JP5329521B2 - サージカルガイド - Google Patents
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Description
(1)術野がサージカルガイドで覆われて見えないため、ドリルの先端が歯槽骨を削っている部分を視認することができないので術者が不安になる、
(2)ドリルとガイドリングの孔との間には、わずかな間隙(遊び)が必要であるが、ドリルの長さに比べて、ガイドリングの厚さが薄いため、この間隙(遊び)によってドリルが必要以上に傾斜し、穿孔方向が不正確になるおそれがある、
(3)穿孔の対象となる歯槽骨が、ガイドリング及びこれを保持する周縁部によって覆われ、さらにドリルによってガイドリングの孔が塞がれて、歯槽骨周辺には閉空間が形成されるため、削られる歯槽骨に対して冷却水を十分に供給することが困難となり、骨火傷を起こしてしまうおそれがある、
(4)フィクスチャーを埋入するためのガイド孔を穿孔するには、直径が細いパイロットドリルから始まって、徐々に直径が大きくなる数種類のドリルを使用することになるため、それぞれのドリルの直径に合わせたガイドリングを設けた数種類のサージカルガイドが必要となり、その分、コストがかさむ、
という問題があった。
<実施形態1>
CTを応用したシミュレーションソフトによって決定されたフィクスチャー71(図4参照)の埋入位置と、造影剤入りのCT撮影用ステントとの相互の位置関係をCT画面上で計測し、この計測値を基に造影剤入りのCT撮影用ステントに、フィクスチャー71の埋入位置を示すことのできる複数のマークを付けてからモックアップ40に装着し、この複数のマークをガイドとしてモックアップ40上に直径1mm程度、深さ10mm程度の孔を開け、そこに第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)を植立する。これにより、シミュレーションにより決定したフィクスチャー71の埋入位置をモックアップ40上の第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の植立位置及び方向として表示することができる。言い換えると、患者の口腔内で、この第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の植立位置及び方向と同一の位置及び方向にフィクスチャー71を埋入するためのガイド孔を穿孔すればよいことになる。
ラインレーザモジュール11,12は、調整機構20によってその向きや回転を調整することにより、レーザ光H1の作る平面を第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の軸に、重ね合わせることができる。このとき第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の軸上に赤色のラインが描かれる。同様に、ラインレーザモジュール12は、調整機構20によってその向きや回転を調整することにより、レーザ光H2の作る平面を第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の軸に、重ね合わせることができる。このとき第1ワイヤ41(または第2ワイヤ42)の軸上に緑色のラインが描かれる。
なお、上述のラインレーザモジュール11,12は、先端のレーザ照射部11a,12aを回転可能に構成して、これらを回転することにより、レーザ光H1,H2を回転させるようにしてもよい。この場合には、例えば、ラインレーザモジュール11,12を、ねじN4,N5を緩めて軸心方向に移動させて位置決めした後、ねじN4,N5を締めた状態で、先端のレーザ照射部11a,12aを回転させることで、レーザ光H1,H2を回転させることができる。また、例えば、ラインレーザモジュール11,12を軸心方向に移動させる必要がない場合には、ねじN4,N5を緩めることなく、先端のレーザ照射部11a,12aのみを回転させることで、簡単にレーザ光H1,H2を回転させることができる。
なお、図1では、赤色、緑色のレーザ光H1,H2の双方の作る平面が第1ワイヤ41の軸上で交差している例を示している。言い換えると、平面状の赤色のレーザ光H1と、同じく平面状の緑色のレーザ光H2とが交差してできる交差線Lが第1ワイヤ41の軸上に位置している(乗っている)ことになる。このとき交差線Lは赤緑2色が重なって黄色になる。
この調整機構20を効率的に調整する方法として、一方のラインレーザモジュールのみを点灯させた状態で調整すること、及びワイヤに10mm×20mm程度の紙片を貼り付け、紙の上にレーザ光を当ててラインを描かせた状態で大まかな調整を行うことが有効である。
ここで、上述では、レーザ光H1,H2がいずれも第1ワイヤ41を、その下端から上端まで照射する例、つまり平面上のレーザ光H1,H2の下縁が第1ワイヤ41の下端に一致し、また、上縁が第1ワイヤの上端に一致する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ワイヤ41の長さの範囲内、すなわち下端よりも上に位置する部分から上端よりも下方に位置する部分までを照射するようにしてもよく、また、レーザ光H1,H2が第1ワイヤ41の長さを超えて照射するようにしてもよい。特にレーザ光H1,H2が第1ワイヤ41の下端をはみ出して照射する場合、つまり、ラインレーザモジュール11,12を、少し下向きにして、レーザ光H1,H2がモックアップ40を、第1ワイヤ41の下端よりも手前側から照射するようにした場合には、一方のレーザ光H1によってモックアップ40の表面に描かれるラインと、他方のレーザ光H2によってモックアップ40上に描かれるラインとが、モックアップ40の表面で交差して交点を形成することになる。この交点は、後に、サージカルガイド1のガイド部30をモックアップ40から取り外して、患者の歯部に装着(嵌合)させた際に、口腔内の粘膜上では、図5(a),(b)に示すように、フィクスチャー71を埋め込むためのガイド孔の位置(同図では、マークMに対応する位置)を示すことになる。つまり、他の特別な治具等を使用することなく、ガイド孔の位置を特定することができる。
このように、後述する調整工程P2において、2つのラインレーザモジュール11,12からそれぞれ照射された面状の光によってモックアップ40上に形成される2本の線が、モックアップ40上において交差して交点を形成するようにすることで、上述のように、口腔内でのガイド孔の位置決めが容易となる。
なお、調整機構については、後に図8参照して、別の調整機構20Aについて説明する。
図1に示すように、サージカルガイド1のガイド部材30を、モックアップ40の歯部に嵌合させて、サージカルガイド1全体をモックアップ40に取り付ける。
まず、ラインレーザモジュール11のみを点灯させて、赤色の平面状のレーザ光H1を発光させる。調整機構20により、ラインレーザモジュール11の向きや回転を調整して、レーザ光H1による赤色のラインが第1ワイヤ41の軸上に描かれるようにする。同様に、ラインレーザモジュール12のみを点灯させて、レーザ光H2による緑色のラインが第1ワイヤ41の軸上に描かれるようにする。つづいて両方のラインレーザモジュール11、12を同時に点灯させる。これにより、赤緑2色のレーザ光H1,H2が重なって、黄色のライン(交差線L)が第1ワイヤ41の軸上に描かれる。
また、この際、図1に示すように、ラインレーザモジュール11,12の向きや回転を調整して、2色のレーザ光H1,H2のそれぞれの下縁が、丁度、第1ワイヤ41の下端で一致して(交差して)交点を形成するように調整すれば、この交点は、後に、サージカルガイド1のガイド部30をモックアップ40から取り外して、患者の歯部に装着(嵌合)させた際に、口腔内の粘膜上では、図5(a),(b)に示すように、フィクスチャー71を埋め込むためのガイド孔の位置(同図では、マークMに対応する位置)を示すことになる。
さらに、上述の、2つのレーザ光H1,H2のそれぞれの下縁が、丁度、第1ワイヤ41の下端で交差する状態から、ラインレーザモジュール11,12のそれぞれの先端側(レーザ光H1,H2を照射する側)の向きをやや下方に向けることにより、レーザ光H1,H2の下縁がモックアップ40の表面を、第1ワイヤ41の下端よりも手前側からそれぞれライン状に照射する。この場合には、2つのレーザ光H1,H2の下縁によってモックアップ40の表面に描かれる2本のラインの交点が、第1ワイヤ41の下端と一致する。したがって、この位置決め状態を維持したまま、後の取り外し工程P3、第2嵌合工程P4を経て、サージカルガイド1を患者の歯部に装着(嵌合)させた際には、上述の交点は、図5(a),(b)に示すように、患者の口腔内では、2つのレーザ光H1,H2のそれぞれの下縁によって粘膜63に描かれる2本のラインの交点として再現される。そして、この交点は、フィクスチャー71を埋め込むためのガイド孔の位置(同図では、マークMに対応する位置)を示すことになる。つまり、ガイド孔の位置を、2本のラインの交点として視認することができるので、その視認が容易であり、また、その位置を確実に特定することができる。
モックアップ40の歯部に対するガイド部材30の嵌合を解除して、サージカルガイド1全体をモックアップ40から取り外す。
ガイド部材30を患者の口腔内の残存歯部に嵌合させて、サージカルガイド1全体を口腔内に取り付ける。
2つのレーザ光H1,H2の粘膜面上での交点に電気メス(不図示)等によって骨面まで達するような印を付ける。つづいてその印をつけた部位の粘膜63(図4参照)をパンチング又はフラップにより除去した後、骨面上の印の位置にマーキングバー(不図示)で窪みマークMを付ける。(フラップする場合では、フラップした後、2つのレーザ光H1、H2の骨面上での交点にマーキングバーで窪みマークMを付けても良い。)つづいて、コントラヘッド51に取り付けたドリル(パイロットドリル)50の先端をそのマークMに合わせ、かつそのドリル50の軸上に、赤緑2色のレーザ光H1,H2が重なってできる黄色のラインが描かれるように、つまり、2つのレーザ光H1,H2の交差線Lがドリル50の軸上に位置する(乗る)ように、コントラヘッド51の向きを調整する。(コントラヘッド51に予め10mm×20mm程度の紙片を貼り付けておくと調整が容易である。)この状態を維持したまま、ドリリングを開始する。この際、ドリル50の軸が交差線Lに沿って移動するようにする。以下、順次、直径が大きいドリルに交換して、フィクスチャー71を埋入するためのガイド孔を徐々に拡大していく。
なお、図1においては2つのレーザ光H1、H2の下縁がそれぞれモックアップ40の表面と当たる位置が一致しているように描かれているが、ラインレーザモジュール11,12の向きをやや下方に向けることにより、粘膜面上に十字に交わる2本のラインが描かれるようになる。このようにすることにより2つのレーザ光H1、H2の粘膜面上での交点の位置が視認しやすくなる(図5参照)。
また、上述では、2つのレーザ光H1、H2の粘膜面上での交点によってマークMの位置を決めるようにしたが、使用環境等により、この粘膜面上での交点の位置が視認しにくい場合には、これに代えて、図6(a),(b)に示すようなサージカルガイド(ガイド孔位置決め治具)80を治具として使用してマークMの位置を決めるようにしてもよい。すなわち、前述する第2嵌合工程P4の前に、ガイド孔位置決め工程を設け、このガイド孔位置決め工程において、モックアップ40の歯部及び患者の歯部に係脱可能であってかつモックアップ40に立設されたワイヤ41,42の基端部の位置が転写されたサージカルガイド(ガイド孔位置決め治具)80を使用して、患者の口腔内におけるガイド孔の位置を決定する。さらに、具体的に説明すると、図6(a),(b)に示すように、サージカルガイド80は、ガイド部材81とワイヤガイド82とが、レジン又は、ポリカーボネイトを材料として、モックアップ40の歯部及びワイヤ41,42に合わせて一体に形成されている。(b)に示すように、ワイヤガイド82は、ワイヤ41,42より頬側(図では左側)の半分を切り欠いたように形成されていて、ワイヤ41,42に対応する部分は、半円状の基端ガイド82a,82bとなっている。ガイド部材81を患者の残存歯部に装着して嵌合させ、基端ガイド82a,82bの位置する部位の粘膜面に電気メス(不図示)等によって骨面まで達するような印を付ける。つづいて、この印を付けた部位の粘膜63をパンチング又はフラップにより取り除いた後、骨面上の印の位置にマーキングバー(不図示)で窪みマークMを付ける。これにより、フィクスチャー71の埋入するためのガイド孔をドリル50によって穿孔する際の、ドリル50の先端の位置マークMが決定される。
(1)術野が見えるため、ドリル50の先端が歯槽骨を削っている部分を目で確認しながら、ドリリングを行うことができるので術者が不安にならずにすむ、
(2)2つのレーザ光H1,H2の交差線Lに沿ってドリル50を移動させることにより、ドリル50が必要以上に傾斜するのを避けることができる、
(3)穿孔の対象となる歯槽骨にたいして冷却水を十分に供給できるので、骨火傷を起こすおそれが少ない、
(4)フィクスチャー71を埋入するためのガイド孔を穿孔するには、直径が細いドリル(パイロットドリル)50から始まって、徐々に直径が大きくなる数種類のドリル50を使用することになるが、それぞれの直径のドリル50に対して同一のサージカルガイド1を使用することができ、その分、コストを抑制することができる。
(5)粘膜を剥いで骨面を大きく露出させるフラップ法、パンチングによってフィクスチャーが入るだけの孔を粘膜にあけるフラップレス法のいずれにも同様に適用することができる、
(6)従来は、ガイドリングがドリルに接触していたために、ドリルの振動によってガイド部材が外れやすかったり不安定になったりしたが、このようなことがない、
等の効果がある。
なお、赤色のレーザ光H1及び緑色のレーザ光H2に、ドリル50直径(約1.6mm)と比較してラインの幅が狭いもの(例えば、100μm程度)を使用すること及びおよびドリル50の表面を低反射処理することにより、ドリル50表面に照射されるレーザ光H1,H2の視認性を向上させることができる。
以上の説明では、レーザ装置10の一方のラインレーザモジュール11からは赤色のレーザ光H1を、また、他方のラインレーザモジュール12からは緑色のレーザ光H2を発光する場合を例に説明したが、これに代えて、双方のラインレーザモジュール11,12とも緑色のレーザ光H1,H2を発光するようにしてもよい。使用環境によっては、赤色よりも緑色のレーザ光H1,H2の方が視認性が高い場合があり、このような場合には、双方のレーザ光H1,H2ともに緑色とする。なお、赤色のレーザ光でも十分視認性が高い環境下では、双方とも赤色としてもよい。
<実施形態2>
このような光ファイバーを使用したレーザ装置の具体例を図7に示す。
図7に示すレーザ装置13は、発光部としてのレーザ光源14と、基端部15aがこのレーザ光源14にカプラー15cを介して連結された光ファイバー15と、この光ファイバー15の先端部15bに設けられたレーザ照射部16を含んでいる。
レーザ光源14は、例えば、半導体レーザ(赤色レーザダイオードまたは緑色DPSSレーザ)およびAPC(自動出力制御装置)によって構成されていて、電源17に接続されている。レーザ光源14は、カプラー15cを介して、光ファイバー15の基端部15aに向けて、例えば、波長が532nm(緑色)〜670nm(赤色)、出力が1mW程度のレーザ光を出射する。
光ファイバー15としては、外径が1mmから3mm程度のシングルモードまたはマルチモードものが使用され、上述のレーザ光源14から出射された光を、レーザ照射部16に導くようになっている。
この際、使用する光ファイバーとしては、マルチモードファイバーよりもライン幅を細くすることが可能なシングルモードファイバーの方がより好適である。(PMモードファイバーも使用可能である。)
10 レーザ装置(光照射装置)
11a レーザ照射部(光照射部)
12a レーザ照射部(光照射部)
13 光ファイバーを使用したレーザ装置(光照射装置)
20 調整機構
30 ガイド部材
40 モックアップ
50 ドリル
70 インプラント(デンタルインプラント)
71 フィクチャー
80 サージカルガイド(ガイド孔位置決め治具:マークM指示専用)
H1 レーザ光
H2 レーザ光
L 交差線
M マークM
P1 第1嵌合工程
P2 調整工程
P3 取り外し工程
P4 第2嵌合工程
P5 位置決め工程
Claims (3)
- デンタルインプラントのフィクスチャーを埋入するためのガイド孔をドリルによって口腔内の歯槽骨に穿設する際の、前記ドリルの3次元的位置決めを行うためのサージカルガイドにおいて、
患者の口腔内を模したモックアップに、穿孔時のドリルの位置に対応して植立されたワイヤに対し、相互に異なる角度から面状の光を照射する少なくとも2つの光照射部を有する光照射装置と、
前記2つの光照射部を、前後左右上下移動可能及び回転可能に支持する調整機構と、
前記調整機構を支持するとともに、前記モックアップの歯部、及び前記モックアップの歯部に対応する患者の実際の歯部に嵌合されて前記調整機構の位置決めを行う着脱自在なガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材を前記モックアップの歯部に嵌合させ、前記調整機構により、前記2つの面状の光が前記ワイヤ上で直線状に交差するように前記光照射部を調整した後、前記ガイド部材を前記モックアップから取り外して前記患者の実際の歯部に嵌合させ、前記2つの面状の光が直線状に交差する箇所に前記ドリルを合わせた状態で前記ドリルにより穿設を行う、
ことを特徴とするサージカルガイド。 - 前記2つの光照射部から照射される光の色が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のサージカルガイド。 - 前記光照射装置は、前記調整機構によって調整可能に支持された前記光照射部と、光を発光する発光部と、前記発光部と前記光照射部とを連結する光ファイバーとを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサージカルガイド。
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