以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させることができる。
なお本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
なお、図1(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
例えば図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。本実施形態では図1(C)のようなコイルにも適用可能である。なお図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
2.構成
図2に本実施形態の送電装置10、送電制御装置20、受電装置40、受電制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、図2の送電装置10と送電側のホスト2を含む。また携帯電話機510などの受電側の電子機器は、受電装置40と負荷90(本負荷)と受電側のホスト4を含むことができる。これらのホスト(ホストプロセッサ)2、4は、例えばCPU、アプリケーションプロセッサ、ASIC回路等により実現でき、例えば送電側や受電側の電子機器の全体的な制御処理などの各種処理を行う。そして図2の構成により、例えば1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、負荷90に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、送電制御装置20を含むことができる。なお送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えば波形モニタ回路)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば送電部12を送電制御装置20に内蔵させてもよい。
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。この送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えばパワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(バッファ回路)であり、送電制御装置20により制御される。
図2では、送電側から受電側へのデータ通信は周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信は負荷変調により実現している。
具体的には図3(A)に示すように、送電部12は、例えばデータ「1」を受電側に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。そして受電側の検出回路59が、この周波数の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、送電側から受電側への周波数変調によるデータ通信が実現される。
一方、受電側の負荷変調部46は、送信するデータに応じて受電側の負荷を可変に変化させて、図3(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。例えばデータ「1」を送電側に対して送信する場合には、受電側を高負荷状態にし、データ「0」を送信する場合には、受電側を低負荷状態にする。そして送電側の負荷状態検出回路30が、この受電側の負荷状態の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、受電側から送電側への負荷変調によるデータ通信が実現される。
なお図3(A)、図3(B)では送電側から受電側へのデータ通信を周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信を負荷変調により実現しているが、これ以外の変調方式や他の方式を採用してもよい。
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)やマイクロコンピュータとそのプログラムなどにより実現できる。この送電制御装置20は、制御部22、レジスタ部23、ホストI/F(インターフェース)27、負荷状態検出回路30を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部(例えば負荷状態検出回路)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。
制御部22(送電側)は送電制御装置20や送電装置10の制御を行うものである。この制御部22は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部22は、送電部12を用いた送電の制御を行ったり、レジスタ部23の制御を行ったり、負荷状態検出回路30を制御する。具体的には、電力伝送、負荷状態検出(データ検出、異物検出、取り去り検出等)、周波数変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
制御部22は、送電シーケンス制御部100、送信制御部102、受信制御部104、検知判定部106、定期認証判定部108を含む。送電シーケンス制御部100は、無接点電力伝送の送電(通常送電、仮送電)についてのシーケンス制御を行う。送信制御部102は、例えば周波数変調により受電側にデータを送信する処理の制御を行う。受信制御部104は、例えば負荷復調により受電側からデータを受信する処理の制御を行う。検知判定部106は、負荷状態検出回路30が受電側の負荷状態の検出を行った場合に、その検出情報に基づいて、データ検出、異物検出、取り去り検出などの検知判定を行う。定期認証判定部108は、通常送電開始後に受電側が例えば定期認証を行った場合に、適正な定期認証が行われたか否かの判定処理を行う。
レジスタ部23(記憶部)は、送電側のホスト2がホストI/F27を介してアクセス(書き込み、読み出し)可能になっており、例えば、RAMやDフリップフロップなどにより実現できる。このレジスタ部23は、情報レジスタ110、ステータスレジスタ112、コマンドレジスタ114、割り込みレジスタ116、データレジスタ118を含む。なおレジスタ部23に記憶される情報(例えば情報レジスタ110に記憶される情報等)をフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリに記憶してもよい。
情報レジスタ110は、無接点電力伝送の伝送条件や通信条件等の情報を記憶するためのレジスタである。例えば駆動周波数、駆動電圧のパラメータや、受電側の負荷状態の検出のためのパラメータ(しきい値)などを記憶する。ステータスレジスタ112は、送電状態や通信状態などの各種状態をホスト2が確認するためのレジスタである。コマンドレジスタ114は、ホスト2が各種コマンドを書き込むためのレジスタである。割り込みレジスタ116は各種の割り込みのためのレジスタであり、例えば各割り込みのイネーブル/ディスエーブルを設定するためのレジスタや、割り込み要因をホスト2に通知するためのレジスタを有する。データレジスタ118は、送信データや受信データをバッファリングするためのレジスタである。
ホストI/F27は、送電側のホスト2と通信を行うためのインターフェースであり、図2ではI2C(Inter Integrated Circuit)により通信が実現される。ここでホスト2は送電側の電子機器(充電器)に搭載されるCPUなどである。
I2Cは、同一基板内等の近距離に配置された複数のデバイス間でデータのやり取りを行うための通信方式であり、複数のデバイス間でSDA(serial data)とSCL(serial clock)の2本の信号線をバスとして共有して通信が行われる。具体的には、1つのデバイスをマスタ(ホスト)にして、それに対してスレーブとなる複数のデバイスをバス接続することによって通信を実現する。またスレーブ側はXINT(external Interrupt)を用いてマスタに対して割り込みをかけることができる。或いはI2Cバス上からの割り込みリクエストをかけることもできる。なお、ホスト・ホストI/F間の通信方式はI2Cには限定されず、I2Cと同様の思想に基づく通信方式や、通常のシリアルインターフェースやパラレルインターフェースの通信方式であってもよい。
負荷状態検出回路30(波形検出回路)は受電側(受電装置又は異物)の負荷状態を検出する。この負荷状態の検出は、1次コイルL1の誘起電圧信号(コイル端信号)の波形変化を検出することで実現できる。例えば受電側(2次側)の負荷状態(負荷電流)が変化すると、誘起電圧信号の波形が変化する。負荷状態検出回路30は、このような波形の変化を検出して、検出結果(検出結果情報)を制御部22に出力する。そして制御部22は、負荷状態検出回路30での負荷状態の検出情報に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判定する。
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば負荷変調部)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば受電部42、負荷変調部46、給電制御部48のいずれかを受電制御装置50に内蔵させてもよい。
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路などにより実現できる。
負荷変調部46は負荷変調処理を行う。具体的には受電側から送電側にデータを送信する場合に、送信するデータに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、図3(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。即ち負荷90への電力の給電をオンにしたり、オフにする制御を行う。具体的には、受電部42(整流回路)からの直流電圧のレベルを調整して、電源電圧を生成して、負荷90に供給し、負荷90のバッテリ94を充電する。なお負荷90はバッテリ94を含まないものであってもよい。
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)やマイクロコンピュータとそのプログラムなどにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧により動作することができる。この受電制御装置50は、制御部52、レジスタ部53、ホストI/F57、検出回路59を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部(例えば検出回路)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。
制御部52(受電側)は受電制御装置50や受電装置40の制御を行うものである。この制御部52は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部52は、負荷変調部46や給電制御部48の制御を行ったり、レジスタ部53の制御を行う。具体的には、位置検出、周波数検出、負荷変調、或いは満充電検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
制御部52は、受電シーケンス制御部120、送信制御部122、受信制御部124、検知判定部126、定期認証制御部128を含む。受電シーケンス制御部120は、無接点電力伝送の受電についてのシーケンス制御を行う。送信制御部122は、例えば負荷変調により送電側にデータを送信する処理の制御を行う。受信制御部124は、例えば周波数復調により送電側からデータを受信する処理の制御を行う。検知判定部126は、検出回路59が位置検出や周波数検出を行った場合に、その検出情報に基づいて検知判定を行う。定期認証制御部128は、通常送電開始後に行われる定期認証の制御を行う。例えば、いわゆる異物による乗っ取り状態を検出するために、通常送電開始後に定期的(間欠的)に受電側の負荷状態を変化させる。
レジスタ部53(記憶部)は、受電側のホスト4がホストI/F57を介してアクセス可能になっており、例えば、RAMやDフリップフロップなどにより実現できる。このレジスタ部53は、情報レジスタ130、ステータスレジスタ132、コマンドレジスタ134、割り込みレジスタ136、データレジスタ138を含む。なおレジスタ部53に記憶される情報(例えば情報レジスタ130に記憶される情報等)をフラッシュメモリやマスクROMなどの不揮発性メモリに記憶してもよい。またこれらのレジスタの機能は送電側のレジスタとほぼ同様であるため、説明を省略する。
ホストI/F57は、例えばI2C等により受電側のホスト4と通信を行うためのインターフェースである。ここでホスト4は、受電側の電子機器に搭載されるCPUやアプリケーションプロセッサなどである。検出回路59は、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係の検出や、送電側から受電側へのデータ送信の際のコイル駆動周波数の検出などを行う。
図2に示すように本実施形態では、送電側と受電側にホストI/F27、57を設けることで、送電側、受電側のホスト2、4の間での通信を可能にしている。即ち、これまでの無接点電力伝送システムでは、送電側と受電側の間でID認証情報しか通信できなかった。これに対して、図2の構成によれば、例えばアプリケーションデータを、無接点電力伝送を利用して、充電器などの送電側機器と携帯電話機などの受電側機器との間で通信することが可能になる。従って、充電期間等を有効活用して機器間でデータを通信することが可能になるため、ユーザの利便性を大幅に向上できる。
ところが、コイル間通信による無接点電力伝送では、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が、常に図1(B)に示すような適正な位置関係になっているとは限らない。例えば通常送電の開始後に、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係がずれたり、受電側の電子機器が取り去られたりするなどの事態が生じる可能性がある。従って、送電側のホスト2と受電側のホスト4の間でデータ通信を行っている最中に、このような事態が生じると、データ転送が途切れてしまい、データ転送の信頼性が低下するという問題があることが判明した。
そこで本実施形態では、ホスト間通信にACKコマンドを用いることで、このような問題を解決している。具体的には本実施形態では、制御部22は、ホストI/F27を介して送電側のホスト2によりレジスタ部23(データレジスタ)にデータが書き込まれると、そのデータを受電装置40に送信する。即ち無接点電力伝送を利用して送電側から受電側にデータを転送する。
そして送信されたデータのACKコマンドを受電側のホスト4が発行して、送電側が、発行されたACKコマンドを受電装置40から受信したとする。すると、そのACKコマンドの受信が、ホストI/F27を介して、送電側のホスト2に通知される。
具体的にはレジスタ部23は、割り込みレジスタ116を有しており、この割り込みレジスタ116は、受電側のホスト4が発行したACKコマンドの受信を、送電側のホスト2に通知するためのビットを有する。そして、割り込みレジスタ116のこのビットを用いて、ACKコマンドの受信が送電側のホスト2に通知される。
このようにすれば、送電側のホスト2は、ACKコマンドの受信の通知により、受電側に送信したデータを受電側のホスト4がレジスタ部53から適正に読み出したことを確認できる。即ち、受電側のホスト4が、レジスタ部53からデータを読み出して、ACKコマンドをレジスタ部53に書き込んだことを確認できる。従って、このACKコマンドの受信を確認した後に、次のデータをレジスタ部23に書き込んで、受電側に送信することが可能になり、データ転送の信頼性を向上できる。
例えば本実施形態の手法の比較例として、送電側からのデータを受信した場合に、受電側が、ハードウエア回路により自動的にACKを生成して、送電側に返送する手法が考えられる。
しかしながら、この手法では、送電側から受信したデータを、受電側のホスト4がレジスタ部53から読み出していないのに、ハードウエア回路によりACKが送電側に返送されてしまうおそれがある。従って、例えば、送電側からのデータを受電側が受信した後、受電側のホスト4がそのデータをレジスタ部53から読み出すまでの期間において、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係のずれ等が生じてしまうと、適正なデータ転送を実現できない。即ち送電側のホスト2は、ハードウエア回路からのACKの受信により、受電側のホスト4にデータが届いていると認識している一方で、受電側のホスト4は、そのデータを受信していないため、データ転送の信頼性が低下する。
この点、本実施形態の手法によれば、送電側からのデータが受電側のレジスタ部53に書き込まれると、このデータを受電側のホスト4が読み出して、そのデータのACKコマンドをレジスタ部53に書き込む。そして、このACKコマンドを送電側が受信すると、送電側のホスト2にACKコマンドの受信が通知される。従って、送電側のホスト2は、受電側のホスト4に適正にデータが届いたことを確認した後に、次のデータを用意して転送できるようになるため、無接点電力伝送によるホスト間通信の信頼性を、比較例の手法に比べて大幅に向上できる。
同様に本実施形態では、受電側の制御部52は、ホストI/F57を介して受電側のホスト4によりレジスタ部53にデータが書き込まれると、その書き込まれたデータを送電装置10に送信する。
そして送信されたデータのACKコマンドを送電側のホスト2が発行して、発行されたACKコマンドが送電装置10から受信されたとする。すると、このACKコマンドの受信が、ホストI/F57を介して、受電側のホスト4に通知される。
具体的にはレジスタ部53は、割り込みレジスタ136を有しており、この割り込みレジスタ136は、送電側のホスト2が発行したACKコマンドの受信を、受電側のホスト4に通知するためのビットを有する。そして、割り込みレジスタ136のこのビットを用いて、ACKコマンドの受信が受電側のホスト4に通知される。
このようにすれば、受電側のホスト4は、このACKコマンドの受信の通知により、送電側に送信したデータを送電側のホスト2がレジスタ部23から適正に読み出したことを確認できる。即ち、送電側のホスト2が、レジスタ部23からデータを読み出して、ACKコマンドをレジスタ部23に書き込んだことを確認できる。これにより、データ転送の信頼性を格段に向上できる。
また図2に示すように、送電側のレジスタ部23は、コマンドレジスタ114とデータレジスタ118を有する。そして送電側の制御部22は、送電側のホスト2から受電側のホスト4へのデータ転送を要求するOUT転送コマンドがコマンドレジスタ114に書き込まれると、そのOUT転送コマンドを受電装置40に送信する。
そして、このOUT転送コマンドのACKコマンドを受電側のホスト4が発行し、発行されたACKコマンドが、受電装置40から受信されると、ACKコマンドの受信が、ホストI/F27を介して、送電側のホスト2に通知される。具体的には割り込みレジスタ116により、ACKコマンドの受信がホスト2に通知される。
このようにすれば、送電側のホスト2は、このACKコマンドの受信の通知により、受電側に送信したOUT転送コマンドが、受電側のホスト4に適正に伝わったことを確認できるため、データ転送の信頼性を向上できる。
また制御部22は、このようなOUT転送コマンドのACKコマンドの受信の通知後に、データ転送を指示するデータ転送コマンド(DATA0、DATA1)がホスト2によりコマンドレジスタ114に書き込まれ、データがデータレジスタ118に書き込まれると、そのデータ転送コマンドとデータを受電装置40に送信する。
そして送信したデータのACKコマンドが受電装置40から受信されると、ACKコマンドの受信が、ホストI/F27を介して送電側のホスト2に通知される。
このようにすれば、送電側のホスト2は、OUT転送コマンドとデータの両方が、受電側のホスト4に適正に伝わったことを確認できるため、データ転送の信頼性を更に向上できる。
また制御部22は、受電側のホスト4から送電側のホスト2へのデータ転送を要求するIN転送コマンドが、コマンドレジスタ114に書き込まれた場合に、このIN転送コマンドを受電装置40に送信する。そして受電装置40から、データ転送を指示するデータ転送コマンドと、データを受信すると、受信したデータをデータレジスタ118に書き込む。
次に、データレジスタ118のデータを読み出した送電側のホスト2が、受信したデータのACKコマンドをコマンドレジスタ114に書き込んだとする。すると制御部22は、書き込まれたACKコマンドを、受電装置40に送信する。
このようにすれば、受電側のホスト4は、このACKコマンドの受信の通知により、送電側に送信したデータが、送電側のホスト2により適正に読み出されたことを確認することができ、データ転送の信頼性を向上できる。
また本実施形態では、適正なホスト間通信を実現するために以下に説明するような手法を採用している。
例えば図2において、送電側のホスト2と受電側のホスト4との間での通信を要求する通信要求コマンドが、ホストI/F27を介してホスト2によりレジスタ部23に書き込まれたとする。この場合には送電側の制御部22は、ホスト2、4の間で通信を行う通信モードに移行すると共に、その通信要求コマンドを受電装置40に送信する。例えば送電側の動作モード(シーケンス)を、通信シーケンス処理を行う通信モードに移行させると共に、通信要求コマンド(パケット)を無接点電力伝送(コイル間通信)により受電側に送信する。
一方、受電側の制御部52は、ホスト2、4の間での通信を要求する通信要求コマンドを、送電装置10から受信すると、通信モードに移行する。例えば送電側から通信要求コマンドが送信されると、そのコマンドの受信がホスト4に通知されると共に、受電側の動作モードも通信モードに移行する。これによりホスト2、4の間での通信が可能になる。
この場合に送電側の制御部22は、送電側と受電側の間での認証処理(ネゴシエーション等)が終了して通常送電が開始した後に、通信要求コマンドによる通信要求を受け付ける。例えば仮送電が終了して、通常送電が開始した後に、ホスト2が発行した通信要求コマンドを受け付けて、通信モードに移行する。
また受電側の制御部52も、認証処理が終了して通常送電が開始した後に、通信要求コマンドによる通信要求を受け付ける。即ち通常送電が開始した後に、ホスト2が発行した通信要求コマンドを受信した場合に、この通信要求コマンドを受け付けて、通信モードに移行する。
このようにすれば、認証処理等が終了し、送電側や受電側が適正であることや、送電側と受電側の適合性が確認された後に、通信要求が受け付けられるようになるため、適正なデータ通信を実現できる。また通常送電期間(充電期間)を有効活用してデータを通信できるため、ユーザの利便性を向上できる。
ここで通信要求コマンドとしては、例えばOUT転送コマンドやIN転送コマンドがある。OUT転送コマンドは、送電側のホスト2から受電側のホスト4へのデータ転送を要求するコマンドである。制御部22は、このOUT転送コマンドがレジスタ部23のコマンドレジスタ114に書き込まれると、そのOUT転送コマンドを受電装置40に送信する。即ちホスト2が発行したOUT転送コマンドを送信する。次に、受電側からACKコマンドが返送されてくるのを確認した後に、データ転送を指示するデータ転送コマンド(DATA0、DATA1)がコマンドレジスタ114に書き込まれ、対応するデータがデータレジスタ118に書き込まれると、そのデータ転送コマンドとデータを受電装置40に送信する。即ちホスト2が発行したデータ転送コマンドとホスト2からのデータを受電装置40に送信する。
一方、IN転送コマンドは、受電側のホスト4から送電側のホスト2へのデータ転送を要求するコマンドである。制御部22は、このIN転送コマンドがコマンドレジスタ114に書き込まれると、そのIN転送コマンドを受電装置40に送信する。次に、受電装置40から、データ転送コマンドとデータを受信した場合に、受信したデータをデータレジスタ118に書き込む。またデータ転送コマンドを受信したことを割り込みレジスタ116を用いてホスト2に通知する。
また制御部22は、通信モードに移行した場合に、無接点電力伝送の伝送条件及び送電側と受電側との間の通信条件の少なくとも一方を、通常送電用の条件とは異なる通信モード用の条件に切り替える。例えば通常送電が開始すると、通常送電用の伝送条件で無接点電力伝送を行う。そして通常送電開始後に、通常送電のモード(充電モード)から通信モードに移行すると、通常送電用の伝送条件や通信条件から通信モード用の伝送条件や通信条件に切り替える。なお通信条件は、例えば通信方式(パルス幅検出方式、電流検出方式、振幅検出方式等)や通信パラメータ(周波数変調の周波数や負荷変調のしきい値等)である。
具体的には通信モードに移行した場合に、1次コイルL1の駆動周波数(f1、f2)を通信モード用の駆動周波数に切り替える。或いは、1次コイルL1の駆動電圧(VF)を通信モード用の駆動電圧に切り替えてもよい。また、データ検知や異物検知のための負荷状態検出用のパラメータ(しきい値)を通信モード用のパラメータに切り替えてもよい。
即ち、通常送電モード(充電モード)では、例えば最も高い伝送効率の送電を実現できる伝送条件や通信条件に設定される。一方、通信モードでは、送電の伝送効率を高くする必要はなく、データ転送エラー等が生じない伝送条件や通信条件に設定することが望ましい。
そこで本実施形態では、通信モードでは、送電の伝送効率よりも通信の信頼性を優先した伝送条件や通信条件に切り替える。例えば駆動周波数を低くしたり、駆動電圧を低くする。或いは通信パラメータであるしきい値を変更したり、通信方式を別の方式に変更する。このようにすることで、データ転送エラー等が低減され、通信の信頼性を向上できる。
なお通信モード用の通信条件や伝送条件は、例えば通常送電開始前の仮送電期間での通信条件や伝送条件とすることができる。即ち、コマンド(通信割り込み要求、満充電検出、再充電確認等のコマンド)については、通常送電期間において通信されるため、受電側から受信した通信条件・伝送条件情報を使用して通信する。一方、アプリケーションデータを通信する通信モードでは、負荷90への電力供給を停止できるため、受電側から受信した通信条件・伝送条件情報を使用する必要はなく、より安全で確実な通信が可能なデフォルト設定の初期通信条件・伝送条件情報を使用する。即ち、通信モードでは、送電の伝送効率よりも通信の信頼性を優先した仮送電期間での通信条件や伝送条件に使用する。
また図2に示すようにレジスタ部23はステータスレジスタ112を有しており、このステータスレジスタ112は、無接点電力伝送の送電状態をホスト2が確認するためのビット(レジスタ)を有する。例えば後述するように、1次コイルL1が駆動されて送電状態であることを確認(通知)するためのビットや、送電エラーを確認するためのビットを有する。具体的にはステータスレジスタ112は、受電側のバッテリ94の充電状態をホスト2が確認するためのビットを有する。例えば受電側のバッテリ94が満充電状態であり満充電モードに移行したことを確認するためのビットや、送電側のシーケンスのステートが充電フェーズであることを確認するためのビットを有する。このようなビットを設けることで、ホスト2は、ホスト間通信のために設けられたレジスタ部23を有効活用して、無接点電力伝送の送電状態やバッテリ94の充電状態等の確認も可能になり、よりインテリジェントな制御の実現が可能になる。
レジスタ部23は割り込みレジスタ116を有しており、この割り込みレジスタ116は、受電側のホスト4がコマンドを発行し、そのコマンドを受信した場合に、コマンドの受信を送電側のホスト2に通知するためのビットを有する。例えばデータ転送コマンド(DATA0、DATA1)、通信割り込みコマンド(INT)、ハンドシェークコマンド(ACK、NAK)を受信した場合に、その受信をホスト2に通知するためのビットを有する。このようにすれば、このような割り込みの通知が来るまでは、ホスト2は他の処理を行うことが可能になるため、ホスト2の処理負荷の軽減等を図れる。
また割り込みレジスタ116は、バッテリ94の充電開始をホスト2に通知するためのビットを有する。このようなビットを設ければ、ホスト2は充電開始のタイミングを把握することができ、把握されたタイミングに基づいて、アプリケーションレベルでの各種制御を実現できるようになる。
なお制御部22は、受電側のホスト4が発行した通信要求のための割り込みコマンドを受信した場合にも、通信モードに移行する。具体的には、ホスト4が通信要求のための割り込みコマンドを発行すると、このコマンドの受信が割り込みレジスタ116によりホスト2に通知されると共に、制御部22は通信モードに移行する。このようにすることで、送電側のホスト2からの通信要求のみならず、受電側のホスト4からの通信要求によっても、通信モードに移行することが可能になる。従って、受電側から所望のタイミングで送電側に通信要求を行い、所望のデータをホスト2、4の間で通信することが可能になる。
また受電側のレジスタ部53も、受電側のホスト4が発行したコマンドが書き込まれるコマンドレジスタ134を有している。そして受電側の制御部52は、送電側のホスト2に対する通信要求のための割り込みコマンド(INT)が、受電側のホスト4によりコマンドレジスタ134に書き込まれると、通信モードに移行する。
また受電側のレジスタ部53はステータスレジスタ132を有し、このステータスレジスタ132は、バッテリ94の充電状態を受電側のホスト4が確認するためのビットを有する。例えばバッテリ94が満充電状態であり満充電モードに移行したことを確認するためのビットや、受電側のシーケンスのステートが充電フェーズであることを確認するためのビットを有する。このようなビットを設けることで、ホスト4は、ホスト間通信のために設けられたレジスタ部53を有効活用して、バッテリ94の充電状態等の確認も可能になり、よりインテリジェントな充電制御等の実現が可能になる。
3.動作
次に本実施形態の動作について図2と図4(A)〜図7(C)を用いて説明する。
まず図4(A)に示すように送電装置10は、通常送電を開始する前に、仮送電(位置検出用送電)を開始する。この仮送電により、受電装置40に対して電源電圧が供給されて、受電装置40のパワーオンが行われる。そして受電装置40は、例えば1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正か否かを判定する。具体的には1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が例えば図1(B)のような関係になっているか否かを判定する。
図4(B)に示すように、L1とL2の位置関係が適正であると判定されると、送電側と受電側との間で仮伝送条件を維持したままで認証処理が行われる。具体的には例えば後述するようなネゴシエーション処理やセットアップ処理が行われる。これらの処理により、伝送条件や通信条件等の各種情報が情報レジスタ110、130に設定される。
送電側と受電側との間での認証処理が適正に終了すると、例えば受電側から送電側にスタートフレームが送信される。これにより図4(C)に示すように、送電側は、受電側に対する通常送電を開始し、負荷90のバッテリ94の充電等が開始する。
このように通常送電が開始すると、送電側のホスト2からの通信要求が受け付けられるようになる。例えば図5(A)では、送電側のホスト2がOUT転送の通信要求コマンドを発行しており、この通信要求コマンドはホストI/F27を介してレジスタ部23(コマンドレジスタ)に書き込まれる。これにより送電側は通信モードに移行し、伝送条件や通信条件を通常送電用から通信モード用の条件に切り替える。また定期認証の判定処理をオフにする。
発行されたOUT転送の通信要求コマンド(コマンドパケット)は、無接点電力伝送(周波数変調)により送電側(1次側)から受電側(2次側)に送信される。受電側は、通信要求コマンドを受信すると、通信モードに移行し、給電トランジスタ(TB2)をオフにして、負荷90への給電をオフにする。また定期認証の送出処理をオフにする。このように、負荷90への給電をオフにすることで、通信モードにおいて、負荷90の変動が、データ通信のための負荷変調に悪影響を及ぼすのを防止できる。
また受電側は、通信要求コマンドの受信を、レジスタ部53を用いて受電側のホスト4に通知する。これによりホスト4は、送電側からのOUT転送の通信要求を知ることができる。
次に、OUT転送の通信要求を確認したホスト4は、図5(B)に示すように、ACKコマンドをホストI/F57を介してレジスタ部53(コマンドレジスタ)に書き込む。すると、このACKコマンド(コマンドパケット)は、無接点電力伝送(負荷変調)により受電側から送電側に送信されて、送電側が受信する。
すると、このACKコマンドの受信は、レジスタ部23(割り込みレジスタ)を用いて送電側のホスト2に通知される。これにより送電側のホスト2は、受電側に送信したOUT転送コマンドが受電側のホスト4に適正に伝わったことを確認できる。
次に、図5(C)に示すように、送電側のホスト2は、送電側から受電側にデータを転送するOUT転送を実行するために、データ転送コマンドと、それに対応するデータをホストI/F27を介してレジスタ部23(コマンドレジスタ、データレジスタ)に書き込む。すると、このデータ転送コマンドとデータは、無接点電力伝送(周波数変調)により送電側から受電側に送信される。
受電側は、データ転送コマンドを受信すると、データ転送コマンドの受信を、レジスタ部53(割り込みレジスタ)を用いてホスト4に通知する。これによりホスト4は、送電側からのデータを受電側が受信したことを知ることができる。
すると図6(A)に示すように、ホスト4は、レジスタ部53(データレジスタ)に書き込まれたデータをホストI/F57を介して読み出す。これにより、ホスト2からのデータを無接点電力伝送を利用してホスト4に転送するOUT転送が実現される。
次に、OUT転送のデータを読み出したホスト4は、図6(B)に示すように、ACKコマンドをホストI/F57を介してレジスタ部53(コマンドレジスタ)に書き込む。すると、このACKコマンド(コマンドパケット)は、無接点電力伝送(負荷変調)により受電側から送電側に送信されて、送電側が受信する。
すると、このACKコマンドの受信は、レジスタ部23(割り込みレジスタ)を用いて送電側のホスト2に通知される。これにより送電側のホスト2は、受電側に送信したOUT転送のデータが受電側のホスト4により適正に読み出されたことを確認できる。
一方、図6(C)では、送電側のホスト2がIN転送の通信要求コマンドを発行しており、この通信要求コマンドはホストI/F27を介してレジスタ部23(コマンドレジスタ)に書き込まれる。これにより送電側は通信モードに移行する。
発行されたIN転送の通信要求コマンドは、無接点電力伝送により送電側から受電側に送信される。受電側は、通信要求コマンドを受信すると、通信モードに移行する。また通信要求コマンドの受信を、レジスタ部53を用いて受電側のホスト4に通知する。これによりホスト4は、送電側からのIN転送の通信要求を知ることができる。
すると図7(A)に示すように、ホスト4は、受電側から送電側にデータを転送するIN転送を実行するために、データ転送コマンドと、それに対応するデータをホストI/F57を介してレジスタ部53に書き込む。すると、このデータ転送コマンドとデータは、無接点電力伝送(負荷変調)により受電側から送電側に送信される。
送電側は、データ転送コマンドを受信すると、データ転送コマンドの受信を、レジスタ部23を用いて送電側のホスト2に通知する。これによりホスト2は、受電側からのデータを送電側が受信したことを知ることができる。
すると図7(B)に示すように、ホスト2は、レジスタ部23に書き込まれたデータをホストI/F27を介して読み出す。これにより、ホスト4からのデータを無接点電力伝送を利用してホスト2に転送するIN転送が実現される。
次に、IN転送のデータを読み出したホスト2は、図7(C)に示すように、ACKコマンドをホストI/F27を介してレジスタ部23(コマンドレジスタ)に書き込む。すると、このACKコマンド(コマンドパケット)は、無接点電力伝送(周波数変調)により送電側から受電側に送信されて、受電側が受信する。
すると、このACKコマンドの受信は、レジスタ部53(割り込みレジスタ)を用いて受電側のホスト4に通知される。これにより受電側のホスト4は、送電側に送信したIN転送のデータが送電側のホスト2により適正に読み出されたことを確認できる。
図8は、図5(A)〜図6(B)で説明したOUT転送を更に具体的に説明する信号波形例である。
図8のA1では、送電側は、通信要求コマンドであるOUT転送コマンドを無接点電力伝送(周波数変調)を利用して受電側に送信している(図5(A)参照)。なおA6h、CRC8は、各々、スタートコード、CRCコードである。
受電側は、OUT転送コマンドを受信すると、図8のA2に示すように、OUT転送コマンドに対するハンドシェークコマンドであるACKコマンドを、送電側に送信する(図5(B)参照)。このACKコマンドにより、送電側のホスト2は、OUT転送コマンドが受電側のホスト4に適正に伝わったことを確認できる。
次に、図8のA3に示すように、ACKコマンドを受信した送電側は、データ転送コマンド(DATA0)と、それに対応するデータを受電側に送信する(図5(C)参照)。するとA4に示すように受電側は、データ転送コマンドに対するACKコマンドを、送電側に送信する(図6(B)参照)。このACKコマンドにより、送電側のホスト2は、受電側のホスト4がデータを適正に受信したことを確認できる。
以上のような転送処理を、必要なデータ数に達するまで繰り返すことで、送電側のホスト2から受電側のホスト4に対して所望のデータ数のデータを送信するOUT転送が実現される。
なお図8のA3、A5では、DATA0のデータ転送コマンドとDATA1のデータ転送コマンドとをトグルしながら転送している。これによりデータ転送の信頼性を向上できる。また図8において送電側はOUT転送コマンドを1回だけ発行するようにしてもよい。具体的には送電側がOUT転送コマンドを送信し、これに対して受電側がACKコマンドを送信すると、送電側がデータ転送コマンド(DATA0)とデータを送信する。そして受電側がACKコマンドを送信すると、送電側が、OUT転送コマンドを送信することなく、データ転送コマンド(DATA1)とデータを送信し、これを必要なデータ数に達するまで繰り返す。
図9は、図6(C)〜図7(C)で説明したIN転送を更に具体的に説明する信号波形例である。
図9のB1では、送電側は、通信要求コマンドであるIN転送コマンドを無接点電力伝送(周波数変調)を利用して受電側に送信している(図6(C)参照)。
受電側は、このIN転送コマンドを受信すると、B2に示すように、データ転送コマンド(DATA0)と、それに対応するデータを送電側に送信する(図7(A)参照)。するとB3に示すように送電側は、データ転送コマンドに対するACKコマンドを、受電側に送信する(図7(C)参照)。このACKコマンドにより、受電側のホスト4は、送電側のホスト2がデータを適正に受信したことを確認できる。
以上のような転送処理を、必要なデータ数に達するまで繰り返すことで、受電側のホスト4から送電側のホスト2に対して所望のデータ数のデータを送信するIN転送が実現される。
なお図8のA2では、OUT転送のコマンドに対して、ACKコマンドによるハンドシェークを行っているが、このようなコマンドに対するハンドシェークを行わないようにしてもよい。
4.レジスタマップ
次に本実施形態のレジスタマップについて説明する。図10は、送電側のレジスタ部23のレジスタマップの例である。
SoftResetは、ホスト2がソフトリセットを指示するためのビットであり、OUTxINは、送信バッファと受信バッファを切り替えるためのビットである。
ステータスレジスタ112は、送電側のホスト2がその読み出しを行うことで、送電(充電)、待機、通信の各状態を確認するためのレジスタである。
例えばステータスレジスタ112のPriBusyは、送電側(1次側)のホスト2がコマンド発行のリクエストを行った直後に1になり、コイル間通信(無接点電力伝送)によるコマンドパケットの送信が終了すると0になるビットである。送電側から受電側への通信を開始する場合には、このビットが0であることを確認することになる。
SecReqは、受電側(2次側)からコイル間通信によりコマンドを受信した直後に1となり、受信終了後に0に戻るビットである。受電側から送電側への通信を開始する場合には、このビットが0であることを確認することになる。ChgErrは、送電ドライバの故障検知や、温度異常検知や、低電圧検知により、受電側への送電中にエラーが発生したと判断された場合に1になるビットである。エラー発生から復帰させるためにはリセットをかける必要がある。
FullChgは、受電側から満充電検出コマンド(セーブコマンド)を受信し、満充電モードに移行した直後に1になり、再充電確認モードの移行後に0に戻るビットである。ComSelは、送電側のシーケンサが充電モード(通常送電モード)であり、コマンド選択による分岐が可能な状態であることを示すビットである。DrvOnは、送電側によりコイルが駆動され、送電状態であることを示すビットである。
SetUpは、送電側が後述するセットアップ処理に移行した後に1になるビットである。このビットは、通信モード時に0に戻るため、現在の伝送条件や通信条件のパラメータが通常送電用(充電用)なのか通信モード用なのかを示すことになる。NegoTranは、送電側が後述するネゴシエーション処理に移行した後に1になるビットである。
以上のステータスレジスタ112のビットのうち、例えばChgErr、Fullchg、ComSel、DrvOnが無接点電力伝送の送電状態をホスト2が確認するためのビットになり、このうち例えばFullchg、ComSelがバッテリ94の充電状態を確認するためのビットになる。
コマンドレジスタ114は、コマンド分岐フェーズにおいてこのレジスタにホスト2がコマンドを書き込むことで、送電側から受電側にコマンドパケットを送信するためのレジスタである。このレジスタにコマンドが書き込まれると、定期認証のチェックはマスクされ、電力伝送条件や通信条件が、通常送電用(充電用)から通信モード用(通信可能条件、ネゴシエーション条件)に切り替わり、コマンドが送信される。そしてコマンドの送信の終了で、このレジスタのビットは0に戻るため、ホスト2は、送信の終了を確認できる。
例えばコマンドレジスタ114のReChgSendは、コイル間通信により、通常送電開始コマンド(充電開始コマンド)のパケットを受電側に送信するためのビットである。例えばこのビットを1にセットすることで送信が実行される。同様に、ACKSend、Data1Send、Data0Send、OutSend、InSendは、各々、コイル間通信によりACKコマンド、DATA1コマンド、DATA0コマンド、OUT転送コマンド、IN転送コマンドのパケットを受電側に送信するためのビットである。
割り込みレジスタ116は、割り込みイネーブルレジスタと割り込みステータスレジスタを有する。割り込みイネーブルレジスタは、各割り込みの通知のアサートを許可/禁止するためのレジスタであり、対応するビットを1に設定することでホスト2への割り込みが許可される。また割り込みステータスレジスタは、各割り込みのステータスを示すレジスタであり、割り込みイネーブルレジスタにより割り込みが許可されたステータスが発生すると、そのステータスが割り込み要因になる。
割り込みイネーブルレジスタのEnINTComRcvは、受電側からのINTコマンド(割り込みコマンド)の受信時の割り込みを許可するためのビットである。同様に、EnDt1ComRcv、EnDt0ComRcv、EnSTALLComRcv、EnNAKComRcv、EnACKComRcvは、各々、DATA1コマンド、DATA0コマンド、STALLコマンド、NAKコマンド、ACKコマンドの受信時の割り込みを許可するためのビットである。またEnErrComRcvは、受信したコマンドのパケットにエラーが発生した場合の割り込みを許可するためのビットであり、EnReChgOnは、通常送電開始(充電開始)のタイミングでの割り込みを許可するためのビットである。
割り込みステータスレジスタのINTComRcvは、受電側からINTコマンドを受信した時に1になるビットである。同様に、Dt1ComRcv、Dt0ComRcv、STALLComRcv、NAKComRcv、ACKComRcvは、各々、DATA1コマンド、DATA0コマンド、STALLコマンド、NAKコマンド、ACKコマンドを受信した時に1になるビットである。またErrComRcvは、受信したコマンドのパケット(フレーム)にエラーが発生した場合に1になるビットであり、ReChgOnは、通常送電開始(充電開始)のタイミングに同期して1になるビットである。
以上の割り込みレジスタ116のビットのうち、例えばINTComRcv、Dt1ComRcv、Dt0ComRcv、STALLComRcv、NAKComRcv、ACKComRcvが、受電側からのコマンドの受信を、送電側のホスト2に通知するためのビットである。またReChgOnは、バッテリ94の充電開始を送電側のホスト2に通知するためのビットであり、送電側のホスト2は、このビットによる通知により、バッテリ94の充電開始タイミングを知ることができる。
なお、送電側のホスト2が、通信要求コマンドであるOUT転送コマンド、IN転送コマンドを発行してレジスタ部23に書き込むと、送電側は通信モードに移行する。また受電側のホスト4が発行した通信要求のための割り込みコマンドであるINTコマンドを受信した場合にも、INTComRcvが1になり、これにより送電側は通信モードに移行する。
データレジスタ118は、TranBuf_0〜TranBuf_7のビットで構成されるデータバッファを有する。そして、データ送信時には、データ転送コマンドであるDATA0、DATA1コマンドに続いて、データレジスタ118に予めセットされているデータが、TranBuf_0〜TranBuf_7の順で送出される。一方、データ受信時には、DATA0、DATA1コマンドに続いて、受信したデータがデータレジスタ118にTranBuf_0〜TranBuf_7の順で格納される。
なおRcvMsgには、コイル間通信のINTコマンドのメッセージデータの受信バッファになる。INTコマンドのメッセージデータの内容を予めホスト間で取り決めておくことで、受電側の割り込み要求の内容(データ種別等)を伝えることが可能になる。
図11は、受電側のレジスタ部53のレジスタマップの例である。
ステータスレジスタ132は、受電側のホスト4がその読み出しを行うことで、送電(充電)、待機、通信の各状態を確認するためのレジスタである。
例えばステータスレジスタ132のSecBusyは、受電側(2次側)のホスト4がコマンド発行のリクエストを行った直後に1になり、コイル間通信によるコマンドパケットの送信が終了すると0になるビットである。但し、このビットは、INTコマンドを発行した後は、送電側からACKコマンドが返送されて来るまで1に保持される。
PriReqは、送電側(1次側)からコイル間通信によりIN・OUT転送コマンドを受信した直後に1となり、一連のデータ転送が終了し、送電側が、通常送電開始コマンドの応答コマンドを返送することで0に戻るビットである。
ComSelは、受電側のシーケンサが充電モード(通常送電モード)であり、コマンド選択による分岐が可能な状態であることを示すビットである。FullChgは、バッテリ94が満充電状態であり、満充電検出コマンド(セーブコマンド)の発行が可能になったことを示すビットである。
以上のステータスレジスタ132のビットのうち、例えば例えばComSel、Fullchgがバッテリ94の充電状態をホスト4が確認するためのビットになる。
コマンドレジスタ134は、コマンド分岐フェーズにおいてこのレジスタにホスト4がコマンドを書き込むことで、受電側から送電側にコマンドパケットを送信するためのレジスタである。このレジスタにコマンドが書き込まれると、電力伝送条件や通信条件が、通常送電用から通信モード用に切り替わり、コマンドが送信される。そしてコマンドの送信の終了により、このレジスタのビットは0に戻るため、ホスト4は、送信の終了を確認できる。
例えばコマンドレジスタ134のSTALLSend、NAKSend、ACKSend、Data1Send、Data0Send、INTSend、STOPSendは、各々、コイル間通信によりSTALLコマンド、NAKコマンド、ACKコマンド、DATA1コマンド、DATA0コマンド、INTコマンド(及びメッセージデータ)、STOPコマンドのパケットを送電側に送信するためのビットである。例えばこれらのビットを1にセットすることで送信が実行される。
割り込みレジスタ136は、割り込みイネーブルレジスタと割り込みステータスレジスタを有する。そして割り込みイネーブルレジスタのEnReChgRcv、EnDt1ComRcv、EnDt0ComRcv、EnINComRcv、EnOUTComRcv、EnACKComRcvは、各々、RECHGコマンド(通常送電開始コマンド)、DATA1コマンド、DATA0コマンド、IN転送コマンド、OUT転送コマンド、ACKコマンドの受信時の割り込みを許可するためのビットである。またENICutXOnは、定期認証における負荷軽減の指示信号であるICUTXの出力の立ち上がりに対しての割り込みを許可するためのビットであり、EnReChgOnは、通常送電開始(充電開始)のタイミングでの割り込みを許可するためのビットである。
割り込みステータスレジスタのReChgRcv、Dt1ComRcv、Dt0ComRcv、INComRcv、OUTComRcv、ACKComRcvは、各々、RECHGコマンド、DATA1コマンド、DATA0コマンド、IN転送コマンド、OUT転送コマンド、ACKコマンドを受信した時に1になるビットである。またICutXOnは、ICUTXの出力の立ち上がり時に1になるビットであり、ReChgOnは、通常送電開始(充電開始)のタイミングに同期して1になるビットである。
以上の割り込みレジスタ136のビットのうち、例えばReChgRcv、Dt1ComRcv、Dt0ComRcv、INComRcv、OUTComRcv、ACKComRcvが、送電側のホスト2からのコマンドの受信を、受電側のホスト4に通知するためのビットである。またReChgOnは、バッテリ94の充電開始を受電側のホスト4に通知するためのビットであり、受電側のホスト4は、このビットによる通知により、バッテリ94の充電開始タイミングを知ることができる。
なお、送電側のホスト2が発行した通信要求コマンドであるOUT転送コマンド、IN転送コマンドを受信すると、OUTComRcv、INComRcvが1になり、受電側は通信モードに移行する。また受電側のホスト4が通信要求のための割り込みコマンドであるINTコマンドを発行した場合にも、受電側は通信モードに移行する。
データレジスタ138は、TranBuf_0〜TranBuf_7のビットで構成されるデータバッファを有する。そして、データ送信時には、データ転送コマンドであるDATA0、DATA1コマンドに続いて、データレジスタ138に予めセットされているデータが、TranBuf_0〜TranBuf_7の順で送出される。一方、データ受信時には、DATA0、DATA1コマンドに続いて、受信したデータがデータレジスタ138にTranBuf_0〜TranBuf_7の順で格納される。なおSendMsgには、コイル間通信のINTコマンドのメッセージデータを格納するためのバッファになる。
5.ホスト・ホストI/F間通信
次に、ホスト・ホストI/F間の通信ついて図12(A)、図12(B)を用いて説明する。図12(A)、図12(B)はI2Cの通信方式を採用した場合の例である。
図12(A)はマスタ(ホスト)がスレーブ(送電制御装置、受電制御装置)にデータをライトする場合の例である。図12(A)のC1に示すように、SCLがHレベルの時にマスタがSDAをHレベルからLレベルに変化させることで、通信がスタートする。そしてC2に示すようにマスタがスレーブのアドレスを指定し、C3に示すように最後のビットでSDAをLレベルにすることで、ライト動作であることを知らせる。
スレーブは、スレーブアドレスが自分宛てである場合には、C4に示すようにSDAをLレベルにすることで、マスタに対してACKを返す。するとC5に示すようにマスタは、ライトを行うレジスタのアドレスを指定する。そしてC6に示すようにスレーブがACKを返すと、C7に示すようにマスタは、そのレジスタアドレスに書き込むレジスタデータであるライトデータを送出し、C8に示すようにスレーブは、ACKを返す。そしてC9に示すように、SCLがHレベルの時にマスタがSDAをLレベルからHレベルに変化させることで、通信が終了する。
図12(B)はマスタがスレーブからデータをリードする場合の例である。図12(B)のD1に示すスタートの後、D2に示すようにマスタはスレーブアドレスを指定し、D3に示すようにスレーブがACKを返すと、D4に示すようにマスタはレジスタアドレスを指定する。
次にD5に示すようにスレーブがACKを返すと、D6に示すようにマスタはリスタートを行う。そしてD7に示すようにマスタがレジスタアドレスを指定すると、D8に示すようにスレーブは、SDAをLレベルにしてACKを返した後、D9に示すようにレジスタデータであるリードデータを送出する。そしてD10に示すようにスレーブがNAKを返すと、D11に示すようにマスタは通信を終了する。
6.無接点電力伝送の処理シーケンス
さて、無接点電力伝送が普及すると、受電側の2次コイルとして様々なタイプのものが市場に出回ることが予想される。即ち、受電側である携帯電話機等の電気機器の外形・サイズは様々であるため、これに応じて、電子機器の受電装置に内蔵される2次コイルの外形・サイズも様々なものになる。また各電子機器が必要とする無接点電力伝送の電力量(ワット数)や出力電圧も様々であるため、これに応じて2次コイルのインダクタンス等も様々なものになる。
一方、無接点電力伝送では1次コイルと2次コイルの形状・サイズ等が完全に適合していなくても、電力が伝送されてしまうという事態が起こる。この点、有線のケーブルを用いた充電では、ケーブルのコネクタの形状等を工夫することで、このような事態を防止できるが、無接点電力伝送ではこのような工夫を施すことが難しい。
そして、現在、無接点電力伝送については、各メーカ毎に個別の方式で実現されているのが現状である。
しかしながら、無接点電力伝送の普及を図り、それに伴う安全性を確保するためには、汎用性の高い無接点電力伝送の処理シーケンスを実現することが望ましい。
図13に、本実施形態により実現される無接点電力伝送の処理シーケンスの概略を模式的に示す。
この処理シーケンスでは、リセット状態の後に、待機フェーズに移行する。ここで、リセット状態では、送電側(1次)や受電側(2次)が保持していた各種フラグはクリアされる。ここでフラグは、送電装置や受電装置の状態(送電状態、満充電状態、再充電確認状態等)を表すものであり、これらの装置のレジスタ部に保持される。
待機フェーズでは、送電側(1次)は、受電側(2次)の停止時(送電停止時)の最終状態を保持する。例えばバッテリの満充電が検出されると、送電側及び受電側は満充電検出後の待機フェーズに移行する。この場合、バッテリ電圧の低下を検出して、再充電を行う必要があるため、送電側は、送電停止の要因が満充電検出であることを記憶する。具体的には、再充電確認フラグをクリアせずにセット状態に維持し、再充電が必要か否かを定期的に確認する。
なお待機フェーズでは、送電側から受電側への送電が停止するため、受電側は電源電圧が供給されずに停止状態になるが、送電側は、電源電圧が供給されて動作状態になっている。このように待機フェーズで受電側が動作を停止することで低消費電力化が図れ、この時に送電側が各種状態のフラグをクリアせずに保持することで、送電側は、待機フェーズの後、そのフラグを利用して各種処理を実行できる。
送電側や受電側は、待機フェーズの後にネゴシエーションフェーズに移行する。このネゴシエーションフェーズでは、規格/コイル/システムの一致確認や、安全上の情報交換などが行われるネゴシエーション処理が実行される。具体的には、送電側と受電側は、規格/コイル/システム情報の情報交換を行い、規格/コイル/システムがお互いに適合するか否かを確認する。また例えば受電側が送電側に、異物検出等のための安全しきい値情報を送信し、安全上の情報交換を行う。このネゴシエーション処理では、送電側と受電側の間で情報の通信が可能か否かの確認や、通信した情報が妥当か否かの確認や、受電側の負荷状態の適否(異物の非検出)の確認等が行われることになる。
ネゴシエーション処理において、規格/コイル/システムが不一致であると判定されたり、異物が検出されたり、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行し、各種フラグがクリアされる。一方、通信エラー等の場合には例えば待機フェーズに移行し、フラグのクリアは行われない。
送電側や受電側は、ネゴシエーションフェーズの後、セットアップフェーズに移行する。このセットアップフェーズでは、対応機能の情報やアプリケーション別の設定情報などのセットアップ情報が転送されるセットアップ処理が実行される。例えばネゴシエーション処理の結果に基づいて、認証処理が行われ、伝送条件が特定される。具体的には、受電側が、コイルの駆動電圧や駆動周波数等の伝送条件情報を送電側に送信すると、送電側は、受信した伝送条件情報に基づいてコイルの駆動電圧や駆動周波数等の通常送電のための伝送条件を設定する。また、対応機能についての情報交換や、上位のアプリケーション毎に異なる設定情報の交換も、このセットアップ処理で行われる。具体的には、通常送電開始後の受電側の負荷状態検出用のしきい値情報(例えばデータ通信用・異物検出用のしきい値情報)や、コマンドフェーズにおいて送電側、受電側が発行・実行可能なコマンドの種類や、通信機能、定期認証機能等の付加的な対応機能についての情報交換は、このセットアップ処理において実行される。これにより、電子機器の種類(携帯電話機、オーディオ機器等)や機種などのアプリケーションに応じて異なる設定情報の交換が可能になる。
セットアップ処理において、機器の取り去りが検出されたり、タイムアウトエラーになると、リセット状態に移行する。一方、通信エラー等の場合には待機フェーズに移行する。
送電側や受電側は、セットアップフェーズの後、コマンドフェーズに移行する。このコマンドフェーズでは、セットアップ処理で得た情報に基づいてコマンド処理が行われる。即ち、対応コマンド(対応可能であることがセットアップ処理で確認されたコマンド)の発行又は実行が行われる。コマンド処理で実行されるコマンドとしては、例えば、通常送電(充電)開始コマンド、満充電検出(通知)コマンド、再充電確認コマンド、通信コマンド、受電側割り込みコマンド、送電停止要求コマンドなどが考えられる。
例えば、ネゴシエーション処理、セットアップ処理により通常送電の準備が整い、送電側が通常送電(充電)開始コマンドを受電側に送信(発行)し、それを受信した受電側が応答コマンドを送電側に送信すると、通常送電が開始する。そして通常送電の開始後、受電側において満充電が検出されると、受電側は満充電検出コマンドを送電側に送信する。
この満充電検出のように伝送継続が必要ない場合には、満充電検出後の待機フェーズに移行する。そして、再度、ネゴシエーション処理、セットアップ処理を経て、送電側は再充電確認コマンドを受電側に送信する。これにより受電側は、バッテリ電圧をチェックして、再充電が必要か否かを判定する。そして再充電が必要な場合には、再充電確認フラグがリセットされ、ネゴシエーションフェーズに移行し、認証処理とセットアップ処理を行った上で、送電側が通常送電開始コマンドを発行することで、通常送電が再開される。一方、再充電が必要ではない場合には、再充電確認フラグがセット状態に維持されて、満充電検出後の待機フェーズに戻る。
なおコマンド処理において、何らかの異常が検出されたり、異物が検出されたり、取り去りが検出されるとリセット状態に移行する。
図14を用いて本実施形態の処理シーケンスについて更に具体的に説明する。F1に示す取り去り検出後の待機フェーズでは、例えばk1秒に1回の着地検出が行われる。そしてF2に示すように電子機器の着地(設置)が検出されると、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が実行される。そしてF3に示すようにネゴシエーション処理、セットアップ処理が正常に終了し、コマンド処理において通常送電開始コマンドが発行されると、通常送電が開始し、電子機器の充電が開始する。そしてF4に示すように満充電が検出されると、電子機器のLEDが消灯し、F5に示すように満充電検出後の待機フェーズに移行する。
満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3秒に1回の取り去り検出が行われると共にk3×j秒に1回の再充電確認が行われる。そして満充電検出後の待機フェーズにおいて、F6に示すように電子機器の取り去りが検出されると、取り去り検出後の待機フェーズに移行する。一方、満充電検出後の待機フェーズにおいて、F7に示すように再充電確認により再充電が必要であると判定されると、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が行われて、通常送電が再開され、バッテリの再充電が行われる。なお、F8に示すように通常送電中に電子機器の取り去りが検出されると、取り去り検出後の待機フェーズに移行する。
なお、ネゴシエーションフェーズで転送されるシステム情報は、送電側や受電側での負荷状態の検出方式を示す情報である。ここで負荷状態の検出方式としては、パルス幅検出方式(位相検出方式)、電流検出方式、ピーク電圧検出方式、或いはこれらの方式を組み合わせた方式などがある。システム情報は、送電側や受電側が、これらの方式のいずれを採用しているのかを示す情報になる。
異物しきい値は、安全上のしきい値情報である。この異物しきい値は、例えば受電側が記憶しており、通常送電開始前に受電側から送電側に送信される。そして送電側は、この異物しきい値に基づいて、通常送電開始前の異物検出である1次異物検出を行う。例えば受電側の負荷状態をパルス幅検出方式で検出する場合には、異物しきい値として、パルス幅のカウント値のしきい値が受電側から送電側に送信され、送電側はこのカウント値のしきい値に基づいて、パルス幅検出方式による1次異物検出を行う。このように本実施形態では、通常送電開始前の受電側の負荷状態を検出するためのしきい値情報は、ネゴシエーション処理において受電側が送電側に送信する。一方、通常送電開始後の受電側の負荷状態を検出するためのしきい値情報は、例えばセットアップ処理において受電側が送電側に送信する。
以上の本実施形態の処理シーケンスによれば、例えば規格/コイル/システムの適合性の判断や、安全上の最低限の情報交換は、ネゴシエーション処理において行われる。そして、このネゴシエーション処理において、通信が可能な事や通信情報の妥当性が判断されると共に、受電側の負荷状態の適否が判断される。
そしてセットアップ処理においては、通常送電のために必要な伝送条件の設定等が実行される。例えばコイルの駆動電圧や駆動周波数が設定される。また、通常送電開始後の負荷状態の検出用のしきい値情報の転送や、付加的な対応機能の情報交換や、より上位のアプリケーション毎に必要な設定情報の交換が、セットアップ処理において実行される。
そして、このようなセットアップ処理、ネゴシエーション処理を経た後に、コマンドフェーズに移行して、コマンド処理が行われる。即ちネゴシエーション処理とセットアップ処理において対応可能になったことが確認されたコマンドの発行や実行がコマンド処理において行われる。
このようにすれば、システムの適合性や安全性の確保に必要な最低限の情報交換はネゴシエーション処理において実行されると共に、アプリケーション毎に異なるセットアップ情報の交換はセットアップ処理において実行される。従って、送電側と受電側が適合していない場合には、ネゴシエーション処理において除外されるため、情報量が多いセットアップ情報については転送しなくても済むようになる。これにより、ネゴシエーション処理では最小限の情報だけを転送すれば済み、転送情報量を少なくできるため、短期間でネゴシエーションフェーズを終了でき、処理を効率化できる。
また、送電側及び受電側の各機器は、ネゴシエーション処理により、最低限の無接点電力伝送が可能になり、機器毎の機能拡張は、セットアップ情報の交換で実現できる。従って、各機器は、ネゴシエーション処理で無接点電力伝送のシステムに必要な最小限の設定を行い、セットアップ処理でシステムの最適化が可能になるため、柔軟なシステム構築を実現できる。
また送電側は、受電側からしきい値情報やシステム情報を受信し、受信したしきい値情報やシステム情報を設定するだけで、無接点電力伝送や異物検出を実現できるため、送電側の処理を簡素化できる。この場合に、受電側が、適正な組み合わせのコイル情報としきい値情報を送電側に送信することで、適正且つ安全な無接点電力伝送を実現できる。
7.詳細な構成例
図15に本実施形態の詳細な構成例を示す。なお以下では図2で説明した構成要素については同符号を付し、適宜、その説明については省略する。
波形モニタ回路14は、1次コイルL1のコイル端信号CSGに基づいて、波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成する。例えば1次コイルL1の誘起電圧信号であるコイル端信号CSGは、送電制御装置20のICの最大定格電圧を超えてしまったり、負の電圧になったりする。波形モニタ回路14は、このようなコイル端信号CSGを受け、送電制御装置20の負荷状態検出回路30により波形検出が可能な信号である波形モニタ用の誘起電圧信号PHINを生成して、送電制御装置20の例えば波形モニタ用端子に出力する。表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示する。
発振回路24は1次側のクロックを生成する。駆動クロック生成回路25は、駆動周波数を規定する駆動クロックを生成する。ドライバ制御回路26は、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックや制御部22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の第1、第2の送電ドライバに出力して、第1、第2の送電ドライバを制御する。
負荷状態検出回路30は、誘起電圧信号PHINを波形整形し、波形整形信号を生成する。例えば信号PHINが所与のしきい値電圧を超えた場合にアクティブ(例えばHレベル)になる方形波(矩形波)の波形整形信号(パルス信号)を生成する。そして負荷状態検出回路30は、波形整形信号と駆動クロックに基づいて、波形整形信号のパルス幅情報(パルス幅期間)を検出する。具体的には、波形整形信号と、駆動クロック生成回路25からの駆動クロックを受け、波形整形信号のパルス幅情報を検出することで、誘起電圧信号PHINのパルス幅情報を検出する。
なお負荷状態検出回路30としては、パルス幅検出手法(位相検出手法)には限定されず、電流検出手法やピーク電圧検出手法などの種々の手法を採用できる。
制御部22(送電制御装置)は、負荷状態検出回路30での検出結果に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判断する。例えば制御部22は、負荷状態検出回路30(パルス幅検出回路)で検出されたパルス幅情報に基づいて、受電側の負荷状態を判断し、例えばデータ(負荷)検出、異物(金属)検出、取り去り(着脱)検出などを行う。即ち、誘起電圧信号のパルス幅情報であるパルス幅期間は、受電側の負荷状態の変化に応じて変化する。制御部22は、このパルス幅期間(パルス幅期間の計測により得られたカウント値)に基づいて受電側の負荷変動を検知できる。
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。
負荷変調部46は負荷変調処理を行う。具体的には受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。このトランジスタTB3は受電制御装置50の制御部52からの信号P3Qによりオン・オフ制御される。そしてトランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行う際には、給電制御部48のトランジスタTB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ、給電トランジスタ)は、受電制御装置50の制御部52からの信号P1Qにより制御される。具体的にはトランジスタTB2は、ネゴシエーション処理やセットアップ処理の間はオフになり、通常送電開始後はオンになる。
位置検出回路56は、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。発振回路58は2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出する。満充電検出回路62は、負荷90のバッテリ94(2次電池)が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する。
負荷90は、バッテリ94の充電制御等を行う充電制御装置92を含むことができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリのように、バッテリ94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。
8.詳細な動作例
次に、送電側と受電側の動作の詳細について図16〜図18のフローチャートを用いて説明する。図16は、左列が送電側処理フローであり、右列が受電側処理フローである。
図16に示すように、送電側は、電源投入されてパワーオンすると、例えばk1秒のウェイト後に(ステップS1)、通常送電開始前の仮送電を行う(ステップS2)。この仮送電は、着地検出、位置検出等のための一時的な電力伝送である。即ち、電子機器が充電器に対して置かれたか否か、置かれた場合には適正な位置に置かれたか否かを検出するための電力伝送を行う。この仮送電における駆動周波数(駆動クロック生成回路からの駆動クロックの周波数)は例えばf1に設定される。
送電側からの仮送電により、受電側がパワーオンして(ステップS22)、受電制御装置50がパワーオンリセットされる。すると受電制御装置50は、信号P1QをHレベルに設定し、これにより給電制御部48のトランジスタTB2(給電トランジスタ)がオフになり(ステップS23)、負荷90との間の電気的な接続が遮断される。
次に受電側は、位置検出回路56を用いて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係(位置レベル)を判断し、位置関係情報である位置レベル情報を取得する(ステップS24)。
そして受電側は、位置関係が適正であるかどうかに関わらず、ネゴシエーションフレームを生成して送電側に送信する(ステップS25)。具体的には負荷変調によりネゴシエーションフレームを送信する。このネゴシエーションフレームは、例えば受電側のレジスタ部53に記憶された規格情報、コイル情報などの一致コードやシステム情報(負荷状態検出方式)、しきい値情報(負荷状態検出用のしきい値)などのハード情報を含む。またネゴシエーションフレームには、ステップS24で取得された位置レベル情報(位置関係情報)が付加される。
送電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS4)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS5)。具体的には、送電側のレジスタ部23に記憶された規格/コイル/システム情報と、受電側から受信した規格/コイル/システム情報とが適応範囲の組み合わせであるか否かを判断する。またネゴシエーションフレームに付加された位置レベル情報に基づいて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係も判断する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、異物検出を行う(ステップS6)。
具体的には、送電側は、駆動周波数を異物検出用周波数f3に設定する。そして受電側から受信したしきい値情報(安全しきい値情報)に基づいて、通常送電開始前の1次異物検出を行い、受電側の負荷状態が適正か否かを判断する。例えば異物検出イネーブル信号をアクティブにして、負荷状態検出回路30に対して異物検出の開始を指示する。この異物検出は、例えば負荷状態検出回路30からの負荷状態検出情報(パルス幅情報)と、受電側から受信した負荷状態検出用のしきい値(META)とを比較することで実現される。そして送電側は、異物検出期間が終了すると、駆動周波数を通常送電用周波数f1に戻す。
なお、送電側は、ステップS5でネゴシエーションフレームが適正ではないと判断されたり、ステップS6で異物が検出されたと判断されると、送電を停止して、ステップS1に戻る。
次に、送電側はネゴシエーションフレームを作成して受電側に送信する(ステップS7)。このネゴシエーションフレームは、例えば送電側のレジスタ部23に記憶された規格情報、コイル情報、システム情報を含む。
受電側は、ネゴシエーションフレームを受信すると(ステップS26)、ネゴシエーションフレームの検証を行う(ステップS27)。具体的には、受電側のレジスタ部53に記憶された規格/コイル/システム情報と、送電側から受信した規格/コイル/システム情報とが適応範囲の組み合わせであるか否かを判断する。また1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係を、再度判断し、位置レベル情報を取得する。そして、適正なネゴシエーションフレームであると判定されると、セットアップフレームを生成して、送電側に送信する(ステップS28)。このセットアップフレームは、通信条件情報や伝送条件情報や対応機能情報等と位置レベル情報を含む。ここで通信条件情報は通信方式や通信パラメータなどである。また伝送条件情報は、1次コイルの駆動電圧や駆動周波数などである。また対応機能情報は、アプリケーション毎に付加された機能を表す情報などである。なおネゴシエーションフレームが適正でない場合にはステップS21に戻る。
送電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS8)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS9)。そして受電側からのセットアップフレームが適正である場合には、送電側のセットアップフレームを作成して、受電側に送信する(ステップS10)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合には、送電を停止してステップS1に戻る。
受電側は、セットアップフレームを受信すると(ステップS29)、セットアップフレームの検証を行う(ステップS30)。そしてセットアップフレームが適正である場合には、スタートフレームを作成して、送電側に送信する(ステップS31)。一方、セットアップフレームが適正ではない場合にはステップS21に戻る。
スタートフレームが送信されると、送電側及び受電側はコマンド分岐に移行する。即ち、コマンド判定が行われて、各種フラグに応じたコマンドの処理に分岐する。
図17はコマンド分岐後の送電側の処理を示すフローチャートである。図17に示すように、送電側は、ステップS41のコマンド分岐において、優先的な処理が必要な他のコマンド(通信要求、割り込み、送電停止、再充電確認フラグ=1など)が存在しない場合には、通常送電(充電)の開始コマンドを受電側に送信する(ステップS42)。そして受電側から、通常送電開始コマンドの応答コマンドを受信すると、受信した応答コマンドに付加された位置レベル情報に基づいて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係を確認する(ステップS43)。そして伝送条件や通信条件を通常送電用の条件に切り替える(ステップS44)。具体的には、セットアップ処理で設定された伝送条件や通信条件に切り替える。そして、定期認証をオンにして(ステップS45)、通常送電を開始する(ステップS46)。
送電側は、通常送電が開始した後、定期的な負荷変調による定期認証期間において、大面積の金属異物等による乗っ取り状態の検出を行う(ステップS47)。また取り去り検出、異物検出を行う(ステップS48、S49)。定期認証において乗っ取りが検出されたり、取り去りや異物が検出されると、送電を停止してステップS1に戻る。
次に送電側は、受電側のホスト4からの送電停止コマンド(STOPコマンド)を受信したか否かを判断する(ステップS50)。また受電側のホスト4からの割り込みコマンド(INTコマンド)を受信したか否かを判断する(ステップS51)。更に送電側のホスト2からのホスト通信要求(OUT・IN転送コマンド)があったか否かを判断する(ステップS52)。
そして送電側は、これらのコマンドの受信や要求がなかった場合には、受電側から満充電検出コマンド(セーブフレーム)を受信したか否かを判断し(ステップS53)、受信していない場合にはステップS47に戻る。一方、受信した場合には、定期認証をオフにして、送電を停止する(ステップS54、S55)。そして満充電検出後の待機フェーズに移行する(ステップS56)。
この満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3秒に1回、取り去り検出を行う(ステップS57)。そして、取り去りが検出されると再充電確認フラグを0にリセットし(ステップS60)、送電を停止してステップS1に戻る。
また満充電検出後の待機フェーズでは、例えばk3×j秒に1回、再充電の確認を行い、再充電確認フラグを1にセットし(ステップS58、S59)、送電を停止してステップS1に戻る。
ステップS59で再充電確認フラグが1にセットされた場合には、ステップS1に戻った後、ネゴシエーション処理、セットアップ処理が行われる。そして、ステップS41のコマンド分岐において、再充電確認フラグが1であるため、再充電確認モードの処理に移行する。
具体的には、送電側は、再充電確認コマンドを受電側に送信する(ステップS61)。そして、再充電確認コマンドに対する応答コマンドを受電側から受信すると(ステップS62)、その応答コマンドと共に受信したバッテリ電圧のチェック結果に基づいて、バッテリ94の再充電が必要か否かを判断する(ステップS63)。そして再充電が必要であると判断された場合には、再充電確認用の送電(仮送電)を停止して(ステップS64)、再充電確認フラグを0に設定し、ステップS1に戻る。一方、再充電が必要でないと判断された場合には、再充電確認用の送電を停止して(ステップS65)、再充電確認モードから満充電検出後の待機モード(ステップS56〜S58)に戻る。
送電側は、ステップS50、S51で送電停止コマンドや割り込みコマンドを受信したと判断した場合やステップS52でホスト2から通信要求があったと判断した場合には、無接点電力伝送の伝送条件や通信条件を、通常送電用から通信モード用の条件(仮送電時の条件)に切り替える(ステップS66)。例えば駆動周波数や駆動電圧を切り替えたり、受電側の負荷状態の検出用のしきい値パラメータを切り替える。そしてステップS41のコマンド分岐に移行する。
例えばステップS52において送電側のホスト2からの通信要求があったと判断された場合には、ステップS41のコマンド分岐において、ホスト要求による通信モードの処理に分岐する。このホスト要求による通信モードでは、ホスト2が発行した通信要求コマンドであるOUT転送コマンド又はIN転送コマンドを受電側に送信する(ステップS67)。そして受電側からの応答を待ち、タイムアウトしたか否かを判断し(ステップS68)、タイムアウトの場合にはステップS41に戻る。一方、タイムアウトではない場合には、ホスト2、4間の取り決めに基づく任意の通信シーケンスを実行する(ステップS69)。即ち図8、図9で説明したようなコマンド送受信、データ送受信、ハンドシェーク送受信を行う。そして必要データ数になったか否かを判断し(ステップS70)、必要データ数になった場合には、通常送電開始コマンド(充電開始コマンド)をコマンドレジスタ114にセットして(ステップS71)、ステップS41に戻る。これにより、通信モードから通常送電モード(充電モード)に戻ることが可能になる。
またステップS51において受電側からの割り込みコマンド(INTコマンド)を受信したと判断された場合には、ステップS41のコマンド分岐において、受電側の割り込みコマンドによる通信モードの処理に分岐する。この受電側からの割り込みコマンドによる通信モードでは、まず現状況で通信可能か否かを判断し(ステップS72)、通信可能ではない場合にはステップS71に移行する。一方、通信可能である場合には、ACKコマンドをコマンドレジスタ114にセットして、受電側に送信する(ステップS73、S74)。そしてステップS68〜S70の通信モードの処理に移行する。
またステップS50において受電側から送電停止コマンド(STOPコマンド)を受信したと判断された場合には、ステップS41のコマンド分岐において、送電停止コマンドの処理に分岐する。そして受電側への送電を停止し(ステップS76)、例えばk4秒毎に取り去り検知を行う(ステップS77、S78)。そして取り去りが検知された場合にはステップS60に移行し、ステップS1に戻る。なお、連続充電時間を計時するためのL時間タイマのタイムアウトがあった場合(ステップS75)にも、ステップS76に移行し送電を停止する。
以上のように本実施形態では、送電側は、送電側のホスト2からの通信要求があった場合(ステップS52)や、受電側のホスト4からの割り込みコマンドを受信した場合(ステップS51)に、通信モード用の条件への切り替えを行う(ステップS66)。そしてステップS68〜S70の通信シーケンス処理が行われる通信モードに移行し、通信モードが終了すると、通常送電開始コマンドを発行して(ステップS71)、通常送電を再開する。
図18はコマンド分岐後の受電側の処理を示すフローチャートである。図18に示すように、受電側は、ステップS81のコマンド分岐において、優先的な処理が必要な他のコマンド(通信要求、割り込み、送電停止等)が存在せず、送電側から通常送電開始コマンドを受信すると(ステップS82)、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係を再度判断し、位置関係情報である位置レベル情報を取得する(ステップS83)。そして、位置レベル情報が付加された応答コマンドを送電側に送信する(ステップS84)。
受電側は、応答コマンドを送信した後、給電制御部48のトランジスタTB2をオンにして(ステップS85)、負荷90への電力供給を開始する。また定期認証をオンにして、定期的な負荷変調を行う(ステップS86)。具体的には、負荷変調部46のトランジスタTB3を、定期認証期間において所定のパターンでオン・オフする。
次に受電側は、受電側のホスト4からの送電停止要求(STOPコマンド)があったか否かを判断する(ステップS87)。また受電側のホスト4からの割り込み要求(INTコマンド)があったか否かを判断する(ステップS88)。更に送電側のホスト2からの通信要求コマンド(OUT・IN転送コマンド)を受信したか否かを判断する(ステップS89)。
そして受電側は、これらの要求やコマンドの受信がなかった場合には、バッテリ94が満充電になったか否かを検出する(ステップS90)。そして満充電が検出されなかった場合にはステップS87に戻る。一方、満充電が検出されると、トランジスタTB2をオフにして(ステップS91)、負荷90への電力供給を停止する。また定期認証をオフにする(ステップS92)。そして、満充電の検出を通知する満充電検出コマンド(セーブフレーム)を送電側に送信し(ステップS93)、k5秒のウェイト期間の後(ステップS94)、ステップS93に戻り、処理を繰り返す。
受電側は、送電側が再充電確認用の送電(仮送電)を開始すると、パワーオンリセットされ、ネゴシエーション処理、セットアップ処理を行う。そして送電側が送信した再充電確認コマンド(ステップS61参照)を受信すると、ステップS81のコマンド分岐において、再充電確認モードの処理に移行する。
具体的には、受電側は、バッテリ電圧をチェックして(ステップS95)、再充電確認コマンドに対する応答コマンドとバッテリ電圧のチェック結果を送電側に送信する(ステップS96)。そして再充電確認用の送電が停止するとパワーオフされる。
また受電側は、ステップS87、S88でホスト4からの送電停止要求や割り込み要求があったと判断した場合やステップS89で通信要求のコマンドを受信したと判断した場合には、給電用のトランジスタTB2をオフにすると共に定期認証もオフにする(ステップS97)。そして伝送条件や通信条件を通信モード用の条件に切り替え(ステップS98)、ステップS81のコマンド分岐に移行する。
例えばステップS89において、送電側から通信要求コマンド(OUT・IN転送コマンド)を受信したと判断された場合には、ステップS81のコマンド分岐において、送電側からの通信要求による通信モードの処理に分岐する。そしてホスト2、4間の取り決めに基づく任意の通信シーケンスを実行する(ステップS102)。即ち図8、図9で説明したようなコマンド送受信、データ送受信、ハンドシェーク送受信を行う。そして必要データ数になったか否かを判断し(ステップS103)、必要データ数になった場合には、送電側が送信した通常送電開始コマンド(ステップS71参照)を受信したか否かを判断する(ステップS104)。そして受信した場合にはステップS83に移行し、通信モードから通常送電モード(充電モード)に戻る。
またステップS88において、受電側のホスト4からの割り込み要求があったと判断された場合には、ステップS81のコマンド分岐において、受電側の割り込み要求による通信モードの処理に分岐する。この受電側の割り込み要求による通信モードでは、通信要求コマンド(INTコマンド)を送電側に送信する(ステップS99)。そして送電側から通常送電開始コマンドを受信したか否かを判断し(ステップS100)、受信していない場合にはACKコマンド(ステップS74参照)を受信したか否かを判断する(ステップS101)。そして受信した場合には、ステップS102、S103の通信モードの処理に移行する。
またステップS87において受電側のホスト4からの送電停止要求があったと判断された場合には、ステップS81のコマンド分岐において、送電停止要求による処理に分岐する。そして送電停止コマンドを送電側に送信し(ステップS105)、送電が停止するとパワーオフされる。
以上のように本実施形態では、受電側は、送電側のホスト2からの通信要求コマンドを受信した場合(ステップS89)や、受電側のホスト4から割り込み要求があった場合に、ステップS102、S103等の通信シーケンス処理が行われる通信モードに移行する。そして通信モードが終了した後に、通常送電モードに戻る。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成・動作や、データ転送手法、コマンド設定手法、通信処理、ホストインターフェース処理、負荷状態の検出手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。