが、反応処理室20内において上に向けられ、ハードマスク膜C上に形成された所定のパターンの犠牲膜Dと、犠牲膜Dの側壁に側壁スペーサF’が、反応処理室20内において上方に露出した状態とされる。
こうしてウェハWが反応処理装置4に搬入されると、反応処理室20が密閉され、反応処理工程が開始される。即ち、温調手段22により、ウェハWを第1の処理温度にする。この場合、第1の処理温度は、例えば40℃以下である。
また、反応処理室20内が排気路28を通じて強制排気され、反応処理室20内が所定の減圧状態にされる。この場合、反応処理室20内の圧力は、排気ポンプ41の稼動と圧力コントローラー40の調整によって、例えば10〜100mTorrにする。
そして、供給路25、26、27を通じて、フッ化水素ガス、アンモニアガス、窒素ガスがそれぞれ所定の流量で反応処理室20内に供給される。この場合、流量調整弁31の調整により、フッ化水素ガスの供給量が例えば10〜80sccmとされる。また、流量調整弁33の調整により、アンモニアガスの供給量が例えば5〜60sccmとされる。また、流量調整弁36の調整により、窒素ガスの供給量を例えば10〜200sccmとされる。なお、反応ガスであるフッ化水素ガスとアンモニアガスに加えて窒素ガスを反応処理室20内に供給することにより、載置台21に内蔵された温調手段22の熱がウェハWに効率よく伝導され、ウェハWの温度が正確に制御される。
こうしてフッ化水素ガスとアンモニアガスが減圧下で供給されることにより、ウェハW表面においてハードマスク膜C上に残っていた犠牲膜Dが、フッ化水素ガスおよびアンモニアガスと化学反応する。その結果、酸化シリコンからなる犠牲膜Dは、主にフルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6)や水分(H2O)を含む反応生成物に変質させられる。なお、この場合、ハードマスク膜Cと側壁スペーサF’は、酸化シリコン以外の材料(例えばSiN)からなるため、ハードマスク膜Cと側壁スペーサF’は、反応生成物に変質させられることがない。
こうして、犠牲膜Dを反応生成物に変質させる反応処理を終了すると、流量調整弁31、33が閉じられ、フッ化水素ガスとアンモニアガスの供給が停止される。なお、供給路27を通じた窒素ガスの供給は、更に継続して行われ、反応処理室20内が窒素ガスによってパージされる。その後、反応処理装置4の搬入出口が開かれて反応処理装置4の処理室20と熱処理装置5の熱処理室50が連通させられる。そして、ウェハWは反応処理装置4の処理室20から熱処理装置5の熱処理室50へと移される。
次に、熱処理装置5において、ウェハWはハードマスクCが形成された表面を上面とした状態で、熱処理室50内の載置台51上に載置される。これにより、反応生成物に変質させられた犠牲膜Dも、熱処理室50内において上に向いた姿勢とされる。
こうしてウェハWが熱処理装置5に搬入されると、熱処理室50が密閉され、熱処理工程が開始される。即ち、温調手段52により、ウェハWを第1の処理温度よりも高い第2の処理温度にする。この場合、第2の処理温度は、例えば100〜400℃である。
また、熱処理室50内が排気路56を通じて強制排気され、熱処理室50内が所定の減圧状態にされる。この場合、熱処理室50内の圧力は、排気ポンプ66の稼動と圧力コントローラー65の調整によって、例えば2000〜4000mTorrにされる。
そして、供給路55を通じて、窒素ガスが所定の流量で熱処理室50内に供給される。この場合、流量調整弁61の調整により、窒素ガスの供給量が例えば1000〜2500sccmにされる。これにより、載置台51に内蔵された温調手段52の熱がウェハWに効率よく伝導され、ウェハWの温度が正確に制御される。
こうして、上記反応処理によって反応生成物に変質させられた犠牲膜Dが加熱されて気化し、ウェハW表面のハードマスクCから除去される。こうして、図9に示すように、ハードマスクC上には、側壁スペーサF’のみが残ることとなる。この側壁スペーサF’が、下地膜C上に形成されたレジストパターンとなる。
熱処理が終了すると、流量調整弁61が閉じられて窒素ガスの供給が停止される。そして、熱処理装置5の搬入出口が開かれる。その後、ウェハWは熱処理室50から搬出され、ロードロック室3に搬入される。ロードロック室3にウェハWが搬入されると、ロードロック室3が密閉されて大気圧とされた後、ロードロック室3と搬入出部2とが連通させられる。そして、搬送機構10によって、ウェハWがロードロック室3から搬出され、キャリア載置台11上のキャリアCに戻される。以上のようにして、処理システム1における一連の工程が終了する。
次に、図10に示すように、側壁スペーサF’とハードマスク膜Cが同時にエッチバックされる。この場合、側壁スペーサF’がマスクとなることにより、側壁スペーサF’の形状がハードマスク膜Cに転写され、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細なレジストパターンのハードマスク膜C’が、被エッチング膜B上に残ることとなる。なお、側壁スペーサF’とハードマスク膜Cのエッチバックは異方性エッチングによって行われ、例えばRIE法等が用いられる。こうして微細なレジストパターンに形成されたハードマスク膜C’の幅L5は、側壁スペーサF’の厚さL4とほぼ等しく、したがって、微細なレジストパターンのハードマスク膜C’の幅L5も、フォトリソグラフィー工程における解像限度を超えた、より微細な幅(L5<L1、L2)となる。
次に、図11に示すように、微細なレジストパターンのハードマスク膜C’をマスクとして、被エッチング膜Bがエッチングされ、所望の微細なパターンB’が転写される。こうして被エッチング膜Bに転写された微細なパターンB’の幅L6は、微細なレジストパターンのハードマスク膜C’の厚さL5とほぼ等しく、したがって、微細なパターンB’の幅L6も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L6<L1、L2)となる。その後、ハードマスク膜C’が、例えば燐酸等を用いて除去され、図12に示すように、被エッチング膜Bに所望の微細なパターンB’が形成される。
本発明の第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法によれば、いわゆるドライエッチングによって犠牲膜Dを除去することにより、側壁スペーサF’を倒さずに微細なレジストパターンのハードマスク膜C’を形成することができるようになる。このため、被エッチング膜Bに対するエッチング加工精度が向上する。
(第2の実施の形態)
図13〜20は、本発明の第2の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法におけるウェハWの膜構造の変化を示す説明図である。
先ず、例えば図13に示すように、ウェハW上に形成されているSiOなどのゲート酸化膜A上に、下地膜として被エッチング膜Bが形成される。被エッチング膜Bの上層には、酸化シリコンからなる犠牲膜Dが形成される。なお、この第2の実施の形態では、被エッチング膜Bは、酸化シリコン以外の材料からなり、例えば有機系のポリシリコンなどである。犠牲膜Dは、ホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでいる酸化シリコンでも良い。即ち、犠牲膜Dは、例えばBPSG(Boro-Phospho Silicated
Glass)膜、BSG(Boro Silicated Glass)膜、PSG(Phospho Silicated Glass)膜でも良い。
そして、フォトリソグラフィー工程が行われて、図14に示すように、犠牲膜Dの表面にレジストパターンEが形成される。この場合、レジストパターンEの幅L1は、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図15に示すように、レジストパターンEをマスクとして下層の犠牲膜Dがエッチングされ、犠牲膜Dが所定のパターンに加工される。こうして所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2は、レジストパターンEの幅L1とほぼ等しく、したがって、所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図16に示すように、所定のパターンに加工された犠牲膜Dの上に側壁スペーサF’を形成するためのスペーサ膜Fが成膜される。この場合、スペーサ膜Fは、酸化シリコン以外の材料からなり、例えば窒化シリコンからなる。スペーサ膜Fの成膜は、例えばMLD法を用いた堆積によって行うことができる。MLD法を用いた堆積によってスペーサ膜Fを成膜した場合、分子層レベルの極めて薄いスペーサ膜Fを形成することができ、例えばスペーサ膜Fの厚さL3をフォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L3<L1、L2)とすることができる。
次に、図17に示すように、スペーサ膜Fがエッチバックされ、所定のパターンに加工されている犠牲膜Dの側壁に、側壁スペーサF’が形成される。この場合、スペーサ膜Fのエッチバックは異方性エッチングによって行われ、例えばRIE法等が用いられる。こうして形成された側壁スペーサF’の幅L4は、スペーサ膜Fの厚さL3とほぼ等しく、したがって、側壁スペーサF’の幅L4も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L4<L1、L2)となる。
次に、図18に示すように、側壁スペーサF’を残しながら、被エッチング膜B上から犠牲膜Dを除去する。この第2の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法においても、先に説明した第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法と同様に、ハロゲン元素を含むガスと塩基性ガスを用いて犠牲膜Dを反応生成物に変質させた後、熱処理を行って被エッチング膜B上から犠牲膜Dを除去する工程が行われる。なお、第2の実施の形態においては、犠牲膜Dが反応生成物に変質させられるに際し、被エッチング膜Bと側壁スペーサF’は、酸化シリコン以外の材料(例えばSiN、ポリシリコン)からなるため、被エッチング膜Bと側壁スペーサF’は、反応生成物に変質させられることがない。
こうして、犠牲膜Dが除去された後、図19に示すように、側壁スペーサF’をマスクとして、被エッチング膜Bがエッチングされ、所望の微細なパターンB’が転写される。こうして被エッチング膜Bに転写された微細なパターンB’の幅L6は、側壁スペーサF’の幅L4とほぼ等しく、したがって、微細なパターンB’の幅L6も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L6<L1、L2)となる。その後、側壁スペーサF’が、例えば燐酸等を用いて除去され、図20に示すように、被エッチング膜Bに所望の微細なパターンB’が形成される。
本発明の第2の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法によっても、先に説明した第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法と同様に、いわゆるドライエッチングによって犠牲膜Dを除去することにより、側壁スペーサF’を倒さずに犠牲膜Dを除去することができる。
(第3の実施の形態)
図21〜26は、本発明の第3の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法におけるウェハWの膜構造の変化を示す説明図である。
先ず、例えば図21に示すように、ウェハW上に形成されているSiOなどのゲート酸化膜A上に、有機系のポリシリコンなどの被エッチング膜Bが形成され、その上層には、下地膜としてのシリコン酸化膜からなるハードマスク膜Cが形成され、さらにその上層にホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでいる酸化シリコンからなる犠牲膜Dが形成される。なお、被エッチング膜Bは、シリコン酸化膜でも良い。ハードマスク膜Cは、被エッチング膜Bをエッチングするときのエッチングとなる膜である。ハードマスク膜Cは、ホウ素、リンのいずれも含まないシリコン酸化膜からなる。一方、犠牲膜Dは、ホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでおり、犠牲膜Dは、例えばBPSG(Boro-Phospho Silicated
Glass)膜、BSG(Boro Silicated Glass)膜、PSG(Phospho Silicated Glass)膜のいずれかからなる。
そして、フォトリソグラフィー工程が行われて、図22に示すように、犠牲膜Dの表面にレジストパターンEが形成される。この場合、レジストパターンEの幅L1は、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図23に示すように、レジストパターンEをマスクとして下層の犠牲膜Dがエッチングされ、犠牲膜Dが所定のパターンに加工される。こうして所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2は、レジストパターンEの幅L1とほぼ等しく、したがって、所定のパターンに加工された犠牲膜Dの幅L2も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えない大きさを有している。
次に、図24に示すように、所定のパターンに加工された犠牲膜Dおよびハードマスク膜Cの上に側壁スペーサF’を形成するためのスペーサ膜Fが成膜される。この場合、スペーサ膜Fは、ホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでいる酸化シリコン以外の材料からなり、例えば窒化シリコンからなる。また、スペーサ膜Fの材料は、ホウ素、リンのいずれも含まないシリコン酸化膜でも良い。スペーサ膜Fの成膜は、例えばMLD法を用いた堆積によって行うことができる。MLD法を用いた堆積によってスペーサ膜Fを成膜した場合、分子層レベルの極めて薄いスペーサ膜Fを形成することができ、例えばスペーサ膜Fの厚さL3をフォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L3<L1、L2)とすることができる。
次に、図25に示すように、スペーサ膜Fがエッチバックされ、所定のパターンに加工されている犠牲膜Dの側壁に、側壁スペーサF’が形成される。この場合、スペーサ膜Fのエッチバックは異方性エッチングによって行われ、例えばRIE法等が用いられる。こうして形成された側壁スペーサF’の幅L4は、スペーサ膜Fの厚さL3とほぼ等しく、したがって、側壁スペーサF’の幅L4も、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細な幅(L4<L1、L2)となる。
次に、図26に示すように、側壁スペーサF’を残しながら、ハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する。
ここで、側壁スペーサF’を残しながら、ハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する場合、従来は、エッチング液を用いたウェットエッチング処理が行われていた。しかしながら、ウェットエッチング処理によって犠牲マスクDを除去した場合、エッチング液の表面張力により、側壁スペーサF’が倒れてしまう心配がある。特に、側壁スペーサF’は微細であり、ウェットエッチング処理を行うと倒れやすい。
そこで、本発明の第3の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法では、ハロゲン元素を含むガスを用いて犠牲膜Dを反応生成物に変質させた後、熱処理を行ってハードマスク膜C上から犠牲膜Dを除去する工程が行われる。
即ち、先に説明した本発明の第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法と同様の手順により、先ず、ウェハWが、処理システム1の反応処理装置4の反応処理室20内に搬入される。ウェハWは、表面(デバイス形成面)を上面とした状態で、反応処理室20内の載置台21上に載置される。これにより、図25に示したように、ウェハW表面に形成されたハードマスクCが、反応処理室20内において上に向けられ、ハードマスク膜C上に形成された所定のパターンの犠牲膜Dと、犠牲膜Dの側壁に側壁スペーサF’が、反応処理室20内において上方に露出した状態とされる。
こうしてウェハWが反応処理装置4に搬入されると、反応処理室20が密閉され、反応処理工程が開始される。即ち、温調手段22により、ウェハWを第1の処理温度にする。この場合、第1の処理温度は、例えば40℃以下である。
また、反応処理室20内が排気路28を通じて強制排気され、反応処理室20内が所定の減圧状態にされる。この場合、反応処理室20内の圧力は、排気ポンプ41の稼動と圧力コントローラー40の調整によって、例えば10〜100mTorrにされる。
そして、供給路25、27を通じて、フッ化水素ガスおよび窒素ガスがそれぞれ所定の流量で反応処理室20内に供給される。この場合、流量調整弁31の調整により、フッ化水素ガスの供給量が例えば10〜80sccmとされる。また、流量調整弁36の調整により、窒素ガスの供給量を例えば10〜200sccmとされる。なお、反応ガスであるフッ化水素ガスに加えて窒素ガスを反応処理室20内に供給することにより、載置台21に内蔵された温調手段22の熱がウェハWに効率よく伝導され、ウェハWの温度が正確に制御される。
こうしてフッ化水素ガスが減圧下で供給されることにより、ウェハW表面においてハードマスク膜C上に残っていた犠牲膜Dが、フッ化水素ガスと化学反応する。その結果、例えばBPSG膜、BSG膜あるいはPSG膜からなる犠牲膜Dは、主にフルオロケイ酸(H2SiF6)を含む反応生成物に変質させられる。なお、この場合、ハードマスク膜Cと側壁スペーサF’は、ホウ素またはリンの少なくとも一方を含んでいる酸化シリコン以外の材料(例えばSiN、ホウ素、リンのいずれも含まないシリコン酸化膜)からなるため、ハードマスク膜Cと側壁スペーサF’は、反応生成物に変質させられることがない。
こうして、犠牲膜Dを反応生成物に変質させる反応処理を終了すると、流量調整弁31が閉じられ、フッ化水素ガスの供給が停止される。なお、供給路27を通じた窒素ガスの供給は、更に継続して行われ、反応処理室20内が窒素ガスによってパージされる。その後、反応処理装置4の搬入出口が開かれて反応処理装置4の処理室20と熱処理装置5の熱処理室50が連通させられる。そして、ウェハWは反応処理装置4の処理室20から熱処理装置5の熱処理室50へと移される。
次に、熱処理装置5において、ウェハWはハードマスクCが形成された表面を上面とした状態で、熱処理室50内の載置台51上に載置される。これにより、反応生成物に変質させられた犠牲膜Dも、熱処理室50内において上に向いた姿勢とされる。
こうしてウェハWが熱処理装置5に搬入されると、熱処理室50が密閉され、熱処理工程が開始される。即ち、温調手段52により、ウェハWを第1の処理温度よりも高い第2の処理温度にする。この場合、第2の処理温度は、例えば100〜400℃である。
また、熱処理室50内が排気路56を通じて強制排気され、熱処理室50内が所定の減圧状態にされる。この場合、熱処理室50内の圧力は、排気ポンプ66の稼動と圧力コントローラー65の調整によって、例えば2000〜4000mTorrにされる。
そして、供給路55を通じて、窒素ガスが所定の流量で熱処理室50内に供給される。この場合、流量調整弁61の調整により、窒素ガスの供給量が例えば1000〜2500sccmにされる。これにより、載置台51に内蔵された温調手段52の熱がウェハWに効率よく伝導され、ウェハWの温度が正確に制御される。
こうして、上記反応処理によって反応生成物に変質させられた犠牲膜Dが加熱されて気化し、ウェハW表面のハードマスクCから除去される。こうして、図26に示すように、ハードマスクC上には、側壁スペーサF’のみが残ることとなる。
熱処理が終了すると、先に説明した本発明の第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法と同様の手順により、ウェハWは熱処理室50から搬出され、キャリア載置台11上のキャリアCに戻される。以上のようにして、処理システム1における一連の工程が終了する。
次に、図27に示すように、側壁スペーサF’をマスクとしてハードマスク膜Cがエッチングされる。この場合、側壁スペーサF’がマスクとなることにより、側壁スペーサF’の形状がハードマスク膜Cに転写され、フォトリソグラフィー技術による解像限度を超えた、より微細なレジストパターンのハードマスク膜C’が、被エッチング膜B上に残ることとなる。こうして微細なレジストパターンに形成されたハードマスク膜C’の幅L5は、側壁スペーサF’の厚さL4とほぼ等しく、したがって、微細なレジストパターンのハードマスク膜C’の幅L5も、フォトリソグラフィー工程における解像限度を超えた、より微差な幅(L5<L1、L2)となる。なお、ハードマスク膜Cのエッチバックは異方性エッチングによって行われ、例えばRIE法等が用いられる。
次に、側壁スペーサF’が、例えば燐酸等を用いて除去された後、ハードマスク膜C’をマスクとして被エッチング膜Bがエッチングされる。こうして、図28に示すように、被エッチング膜Bに所望の微細なパターンB’が形成される。こうして被エッチング膜Bに転写された微細なパターンB’の幅L6は、微細なレジストパターンのハードマスク膜C’の厚さL5とほぼ等しく、したがって、微細なパターンB’の幅L6も、フォトリソグラフィー工程における解像限度を超えた、より微差な幅(L6<L1、L2)となる。その後、ハードマスク膜C’が、例えば燐酸等を用いて除去され、図29に示すように、被エッチング膜Bに所望の微細なパターンB’が形成される。
本発明の第3の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法によっても、先に説明した第1の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法と同様に、いわゆるドライエッチングによって犠牲膜Dを除去することにより、側壁スペーサF’を倒さずに犠牲膜Dを除去することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば本発明の第3の実施の形態にかかるレジストパターンの形成方法では、熱処理室50内に不活性ガスのみを供給する場合を説明したが、熱処理装置5の熱処理室50内に、不活性ガスに加えて、塩基性ガスとしてのアンモニアガスを供給しても良い。この場合、反応処理装置4の処理室20において先にフルオロケイ酸(H2SiF6)に変質された反応生成物D”は、熱処理装置5の熱処理室50内において、更にアンモニアと反応して、主にフルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6)からなる反応生成物に変質させられる。
こうして生成された反応生成物(フルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6))は、熱処理装置5において温調手段52によって加熱されて、SiF4ガス、NH3ガスおよびフッ化水素ガスとなって気化し、ウェハW表面のハードマスクCから除去される。こうして、図26に示すように、ハードマスクC上には、側壁スペーサF’のみが残ることとなる。
かかる処理方法によれば、先と同様に、側壁スペーサF’を倒さずに犠牲膜Dを除去することができる。加えて、熱処理装置5において、アンモニアと反応の反応で生成されるフルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6)は、フルオロケイ酸(H2SiF6)に比べて気化が容易であり、より除去しやすいと考えられる。
なお、以上の実施の形態では、反応処理装置4の処理室20および熱処理装置5の処理室50に希釈ガスとして供給する不活性ガスは、窒素ガスであるとしたが、その他の不活性ガス、例えば、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、キセノンガス(Xe)のいずれかであっても良く、または、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、キセノンガスのうち2種類以上のガスを混合したものであっても良い。また、不活性ガスの供給を省略することも可能である。
また、処理システム1の構造も、以上の実施形態に示したものには限定されない。例えば、反応処理装置、熱処理装置の他に、エッチング処理装置を備えた処理システムであっても良い。例えば図30に示す処理システム90のように、ウェハ搬送機構91を備えた共通搬送室92を、搬送室12に対してロードロック室93を介して連結させ、この共通搬送室92の周囲に、反応処理装置95、熱処理装置96、エッチング処理装置97を配設した構成にしても良い。この処理システム90においては、ウェハ搬送機構91によって、ロードロック室92、反応処理装置95、熱処理装置96、エッチング処理装置97に対してウェハWをそれぞれ搬入出させるようになっている。共通搬送室92内は真空引き可能になっている。即ち、共通搬送室92内を真空状態にすることで、熱処理装置96から搬出されたウェハWを大気中の酸素に接触させずに、エッチング処理装置97に搬入できる。また例えば、図31に示すように、共通搬送室(トランスファーチャンバ)99の周りに6台の処理装置100〜105を設けた処理システム106について本発明を適用することも可能である。処理システムに設ける処理装置の台数、配置は任意である。
また、以上の実施の形態で記載したウェハWの膜構造は一例であり、他の膜構造の場合に本発明を適用してもよい。また、本発明は、ウェハ以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板に対する処理にも適用できる。