JP5332279B2 - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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本発明は、プラスチックフィルムからなる基材上に蒸着膜を設けたガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア性が一層向上された積層フィルムに関する。
ガスバリア性積層フィルムは、主に、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料として用いられている。
このようなガスバリア性積層フィルムのうち、化学気相成長法(CVD)により形成された酸化ケイ素(SiOx)蒸着膜又は炭素含有酸化ケイ素(SiOxCz)蒸着膜を有するものが知られているが(特許文献1〜3)、要求されるガスバリアレベルの高まりに伴い、一層高いガスバリア性を示し得る積層フィルムが求められている。
上記要求に対し、ケイ素を主成分とする蒸着膜中に窒素を含ませることによって、窒素を含有しない酸化ケイ素蒸着膜又は炭素含有酸化ケイ素蒸着膜に比べて、より緻密な膜が得られ、酸素ガス及び水蒸気に対するバリア性が向上することが見出された。しかしながら、酸素に比べ、窒素を蒸着膜中に混入させることは技術的に困難であり、製造面で種々の問題が発生する。例えば、特許文献4には、窒化ケイ素(SiNy)からなる蒸着膜を形成するために、アンモニアガスと共にシランガスのような有毒性の原料を用いることが記載されているが、このような製造方法は、安全対策の問題から、ロールトゥロール方式によるような大型蒸着機で製造することはできなかった。
特許第3481001号公報 特開平8−14254号公報 特開平11−322982号公報 特許第3853395号公報
本発明は、酸素ガス及び水蒸気に対して高いバリア性を示し、且つ危険な原料を使用せずに効率よく大量生産することができるガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、種々のガスバリア性積層フィルムの構成を模索し、鋭意研究の結果、上記課題を達成するために必要な条件を見出した。
具体的には、プラスチックフィルムからなる基材の一方の面に、ケイ素化合物蒸着膜を積層したガスバリア性積層フィルムであって、該ケイ素化合物蒸着膜の組成が、SiOxyz{0.4<x<1.0、0.3<y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5}であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムは、高いガスバリア性を示し、且つロールトゥロール方式で効率よく製造することができた。
また、上記ガスバリア性積層フィルムを構成するケイ素化合物蒸着膜を、プラズマ化学気相成長法により基材上に積層することにより、緻密な膜質が得られ、極めて高いガスバリア性を示すことができた。
さらに、本発明は、上記の組成条件を満たすガスバリア性積層フィルムの製造方法を提供する。具体的には、プラスチックフィルムからなる基材の一方の面にケイ素化合物蒸着膜を積層することからなるガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、前記ケイ素化合物蒸着膜を積層する工程において、少なくとも1種の有機ケイ素化合物からなる成膜用モノマーガス、該成膜用モノマーガスと反応する窒素含有ガス、及び不活性ガス、を含有する成膜用混合ガス組成物を使用し、前記ケイ素化合物蒸着膜の組成がSiOxyz{0.4<x<1.0、0.3<y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5}となるように、該成膜用混合ガス組成物の組成比を調整することを特徴とする、上記製造方法を提供する。
さらに、本発明において、上記製造方法は、ロールトゥロール方式で行うことができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、極めて高いレベルのガスバリア性に対応することができる透明ガスバリア性フィルムである。
本発明のガスバリア性積層フィルムを構成するケイ素化合物蒸着膜は、酸素及び炭素と共に、これらに対して好適な重量比で窒素を含有するため、緻密であり、したがって、優れたガスバリア性を示すことができる。
さらに、本発明において、ケイ素化合物蒸着膜中に、好適な重量比で炭素が存在するため、膜の疎水性が高まり、水蒸気に対して高いガスバリア性を示すことができる。また、炭素を含有しない蒸着膜と比べて膜に柔軟性が付与されるため、加工時のストレスによるクラックの発生等を防ぐことができ、ガスバリア能の低下を抑制することができる。
また、本発明において、ケイ素化合物蒸着膜は、シランガスを使用せずに形成されるため、安全性の面で好ましいものである。さらに、ロールトゥロール方式による大型蒸着機の使用が可能であるため、本発明のガスバリア性積層フィルムは、生産性に優れ、コスト面において好ましいものである。
本発明について、以下に詳しく説明する。また、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用のものが用いられる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、プラスチックフィルムからなる基材、及びその上に積層されたケイ素化合物蒸着膜を有する。ケイ素化合物蒸着膜は、単層であっても、2層以上からなる多層であってもよい。
<1>プラスチックフィルムからなる基材
本発明において、プラスチックフィルムからなる基材として、化学的ないし物理的強度に優れ、ケイ素化合物蒸着膜を形成する条件等に耐え、かつケイ素化合物蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる任意のプラスチックフィルムを使用することができる。
このようなプラスチックフィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種のプラスチック材料からなるフィルムを使用することができる。
本発明において、上記の各種フィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂1種又はそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の成膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で成膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し成膜化する方法、さらには、2種以上の樹脂を使用し、成膜化する前に混合して成膜化する方法等により、各種のフィルムを製造し、さらに、所望により、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸した各種のフィルムを使用することができる。
なお、上記の各種の樹脂1種又はそれ以上を使用し、その成膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
また、上記の基材は、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面活性処理を任意に施すことができる。
<2>ケイ素化合物蒸着膜
本発明において、ケイ素化合物蒸着膜は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物からなる成膜用モノマーガス、窒素含有ガス、並びに蒸着機のチャンバー内に残留する酸素ガス及び水が、プラズマ雰囲気下で化学反応を起こし、その反応生成物が、プラスチックフィルムからなる基材の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性に富む連続状の薄膜を形成したものである。
そして、その組成式はSiOxyzで表され、ここで0.4<x<1.0、0.3<y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5である。本発明者らは、様々な条件下でケイ素化合物蒸着膜を形成した結果、上記パラメーターx、y及びzを適当な範囲のものとすることにより、優れた酸素ガスバリア性、及び、純水な窒化ケイ素(SiNy)膜に匹敵する優れた水蒸気バリア性が得られることを見出した。具体的には、酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性を高めるためには、ケイ素化合物蒸着膜中の酸素含有率を下げ、窒素含有率を上げ、且つ炭素含有率を1.0<z<2.0の範囲内にすることが好ましい。酸素含有率が高すぎる場合、及び/又は窒素含有率が低すぎる場合、ケイ素化合物蒸着膜の水蒸気バリア性が低下する。また、炭素含有率が低すぎると、ケイ素化合物蒸着膜が脆くなり、バリア劣化が発生し得、逆に炭素含有率が高すぎると、水蒸気バリア性が低下する。しかしながら、大型蒸着機を用いて実用的な製品を得るために各元素間のバランスを考慮すると、上述の数値範囲、0.4<x<1.0、0.3<y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5であることが好ましい。
ここで、x、y及びzの値は主に、用いる有機ケイ素化合物の種類や、成膜用モノマーガス:窒素含有ガス:不活性ガス:チャンバー内に残留する酸素ガス:チャンバー内に残留する水のモル比、プラズマのエネルギー等により変化する。
本発明のケイ素化合物蒸着膜は、ケイ素、酸素、窒素及び炭素に加えて、さらに水素を含有することができ、例えばC−H結合含有部位、例えばCH3基、又はSi−H結合含有部位、例えばSiH3基、又は水酸基OH等を含有することができる。
本発明において、ケイ素化合物蒸着膜について、例えばX線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)等の表面分析装置を用いて元素分析を行うことにより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、ケイ素化合物蒸着膜の膜厚は、例えば5〜1000Å、好ましくは50〜500Åの範囲内で任意に選択することができる。
<3>蒸着方法
本発明において、上記ケイ素化合物蒸着膜は、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、好ましくはプラズマ化学気相成長法により形成される。
本発明においては、具体的には、少なくとも1種の有機ケイ素化合物からなる成膜用モノマーガスを原料とし、該成膜用モノマーガスと反応する窒素含有ガスを使用し、さらにキャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用して、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて、プラスチックフィルムからなる基材の表面に上記ケイ素化合物蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
本発明における、低温プラズマ化学気相成長法によるケイ素化合物蒸着膜の形成法について、その一例を挙げて説明する。図1は、上記のプラズマ化学気相成長法において使用されるロールトゥロール方式による低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明において、ロールトゥロール方式とは、ロール状に巻いた基材に層構造を構築し、再びロールに巻き取る製造方式を指す。バッチ式に比べて、生産効率が極めてよいが、大型装置により行われるため、特定の製造方法にのみ適用可能である。
本発明においては、図1に示すように、低温プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバー22内に配置された巻き出しロール23から基材1を繰り出し、更に、該基材1を、補助ロール24を介して所定のライン速度で、蒸着チャンバー36内の冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。ガス供給装置26、27及び、原料揮発供給装置28から窒素含有ガス、不活性ガス、成膜用モノマーガス等を供給し、それらからなる成膜用混合ガス組成物を調整しながら原料供給ノズル29を通して蒸着チャンバー36内に該成膜用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された、基材1の上に、グロー放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、ケイ素化合物蒸着膜を形成する。その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバー22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。次いで、基材1は、その一方の面に、ケイ素化合物蒸着膜を形成した後、補助ロール33を介して巻き取りロール34に巻き取られる。なお、図中、35は真空ポンプを表す。
また、原料揮発供給装置において、原料である有機ケイ素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される窒素含有ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを、原料供給ノズルを介して蒸着チャンバー内に導入する。
本発明においては、有機ケイ素化合物を揮発させて得られる成膜用モノマーガスと、窒素含有ガスと、不活性ガスとの混合比を調整することにより、得られるケイ素化合物蒸着膜の組成をSiOxyz{0.4<x<1.0、0.3<y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5}とする。該混合比は、成膜用混合ガス組成物中の含有量として、例えば、成膜用モノマーガスが1〜40体積%、窒素含有ガスが10〜70体積%、及び不活性ガスが10〜60体積%程度とすることができるが、用いる有機ケイ素化合物の種類、チャンバー内に残留する酸素ガス及び水、プラズマのエネルギー等種々の条件に応じて変化する。
一方、冷却・電極ドラムには、電極から所定の電圧が印加されているため、蒸着チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成される。この状態において、冷却・電極ドラム周面上の基材面にケイ素化合物蒸着膜が形成される。ここで、該基材を一定のライン速度で搬送させて、均質な膜厚を有するケイ素化合物蒸着膜を備えたガスバリア性積層フィルムが得られる。
なお、基材を搬送するライン速度は、10〜300m/分程度、好ましくは50〜150m/分程度とすることができる。
上記の低温プラズマ化学気相成長装置において、ケイ素化合物蒸着膜は、プラズマ化した原料ガスを用いて、基材上に薄膜状に形成されるので、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となる。
従って、フィルムの変形や屈曲に伴うケイ素化合物蒸着膜の破断を防ぐことができ、長期にわたり高いガスバリア性を示すことができるガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
本発明において、成膜用モノマーガスとしては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物を単独で、又は2種若しくはそれ以上の混合物として用いることができる。
また、成膜用モノマーガスと反応する窒素含有ガスとしては、窒素ガスを単独で用いても、又は他の反応性ガスとの混合物、例えば酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることもできる。
不活性ガスとしては、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
<4>ケイ素化合物蒸着膜の表面処理
本発明において、形成されたケイ素化合物蒸着膜の表面に、例えばプラズマ処理面を設けてもよい。該プラズマ処理面は、気体のアーク放電により生じるプラズマガスを利用して表面改質を行うプラズマ表面処理法等を用いて形成することができる。
本発明において、プラズマガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、又は酸素ガス、又は該不活性ガスと酸素ガスとの混合物を用いることができる。プラズマ処理面は、ケイ素化合物蒸着膜を形成した直後に、インラインでプラズマ処理を行うことにより形成することができる。
また、本発明において、上記のプラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間等の条件を考慮してプラズマ放電処理をおこなうことが好ましいものである。プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の装置を利用して行うことができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムを構成するケイ素化合物蒸着膜の表面にプラズマ処理面を設けることにより、膜の表面張力を高めることができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[参考例1]
基材として、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。また、成膜用モノマーガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用い、不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、窒素含有ガスとして窒素ガス(N2)を用いた。低温プラズマ化学気相成長装置で、下記に示す条件で、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åのケイ素化合物(SiOxNy
Cz)蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
導入ガス量 ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:アルゴンガス=1.0:1.5:3.0(単位:slm、スタンダードリッターミニット)
真空チャンバー内の真空度 2〜6×10-4Pa
蒸着チャンバー内の真空度 2〜5×10-1Pa
冷却・電極ドラム供給電力 15kW
ライン速度 80m/分
次に、上記で厚さ200Åのケイ素化合物蒸着膜を形成した直後に、そのケイ素化合物蒸着膜表面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、窒素ガス(N2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧8×10-3Paで窒素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、該ケイ素化合物蒸着膜表面の表面張力を54mN/m以上向上させたプラズマ処理面を形成した。これにより、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[参考例2]
導入ガス量をヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:アルゴンガス=1.0:3.0:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[実施例1]
導入ガス量をヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:アルゴンガス=1.0:4.5:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[実施例2]
導入ガス量をヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:アルゴンガス=1.0:6.0:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[参考例3]
窒素含有ガスとして、窒素ガスの代わりに酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、導入ガス量を、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:酸素ガス:アルゴンガス=1.0:1.5:0.3:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[実施例3]
成膜用モノマーガスとして、ヘキサメチルジシロキサンの代わりにヘキサメチルジシラ
ザン(HMDS)を用い、導入ガス流量を、ヘキサメチルジシラザン:窒素ガス:アルゴンガス=0.8:4.5:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[実施例4]
成膜用モノマーガスとして、ヘキサメチルジシロキサンの代わりにヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用い、導入ガス流量を、ヘキサメチルジシラザン:窒素ガス:アルゴンガス=0.8:6.0:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[実施例5]
実施例3において、冷却・電極ドラム供給電力を25kWにした以外は同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例1]
導入ガス量を、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:アルゴンガス=1.0:1.0:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例2]
窒素含有ガスとして、窒素ガスの代わりに酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、導入ガス量を、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):窒素ガス:酸素ガス:アルゴンガス=1.0:1.5:0.9:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[比較例3]
成膜用モノマーガスと反応する窒素含有ガスとして用いた窒素ガスの代わりに、酸素ガス(O2)を用い、導入ガス量を、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO):酸素ガス:アルゴンガス=1.0:1.5:3.0(単位:slm)とした以外は、参考例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを得た。
[結果]
記参考例1〜3、実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたガスバリア性積層フィルムについて、XPS表面解析装置ESCA(英国、VG Scientific社製ESCA LAB220I-XL)を用いて、形成されたケイ素化合物蒸着膜の元素分析を行った。
また、酸素透過度を、米国、MOCON社製OXTRAN2/20を用いて、23℃、湿度90%RHの条件で測定した。
さらに、水蒸気透過度を、米国、MOCON社製PERMATRANを用いて、40℃、湿度90%RHの条件で測定した。
測定結果は下記の表1に示されるとおりであった。
Figure 0005332279
上記の表1から明らかなように、実施例1〜5のガスバリア性積層フィルムはいずれも、比較例1〜3と比較して、低い酸素透過度及び水蒸気透過度を示した。
実施例1〜2において、低温プラズマ化学気相成長装置の蒸着チャンバー中に十分量の窒素ガスを導入したところ、形成されたケイ素化合物蒸着膜は、高い窒素含有率を示し、極めて良好な酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性を有していた。
これに対し、比較例1において、導入される窒素ガス量を制限したところ、ケイ素化合物蒸着膜中に十分量の窒素が存在せず、y/(x+y+z)<0.1となり、酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性はいずれも大きく低下した。
参考例3において、成膜用混合ガス組成物中に適量の酸素ガスを導入することにより、成膜用モノマーガス中の炭素成分の分解が促進され、炭素含有量の減少が確認された。
これに対し、比較例2において、導入する酸素ガス量を増やしたところ、酸素含有率が増加し、窒素含有率が減少し、y/(x+y+z)<0.1となり、酸素ガスバリア性及び
水蒸気バリア性はいずれも大きく低下した。
実施例3及び4において、成膜用モノマーガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)の代わりに、酸素を含まないヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いた場合、HMDSOに比べ膜中の窒素含有率が増加することがわかった。
実施例5において、成膜用モノマーガス中の炭素成分の分解を促進するために、冷却・電極ドラム供給電力を15kWから25kWに上げた結果、膜中の炭素含有率は減少し、窒素含有率が増加し、高いガスバリア性が示された。
本発明の方法に使用する低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
符号の説明
1 基材
21 低温プラズマ化学気相成長装置
22 真空チャンバー
23 巻き出しロール
24、33 補助ロール
25 冷却・電極ドラム
26、27 ガス供給装置
28 原料揮発供給装置
29 原料供給ノズル
30 グロー放電プラズマ
31 電源
32 マグネット
34 巻き取りロール
35 真空ポンプ
36 蒸着チャンバー

Claims (3)

  1. プラスチックフィルムからなる基材の一方の面に、プラズマ化学気相成長法によりケイ素化合物蒸着膜を積層したガスバリア性積層フィルムであって、ケイ素化合物蒸着膜の組成が、SiOxyz{0.4<x<1.0、20/29≦y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5}であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. プラスチックフィルムからなる基材の一方の面にプラズマ化学気相成長法によりケイ素化合物蒸着膜を積層することからなる、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、
    上記ケイ素化合物蒸着膜を積層する工程において、少なくとも1種の有機ケイ素化合物からなる成膜用モノマーガス、該成膜用モノマーガスと反応する窒素含有ガス、及び不活性ガス、を含有する成膜用混合ガス組成物を使用し、
    ケイ素化合物蒸着膜の組成がSiOxyz{0.4<x<1.0、20/29≦y<1.5、1.0<z<2.0、0.1<y/(x+y+z)<0.5}となるように、該成膜用混合ガス組成物の組成比を調整することを特徴とする、上記製造方法。
  3. ロールトゥロール方式で製造することを特徴とする、請求項2記載の製造方法。
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