JP5338921B2 - 磁気共鳴型アイソレータ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気共鳴型アイソレータ、特に、マイクロ波帯などで使用される磁気共鳴型アイソレータに関する。
一般に、アイソレータは信号を特定方向にのみ伝送し、逆方向には伝送しない特性を有し、携帯電話などの移動体通信機器の送信回路部に搭載されている。そして、磁気共鳴型アイソレータとしては特許文献1,2に記載のものが知られている。磁気共鳴型アイソレータは、直交する二つの線路(四つの開口を有している)に、振幅が等しく位相が1/4波長だけ異なる高周波電流が流れたとき、交点に回転する磁界(円偏波)が生じ、二つの線路の電磁波進行方向に応じて円偏波の旋回方向が逆転する現象を利用している。即ち、交点にフェライトを配置するとともに永久磁石によって磁気共鳴に必要な静磁界を印加し、主線路を伝搬する電磁波の進行方向に応じて副線路からの反射波によって正の円偏波又は負の円偏波が生じる。正の円偏波が生じるとフェライトの磁気共鳴によって信号が吸収され、負の円偏波が生じると磁気共鳴は発生せずに信号はそのまま通過する。副線路の端部には信号を反射させるリアクタンス素子が接続される。
しかしながら、従来の磁気共鳴型アイソレータは、主線路が共振するために1/4波長の長さを有しており、かつ、二つのリアクタンス素子を搭載するために、例えば、約2GHzではサイズが20mm×20mmと大型化している。このことは、移動体通信機器が近年小型化、実装密度が高度化している現状に適合していない。
特開昭63−260201号公報 特開2001−326504号公報
そこで、本発明の目的は、小型化された低インピーダンスの磁気共鳴型アイソレータを提供することにある。
本発明の第の形態である磁気共鳴型アイソレータは、
互いに対向する第1主面及び第2主面を有するフェライトと、
前記フェライトの第1主面に配置された、第1開口、第2開口及び第3開口を有する接合導体と、
前記フェライトに直流磁界を印加する永久磁石と、
を備え、
前記接合導体は、第1開口と第2開口との間に配置された主線路と、該主線路から分岐して第3開口に至る副線路とからなり、前記主線路は共振することがなく、
前記副線路は第2主面に前記主線路と直交する方向に延在された対向導体とされ、該対向導体の端部を第3開口とし、第3開口とグランドとの間にリアクタンス素子が接続されていること、
を特徴とする。
の形態である磁気共鳴型アイソレータにおいて、リアクタンス素子が接続されている副線路からの反射波が第1及び第2開口からの入射波に対して接合導体の交点で90度位相がずれるように調整されている。これにより、交点に正又は負の円偏波が発生する。正又は負の円偏波が発生することによる信号の吸収、通過は従来と同様である。第1の形態である磁気共鳴型アイソレータは、主線路が共振することはないので、主線路を1/4波長以下に短くすることができ、かつ、3開口タイプであるためにリアクタンス素子は一つでよい。これにて、非常に小型で低インピーダンスの磁気共鳴型アイソレータとすることができる。また、フェライトの第2主面に主線路と直交する方向に延在する対向導体が副線路から延長された状態で配置されているため、対向導体によって高周波磁界がフェライトに閉じ込められて磁束の漏れが小さくなり、挿入損失が改善される。
また、フェライト第1及び第2主面にそれぞれ対向する一対の永久磁石によって挟まれた状態で実装用基板上にいわば縦置きすることにより、縦置きされているフェライトに設けた接合導体は、その厚み分だけで実装用基板に配置されているグランド導体と対向するため、インピーダンスが高くなり、挿入損失が小さくなる。
本発明によれば、小型化された低インピーダンスの磁気共鳴型アイソレータを得ることができる。
第1実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す斜視図である。 第1実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す分解斜視図である。 第1実施例である磁気共鳴型アイソレータのフェライトを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。 第1実施例である磁気共鳴型アイソレータの等価回路図である。 第1実施例である磁気共鳴型アイソレータの特性を示すグラフである。 第2実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す斜視図である。 第2実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す分解斜視図である。 第2実施例である磁気共鳴型アイソレータのフェライトを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。 第2実施例である磁気共鳴型アイソレータの等価回路図である。 第2実施例である磁気共鳴型アイソレータの特性を示すグラフである。 第3実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す斜視図である。 第3実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す分解斜視図である。 第3実施例である磁気共鳴型アイソレータのフェライトを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。 第3実施例である磁気共鳴型アイソレータの等価回路図である。 第3実施例である磁気共鳴型アイソレータの特性を示すグラフである。 第4実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す斜視図である。 第4実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す分解斜視図である。 第4実施例である磁気共鳴型アイソレータのフェライトを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。 第4実施例である磁気共鳴型アイソレータの等価回路図である。 第4実施例である磁気共鳴型アイソレータの特性を示すグラフである。 第5実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す斜視図である。 第5実施例である磁気共鳴型アイソレータを示す分解斜視図である。 第5実施例である磁気共鳴型アイソレータのフェライトを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。 第5実施例である磁気共鳴型アイソレータの等価回路図である。 第5実施例である磁気共鳴型アイソレータの特性を示すグラフである。
以下、本発明に係る磁気共鳴型アイソレータの実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図において斜線を付した部分は導電体であることを示している。
(第1実施例、図1〜図5参照)
第1実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Aは、図1及び図2に示すように、フェライト10と、フェライト10の第1主面11に配置されたT字形状をなす三つの開口P1,P2,P3を有する接合導体15と、フェライト10に直流磁界を印加する永久磁石20と、リアクタンス素子としてのコンデンサCと、実装用基板30と、を備えている。
接合導体15は、導電性金属による蒸着などで形成された薄膜あるいは導電性ペーストの塗布・焼付けにて形成された厚膜である。図3及び図4に示すように、接合導体の三つの開口P1,P2,P3のうち、直線状に対向する第1開口P1と第2開口P2との間に配置された主線路は1/4波長以下の共振しない線路長とされている。第1主面11上で接合導体15の主線路から分岐した副線路は、主線路と直交する方向に延在され、その端部が第3開口P3とされている。そして、第3開口P3にはコンデンサCの一端が接続される。なお、主線路の両端(第1及び第2開口P1,P2)及び副線路の端部(第3開口P3)はフェライト10の側面から第2主面12側に回り込んでいる(図3(B)参照)。ここで、主線路とは第1及び第2開口P1,P2間の導体を意味し、副線路とは主線路の中央部分から分岐して第3開口P3へ至る導体を意味する。
実装用基板30には、入力端子電極31、出力端子電極32、中継端子電極33、グランド端子電極34がそれぞれ形成されている。フェライト10と永久磁石20は同じ面積であり、フェライト10は第1主面11上に永久磁石20が貼着された状態で実装用基板30上に搭載される。このとき、主線路の一端(第1開口P1)は入力端子電極31に接続され、他端(第2開口P2)は出力端子電極32に接続され、副線路の端部(第3開口P3)は中継端子電極33に接続される。コンデンサCは一端が中継端子電極33に接続され、他端がグランド端子電極34に接続される。
以上の構成からなる磁気共鳴型アイソレータ1Aにおいて、コンデンサCが接続されている副線路からの反射波が第1開口P1又は第2開口P2からの入射波に対して接合導体15の交点で90度位相がずれるように調整されている。詳しくは、第1開口P1からの入射波は、副線路からの反射波によって交点に負の円偏波が生じるので磁気共鳴が発生することはなく、入射波は第2開口P2に伝送される。一方、第2開口P2からの入射波は、副線路からの反射波によって交点に正の円偏波が生じるので磁気共鳴して吸収される。
第1実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Aの入力リターンロスを図5(A)に示し、アイソレーションを図5(B)に示し、挿入損失を図5(C)に示し、出力リターンロスを図5(D)に示す。飽和磁化は100mT、コンデンサCの容量は4pFである。入力端及び出力端の間のインピーダンスは20Ωである。1920〜1980MHzで挿入損失が2.4dB、アイソレーションが9.6dBである。
また、主線路が共振することはないので、主線路を1/4波長以下に短くすることができ、第1実施例において、フェライト10のサイズは縦横が0.6mm、厚さが0.15mmである。このように、フェライト10が従来よりも非常に小さなサイズであること、及び、リアクタンス素子として一つのコンデンサCを用いていることと相俟って、小型で低インピーダンスの磁気共鳴型アイソレータが得られた。
この磁気共鳴型アイソレータ1Aは、例えば、移動体通信機器の送信回路モジュールに組み込まれる。実装用基板30は送信回路モジュールにおけるパワーアンプを搭載するためのプリント配線基板であってもよい。この場合、接合導体15を備えかつ永久磁石20を貼着したフェライト10が送信モジュールの組立て工程に供給されることになる。この点は以下に示す第2〜第5実施例でも同様である。
(第2実施例、図6〜図10参照)
第2実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Bは、図8(B)に示すように、フェライト10の第2主面12にグランド導体16を形成し、グランド導体16と接続するための中継端子電極35を実装用基板30に設けたもので、他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、その作用効果は第1実施例と基本的に同様である。
第2実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Bの入力リターンロスを図10(A)に示し、アイソレーションを図10(B)に示し、挿入損失を図10(C)に示し、出力リターンロスを図10(D)に示す。飽和磁化は100mT、コンデンサCの容量は4pFである。入力端及び出力端の間のインピーダンスは20Ωである。1920〜1980MHzで挿入損失が2.3dB、アイソレーションが11.1dBである。フェライト10のサイズは縦横が0.6mm、厚さが0.15mmである。
(第3実施例、図11〜図15参照)
第3実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Cは、第1主面11上で接合導体15の主線路から分岐した副線路の端部を、第2主面12に主線路と直交する方向に延在された対向導体17(図13(B)参照)としたもので、対向導体17の端部は第3開口P3とされ、中継端子電極33に接続されている。コンデンサCは中継端子電極33とグランド端子電極34間に接続されている。本第3実施例において他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、その作用効果は第1実施例と基本的に同様である。
第3実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Cの入力リターンロスを図15(A)に示し、アイソレーションを図15(B)に示し、挿入損失を図15(C)に示し、出力リターンロスを図15(D)に示す。飽和磁化は100mT、コンデンサCの容量は3pFである。入力端及び出力端の間のインピーダンスは20Ωである。1920〜1980MHzで挿入損失が0.8dB、アイソレーションが9.5dBである。フェライト10のサイズは縦横が0.6mm、厚さが0.15mmである。
本第3実施例においては、挿入損失特性、アイソレーション特性が良好である。その理由は、第1及び第2開口P1,P2間の主線路と直交する方向に延在する対向導体17が第3開口P3と接続した状態で配置されているため、対向導体17によって高周波磁界がフェライト10に閉じ込められて磁束の漏れが小さくなったためである。
(第4実施例、図16〜図20参照)
第4実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Dは、図16、図17に示すように、リアクタンス素子として前記コンデンサCに代えてインダクタLを設けたものであり、他の構成は前記第3実施例と同様である。従って、その作用効果は第3実施例と同様である。
第4実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Dの入力リターンロスを図20(A)に示し、アイソレーションを図20(B)に示し、挿入損失を図20(C)に示し、出力リターンロスを図20(D)に示す。飽和磁化は100mT、インダクタLのインダクタンスは2nHである。入出端及び出力端の間のインピーダンスは30Ωである。1920〜1980MHzで挿入損失が1.4dB、アイソレーションが8.7dBである。フェライト10のサイズは縦横が0.6mm、厚さが0.15mmである。
(第5実施例、図21〜図25参照)
第5実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Eは、図21〜図23に示すように、直方体形状のフェライト10の第1主面11に接合導体15を配置し、一端を第1開口P1とし、他端を第2開口P2とし、第1及び第2開口P1,P2間の主線路の中央部分から分岐した副線路をフェライト10の上面から第2主面12へ延長して主線路と直交する対向導体17としたものである。対向導体17の端部はフェライト10の第2主面12から下面を介して第1主面11まで延在され、第3開口P3とされている。主線路は1/4波長以下の共振しない線路長とされている。
また、フェライト10は第1及び第2主面11,12にそれぞれ対向する一対の永久磁石20によって挟まれており、かつ、実装用基板30上に第1及び第2主面11,12が実装用基板30の表面と直交する方向に搭載(即ち、縦置き)されている
実装用基板30には、入力端子電極31、出力端子電極32、中継端子電極33、グランド端子電極34がそれぞれ形成されている。接合導体15の一端(第1開口P1)は入力端子電極31に接続され、他端(第2開口P2)は出力端子電極32に接続され、対向導体17の他端(第3開口P3)は中継端子電極33に接続される。コンデンサCは一端が中継端子電極33に接続され、他端がグランド端子電極34に接続される。
本第5実施例である磁気共鳴型アイソレータ1Eの入力リターンロスを図25(A)に示し、アイソレーションを図25(B)に示し、挿入損失を図25(C)に示し、出力リターンロスを図25(D)に示す。飽和磁化は100mT、コンデンサCの容量は2pFである。入力端及び出力端の間のインピーダンスは20Ωである。1920〜1980MHzで挿入損失が0.42dB、アイソレーションが7.1dBである。フェライト10のサイズは縦横が0.4mm×0.8mm、厚さが0.15mmである。第5実施例においては、挿入損失特性が良好であり、小型化、低背化が実現されている。
本第5実施例では、実装用基板30上に縦置きされているフェライト10に設けた接合導体15は、その厚み分だけで実装用基板30に配置されているグランド導体(図示せず)と対向するため、インピーダンスが高くなり、挿入損失が小さくなる。
なお、本発明に係る磁気共鳴型アイソレータは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
例えば、接合導体は必ずしもT字形状である必要はなく、交点が90度より若干大きいあるいは小さい角度を有していてもよい。また、実装用基板にあってはその大きさ、形状、構造などは任意である。
以上のように、本発明は、磁気共鳴型アイソレータに有用であり、特に、小型化、低インピーダンスを達成できる点で優れている。
1A〜1E…磁気共鳴型アイソレータ
10…フェライト
11,12…主面
15…接合導体
17…対向導体
20…永久磁石
30…実装用基板
P1…第1開口
P2…第2開口
P3…第3開口
C…コンデンサ
L…インダクタ

Claims (2)

  1. 互いに対向する第1主面及び第2主面を有するフェライトと、
    前記フェライトの第1主面に配置された、第1開口、第2開口及び第3開口を有する接合導体と、
    前記フェライトに直流磁界を印加する永久磁石と、
    を備え、
    前記接合導体は、第1開口と第2開口との間に配置された主線路と、該主線路から分岐して第3開口に至る副線路とからなり、前記主線路は共振することがなく、
    前記副線路は第2主面に前記主線路と直交する方向に延在された対向導体とされ、該対向導体の端部を第3開口とし、第3開口とグランドとの間にリアクタンス素子が接続されていること、
    を特徴とする磁気共鳴型アイソレータ。
  2. さらに、実装用基板を備え、
    前記フェライトは第1及び第2主面にそれぞれ対向する一対の永久磁石によって挟まれており、かつ、前記実装用基板上に第1及び第2主面が該実装用基板の表面と直交する方向に搭載されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴型アイソレータ。
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