JP5336850B2 - プロセス産業プラントの安全性評価のためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法 - Google Patents

プロセス産業プラントの安全性評価のためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法 Download PDF

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Description

本発明は、プロセス産業プラントの安全性評価のためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法に関する。より詳細には、本発明は複数の組織単位を有するプロセス産業プラントの安全性評価を確立するためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法に関する。
プロセス産業(process industry)、たとえば石油産業は一般的にさまざまな単位操作のカスケード効果に基づいている。換言すれば、プロセス産業は典型的には、システムの一連のカスケードされたコンポーネントにおいて実行される逐次的なステップを通じて入力材料が出力生成物に処理される入出力システムに依拠している。システム中のどの点での中断も全体的なプロセスの停止を引き起こす。その結果、プロセス・ステップの中断はダウン時間を引き起こし、それは生産の損失につながる。したがって、ダウン時間を減らし、平均故障間隔を増し、プロセス・プラントにおける装置の劣化を防止することが一般的な関心事である。また、人間および環境への危害を防止するため、プロセス・プラントに事故がないことを保証することが多大な関心事である。残念ながら、プロセス産業はいくつかの主要な惨事を経験してきた。たとえばボパール(インド、1984年)、フリクスバラ(イングランド、1974年)やセヴェソ(イタリア、1976年)の惨事である。上記の惨事の理由は安全管理の不十分さ、たとえば過失、エンジニアリング・プラクティスに従わない作業、不十分な保守計画に帰されてきた。プロセス安全性管理は、事故を防止し、ダウン時間を減らすために不可欠である。プロセス安全性管理をモニタリングし、改良するためには、プロセス産業プラントの安全性を評価することも必要である。
複数の組織単位を有するプロセス産業プラントの安全性を評価するためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法を提供することが本発明の目的である。
本発明によれば、これらの目的は、特に独立請求項の特徴を通じて達成される。さらに、従属請求項および明細書からさらなる有利な実施形態が得られる。
本発明によれば、上記の目的は特に、プロセス産業プラントの安全性評価を確立するために、コンピュータ内にスコアが保存されることにおいて達成される。ここで、各スコアは、そのプラントの組織単位の一つにおいて、そのプラントの複数の所定の側面の一つに関して挙行された検査の格付けおよび/または前記諸側面の一つに関係する質問からなる一組の所定の質問への応答としてそのプラントの組織単位の一つを代表する人間が与えた答えに関係する。プロセス産業プラントは、経営トップ、運用(operation)、エンジニアリング、検査、保守および/または損失防止といった組織単位を含む。たとえば、組織単位はプラントの階層的レベルに関係する。所定の諸側面は、そのプラントの種々の安全性関連側面と見ることができ、たとえば組織の側面、資源の側面、連絡の側面、訓練の側面、手順の側面、緊急事態対策の側面および/または一般的安全性の側面を含む。コンピュータでは、前述のスコアのそれぞれが、組織単位の一つ一つに、そして前記諸側面の一つ一つに割り当てられる。前記質問は、たとえば、安全性意識、安全性行動、変更管理および/または人為的ミスに関係する質問を含む。前記コンピュータに前記スコアを保存したのち、前記組織単位の一つ一つおよび前記諸側面の一つ一つに割り当てられたスコアから、前記組織単位のそれぞれについて諸側面別スコアが計算される。ある特定の側面について前記組織単位の特定の一つに割り当てられた一つの最悪ケース・スコアがあれば、その特定の側面に関して、前記組織単位のその特定の一つには、最悪ケースの側面別スコアが割り当てられる。最後に、安全性評価は、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立される。前記組織単位のそれぞれについて諸側面別スコアを計算し、これらの側面別スコアから安全性評価を確立することにより、責任および専門知識のレベルおよび領域が異なる組織単位間で直接に個別の諸側面に関する安全性レベルを比較することが可能になる。特定の側面に割り当てられた少なくとも一つの最悪ケース・スコアをもつ組織単位に最悪ケースの側面別スコアを割り当てることにより、基本的諸要件の失敗が重み付けされ、その個別側面に関係する他の検査および/または質問について受領されるポジティブなスコアによって補償され得ないようにできる格付け哲学を実施することが可能になる。基本的諸要件のいかなる失敗も、事故および/またはダウン時間につながる事件を引き起こす可能性がある潜在的な失敗を表すので、基本的諸要件の失敗の明確かつ明示的な指示は有利である。
ある好ましい実施形態では、前記コンピュータによって、前記組織単位のうちの選択された組織単位の安全性評価の、一つの共通グラフにおけるグラフィック表現が生成される。該グラフに前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアが示され、それにより、前記側面別スコアの最良ケース・スコアからの不足が視覚化され、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化される。ある組織単位の計算された諸側面別スコアを一つの共通のグラフに表示することにより、そのプラントについて定義されたさまざまな(安全性)側面に関しての、ある組織単位の安全性評価の、効率的な概観が可能になる。ここで、ある組織単位の諸側面別スコアはグラフにおいて直接比較できる。報告書を読む必要なしに、ある部門の、個別の(安全性)側面に関する不足が一目で見て取れる。
好ましくは、異なる時点において異なる安全性評価が確立される。該異なる安全性評価に関連付けられた側面別スコアが前記コンピュータ内で、それぞれの時点についてのデータに関連付けられて保存される。前記組織単位のうちの選択された組織単位の前記異なる安全性評価の一つの共通のグラフでのグラフィック表現が、前記コンピュータによって生成される。該グラフィック表現が一つの共通のグラフで生成されるのは、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記異なる安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである。異なる時点における複数の安全性評価を確立し、該異なる時点についての組織単位の関係した諸側面別スコアを一つの共通のグラフに表示することにより、ある部門の、該異なる(安全性)側面に関する改善および/または悪化を効率的に一目で見ることが可能になる。
ある実施形態では、前記コンピュータにおいて、前記組織単位の前記の諸側面別スコアから、前記プラントについての全体的側面別スコアが計算される。さらに、前記コンピュータによって、そのプラントの安全性評価の一つの共通グラフにおけるグラフィック表現が生成される。前記全体的側面別スコアが前記グラフ中で示されることにより、前記全体的側面別スコアの最良ケース全体スコアからの不足が視覚化され、全体的側面別スコアどうしの間の違いが視覚化される。
そのプラントについての全体的側面別スコアを計算し、それらの全体スコアを一つの共通のグラフに表示することにより、そのプラントについて定義されたさまざまな(安全性)側面に関するそのプラントの安全性評価の、効率的な概観が可能になる。ここで、前記全体的側面別スコアはグラフにおいて直接比較できる。報告書を読む必要なしに、個別の(安全性)側面に関するそのプラントの不足が一目で見て取れる。
あるさらなる実施形態では、検査および/または答えについてのデータは前記コンピュータ内に保存される。その後、前記コンピュータ内で、検査および/または答えについての該データから、エキスパート・システムによって、前記検査および/または前記答えの格付けが決定される。検査および答えの自動化された格付けは、効率および格付けプロセスの一貫性を向上させる。
プロセス産業プラントの安全性評価を確立するためのコンピュータ・システムおよびコンピュータ・ベースの方法に加えて、本発明は、コンピュータが前記プロセス産業プラントの安全性評価を確立するための前記方法を実行するよう、前記コンピュータの一つまたは複数のプロセッサを制御するコンピュータ・プログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラム・プロダクト、特に該コンピュータ・プログラム・コード手段を含んでいるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトにも関する。
本発明について、例として、図面を参照しつつより詳細に説明する。
図1では、参照番号1はコンピュータ、たとえばパーソナル・コンピュータを表す。概略的に示されるように、コンピュータ1はディスプレイ17、少なくとも一つのプロセッサ11、データおよびプログラムを保存するためのメモリ12ならびにいくつかの機能モジュール、すなわち記録モジュール13、計算モジュール14、出力モジュール15および任意的にエキスパート・システム16を含んでいる。好ましくは、機能モジュールは、プログラムされたソフトウェア・モジュールとして実装される。ソフトウェア・モジュールのコンピュータ・プログラム・コードはコンピュータ・プログラム・プロダクトの一部であり、好ましくはコンピュータ1内でコンピュータ1に固定的または取り外し可能式に接続されているコンピュータ可読媒体上に保存される。当業者は、機能モジュールが完全にまたは部分的にハードウェアによって実装されることもできることを理解するであろう。機能モジュールのさまざまな機能は、下記で図2、図3および図5を参照してより詳細に述べる。プリント出力を生成するため、コンピュータ1は通信リンク18を介してプリンタ4に接続されている。通信リンク14はケーブルおよび/またはネットワーク接続を含む。
以下の段落では、提案される方法のステップの実行について、図2、図3および図5を参照して述べる。図2は、提案される方法のステップの可能なシーケンスを示す流れ図を示している。図3は、記録モジュール13によって提供され、ディスプレイ17上に表示される、提案される方法の実行を制御し、コンピュータ1とデータを交換するための、可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース6を示している。図5は、出力モジュール15によって提供され、ディスプレイ17上に表示される、確立された安全性評価についての当該コンピュータの出力を制御するための、可能なグラフィカル・ユーザー・インターフェース7を示している。
ステップS1では、プロセス産業プラントを指定するための情報がコンピュータ1に入力される。ユーザー・インターフェース6では、該組織を同定する情報が、入力フィールド61において名前またはコードとして入力される。該組織はまた、選択リストから、たとえばドロップダウン・リストによって選択されることもできる。
ステップS2では、監査または安全性評価を定義する情報がコンピュータ1に入力される。この情報は、監査番号、監査名および/または監査日として入力フィールド62に入力される。監査または安全性評価はまた、選択リストから、たとえばドロップダウン・リストによって選択されることもできる。好ましくは、監査または安全性評価を定義する情報と一緒に、該監査または安全性評価の時点(日時)についてのデータが保存される。
ステップS3では、ステップS1で指定されたプラントの、ある組織単位が、コンピュータ1内で選択される。ユーザー・インターフェース6では、組織単位はドロップダウン・リスト63から選択されるが、組織単位を入力フィールドを通じてまたはその他の手段、たとえばラジオボタンによって入力することも可能である。組織単位は、たとえば「経営トップ」、「運用」、「エンジニアリング」、「検査」、「保守」および「損失防止」を含む。ある実施形態では、組織単位は当該プラントの階層レベル、たとえば経営トップ、中間管理層、監督者、職場主任、作業者などに関係する。図3に示される例では、組織単位「経営トップ」が選択されている。
ステップS4では、ステップS3で選択された組織単位の人(すなわち、インタビュー対象者)がコンピュータ1内で選択される。その人物は、ユーザー・インターフェース6ではドロップダウン・リスト64から選択される。好ましくは、ドロップダウン・リストは、ステップS1で選択されたプラントおよびステップS3で選択された組織単位に基づいて、コンピュータ1によって中身が入れられる。しかしながら、その人物を、入力フィールドを通じて名前またはコードとして入力することも可能である。
Figure 0005336850
ステップS5では、一つまたは複数の所定の質問が出力として提供される。ユーザー・インターフェース6では、質問は、テキスト・フィールド661に表示されるテキストの形において提供される。図3の例では、複数の質問がスクロール・ウィンドウ66内に並行して表示される。スクロール・ウィンドウ66は、スクロール・バー67によって制御される。質問は、可聴な発話テキストの形で提供されることもできる。質問のプリント出力をプリンタ4で生成することも可能である。質問はメモリ12に、あるいはコンピュータ1に挿入されるデータ担体に保存されている。表1に示されるように、各質問は識別情報q1,q2,...,ql,ql+1,...,qj,qj+1,...,qnおよび内容t1,t2,...,tl,tl+1,...,tj,tj+1,...,tnを含んでいる。内容t1,t2,...,ti,ti+1,...,tj,tj+1,...,tnは英数字のテキスト・データ、オーディオ・データまたはエンコードされた発話情報を含む。質問の内容は、安全性意識、安全性行動、変更管理および人為的ミスといった論点に関係している。やはり表1に示されるように、各質問は、そのプラントについて定義されたいくつかの安全性関連側面:組織、資源、連絡、訓練、手順、緊急事態対策および一般的安全性の一つに割り当てられている。
ステップS6では、ステップS5において出力として提供された質問のそれぞれについて答えが受領される。たとえば、質問は人間のインタビュー者によって受領される。答えはコンピュータ1によって受領され、データの形で保存されることもできる。たとえば、答えデートは、ユーザー・インターフェース6の入力フィールド(図示せず)に入力されたテキストまたはコード、あるいはマイクロホン、オーディオ・プロセッサおよび発話プロセッサによって入力されたオーディオまたはエンコードされた発話情報を含む。
ステップS7では、ステップS6で受領された答えが格付けされる。ユーザー・インターフェース6において、ステップS6で受領された答えについて、低(「0」)から高(「4」)までの範囲のスコアが手動でそれぞれの質問に割り当てられることができる。表2に示されるように、これらの答えの格付けは、当該質問が、それぞれのプラントの組織単位において、プロアクティブなプロセス安全性管理が従われている(最良スコア)、プロセス安全性管理が現在の経験によって駆動されている(第一レベルのスコア)、受け容れられるプロセス安全性管理プラクティスが従われている(第二レベルのスコア)、基本的な(安全性)要件が満たされている(第三レベルのスコア)または前記基本的要件が満たされていない(最悪レベルのスコア)ことのいずれを示すかに依存して行われる。
Figure 0005336850
図3の例では、質問に割り当てられたラジオボタン65の一つをクリックすることによってスコアが入力される。たとえば、スクロール・ウィンドウ66のいちばん上にリストされている質問について受領された答えは、第二レベルのスコア(「2」)をもって格付けされた。ステップS5でコンピュータ1によって保存された答えデータも、コンピュータ1により、たとえば規則に基づくエキスパート・システム16によって自動的に格付けされることができる。
ステップS8では、コンピュータ1はメモリ12に、前記質問について受領された答えに割り当てられているスコアを保存する。表3に示されるように、各スコアは、質問q1,q2,..., qnおよび受領されたその特定の答えが関わる安全性関連側面に割り当てられる。さらに、その答えを提供する人物p1,p2,...,pnおよびその人物によって代表される組織単位の識別情報が各スコアに割り当てられる。
ステップS9で、出力として提供されるべきさらなる質問があると判定されれば、次にアクティブ化される質問または質問の組がステップS5で提供される。そうでなく、提供されるべき質問がもうなく、すべての質問に、それに提供された答えについてスコアが割り当て済みであれば、本方法はステップS10に進む。
Figure 0005336850
ステップS10では、プラントの組織単位の安全性評価においてさらなる人物が含められるべきかどうか、あるいは集められたデータの処理がステップS11に続くべきかどうかが判定される。ユーザー・インターフェース6では、ユーザーが、たとえばインタビュー者が、この決定をコマンド・ボタン68によって制御できる。たとえば、「新規」コマンド・ボタンをクリックすることによって、さらなる人物が追加でき、あるいは「処理」コマンド・ボタンをクリックすることによって、その組織単位についての諸側面別スコアの計算およびそのプラントについての諸全体的側面別スコアの計算が開始される。いかなる時点においても、入力されたデータは、「保存」コマンド・ボタンをクリックすることによって保存されたり、あるいは「取り消し」コマンド・ボタンをクリックすることによって無視されたりすることができる。追加的な機能、たとえば特定のプラント、監査、組織単位または人物に関係した保存された情報にアクセスし、これを管理するための諸機能が、図3には示されないプルダウン・メニューまたはコマンド・ボタンのような制御手段によって呼び出されることができる。特に、いかなる時点においても、さらなる人物、組織単位、プラントまたは監査を追加することが可能である。その組織単位のすべての人物についてのデータが記録され次第、たとえば人員リストに基づいて、ステップS10の決定もコンピュータ1によって自動的になされることができる。
ステップS11では、コンピュータ1の計算モジュール14は、ステップS3で選択された組織単位についての諸側面別スコアを計算および保存する。表4は、ステップS1で定義されたプラントのすべての組織単位について計算された諸側面別スコアの例を示している。ある組織単位の諸側面別スコアは、コンピュータ1において、ステップS8でその組織単位に割り当てられた安全性関連側面についてすべてのスコアを足し合わせることによって計算される。好ましくは、側面別スコアは、組織単位においてインタビューされる人物の人数によって調整される(割られる)。しかしながら、質問についてのいずれかの答えが最悪ケース・スコア(「0」)をもって格付けされていた場合、その組織単位についてのその側面別スコアは、その個別の質問に割り当てられたその安全性関係側面について最悪ケースのスコアに設定される。たとえば、表3において見て取れるように、側面「連絡」に関係した質問q23は組織単位「エンジニアリング」について最悪ケースのスコアをもって格付けされている。よって、表4に示されるように、組織単位「エンジニアリング」については、やはり側面「連絡」に関係した質問q24が最良ケースのスコアをもって格付けされたという事実にもかかわらず、側面「連絡」には最悪ケースの側面別スコアが割り当てられる。実施形態に依存して、一人の人物の答えの最悪ケースの格付けが最悪ケースの側面別スコアに十分であるか、最悪ケースの側面別スコアのためには組織単位のすべての人物の答えが最悪ケースのスコアをもって格付けされる必要がある。ある組織単位の幾人かのインタビュー対象者の答えからのスコアについて定義されるある閾値に基づいて、最悪ケースの側面別スコアを割り当てることも可能である。
Figure 0005336850
表4では、たとえば組織単位「経営トップ」によって到達される「連絡」についての側面別スコアは7となっており、これに対し、組織単位「損失防止」によって到達される「一般的安全性」についての側面別スコアは16となっている。
ステップS12では、コンピュータ1の計算モジュール14は、そのプラントの組織単位についての全体的側面別スコアを計算し、保存する。あるプラントの全体的側面別スコアは、コンピュータ1によって、各安全性関連側面について、ステップS11で計算され、保存されたそのプラントの諸組織単位のそれぞれの側面別スコアを足し合わせることによって計算される。表5は、ステップS1で定義されたプラントについて計算された全体的側面別スコアの例を示している。ある実施形態では、個別の最悪ケースの側面別スコアがそのプラントの組織単位のうちのただ一つ(または複数)に割り当てられていれば、その組織の全体的側面別スコアに最悪ケースのスコアが割り当てられる。
ステップS13では、安全性評価にさらなる組織単位が含められるべきかどうか、あるいは集められたデータの処理がステップS14に続くべきかどうかが判定される。ユーザー・インターフェース6では、ステップS10のコンテキストで論じたように、ユーザーが、たとえばインタビュー者が、この決定をコマンド・ボタン68によって制御できる。
Figure 0005336850
ステップS14では、コンピュータ1の出力モジュール15がステップS1ないしS12で決定された側面別スコアに基づいて安全性評価のグラフィック表現を生成する。組織単位またはプラントの安全性評価はそれぞれ、組織単位の側面別スコアまたはプラントの全体的側面別スコアによってそれぞれ確立される。グラフィック表現は、コンピュータ1によってディスプレイ17上に表示され、あるいはプリンタ4でプリントされた報告5として再現される。好ましくは、安全性評価(単数または複数)は、一つの共通のグラフに表示され、それにより(全体)側面別スコアの最良ケースのスコアからの不足が視覚化され、組織単位についてもプラントについても、安全性関連側面どうしの間の違いが視覚化される。図4aおよび図4bに示されるように、グラフィック表現は好ましくはいわゆるスパイダーまたはレーダー図(spider or radar diagram)の形である。しかしながら、グラフィック表現はたとえば棒グラフの形など、代替的な形でもよい。
図4aおよび図4bに示されている例を参照すると、六角形のスパイダー(レーダー)図で、組織、資源、連絡、訓練、手順、緊急事態対策および一般的安全性という安全性関連側面について側面別スコアが呈示されている。各頂点は安全性関連側面の一つに割り当てられている。同一または側面別のスケールが、最悪ケースのスコアを示す中心点20から頂点まで描かれている。周21は最良ケースのスコアを示す。黒塗りの形2は、組織単位のうちの一つの諸側面別スコアをもつ、あるいはプラントの諸全体的側面別スコアをもつ、監査または安全性評価を表す。見て取れるように、組織単位またはプラントについてそれぞれ、表示される監査または安全性評価は、手順という安全性側面について最悪ケースのスコアを示し、訓練という安全性側面について最良ケースのスコアを示している。図4bでは、線2′が異なる時点での、たとえばのちの時刻における監査または安全性評価の例を表している。のちの監査または安全性評価に関連付けられた側面別スコアから、図4bのグラフにおいて、組織単位またはプラントがそれぞれ、一般的安全性、連絡および手順という安全性関連側面では著しい改善をされた一方、資源、組織および訓練における側面別スコアは維持されたことが、明確に見て取れる。
側面別スコアに基づいて、コンピュータ1は、プラントの組織単位のそれぞれについて安全性評価のグラフを生成する。全体的側面別スコアに基づいて、コンピュータ1は、プラントの安全性評価のグラフを生成する。たとえば、安全性評価はユーザー・インターフェース7上のディスプレイ17に表示される。好ましくは、ステップS14において、コンピュータ1は、ドロップダウン・リスト71の選択フィールド内に、ステップS1で選択されたプラントの識別情報を示す。さらに、コンピュータ1は、ドロップダウン・リスト71に割り当てられたラジオボタン73aを選択し、グラフィック・ウィンドウ75内に選択されたプラントの現在の安全性評価のグラフを表示する。プラントの全組織単位について安全性評価が完了していない場合、コンピュータ1は、ドロップダウン・リスト72の選択フィールドにおいて、ステップS3で選択された組織単位の識別情報を示す。さらに、コンピュータ1は、ドロップダウン・リスト72に割り当てられたラジオボタン73bを選択し、グラフィック・ウィンドウ75内に選択された組織単位の現在の安全性評価のグラフを表示する。
ユーザー・インターフェース7は、ユーザーが、グラフィック・ウィンドウ75内に表示されるべき監査または安全性評価を選択することを可能にする。ドロップダウン・リスト71に割り当てられたラジオボタン73aを選択することによって、ドロップダウン・リスト71で選択された全体的なプラントについての安全性評価が表示される。ドロップダウン・リスト72に割り当てられたラジオボタン73bを選択することによって、あるいはドロップダウン・リスト72から組織単位の一つを選択することによって、ドロップダウン・リスト72で選択された組織単位についての安全性評価が表示される。そのプラントについて保存されている、異なる時点についての複数の監査または安全性評価がある場合、適切なチェックボックス74をチェックすることによって、監査の一つまたは複数が表示されるべく選択される。デフォルトで、そのプラントまたは組織単位についてのそれぞれ最も最近の監査に基づく安全性評価が表示される。図5に示した例では、表示のために選択されるのは、プラント「プロセス産業プラントX」の組織単位「エンジニアリング」についての第一および第二の監査に基づく安全性評価である。
上記の記述は主として、質問に対して与えられる答えに関連付けられるスコアに焦点を当てているが、スコアは(安全性)検査に関連付けられた個別の項目に割り当てられることもできる。〔0010段で「検査および/または答え」という表現をしていること等からも明らかなように、これは、質問に対して与えられる答えに関連付けられるスコアに加えて検査に関連付けられた個別の項目にスコアが割り当てられることも、質問に対して与えられる答えに関連付けられるスコアの代わりに検査に関連付けられた個別の項目にスコアが割り当てられることも含む。〕図3に示されるように、質問についてのデータに加えて、安全性関連側面の一つに関係する検査項目の定義をもつ検査についてのデータも保存され、表示される。さらに、答えについてのデータに加えて、検査結果についてのデータも入力され、保存される。したがって、スコアは検査項目および組織単位にも割り当てられ、側面別スコアは検査項目に割り当てられたスコアに基づいても計算される。
ある組織単位の側面別スコアが所定の閾値を下回っている場合、コンピュータ1は改善の機会を指示する。たとえば、図5に示されるように、組織単位「エンジニアリング」の側面「手順」に関する側面別スコアが不十分であれば、コンピュータ1は、可能な改善のステップおよび領域を指示する。コンピュータ1は、それぞれの安全性側面に関係した質問に割り当てられたスコアに依存して可能な改善のステップおよび領域を決定する。一般に、低いスコアが割り当てられた質問が可能な改善のステップおよび領域を決定することになる。たとえば、コンピュータ1は可能な改善のステップおよび領域を、メモリ12に保存されているテーブルから取得する。好ましくは、可能な改善のステップおよび領域は、エキスパート・システムによって決定される。
本発明の諸実施形態を実施するシステムの、ディスプレイ、プロセッサ、キーボードおよびメモリを有する例示的な構成を示すブロック概略図である。 本発明に基づいて実行されるステップのシーケンスの例を示す流れ図である。 本発明の諸実施形態の実行を制御するユーザー・インターフェースの例示的なレイアウトを示す図である。 本発明に基づいて生成される、プラントの組織単位の安全性評価のグラフィック表現の例を示す図である。 異なる時点における、プラントの組織単位の安全性評価のグラフィック表現の例を示す図である。 本発明の諸実施形態の実行を制御するユーザー・インターフェースのさらなる例示的なレイアウトを示す図である。

Claims (17)

  1. 複数の組織単位を有するプロセス産業プラントの安全性評価を確立するコンピュータ・ベースの方法であって:
    記憶装置内にスコアを保存し、各スコアは、前記組織単位の一つにおいて、そのプラントの複数の所定の側面の一つに関して挙行された検査および前記複数の側面の一つに関係する質問からなる一組の所定の質問の一つへの応答として前記組織単位の一つを代表する人間によって与えられた答えのうちの一方の格付けに関係するものであり、ここで、前記スコアのそれぞれは、前記組織単位の一つおよび前記諸側面の一つに対応し、
    計算手段によって、前記組織単位のそれぞれについて前記複数の側面にそれぞれ対応する複数の側面別スコアを、前記記憶装置に保存されているその組織単位に対応するスコアから計算し、特定の側面について特定の組織単位に割り当てられた最悪ケースのスコアが一つでもある場合には、その特定の組織単位に対し、その特定の側面について最悪ケースの側面別スコアが割り当てられるようにし、
    確立手段によって、前記安全性評価を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立する、
    ことを含み、
    前記安全性評価を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立することは前記安全性評価のグラフィック表現を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから生成することを含み、
    前記確立手段によって、異なる複数の時点において異なる複数の安全性評価が確立され;該異なる安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアが前記記憶装置内で、それぞれの時点についてのデータに割り当てられて保存され;前記組織単位のうちのある選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価の一つの共通グラフでのグラフィック表現が、グラフィック表現手段によって生成され、それにより、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるようにされる、
    方法。
  2. グラフィック表現手段によって、前記組織単位のうちの選択された組織単位の安全性評価の、一つの共通グラフでのグラフィック表現が生成され、該グラフに前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアが示されるのは、前記諸側面別スコアの最良ケース・スコアからの不足が視覚化され、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである、請求項1記載の方法。
  3. 計算手段によって、前記複数の組織単位の前記側面別スコアから、前記プラント全体について、前記複数の側面にそれぞれ対応する全体的側面別スコアが計算され;グラフィック表現手段によって、そのプラントの安全性評価の一つの共通グラフにおけるグラフィック表現が生成され、該グラフ中で前記全体的側面別スコアが示されるのは、前記全体的側面別スコアの最良ケース全体的スコアからの不足が視覚化され、全体的側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  4. 前記スコアは、プロアクティブなプロセス安全性管理の存在を示す最良ケースのスコアの値と、現在の経験によって駆動されるプロセス安全性管理の存在を示す第一レベルのスコアの値と、受け容れられているプロセス安全性管理プラクティスの存在を示す第二レベルのスコアの値と、基本的要件の存在を示す第三レベルのスコアの値と、基本的要件の不在を示す最悪ケースのスコアの値とを含む、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  5. 検査および答えについてのデータが前記記憶装置内に保存され、検査および答えについての該データから、コンピュータ・ベースのエキスパート・システムによって、前記検査および前記答えの格付けが決定される、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  6. 前記プラントの前記所定の諸側面には、組織の側面、資源の側面、連絡の側面、訓練の側面、手順の側面、緊急事態対策の側面および一般的安全性の側面のうちの一つまたは複数が含まれる、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  7. 前記プラントの前記組織単位には、経営トップ、運用、エンジニアリング、検査、保守および損失防止のうちの一つまたは複数が含まれる、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  8. 前記組織単位が前記プラントの階層的レベルに関係する、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  9. 前記質問が、安全性意識、安全性行動、変更管理および人為的ミスに関係する質問を含む、請求項1ないしのうちいずれか一項記載の方法。
  10. 複数の組織単位を有するプロセス産業プラントの安全性評価を確立するコンピュータ・システムであって:
    スコアを保存する記録モジュールであって、各スコアは、前記組織単位の一つにおいて、そのプラントの複数の所定の側面の一つに関して挙行された検査および前記複数の側面の一つに関係する質問からなる一組の所定の質問の一つへの応答として前記組織単位の一つを代表する人間によって与えられた答えのうちの一方の格付けに関係するものであり、各スコアは前記組織単位の一つおよび前記側面の一つに対応する、記録モジュールと、
    前記組織単位のそれぞれについて前記複数の側面にそれぞれ対応する複数の側面別スコアを、前記記憶装置に保存されているその組織単位に対応するスコアから計算し、特定の側面について特定の組織単位に割り当てられた最悪ケースのスコアが一つでもある場合には、その特定の組織単位に対し、その特定の側面について最悪ケースの側面別スコアが割り当てられ、前記安全性評価を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立する計算モジュールとを有し、
    前記安全性評価を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立することは前記安全性評価のグラフィック表現を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから生成することを含み、 前記計算モジュールは、異なる複数の時点において異なる複数の安全性評価を確立するよう構成されており;前記記録モジュールは、該異なる安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアを、それぞれの時点についてのデータに割り当てられて保存するよう構成されており;当該システムが、前記組織単位のうちのある選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価の一つの共通グラフでのグラフィック表現を生成する出力モジュールをさらに有しており、それにより、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるようにされる、
    システム。
  11. 前記組織単位のうちの選択された組織単位の安全性評価の、一つの共通グラフでのグラフィック表現を生成する出力モジュールをさらに有しており、該グラフに前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアが示されるのは、前記諸側面別スコアの最良ケース・スコアからの不足が視覚化され、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである、請求項10記載のシステム。
  12. 前記計算モジュールが、前記組織単位の前記複数の側面別スコアから、前記プラント全体について、前記複数の側面にそれぞれ対応する全体的側面別スコアを計算するよう構成され;当該システムが、そのプラントの安全性評価の一つの共通グラフにおけるグラフィック表現を生成する出力モジュールをさらに有しており、該グラフ中で前記全体的側面別スコアが示されるのは、前記全体的側面別スコアの最良ケース全体的スコアからの不足が視覚化され、全体的側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである、請求項10ないし11のうちいずれか一項記載のシステム。
  13. 前記記録モジュールが検査および答えについてのデータを保存するよう構成されており、当該システムが検査および答えについての該データから前記検査および前記答えの格付けを決定するよう構成されているエキスパート・システムをさらに含む、請求項10ないし12のうちいずれか一項記載のシステム。
  14. コンピュータの一つまたは複数のプロセッサを制御して、前記コンピュータをして:
    記憶装置にスコアを保存し、各スコアは、プロセス産業プラントの複数の組織単位の一つにおいて、そのプラントの複数の所定の側面の一つに関して挙行された検査および前記複数の側面の一つに関係する質問からなる一組の所定の質問の一つへの応答として前記組織単位の一つを代表する人間によって与えられた答えのうちの一方の格付けに関係するものであり、ここで、前記スコアのそれぞれは、前記組織単位の一つおよび前記諸側面の一つに対応し、
    計算手段によって、前記組織単位のそれぞれについて前記複数の側面にそれぞれ対応する複数の側面別スコアを、前記記憶装置に保存されているその組織単位に対応するスコアから計算し、特定の側面について特定の組織単位に割り当てられた最悪ケースのスコアが一つでもある場合には、その組織単位にその特定の側面について最悪ケースの側面別スコアが割り当てられるようにし、
    確立手段によって、前記諸組織単位の諸側面別スコアから安全性評価を確立する、
    ことを実行させる、コンピュータ・プログラムであって、
    前記安全性評価を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから確立することは前記安全性評価のグラフィック表現を、前記諸組織単位の諸側面別スコアから生成することを含み、
    前記プロセッサを制御して前記コンピュータをしてさらに、異なる複数の時点において異なる複数の安全性評価を確立手段によって確立し、該異なる安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアを、それぞれの時点についてのデータに割り当てられて前記記憶装置に保存し、前記組織単位のうちのある選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価の一つの共通グラフでのグラフィック表現をグラフィック表現手段によって生成し、それにより、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記異なる複数の安全性評価に関連付けられた諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるようにすることをさせる、
    コンピュータ・プログラム
  15. 請求項14記載のコンピュータ・プログラムであって、前記プロセッサを制御して前記コンピュータをしてさらに、前記組織単位のうちの選択された組織単位の安全性評価の、一つの共通グラフでのグラフィック表現をグラフィック表現手段によって生成させ、該グラフに前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアが示されるのは、前記諸側面別スコアの最良ケース・スコアからの不足が視覚化され、前記組織単位のうちの前記選択された組織単位の前記の諸側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるような仕方でである、コンピュータ・プログラム。
  16. 請求項14ないし15のうちいずれか一項記載のコンピュータ・プログラムであって、前記プロセッサを制御して前記コンピュータをしてさらに、前記複数の組織単位の前記側面別スコアから、前記プラント全体について、前記複数の側面にそれぞれ対応する全体的側面別スコアを計算し、そのプラントの安全性評価の一つの共通グラフにおけるグラフィック表現をグラフィック表現手段によって生成し、該グラフ中で前記全体的側面別スコアが示されるのは、前記全体的側面別スコアの最良ケース全体的スコアからの不足が視覚化され、全体的側面別スコアどうしの間の違いが視覚化されるようにすることをさせる、コンピュータ・プログラム。
  17. 請求項14ないし16のうちいずれか一項記載のコンピュータ・プログラムであって、前記プロセッサを制御して前記コンピュータをしてさらに、検査および答えについてのデータを前記記憶装置に保存し、検査および答えについての該データからコンピュータ・ベースのエキスパート・システムによって前記検査および前記答えの格付けを決定することをさせる、コンピュータ・プログラム。
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