以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明に係る温度測定システムを適用した基板の処理ラインの一例を示す図であり、具体的には処理ユニット間の基板の搬送路の側面図である。また、図2は、図1の搬送路を搬送される基板Wを上面から見た平面図である。第1実施形態において処理対象となっている基板Wはフラットパネルディスプレイ用の矩形形状のガラス基板である。
搬送路の上下には金属製の筐体11a,11b(以下、上下を区別しないときには単に筐体11とする)が固定設置されている。筐体11bの上側近傍には複数の搬送コロ12が設けられている。搬送コロ12は図示省略の回転駆動手段によって回転される。搬送コロ12が回転することによって、基板Wは図1,2のそれぞれ矢印AR1,2に示すように直線移動される。搬送コロ12と搬送コロ12の間、または搬送コロ12と筐体11bとの間には、抵抗加熱ヒータ、誘導加熱ヒータ、ランプヒータ等の熱源(図示せず)が設置され、基板Wは、筐体11a,11bで囲まれたトンネル状の熱処理炉の中を搬送コロ12によって移動しながら加熱処理される。
筐体11aの下側には送受信アンテナ20が設けられている。具体的には、熱処理炉の天井部を構成する筐体11aにレール21がネジ留めされて固定されている。レール21は、その長手方向が基板Wの搬送方向と垂直な水平方向に沿うように設けられている。そして、送受信アンテナ20を備える絶縁性のブロック22がレール21に摺動可能に取り付けられる。従って、ブロック22をレール21に沿って移動させることにより、送受信アンテナ20は基板Wの搬送方向と垂直な水平方向(基板Wの幅方向)に沿って位置調整が可能とされている。また、ブロック22を介して搬送路に設置された送受信アンテナ20は、上側の筐体11aから少なくとも10mmの間隔を隔てて設けられている。
第1実施形態では送受信アンテナ20はループアンテナとして構成されている。ブロック22を介して搬送路に設置された送受信アンテナ20は後述の送受信部60と配線接続されている。なお、送受信アンテナ20と送受信部60とを接続する配線はレール21に沿って固定すれば良い。
処理対象となる基板Wの上面には複数個の検温素子30が接着されている。第1実施形態においては、4個一組の検温素子30が基板Wの上面に複数組取り付けられている。図2に示すように、一組を構成する4個の検温素子30は、基板Wの斜め方向に沿って所定間隔にて取り付けられている。より詳細には、検温素子30は、基板Wの幅方向の異なる4点に取り付けられるとともに、長手方向(搬送方向)においても異なる4点に取り付けられる。基板Wの幅方向の異なる4点としては、幅方向温度分布を計測するのに適切な4点を選択するのが好ましい。一方、長手方向については、送受信アンテナ20の検出エリアに同時に2つの検温素子30が存在し得ない間隔を隔ててそれぞれの検温素子30が設けられる。すなわち、搬送路の上部に設置された送受信アンテナ20の下方を通過する基板Wの上面における検出エリアは概ね送受信アンテナ20の直下である。基板Wが直線移動するときに、送受信アンテナ20の検出エリアを同時期に一つの検温素子30のみが通過する間隔を隔てて複数の検温素子30は基板Wに接着される。なお、第1実施形態では、基板Wが直線移動するときに、送受信アンテナ20の検出エリアを同時期に一つの検温素子30のみが通過する配置態様であれば、複数の検温素子30のレイアウトは図2の例に限定されるものではない。
図3は、第1実施形態の検温素子30の外観斜視図である。図4は、検温素子30を基板Wに装着した状態を模式的に示す図である。検温素子30は、水晶振動子32、センサアンテナ34、スペーサ35および板バネ36を備える。水晶振動子32はパッケージに内蔵されて板バネ36の一端側に装着されている。水晶は、その結晶から切り出す角度により固有振動数が異なるとともに多種多様の温度特性を有し、それらのうちのいわゆるYsカットのものが温度に対する送受信周波数の変化率が大きい。水晶振動子32にその固有振動数に相当する周波数の電気信号を送信し、送信停止後に水晶振動子32から受信した電気信号の周波数を測定すれば、送受信周波数の変化率に基づいて検温素子30の温度を算定することができる。水晶振動子を使用すれば、測温抵抗体等に比較して非常に高い精度にて温度測定を行うことができる。第1実施形態においては、基板Wに装着された複数の検温素子30に備えられた全ての水晶振動子32の固有振動数は同一である。
スペーサ35は、耐熱性を有し、かつ、熱容量の小さな樹脂材料にて形成された円筒形状の部材である。このような耐熱性を有してしかも熱容量の小さな樹脂材料としては、例えばポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、または耐熱性ゴム材料などを用いることができる。円筒形状のスペーサ35の高さは10mmである。スペーサ35の円筒上部にはセンサアンテナ34をパターニングしたガラスエポキシ基板が装着されている。なお、ガラスエポキシ基板に代えてフレキシブルプリント基板にセンサアンテナ34をパターニングしたものを用いても良い。
板バネ36の他端側(水晶振動子32が装着されたのと反対側)はセンサアンテナ34を備えるガラスエポキシ基板の下面に固定接続されている。板バネ36は、例えばポリイミド樹脂にて形成される。水晶振動子32とセンサアンテナ34とは図示省略の配線によって電気的に接続されている。なお、板バネ36の他端側はスペーサ35の内壁面に固定接続されていても良い。
このような構造を有する検温素子30を基板Wの主面に装着すると、図4に示すように、水晶振動子32を基板Wの主面に押圧することができる。具体的には、検温素子30のスペーサ35の下端に接着剤を塗布し、そのスペーサ35を基板Wの上面に押し付ける。接着剤としては、例えばエポキシ接着剤またはシリコン接着剤を用いることができる。これにより、スペーサ35が基板Wの上面に接着される。スペーサ35が基板Wの上面に接触すると、板バネ36が撓んで先端の水晶振動子32を基板Wの上面に接触させた状態にて押圧することとなる。すなわち、板バネ36は水晶振動子32を基板Wの主面に押圧する弾性部材として機能する。板バネ36が撓むと、その先端はスペーサ35の切り欠き部から円筒外部に突き出る。このようにスペーサ35および板バネ36を用いることにより、水晶振動子32は、基板Wとの間に接着剤などのように温度測定の邪魔になるような介在する物が存在せず、直に基板Wと接触するようにして、基板Wの主面に押圧することができる。なお、スペーサ35に接着剤を塗布するのに代えて、シリコン接着剤などを用いた両面接着テープによってスペーサ35を基板Wの主面に接着するようにしても良い。また、検温素子30を基板Wに装着することに関しては、基板表面に凹部みを形成して、その凹部に勘合する凸部をスペーサ35の下面に形成し、嵌め合いによりスペーサ35を基板Wに装着してもよく、前記した接着剤や両面接着テープによる接着や、前記した嵌め合いに限らず、他の手法で装着してもよい。
検温素子30は、実際に処理対象となる基板Wの上面に装着される。作業者は、処理前の適当なタイミングで複数の検温素子30のスペーサ35を接着剤によって基板Wの上面に順次接着する。第1実施形態では、複数の検温素子30を装着するレイアウトは図2に示すようなものとなる。検温素子30のスペーサ35が基板Wの上面に接着されると、板バネ36の弾性力によって水晶振動子32が基板Wの上面に押圧される。また、水晶振動子32に電気的に接続されたセンサアンテナ34は基板Wの上面から約10mm隔てて位置することとなる。
また、作業者は、処理後の適当なタイミングにて複数の検温素子30を基板Wから取り外す。検温素子30は、スペーサ35を接着剤によって基板Wの上面に接着されているため、温度測定終了後は容易に基板Wから取り外すことができる。すなわち、複数の検温素子30は接着剤によって基板Wの上面に着脱自在に装着されているのである。基板Wは実際に処理対象となるガラス基板であり、検温素子30が取り外された基板Wに対して次工程の処理を行うことができるのは勿論である。
図5は、着脱自在の検温素子30と送受信アンテナ20とを用いた温度測定システムの全体構成図である。搬送路に設置された送受信アンテナ20は送受信部60と配線を介して有線接続されている。送受信部60は、切替器61、発信器62、受信器63および周波数カウンタ64を備える。切替器61は、送受信アンテナ20の接続先を発信器62と受信器63との間で切り替える。発信器62は、所定周波数の電気信号を送受信アンテナ20を介して送信波として検温素子30の水晶振動子32に発信する。また、受信器63は、検温素子30の水晶振動子32から発せられる電磁波を送受信アンテナ20を介して受信する。受信器63には周波数カウンタ64が接続されており、周波数カウンタ64は受信器63が受信した電磁波の周波数を計数する。
さらに、周波数カウンタ64には温度算定部69が接続されている。温度算定部69は、周波数カウンタ64によって計数された電磁波の周波数に基づいて検温素子30が装着されている部位の基板Wの温度を算定する。なお、送受信部60および温度算定部69は、基板Wの処理ラインに設けられたコントローラ(図示省略)によって制御するようにすれば良い。
上記の温度測定システムによって基板Wの温度測定を行うときには以下のようにして実行する。まず、処理対象となる基板Wであって、かつ温度測定を行うものに対して作業者が複数の検温素子30を順次接着する。このときに、複数の検温素子30は、基板Wの幅方向の4カ所のいずれかに取り付けられるとともに、基板Wの長手方向については送受信アンテナ20の検出エリアに同時に2つ以上の検温素子30が存在し得ない間隔を隔てて取り付けられる。作業者は、接着剤を用いて複数の検温素子30のスペーサ35を処理対象となる基板Wに容易に取り付ける。また、各検温素子30に対しては配線作業が不要であるため、基板Wが第7世代(G7:幅1900mm×長さ2200mm)や第8世代(G8:幅2200mm×長さ2400mm)の大型ガラス基板であったとしても、多数の検温素子30を容易に取り付けることができる。
複数の検温素子30の取り付けが終了した基板Wは処理ラインに投入される。基板Wが処理される途中の過程で送受信アンテナ20の下方を通過する。そして、このときに基板Wの温度を測定する。より詳細には、搬送コロ12によって直線移動される基板Wが送受信アンテナ20の下方を先端から順次通過する。移動する基板Wの上面には複数の検温素子30が装着されており、それら検温素子30が送受信アンテナ20の下方を順次通過することとなる。第1実施形態においては、基板Wが直線移動するときに、送受信アンテナ20の検出エリアを同時期に一つの検温素子30のみが通過する。そして、送受信アンテナ20の検出エリアを検温素子30が通過しているときに、送受信アンテナ20と当該検温素子30との間で無線で送受信を行って当該検温素子30が接着されている部位の基板Wの温度を測定する。
切替器61は、発信器62側と受信器63側とに交互に切り替える動作を高速に繰り返すことを連続して行っている。これにより、基板Wが搬送コロ12によって移動されて送受信アンテナ20の検出エリアを検温素子30が通過しているときに、少なくとも1度以上の頻度で、切替器61が発信器62側に切り替えられ、送受信アンテナ20が発信器62に接続される。その接続されたタイミングで、検温素子30の水晶振動子32の固有振動数に相当する周波数の電気信号が発信器62から発信され、送受信アンテナ20から水晶振動子32の固有振動数に相当する送信波が送信される。なお、発信器62が発信した電気信号の周波数については発信器62から温度算定部69にも伝達される。
発信器62から発信された電気信号は送受信アンテナ20から送信波として、送受信アンテナ20の直下の検出エリアを通過中の検温素子30に送信される。送信波は、検出エリアを通過中の検温素子30のセンサアンテナ34によって受信され、その結果、当該検温素子30の水晶振動子32が共振する。なお、第1実施形態では検出エリアを同時期に通過する検温素子30は1個のみであり、送受信アンテナ20から送信された電磁波は検出エリアを通過中の1個の検温素子30のみによって受信される。
次に、発信器62の発信が停止されて送信波の送信が停止されるとともに、切替器61が受信器63側に切り替えられる。送信波の送信が停止されることによって、上記の共振した水晶振動子32は基板Wの温度(正確にはその水晶振動子32が押圧されている位置における温度)に応じた周波数で減衰振動する。そして、この減衰振動に起因した電気信号が水晶振動子32から発信されることとなる。水晶振動子32から発信された電気信号は検温素子30のセンサアンテナ34から電磁波として出力され、その電磁波が送受信アンテナ20によって受信される。受信器63は、水晶振動子32から発信された電気信号をセンサアンテナ34および送受信アンテナ20を介して受信することとなる。
送受信アンテナ20が送信波の送信を開始してから水晶振動子32の発信による電磁波を受信するまでの時間間隔は10ミリ秒程度の極短時間である。従って、搬送コロ12によって基板Wが直線移動されていても、検温素子30が送受信アンテナ20の検出エリアを通過している間に上述のような送受信アンテナ20と検温素子30との間の送受信を完了することが可能である。
続いて、周波数カウンタ64は、受信器63が受信した水晶振動子32からの電気信号の周波数を計数し、その計数値を温度算定部69に伝達する。温度算定部69は、周波数カウンタ64にて計数された電気信号の周波数および発信器62から伝達された送信した電気信号の周波数に基づいて、送受信周波数の変化率を算定し、その変化率から検温素子30が装着された位置における基板Wの温度を算出する。
このような温度測定処理は、送受信アンテナ20の検出エリアを検温素子30が通過する毎に実行される。その結果、基板Wの上面に接着された複数の検温素子30の全てについて温度測定がなされることとなり、基板Wの全面についての温度測定値を取得することができる。温度測定が終了し、処理ラインから搬出された基板Wは、全ての検温素子30が取り外された後、次工程に搬送される。
以上のように、処理対象となる基板Wの主面に水晶振動子32を備える検温素子30を装着し、その基板Wを移動させつつ、送受信アンテナ20の下方検出エリアを検温素子30が通過したときに送受信アンテナ20と検温素子30との間で無線で送受信を行い、そのときの送受信周波数の変化率から基板Wの温度を測定している。送受信アンテナ20と検温素子30との間で送受信を行うのに要する時間は10ミリ秒程度であり、検温素子30が送受信アンテナ20の検出エリアを通過している間に送受信を完了することが可能である。また、水晶振動子32を用いて基板Wの温度を測定しているため、非常に高い精度にて温度測定を行うことができる。その結果、処理対象となる基板Wを移動させつつ、その基板Wの温度を正確かつリアルタイムに測定することができる。
また、検温素子30は着脱自在に基板Wに装着されるものであるため、温度測定専用基板ではなく、実際に処理対象となる基板Wに検温素子30を装着してその温度を測定することができる。検温素子30のスペーサ35には熱容量の小さな樹脂材料を用いているため、検温素子30を装着することに起因した基板Wの温度変化を小さく抑制することができる。
また、水晶振動子32を備える検温素子30には駆動用の電源ユニットやデータ記憶用のメモリ等の構成要素を設ける必要がない。さらに、基板Wに装着した検温素子30に対する配線作業も不要である。このため、基板Wが大型のガラス基板であったとしても、複数の検温素子30を安全かつ容易に取り付けることができ、作業性を良好なものとすることができる。また、電源ユニットからの放熱による影響や配線の熱影響が無く、基板Wの温度を正確に測定することができる。さらには、電源ユニットの消耗に起因した測定データの消失や未取得などの不具合が発生するおそれがない。
また、検温素子30は弾性部材である板バネ36によって水晶振動子32を基板Wの主面に押圧するようにしている。このため、基板Wの種類に関わらず、水晶振動子32が確実に基板Wの主面に直接接触して正確な温度測定を行うことができる。
また、水晶振動子32に電気的に接続されたセンサアンテナ34はスペーサ35によって基板Wの主面から約10mm隔てて保持される。このため、センサアンテナ34は金属製の筐体11bから少なくとも10mmの間隔を隔てて位置することとなる。同様に、ブロック22を介して搬送路に設置された送受信アンテナ20も金属製の筐体11aから少なくとも10mmの間隔を隔てて設けられている。これにより、センサアンテナ34と筐体11bとの間の静電容量が小さくなるとともに、送受信アンテナ20と筐体11aとの間の静電容量も小さくなり、金属製の筐体11が送受信アンテナ20とセンサアンテナ34との間の送受信に干渉することが防止され、測定誤差を最小限に抑制することができる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは検温素子の構造である。図6は、第2実施形態の検温素子130の構造を模式的に示す図である。図6において、第1実施形態の図4と同一の要素については同一の符号を付している。
第2実施形態の検温素子130は、水晶振動子32、センサアンテナ34、スペーサ135およびコイルバネ136を備える。水晶振動子32はパッケージに内蔵されてコイルバネ136の下端に装着されている。第1実施形態と同様に、スペーサ135は熱容量の小さな樹脂材料にて形成された円筒形状の部材である。円筒形状のスペーサ135の高さは10mmである。また、スペーサ135の円筒上部にはセンサアンテナ34をパターニングしたガラスエポキシ基板が装着されている。
コイルバネ136の上端はセンサアンテナ34を備えるガラスエポキシ基板の下面中心部に接続されている。コイルバネ136は絶縁性を有する樹脂材料にて形成される。水晶振動子32とセンサアンテナ34とは配線137によって電気的に接続されている。
このような構造を有する検温素子130を基板Wの主面に装着すると、図6に示すように、水晶振動子32を基板Wの主面に押圧することができる。すなわち、スペーサ135が接着剤によって基板Wの主面に接着されると、コイルバネ136が若干収縮して水晶振動子32を基板Wの上面と直に接触させた状態にて押圧することとなる。第2実施形態においては、コイルバネ136が水晶振動子32を基板Wの主面に押圧する弾性部材として機能する。但し、コイルバネ136は直線的な伸縮動作を行う弾性部材であるため、第2実施形態のスペーサ135には、コイルバネ136のための切り欠き部は設けられていない。
検温素子の構造以外の残余の第2実施形態の構成は第1実施形態と同じである。また、基板Wの温度測定手順も第1実施形態と同じである。第2実施形態の検温素子130を用いた場合であっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態が第1実施形態と相違するのは検温素子の構造である。図7は、第3実施形態の検温素子230の構造を模式的に示す図である。図7(a)は第3実施形態の検温素子230の側面図であり、図7(b)は検温素子230の平面図である。
第3実施形態の検温素子230は、センサ保持部231とアンテナ保持部235とを連結して構成される。アンテナ保持部235は、センサアンテナ236をパターニングしたガラスエポキシ基板である。アンテナ保持部235の厚さは2mmである。
一方、センサ保持部231もガラスエポキシ基板であり、その下面先端部にパッケージに内蔵された水晶振動子232が固着されている。センサ保持部231は基端部側にてアンテナ保持部235と固定接続されており、センサ保持部231の上面とアンテナ保持部235の上面とは面一となっている。センサ保持部231の厚さは1mmであり、水晶振動子232を内蔵するパッケージの厚さは1.15mmである。すなわち、センサ保持部231と水晶振動子232との合計の厚さ(2.25mm)はアンテナ保持部235の厚さ(2mm)よりも大きい。
検温素子230を基板Wの主面に装着するには、アンテナ保持部235の下面に接着剤を塗布してからアンテナ保持部235を基板Wの主面に押し付けて接着する。このとき、センサ保持部231と水晶振動子232との合計の厚さがアンテナ保持部235の厚さよりも大きいため、センサ保持部231のガラスエポキシ基板が若干撓んで水晶振動子232を基板Wの主面に接触させた状態にて押圧することとなる。すなわち、第3実施形態においては、センサ保持部231のガラスエポキシ基板自体が水晶振動子232を基板Wの主面に押圧する弾性部材として機能する。
検温素子の構造以外の残余の第3実施形態の構成は第1実施形態と同じである。また、基板Wの温度測定手順も第1実施形態と同じである。第3実施形態のようにしても第1実施形態と概ね同様の効果を得ることができる。但し、第3実施形態においては、センサアンテナ236と基板Wの主面との間隔が第1,2実施形態よりも小さい。このため、金属製の筐体11bが送受信に干渉するのを防止する目的にて、移動される基板Wと筐体11bとの間隔を大きくしておくことが好ましい。
<4.第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態が第1実施形態と相違するのは検温素子の構造である。図8は、第4実施形態の検温素子330の構造を模式的に示す図である。図8(a)は第4実施形態の検温素子330の側面図であり、図8(b)は検温素子330の平面図である。
第4実施形態の検温素子330は、水晶振動子332、センサアンテナ334、スペーサ335および板バネ336を備える。水晶振動子332はパッケージに内蔵されて板バネ336の下面中心部に装着されている。板バネ336は、樹脂材料にて形成され、中央の円板部材から放射状に120°間隔で3本の支持板が延びるように構成されている。スペーサ335は熱容量の小さな樹脂材料にて形成された棒状部材である。第3実施形態においては、板バネ336の3本の支持板の先端に3本のスペーサ335の下端がそれぞれ固設されている。
一方、3本のスペーサ335の上端には、センサアンテナ334を備えるアンテナ保持部337が固設されている。アンテナ保持部337は、樹脂材料にて形成された円環形状部材である。リング状のアンテナ保持部337に沿って設けられたセンサアンテナ334は水晶振動子332と配線338によって電気的に接続されている。スペーサ335の高さは10mmである。水晶振動子332の下端部はスペーサ135の下端部よりも若干突き出ている。
このような構造を有する検温素子330を基板Wの主面に接着するときには、3本のスペーサ335の下端に接着剤を塗布してからそれらスペーサ335を基板Wの主面に押し付けて接着する。スペーサ335の下端が基板Wの上面に接触すると、水晶振動子332の下端部がスペーサ335の下端部よりも若干突出しているため、板バネ336が若干撓んで水晶振動子332を基板Wの主面に接触させた状態にて押圧することとなる。すなわち、第4実施形態においては、板バネ336が水晶振動子332を基板Wの主面に押圧する弾性部材として機能する。
検温素子の構造以外の残余の第4実施形態の構成は第1実施形態と同じである。また、基板Wの温度測定手順も第1実施形態と同じである。第4実施形態のようにしても第1実施形態と概ね同様の効果を得ることができる。それに加えて、第4実施形態の検温素子330は、基板Wに装着されたときに覆う領域の一部を露出する開放部を備えている。具体的には、上部には円環形状のアンテナ保持部235が装着され、その内側が開口されている。また、下部の板バネ336の3本の支持板の間隔および3本のスペーサ335の間隔も開放されている。このため、複数の検温素子330を装着した基板Wに処理液を供給して液処理(例えば、洗浄処理やエッチング処理)を行う場合であっても、処理液は検温素子330の開放部から基板Wの主面に接触することができ、検温素子330の接着が基板Wの液処理を阻害するのを最小限に抑制することができる。
<5.第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第1実施形態から第4実施形態においては、移動する基板Wの上方に送受信アンテナ20を設けるとともに、送受信アンテナ20の検出エリアを同時期に一つの検温素子のみが通過するようにしていた。第5実施形態では、移動する基板Wの下方に送受信アンテナ120を設けるとともに、送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に複数の検温素子が通過する。
図9は、第5実施形態の搬送中の基板Wを上面から見た平面図である。第1実施形態と同様に、搬送コロ(図9では図示省略)によって基板Wは矢印AR9にて示すように直線移動される。また、基板Wの搬送路の上下には金属製の筐体が設けられている。第5実施形態においては、下側の筐体上に絶縁性のブロック122が設置されるとともに、そのブロック122に送受信アンテナ120が保持されている。ブロック122を介して設置された送受信アンテナ120は、下側の筐体から少なくとも10mmの間隔を隔てて設けられている。
第5実施形態では送受信アンテナ120は4つのコイルを一列に並べて構成されている。送受信アンテナ120を構成する4つのコイルは基板Wの搬送方向と垂直な水平方向(基板Wの幅方向)に沿って並べられている。送受信アンテナ120を構成する4つのコイルは送受信部60と配線接続されている。一方、処理対象となる基板Wの上面には複数個の検温素子30が接着されている。検温素子30自体の構成は第1実施形態と同様のものである。なお、第1実施形態の検温素子30に代えて第2実施形態から第4実施形態の検温素子を用いるようにしても良い。
図9に示すように、第5実施形態においては、4個一組の検温素子30が基板Wの上面に複数組取り付けられている。一組を構成する4個の検温素子30は、基板Wの幅方向に沿って一列に所定間隔にて取り付けられている。基板Wの幅方向に沿って一列に取り付けられる4個の検温素子30の配置間隔と送受信アンテナ120を構成する4個のコイルの配置間隔とは同じである。従って、第5実施形態では、基板Wが直線移動するときに、送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に4個の検温素子30が通過することとなる。なお、基板Wの幅方向において、4個の検温素子30を接着する位置としては、幅方向温度分布を計測するのに適切な4点を選択するのが好ましい。また、第5実施形態では、基板Wの幅方向に沿って一列に取り付けられる4個の検温素子30に備えられた水晶振動子32の固有振動数は相互に異なる。
第5実施形態の温度測定システムによって基板Wの温度測定を行うときには以下のようにして実行する。まず、処理対象となる基板Wであって、かつ温度測定を行うものに対して作業者が複数の検温素子30を順次装着する。このときに、相互に固有振動数が異なる水晶振動子32を備える4個一組の検温素子30を基板Wの幅方向に沿って一列に装着する。基板W幅方向における一組の4個の検温素子30の並び順には所定の規則性を設けておくのが好ましい。例えば、基板Wの移動方向に向いて右端から順に固有振動数の小さい水晶振動子32を内蔵する検温素子30から取り付けるようにする。このような装着作業を行う作業者の便宜のため、一組の4個の検温素子30には内蔵する水晶振動子32の固有振動数に応じたマーキングを付しておくのが好ましい。例えば、検温素子30のスペーサ35に水晶振動子32の固有振動数に応じた色を付しておけば良い。一組の4個の検温素子30に付される色は当然に異なる。
複数の検温素子30の取り付けが終了した基板Wは処理ラインに投入される。基板Wが処理される途中の過程で送受信アンテナ120の上方を通過する。そして、このときに基板Wの温度を測定する。より詳細には、搬送コロによって直線移動される基板Wが送受信アンテナ120の上方を先端から順次通過する。移動する基板Wの上面には複数の検温素子30が装着されており、それら検温素子30が送受信アンテナ120の上方を順次通過することとなる。第5実施形態においては、基板Wが直線移動するときに、送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に4つの検温素子30が通過する。そして、送受信アンテナ120の検出エリアを4個の検温素子30が通過しているときに、送受信アンテナ120と4個の検温素子30との間で送受信を行ってそれら4個の検温素子30が接着されている部位の基板Wの温度を測定する。
基板Wが直線移動されて送受信アンテナ120の検出エリアを4個の検温素子30が通過しているときに、切替器61が発信器62側に切り替えられ、送受信アンテナ120が発信器62に接続される。続いて、送受信アンテナ120の検出エリアを同時に通過している4個の検温素子30の水晶振動子32のうちの1つの水晶振動子32の固有振動数に相当する周波数f1の電気信号を発信器62から発信する。これにより、送受信アンテナ120を構成する4つのコイルから周波数f1の送信波が送信される。なお、発信器62が発信した電気信号の周波数(ここではf1)については発信器62から温度算定部69にも伝達される。
発信器62から発信された電気信号は送受信アンテナ120を構成する4つのコイルから送信波として、送受信アンテナ120の直上の検出エリアを通過中の4個の検温素子30に送信される。送受信アンテナ120を構成する4つのコイルから周波数f1の送信波を送信した結果、その送信波は検温素子30のセンサアンテナ34によって受信されて電気信号に変換され、検出エリアを通過中の4個の検温素子30が有する水晶振動子32のうち周波数f1に対応する固有振動数を有する水晶振動子32が周波数f1にて共振する。
次に、発信器62の発信が停止されて送信波の送信が停止されるとともに、切替器61が受信器63側に切り替えられる。送信波の送信が停止されることによって、上記の共振した水晶振動子32は基板Wの温度(正確にはその水晶振動子32が押圧されている位置における温度)に応じた周波数で減衰振動する。そして、この減衰振動に起因した電気信号が水晶振動子32から発信されることとなる。水晶振動子32から発信された電気信号は検温素子30のセンサアンテナ34から電磁波として出力され、その電磁波が送受信アンテナ120によって受信される。受信器63は、水晶振動子32から発信された電気信号をセンサアンテナ34および送受信アンテナ120を介して受信することとなる。
続いて、周波数カウンタ64は、受信器63が受信した水晶振動子32からの電気信号の周波数を計数し、その計数値を温度算定部69に伝達する。温度算定部69は、周波数カウンタ64にて計数された電気信号の周波数および発信器62から伝達された送信した電気信号の周波数に基づいて、送受信周波数の変化率を算定し、その変化率から検温素子30(周波数f1にて共振した水晶振動子32を有する検温素子30)が装着された位置における基板Wの温度を算出する。
次に、切替器61が再び発信器62側に切り替えられ、送受信アンテナ120が発信器62に接続される。そして、送受信アンテナ120の検出エリアを同時に通過している4個の検温素子30の水晶振動子32のうちの上記とは異なる他の1つの水晶振動子32の固有振動数に相当する周波数f2の電気信号を発信器62から発信する。これにより、送受信アンテナ120を構成する4つのコイルから4個の検温素子30に周波数f2の送信波が送信される。その結果、検出エリアを通過中の4個の検温素子30が有する水晶振動子32のうち周波数f2に対応する固有振動数を有する水晶振動子32が周波数f2にて共振する。続いて、発信器62の発信が停止されて送信波の送信が停止されるとともに、切替器61が受信器63側に再度切り替えられる。
送信波の送信停止後に、周波数f2にて共振した水晶振動子32を有する検温素子30のセンサアンテナ34から出力された電磁波が送受信アンテナ120によって受信され、電気信号として受信器63に伝達される。周波数カウンタ64は、その電気信号の周波数を計数し、計数値を温度算定部69に伝達する。温度算定部69は、周波数カウンタ64にて計数された電気信号の周波数および発信器62から伝達された送信した電気信号の周波数に基づいて、送受信周波数の変化率を算定し、その変化率から検温素子30(周波数f2にて共振した水晶振動子32を有する検温素子30)が接着された位置における基板Wの温度を算出する。
以降、同様の手順が繰り返されて、送受信アンテナ120の検出エリアを同時に通過している4個の検温素子30のそれぞれが装着された位置における基板Wの温度が順次に測定される。すなわち、送受信アンテナ120の検出エリアを同時に通過している4個の検温素子30が内蔵する水晶振動子32のそれぞれの固有振動数に相当する周波数(f1,f2,f3,f4)の送信波を送受信アンテナ120から順次に4個の検温素子30に向けて送信することによって当該周波数に対応する固有振動数を有する水晶振動子32を共振させる。そして、その送信波の送信を停止した後に共振した水晶振動子32を有する検温素子30から出力された電磁波を送受信アンテナ120にて受信し、その受信した電磁波の周波数および送信波の周波数に基づいて基板Wの幅方向に沿った4箇所(検温素子30が装着された箇所)における温度測定を行っている。その結果、送受信アンテナ120の検出エリアを同時に通過している4個の検温素子30が装着された位置における基板Wの温度を個別に算出することができる。
第1実施形態において述べたように、送受信アンテナ20が送信波の送信を開始してから水晶振動子32の発信による電磁波を受信するまでの時間間隔は10ミリ秒程度の極短時間である。従って、基板Wが直線移動されていても、4個の検温素子30が送受信アンテナ120の検出エリアを通過している間に各検温素子30と個別に送受信を行って4箇所の温度測定を完了することが可能である。
以上のようにしても、処理対象となる基板Wを移動させつつ、その基板Wの温度を正確かつリアルタイムに測定することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<6.第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態において処理対象となる基板Wは円板形状のシリコンの半導体ウェハーである。図10は、第6実施形態の基板Wを処理する装置の構成を模式的に示す図である。この装置は、筐体400の内部にスピンチャック401、回転駆動部402、処理カップ403および処理液ノズル410を備えて構成される。
スピンチャック401は基板Wの下面中心部を吸着保持する。モータを備える回転駆動部402は、スピンチャック401に保持された基板Wを矢印AR10に示すように鉛直方向に沿った中心軸周りにて回転移動させる。処理液ノズル410は、スピンチャック401に保持された基板Wの上面に処理液を供給する。処理カップ403は、回転する基板Wから遠心力によって振り切られた処理液を回収する。なお、「処理液」には、純水および薬液の双方が含まれる。
筐体400の天井部には送受信アンテナ420が設けられている。筐体400自体は金属製であっても良いが、送受信アンテナ420の近傍は絶縁性材料(例えば、樹脂またはセラミックス)にて形成しておく。送受信アンテナ420は送受信部60(図5参照)と接続されている。この送受信アンテナ420は、基板Wの回転方向の対する折線方向すなわち半径方向に長く延在し、その検出エリアはスピンチャック401に保持された基板Wの全面となる。
処理対象となる基板Wの上面には複数個の検温素子30が接着されている。検温素子30自体の構成は第1実施形態と同様のものである。第6実施形態においては、3個の検温素子30が基板Wの上面に取り付けられている。具体的には、円形の基板Wの中心位置、端縁位置およびそれらの中間位置の3箇所に検温素子30が装着される。第6実施形態では、スピンチャック401に保持された基板Wの全面が送受信アンテナ420の検出エリアとなるため、回転駆動部402によって基板Wが回転移動するときにも3個の検温素子30は常に送受信アンテナ420の検出エリア内に位置している。また、第6実施形態では、基板Wの上面に取り付けられた3個の検温素子30に備えられた水晶振動子32の固有振動数は相互に異なる。なお、第1実施形態と同様の検温素子30に代えて第2実施形態から第4実施形態の検温素子を用いるようにしても良く、特に基板Wに処理液を供給する第6実施形態では第4実施形態の検温素子330を用いるのが好ましい。
第6実施形態の温度測定システムによって基板Wの温度測定を行うときには以下のようにして実行する。まず、処理対象となる基板Wであって、かつ温度測定を行うものに対して作業者が複数の検温素子30を順次装着する。このときに、相互に固有振動数が異なる水晶振動子32を備える3個の検温素子30を基板Wの中心位置、端縁位置およびそれらの中間位置に装着する。
複数の検温素子30の取り付けが終了した基板Wは図10の装置に投入され、スピンチャック401に保持される。そして、回転駆動部402が鉛直方向に沿った中心軸周りにて基板Wを回転させつつ、処理液ノズル420が基板Wの上面に処理液を供給して処理が進行する。第6実施形態においては、回転駆動部402によって回転移動されつつ処理液による処理が行われている基板Wの温度を測定する。より詳細には、第6実施形態では、回転駆動部402によって基板Wが回転移動するときにも3個の検温素子30は常に送受信アンテナ420の検出エリア内に位置している。回転移動されつつ処理液による処理が行われている基板Wに装着された3個の検温素子30と送受信アンテナ420との間で送受信を行って液処理中の基板Wの温度を測定する。
このときの3個の検温素子30と送受信アンテナ420との間の送受信の態様は第5実施形態にて説明したのと概ね同様である。すなわち、回転移動されつつ処理液による処理が行われている基板Wに装着された3個の検温素子30が内蔵する水晶振動子32のそれぞれの固有振動数に相当する周波数(f1,f2,f3)の送信波を送受信アンテナ420から順次に3個の検温素子30に向けて送信することによって当該周波数に対応する固有振動数を有する水晶振動子32を共振させる。そして、その送信波の送信を停止した後に共振した水晶振動子32を有する検温素子30から出力された電磁波を送受信アンテナ420にて受信し、その受信した電磁波の周波数および送信波の周波数に基づいて基板Wの3箇所(検温素子30が接着された箇所)における温度測定を行っている。その結果、移動されつつ処理が行われている基板Wの温度を正確かつリアルタイムに測定することができる。
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第1実施形態から第5実施形態では、移動されつつ所定の処理が行われている基板Wの温度測定を行うようにしていたが、搬送路を移動中の基板Wの温度測定を行うようにしても良い。所定の処理としては、例えば、金属製のベークプレート上での熱処理や処理液を供給しての液処理を行うことができる。本発明に係る温度測定システムによれば、処理中の基板Wの温度を正確かつリアルタイムに測定することができる。
また、第1実施形態から第5実施形態において、送受信アンテナ20(または120)を複数箇所に設置し、処理ラインを搬送される基板Wの一連の温度履歴を測定するようにしても良い。
また、第1実施形態から第5実施形態においては、搬送コロ12によって基板Wを搬送するようにしていたが、基板Wの移動手段はこれに限定されるものではない。例えば、基板Wを搬送アームを備えた搬送ロボットによって移動させるようにしても良いし、二点間を往復移動するシャトル機構によって移動させるようにしても良い。
また、第1実施形態から第4実施形態においては、移動する基板Wの上方に送受信アンテナ20を設けていたが、これを基板Wの下方に設けるようにしても良い。逆に、第5実施形態において、移動する基板Wの上方に送受信アンテナ120を設けるようにしても良い。
また、第1実施形態から第4実施形態において、第5実施形態の如き複数のコイルを一列に並べて構成される送受信アンテナ120を適用するようにしても良い。逆に、第5実施形態において、第1実施形態の如きループアンテナとして構成される送受信アンテナ20を適用するようにしても良い。
また、第1実施形態から第4実施形態において、送受信アンテナ20が基板Wの移動方向と交差して長く延在する方向を、基板搬送方向と垂直な水平方向に沿うように設けていたが、基板Wの移動方向と交差するについては、必ずしも垂直な方向に限定されるものではなく、他の角度でもよい。
なお、基板Wに検温素子30を碁盤の目状に複数装着するにつけ、検温素子30の並びに、送受信アンテナ20が延在する方向と一致しないように角度を選定して送受信アンテナ20を設置することにより、複数の検温素子30が同時期に送受信アンテナ20の検出エリアを通過しないようにでき、必ずしも前記第5実施形態のように水晶振動子32の固有振動数を違えることをしなくても、基板W上で碁盤の目状の複数箇所の温度を測定することができる。すなわち、基板W上で、基板Wの移動方向に複数装着され、かつ、基板の移動方向と垂直な方向に複数装着された幾つもの検温素子30で温度を測定することができる。このような碁盤の目状に検温素子30を装着する測定は、処理中の基板Wの温度分布すなわち、温度の面内分布、ひいては熱依存性の処理における処理の均一性を、把握することができることになるので、処理中の基板Wの様子を知る上で、極めて有益である。
また、第1,第2,第4実施形態においては、スペーサ35,135,335の高さを10mmとしていたが、スペーサの高さは10mm以上であっても良く、水晶振動子に電気的に接続されたセンサアンテナを基板Wの上面から10mm以上隔てて保持するものであれば良い。
また、第1実施形態から第5実施形態においては、基板Wの幅方向に4個の検温素子30を取り付けていたが、幅方向に取り付ける検温素子30の個数は基板Wのサイズに応じて任意のものとすることができる。但し、第5実施形態のように、基板Wの幅方向に沿って一列に取り付けた複数の検温素子30が同時期に送受信アンテナ120の検出エリアを通過する場合には、それら同時期に通過する検温素子30に備えられた水晶振動子32の固有振動数は相互に異なるものとする必要がある。また、送受信アンテナ120を同時期に通過する複数の検温素子30のそれぞれに異なる周波数の送信波を送信する必要がある。
また、第5実施形態においては、送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に通過する複数の検温素子30に対して、各検温素子30が対応する周波数に応じた色を付してマーキングしていたが、マーキングの手法は色を付すことに限定されるものではなく、検温素子30を識別可能な他の手法を採用することもできる。例えば、送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に通過する複数の検温素子30に識別の記号や番号を付して、対応する周波数に応じたマーキングを付するようにしても良い。送受信アンテナ120の検出エリアを同時期に通過する複数の検温素子30に対応する周波数に応じたマーキングを付すことにより、検温素子30を基板Wに接着する作業性を向上させることができる。
また、本発明に係る温度測定システムによって処理対象となる基板Wはガラス基板や半導体ウェハーに限定されるものではなく、太陽電池製造用のシリコン基板であっても良い。