以下、本発明の一実施形態にかかる部品選別装置1及び防水栓挿入装置10を図1ないし図10を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかる防水栓挿入装置10は、複数の防水栓2(部品に相当する)のうち1つの向き(後述する第1の向きA)に配された防水栓2を選別し、これら選別した防水栓2を順次、電線24の端末が挿入される状態に保持する装置である。
防水栓2は、ゴムやエラストマー等の弾性材料で構成されている。防水栓2は、図2に示すように、小径部21と、小径部21と同軸的かつ直列に連なる大径部22と、電線通し孔23とを備えている。小径部21は、大径部22に連なる円筒状の首部21aと、首部21aの大径部22から離れた外周面全周から突出したフランジ状のフランジ部21bとを備えている。なお、このフランジ部21bは必ずしも設けられていなくてもよく、小径部21が首部21aのみから構成されていてもよい。
大径部22は、円筒状に形成されている。大径部22の外径は、首部21a及びフランジ部21bの外径よりも大きく形成されている。大径部22の外周面には、当該外周面から突出したリップ部22aが大径部22の全周に亘って設けられている。リップ部22aは、大径部22の中心軸に沿って互いに間隔をあけて複数設けられている。なお、以下では、大径部22の外径を防水栓2の外径と呼ぶ。
電線通し孔23は、小径部21及び大径部22の中心軸上に設けられた孔である。電線通し孔23の内径は、電線24の外径よりも僅かに小さく形成されている。電線24は、所謂被覆電線であり、導電性の芯線と、該芯線を被覆した絶縁性の被覆部とを備えている。
前述した防水栓2は、図2に示すように、電線通し孔23内に大径部22側から矢印Wに沿って電線24が挿入されて電線24の端末に取り付けられる。その後、電線24の端末が皮剥きされて芯線が露出され、この芯線を端子金具25の加締め片25aが加締めて電線24が端子金具25に取り付けられる。そして、防水栓2は、首部21aを端子金具25の加締め片25bが加締めて端子金具25に取り付けられる。この後、防水栓2は、例えば図示しないコネクタのコネクタハウジング内に押し込まれて、リップ部22aをコネクタハウジングの内面に密着させて、コネクタハウジングの内面と電線24の外周面との間を水密に保つ。なお、図2以外の図面では、防水栓2を簡略化して描画している。
防水栓挿入装置10は、図1に示すように、フレーム3と、部品供給部4と、部品選別装置1と、電線挿入部5と、制御装置6(図10)とを備えている。フレーム3は、図1に示すように、フレーム本体31と、可動部32と、立設筒支持部33と、選別装置支持部34とを備えている。
フレーム本体31は、工場等のフロアに設置されて上面が水平方向に平坦に形成された基部31aと、基部31aの上面から鉛直方向に立設した角柱状の一対の支柱(図1中では一方のみ示す)31bと、一対の支柱31bの上端に固定され水平方向に沿って平坦に配された平面矩形状の上壁31cとを備えている。基部31aの上面には、電線挿入部5が固定されている。上壁31cには、部品供給部4の後述する第1エアシリンダ44の伸縮ロッド44bを通す丸孔が形成され、上面に第1エアシリンダ44のシリンダ本体44aが固定されている。
可動部32は、フレーム本体31に対して移動自在に設けられている。可動部32は、鉛直方向に沿って配されて互いの間に上壁31cを位置付ける角柱状の複数の可動柱32aと、可動柱32aの下端に固定されて水平方向に沿って平坦に配された平面矩形状の可動壁32bとを備えている。
可動壁32bは、上壁31cよりも大きく形成されている。可動壁32bの上壁31cと相対する部分の上面には、第1エアシリンダ44の伸縮ロッド44bの先端が固定されている。また、可動壁32bの上壁31cから離れた部分には、部品供給部4の後述する外筒部41を通す丸孔が形成され、この丸孔内に通された外筒部41が固定されている。
立設筒支持部33は、フレーム本体31に固定されている。立設筒支持部33は、鉛直方向に沿って配されてフレーム本体31の支柱31bに固定される平面矩形状の固定壁33aと、固定壁33aの上端に連なり水平方向に沿って平坦に配された支持壁33bとを備え、L字状に形成されている。支持壁33bには、部品供給部4の後述する立設筒部43を通す丸孔が形成され、この丸孔内に通された立設筒部43が固定されている。立設筒支持部33を介して、フレーム本体31に立設筒部43が固定されている。
選別装置支持部34は、フレーム本体31の一対の支柱31b間に配され、基部31aに固定されている。選別装置支持部34は、基部31aの上面から鉛直方向に沿って立設した平面矩形状の一対の立設壁(図1中では一方のみ示す)34aと、立設壁34aの上端同士を互いに連結し水平方向に沿って平坦に配された取付壁34bとを備えている。
取付壁34bは、鉛直方向において、立設筒支持部33に支持された立設筒部43の下端部近傍に設けられている。取付壁34bには、部品選別装置1の後述するベース部材11の部品通し孔17と連通する丸孔34cが形成され、この丸孔34cと部品通し孔17とが連通するように上面に部品選別装置1が固定されている。
部品供給部4は、図1に示すように、外筒部41と、内筒部42と、立設筒部43と、第1エアシリンダ44とを備えている。外筒部41と内筒部42は、例えば透明性を有した硬質な合成樹脂やガラス等で構成され、円筒状に形成されている。内筒部42は、外径が外筒部41の内径よりも小さく形成され、外筒部41と略同じ長さに形成されている。また、内筒部42の下方に配される長手方向一端部は、すり鉢状に形成され、前記一端部の開口に近づくにしたがって徐々に内外径が縮径するように形成されている。この一端部の開口の内径は、防水栓2の外径よりも大きく、かつ立設筒部43の外径よりも大きくなるように形成されている。
前述した内筒部42は、その全体が外筒部41内に位置付けられた状態で外筒部41に固定されている。これら外筒部41及び内筒部42は、内筒部42の前述した一端部側が下方になるように鉛直方向に沿って配されて、可動壁32bの丸孔内に通された状態で可動部32に固定されている。また、内筒部42内には、長手方向他端部の開口(即ち上方に配される開口)から防水栓2が供給され、防水栓2が収容されている。この内筒部42の開口及び外筒部41の上方に配される開口は、取り外し自在な蓋部41aによって覆われている。
立設筒部43は、例えば透明性を有した硬質な合成樹脂やガラス等で構成され、長尺円筒状に形成されている。立設筒部43の内径は、防水栓2の外径よりも大きくかつ防水栓2の中心軸方向の長さよりも小さく形成されている。立設筒部43は、鉛直方向に沿って配されて支持壁33bの丸孔内に通された状態で、長手方向中央が立設筒支持部33に固定され、立設筒支持部33を介してフレーム本体31に固定されている。立設筒部43は、上端部が内筒部42の一端部内に位置付けられ、下端部が部品選別装置1の上方に位置付けられている。
第1エアシリンダ44は、シリンダ本体44aと、シリンダ本体44aから伸縮自在な伸縮ロッド44bとを備えている。シリンダ本体44aは、鉛直方向に沿って配されてフレーム本体31の上壁31cに固定されて、可動部32の可動壁32bの上方に配されている。伸縮ロッド44bは、シリンダ本体44aから上壁31cの丸孔を通って下方に延びている。伸縮ロッド44bの先端は、可動壁32bの上面に固定されている。伸縮ロッド44bは、シリンダ本体44aから下方に伸長する。
前述した第1エアシリンダ44は、伸縮ロッド44bが伸縮することで、フレーム本体31に対して鉛直方向(矢印M1)に沿って可動部32を移動させる。フレーム本体31には立設筒支持部33を介して立設筒部43が固定され、可動部32には外筒部41及び内筒部42が固定されている。このため、第1エアシリンダ44は、立設筒部43に対して鉛直方向(矢印M1)に沿って外筒部41及び内筒部42を移動させる。第1エアシリンダ44は、可動部32と外筒部41及び内筒部42を、立設筒部43の上端部が内筒部42内に位置付けられる初期位置(図1中、実線で示す)と、前記初期位置よりも上方でかつ当該初期位置よりも短い長さの立設筒部43が内筒部42内に位置付けられる移動位置(図1中、一点鎖線で示す)と、に亘って移動させる。
前述した構成の部品供給部4は、第1エアシリンダ44の伸縮ロッド44bが伸縮を繰り返して立設筒部43に対して外筒部41及び内筒部42が初期位置と移動位置とに亘って往復移動することで、内筒部42内に位置付けられた立設筒部43の上端部が当該内筒部42内で鉛直方向に往復移動する。そして、部品供給部4は、この往復運動によって、立設筒部43の上端部が内筒部42内の防水栓2を撹拌して防水栓2を立設筒部43の上端部の開口から立設筒部43内に進入させる。こうして、部品供給部4は、立設筒部43内を通して防水栓2を当該立設筒部43の下方に配された部品選別装置1に供給する。
このとき、防水栓2は、当該防水栓2の中心軸方向に沿って立設筒部43内に進入し、図1に示すように、第1の向きAと第2の向きBとのうちいずれかの向きで部品選別装置1に供給される。第1の向きAとは、小径部21が鉛直方向(所定の一方向)の上方側(一方側)に配されかつ大径部22が鉛直方向の下方側(他方側)に配される向きである。第2の向きBとは、第1の向きAと反対向きであり、小径部21が鉛直方向の下方側に配されかつ大径部22が鉛直方向の上方側に配される向きである。
なお、前述した部品供給部4の内筒部42内の防水栓2をより大きく撹拌して立設筒部43内に進入しやすくするために、チューブ等を用いて内筒部42内に加圧気体を噴出してもよい。この場合、外筒部41及び内筒部42に、加圧気体を逃がす逃がし孔を設けるとよい。
部品選別装置1は、図3及び図4に示すように、ベース部材11と、搬送部材12と、押出部材13(図4等)と、第2エアシリンダ14と、加圧気体供給部55を備えている。ベース部材11は、肉厚な矩形板状に形成されている。ベース部材11は、図3の上面図である図4に示すように、スライド溝15と、排出孔16と、部品通し孔17とを備えている。
スライド溝15は、ベース部材11の上面11aから凹に設けられ、上面11aと直交しかつ互いに平行な一対の端面にそれぞれ開口するようにベース部材11の全長に亘って形成されている。また、スライド溝15の断面形状は、搬送部材12の断面形状と略等しく形成されている。スライド溝15は、内側に搬送部材12を収容し、その長手方向に沿って搬送部材12をスライド自在に収容する。ベース部材11は、スライド溝15が取付壁34bの立設筒部43と相対する部分と取付壁34bの丸孔34cとを結ぶ直線上に配されるように、選別装置支持部34に固定されている。
排出孔16は、スライド溝15の開口する前記一対の端面と直交する側面11bからスライド溝15の幅方向中央までベース部材11を切り欠いて形成されている。排出孔16は、スライド溝15の長手方向中央と外部とを連通している。部品通し孔17は、スライド溝15の第2エアシリンダ14から離れた長手方向一端部側の底面に設けられ、ベース部材11を貫通している。部品通し孔17は、外径が防水栓2の外径よりも大きな丸孔状に形成されている。
前述したベース部材11は、図5に示すように、排出孔16が設けられた一端部11d(図5中、左側)が、他端部11e(図5中、右側)よりも肉厚に形成されている。この一端部11dの厚さは防水栓2の中心軸方向の長さと等しく、他端部11eの厚さは防水栓2の大径部22側の端部から首部21aの略中央までの長さと等しく形成されている。このため、ベース部材11の他端部11eの上面11aは、一端部11dの上面11aよりも下方に配されている。
搬送部材12は、断面矩形状の棒状に形成されている。搬送部材12は、図4及び図5に示すように、部品収容部18と、孔部としてのスリット19とを備えている。部品収容部18は、搬送部材12の第2エアシリンダ14から離れた長手方向一端部に設けられ、搬送部材12のベース部材11の一端部11d側に配される側面12bから搬送部材12を切り欠いて形成されている。部品収容部18は、搬送部材12の上面12aと平行な方向の断面形状、即ち図4中での平面形状、が矩形状に形成されている。
前述した部品収容部18は、搬送部材12の前記側面12bと、この側面12bに直交する搬送部材12の上面12a及び底面12cと、の三方向に開口している。この前記側面12b側の開口は、排出部18aとされている。排出部18aは、部品収容部18内に収容された防水栓2を部品収容部18内から外部に排出する。即ち、搬送部材12は、排出部18aを備えている。
また、部品収容部18は、前記上面12a側の開口から、部品供給部4の立設筒部43内を通り抜けた第1の向きAまたは第2の向きBの防水栓2が挿入される。部品収容部18は、第1の向きAと第2の向きBとのうちのいずれかの向きの防水栓2を収容する。なお、部品収容部18の上面12a側の開口から防水栓2をより円滑に挿入するために、部品収容部18の内縁部に、前記開口の中心側にいくにしがって徐々に部品収容部18の奥側に近づく方向に傾斜したテーパ面を設けてもよい。
スリット19は、図4に示すように、搬送部材12の長手方向(搬送部材12の移動方向)に沿って延びたスリット状に形成され、搬送部材12の全長に亘って形成されて、搬送部材12の長手方向両端面にそれぞれ開口している。スリット19は、全長に亘って等しい深さに形成され、部品収容部18と連通する深さに形成されている。
また、スリット19は、図5に示すように、搬送部材12の排出部18aの開口した側面12bと反対側の側面から凹に設けられている。また、スリット19は、搬送部材12の底面12cと平行に形成され、前記底面12cから、防水栓2の大径部22側の端部から首部21aの略中央までの長さ上方の位置に形成されている。スリット19は、押出部材13よりも僅かに幅広に形成されている。スリット19は、押出部材13を内側に通して部品収容部18内に突出させる。
押出部材13は、防水栓2を構成する材料よりも硬質な材料(例えば鉄板等)で構成され、矩形平板状に形成されている。押出部材13は、図4に示すように、搬送部材12の移動経路の途中に設けられ、スライド溝15の長手方向中央近傍に設けられている。押出部材13は、スライド溝15を挟んで排出孔16と相対する位置に設けられている。押出部材13は、一端部がベース部材11の他端部11eの上面11aに重ねられて固定されて、他端部が前記上面11aから突出してスライド溝15を一部覆うように配されている。
さらに、押出部材13の他端部は、スライド溝15内に収容された搬送部材12のスリット19を通って部品収容部18内に突出可能である。押出部材13は、図5に示すように部品収容部18内の防水栓2が第1の向きAのときは防水栓2を部品収容部18内に位置付けたままにする程度に小径部21の首部21aと相対して弱く接触し、かつ、図7に示すように部品収容部18内の防水栓2が第2の向きBのときは防水栓2を部品収容部18外に押し出すように大径部22と強く接触するような長さに形成されている。
第2エアシリンダ14は、シリンダ本体14aと、シリンダ本体14aから伸縮自在な伸縮ロッド14bとを備えている。シリンダ本体14aは、水平方向に沿って配され、選別装置支持部34に固定されたベース部材11のスライド溝15の延長線上に配さて、選別装置支持部34に固定されている。伸縮ロッド14bは、シリンダ本体14aから取付壁34bの丸孔34cに近づく方向に延びている。伸縮ロッド14bの先端は、搬送部材12の他端部に固定されている。
前述した第2エアシリンダ14は、伸縮ロッド14bが伸縮することで、スライド溝15内の搬送部材12を、部品収容部18が立設筒部43の下端部と相対する初期位置(図1、図3(a)、図4(a)、図6(a)に示す)と、前記初期位置よりもシリンダ本体14aから離れかつ部品収容部18がベース部材11の部品通し孔17及び取付壁34bの丸孔34cと連通する移動位置(図3(b)、図4(e)、図6(e)に示す)と、に亘った移動経路に沿って、矢印M2に沿って移動させる。
前述した構成の部品選別装置1は、第2エアシリンダ14の伸縮ロッド14bが縮んで搬送部材12が初期位置に位置付けられると、図1に示すように、搬送部材12の部品収容部18が部品供給部4の立設筒部43内と連通して、立設筒部43から第1の向きAまたは第2の向きBの防水栓2が進入する。
その後、第2エアシリンダ14の伸縮ロッド14bが伸長し、搬送部材12が部品収容部18内に防水栓2を収容した状態で、図4(a)ないし図4(e)、及び、図6(a)ないし図6(e)に順次示すように、初期位置から移動位置に向かって移動経路に沿って移動して防水栓2を搬送する。搬送部材12が移動すると、押出部材13が、スリット19内に進入した後にスリット19と連通した部品収容部18内に進入する。
部品収容部18内に進入した押出部材13は、搬送される防水栓2が第1の向きAのときは、図4(c)及び図5に示すように、小径部21の首部21aと弱く接触して、防水栓2の部品収容部18内での振動(がたつき)を防止する。その後、搬送部材12が移動位置に移動すると、部品収容部18内に収容された防水栓2は、ベース部材11の部品通し孔17及び取付壁34bの丸孔34cを通って電線挿入部5に供給される。
また、部品収容部18内に進入した押出部材13は、搬送される部品が第2の向きBのときは、図6(c)及び図7に示すように、押出部材13が大径部22と強く接触して防水栓2を部品収容部18内から部品収容部18外に向かって押し出す。防水栓2は、排出部18aを通って部品収容部18外へ排出されるとともに、排出部18aと連通するベース部材11の排出孔16を通って外部へと排出される。排出孔16の下方には、第2の向きBの防水栓2が落下する図示しないトレーが設けられている。こうして、部品選別装置1は、部品収容部18内に収容された第1の向きAの防水栓2を選別して電線挿入部5に送り渡す。
電線挿入部5は、図8及び図9に示すように、第2ベース部材51と、第2搬送部材52と、連結チューブ53と、第3エアシリンダ54と、加圧気体供給部55(図1)とを備えている。第2ベース部材51は、図8の上面図である図9に示すように、帯板状の底壁部51aと、底部の幅方向両端から立設しかつ互いに平行な一対の側壁部51bとを有し、樋状に形成されている。第2ベース部材51は、第2スライド溝56と、チューブ取付孔57と、電線通し孔58とを備えている。
第2スライド溝56は、底壁部51aと一対の側壁部51bとに囲まれる空間である。第2スライド溝56は、第2ベース部材51の長手方向両端面にそれぞれ開口するように第2ベース部材51の全長に亘って形成されている。第2スライド溝56の断面形状は、第2搬送部材52の断面形状と略等しく形成されている。第2スライド溝56は、内側に第2搬送部材52を収容し、その長手方向に沿って第2搬送部材52をスライド自在に収容する。
チューブ取付孔57は、第2ベース部材51の第3エアシリンダ54寄りの長手方向一端部に設けられ、一方の側壁部51bを貫通している。チューブ取付孔57は、外径が連結チューブ53の外径よりも大きな丸孔状に形成されている。
電線通し孔58は、第2ベース部材51の長手方向他端部に設けられ、他方の側壁部51bを貫通している。電線通し孔58は、丸孔と切り欠き部とを備えている。丸孔は、第2スライド溝56の幅方向に沿って他方の側壁部51bを貫通している。丸孔の内径は、第2スライド溝56側で電線24の外径より僅かに大きく形成され、かつ第2スライド溝56から離れるにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。切り欠き部は、他方の側壁部51bの上端面から前記丸孔に向かって側壁部51bを切り欠いて形成され、前記丸孔と連通している。
第2搬送部材52は、断面矩形状の棒状に形成されている。第2搬送部材52は、図8及び図9に示すように、第2部品収容部59を備えている。第2部品収容部59は、第2搬送部材52の第3エアシリンダ54から離れた長手方向一端部に設けられ、第2搬送部材52の上面52aから第2搬送部材52を切り欠いて形成されている。第2部品収容部59は、第2搬送部材52の上面52aと平行な方向の断面形状、即ち図9中での平面形状、が矩形状に形成されている。
前述した第2部品収容部59は、第2搬送部材52の上面52aと、第2搬送部材52の第2スライド溝56と重なる一対の側面52bと、の三方向に開口している。この上面52b側の開口を通して、電線24の端末が挿入された防水栓2を第2部品収容部59外に取り出す。
また、第2部品収容部59は、前記側面52bのうちチューブ取付孔57が形成された側壁部51bと重なる一方の側面52bの開口から、連結チューブ53内を通り抜けた防水栓2が挿入される。防水栓2は、第2部品収容部59内に、一方の側面52b側に小径部21が配され、他方の側面52b側に大径部22が配された状態で収容される。また、第2部品収容部59は、他方の側面52bの開口から、電線通し孔58を通った電線24が挿入される。
連結チューブ53は、透明性かつ可撓性を有した合成樹脂等で構成され、長尺円筒状に形成されている。連結チューブ53の内径は、防水栓2の外径よりも大きく形成されている。連結チューブ53の長手方向一端部は、選別装置支持部34の取付壁34bに取り付けられ、内側が取付壁34bの丸孔34cと連通している。連結チューブ53の長手方向他端部は、第2ベース部材51のチューブ取付孔57内に取付けられている。連結チューブ53は、部品選別装置1と電線挿入部5とを連結している。
第3エアシリンダ54は、シリンダ本体54aと、シリンダ本体54aから伸縮自在な伸縮ロッド54bとを備えている。シリンダ本体54aは、水平方向に沿って配され、フレーム本体31の基部31a上に固定された第2ベース部材51の第2スライド溝56の延長線上に配さて、基部31aに固定されている。伸縮ロッド54bは、シリンダ本体54aから連結チューブ53の他端部に近づく方向に延びている。伸縮ロッド54bの先端は、第2搬送部材52の他端部に固定されている。
前述した第3エアシリンダ54は、伸縮ロッド54bが伸縮することで、第2ベース部材51の第2スライド溝56内の第2搬送部材52を、第2部品収容部59(に収容された防水栓2の電線通し孔23)が第2ベース部材51の電線通し孔58と連通する初期位置(図8(a)、図9(a)、図9(d)に示す)と、前記初期位置よりもシリンダ本体54a寄りでかつ第2部品収容部59が第2ベース部材51のチューブ取付孔57と連通する移動位置(図8(b)、図9(b)、図9(c)に示す)と、に亘った移動経路に沿って、矢印M3に沿って移動させる。
また、前述した第3エアシリンダ54は、前記フロア上に設けられた図示しないフットスイッチによってその稼働が制御される。フットスイッチは、作業者がオンにすることで、第3エアシリンダ54を一往復駆動させる。即ち、フットスイッチは、第3エアシリンダ54の伸縮ロッド54bを縮めて第2搬送部材52を初期位置から移動位置に移動させた後に、伸縮ロッド54bを伸長させて第2搬送部材52を再び移動位置から初期位置へと移動させる。
加圧気体供給部55は、円筒部55aと、図示しない加圧気体供給源とを備えている。円筒部55aは、円筒状に形成され、鉛直方向に沿って配されている。円筒部55aは、上端部が加圧気体供給源と連結され、下端部が部品選別装置1のベース部材11の部品通し孔17上方に固定されている。
前述した加圧気体供給部55は、加圧気体供給源からの加圧気体を矢印Gに沿って円筒部55a内を通して部品通し孔17及び連結チューブ53内に噴出し、連結チューブ53内の防水栓2を円滑に当該連結チューブ53の他端部側に移動させる。第2ベース部材51の他方の側壁部51bのチューブ取付孔57と相対する部分には、連結チューブ53を通り抜けた加圧気体を逃がす逃がし孔が設けられている。
前述した構成の電線挿入部5は、図9(d)に示すように、第3エアシリンダ54の伸縮ロッド54bが伸長して第2搬送部材52が初期位置に位置付けられると、第2部品収容部59内の防水栓2の電線通し孔23が第2ベース部材51の電線通し孔58と連通して、防水栓2を電線24の端末が挿入される状態に保持する。
その後、図9(a)ないし図9(c)に順次示すように、第3エアシリンダ54の伸縮ロッド54bが縮んで第2搬送部材52が移動位置に位置付けられると、第2部品収容部59が第2ベース部材51のチューブ取付孔57に取付けられた連結チューブ53内と連通し、連結チューブ53から第2部品収容部59内に防水栓2が供給される。
制御装置6は、図10に示すように、光電センサ61と、制御部62とを備えている。光電センサ61は、図1に示すように、連結チューブ53の一端部側に取り付けられ、前記一端部に防水栓2があるか否かの情報を検出して当該情報を電気信号として制御部62に送信する。
制御部62は、光電センサ61と第1エアシリンダ44と第2エアシリンダ14とそれぞれ連結されている。制御部62は、光電センサ61からの情報に基づいて、第1エアシリンダ44と第2エアシリンダ14とを制御する。制御部62は、光電センサ61から連結チューブ53の一端部に防水栓2があるとの電気信号を受信すると、電線挿入部5に十分な数の防水栓2が供給されていると判断して、第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14に電気信号を送信して第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14の稼働を停止させる。また、制御部62は、光電センサ61から連結チューブ53の一端部に防水栓2がないとの電気信号を受信すると、電線挿入部5に十分な数の防水栓2が供給されていないと判断して、第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14に電気信号を送信して第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14を稼働させる。
前述した制御部62は、第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14を、それぞれ、所定間隔をあけて断続的に稼働させる。なお、制御部62が第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14を稼働させる際には、第1エアシリンダ44を所定回数稼働させた後に第2エアシリンダ14を稼働させる。
前述した防水栓挿入装置10を用いて電線24の端末に防水栓2を取り付ける際には、まず、蓋部41aを外して内筒部42内に防水栓2を供給する。また、第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14の伸縮ロッド44b、14bを縮め、第3エアシリンダ54の伸縮ロッド44bを伸長させて、外筒部41及び内筒部42、搬送部材12、及び第2搬送部材52を、それぞれ前述した初期位置に位置付けておく。
その後、防水栓挿入装置10の電源をオンにすると、制御装置6は、光電センサ61が連結チューブ53の一端部に防水栓2がないとの電気信号を制御部62に送信して、前記電気信号を受信した制御部62が部品供給部4の第1エアシリンダ44を稼働させる。
第1エアシリンダ44が稼働すると、前述のように伸縮ロッド44bが所定間隔で伸縮を繰り返して外筒部41及び内筒部42が立設筒部43に対して往復移動し、内筒部42内の防水栓2が立設筒部43内に進入した後に立設筒部43内を通って部品選別装置1に供給される。このとき、防水栓2は、第1の向きAと第2の向きBとのうちいずれかの向きに配され部品選別装置1に供給される。
部品選別装置1に供給された防水栓2は、搬送部材12が初期位置に位置付けられているので、搬送部材12の部品収容部18が立設筒部43内と連通しており、部品収容部18内に第1の向きAまたは第2の向きBの防水栓2を収容する。制御部62は、第1エアシリンダ44を所定回数稼働させた後に、第2エアシリンダ14を稼働させる。
第2エアシリンダ14が稼働すると、前述のように伸縮ロッド14bが伸長して、搬送部材12が初期位置から移動位置へと移動して防水栓2をベース部材11の部品通し孔17に搬送する。このとき、搬送部材12の搬送する防水栓2が第1の向きAのときは、図4及び図5に示すように押出部材13が防水栓2に弱く接触するのみなので、防水栓2は部品通し孔17に搬送される。一方、搬送部材12の搬送する防水栓2が第2の向きBのときは、図6及び図7に示すように押出部材13が防水栓2に強く接触し、防水栓2は排出部18a及び排出孔16を通して部品収容部18外即ち外部に排出され、部品通し孔17に搬送されない。
その後、伸縮ロッド14bが縮んで、搬送部材12が再び初期位置に移動し、搬送部材12の部品収容部18が立設筒部43内と連通して、部品収容部18内に次の第1の向きAまたは第2の向きBの防水栓2を収容する。第2エアシリンダ14が以上の稼働を繰り返すことで、第1の向きAの防水栓2のみが順次部品通し孔17を通って電線挿入部5に供給される。
電線挿入部5に供給された防水栓2は、連結チューブ53内を一端部側から他端部側に向かって移動する。連結チューブ53内には一端部側から加圧気体供給部55によって加圧気体が噴出されており、防水栓2は連結チューブ53内を円滑に移動する。連結チューブ53の他端部に到達した防水栓2は、第2搬送部材52が初期位置に位置付けられているので、第2搬送部材52の側面52bに突き当たって止まる。
そして、作業者は、電線24に防水栓2を取付ける際に、制御装置6のフットスイッチをオンにする。すると、第3エアシリンダ54が稼働し、前述のように伸縮ロッド54bが縮んで第2搬送部材52が初期位置から移動位置へと移動して、第2搬送部材52の第2部品収容部59が連結チューブ53内と連通し、内部に防水栓2を収容する。防水栓2は、第2搬送部材52の一方の側面52b側(即ちチューブ取付孔57側)に小径部21が配され、他方の側面52b(即ち電線通し孔58側)に大径部22が配された状態で収容される。
続いて、伸縮ロッド54bが伸長して第2搬送部材52が移動位置から初期位置へと移動して、第2部品収容部59内の防水栓2の電線通し孔23が第2ベース部材51の電線通し孔58と連通し、防水栓2を電線24の端末が挿入される状態に保持する。作業者は、第2ベース部材51の側壁部51b側から連通した電線通し孔23、58に電線24の端末を挿入した後に、防水栓2に挿入された電線24を上方に引き抜く。こうして、電線24の端末に防水栓2が取り付けられる。次の電線24に防水栓2を取付ける際には、作業者は、再びフットスイッチをオンにして電線通し孔23、58が連通する位置に防水栓2を位置付けた後に、電線24の端末を挿入する。
なお、作業者がフットスイッチを長時間オンにしないと、第1のエアシリンダ44及び第2のエアシリンダ14が稼働しているので、電線挿入部5に防水栓2が溜まっていく。そして、防水栓2が連結チューブ53の一端部まで溜まると、制御装置6は、光電センサ61が連結チューブ53の一端部に防水栓2があるとの電気信号を制御部62に送信して、前記電気信号を受信した制御部62が部品供給部4の第1エアシリンダ44及び第2エアシリンダ14の稼働を停止させる。
本実施形態によれば、搬送部材12の移動経路の途中に設けられた押出部材13が、スリット19を通って部品収容部18内に突出するとともに、部品収容部18内に収容された第2の向きBの防水栓2の大径部22とのみ接触して、防水栓2を部品収容部18から排出部18aを通して部品収容部18外に排出する。したがって、光電センサ等の高額な電子部品を用いないので、部品選別装置1の製造コストを低減できる。また、第2の向きBの大径部22に接触可能な位置に押出部材13を設けるだけでよく、部品選別装置1を小型化できる。
また、スリット19が搬送部材12の全長に亘って当該搬送部材12の移動方向に沿って延びたスリット19状に形成されているので、移動する搬送部材12に対して固定された押出部材13を設けるだけでよく、部品選別装置1を簡略化することができる。
また、部品選別装置1を備えた防水栓挿入装置10であり、部品選別装置1には光電センサ等の高額な電子部品を用いないので、部品選別装置1即ち防水栓挿入装置10の製造コストを低減できる。また、押出部材13を設けるだけでよいので、部品選別装置1即ち防水栓挿入装置10を小型化できる。
前述した実施形態においては、搬送部材12の部品収容部18は、搬送部材12の上面12aと平行な方向の断面形状、即ち図3中で上方から見た際の平面形状、が矩形状に形成されていた。しかしながら本発明では、部品収容部18の前記断面形状(平面形状)を円形状とし、防水栓2の断面形状に類似した形状にしてもよい。こうすることで、部品収容部18内での防水栓2のがたつきを防止でき、押出部材13を防水栓2の所望位置に確実に配して第1の向きAの防水栓2のみを確実に選別できる。
また、前述した実施形態においては、防水栓2の小径部21が鉛直方向の上方側に配されかつ大径部22が鉛直方向の下方側に配される位置を第1の向きAとし、部品選別装置1は第1の向きAの防水栓2を選別していた。しかしながら本発明では、押出部材13の固定される位置(高さ)を低くし、またスリット19の位置を押出部材13に対応する位置に形成することで、部品選別装置1が第2の向きBの防水栓2を選別するように変更することができる。
また、前述した実施形態においては、部品が防水栓2とされていたが、小径部と大径部とが同軸的かつ直列に連なるような部品であれば、防水栓2以外の部品であってもよい。また、前述した実施形態においては、押出部材13は、部品収容部18内の防水栓2が第1の向きAのときは小径部21の首部21aと弱く接触するように設けられていたが、首部21aとの間に間隔をあけて相対する(即ち、接触しない)ようにしてもよい。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。