JP5344471B2 - ロックアップダンパ装置 - Google Patents

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Description

本発明はトルクコンバータにおいて、衝撃トルク及びトルク変動を緩和することが出来るロックアップダンパ装置に関するものである。
トルクコンバータとは周知の通りエンジンの動力を、作動流体を媒体としてトランスミッションへ伝えることが出来る一種の継手であり、エンジンによって回されるポンプインペラ、そして該ポンプインペラの回転により送り出される作動流体の動きを受けて回るタービンランナ、さらにタービンランナから出た作動流体の向きを変えてポンプインペラへ導くステータから構成されている。
図12は従来のトルクコンバータの断面を示している。同図の(イ)はポンプインペラ、(ロ)はタービンランナ、(ハ)はステータ、そして(ニ)はロックアップダンパ装置をそれぞれ示し、これらは外殻(ホ)内に収容されている。そこでエンジンからの動力を得てフロントカバー(ヘ)が回転し、該フロントカバー(ヘ)と一体となっているポンプインペラ(イ)が回転し、その結果、作動流体を媒介としてタービンランナ(ロ)が回る。
そしてタービンランナ(ロ)のタービンハブ(ト)には軸(図示なし)が嵌って、タービンランナ(ロ)の回転をトランスミッション(図示なし)へ伝達することが出来る。トルクコンバータは一種の流体継手である為、ポンプインペラ(イ)の回転速度が高くなるにしたがってタービンランナ(ロ)は回り始め、さらに高速になるにしたがってタービンランナ(ロ)の速度はポンプインペラ(イ)の回転速度に近づく。しかし作動流体を媒介としているトルクコンバータでは、タービンランナ(ロ)の回転速度はポンプインペラ(イ)と同一速度にはなり得ない。
そこで、同図にも示しているようにロックアップダンパ装置(ニ)が設けられていて、タービンランナ(ロ)の回転速度が所定の領域を越えた場合には、ロックアップダンパ装置(ニ)のピストン(チ)が軸方向に移動してフロントカバー(ヘ)に係合するように作動する。ピストン外周には摩擦材(リ)が取り付けられている為に、該ピストン(チ)は滑ることなくフロントカバー(ヘ)と同一速度で回転することが出来る。そしてロックアップダンパ装置(ニ)はタービンランナ(ロ)と連結しているために、タービンランナ(ロ)はフロントカバー(ヘ)によって直接回されることになり、エンジンからの動力をトランスミッションへ、流体を介することによるロスを伴うことなくほぼ100%の高効率で伝達することが出来る。
このように、タービンランナ(ロ)の回転速度が高くなって、ある条件になった時に、ピストン(チ)はフロントカバー(ヘ)に係合するが、しかし係合前は、タービンランナ(ロ)とフロントカバー(ヘ)の回転速度は完全に同一ではない為に、ピストン(チ)がフロントカバー(ヘ)に係合することで、速度差に基づく衝撃トルクが発生する。この係合時の衝撃トルクを緩和し、一方では係合後にエンジンのトルク変動を伝えない為にフロントカバー(ヘ)とタービンランナ(ロ)との間にはダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・を備えたロックアップダンパ装置(ニ)が取り付けられている。
そこで、タービンランナ(ロ)と共に同一速度で回転しているピストン(チ)が僅かに速いフロントカバー(ヘ)に係合する際、ピストン(チ)の速度は瞬間的に高くなってタービンランナ(ロ)をより速く回そうとするトルクが作用する。この衝撃的トルクをダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・が圧縮変形して吸収するように構成されている。
従来において、ロックアップダンパ装置の構造は色々知られているが、例えば特開平10−169714号に係る「ダンパー機構」は、広い捩れ角特性確保の為に中間部材を介して直列に連結された複数の弾性部材(ダンパスプリング)を外周部に配置したダンパー機構で、中間部材を含む弾性部材の連結部分の移動を規制し、ダンパー特性を安定させることを目的としている。
そこで、該ロックアップダンパ機構は、リティニングプレートと、ドリブン部材と、外周部において直列に配置されるコイルスプリングと、中間部材と、中間部材の軸方向の移動を規制する押さえプレートとを備えている。コイルスプリングは、リティニングプレートとドリブン部材とを弾性的に連結する。この場合、中間部材は、リティニングプレート及びドリブン部材に対して相対回転可能で、コイルスプリング間に配置される中間支持部と、中間支持部の径方向外側への移動を規制する環状の連結部とを有している。
図13は従来のロックアップダンパ装置(ニ)を示す1具体例であり、該ロックアップダンパ装置(ニ)は入力側中央ディスク(ワ)と出力側プレート(レ)、(ル)、複数本のダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・、及び中間部材(ラ)で構成している。上記中央ディスク(ワ)は両プレート(レ)、(ル)にて挟まれ、各プレート(レ)、(ル)に形成しているバネ収容空間(タ)、(タ)・・に上記ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・が収容されている。
そして、円弧状に湾曲した1つのバネ収容空間(タ)には2本のダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)が収容され、両ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)の間には上記中間部材(ラ)の外周から突出しているセパレータ(ナ)が介在して、2本のダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)を直列状態で連結している。ここで、両プレート(レ)、(ル)に挟まれている中央ディスク(ワ)及び中間部材(ラ)は相対回転可能と成っている。
中央ディスク(ワ)は概略リング状を成し、そして3箇所にバネ押え(ヨ)、(ヨ)・・を設け、内側へ突出している。2本のダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)はバネ収容空間(タ)に収容され、その両端は上記バネ押え(ヨ)、(ヨ)に挟まれた状態と成っている。又、中央ディスク(ワ)の外周部にはバネ定数の高い補助ダンパスプリング(ネ)、(ネ)・・を取付けている。
ところで、上記プレート(ル)の内周側はタービンランナ(ロ)と共にタービンハブ(ト)に固定され、中央ディスク(ワ)の外周に形成している凹溝(ツ)、(ツ)・・にはピストン外周が係合している。そこで、タービンランナ(ロ)と共に回転しているロックアップダンパ装置(ニ)は、所定の回転速度に達したところでピストン(チ)が作動してより高速で回転しているフロントカバー(ヘ)に係合するならば、両者の速度差に基づく衝撃トルクによってダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・は圧縮変形する。この際に、ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・の圧縮変形に伴って中間部材(ラ)が回転することで、直列しているダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)は均等に圧縮変形される。
このように、ロックアップダンパ装置(ニ)を組み込んだトルクコンバータはピストン(チ)がフロントカバー(ヘ)に係合する際の衝撃トルクを緩和し、係合状態でのエンジントルク変動を吸収することが出来る。しかし、ピストン係合時の衝撃トルクは非常に大きい場合には、上記ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・だけでは衝撃トルクに伴うエネルギーを吸収することが出来ない。その為に、ロックアップダンパ装置(ニ)には補助ダンパスプリング(ネ)、(ネ)・・を取付けている。
上記バネ定数の高い補助ダンパスプリング(ネ)、(ネ)・・は出力側中央ディスク(ワ)の外周部に形成した溝穴に嵌り、ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・が大きく圧縮して入力側中央ディスク(ワ)と出力側プレート(レ)、(ル)との捩れ回転が所定の角度を超えたところで、圧縮変形して衝撃トルクを受けることが出来る。
ところで、前記図12に示すトルクコンバータから明らかなように、出力側となるプレート(ル)の内周部はタービンランナ(ロ)と共にタービンハブ(ト)にリベットにて連結固定されている。従って、上記ダンパスプリング(ヌ)、(ヌ)・・の圧縮変形に伴うバネ力、及び補助ダンパスプリング(ネ)、(ネ)・・の圧縮変形に伴うバネ力は全て片方のプレート(ル)内周部に集中する。
特開2004−270808号に係る「ダンパ装置および流体伝動装置」は、
耐久性の向上を目的としている。
すなわち、このダンパ装置では、入力部材からの動力(トルク)が、第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とに分散された状態で出力部材に伝達されるように構成している。従って、各部材に加わる応力を小さくすると共に、伝達部材の出力部材との固定部周辺といった特定の部位に応力が集中してしまうことを確実に防止することができるので、その耐久性を向上させることが可能となる。
第2の動力伝達経路を構成する補助ダンパスプリングをロックアップダンパ装置の外周に取付けているが、その取付け構造は複雑である。すなわち、ロックアップダンパ装置の外周に大きな円盤状のダンパハブを取付け、しかもタービンランナにはタービンプレートを取着した構造であり、その重量も大きくなる。しかも、外周にダンパハブを取着することで、外周部にはある程度の空間がひつようとなり、その為にダンパスプリングの位置は内周側に設けられている。
特開平10−169714号に係る「ダンパー機構」 特開2004−270808号に係る「ダンパ装置および流体伝動装置」
このように従来のトルクコンバータに組み込まれているロックアップダンパ装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、出力部位を2ヶ所に分けることで一箇所に負荷を集中することなく均等に分散し、そして補助ダンパスプリングの取付け構造を簡素化したロックアップダンパ装置を提供する。
本発明が対象とするトルクコンバータのロックアップダンパ装置は、2つの動力伝達経路を設けていて、メインのダンパスプリングを介して伝達されるトルクはタービンハブへ、そして、補助ダンパスプリングを介して伝達されるトルクはタービンランナの外周部へ伝達する構造と成っている。ここで、入力側部材と出力側部材との間には上記ダンパスプリングを介在し、入力側部材の外周はピストンと連結し、出力側部材の内周はタービンランナと共にタービンハブに固定されている。
そして、補助ダンパスプリングは入力側部材の外周部に取付けられ、入力側部材と出力側部材との捩れ角度が所定の領域を超えたならば圧縮変形するように、タービンランナの外周にバネ押えを外周に形成したディスクを固定している。入力側部材外周部には補助ダンパスプリングを取付ける保持金具を設けている。逆に、該補助ダンパスプリングをタービンランナの外周部に取付けることも可能であり、この場合にはタービンランナの外周部に保持金具を取着して補助ダンパスプリングを取付け、入力側部材にはバネ押えを形成したディスクが固定される。ところで、本発明では、ロックアップダンパ装置の具体的な構造は限定するものではない。
本発明のロックアップダンパ装置は、2つの動力伝達径路を有し、ダンパスプリングを介して伝わるトルクは出力側部材からタービンハブへ伝達される。一方、ピストンがフロントカバーに係合する際の大きな衝撃トルクによってダンパスプリングの圧縮変形量が所定の領域を超え、補助ダンパスプリングが圧縮変形する場合、この補助ダンパスプリングのバネ力に伴うトルクはタービンランナの外周へ伝達される。
すなわち、上記ダンパスプリングの圧縮に伴うトルクと伝達径路が分離されている為に、ロックアップダンパ装置の出力側部材に負荷が集中して破損することがないように成っている。さらに、ダンパスプリングを内径側と外径側に夫々並列して配置した構造とする場合であっても、入力側部材の外周に保持金具を固定することが出来、この保持金具に補助ダンパスプリングを嵌めて取付けることが出来る。そして、該保持金具はロックアップダンパ装置とは独立した部品であり、必要に応じて自由に取付け出来、しかも補助ダンパスプリングの交換も可能であり、さらには補助ダンパスプリングの本数を変えることも出来る。
一方、ダンパスプリングを異なる半径上に配列することで、ダンパスプリングの圧縮変形に基づく負荷を均等に分散できる為に、ダンパスプリングを収容するバネ収容空間及びバネ押えにも無理な応力を発生させない。そして、ダンパスプリングが大きく圧縮して入力側と出力側の捩れ角度が所定の領域を越えたならば、補助ダンパスプリングが働くが、入力側部材の外周に保持金具を介して取付け出来る為に、並列して配置される内周側と外周側のダンパスプリングの邪魔にならない。
本発明に係るロックアップダンパ装置を備えたトルクコンバータを示す実施例。 本発明のロックアップダンパ装置の原理を示す構造図。 ダンパスプリングの圧縮変形に伴う捩れ角とトルクの関係。 ロックアップダンパ装置の実施例。 入力側部材である外プレートの具体例。 中間部材の具体例。 中央ディスクを構成するプレートの具体例。 中央ディスクに中間部材を組み込んだ状態。 補助ダンパスプリングを外プレート外周に取付ける保持金具。 タービンランナに取着されるディスク。 ロックアップダンパ装置の正面図とタービンランナと連結した縦断面図。 従来のトルクコンバータ。 従来のロックアップダンパ。
図1は本発明に係るロックアップダンパ装置を備えたトルクコンバータを示す実施例である。同図の1はポンプインペラ、2はタービンランナ、3はステータ、4はロックアップダンパ装置、5は外殻、6はピストン、7はフロントカバーを夫々表している。トルクコンバータとしての基本構造及び基本動作は従来のトルクコンバータと共通し、本発明では上記ロックアップダンパ装置の構造に特徴がある。
図2は前記図1に示したトルクコンバータのロックアップダンパ装置の構想図である。同図に示すように、ピストン6と連結する入力側とタービンランナ2と連結する出力側の間には、複数本のダンパスプリング8a,8a、8b,8b・・が設けられ、ピストン6がフロントカバー7に係合することで大きな衝撃トルクが発生し、この衝撃トルクを緩和する為にダンパスプリング8a,8a、8b,8b・・は圧縮変形することが出来る。
同図では、並列状態にある2本のダンパスプリング8a,8aが1組となり、セパレータ9を介して接続し、合計4本のダンパスプリング8a,8a・・が配列している。そして、該セパレータ9を介して接続した2本1組のダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・は内周側と外周側に設けられている。従って、同図のロックアップダンパ装置4には合計8本のダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・が取付けられている。
セパレータ9を介して直列状態に配列されるダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・は、入力側と出力側とで捩れが生じるならば、(同図の場合、入力側と出力側間の距離が縮小するならば)各ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・は均等に圧縮変形する。本発明のロックアップダンパ装置は、これら8本のダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形によって、ピストン6がフロントカバー7に係合する際に発生する衝撃トルクが緩和される。同時に、係合したロックアップ状態では、エンジンのトルク変動がダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形にて吸収される。
そして、入力側には上記ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の他に、バネ定数の高い補助ダンパスプリング10が取付けられ、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・が大きく圧縮変形して入力側と出力側との捩れ角が大きくなれば、該補助ダンパスプリング10は出力側に設けた当り部材11に当接して圧縮される。さらに、入力側と出力側にはストッパー12,13が設けられ、上記補助ダンパスプリング10が限界まで圧縮するならば、両ストッパー12,13は互いに当接する。従って、これ以上の捩れは生じることはない。上記補助ダンパスプリング10を設けること、又ストッパー12,13を設けることは、従来のロックアップダンパ装置にも共通することであるが、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・を外周側と内周側に取付けて配列することは本発明の1つの特徴としている。
図3は上記ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・、及び補助ダンパスプリング10の圧縮変形に伴う捩れ角とトルクの関係を示している。ピストン6がフロントカバー7に係合することで衝撃トルクが発生し、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・は圧縮変形して入力側と出力側とは互いに捩れる。この捩れ角度がθの範囲内では、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・だけが圧縮変形する。
勿論、この場合に内周側に設けたダンパスプリング8b,8b・・と外周側に設けたダンパスプリング8a,8a・・は共に圧縮変形するが、負担するトルクの大きさは互いに異なることもある。すなわち、寸法が異なるダンパスプリングを使用することもあり、又、内周側と外周側とでは同じ捩れ角度に対する圧縮変形量は違ってくる。例えば、外周側と内周側の荷重配分を約3:7とすることで、入力側と出力側の捩れに対して発生する伝達トルクの負荷を均等化出来る。しかし、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形に伴う荷重を外周側と内周側とで均等にすることが理想ではあるが、この場合には外周側と内周側での発生トルクは違ってくる。
図4は本発明に係るロックアップダンパ装置を示す具体例である。同図の14は外プレート、15は中央ディスク、16は中間部材を夫々表し、上記外プレート14,14は中央ディスク15を挟み込み、中央ディスク15は2枚のプレート17,17を重ね合わせて構成している。そして、この2枚のプレート17,17で構成した中央ディスク15は、その間に上記中間部材16を挟んでいる。
上記外プレート14,14は外側に膨らんだ外周バネ収容部18,18・・と内周バネ収容部19,19・・を設け、2枚の外プレート14,14を重ね合わせて構成される上記外周バネ収容部18,18・・にて形成される外周バネ収容空間20にはダンパスプリング8a,8a・・が収容される。一方、内周バネ収容部19,19・・にて形成される内周バネ収容空間21にはダンパスプリング8b,8b・・が収容される。ところで、このように外周側と内周側にダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・をセパレータ9,9・・を介して配列することで、大きな衝撃トルクを緩和することが出来ると共に、入力側と出力側間の捩れ角を十分に確保することが可能と成る。
ここで、円弧状に湾曲した1つの外周バネ収容空間20には2本のダンパスプリング8a,8aが直列状態で配列され、両ダンパスプリング8a,8aの間には中間部材16のセパレータ9aが介在している。上記ダンパスプリング8a,8aは大径スプリングの穴に別の小径スプリングが嵌った2重構造としているが、必ずしも2重構造に限定するものではない。同じく、ダンパスプリング8bも大径スプリングの穴に別の小径スプリングが嵌った2重構造と成っている。
図5には上記外プレート14を示しているように、外周バネ収容空間20,20・・を3ヶ所に形成し、内周バネ収容空間21,21・・も3ヶ所に設けている。そして、これら外周バネ収容空間20,20・・及び内周バネ収容空間21,21・・は中心から所定の半径上に設けられている。外周にはピストン6が係合する為の係合溝22,22・・を設け、又、両外プレート14,14を組合せる為にリベットが嵌るリベット穴23,23・・を複数個設けている。そして、内周にはストッパー12,12・・を突出している。
図6は中間部材16を示している具体例である。該中間部材16はリング24の外周側に外周セパレータ9a,9a・・を3ヶ所に突出し、又、内周側には内周セパレータ9b,9b・・を3ヶ所に延ばしている。そして、外周セパレータ9a,9a・・と内周セパレータ9b.9b・・とはリング24の同一位置に設けられている。
図7は中央ディスク15を構成するプレート17を示す具体例である。該プレート17は概略円板状を成し、中央円板27と同心を成すリング28を有し、その外周の3ヶ所に外周バネ押え29,29・・を突出している。そして、リング28と中央円板27とは内周バネ押え30,30・・にて繋がれ、外周バネ押え29,29・・の間には外周バネ空間31,31・・が形成され、又内周バネ押え30,30・・の間には内周バネ空間32,32・・が形成されている。又、中央円板27にはタービンハブ33に固定する為のリベット穴34,34・・が設けられ、そして、ストッパー13,13・・を設けている。
図8は中央ディスク15に中間部材16を組み込んだ状態であり、該中間部材16はプレート17,17にて挟み込まれている。プレート17は前記図7にその断面を示しているように、リング28は外周バネ押え29、内周バネ押え30、及び中央円板27と同一面でなく、外側に膨らんでいる。従って、内側には溝35が形成され、その為に2枚を重ね合わせて成る中央ディスク15には両溝35,35にて形成される空間36に中間部材16のリング24が嵌っている。しかし、リング24は空間36内で回転することが出来るように嵌っている。
ところで、ポンプインペラ1が回転し、同時にタービンランナ2もポンプインペラ1に追従して回転し、タービンランナ2と共にタービンハブ33に取着されているロックアップダンパ装置4も同速で回転する。そして、該タービンランナ2の回転速度が所定の領域を越えたところでピストン6が作動してフロントカバー7に係合し、タービンハブ33の軸穴に嵌っている出力軸はピストン6にて直接回転駆動される。
ピストン6がフロントカバー7に係合する際に発生する衝撃トルクは、ロックアップダンパ装置4のダンパスプリング8a,8a・・及びダンパスプリング8b,8b・・が圧縮変形することで緩和され、係合後のロックアップ状態ではエンジントルク変動を上記ダンパスプリング8a,8a・・及びダンパスプリング8b,8b・・にて吸収される。
ピストン係合時の衝撃トルクを緩和し、ロックアップ状態でのエンジントルク変動を吸収することは従来のロックアップダンパ装置4の場合と同じであるが、この実施例で示すロックアップダンパ装置は外周側と内周側に夫々ダンパスプリング8a,8a・・及びダンパスプリング8b,8b・・を取付けた構造としている。そして、外周側には中間部材16の外周セパレータ9aを介して直列した2本のダンパスプリング8a,8aが1組と成って3箇所に取付けられ、同じく内周側には中間部材16の内周セパレータ9bを介して直列した2本のダンパスプリング8b,8bが1組と成って3箇所に取付けられている。
この実施例に示しているロックアップダンパ装置4は、外周側と内周側にダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・を取付けることで、バネ定数を大きくすることなく大きな衝撃トルクを緩和することが出来る。しかも、バネ定数が大きくない為に比較的小さなトルク変動も吸収することが出来る。そして、ロックアップダンパ装置全体が、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・がほぼ全域にわたって配置されることで、これらダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形に基づくバネ力にて局部的な応力が働くことはない。
一方、これら各ダンパスプリング8a,8a、8b,8b・・が大きく圧縮変形して所定の領域を越えるならば、補助ダンパスプリング10が働くようになる。補助ダンパスプリング10は入力側部材である外プレート14と出力側部材である中央ディスク15の相対捩れ角度が一定領域を越えた時に働くことが出来、図1、図4に示すごとく外プレート14の外周に取着している。
本発明のロックアップダンパ装置4は、動力伝達径路を2つに分離した構造とし、補助ダンパスプリング10,10・・の圧縮変形に伴うバネ力は入力側部材である外プレート14の外周部からタービンランナ2へ伝達される構造と成っている。
図9は補助ダンパスプリング10を取付ける為の保持金具37を示し、図4は該保持金具37を介して補助ダンパスプリング10が外プレート14の外周に取付けられている場合を表している。そして、図10はタービンランナ2に固定されるディスク38を示している。該ディスク38は出力側部材であって、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・が大きく圧縮変形して外プレート14との間に発生する相対捩れ角が所定の領域を越えるならば、該補助ダンパスプリング10が働いて衝撃トルクの一部を吸収することが出来る。すなわち、ディスク外周に突出して設けているバネ押え39が補助ダンパスプリング10に当接して圧縮変形する。
さらに、補助ダンパスプリング10が働いても吸収出来ない大きな衝撃トルクの場合には、最終的にはストッパー12,13が働いて入力側部材と出力側部材のそれ以上の捩れ回転が阻止される。本実施例の場合、一方のストッパー12は外プレート14の内周側に設けられ、他方のストッパー13は中央ディスク15を構成するプレート17の内周側に設けている。
図11はピストン6を外したロックアップダンパ装置4の正面図(一部断面を含む)とタービンランナ2とロックアップダンパ装置4の縦断面図を夫々表している。正面図の一部断面にはディスク外周に設けているバネ押え39を示しているが、このバネ押え39と中央ディスク15を構成するプレート17に形成するストッパー13とは位置合わせされて組み付けられる。すなわち、バネ押え39が補助ダンパスプリング10を圧縮して限度を越えたところで、ストッパー12,13が互いに当接して捩れ回転を阻止することが出来る。
本発明のロックアップダンパ装置は動力伝達径路を2分した構造とし、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・を介して伝達されるトルクは中央ディスク15の内周側からタービンハブ33へ伝わる。そして、ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形量が大きくなるにしたがって、その伝達トルクも大きくなり、中央ディスク15の内周側の負荷は増大する。
しかし、該ダンパスプリング8a,8a・・、8b,8b・・の圧縮変形量が限度を超えて補助ダンパスプリング10,10・・が圧縮されるが、該補助ダンパスプリング10,10・・の圧縮変形に伴うバネ力は中央ディスク15に伝達されることはない。このバネ力に伴うトルクはタービンランナ2の外周に固定されるディスク38に伝達され、該ディスク38からタービンランナ2へ伝わり、タービンハブ33へ入るが、夫々のバネ力に基づく動力伝達径路は違っている。従って、出力側部材である中央ディスク15への負担は軽減され、ロックアップダンパ装置4の耐久性が向上する。
そして、補助ダンパスプリング10,10・・は、図9に示す保持金具37,37・・を介して入力側部材である外プレート14の外周部に固定される。ここで、該保持金具37はロックアップダンパ装置4とは独立した部品であり、補助ダンパスプリング10の長さ及び外径に合ったバネ収容空間を備えた保持金具が使用できる。その為に、ロックアップダンパ装置本体に収容されるダンパスプリング8とのバランスを考慮して、異なるバネ特性の補助ダンパスプリング10に後で変更することも可能と成る。
ところで、実施例のロックアップダンパ装置では、外周側にダンパスプリング8a,8a・・、内周側にダンパスプリング8b,8b・・を並行して配列した構造としているが、同一半径上にのみダンパスプリング8,8・・を配列する場合もある。又、外周側のダンパスプリング8a,8a・・と内周側のダンパスプリング8b,8b・・を直列状態で配列することも可能であり、本発明ではロックアップダンパ装置本体の構造は限定しない。
1 ポンプインペラ
2 タービンランナ
3 ステータ
4 ロックアップダンパ装置
5 外殻
6 ピストン
7 フロントカバー
8 ダンパスプリング
9 セパレータ
10 補助ダンパスプリング
11 当り部材
12 ストッパー
13 ストッパー
14 外プレート
15 中央ディスク
16 中間部材
17 プレート
18 外周バネ収容部
19 内周バネ収容部
20 外周バネ収容空間
21 内周バネ収容空間
22 係合溝
23 リベット穴
24 リング
27 中央円板
28 リング
29 外周バネ押え
30 内周バネ押え
31 外周バネ空間
32 内周バネ空間
33 タービンハブ
34 リベット穴
35 溝
36 空間
37 保持金具
38 ディスク
39 バネ押え

Claims (2)

  1. トルクコンバータ内に収容され、ピストンがフロントカバーに係合する場合の衝撃トルクを緩和し、上記ピストンがフロントカバーに係合したロックアップ状態においてはエンジンのトルク変動を吸収するロックアップダンパ装置において、該ロックアップダンパ装置は半径が異なる外周側と内周側に複数本のダンパスプリングを配置してピストンと連結する入力側部材とタービンランナと連結する出力側部材の間の相対捩れ角に応じて圧縮変形し、そして、これらダンパスプリングは2本を1組として直列に連結すると共に、間には回転自在に軸支されている中間部材に形成したセパレータを介在し、又、入力側部材と出力側部材間の相対捩れ角度が所定の領域を越えた場合に働く補助ダンパスプリングを入力側部材の外周部に取付け、上記タービンランナの外周にはディスクを固定し、該ディスク外周には補助ダンパスプリングに当って圧縮するバネ押えを突出し、さらに入力側部材と出力側部材間の相対捩れ角度が限界領域を越えた場合に相対捩れを阻止するストッパーを備え、さらに、内周側ダンパスプリングと外周側ダンパスプリングは並列配置され、外周側と内周側とのダンパスプリングの圧縮変形に伴う荷重が均等になるように内外周ダンパスプリングのバネ定数を定めたことを特徴とするトルクコンバータのロックアップダンパ装置。
  2. 上記補助ダンパスプリングを取付ける保持金具をタービンランナの外周部に取付け、補助ダンパスプリングに当って圧縮変形させるバネ押えを形成したディスクを入力側部材の外周部に固定した請求項1記載のトルクコンバータのロックアップダンパ装置。
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