しかしながら、上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、隣接する画素(サブ画素)のうち、一方の画素の液晶に電圧を印加して遮光状態(黒色表示)にした後、他方の画素の液晶に電圧を印加して光を透過する状態(白色表示)から遮光状態(黒色表示)に変化させる場合に、一方の画素の液晶に印加される電圧の影響により、一方の画素と他方の画素との境界領域近傍の他方の画素の液晶層が遮光状態に変化するのに時間がかかる。これにより、光漏れとなって視認されてしまうという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、サブ画素の境界領域近傍の液晶層が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することが可能な液晶表示装置および電子機器を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における液晶表示装置は、複数のサブ画素毎に設けられた画素選択用の複数の薄膜トランジスタが形成される第1基板と、第1基板と対向するように配置される第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられ、電圧が印加されない状態で光を透過する液晶層と、サブ画素間の境界領域に沿うように設けられる信号線とを備え、隣接するサブ画素間には、平面的に見て、信号線が延びる方向のサブ画素の長手方向に沿って突起部が設けられている。
この第1の局面による液晶表示装置では、上記のように、平面的に見て、隣接するサブ画素間の境界領域に突起部を設けることによって、この突起部によって、電気力線が変化する。このため、電圧が印加されない状態で光を透過するノーマリーホワイト方式の液晶層において、黒色表示(液晶層に電圧が印加された状態)のサブ画素に隣接する白色表示(液晶層に電圧が印加されない状態)のサブ画素を、液晶層に電圧を印加することにより黒色表示に変化させる場合に、隣接する黒色表示のサブ画素の電界の影響により、白色表示のサブ画素の境界領域近傍の液晶層が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することができる。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、第1基板側に設けられ、所定の方向にラビングされた第1配向膜と、第2基板側に設けられ、所定の方向と反対の方向にラビングされた第2配向膜とをさらに備える。このように構成すれば、第1配向膜のラビング方向と第2配向膜のラビング方向とが180°異なるECB(Electrically Controlled Birefringence)モードの液晶表示装置において、白色表示のサブ画素の境界領域近傍の液晶層が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することができる。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、複数のサブ画素は、それぞれ、光を透過する透過領域と、光を反射する反射領域とを含み、突起部は、平面的に見て、少なくとも隣接するサブ画素の透過領域間の境界領域に設けられている。このように構成すれば、より光漏れが視認されやすい透過領域においては、少なくとも、隣接する電圧が印加された状態の黒色表示のサブ画素の電界の影響により、白色表示のサブ画素の透過領域に対応する境界領域近傍の液晶層が黒色表示になるのに時間がかかるのを抑制することができる。なお、反射領域は、透過領域に比べて比較的暗いので、白色表示のサブ画素が黒色表示になるのに時間がかかっても、白色表示が黒色表示にならないために起こる光漏れが目立たない。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、第1基板と第2基板との間に設けられ、第1基板と第2基板との間の間隔を所定の間隔に保つためのスペーサーをさらに備え、突起部は、スペーサーと同じ材料から形成されている。このように構成すれば、突起部とスペーサーとを同一の工程によって形成することができる。
この場合、好ましくは、スペーサーは、突起部が設けられる第1基板側または第2基板側の一方に設けられ、突起部の第1基板または第2基板の一方からの高さは、スペーサーの第1基板または第2基板の一方からの高さよりも小さくなるように構成されている。このように構成すれば、第1基板と第2基板との間の間隔は、スペーサーによって保たれるとともに、第1基板側または第2基板側に圧力がかかった際に、第1基板または第2基板の一方に形成される突起部が第1基板または第2基板の他方に接触することはない。基板と接触するのは、スペーサのみとなる。この構成となせば、基板と、スペーサのような構造物が接触することによって、これら構造物と基板との間に気泡が発生するという問題があるが、このような気泡発生の面積が少なくなり、表示画像が乱れるのを抑制することができる。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、隣接するサブ画素間に設けられる突起部は、第2基板側に設けられている。このように構成すれば、第1基板側に比べて、比較的形成される部材(層)の少ない第2基板側に突起部が設けられるので、突起部を精度よく第2基板側に形成することができる。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、信号線が延びる方向と直交する方向の突起部の幅は、平面的に見て、信号線が延びる方向と直交する方向の信号線の幅以下である。このように構成すれば、平面的に見て、突起部が信号線からはみ出すのが抑制されるので、はみ出した突起部によりサブ画素の開口率が小さくなるのを抑制することができる。
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、平面的に見て、信号線が延びる方向に沿って、信号線とオーバーラップするように配置される遮光膜をさらに備え、信号線が延びる方向と直交する方向の突起部の幅は、平面的に見て、信号線が延びる方向と直交する方向の遮光膜の幅以下であるこのように構成すれば、平面的に見て、突起部が遮光膜からはみ出すのが抑制されるので、はみ出した突起部によりサブ画素の開口率が小さくなるのを抑制することができる。
この発明の第2の局面による電子機器は、上記のいずれかの構成を有する液晶表示装置を備える。このように構成すれば、サブ画素の境界領域近傍の液晶層が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することが可能な電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、透過領域301と反射領域302とが設けられている半透過型の液晶表示装置100について説明する。
第1実施形態による液晶表示装置100は、図1に示すように、走査線1と、走査線1と交差するように配置される信号線2とが設けられている。また、走査線1と信号線2とが交差する位置に対応して、サブ画素3(サブ画素3a、3bおよび3c)が複数設けられている。そして、複数のサブ画素3(サブ画素3a、3bおよび3c)には、それぞれ、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)4が設けられている。また、複数のサブ画素3には、それぞれ、後述するバックライト42から出射された光を透過する透過領域301と、液晶表示装置100に入射した光が、後述する反射膜19によって反射される反射領域302とが設けられている。なお、赤(R)のサブ画素3a、緑(G)のサブ画素3bおよび青(B)のサブ画素3cの3つによって、1つの画素が構成されている。
サブ画素3(サブ画素3a〜3c)の断面構造としては、図3に示すように、ガラス基板11の表面上には、ゲート電極12が形成されている。なお、ガラス基板11は、本発明の「第1基板」の一例である。また、ゲート電極12およびガラス基板11の表面上には、SiNからなる絶縁膜13が形成されている。また、ゲート電極12と絶縁膜13を介して対向するように、半導体層14が形成されている。なお、半導体層14は、a−Siとn+Siとからなる。半導体層14の上部には、ソース電極15およびドレイン電極16が形成されている。そして、ゲート電極12、絶縁膜13、半導体層14、ソース電極15およびドレイン電極16により薄膜トランジスタ4が構成されている。また、平面的に見て、サブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域に対応する絶縁膜13の表面上には、信号線2が形成されている。
また、信号線2、ソース電極15およびドレイン電極16を覆うように、SiNからなるパッシベーション層17が形成されている。パッシベーション層17の表面上には、層間絶縁膜18が形成されている。層間絶縁膜18上の反射領域302に対応する領域には、Alからなる反射膜19が形成されている。なお、反射膜19は、光を散乱しやすいように波型に形成されている。そして、層間絶縁膜18および反射膜19を覆うように、ITO(Indium Tin Oxide)や、IZO(Induim Zinc Oxide)などの透明電極からなる画素電極20が形成されている。また、層間絶縁膜18のコンタクトホール18aに対応する領域に形成される反射膜19のコンタクトホール19aと、パッシベーション層17のコンタクトホール17aとを介して、画素電極20とドレイン電極16とが接続されている。なお、画素電極20は、反射領域302に対応する領域では、波型の反射膜19の形状を反映して波型に形成されている。また、画素電極20の表面上には、ポリイミドなどの有機膜からなる配向膜21が形成されている。なお、配向膜21は、本発明の「第1配向膜」の一例である。
また、ガラス基板11と対向するように、ガラス基板31が設けられている。なお、ガラス基板31は、本発明の「第2基板」の一例である。ガラス基板31の表面上には、樹脂などからなるブラックマトリクス32が形成されている。なお、ブラックマトリクス32は、本発明の「遮光膜」の一例である。なお、ブラックマトリクス32は、図2に示すように、平面的に見て、走査線1、信号線2および薄膜トランジスタ4を覆うように設けられている。また、ブラックマトリクス32は、平面的に見て、複数のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域を覆うようにマトリクス状に形成されている。
また、図3に示すように、ブラックマトリクス32の表面上には、カラーフィルター(CF)33が形成されている。なお、カラーフィルター33は、図1に示すように、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色のカラーフィルター33からなり、カラーフィルター33は、サブ画素3a〜3c毎に設けられている。また、カラーフィルター33の表面上には、保護膜としてのオーバーコート層(OC)34が形成されている。また、オーバーコート層34上の反射領域302に対応する領域には、樹脂材料からなるマルチギャップ層(MG)35が形成されている。マルチギャップ層35は、反射領域302における液晶層40の厚みを調整する機能を有する。そして、オーバーコート層34およびマルチギャップ層35の表面上には、ITOまたはIZOなどの透明電極からなる対向電極36が形成されている。
また、反射領域302に対応する対向電極36の表面上には、感光樹脂層からなるフォトスペーサー(PS)37が設けられている。なお、フォトスペーサー37は、本発明の「スペーサー」の一例である。フォトスペーサー37は、セルギャップ(ガラス基板11とガラス基板31との間の距離)を調整する機能を有する。フォトスペーサー37は、図1に示すように、平面的に見て、信号線2とオーバーラップするように設けられるとともに、略円形形状に形成されている。また、フォトスペーサー37は、10μm以上15μm以下の幅W1を有する。
ここで、第1実施形態では、透過領域301に対応する対向電極36の表面上には、フォトスペーサー37と同一の材料からなる突起部38が設けられている。また、第1実施形態では、突起部38は、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)のうちの一方に対する他方の電界の影響を緩和する機能を有する。また、突起部38は、約1μmの厚みを有し、フォトスペーサー37の厚み(約2μm)よりも小さくなるように構成されている。また、第1実施形態では、ガラス基板31から、突起部38のガラス基板11側の表面に向かう高さは、ガラス基板31から、フォトスペーサー37のガラス基板11側の表面に向かう高さよりも小さい。
また、第1実施形態では、図1に示すように、突起部38は、平面的に見て、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の透過領域301間の境界領域に、信号線2に沿った方向(Y方向)のサブ画素3の長手方向に沿って延びるように略矩形形状に形成されている。なお、突起部38は、透過領域301と反射領域302との境界近傍から、走査線1の近傍まで形成されている。つまり、反射領域302に対応するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域に突起部38は、設けられない。また、第1実施形態では、突起部38は、赤のサブ画素3a、緑のサブ画素3bおよび青のサブ画素3cのうちの、それぞれのサブ画素3a〜3cの境界領域に設けられている。また、第1実施形態では、突起部38の信号線2が延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)の幅W2は、信号線2のX方向の幅W3(8μm以上10μm以下)以下である。また、第1実施形態では、図2に示すように、突起部38は、平面的に見て、ブラックマトリクス32とオーバーラップするとともに、突起部38の信号線2が延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)の幅W2は、ブラックマトリクス32のX方向の幅W4(6μm以上10μm以下)以下になるように構成されている。また、図4に示すように、突起部38のX方向に沿った方向の断面は、略台形形状を有する。
また、図3に示すように、対向電極36、フォトスペーサー37および突起部38を覆うように、ポリイミドなどの有機膜からなる配向膜39が形成されている。なお、配向膜39は、本発明の「第2配向膜」の一例である。また、ガラス基板11側に設けられる配向膜21と、ガラス基板31側に設けられる配向膜39とは、それぞれ、ラビング処理が施されており、図1に示すように、第1実施形態では、配向膜21のラビングの方向Aと、配向膜39のラビングの方向Bとは、反対の(180°異なる)方向である。なお、方向Aおよび方向Bは、それぞれ、本発明の「所定の方向」および「所定の方向と反対の方向」の一例である。
また、図3に示すように、配向膜21と配向膜39との間には、液晶層40が設けられている。なお、液晶層40に含まれる液晶41(図11参照)は、画素電極20と対向電極36との間に電界が印加されないときには、液晶41が略水平に配向して光を透過する状態(ノーマリーホワイト)となり、画素電極20と対向電極36との間に電界が印加されたときには、液晶41が略垂直に配向して光を遮光する状態となるECB(Electrically Controlled Birefringence)モードである。また、ガラス基板11と対向するように、バックライト42が設けられている。バックライト42は、ガラス基板11側からガラス基板31側(矢印Z1方向側)に向かって光が出射されるように構成されている。
次に、図3および図5〜図7を参照して、本発明の第1実施形態における、液晶表示装置100のカラーフィルター33が設けられるガラス基板31側の製造方法について説明する。なお、液晶表示装置100の薄膜トランジスタ4が設けられるガラス基板11側の製造方法は、従来の液晶表示装置100の製造方法と同様である。
まず、図5のブラックマトリクス形成工程S1では、図6に示すように、ガラス基板31の表面上に、たとえば黒色の樹脂材料からなる膜を形成し、エッチングすることにより、網目状のブラックマトリクス32(図2参照)を形成する。
次に、図5のカラーフィルター形成工程S2では、図6に示すように、赤(R)、緑(G)および青(B)のカラーフィルター33を、サブ画素3a〜3c(図1参照)毎にフォトリソグラフィ−を用いて形成する。
次に、図5のオーバーコート層形成工程S3では、図6に示すように、カラーフィルター33(およびカラーフィルター33間のブラックマトリクス32)の表面上を覆うように、オーバーコート層34を形成する。なお、オーバーコート層34は、ブラックマトリクス32およびカラーフィルター33の表面上の略全面を覆うように形成される。
次に、図5のマルチギャップ層形成工程S4では、図6に示すように、オーバーコート層34の表面上に樹脂材料からなる層を形成した後、エッチングすることにより、反射領域302(図3参照)に対応するオーバーコート層34の領域にマルチギャップ層35を形成する。
次に、図5の対向電極形成工程S5では、図6に示すように、マルチギャップ層35およびオーバーコート層34の表面上にITOやIZOなどからなる対向電極36を形成する。なお、対向電極36は、複数のサブ画素3に跨って形成される。
次に、図5のフォトスペーサー形成工程S6では、図6に示すように、対向電極36の表面上の全面に、約2μmの厚みを有するアクリル系の感光性樹脂膜51を形成する。なお、感光性樹脂膜51は、ネガ型の膜からなる。また、感光性樹脂膜51と対向するように、ハーフトーンマスク52を配置する。なお、ハーフトーンマスク52では、ガラス基板53の表面上に、遮光膜54および半透過膜55が形成されている。そして、ハーフトーンマスク52を介して、感光性樹脂膜51に光を照射する。そして、図7に示すように、遮光膜54が形成されない領域に対応する感光性樹脂膜51は、除去されずにそのまま残り、フォトスペーサー37が形成される。また、遮光膜54が形成された領域に対応する感光性樹脂膜51は、除去される。また、半透過膜55が形成された領域に対応する感光性樹脂膜51は、遮光膜54が形成された領域に対応する感光性樹脂膜51と比べて、約1/2の厚み分除去される。これにより、約1μmの厚みを有する突起部38が形成される。
次に、図5の配向膜形成工程S7では、図3に示すように、マルチギャップ層35、フォトスペーサー37および突起部38の表面上にポリイミドなどからなる配向膜39を形成する。これにより、液晶表示装置100のガラス基板31側が形成される。
図8〜図12を参照して、本発明の第1実施形態の液晶表示装置100による黒色表示の動作について比較例との対比で説明する。なお、図8に示した比較例は、第1実施形態と異なり、サブ画素間(たとえば、サブ画素61と62との間)に突起部が設けられない従来例に対応する構造を有する。
まず、比較例の液晶表示装置200の動作について説明する。図8に示すように、緑(G)のサブ画素61では、画素電極20と対向電極36との間に電圧が印加されておらず、液晶41がガラス基板31に対して略水平に配向しており、光が透過する状態(白色表示)となっている。また、青(B)のサブ画素62では、画素電極20と対向電極36との間に電圧が印加されており、画素電極20と対向電極36との間にガラス基板31に対して略垂直に電界が発生している。そして、液晶41がガラス基板31に対して略垂直に配向しており、光が透過しない状態(黒色表示)となっている。
この状態から、図9に示すように、緑(G)のサブ画素61において、画素電極20と対向電極36との間に電圧を印加することにより、画素電極20と対向電極36との間にガラス基板31に対して略垂直に電界が発生する。しかしながら、サブ画素61と、サブ画素62との境界領域近傍では、元々サブ画素62の画素電極20と対向電極36との間に印加されていた電圧(電界)の影響により、サブ画素61の画素電極20と対向電極36との間の電界がガラス基板31に対して略垂直になるのに時間がかかる。これにより、図10に示すように、緑(G)のサブ画素61の青(B)のサブ画素62側において、黒色表示が遅れる領域(ドメイン)が発生する。
これに対して、本発明の第1実施形態の液晶表示装置100は以下のように動作する。まず、図11に示すように、緑(G)サブ画素3bでは、画素電極20と対向電極36との間に電圧が印加されておらず、液晶41がガラス基板31に対して略水平に配向しており、光が透過する状態(白色表示)となっている。また、青(B)のサブ画素3cでは、画素電極20と対向電極36との間に電圧が印加されており、画素電極20と対向電極36との間にガラス基板31に対して略垂直に電界が発生している。そして、液晶41がガラス基板31に対して略垂直に配向しており、光が透過しない状態(黒色表示)となっている。
この状態から、図12に示すように、サブ画素3bにおいて、画素電極20と対向電極36との間に電圧を印加することにより、画素電極20と対向電極36との間にガラス基板31に対して略垂直に電界が発生する。この時、第1実施形態では、サブ画素3bと、サブ画素3cとの境界領域のガラス基板31側に設けられる突起部38により、元々サブ画素3cの画素電極20と対向電極36との間に印加されていた電圧(電界)のサブ画素3bに対する影響が緩和される。これにより、第1実施形態では、比較例と比べて、緑(G)のサブ画素3bの画素電極20と対向電極36との間の電界がガラス基板31に対して略垂直になるのに要する時間が短縮される。その結果、サブ画素3bのサブ画素3c側に、黒色表示が遅れる領域(ドメイン)が発生するのが抑制される。なお、図11および図12では、緑のサブ画素3bと、青のサブ画素3cとの間のドメインの発生の抑制について説明を行ったが、赤のサブ画素3aと緑のサブ画素3bとの間、および、青のサブ画素3cと赤のサブ画素3aとの間においても、ドメインの発生が抑制される。
第1実施形態では、上記のように、平面的に見て、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)間の境界領域に突起部38を設けることによって、この突起部38によって電気力線が変化する。このため、電圧が印加されない状態で光を透過するノーマリーホワイト方式の液晶層40(液晶41)において、黒色表示(液晶層40に電圧が印加された状態)のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)に隣接する白色表示(液晶層40に電圧が印加されない状態)のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)を、液晶層40に電圧を印加することにより黒色表示に変化させる場合に、隣接する黒色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の電界の影響により、白色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域近傍の液晶層40が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ガラス基板11側に設けられ、方向Aにラビングされた配向膜21と、ガラス基板31側に設けられ、方向Aと反対の方向Bにラビングされた配向膜39とを備えることによって、配向膜21のラビング方向と配向膜39のラビング方向とが180°異なるECBモードの液晶表示装置100において、白色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域近傍の液晶層40が黒色表示に変化するのに時間がかかるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、突起部38を、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)のうちの一方に対する他方の電界の影響を緩和する機能を有するように構成することによって、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)のうちの一方の電界の影響により、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)のうちの他方のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の境界領域近傍の液晶層40が白色表示から黒色表示になるのに時間がかかるのを突起部38により抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、平面的に見て、突起部38を、信号線2が延びる方向に沿って延びるように設けることによって、突起部38が隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)間の一部分に設けられる場合と比べて、突起部38が信号線2が延びる方向に沿って延びるように設けられている分、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)のうちの一方に対する他方の電界の影響をより緩和することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、サブ画素3が、赤、緑および青の色のそれぞれを表示する3つのサブ画素3a〜3cを含み、突起部38を、平面的に見て、3つのサブ画素3a〜3c間の境界領域に設けることによって、隣接するサブ画素3a〜3cのうちの一方の電圧が印加された状態の電界の影響により、隣接するサブ画素3a〜3cのうちの他方のサブ画素3a〜3cの境界領域近傍の液晶層40が、白色表示から黒色表示になるのに時間がかかるのを突起部38により抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、突起部38を、平面的に見て、隣接するサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の透過領域301間の境界領域に設けることによって、より光漏れが視認されやすい透過領域301においては、少なくとも、隣接する電圧が印加された状態の黒色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の電界の影響により、白色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の透過領域301に対応する境界領域近傍の液晶層40が黒色表示になるのに時間がかかるのを抑制することができる。なお、反射領域302は、透過領域301に比べて比較的暗いので、白色表示のサブ画素3(サブ画素3a〜3c)が黒色表示になるのに時間がかかっても、白色表示が黒色表示にならないために起こる光漏れが目立たない。
また、第1実施形態では、上記のように、突起部38を、フォトスペーサー37と同じ材料から形成することによって、突起部38とフォトスペーサー37とを同一の工程によって形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、突起部38のガラス基板31からの高さを、フォトスペーサー37のガラス基板31からの高さよりも小さくなるように構成することによって、ガラス基板11とガラス基板31との間の間隔は、フォトスペーサー37によって保たれるとともに、ガラス基板11側またはガラス基板31側に圧力がかかった際に、ガラス基板11側に形成される突起部38がガラス基板31側に接触することはない。基板と接触するのは、フォトスペーサー37のみとなる。この構成となせば、ガラス基板31側と、フォトスペーサー37のような構造物が接触することによって、これら構造物とガラス基板31側との間に気泡が発生するという問題があるが、このような気泡発生の面積が少なくなり、表示画像が乱れるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、突起部38をガラス基板31側に設けることによって、ガラス基板11側に比べて、比較的形成される部材(層)の少ないガラス基板31側に突起部38が設けられるので、突起部38を精度よくガラス基板31側に形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、平面的に見て、信号線2が延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)の突起部38の幅W2を、平面的に見て、信号線2の幅W3以下にすることによって、平面的に見て、突起部38が信号線2からはみ出すのが抑制されるので、はみ出した突起部38によりサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の開口率が小さくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、平面的に見て、突起部38を、平面的に見て、ブラックマトリクス32とオーバーラップするように配置することによって、平面的に見て、突起部38がブラックマトリクス32とオーバーラップしている分、突起部38によりサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の開口率が小さくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、信号線2が延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)の突起部38の幅W2を、平面的に見て、信号線2が延びる方向と直交する方向のブラックマトリクス32の幅W4以下にすることによって、平面的に見て、突起部38がブラックマトリクス32からはみ出すのが抑制されるので、はみ出した突起部38によりサブ画素3(サブ画素3a〜3c)の開口率が小さくなるのを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図13および図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、半透過型の液晶表示装置100からなる上記第1実施形態と異なり、透過型の液晶表示装置110について説明する。
第2実施形態による液晶表示装置110は、図13に示すように、走査線1と、走査線1と交差するように配置される信号線2とが設けられている。また、走査線1と信号線2とが交差する位置には、それぞれ、サブ画素71が設けられている。なお、サブ画素71には、バックライト42から出射された光が透過する透過領域303が設けられている。
サブ画素71の断面構造としては、図14に示すように、層間絶縁膜18aの表面上には、ITOや、IZOなどの透明電極からなる平坦面状の画素電極20aが形成されている。また、画素電極20aの表面上には、ポリイミドなどの有機膜からなる配向膜21が形成されている。
また、ガラス基板31側では、オーバーコート層34の表面上には、ITOまたはIZOなどの透明電極からなる平坦面状の対向電極36aが形成されている。
また、対向電極36aの表面上には、感光樹脂層からなるフォトスペーサー37aが設けられている。フォトスペーサー37aは、セルギャップ(ガラス基板11とガラス基板31との間の距離)を調整する機能を有する。フォトスペーサー37aは、図13に示すように、平面的に見て、略円形形状に形成されいる。
また、対向電極36aの表面上には、フォトスペーサー37aと同一の材料からなる突起部38aが設けられている。また、ガラス基板31から、突起部38aのガラス基板11側の表面までの高さは、ガラス基板31から、フォトスペーサー37aのガラス基板11側の表面までの高さよりも小さい。また、突起部38aは、図13に示すように、隣接するサブ画素71間の境界領域に設けられている。また、突起部38aは、走査線1の近傍から薄膜トランジスタ4の近傍までのサブ画素71間の境界領域に設けられている。
なお、第2実施形態のその他の構成および効果は、上記第1実施形態と同様である。
本発明の第1および第2実施形態による液晶表示装置100および110は、図15〜図17に示すように、第1の例によるPC(Personal Computer)500、第2の例による携帯電話510および第3の例による情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)520などに用いることが可能である。図15の第1の例によるPC500においては、キーボードなどの入力部500aおよび表示画面500bなどに本発明の第1および第2実施形態による液晶表示装置100および110を用いることが可能である。図16の第2の例による携帯電話510においては、表示画面510aに本発明の第1および第2実施形態による液晶表示装置100および110が用いられる。図17の第3の例による情報携帯端末520においては、表示画面520aに本発明の第1および第2実施形態による液晶表示装置100および110が用いられる。なお、PC500、携帯電話510および情報携帯端末520は、本発明の「電子機器」の一例である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、突起部が略台形形状の断面を有する例を示したが、本発明はこれに限らず、突起部を略台形形状以外のたとえば略三角形形状に形成してもよい。なお、略三角形形状の突起部よりも、略台形形状の突起部の方が、ドメインの発生がより抑制されるのが確認されている。
また、上記第1および第2実施形態では、ECBモードの液晶表示装置を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、ECBモード以外の方式の液晶表示装置を用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、赤、緑および青の3色のサブ画素から画素を構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、2色または4色以上のサブ画素により、画素を構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、突起部を対向電極が設けられる側に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、突起部を画素電極が設けられる側に形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、突起部およびスペーサーの材料として、ネガ型のアクリル系の感光性樹脂膜を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、図18に示すように、ポジ型のアクリル系の感光性樹脂膜51aを用いてもよい。この場合、図7に示すように、遮光膜54が形成された領域に対応する感光性樹脂膜51aは、除去されずにそのまま残り、フォトスペーサー37が形成される。また、遮光膜54が形成されない領域に対応する感光性樹脂膜51aは、除去される。また、半透過膜55が形成された領域に対応する感光性樹脂膜51aは、遮光膜54が形成されない領域に対応する感光性樹脂膜51aと比べて、約1/2の厚み分除去される。
また、上記第1実施形態では、突起部が画素の反射領域に対応する画素間の境界領域には設けられず、透過領域に対応する画素間の境界領域に設けられる例を示したが、本発明はこれに限らず、突起部を画素の透過領域および反射領域に対応する画素間の境界領域に設けてもよい。