JP5334946B2

JP5334946B2 - 織物用吸熱組成物及びこれを利用した吸熱織物の製造方法

Info

Publication number: JP5334946B2
Application number: JP2010259431A
Authority: JP
Inventors: ミョウンフワンキム
Original assignee: ノベルイノベーションズインコーポレイテッド; ミョウンフワンキム
Priority date: 2010-11-19
Filing date: 2010-11-19
Publication date: 2013-11-06
Anticipated expiration: 2030-11-19
Also published as: JP2012112051A

Description

本発明は、織物の製造方法に関し、特に、暑い所での着用時に体温を低下させることができる吸熱織物の製造方法及びこれに利用される吸熱組成物に関する。

最近、織物は衣類の原反機能の他に、別途の機能が追加された機能性原反を求める傾向が強まっているのが実情である。例えば、暑い地方で又は暑い天気下では衣類の着用を通して体温をできるだけ低下させることができる機能が求められる。従来の製品は、日光を反射することにより体温の上昇を防ぐ受動的な方法が利用されているだけであった。

本発明の目的は、衣類の着用により体温を直接的に低下させることができる吸熱織物の製造方法及びこれに利用される織物用吸熱組成物を提供することにある。

即ち、暑い地方で体の水分と反応して温度を低下させることができる物質が導入された織物を提供することにより、体温を直接低下できる織物用吸熱組成物及び吸熱織物の製造方法を提供することにある。

前記の課題を解決するために、本発明は、１０乃至５０重量％の有機酸又はそのアルカリ塩と、５乃至１５重量％のオリーブオイルと、５乃至１５重量％のグレープシードオイルと、１５乃至４５重量％のシリコン柔軟剤と、残量の精製水と、を含む織物用吸熱組成物を提供する。

前記有機酸は、クエン酸（citric acid）、リンゴ酸（malic acid）、乳酸（lactic acid）、酒石酸（tartaric acid）、コハク酸（succinic acid）、フマル酸（fumaric acid）、グルコン酸（gluconic acid）、アスコルビン酸（ascorbic acid）、シュウ酸（oxalic acid）、マロン酸（malonic acid）、グルタル酸（glutaric acid）、アジピン酸（adipic acid）、マレイン酸（maleic acid）、イタコン酸（itaconic acid）、及びプロピオン酸（propionic acid）の中から選択された一つ又は二つ以上の混合物であることを特徴とする。

他の観点で、本発明は、有機酸又はそのアルカリ塩１０乃至５０重量％、オリーブオイル５乃至１５重量％、グレープシードオイル５乃至１５重量％、シリコン柔軟剤１５乃至４５重量％及び残量の精製水からなる吸熱組成物を製造する段階と、前記吸熱組成物が５乃至１０重量％の割合で含まれた吸熱加工液を浸染又はパディング工程を通して織物に吸尽させる段階と、前記吸熱加工液が吸尽された織物を乾燥させる段階と、を含む吸熱織物の製造方法を提供する。

前記織物は、天然糸、化繊糸又はこれらの混紡糸からなる織物であることを特徴とする。

前記浸染工程は、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で２０乃至３０分間行われることを特徴とする。

前記パディング工程は、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で１乃至５分間行われることを特徴とする。

前記乾燥段階は、温度１００乃至１３０℃の条件下で１乃至５分間行われることを特徴とする。

前記のような本発明によれば、多様な織物に新概念の吸熱組成物を安定的にコーティングでき、このように製造された吸熱織物で製造された衣類を着用するとき、別途の冷却手段によらなくても吸熱組成物が汗などの体液中の水分と反応して吸熱するため、極暑の環境でも長期間体温を維持できる吸熱織物の生産が可能であるという効果を期待することができる。

また、本発明によって製造された吸熱組成物を利用した衣類を着用するとき、吸熱組成物が体液中の微細水分と反応して吸熱することにより、低下した温度が相当時間維持されて効率的な体温維持が可能であるため、冷房のためのエネルギーを低減できるという付加的な効果を期待することができる。

服を着用する前の身体表面の温度分布を示したものである。本発明による吸熱織物で製造された服を着用した後の身体表面の温度分布を示したものである。

以下、本発明を実施例及び実験例によって具体的に説明する。
（１）織物用吸熱組成物を製造する段階

前記吸熱組成物は、有機酸（organic acid）又はそのアルカリ塩、オリーブオイル、グレープシードオイル、シリコン柔軟剤及び残量の精製水を含んでなる。

組成物中の有機酸（organic acid）又はそのアルカリ塩の含有量は１０乃至５０重量％の範囲であり、望ましくは１５乃至３０重量％の範囲である。この時、有機酸又はそのアルカリ塩の含有量が１０重量％未満であれば吸熱効果が小さく、有機酸又はそのアルカリ塩の含有量が５０重量％を超過すれば溶解性が低下するという問題点がある。前記有機酸は、クエン酸（citric acid）、リンゴ酸（malic acid）、乳酸（lactic acid）、酒石酸（tartaric acid）、コハク酸（succinic acid）、フマル酸（fumaric acid）、グルコン酸（gluconic acid）、アスコルビン酸（ascorbic acid）、シュウ酸（oxalic acid）、マロン酸（malonic acid）、グルタル酸（glutaric acid）、アジピン酸（adipic acid）、マレイン酸（maleic acid）、イタコン酸（itaconic acid）、及びプロピオン酸（propionic acid）等の中から選択された一つ又は二つ以上の混合物であり得る。

前記有機酸は、体液中の水分と吸熱反応して皮膚表面の体温を低下させることができる。特に、クエン酸は、有機酸の中でも被固着体との固着性及び吸熱特性に優れている。前記有機酸のアルカリ金属塩も使用可能で、アルカリ塩としては、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を使用することができ、具体例を挙げれば、有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などを使用することができる。

前記オリーブオイルは、天然ビタミン及び抗酸化物質を含有していて、皮膚のしみ、痕、そばかす、老化防止などに非常に効果的な成分であり、組成物中の含有量は５乃至１５重量％の範囲で、望ましくは７乃至１２重量％の範囲で使用するのがよい。この時、オリーブオイルの含有量が５重量％未満であれば、期待される効果が得難く、１５重量％を超過すれば、液安定性を阻害し経済性上望ましくない傾向が表れるため、前記範囲を維持するのが望ましい。

前記グレープシードオイルは、ビタミンＥ、トコフェロール（tocopherol）が多量に含有されていて皮膚の老化防止効果に優れ、秀でた保湿効果によりハリのある皮膚を保ち、果物酸の一種であるＡＨＡ成分が含有されていて角質や肌荒れによい。組成物中のグレープシードオイルの含有量は５乃至１５重量％の範囲が望ましい。グレープシードオイルの含有量が５重量％未満であれば、期待される効果が得難く、１５重量％を超過すれば、組成物の保存安定性が低下し経済性上望ましくない。

前記シリコン柔軟剤は、前記有機酸、オリーブオイル、グレープシードオイルなどの成分を繊維によく固着させる成分で構成されており、繊維原反を柔軟にするのはもちろん、皮膚に非常に効果的な機能を付与する。組成物中の前記シリコン柔軟剤の含有量は１５乃至４５重量％の範囲であり得る。前記シリコン柔軟剤の含有量が１５重量％未満であれば、前記有機酸、オリーブオイル、グレープシードオイルなどの繊維への固着力が弱化して耐久性が低下し、４５重量％を超過すれば、保存安定性が低下し吸熱効果を阻害するという問題が生じる。望ましくは、１５乃至３０重量％で添加される。

前記有機酸又はそのアルカリ塩、オリーブオイル、グレープシードオイル及びシリコン柔軟剤と残量の精製水とを含んで一液型液状に製造される本発明の吸熱組成物は、常温で１年以上保管しても固液分離することなく保存安定性に優れている。

本発明の前記吸熱組成物は、乳白色乃至微色の粘稠液で、非イオン性であり、弱酸性乃至中性を帯びる。
（２）浸染又はパディング工程を通して織物に、前記吸熱組成物を含む吸熱加工液を吸尽させる段階

本発明の吸熱織物は、天然糸、混紡糸及び化繊糸などの多様な繊維からなる織物全てに広く適用されることができ、望ましくは化繊糸を含んでなる織物に適用されることができるが、ナイロンなどのアミド系繊維や、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維などを含む混紡糸や化繊糸からなる織物に適用される場合、より優れた吸熱特性が発揮される。特に、竹繊維、又は竹繊維と化繊糸（特にナイロン）との混紡糸を適用する場合は１．５乃至５℃程度の減温効果が得られる。

本発明の吸熱組成物を織物に適用する場合、織物の種類によって使用量を適切に加減調節でき、一般的には水で５乃至１０重量％の濃度に希釈して使用すればよい。

前記吸熱加工液は浸染又はパディングによって織物に適用され、浸染時には、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で２０乃至３０分間処理するのが効果的で、パディング時には、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で１乃至５分間処理するのが効果的である。

浸染時、ｐＨが５．０未満であるか６．０を超過すれば、吸熱加工液の吸尽が充分でないため注意するべきで、また浸染温度が４０℃未満であれば、同じく吸熱加工液の吸尽が充分でないため注意するべきである。浸染温度が５０℃を超過すれば、吸尽された吸熱加工液の安定性を阻害する傾向があるため、前記範囲を維持するのが望ましい。浸染時間が２０分未満であれば、吸熱加工液が充分に織物中へ吸尽されない傾向があり、３０分を超過すれば、吸尽された吸熱加工液が溶出されて充分な吸熱効果が望み難い。

パディング時、ｐＨが５．０未満であるか６．０を超過すれば、吸熱加工液が織物中へ充分に吸尽されない傾向があり、また温度が４０℃未満であれば、同じく吸熱加工液が織物中へ充分に吸尽されない傾向がある。パディング時、温度条件が５０℃を超過すれば、吸熱加工液に含まれた吸熱組成物の安定性が低下する傾向があるため、前記範囲を維持するのが望ましい。
（３）前記吸熱加工液が吸尽された織物を乾燥する段階

上述のように吸熱加工液が浸染又はパディングされた織物を、パディングローラなどの手段を用いて脱水し、乾燥段階を経れば、組成物中のシリコン樹脂が架橋効果を表して吸熱加工液が織物により一層しっかり固着される。

この時、乾燥温度は１００乃至１３０℃の範囲が望ましく、乾燥時間は１乃至５分間であり得る。乾燥温度が１００℃未満であれば固着が不充分で、１３０℃を超過すれば、吸熱組成物を構成する成分が変性されて吸熱効果が充分に表れ得ないため、前記範囲で調節するのが望ましい。また、乾燥時間が前記時間よりも長くなれば吸熱効果が低下し得るため注意を要する。

かかる方法によって製造された本発明の吸熱織物は、着衣時に体液と反応して吸熱することにより皮膚の温度を低下させることができ、その程度は０．５乃至５℃の範囲で、着衣時、吸熱効果が持続する効果を期待できる。織物への適用時、耐久性に優れていて洗濯を３０回以上繰り返しても吸熱性が維持された。また、坑菌及び抗湿効果を表して着衣時の快適さを維持できる。

以下、具体的な吸熱織物の製造方法を説明する。
―吸熱組成物の製造
実施例１．クエン酸を用いた吸熱組成物の製造

まず、シリコン柔軟剤約３０重量％、オリーブオイル約１０重量％及びグレープシードオイル約１０重量％を乳化機に投入し約３０００乃至５０００ｒｐｍの速度で約６０分間高速攪拌して乳化溶液を製造する。次に、別途の攪拌機が取り付けられた容器に精製水約２０重量％を投入し、攪拌しながらクエン酸３０重量％を投入して完全に溶解させた後、予め製造されたシリコン、オリーブオイル及びグレープシードオイルの乳化溶液を約３０分にわたって投入し約３００乃至５００ｒｐｍの速度で約６０分間攪拌して均一な吸熱組成物を製造する（以上、組成物の重量は最終組成物全体を基準とする）。
実施例２．リンゴ酸を用いた吸熱組成物の製造

前記実施例１と同様の方法及び条件下で、クエン酸の代わりにリンゴ酸を用いて吸熱組成物を製造した。
実施例３．クエン酸ソーダを用いた吸熱組成物の製造

前記実施例１と同様の方法及び条件下で、クエン酸の代わりにクエン酸ソーダを用いて吸熱組成物を製造した。
―吸熱織物の製造

前記実施例１乃至３によって製造された吸熱組成物を水で約６％の濃度に希釈して吸熱加工液を製造し、これを、ポリエステルとポリウレタンの混紡トリコット（Tricot）織物（ポリエステル７７％、２０Ｄポリウレタン２３％、ＫＳＫ０５１４：２００６により測定された重量１４８．２ｇ／ｍ^２）にｐＨ５．５、温度４０℃の条件下で約２分間パディング法を適用して導入し、脱水後、温度１３０℃、２２ｒｐｍの条件下で約１分間熱加工して吸熱織物（実施例１乃至３の吸熱組成物を利用して製造された織物を各々実施例４乃至６とする）を製造した。

一方、前記織物の製造と同様の条件下で、前記既製造した吸熱加工液を竹繊維原糸とナイロン原糸との混紡織物（竹繊維６０％、ナイロン４０％、２００ＴＭ）に導入した（実施例１乃至３の吸熱組成物を利用して製造された織物を各々実施例７乃至９とする）。
実験例１．吸熱織物の特性確認
［吸熱性確認］

前記実施例４乃至９の織物で製造された上衣を１０分間着衣した後、着衣前後の体温変化を測定し、実施例４の織物で製造された上衣の着衣前後の結果を図１及び２に各々示す。図１は着衣前、図２は着衣後１０分経過時の結果を示す。図１及び２によれば、温度が平均３℃低下したことを確認することができる。このような結果は、ISO 6330:2000. 11B規定によって３０±３℃、弱サイクル、２ｋｇの条件下で連続３０回洗濯し乾燥した後も同一に表れた。
［抗菌度確認］

繊維試験研究院（ＦＩＴＩ）に依頼して実施例４の吸熱織物の坑菌度をＫＳＫ０６９３：２００６法により測定した。標準布としては綿織物を使用し、標準菌株としては黄色ブドウ球菌（Staphylococcus aureus ATCC 6538、“菌株１”とする）と肺炎かん菌（Klebsiella pneumonia ATCC 4352、“菌株２”とする）を使用し、その結果を下記表１に示した。

特に、前記菌株１（１．３×１０^５ｃｆｕ／ｍｌ）と菌株２（１．１×１０^５ｃｆｕ／ｍｌ）を使用しISO 6330:2000. 11B規定によって、３０±３℃、弱サイクル、２ｋｇの条件下で連続３０回洗濯及び乾燥（ＷＯＢ洗剤使用、非イオン系界面活性剤ｔｗｅｅｎ８０、接種菌液０．０５％添加）した後、静菌減少率をＫＳＫ０６９３：２００１の方法を準用して測定した結果、菌株１及び菌株２両方とも９９．９％で、これは本発明の方法によって製造された吸熱織物に吸熱組成物がよく固着されていることを意味すると見られる。

以上、本発明の望ましい実施例を参照しながら説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明の多様な修正及び変更が可能であることを理解し得るであろう。

Claims

１０乃至５０重量％の有機酸又はそのアルカリ塩と、
５乃至１５重量％のオリーブオイルと、
５乃至１５重量％のグレープシードオイルと、
１５乃至４５重量％のシリコン柔軟剤と、
残量の精製水と、を含み、
前記有機酸は、クエン酸（citric acid）、リンゴ酸（malic acid）、乳酸（lactic acid）、酒石酸（tartaric acid）、コハク酸（succinic acid）、フマル酸（fumaric acid）、グルコン酸（gluconic acid）、アスコルビン酸（ascorbic acid）、シュウ酸（oxalic acid）、マロン酸（malonic acid）、グルタル酸（glutaric acid）、アジピン酸（adipic acid）、マレイン酸（maleic acid）、イタコン酸（itaconic acid）、及びプロピオン酸（propionic acid）の中から選択された一つ又は二つ以上の混合物であることを特徴とする織物用吸熱組成物。
有機酸又はそのアルカリ塩１０乃至５０重量％、オリーブオイル５乃至１５重量％、グレープシードオイル５乃至１５重量％、シリコン柔軟剤１５乃至４５重量％及び残量の精製水からなる吸熱組成物を製造する段階と、
前記吸熱組成物が５乃至１０重量％の割合で含まれた吸熱加工液を浸染又はパディング工程を通して織物に吸尽させる段階と、
前記吸熱加工液が吸尽された織物を乾燥させる段階と、
を含み、
前記有機酸は、クエン酸（citric acid）、リンゴ酸（malic acid）、乳酸（lactic acid）、酒石酸（tartaric acid）、コハク酸（succinic acid）、フマル酸（fumaric acid）、グルコン酸（gluconic acid）、アスコルビン酸（ascorbic acid）、シュウ酸（oxalic acid）、マロン酸（malonic acid）、グルタル酸（glutaric acid）、アジピン酸（adipic acid）、マレイン酸（maleic acid）、イタコン酸（itaconic acid）、及びプロピオン酸（propionic acid）の中から選択された一つ又は二つ以上の混合物であることを特徴とする吸熱織物の製造方法。
前記織物は、天然糸、化繊糸又はこれらの混紡糸からなる織物であることを特徴とする請求項２に記載の吸熱織物の製造方法。
前記浸染工程は、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で２０乃至３０分間行われることを特徴とする請求項２に記載の吸熱織物の製造方法。
前記パディング工程は、ｐＨ５．０乃至６．０、温度４０乃至５０℃の条件下で１乃至５分間行われることを特徴とする請求項２に記載の吸熱織物の製造方法。
前記乾燥段階は、温度１００乃至１３０℃の条件下で１乃至５分間行われることを特徴とする請求項２に記載の吸熱織物の製造方法。