JP5340503B1 - 液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供する。また、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供する。
【解決手段】硬化性樹脂と熱硬化剤とを含有する液晶滴下工法用シール剤であって、前記硬化性樹脂は、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂、及び、エポキシ樹脂を含有し、前記熱硬化剤は、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を含有する液晶滴下工法用シール剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法は、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、従来の真空注入方式から、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているような光硬化性樹脂、光重合開始剤、熱硬化性樹脂、及び、熱硬化剤を含有する光、熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式にかわりつつある。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
特許文献3には、液晶滴下工法用シール剤に配合する硬化性樹脂として、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用いることにより、液晶汚染性が低く、かつ、保存安定性に優れるシール剤を得る方法が開示されている。しかしながら、硬化性樹脂として、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合、得られたシール剤が脱泡性に劣るものとなることがあるという問題があった。
また、従来の液晶表示素子は、シール剤の配置位置がガラスやITO等の無機材料上であることがほとんどであり、シール剤もこれらの無機材料に対する接着力等を考慮して設計されていた。しかしながら、近年の液晶表示装置の用途の拡大に伴い液晶表示部の狭額縁化が進み、配向膜上にシール剤が配置される基板が急速に普及してきており、硬化性樹脂として、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合、得られたシール剤が配向膜への塗布性に劣るものとなることがあるという問題があった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号パンフレット 特許第4224526号公報
本発明は、保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と熱硬化剤とを含有する液晶滴下工法用シール剤であって、上記硬化性樹脂は、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂、及び、エポキシ樹脂を含有し、上記熱硬化剤は、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を含有する液晶滴下工法用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
液晶滴下工法用シール剤に配合する硬化性樹脂として、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用いる場合、硬化性樹脂の熱反応性が低くなるため、通常、液晶滴下工法用シール剤に配合する熱硬化剤としては反応性の高いものが用いられる。
本発明者は、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合に、得られたシール剤が脱泡性や塗布性に劣るものとなる原因が、該熱硬化剤と硬化性樹脂との溶解性パラメーターに大きな差があり、その結果、得られたシール剤が熱硬化剤の分散性に劣るものとなっていることであることを見出した。
そこで本発明者は、硬化性樹脂としてイソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を用い、かつ、熱硬化剤として、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を組み合わせて用いることにより、保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を含有する。上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂を含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、保存安定性に優れ、かつ、液晶汚染性の低いものとなる。
上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を意味し、上記「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂のうち、市販されているものとしては、例えば、アロニックスM−315、アロニックスM−327(いずれも東亞合成社製)等が挙げられる。
上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量は、硬化性樹脂全体100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が50重量部である。上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量が5重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤が、接着性に劣るものとなったり、保存安定性に劣るものとなったりすることがある。上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量が50重量部を超えると、得られるシール剤の液晶汚染性の高いものとなったりすることがある。上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は40重量部、更に好ましい下限は15重量部、更に好ましい上限は30重量部である。
上記硬化性樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂に加えて、その他の(メタ)アクリル樹脂を含有してもよい。
上記その他の(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを示す。
上記エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれも三菱化学社製)、エピクロン850(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート806、エピコート4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコートYX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鐵化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピコート630(三菱化学社製)、エピクロン430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鐵化学社製)、エピクロン726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鐵化学社製)、エポリードPB(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鐵化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、レゾルシノール型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、「EX−201」)360重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸210重量部を、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌し、5時間反応させることによってレゾルシノール型エポキシアクリレートを得ることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYLRDX63182(いずれもダイセル・サイテック社製)、EA−1010、EA−1020、EA−5323、EA−5520、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートは特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。また、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物を使用することもできる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体は特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品やエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合禁止剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート51重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌し、2時間反応させることによってウレタンアクリレートを得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL4842、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセル・サイテック社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−2HA、U−2PHA、U−3HA、U−4HA、U−6H、U−6LPA、U−6HA、U−10H、U−15HA、U−122A、U−122P、U−108、U−108A、U−324A、U−340A、U−340P、U−1084A、U−2061BA、UA−340P、UA−4100、UA−4000、UA−4200、UA−4400、UA−5201P、UA−7100、UA−7200、UA−W2A(いずれも新中村化学工業社製)、AI−600、AH−600、AT−600、UA−101I、UA−101T、UA−306H、UA−306I、UA−306T(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、上述したエポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物と同様のものが挙げられる。
また、上記エポキシ樹脂として、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を含有してもよい。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ1つ以上有する樹脂を意味する。また、本明細書において上記(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、例えば、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
更に、上記エポキシ樹脂は、上記イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の(メタ)アクリロイル基の一部又は全部がエポキシ基である樹脂であってもよい。
上記エポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂全体100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が50重量部である。上記エポキシ樹脂の含有量が10重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤が接着性に劣るものとなることがある。上記エポキシ樹脂の含有量が50重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が液晶汚染を引き起こすことがある。上記エポキシ樹脂の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は30重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、熱硬化剤を含有する。
上記熱硬化剤は、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を含有する。上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を組み合わせて用いることにより、得られる液晶滴下工法用シール剤が脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れるものとなる。
なお、本明細書において、上記「溶解性パラメーター(以下、SP値ともいう)」とは、Polymer Engineering&Science 14 147(1974)等に記載されているように、物質の化学構造のみから推算される値であり、下記数式(1)より求めることができる。SP値が近いもの同士は相溶し、SP値が離れたもの同士は相分離する。
Figure 0005340503
式(1)中、Evは蒸発エネルギー(J/mol)を表し、Vはモル容積(m/mol)を表し、Δeiは原子又は原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)を表し、ΔViはモル体積(cm/mol)を表す。
上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤としては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(SP値31.5)、マロン酸ジヒドラジド(SP値36.3)、アジピン酸ジヒドラジド(SP値30.3)等のヒドラジド系硬化剤、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(SP値32.9)等のイミダゾール系硬化剤、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−S−トリアジン(SP値30.4)等のアミン化合物等が挙げられる。なかでも、得られる液晶滴下工法用シール剤が反応性に優れ、かつ、液晶汚染性の低いものとなることから、ヒドラジド系硬化剤が好ましい。
これらの溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤のうち市販されているものとしては、例えば、アミキュアVDH(味の素ファインテクノ社製)、MDH(大塚化学社製)、2MZ−A(四国化成社製)等が挙げられる。
上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤としては、例えば、ドデカンジオヒドラジド(SP値24.5)、セバシン酸ジヒドラジド(SP値26.6)等のヒドラジド系硬化剤、2−メチルイミダゾール(SP値22.6)等のイミダゾール系硬化剤、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(SP値20.5)等のアミン化合物等が挙げられる。なかでも、得られる液晶滴下工法用シール剤が反応性に優れ、かつ、液晶汚染性の低いものとなることから、ヒドラジド系硬化剤が好ましい。
これらの溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤のうち市販されているものとしては、例えば、N−12(日本ファインケム社製)、SDH(大塚化学社製)、2MZ(四国化成社製)等が挙げられる。
上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤と上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤との含有割合は、重量比で、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤:溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤=1:1〜1:5であることが好ましい。上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤の含有量が、上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤の含有量の1倍未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の脱泡性、及び、配向膜への塗布性を向上させる効果が充分に発揮されなくなることがある。上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤の含有量が、上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤の含有量の5倍を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が、熱反応性に劣るものとなることがある。上記溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤と上記溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤との含有割合は、1:1〜1:3であることがより好ましい。
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤が硬化性に劣るものとなることがある。上記熱硬化剤の含有量が50重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなり、塗布性が悪くなることがある。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい下限は5重量部、より好ましい上限は20重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤のうち、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤は特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等を好適に用いることができる。
また、上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACUREOXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF Japan社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。なかでも吸収波長域が広いことから、IRGACURE651、IRGACURE907、ベンゾインイソプロピルエーテル、及び、ルシリンTPOが好適である。これらの光ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合開始剤のうち、熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤は特に限定されず、過酸化物やアゾ化合物が挙げられ、市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されないが、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記ラジカル重合開始剤の含有量が0.01重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤を充分に硬化させることができないことがある。上記ラジカル重合開始剤の含有量が10重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が保存安定性に劣るものとなることがある。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤は特に限定されないが、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができることから、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤の含有量は、本発明の液晶滴下工法用シール剤100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部未満であると、シランカップリング剤を配合することによる効果が充分に発揮されないことがある。上記シランカップリング剤の含有量が20重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が液晶汚染を引き起こすことがある。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は10重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等を目的としてフィラーを含有することが好ましい。
上記フィラーは特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラーが挙げられる。これらのフィラーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記フィラーの含有量は、本発明の液晶滴下工法用シール剤100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が70重量部である。上記フィラーの含有量が5重量部未満であると、接着性の改善等の効果が充分に発揮されないことがある。上記フィラーの含有量が70重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなり、塗布性が悪くなることがある。上記フィラーの含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
上記チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶滴下工法用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、上記光ラジカル重合開始剤や上記光カチオン重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の液晶滴下工法用シール剤の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の液晶滴下工法用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶滴下工法用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N(いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5μmである。上記遮光剤の一次粒子径が1nm未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度やチクソトロピーが大きく増大してしまい、作業性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径が5μmを超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板への塗布性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
上記遮光剤の含有量は、本発明の液晶滴下工法用シール剤全体に対して、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が80重量%である。上記遮光剤の含有量が5重量%未満であると、充分な遮光性が得られないことがある。上記遮光剤の含有量が80重量%を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度が低下したり、描画性が低下したりすることがある。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は70重量%であり、更に好ましい下限は30重量%、更に好ましい上限は60重量%である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサー、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他添加剤等を含有してもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤を製造する方法は特に限定されず、例えば、硬化性樹脂、熱硬化剤、及び、必要に応じて配合される添加剤等を、3本ロール等を用いた従来公知の方法により混合し、均一に分散させる方法等が挙げられる。このとき、イオン性の不純物を除去するために層状珪酸塩鉱物等のイオン吸着性固体と接触させてもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、電極間を確実に導電接続することができる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子は特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いて液晶表示素子を製造する方法は特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明の液晶滴下工法用シール剤及び/又は本発明の上下導通材料をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して硬化させる。その後、100〜200℃のオーブン中で約1時間加熱硬化させて硬化を完了させ、液晶表示素子を作製する。
本発明の液晶滴下工法用シール剤、又は、本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、塗布位置が基板に形成された配向膜上であっても、かすれ等を発生させることなく塗布して液晶表示素子を作製することができる。
本発明によれば、保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜15、比較例1〜10)
表1〜3に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜15、比較例1〜10の液晶滴下工法用シール剤を調製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1〜3に示した。
(脱泡性)
各実施例及び各比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤を、溶存酸素センサーを備えた溶存ガス分析計(ハックウルトラ社製)を用いて、脱泡性を評価した。
本装置の原理は、シール剤中に存在する溶存酸素を定量するものであり、溶存酸素センサーは、半透膜付きの電極からなり、半透膜を透過した酸素が一定電圧をかけた電極に到達すると、電解液内で化学反応が起こり、酸素量に比例した電流が発生する。この際発生した電流を測定し、上記溶存ガス分析計で酸素分圧として定量することにより、溶存酸素分圧を測定することができる。そこで、シール剤が上記溶存酸素センサー上を一定流量で流れるようにすることで、シール剤中の酸素分圧を測定し、その結果、酸素分圧が2.0Pa未満であった場合を「○」、2.0Pa以上4.0Pa未満であった場合を「△」、4.0Pa以上であった場合を「×」として脱泡性を評価した。
(熱反応性)
各実施例及び各比較例で得られたシール剤を、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いてガラス基板上に塗布し、シール剤を充分に押しつぶした後、メタルハライドランプにて100mW/cmの紫外線を30秒照射し、更に120℃で60分加熱することによって硬化物を得た。顕微IR法によって硬化物のスペクトルを測定し、それぞれのスペクトルからシール剤中の官能基の転化率を求めた。この時、910cm−1付近のピーク面積をエポキシ基のピーク面積とし、リファレンスピーク面積(845〜820cm−1)と比較することによりエポキシ基の転化率を下記式により算出した。この時、エポキシ基の転化率が90%以上であった場合を「○」、80%以上90%未満であった場合を「△」、80%未満であった場合を「×」として熱反応性を評価した。
エポキシ基の転化率={1−(硬化後のエポキシ基のピーク面積/硬化後のリファレンスピーク面積)/(硬化前のエポキシ基のピーク面積/硬化前のリファレンスピーク面積)}×100
(保存安定性)
各実施例及び各比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤について、25℃で1週間保管したときの粘度と、製造直後の初期粘度とを測定した。(25℃、1週間保管後の粘度)/(初期粘度)を粘度変化率とし、粘度変化率が1.10未満であったものを「○」、1.10以上1.40未満であったものを「△」、1.40以上であったものを「×」として保存安定性を評価した。
なお、液晶滴下工法用シール剤の粘度は、E型粘度計(BROOK FIELD社製、「DV−III」)を用い、25℃において回転速度1.0rpmの条件で測定した。
(配向膜への塗布性)
ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いて、各実施例及び各比較例で得られたシール剤を、TN用配向膜SE7492(日産化学社製)付きガラス基板に塗布し10分間放置した後、塗布されたシール剤の形状を観察した。この時、シール剤の形状が直線を維持していた場合を「○」、直線を維持できていなかった場合「×」として配向膜への塗布性を評価した。
(液晶汚染性)
各実施例及び各比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤100重量部に対して平均粒径5μmのポリマービーズ(積水化学工業社製、「ミクロパールSP」)3重量部を遊星式攪拌装置によって均一に分散させ、得られたシール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にてITO薄膜付きの透明電極基板に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC−5001LA」)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布し、他方の透明基板を、真空貼り合わせ装置にて5Paの真空下にて貼り合わせた。貼り合わせた後のセルを紫外線照射機に投入して3000mJ/cmの紫外線でシール剤を硬化させた後、120℃のオーブンにて60分間シール剤を熱硬化させ、液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子について、シール部周辺の液晶(特にコーナー部)に生じる表示むらを目視にて観察し、表示むらが全く無かった場合を「◎」、表示むらがほとんどなかった場合を「○」、表示むらが確認された場合を「△」、酷い表示むらが確認された場合を「×」として液晶汚染性を評価した。
Figure 0005340503
Figure 0005340503
Figure 0005340503
本発明によれば、保存安定性、脱泡性、及び、配向膜への塗布性に優れ、かつ、液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂と熱硬化剤とを含有する液晶滴下工法用シール剤であって、
    前記硬化性樹脂は、イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂、及び、エポキシ樹脂を含有し、
    前記熱硬化剤は、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤を含有する
    ことを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。
  2. 溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤、及び、溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤は、ヒドラジド系硬化剤であることを特徴とする請求項1記載の液晶滴下工法用シール剤。
  3. 溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤と溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤との含有割合は、重量比で、溶解性パラメーターが30以上の潜在性硬化剤:溶解性パラメーターが30未満の潜在性硬化剤=1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶滴下工法用シール剤。
  4. イソシアヌル骨格を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量が、硬化性樹脂100重量部に対して5〜50重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶滴下工法用シール剤。
  5. 遮光剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶滴下工法用シール剤。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の液晶滴下工法用シール剤と、導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  7. 請求項1、2、3、4若しくは5記載の液晶滴下工法用シール剤、又は、請求項6記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
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