JP5342679B2 - グロープラグの通電制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、グロープラグに対する通電を制御するための通電制御装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関の予熱などには、発熱ヒータを有するグロープラグが一般に使用される。グロープラグは、内燃機関に組み付けられたとき、グランドに接続され、電源装置から供給される電力に基づいて発熱する。
従来、グロープラグの発熱を制御する通電制御装置として、電源装置(バッテリ)からグロープラグに対する通電の可否を決定する信号を出力するための通電信号出力手段と、前記通電信号出力手段から通電を許可する信号が入力された際に、バッテリからグロープラグへの通電経路を形成するスイッチング手段としての半導体スイッチ(例えば、FET)とを備えたものが知られている。
ところで、グロープラグの断線が生じた場合には、特に冷間時において始動性の問題が生じる。そこで、前記バッテリを用いて、半導体スイッチとグロープラグとの間の導電経路を前記バッテリの供給電圧にプルアップした上で、当該導電経路の電圧に基づいて、グロープラグの断線を検知する手法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。具体的には、グロープラグへの通電を停止する信号が通電信号出力手段から出力されているときにおいて、グロープラグが正常な場合には、前記導電経路の電圧は前記グランドの電圧(例えば、0V)とほぼ等しいものとなる。一方で、グロープラグへの通電を停止する信号が通電信号出力手段から出力されているときにおいて、グロープラグに断線が生じている場合には、前記導電経路の電圧がバッテリの供給電圧と略等しいものとなる。この電圧の相違を利用することで、グロープラグが正常であるか、又は、断線しているかの検知をすることができる。
特開平2−199274号公報
しかしながら、半導体スイッチに短絡(ショート)故障(所謂ON故障)が発生してしまうと、グロープラグへの通電を停止する信号が通電信号出力手段から出力されているにも関わらず、半導体スイッチの通電経路が形成されたままとなってしまうおそれがある。この場合には、グロープラグが正常であるにも関わらず、導電経路の電圧がバッテリの供給電圧と略等しいものとなってしまう。従って、上記技術を用いた場合には、半導体スイッチのショートであるか、グロープラグの断線であるかを区別することができず、ひいては通電制御装置(半導体スイッチ)及びグロープラグのどちらに異常原因があるのかを判別することができないおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、グロープラグの断線、及び、半導体スイッチのショートをより確実に区別することができ、ひいてはグロープラグ及び通電制御装置のどちらに異常原因があるのかをより正確に判別することができるグロープラグの通電制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のグロープラグの通電制御装置は、グロープラグへと電力を供給するための電源装置、及び、前記グロープラグの間に配置され、前記グロープラグへの通電・非通電を切り替えるFETを具備してなるスイッチング手段と、
前記スイッチング手段の通電・非通電の切り替えを制御する切替信号を出力する通電信号出力手段と、
自身の一端部が、前記グロープラグ及び前記スイッチング手段間に電気的に接続される導電経路と、
前記導電経路の他端部に接続され、前記導電経路から入力される電圧をAD変換するためのADコンバータと、
前記ADコンバータを介して、前記導電経路から入力される電圧を取得するECUとを備え、
前記グロープラグが内燃機関に組み付けられたとき、当該グロープラグがグランドに電気的に接続されるグロープラグの通電制御装置であって、
前記導電経路に対して電気的に接続され、前記電源装置の供給電圧よりも低い所定電圧を前記導電経路に供給するプルアップ手段を有し、
前記通電信号出力手段により前記スイッチング手段の通電経路を閉鎖するための切替信号が出力されているときにおいて前記導電経路から入力される電圧により、前記スイッチング手段及び前記グロープラグの異常を判断する判定手段を備えることを特徴とする。
上記構成1によれば、グロープラグ及びスイッチング手段間に接続される導電経路には、電源装置の供給電圧よりも低い所定電圧を供給するプルアップ手段が電気的に接続されている。そのため、通電信号出力手段によりスイッチング手段の通電経路を閉鎖するための切替信号が出力されているときであって、グロープラグ及びスイッチング手段の双方が正常である場合には、プルアップ手段から、グロープラグが電気的に接続されているグランドへと電流が流れる。そのため、ADコンバータを介してECUが導電経路側から取得する電圧は、グランド電圧に基づいた電圧(例えば、0V)とほぼ等しいものとなる。
一方で、スイッチング手段の通電経路を閉鎖するため(すなわち、スイッチング手段をOFFとするため)の切替信号が出力されているときであって、スイッチング手段が正常であるものの、グロープラグに断線が生じている場合には、プルアップ手段からECU側へと電流が流れる。そのため、ECUが導電経路側から取得する電圧は、プルアップ手段の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しいものとなる。
さらに、スイッチング手段の通電経路を閉鎖するための切替信号が出力されているときであっても、スイッチング手段に短絡(ショート)が発生している場合には、スイッチング手段の通電経路は形成されたままとなってしまう。そのため、ECUが導電経路側から取得する電圧は、電源装置の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しいものとなる。
このように、本構成1によれば、グロープラグ及びスイッチング手段の双方が正常な場合と、グロープラグに断線が生じている場合と、スイッチング手段にショートが発生している場合とで、ECUが取得する電圧に違いを生じさせることができる。従って、ECUが取得する電圧の違いを利用することで、グロープラグの断線、及び、スイッチング手段のショートをより確実に区別することができる。その結果、グロープラグの異常であるか、又は、通電制御装置(特にスイッチング手段)の異常であるかをより確実に区別することができる。特に、構成1では、判定手段は、通電信号出力手段により前記スイッチング手段の通電経路を閉鎖するための切替信号が出力されているときにおいて前記導電経路から入力される電圧により異常を判断するので、上記作用効果がより確実に奏される。
尚、前記ECU等に対してプルアップ手段から電流が流れ続けてしまうことを防止すべく、ECUに対して前記所定電圧と等しい電圧を供給する電力供給手段を設けることとしてもよい。
また、「プルアップ手段(電源装置)の供給電圧に基づく電圧」とあるのは、プルアップ手段(電源装置)の供給電圧の増減に対応して(例えば、比例して)変動する電圧をいう。従って、このような電圧としては、例えば、プルアップ手段(電源装置)の供給電圧を分圧回路により分圧して得られる電圧等を挙げることができる(以下、同様)。
構成2.本構成のグロープラグの通電制御装置は、上記構成1において、
前記判定手段は、
前記電源装置の供給電圧に基づく電圧と、前記ECUが取得した電圧とがほぼ等しい場合に、前記スイッチング手段に短絡が生じているものと判定し、
前記プルアップ手段の供給電圧に基づく電圧と、前記ECUが取得した電圧とがほぼ等しい場合に、前記グロープラグに断線が生じているものと判定することを特徴とする。
上記構成2によれば、判定手段は、ECUが取得した電圧に基づいて、グロープラグの断線やスイッチング手段のショートを判定する。従って、上述した作用効果がより確実に奏されることとなる。
尚、前記プルアップ手段(電源装置)の供給電圧に基づく電圧と、前記ECUが取得した電圧とがほぼ等しいか否かの判定は、例えば、ECUが取得した電圧が、プルアップ手段(電源装置)の供給電圧に基づく電圧を含む所定の範囲内にあるか否かを判定することにより行うこととしてもよい。
(a)は、本実施形態のグロープラグの一部破断正面図であり、(b)は、グロープラグ先端部の部分拡大断面図である。 通電制御装置の構成を示すためのブロック図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本発明のグロープラグの通電制御装置30によって通電制御されるグロープラグ1の構成について説明する。図1(a)は、グロープラグの一例を示す一部破断正面図であり、図1(b)はグロープラグ先端部の断面図である。
図1(a),(b)に示すように、グロープラグ1は、筒状の主体金具2と、主体金具2に装着されたシースヒータ3とを備えている。
主体金具2は、軸線CL1方向に貫通する軸孔4を有するとともに、その外周面には、ディーゼルエンジンへの取付用のねじ部5と、トルクレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部6とが形成されている。
シースヒータ3は、チューブ7と中軸8とが軸線CL1方向に一体化されて構成されている。
チューブ7は、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)を主成分とする先端部が閉じた筒状チューブであり、前記チューブ7の後端は、中軸8との間で環状ゴム17により封止されている。
加えて、前記チューブ7の内側には、チューブ7先端に接合される発熱コイル9と、当該発熱コイル9の後端に直列接続された制御コイル10とが酸化マグネシウム(MgO)粉末等の絶縁粉末11とともに封入されている。但し、発熱コイル9は、その先端においてチューブ7と導通しているが、発熱コイル9及び制御コイル10の外周面とチューブ7の内周面とは、絶縁粉末11の介在により絶縁された状態となっている。
前記発熱コイル9は、例えば、Fe−クロム(Cr)−アルミニウム(Al)系合金からなる抵抗発熱線により構成されている。一方で、制御コイル10は、発熱コイル9の材質よりも電気比抵抗の温度係数が大きい材質、例えばコバルト(Co)−Ni−Fe系合金等に代表されるCo又はNiを主成分とする抵抗発熱線により構成されている。これにより、制御コイル10は、自身の発熱及び発熱コイル9からの発熱を受けることにより電気抵抗値を増大させ、発熱コイル9に対する電力供給量を制御する。従って、通電初期においては発熱コイル9には比較的大きな電力供給がなされ、発熱コイル9の温度は急速に上昇する。すると、その発熱により制御コイル10が加熱されて電気抵抗値が増大し、発熱コイル9への電力供給が減少する。これにより、シースヒータ3の昇温特性は、通電初期に急速昇温した後、以降は制御コイル10の働きにより電力供給が抑制されて温度が飽和する形となる。つまり、制御コイル10の存在により、急速昇温性を高めつつ発熱コイル9の温度の過昇(オーバーシュート)も生じにくくすることができるようになっている。尚、本実施形態において、中軸8の後端から発熱コイル9の先端に至るまでの導電経路の抵抗値(すなわち、グロープラグ1の抵抗値)は比較的低いもの(例えば、150mΩ程度)となっている。
加えて、チューブ7には、スウェージング加工等によって、その先端部に発熱コイル9等を収容する小径部7aが形成されるとともに、その後端側において小径部7aよりも径の大きい大径部7bが形成されている。そして、この大径部7bが、主体金具2の軸孔4に形成された小径部4aに対し圧入接合されることにより、チューブ7が主体金具2の先端より突出した状態で保持される。
中軸8は、自身の先端がチューブ7内に挿入され、前記制御コイル10の後端と電気的に接続されるとともに、主体金具2の軸孔4に挿通されている。中軸8の後端は主体金具2の後端から突出しており、この主体金具2の後端部においては、ゴム製等のOリング12、樹脂製等の絶縁ブッシュ13、絶縁ブッシュ13の脱落を防止するための押さえリング14、及び、通電用のケーブル接続用のナット15が先端側からこの順序で中軸8に嵌め込まれた構造となっている。
次に、本発明の特徴であるグロープラグ1の通電を制御するための通電制御装置30について説明する。尚、グロープラグ1は内燃機関(図示せず)に組み付けられており、アース(グランド)に対して電気的に接続されている。また、説明の簡便化のため、グロープラグ1は1つのみ表記し説明しているが、複数気筒のエンジン等へ取付ける際には、複数のグロープラグ1それぞれに対して同様の回路構成を備えるものとする。
通電制御装置30は、図2に示すように、通電信号出力手段32と、スイッチング手段34(単にスイッチ34ともいう)と、ADコンバータ36と、プルアップ手段38と、電圧供給手段40と、ECU42とを備える。
スイッチング手段34には、半導体スイッチであるFET342が用いられる。また、このFET342を駆動させるためのFETドライバ344も使用される。具体的には、FET342のソースが所定の出力電圧VB(例えば、12V)を有する電源装置(バッテリ)44に接続され、ドレインがグロープラグ1に接続されている。FET342のゲートには、トランジスタや複数の所定の抵抗(ともに図示せず)によって構成された前記FETドライバ344を介して、通電信号出力手段32からの切替信号が入力されるように、ECU42に接続される。また、FET342は、Pチャネルのものを用いている。
前記通電信号出力手段32は、前記ECU42によって制御されており、スイッチ34が電源装置44からグロープラグ1への通電・非通電の切り替えを行うように切替信号を、前記スイッチ34に対して出力する。この動作について詳述すると、通電信号出力手段32は、電源電圧44からグロープラグ1へと通電させる場合には、High信号(例えば、5V)をスイッチ34に対して出力する。すると、FET342へ所定の駆動電圧が印加され、ソース及びドレイン間の通電経路が形成され、グロープラグ1に対する通電が開始される。一方で、電源装置44からグロープラグ1への通電を停止、すなわち非通電とする場合には、通電信号出力手段32は、Low信号(例えば、0V)をスイッチ34に出力する。すると、FET342には駆動電圧が印加されず、ソース及びドレイン間の通電経路が閉鎖され、グロープラグ1に対する通電が停止される。このように、通電信号出力手段32の出力信号(切替信号)とスイッチ34の状態(通電又は非通電のいずれか)とは一対一に対応しており、通電信号出力手段32からスイッチ34の状態を一義的に判断することが可能である。尚、前記シースヒータ3の発熱温度を制御する際に、一周期中のHigh信号の幅を変更してグロープラグ1への通電量(実効電圧)を制御する、いわゆるPWM(Pulse−Width−Modulation)制御を行い、発熱温度の制御をすることも可能である。
前記ADコンバータ36は、FET342及びグロープラグ1間の導電経路(具体的には図2に示す接続点A)に対して導電経路46により電気的に接続されており、当該導電経路46側から入力される電圧をデジタル変換するものである。より詳しくは、前記導電経路46には、第1の抵抗としての抵抗48が介在しており、また、当該抵抗48及びADコンバータ36の間には、第3の抵抗としての抵抗50の一端部が接続されている。加えて、前記抵抗50の他端部は、グランドに接続されている。このため、ADコンバータ36には、両抵抗48,50によって分圧されたFET342及びグロープラグ1間の電圧が入力され、ADコンバータ36は、当該電圧をデジタル変換するようになっている。また、デジタル変換された電圧値Vinは、ECU42によって取得される。尚、前記抵抗48の抵抗値R2(例えば、30kΩ)に対して、前記抵抗50の抵抗値R3は比較的低く(例えば、10kΩに)設定されている。
前記プルアップ手段38は、前記導電経路46に対して電気的に接続されており、プルアップ電源382と、ダイオード384と、第2の抵抗としてのプルアップ抵抗386とを備えている。
前記プルアップ電源382は、ダイオード384のアノードに対して電気的に接続されており、前記電源装置44の供給電圧よりも低い所定電圧VP(例えば、5V)をダイオード384側へと供給する。
前記ダイオード384は、電源装置44から前記プルアップ電源382への電流の流入を防止するためのものであり、アノードが前記プルアップ電源382に対して接続され、カソードが前記プルアップ抵抗386に対して接続されている。尚、プルアップ電源382からの電圧は、ダイオード384を通過することで、所定電圧VD(例えば、0.7V)だけ低下することとなる。
加えて、プルアップ抵抗386は、一端部が前記ダイオード384に対して接続されており、他端部が前記導電経路46に対して接続されている。また、プルアップ抵抗386は、所定の抵抗値R1(例えば、20kΩ)を有している。
前記電圧供給手段40は、レギュレータ402と、電圧源404とを備えている。
レギュレータ402は、前記電源装置44と前記ECU42の電源端子とを連結する導電経路に介在しており、電源装置44の供給電圧に基づいて、ECU42に対して一定の所定電圧を供給する。尚、本実施形態において、前記所定電圧は、前記プルアップ電源382の供給電圧と等しいもの(例えば、5V)とされている。また、前記電圧源404は、前記レギュレータ402及びECU42間に接続されており、ECU42に対して前記プルアップ電源382の供給電圧と等しい電圧を供給するようになっている。
前記ECU42は、通電信号出力手段32の制御等の各種処理を行うものであり、判定手段52を備えている。尚、ECU42は、電源装置44の供給電圧よりも低い所定の動作電圧(例えば、5V)で動作するため、ECU42に入力可能な電圧は動作電圧以下となっている。
前記判定手段52は、ADコンバータ36を介してECU42が取得した電圧Vinに基づいて、グロープラグ1に断線(オープン故障)が生じているか、スイッチ34(FET342)にショート(ON故障)が生じているか、の異常を検出する。又は、グロープラグ1及び半導体スイッチ34が正常であるかを判定する。すなわち、判定手段52は、ECU42により取得された電圧Vinが、プルアップ電源382の供給電圧に基づいた電圧と略等しい場合に、グロープラグ1に断線が生じているものと判定する。また、ECU42により取得された電圧Vinが、電源装置44の供給電圧に基づいた電圧と略等しい場合に、判定手段52は、スイッチ34にショートが発生しているものと判定する。一方で、ECU42により取得された電圧Vinが、グロープラグ1が接続されるグランドの電圧(グランド電圧)とほぼ等しい場合、判定手段52は、グロープラグ1及びスイッチ34は正常であるものと判定する。
尚、グロープラグ1に断線が生じている場合に、ECU42により取得される電圧値Vinは、(VP−VD)×R3/(R1+R2+R3)…(1)の式から求められる値とほぼ等しいものとなる。一方で、スイッチ34にショートが発生している場合に、ECU42により取得される電圧値Vinは、VB×R3/(R2+R3)…(2)の式から求められる値とほぼ等しいものとなる。従って、本実施形態においては、「プルアップ電源382の供給電圧に基づいた電圧」として、前記式(1)により求められる値が予め設定されており、「電源装置44の供給電圧に基づいた電圧」として、前記式(2)により求められる値が予め設定されている。
また、ECU42により取得された電圧Vinがプルアップ電源382の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しいか否かの判定については、例えば、取得された電圧Vinが、前記式(1)±α(例えば、αは0.3V)の範囲内にあるか否かを判定することにより行われる。さらに、ECU42により取得された電圧Vinが電源装置44の供給電圧に基づく電圧とほぼ等しいか否かの判定は、例えば、取得された電圧Vinが、前記式(2)±β(例えば、βは0.5V)の範囲内にあるか否かを判定することにより行われる。
次いで、上述した通電制御装置30による異常検出方法について説明する。
まず、通電信号出力手段32から出力されている切替信号がLow信号であるか否かが、つまり、異常検出のタイミングであるか否かがチェックされる。そして、切替信号としてLow信号が出力されているときには、前記ADコンバータ36を介して、ECU42が、導電経路46側の電圧Vinを取得する。次いで、取得された電圧Vinに基づいて、判定手段52による判定処理がなされる。すなわち、取得された電圧Vinが電源装置44の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しい場合に、判定手段52は、スイッチ34にショート(具体例としてFET342のON故障)が生じているものと判定する。また、取得された電圧Vinがプルアップ電源382の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しい場合に、判定手段52は、グロープラグ1に断線が生じているものと判定する。もちろん、グロープラグ1に接続されるコネクタ等が外れていたり、プラグコードが断線している際も同様に判定される。いずれにしても、スイッチ34の故障ではなく、導電経路46の接続端以下(グロープラグ1側)の断線であることが判明する。一方で、取得された電圧Vinがグランド電圧に基づく電圧とほぼ等しい場合に、判定手段52は、グロープラグ1及びスイッチング手段34の双方が正常であると判定する。
尚、実際に、正常なFET及びグロープラグを用いたときにECU42に取得される電圧Vinと、ON故障を起こしたFETを用いたときや断線したグロープラグを用いたとき(すなわち故障を模擬したとき)にECU42に取得される電圧Vinをそれぞれ表1に示す。この試験時においては、バッテリ電圧を13.5V、プルアップ電源の供給電圧を5V、プルアップ抵抗386の抵抗値R1を20kΩ、抵抗48の抵抗値R2を30kΩ、抵抗50の抵抗の抵抗値R3を10kΩとした。また、ダイオード384の電圧降下は0.7Vであった。
Figure 0005342679
以上、表1に示すように、グロープラグの断線、FETのショート(ON故障)、又は、グロープラグ及びFETがともに正常であることを、ECU42の取得する電圧値Vinに基づいて判断できることが確認された。
以上詳述したように、本実施形態によれば、グロープラグ1及びスイッチ34間に接続される導電経路46には、電源装置44の供給電圧よりも低い所定電圧を供給するプルアップ手段38が電気的に接続されている。そのため、グロープラグ1及びスイッチ34(FET342)が正常な場合と、グロープラグ1に断線が生じている場合と、スイッチ34(FET344)のショートが発生している場合とで、ECU42が取得する電圧Vinに違いを生じさせることができる。従って、この電圧の違いを利用することで、グロープラグ1の断線、及び、スイッチング手段34(FET342)のショートをより確実に区別することができる。その結果、グロープラグ1の異常であるか、又は、通電制御装置30の異常であるかをより確実に判別することができる。
また、ECU42に対してプルアップ手段38の供給電圧と等しい電圧を供給する電圧供給手段40が設けられているため、ECU42等に対してプルアップ手段38から電流が流れ続けてしまうことを防止することができる。
さらに、電源装置44の供給電圧はECU42の動作電圧(入力可能電圧)よりも大きいところ、抵抗48、及び、当該抵抗48よりも抵抗値の小さい抵抗50が設けられている。このため、ECU42に対して入力される電圧をECU42に入力可能な電圧よりも小さなものにより確実に分圧することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、通電制御装置30は、発熱コイル9を有するグロープラグ1(メタルグロープラグ)の通電を制御するように構成されているが、通電制御装置30による制御の対象は、メタルグロープラグに限定されるものではない。従って、通電制御装置30が、セラミックヒータを有するセラミックグロープラグの通電を制御するように構成することとしてもよい。
(b)上記実施形態では特に言及していないが、判定手段52によってグロープラグ1の断線又はスイッチ34の短絡と判定された場合に、判定結果をユーザや外部装置に通知する通知手段を設けることとしてもよい。
(c)上記実施形態では、プルアップ電源382の供給電圧は5Vとされているが、プルアップ電源382の供給電圧は、これに限定されるものではない。従って、プルアップ電源382の供給電圧を2V程度にすることとしてもよい。但し、判定手段52による判定を精度よく行うという観点から、プルアップ電源382の供給電圧は、グランド電圧及び電源装置44の供給電圧の中間程度の電圧とすることが好ましい。
(d)上記実施形態においては、通電信号出力手段32から切替信号としてHigh信号が出力されている場合、スイッチ34が正常であれば、ECU42により取得される電圧Vinは、電源装置44の供給電圧に基づいた電圧となる。この点を利用して、切替信号としてHigh信号が出力されているときにおいて、ECU42により取得された電圧Vinが、電源装置44の供給電圧に基づいた電圧とほぼ等しいか否かを判断することで、電源装置44及びグロープラグ1間を結ぶ導電経路における断線の有無を検知することとしてもよい。すなわち、ECU42により取得された電圧Vinが、電源装置44の供給電圧に基づいた電圧と著しく異なる場合に、電源装置44及びグロープラグ間の導電経路が断線しているものと検知することとしてもよい。
1…グロープラグ、30…通電制御装置、32…通電信号出力手段、34…スイッチング手段(スイッチ)、36…ADコンバータ、38…プルアップ手段、42…ECU、44…電源装置、46…導電経路、48…抵抗(第1の抵抗)、50…抵抗(第3の抵抗)、52…判定手段、382…プルアップ電源、384…ダイオード、386…プルアップ抵抗(第2の抵抗)。

Claims (2)

  1. グロープラグへと電力を供給するための電源装置、及び、前記グロープラグの間に配置され、前記グロープラグへの通電・非通電を切り替えるFETを具備してなるスイッチング手段と、
    前記スイッチング手段の通電・非通電の切り替えを制御する切替信号を出力する通電信号出力手段と、
    自身の一端部が、前記グロープラグ及び前記スイッチング手段間に電気的に接続される導電経路と、
    前記導電経路の他端部に接続され、前記導電経路から入力される電圧をAD変換するためのADコンバータと、
    前記ADコンバータを介して、前記導電経路から入力される電圧を取得するECUとを備え、
    前記グロープラグが内燃機関に組み付けられたとき、当該グロープラグがグランドに電気的に接続されるグロープラグの通電制御装置であって、
    前記導電経路に対して電気的に接続され、前記電源装置の供給電圧よりも低い所定電圧を前記導電経路に供給するプルアップ手段を有し、
    前記通電信号出力手段により前記スイッチング手段の通電経路を閉鎖するための切替信号が出力されているときにおいて前記導電経路から入力される電圧により、前記スイッチング手段及び前記グロープラグの異常を判断する判定手段を備えることを特徴とするグロープラグの通電制御装置。
  2. 前記判定手段は、
    前記電源装置の供給電圧に基づく電圧と、前記ECUが取得した電圧とがほぼ等しい場合に、前記スイッチング手段に短絡が生じているものと判定し、
    前記プルアップ手段の供給電圧に基づく電圧と、前記ECUが取得した電圧とがほぼ等しい場合に、前記グロープラグに断線が生じているものと判定することを特徴とする請求項1に記載のグロープラグの通電制御装置。
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