JP5344753B2 - 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents

不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール(以下、TBAという)又はメチル第三級ブチルエーテル(以下、MTBEという)を分子状酸素により気相接触酸化し、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる、少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含有する触媒の製造方法に関する。
従来、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる触媒に関して多数の方法が提案されている。プロピレンを分子状酸素により気相接触酸化して、アクロレイン及びアクリル酸を合成する触媒に関しては、従来から数多くの提案がなされており、その触媒系は一般に同一系として取り扱われることが多い。特許文献1では乾燥粉末状の鉄モリブデートを予め調製し、特定の金属化合物と混合して触媒を調製する方法が開示されている。また、特許文献2では鉄成分とコバルト及び/又はニッケル成分の混合溶液の成分比を規定し、モリブデン溶液に混合する方法が開示されている。
イソブチレン又はTBAを原料とした場合を例にとると、特許文献3ではモリブデン成分と鉄成分をあらかじめ混合した後他の触媒成分を混合する方法が開示されている。
特開平1−168344号公報 特開2003−164763号公報 特開平9−10588号公報
しかしながら、今までに知られていた触媒は、収率の点でまだ十分とは言い難く、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高収率で得ることができる触媒の製造方法の開発が望まれている。本発明は、プロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEを分子状酸素を用いて気相接触酸化することにより、それぞれに対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高収率で製造可能な触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、プロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEを分子状酸素を用いて気相接触酸化し対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するための、少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含む触媒の製造方法において、(1)モリブデン成分の原料、タングステン成分の原料及び水を混合して混合液を調製する工程、(2)(1)工程で得られた混合液に鉄成分の原料を含む溶液を混合して粒子のメディアン径が10〜100μmとなるようにスラリーを調製する工程、(3)(2)工程で得られたスラリーと残りの全ての触媒成分の原料を混合する工程、を含むことを特徴とする触媒の製造方法に関する。
本発明の製造方法により製造される触媒を使用して、プロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEを分子状酸素を用いて気相接触酸化することにより、それぞれに対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高収率で得ることができる。
本発明は、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール又はメチル第三級ブチルエーテルを分子状酸素を用いて気相接触酸化し対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するための、少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含む触媒の製造方法において、(1)モリブデン成分の原料、タングステン成分の原料及び水を混合して混合液を調製する工程、(2)(1)工程で得られた混合液に鉄成分の原料を含む溶液を混合して粒子のメディアン径が10〜100μmとなるようにスラリーを調製する工程、(3)(2)工程で得られたスラリーと残りの触媒成分の原料を混合する工程、を含むことを特徴とする触媒の製造方法である。
本発明の方法で製造される触媒は、プロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEを分子状酸素を用いて気相接触酸化し、それぞれに対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いられるもので、触媒を構成する成分(触媒成分)に少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含むものである。原料としてプロピレンを用いた場合はアクロレイン及びアクリル酸が製造され、それ以外の原料を用いた場合はメタクロレイン及びメタクリル酸が製造される。
本発明の方法で製造される触媒は、成分中に少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含む触媒であり、下記式(1)で表される組成を有することが好ましい。
MoabBicFedefghSiij (1)
(式中、Mo、W、Bi、Fe、Si及びOはそれぞれモリブデン、タングステン、ビスマス、鉄、ケイ素及び酸素を示す。Mはコバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xは鉛、マンガン、カルシウム、バリウム、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Yはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、アンチモン及びチタンから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは各元素の原子比率を表し、a+b=12のときb=0.01〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜5、e=1〜12、f=0〜8、g=0〜5、h=0.001〜2及びi=0〜20であり、jは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比率である。)
本発明の方法で製造される触媒を構成する各触媒成分の原料としては特に制限されるものではないが、例えばモリブデン成分の原料としては三酸化モリブデンのようなモリブデン酸化物、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム、メタモリブデン酸アンモニウムのようなモリブデン酸又はその塩、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸のようなモリブデンを含むヘテロポリ酸又はその塩などを用いることができる。
タングステン成分の原料としては三酸化タングステンのようなタングステン酸化物、タングステン酸、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウムのようなタングステン酸又はその塩、リンタングステン酸、ケイタングステン酸のようなタングステンを含むヘテロポリ酸又はその塩などを用いることができる。
鉄成分の原料としては酸化第一鉄、酸化第二鉄、四三酸化鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、硫酸鉄、塩化鉄、鉄有機酸塩、水酸化鉄等を用いることができるほか、金属鉄を加熱した硝酸に溶解して用いてもよい。
ビスマス成分の原料としては硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマスなどのビスマス塩、三酸化ビスマス、金属ビスマスなどを用いることができる。これらの原料は固体のままあるいは水溶液や硝酸溶液、それらの水溶液から生じるビスマス化合物のスラリーとして用いることができるが、硝酸塩、あるいはその溶液、又はその溶液から生じるスラリーを用いることが好ましい。
その他の触媒成分の原料としては特に限定されるものではないが、通常は酸化物あるいは強熱することにより酸化物になり得る硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、水酸化物等又はそれらの混合物が用いられる。本発明のその他の触媒成分としては、ケイ素、コバルト、ニッケル、鉛、マンガン、カルシウム、バリウム、スズ、亜鉛、リン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、アンチモン、チタン、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウム等が挙げられる。
本発明において、水、モリブデン成分の原料、タングステン成分の原料、鉄成分の原料、残りの触媒成分の原料等を混合する方法としては、回転翼撹拌機で混合する方法が好ましい。
回転翼撹拌機としては、翼の形状が、フラットパドル形、ピッチパドル形、プロペラ形、ラジアルフローファンタービン形、ラジアルフローディスクタービン形、アキシャルフローファンタービン形、アキシャルフローディスクタービン形、エッジタービン形、アンカー形、パドル翼付きアンカー形、ゲート形、シングルリボン形、ダブルリボン形及びトリプルリボン形であるもの等を用いることができる。撹拌翼の回転速度は、生成する沈殿粒子が滞留せず、且つ微粒化が起こらない程度に容器、撹拌翼、邪魔板等の形状、液量等を勘案して適宜調整することができる。
本発明の方法においては、(1)工程でモリブデン成分の原料、タングステン成分の原料及び水を混合して混合液を調製し、その後、(2)(1)工程で得られた混合液と鉄成分の原料を含む溶液を混合してスラリーを調製するが、(2)工程の(1)工程で得られた混合液と鉄成分の原料を含む溶液の混合は撹拌下で行うことが好ましく、例えば(2)工程の(1)工程で得られた原料液と鉄成分の原料を含む溶液を混合する時の撹拌機の回転数等の撹拌条件を調整することで、スラリーに含まれる粒子のメディアン径が10〜100μmとなるように調整することができる。
スラリーに含まれる粒子のメディアン径は10μm以上であり、20μm以上が好ましく、25μm以上が特に好ましい。スラリーに含まれる粒子の粒径を大きくすると高性能な触媒を再現性良く得られる。また、メディアン径は、100μm以下であり、80μm以下が好ましく、60μm以下が特に好ましい。スラリーに含まれる粒子の粒径を小さくすると触媒成分が均質化し、安定した触媒活性が得られる。
また(2)工程で調製したスラリーについて、さらに、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、モリブデン成分の原料及びタングステン成分の原料と鉄成分の原料とを混合し、次に残りの触媒成分の原料を混合した後で行ってもよい。モリブデン成分の原料及びタングステン成分の原料と鉄成分の原料とを混合した後熱処理を行い、次いで他の触媒成分を混合し再び熱処理してもよい。熱処理の条件としては、50〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度範囲で、熱処理時間は少なくとも10分間である。なお、熱処理時間についての上限は特にないが、5時間以上は実用的でない。熱処理を行うことにより、高性能な触媒を再現性良く調製することができる。
(2)工程で調製したスラリーは、熱処理の有無に関わらず(3)工程として残りの触媒成分の原料と混合する。
なお、本発明において、「残りの触媒成分の原料」とは、鉄成分の全量を最初に混合する場合にはその他の触媒成分の原料を意味し、鉄成分の原料の一部を最初に混合する場合は、残りの鉄成分の原料とその他の触媒成分の原料を意味する。
上記のようにして残りの触媒成分の原料を混合した後のスラリーは乾燥するが、その方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥器、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。乾燥温度としては80〜350℃の範囲が好ましい。
乾燥物を焼成する際の焼成炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型焼成炉、トンネル型焼成炉等を用いて乾燥物を固定した状態で焼成してもよいし、また、ロータリーキルン焼成炉等を用いて乾燥物を流動させながら焼成してもよい。
焼成温度は400〜700℃、好ましくは450〜650℃である。この範囲外の温度で焼成を行うと高性能な触媒が得られないことがある。また、所定の温度に到達してから熱処理を持続する時間については特に限定はないが、熱処理時間が短すぎると高性能な触媒が得られないことがあるため、0.5〜15時間の範囲で行うのが好ましい。
本発明の方法により製造された触媒は固定床でも流動床でも共に用いることができ、触媒粒子の形状及び大きさについては特に制限されることはなく、使用状況に応じてペレット状、タブレット状、球状、粒状、粉状などの任意の形状及び大きさに成型して用いることができる。
本発明の方法により製造された触媒を使用して、プロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEを分子状酸素を用いて気相接触酸化して対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するに際しては、原料のプロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBE対分子状酸素のモル比は1:0.5〜3の範囲が好ましい。原料ガスは不活性ガスで希釈して用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気も用いうる。反応圧力は常圧から数気圧までが良い。反応温度は200〜450℃の範囲で選ぶことができるが、特に250〜400℃の範囲が好ましい。反応器中の触媒をシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリコンカーバイト、セラミックボールやステンレス鋼等の不活性物質で希釈しても良い。
本発明の方法により製造された触媒において、高収率を発現する機構については明らかではないが、モリブデン成分の原料及びタングステン成分の原料と水を混合して調製した混合液に対し、鉄成分の原料を含む溶液を混合し、メディアン径が10〜100μmとなる粒子を含むスラリーを調製することにより、モリブデン成分、タングステン成分及び鉄成分からなる化合物を優先的に生成させ、そのメディアン径を制御し他の触媒成分を混合することで好ましい触媒構造が形成されるためと考えられる。
モリブデン成分の原料及びタングステン成分の原料と水を混合して調製した混合液に対し、鉄成分の原料を含む溶液を混合し、メディアン径が10〜100μmとなる粒子を含むスラリーを、温度50〜120℃の範囲で少なくとも10分以上加熱処理した後、他の触媒成分を混合することにより、さらに収率が向上するのはこうした好ましい触媒構造の形成がより促進されるためだと考えられる。
以下、本発明の方法による触媒の製造例及びその触媒を用いた反応例を具体的に説明する。説明中「部」は質量部を意味する。原料ガス及び生成物の分析はガスクロマトグラフィーによる。混合撹拌は東京理化器械社製撹拌機NZ−1300(商品名)羽根形状はフラットパドル形を用いて行った。スラリーに含まれる粒子の平均メディアン径は、島津製作所製流動分布測定装置SALD−7000(商品名)を用いて測定した。
また、実施例及び比較例中の原料オレフィンの反応率、生成する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の選択率、生成する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の合計収率(以下、合計収率と約す。)は次式により算出した。
反応率(%)=A/B×100、
不飽和アルデヒドの選択率(%)=C/A×100、
不飽和カルボン酸の選択率(%)=D/A×100、
合計収率(%)=(C+D)/B×100。
ここで、Aは反応した反応原料のモル数、Bは供給した反応原料のモル数、Cは生成した不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成した不飽和カルボン酸のモル数である。
(実施例1)
(1)60℃の純水1000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部とパラタングステン酸アンモニウム25.5部を加えて溶液を調製した。(2)この溶液に前記攪拌機で回転数60rpm、20分撹拌しながら、硝酸第二鉄207.1部を純水200部に溶解した溶液を加えてスラリーを調製した。このときスラリーに含まれる粒子のメディアン径は32.8μmであった。その後、このスラリーを80℃に加熱、撹拌しながら20分熱処理した。(3)このスラリーに、硝酸セシウム19部、三酸化アンチモン28.5部及び三酸化ビスマス39.8部を加え撹拌した(A液)。別に純水800部に、硝酸ニッケル120.7部、硝酸コバルト426.3部、硝酸鉛32.3部及び85質量%リン酸水溶液5.6部を順次加え、溶解した(B液)。A液にB液を加えた。
その後、スラリーを95℃に加熱、撹拌しながら1.5時間熱処理熟成し、ドラムドライヤーを用いて粉体状の乾燥物を得た。箱型焼成炉を用いて空気雰囲気下300℃で1時間焼成を行い触媒焼成粉とし、その触媒焼成粉を加圧成型した。その後再び空気雰囲気下500℃で6時間焼成して触媒を得た。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
この触媒10gを内径15mmのステンレス製反応管に充填し、イソブチレン(原料)5%、分子状酸素12%、水蒸気10%及び窒素73%(容量%)の原料ガスを供給し、常圧下、接触時間3.6秒、反応温度340℃の条件で反応させ、イソブチレンを分子状酸素により気相接触酸化した。結果を表1に示す。
(実施例2)
(1)60℃の純水1000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部とパラタングステン酸アンモニウム25.5部を加えて溶液を調製した。(2)この溶液に前記攪拌機で回転数60rpm、20分撹拌しながら、硝酸第二鉄138.1部を純水200部に溶解した溶液を加えてスラリーを調製した。このときスラリーに含まれる粒子のメディアン径は28.5μmであった。その後、このスラリーを80℃に加熱、撹拌しながら20分熱処理した。(3)このスラリーに、硝酸セシウム19部、三酸化アンチモン28.5部及び三酸化ビスマス39.8部を加え撹拌した(A液)。別に純水800部に、硝酸第二鉄69部、硝酸ニッケル120.7部、硝酸コバルト426.3部、硝酸鉛32.3部及び85質量%リン酸水溶液5.6部を順次加え、溶解した(B液)。A液にB液を加えた。
その後、スラリーを95℃に加熱、撹拌しながら1.5時間熱処理熟成し、ドラムドライヤーを用いて粉体状の乾燥物を得た以外は、実施例1と同様にして触媒を調製した。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
実施例1と同様にして気相接触酸化を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
(1)工程でパラタングステン酸アンモニウムを加えず、(2)工程の後に生成したスラリーにパラタングステン酸アンモニウム25.5部を加え回転数60rpmで20分混合撹拌し、(3)工程を実施した以外は、実施例1と同様にして触媒を調製した。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
実施例1と同様にして気相接触酸化を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
60℃の純水1000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部とパラタングステン酸アンモニウム25.5部を加え、前記攪拌機で回転数60rpm、20分混合撹拌し、溶解した。その後、この混合溶液を80℃に加熱、撹拌しながら20分熱処理し、硝酸セシウム19部、三酸化アンチモン28.5部及び三酸化ビスマス39.8部を加え撹拌した(A液)。別に純水1000部に、硝酸第二鉄207.1部、硝酸ニッケル120.7部、硝酸コバルト426.3部、硝酸鉛32.3部及び85質量%リン酸水溶液5.6部を順次加え、溶解した(B液)。A液にB液を加えた後、実施例1と同様にして触媒を調製した。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
実施例1と同様にして気相接触酸化を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
(2)の工程における前記攪拌機の回転数を140rpmにした以外は、実施例1と同様にして触媒を調製した。(2)工程のスラリーに含まれる粒子のメディアン径は9.6μmであった。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
実施例1と同様にして気相接触酸化を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
(2)の工程における前記攪拌機の回転数を10rpmにした以外は、実施例1と同様にして触媒を調製した。(2)工程のスラリーに含まれる粒子のメディアン径は134.4μmであった。得られた触媒の酸素以外の元素の組成は、Mo11.60.4Bi0.7Fe2.1Sb0.8Ni1.7CoPb0.40.2Cs0.4であった。
実施例1と同様にして気相接触酸化を行った。結果を表1に示す。

Claims (3)

  1. プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール又はメチル第三級ブチルエーテルを分子状酸素を用いて気相接触酸化し対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造するための、少なくともモリブデン、タングステン、鉄及びビスマスを含む触媒の製造方法において、(1)モリブデン成分の原料、タングステン成分の原料及び水を混合して混合液を調製する工程、(2)(1)工程で得られた混合液に鉄成分の原料を含む溶液を混合して粒子のメディアン径が10〜100μmとなるようにスラリーを調製する工程、(3)(2)工程で得られたスラリーと残りの触媒成分の原料を混合する工程、を含むことを特徴とする触媒の製造方法。
  2. 前記(2)工程が、メディアン径が10〜100μmとなる粒子を含むスラリーを調製した後、さらに50〜120℃の温度範囲で少なくとも10分熱処理する工程であることを特徴とする請求項1記載の触媒の製造方法。
  3. 触媒が下記式(1)で示される組成を有する請求項1又は2に記載の触媒の製造方法。
    MoabBicFedefghSiij (1)
    (式中、Mo、W、Bi、Fe、Si及びOはそれぞれモリブデン、タングステン、ビスマス、鉄、ケイ素及び酸素を示す。Mはコバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xは鉛、マンガン、カルシウム、バリウム、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Yはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、アンチモン及びチタンから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは各元素の原子比率を表し、a+b=12のときb=0.01〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜5、e=1〜12、f=0〜8、g=0〜5、h=0.001〜2及びi=0〜20であり、jは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比率である。)
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