JP5343442B2 - レーザビーム整形装置 - Google Patents

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本発明は、例えば、ニッポウディスク式共焦点顕微鏡のレーザー照明などに用いて好適なレーザビーム成形装置に関し、光ファイバから出射したレーザ波長の強度分布の均一化をはかると共に波長の変動を吸収し、レーザビームの発散角の影響が最小となるようにしたレーザビーム整形装置に関するものである。
図4は本発明が適用される共焦点用光スキャナの一例を示す要部構成図であり、特開2001−228402号公報に記載されている。図において、共焦点用光スキャナ11は、ピンホール13aを通過した光を試料18に走査し、試料18の焦点位置からの蛍光をピンホール13aに通過させ、試料18の焦点位置以外からの蛍光をピンホール13aで排除する装置である。
共焦点用光スキャナ11は、試料18の三次元像を観察可能な共焦点顕微鏡内に設置されている。共焦点用光スキャナ11は、集光ディスク12及びピンホールディスク13がドラム14を挟んで平行に連結され、モータ15によって回転するように形成されている。
さらに、集光ディスク12とピンホールディスク13との間にはビームスプリッタ16が固定配置されている。
集光ディスク12には複数のマイクロレンズ(例えばフレネルレンズ)12aが形成され、ピンホールディスク13には複数のピンホール13aが多数列で螺旋状に形成されている。各マイクロレンズ12aの焦点位置に各ピンホール13aが位置するように、集光ディスク12とピンホールディスク13とが連結されている。
集光ディスク12に入射するレーザ光はマイクロレンズ12aで絞られ、ビームスプリッタ16を透過してピンホール13aに集光する。ピンホールを通った光は対物レンズ17により集光され、試料18上に照射される。試料18からの戻り光は再び対物レンズ17及びピンホールディスク13を通ってビームプリッタ16で反射され、集光レンズ19を介してカメラ20に入る。カメラ20の受像面(図示せず)には試料18の像が結像される。
このような構成において、集光ディスク12とピンホールディスク13とを一体に回転させ、複数のピンホール13aにより試料面18aを光走査(ラスタースキャン)することにより、カメラ20により試料18の表面画像を観測することができる。このように、共焦点顕微鏡は、点光源と点受光を採用するために、焦点位置以外のボケや散乱光を除外して、分解能の高い三次元像を得ることができる。
図5はこのような原理に基づく共焦点用光スキャナの要部具体例を示すものである。光ファイバー端から発せられるような点光源21からの光はコリメータレンズ22によって平行光となって集光ディスク12に入射する。なお、点光源21はコリメータレンズ22の前側焦点(焦点距離f)に置かれている。
この状態において、点光源21の発散角θ内の光をコリメータレンズ22で平行光線に変換した場合、コリメータレンズ22を通過する光の光軸に垂直な面における光強度分布Iは、図6(a)に示すようなガウス分布となる。
光軸付近の均一な(通常分布むらが目立たないようにするために最低でも10%にする)光束を切り出すために、開口24を有する遮蔽板23を設け、これを通過した光束のみ(図6(b)の斜線部)をマイクロレンズ12aに導いている。開口24の孔は通常円形である。
図7はこのような共焦点用光スキャナに適用される光強度分布補正光学系の従来例を示す構成図であり特開2006-317508に記載されている。
図7において、光源30は、光ファイバの端面の点光源であって、発散光を発光する。第1凸レンズ31は、光源30からの発散光を正の屈折力により光束を光軸側に屈折させてビーム径を絞りながら凹レンズ32に入射させる。凹レンズ32は、第1凸レンズ32の出射光を負の屈折力により光束を外側に屈折させてほぼ平行光にする。各レンズの球面収差は、光源から出力された際の光強度のガウス分布を平坦な光強度分布にする。
図8は、上記特開2006-317508に記載されたレンズの球面収差を説明する説明図である。このことについて簡単に説明する。
図8(a)において、凸レンズ34では、球面収差により、その外周側に入射する光束はレンズ近くの焦点距離f1に収束し、内周に入射する光束はf1よりも遠い焦点距離f2に収束する。
図8(b)において、凹レンズ35では、球面収差により、その外周側に入射する光束は、広がり角が大きく、内周に入射する光束は広がり角が小さい。図8(b)において焦点距離f3,f4は、平行光が入射した際に発散する光束の延長線(破線)が収束する点までの距離である。この焦点距離が、球面収差により、凹レンズ35の外周では短く(f3)、内周では遠くなる(f4)。
図7に戻り、第1凸レンズ31では、球面収差により、光強度の高い中心部の光束は平行に近くなり、光強度の弱い周辺部の光束は中心部に集められる。
また、凹レンズ32は、第1凸レンズ31でビーム径全体が絞られるため、凹レンズ32の内側にビームが入射するので凹レンズ32の球面収差は弱くなり、ビーム全体を平行光に近くすると共に光強度分布を平坦にすることができる。第2凸レンズ33は、絞られたビーム径を拡大することでズーミングを可能にする。
ここでは、第1凸レンズ31、凹レンズ32および第2凸レンズ33の球面収差を組み合わせて、より均一な光強度分布を実現している。この場合、球面収差量としては、第1凸レンズ31において、その合成焦点距離のほぼ40%以上あれば、このような効果が期待できる。
なお、従来からレーザー光整形装置としては、一対のレンズアレイを組み合わせたホモジナイザを用いてレーザー光の光強度分布を均一化する構成が知られている。また、二つの非球面レンズを用いてレーザー光の強度分布を均一化するという技術も知られている。
特開2001−228402号公報 特開2006−317508号公報
ところで、上記従来技術においては次のような問題があった。
一対のレンズアレイを組み合わせたホモジナイザを用いたり、二つの非球面レンズを用いてレーザー光の強度分布を均一化する場合、構成が複雑となり、コストが高くなり、アレイレンズと非球面レンズの加工性が悪いという問題がある。
また、特開2006-317508に記載された技術の場合、構成は簡単であるが、球面レンズ2枚は接着剤を用いて接着しているため、強いビームで照射する場合、壊れやすい。
また、空間的に均一パワー分布の平行レーザービームを生成するためであるが、できたビームパワー分布は均一になっていない。
図9は、上述の構成による光強度分布補正の効果を表した図である。
図9(a),(b)において、縦軸はビームの相対強度を示し、横軸はビーム径を示している。なお、入射光はNA=0.09の光ファイバ端面からの発散光である。
図9(a)は、光強度分布補正前のビームの強度分布(ガウス分布)であって、ビームの中心に強度のピークがあり、周辺になるほど強度が減衰していく様子がわかる。
これに対して、図9(b)は、光強度分布補正後の分布であって、光強度は、ビームの中心からの距離aで急峻に減衰していることが分かる。
しかしながら、光強度はビームの中心からの距離aで急峻に減衰しているが、シェーディングは約30%程度である(周辺パワーは中心より30%低くなっている)。
従って本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、
ニッポウディスク式共焦点顕微鏡のレーザービームを整形し、均一ビームで試料を照明し、カメラで捕らえる蛍光イメージのシェーディングを低減し、レーザーの光量利用効率を向上することを目的としている。
このような課題を達成するための本発明のレーザビーム整形装置は、請求項1においては、
一端からレーザ光を入力し他端から前記レーザの拡散光を放射状に放出する光ファイバと、該光ファイバの他端から所定の距離離れた位置で前記拡散光の光軸に配置され、前記拡散光を所定のビーム径に制御する一方の面が球状に形成され、他方の面がフラット状に形成された第1レンズと、一方の面がフラット他方の面が凹レンズ状に形成された第2レンズと、前記第2レンズから所定の距離を隔てて配置されたコリメートレンズレンズからなり、前記第1,第2レンズはフラットな面を対向させて所定の空間を隔てて配置されると共に前記第1、第2レンズの曲率、厚さを前記コリメートレンズのところで各光線が均一に分布するように光線追跡アルゴリズムを行って最適化したことを特徴とする。
以上説明したことから明らかなように本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
一端からレーザ光を入力し他端から前記レーザの拡散光を放射状に放出する光ファイバと、該光ファイバの他端から所定の距離離れた位置で前記拡散光の光軸に配置され、前記拡散光を所定のビーム径に制御する一方の面が球状に形成され、他方の面がフラット状に形成された第1レンズと、一方の面がフラット他方の面が凹レンズ状に形成された第2レンズと、前記第2レンズから所定の距離を隔てて配置されたコリメートレンズレンズからなり、前記第1,第2レンズはフラットな面を対向させて所定の空間を隔てて配置されると共に前記第1、第2レンズの曲率、厚さを前記コリメートレンズのところで各光線が均一に分布するように光線追跡アルゴリズムを行って最適化したので、レーザビームを整形し、均一ビームで試料を照明し、カメラで捕らえる蛍光イメージのシェーディングを低減し、レーザの光量利用効率の向上を実現することができる。
図1は本発明のレーザビーム整形装置の実施形態の一例を示す要部構成図である。なお、図(7)と同一部品には同一符号を付している。
図1において、光源1は、光ファイバの端面の点光源であって、発散光を発光する。一方の面が球状に形成され、他方の面がフラット状に形成された第1レンズ2は光源1からの発散光を入射する。3は一方の面がフラット他方の面が凹レンズ状に形成された第2レンズであり、第1レンズを透過したレーザビームを透過させる。これらのレンズはフラットな面を対向させて所定の空間を隔てて配置されている。
4は第2レンズ3から所定の距離を隔てて配置されたコリメートレンズである。
上述の構成において第1,第2レンズは新しいアルゴリズムを用いて各レンズの曲率、厚さなどを最適化されている。
即ち、ファイバから出たビームはガウス分布であり、光線の分布は不均一となっている。そのため、コリメートレンズのところで各光線が均一に分布するように光線追跡アルゴリズムを行って第1、第2レンズの曲率、厚さなどを最適化する。
ここで、入射するレーザの波長は400nm〜650nmの範囲で変動する。この広い波長範囲でも同じ均一なビームを得るように第1、第2レンズの曲率、厚さが最適されている。すなわち、このビーム整形装置の色収差を補正することにより、レーザの波長はこの範囲以内であれば、調整することなく均一なビームパワー分布を得ることができる。
例として、よく使われているシングルモードファイバのNA(発散角)は0.07であるが、ファイバから出たビームのNAはいつも0.07ではない。
本発明では、この発散角の変動の影響を最小となるようにファイバの他端からビーム整形レンズまでの距離を前後調整して発散角の変動を吸収する。例えば光源1から第1レンズまでの距離を手動で前後調整して、ビームのNAは0.06から0.08まで変動してもほぼ同じ均一な出力ビームパワー分布を得ることができる。
図2は上述のレーザビーム整形装置を用いてレーザビームの強度分布を計算したシミュレーションの結果を示す図である。図2によればシェーディング(強度分布不均一性)はわずか約5%程度である。
図3は球面レンズの厚さと曲率と互いの距離を最適化したレンズを組み込んでレーザビームの強度分布と色収差を補正し、光源1から第1レンズまでの距離を前後調整して光源のビームの発散角を補正し、400nmから650nmの範囲で測定した結果を示す図である。
図3によればシェーディングはわずか約5%程度であり、計算によるシミュレーショの結果と同様の均一強度分布を確認することができた。
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
本発明のレーザビーム整形装置の実施形態の一例を示す要部構成図である。 本発明のレーザビーム整形装置を用いて強度分布を計算したシミュレーションの結果を示す図である。 本発明のレーザビーム整形装置を用いてレーザビームの強度分布を測定した結果を示す図である。 本発明が適用される共焦点用光スキャナの一例を示す要部構成図である。 共焦点用光スキャナの要部を示す図である。 従来の共焦点スキャナのコリメータレンズを通過する光の強度分布を示す図である。 光強度分布補正光学系の従来例を示す構成図である。 レンズの球面収差を説明する説明図である。 従来例における光強度分布補正の効果を表した図である。
符号の説明
1,30 光源
2 第1レンズ
3 第2レンズ
4 コリメートレンズ
9 集光レンズ
11 共焦点用光スキャナ
12 集光ディスク
13 ピンホールディスク
14 ドラム
15 モータ
16 ビームスプリッタ
17 対物レンズ
18 試料
20 カメラ
31 第1凸レンズ
32,35 凹レンズ
33 第2凸レンズ
19 ピーム拡大レンズ
20 光強度分布補正光学系
30 光源
31 第1凸レンズ
32,35 凹レンズ
33 第2凸レンズ
34 凸レンズ
35 凹レンズ

Claims (1)

  1. 一端からレーザ光を入力し他端から前記レーザの拡散光を放射状に放出する光ファイバと、該光ファイバの他端から所定の距離離れた位置で前記拡散光の光軸に配置され、前記拡散光を所定のビーム径に制御する一方の面が球状に形成され、他方の面がフラット状に形成された第1レンズと、一方の面がフラット他方の面が凹レンズ状に形成された第2レンズと、前記第2レンズから所定の距離を隔てて配置されたコリメートレンズレンズからなり、前記第1,第2レンズはフラットな面を対向させて所定の空間を隔てて配置されると共に前記第1、第2レンズの曲率、厚さを前記コリメートレンズのところで各光線が均一に分布するように光線追跡アルゴリズムを行って最適化したことを特徴とするレーザビーム整形装置。
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