JP5329185B2 - 配向制御された細胞パターンの回収ツール - Google Patents
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Description
本発明は、新規の細胞パターン(シート)回収ツール(または細胞パターン回収用細胞培養支持体)に関する。より詳しくは本発明は、配向が制御された細胞パターンを形成し迅速に回収し得る、細胞パターン回収ツールに関する。さらに、本発明は、このような細胞パターン回収ツールの製造方法、および、このような細胞パターン回収ツールを用いた、配向が制御された細胞パターンの作製方法にも関する。
細胞シートとは、細胞間結合で細胞同士が少なくとも単層で連結されたシート状の細胞集合体である。細胞パターンとは、所望する特定の形状として形成された細胞シートである。細胞シートや細胞パターンは、再生医療などでしばしば用いられる。
細胞シートはシャーレなどの支持体上で細胞培養を行うことにより得られるが、支持体上で形成された細胞シートは接着分子などを介して支持体表面と強固に結合しているため、細胞一細胞間の結合を壊さずに培養支持体から細胞シートを迅速に剥離することは容易ではない。これが細胞パターンの場合、さらに特定の形状を有しているため、培養支持体からの迅速かつ安定し確実な剥離には、さらに困難が伴う。
例えば、特開2003−082119号公報(特許文献1)には、細胞回収膜およびその製造方法が開示されている。また、特開2005−342112号公報(特許文献2)には、インビトロ形成され、細胞パターンを維持したまま回収された組織体と、その製造方法が開示されている。特開2006−8975号公報(特許文献3)には、所望の細胞を所望のパターンに沿って培養することが開示されている。しかしながら、これら文献には、形成させた細胞パターンを迅速に回収することについては何ら記載も示唆もされていない。特許文献3の方法では、細胞パターンの剥離のために生体組織に無害とは言えない紫外線照射も行われている。
よって、バイオアッセイの分野においても、配向が制御された細胞パターンを効率的に回収できる回収ツールが望まれていると言える。
表面が易接着処理された基材層と、
前記基材層上に形成された、表面がシラン処理された温度応答性ポリマー層と、
前記温度応答性ポリマー層上に形成された、細胞接着阻害材料層と
から構成されてなる、配向が制御された細胞パターンの回収ツールであって、
細胞接着阻害材料層において、温度応答性ポリマー層が露出されてなる細胞接着領域を挟んで存在する、細胞接着阻害材料に覆われてなる細胞接着阻害領域同士の間の幅を、伸展方向が制御された細胞培養が可能な最大幅以下とすることを特徴とするものである。
細胞接着領域のライン幅は、伸展方向が制御された細胞培養が可能な最大幅以下である。
表面が易接着処理された基材層上に、温度応答性ポリマー層を形成した後、温度応答性ポリマーの層の表面をシラン処理し、その上に光重合反応を利用して、細胞接着阻害材料層を、目的とする細胞パターンを形成可能な形状に、形成することを含んでなる方法が提供される。
本発明による細胞パターン回収ツール上に、細胞を播種して、培養に適した温度条件下にて細胞を培養し、伸展方向が制御された細胞培養を行った後、該ツールの温度を、温度応答性ポリマーが疎水性から親水性に変化する臨界溶解温度またはそれより低い温度に変化させて、細胞を該ツールから剥離させることによって、目的とする配向が制御された細胞パターンを迅速に回収することを含んでなる。このとき好ましくは、前記臨界溶解温度は室温である。
本発明による細胞パターン回収ツールは、前記したように、基本的に、
表面が易接着処理された基材層と、
前記基材層上に形成された、表面がシラン処理された温度応答性ポリマー層と、
前記温度応答性ポリマー層上に形成された、細胞接着阻害材料層と
から構成されてなる。そして本発明による細胞パターン回収ツールは、配向が制御された細胞パターンの回収に用いられるものであって、前記細胞接着阻害材料層において、温度応答性ポリマー層が露出されてなる細胞接着領域を挟んで存在する、細胞接着阻害材料に覆われてなる細胞接着阻害領域同士の間の幅を、伸展方向が制御された細胞培養が可能な最大幅以下とすることを特徴とするものである。そして、本発明による細胞パターン回収ツールは、基本的には、前記した基材層と、温度応答性ポリマー層と、細胞接着阻害材料層とを少なくとも含んでなるものあるため、必要に応じて、例えば、粘着層を介して、基材層を底面部に固定してなるポリスチレンディシュやマルチウェルプレートなどの任意構造をさらに含んでいてもよいことを意味する。
ここで、「表面が易接着処理された基材層」における「基材層」の基材としては、その表面を後述する易接着処理できるものであれば、いずれの材料によるものであってもよく例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、アクリル等が挙げられる。ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクタン、もしくはその共重合体のような生分解性ポリマーであってもよい。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートであり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。この内特に、ポリエチレンテレフタレートは、透明性、寸法安定性、機械的性質、電気的性質、耐薬品性等の性質に優れているため、細胞パターン回収ツールの材料として好適である。
本発明において、「表面がシラン処理された温度応答性ポリマー層」は、前記したように、前記基材層上、特に易接着処理された基材層表面に形成されてなる。
ここで、温度応答性ポリマーが、疎水性から親水性に変化する温度(水に対する臨界溶解温度(T))は、特に限定されないが、培養後の細胞シートの回収の容易さの観点からは、細胞培養温度よりも低い温度であることが好ましい。このような温度応答性ポリマー成分を含むことで、細胞培養時においては、細胞の足場(細胞接着面)が充分に確保されるため、細胞培養を効率よく行うことができる一方、培養後の細胞シートの回収時においては、疎水性部分を親水性に変化させ、培養された細胞シートを細胞培養基材から分離させることで、細胞シートの回収をより一層容易にすることができる。特に所定の臨界溶解温度未満の温度で親水性を示し、同温度以上の温度で疎水性を示す温度応答性ポリマーが好ましい。このような温度応答性ポリマーにおける臨界溶解温度を特に下限臨界溶解温度と呼ぶ。
本発明において、「細胞接着阻害材料層」は、前記したように、シラン処理された温度応答性ポリマー層上に形成されてなる。
なお、この幅は、通常、培養しようとする細胞が少なくとも1以上潜入可能な程度の幅は少なくとも有していることが望ましい。
本発明において、基材層の形状としては、ディッシュ形状や、フィルム形状などが挙げられる。フィルム形状基材を用いる場合、フィルム形状基材表面にグラフトされる温度応答性ポリマー層を形成した後、細胞培養に適した形状(例えばディッシュ形状)に加工することができる。加工の際は、必要に応じて他の材料からなる部材を前記基材と組み合わせて使用することもできる。例えば、基材層の底面と粘着層を介して、ポリスチレンディシュ、マルチウェルプレート、シャーレの底面に固定し、それらを含めて、本発明による細胞パターン回収ツールとして使用することもできる。
本発明の別の態様によれば、前記したように、本発明の細胞パターン回収ツールの製造方法であって、
表面が易接着処理された基材層上に、温度応答性ポリマー層を形成した後、温度応答性ポリマーの層の表面をシラン処理し、その上に光重合反応を利用して、細胞接着阻害材料層を、目的とする細胞パターンを形成しうる形状として、形成させることを含んでなる方法が提供される。
なお図2は本発明による細胞パターン回収ツールの製造方法を具体例を挙げて示した概念図である。
また本発明による細胞パターンの作製方法は、前記したいように、
本発明による細胞パターン回収ツール上に、細胞を播種して、培養に適した温度条件下にて細胞を培養し、伸展方向が制御された細胞培養を行った後、該ツールの温度を、温度応答性ポリマーが疎水性から親水性に変化する臨界溶解温度またはそれより低い温度に変化させて、細胞を該ツールから剥離させることによって、目的とする配向が制御された細胞パターンを迅速に回収することを含んでなる。
(1−1) 温度応答性フィルムの作製
N−イソプロピルアクリルアミドを、最終濃度20重量%になるように2−プロパノール(イソプロピルアルコール(IPA))に溶解させた。市販の易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社より入手、A4100)(以下において「易接着PET」と略することがある)を調達し、これを10cm角に切断した。ここに前記溶液を、易接着PETの易接着面に展開し、ミヤバーでコーティングした。電子線照射装置(岩崎電気社製)を用いて該サンプル上に電子線照射を行い、該溶液をグラフト重合した。このときの電子線照射装置の条件は、照射線量217kGyであった。
メタクリロキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社より入手、TSL8370)を用意し、これをイソプロピルアルコール(IPA)で0.1重量%になるように希釈した。
前記で得られたフィルムを、0,7mm厚ガラスに有機溶剤(IPA)を用いて物理吸着固定し、スピンナー(ミカサ製)を用いて、メタクリロキシシランをコーティングし、シラン処理を行った。このときのスピンナーの条件は1000rpm×3秒であった。
その後、露光装置を用いてマスク露光を実施し、純水で現像した。具体的には、150μm厚PETフィルム(東レ株式会社製)を用いて所望のパターン形状が形成されるように、マスキングした。次いで、フォトマスクをマスキングフィルム上からギャップ200μm離してセットし、500mWマルチライト(ウシオ電機社製)を用いて、10秒間光照射した。光照射条件は、波長、365nmで、照度は75mW/cm2であった。
その後、マスキングフィルムを剥離した。このとき、マスクパターンは開口部と遮光部が交互に配列したラインパターンのものを使用し、線幅は2〜80μmの範囲で1μm毎に増加するように配列させた。同様にして、マスクパターンとして、線幅2〜100μmの範囲で1μm毎(線幅20μm以上であれば5μm毎)に増加するように配列させた。
マスク処理後、良好なパターンが得られていることを光学顕微鏡で確認した。
このようにして得られた培養支持体ツールを、28mmφに切り出し、粘着層を露出させ、35mmφポリスチレンディッシュ(ベクトンディッキンソン社製)底面に貼り付け、これを70%エタノールにて滅菌した。滅菌時間は1時間とした。
ウシ血管内皮細胞(DSファーマバイオメディカル社より入手)を、5×105cells/cm2になるように調整し、ツール内に播種した。
このとき、使用培地は5%FBS含有DMEM(ギブコ製)であった。培養はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件にて行った。培養48時間後、細胞がラインパターン状の細胞接着領域(ポリエチレングリコールジアクリレートが存在していない領域)に接着していることを位相差顕微鏡により確認した。
図は、倍率40倍で、細胞培養を行ったサンプルの表面を位相差顕微鏡にて撮影したもの(上段)と、蛍光2重染色法(Hoechst33342とAlexa Floro Phalloidinによる染色)を適用して撮影した画像(下段)である。
○: すべての細胞がラインの長軸方向に沿って伸展・配向している
△: 一部の細胞がラインの長軸方向に沿って伸展・配向している
×: すべての細胞がラインの長軸方向に沿って伸展・配向していない
得られた細胞パターン上にビトリゲル(旭テクノグラス)を接触させ、室温下で20分間放置した後、ピンセットで慎重にビトリゲルを剥離した。ビトリゲル上に、細胞パターンが回収されていることを位相差顕微鏡で確認した。
(2−1) 温度応答性フィルムの作製
例1の(1−1)の項と同様にして、温度応答性フィルムを作製した。
メタクリロキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社より入手、TSL8370)を用意し、これをイソプロピルアルコール(IPA)で0.1重量%になるように希釈した。
前記で得られたフィルムを、0.7mm厚ガラスに有機溶剤(IPA)を用いて物理吸着固定し、スピンナー(ミカサ製)を用いて、メタクリロキシシランをコーティングし、シラン処理を行った。このときのスピンナーの条件は750rpm×3秒であった。
シラン塗布前後の室温での静止水接触角を接触角測定装置(協和界面化学株式会社製、液滴量2μL、滴下後10秒後に測定、測定点数3点)で測定したところ、塗布前が40.1°、塗布後は72.9°であった。
その後、露光装置を用いてマスク露光を実施し、純水で現像した。具体的には、150μm厚PETフィルム(東レ株式会社製)を用いて所望のパターン形状が形成されるように、マスキングした。次いで、フォトマスクをマスキングフィルム上からギャップ200μm離してセットし、500mWマルチライト(ウシオ電機社製)を用いて、10秒間光照射した。光照射条件は、波長、365nmで、照度は75mW/cm2であった。
その後、マスキングフィルムを剥離した。このとき、マスクパターンはライン/スペース300μm/40μmのものを使用した。得られたサンプルの膜厚を高精度微細形状測定機(SURFCORDER ET4000L(小坂研究所社製))で測定したところ、5μmであった。マスク処理後、良好なパターンが得られていることと光学顕微鏡で確認した。
このようにして得られた培養支持体ツールを、28mmφに切り出し、粘着層を露出させ、35mmφポリスチレンディッシュ(ベクトンディッキンソン社製)底面に貼り付け、これをエチレンオキサイドガスにて滅菌した。滅菌時間は40℃、5時間、エアレーション14時間した。
ヒト正常血管内皮細胞(クラボウ株式会社より入手)を、5×105cells/cm2になるように調整し、ツール内に播種した。
このとき、使用培地は10%FBS含有HuMedia−EB2(クラボウ株式会社製)であった。培養はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件にて行った。培養96時間後、細胞がラインパターン状の細胞接着領域(ポリエチレングリコールジアクリレートが存在していない領域)に接着していることを位相差顕微鏡により確認した。
(3−1) 温度応答性フィルムの作製
例1の(1−1)の項と同様にして、温度応答性フィルムを作製した。
メタクリロキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社より入手、TSL8370)を用意し、これをイソプロピルアルコール(IPA)で1重量%になるように希釈した。
前記で得られたフィルムを、0.7mm厚ガラスに有機溶剤(IPA)を用いて物理吸着固定し、スピンナー(ミカサ製)を用いて、メタクリロキシシランをコーティングし、シラン処理を行った。このときのスピンナーの条件は750rpm×3秒であった。
シラン塗布前後の室温での静止水接触角を水接触角測定装置(協和界面化学株式会社製、液滴量2μL、滴下後10秒後に測定、測定点数3点)で測定したところ、塗布前が40.1°、塗布後は72.9°であった。
その後、露光装置を用いてマスク露光を実施し、純水で現像した。このとき、マスクパターンはライン/スペース300μm/80μmのものを使用した。
このようにして得られた培養支持体ツールを、28mmφに切り出し、粘着層を露出させ、35mmφポリスチレンディッシュ(ベクトンディッキンソン社製)底面に貼り付け、これをエチレンオキサイドガスにて滅菌した。滅菌時間は40℃、5時間、エアレーション14時間した。
ヒト正常血管内皮細胞(クラボウ株式会社より入手)を、5×105cells/cm2になるように調整し、ツール内に播種した。
このとき、使用培地は10%FBS含有HuMedia−EB2(クラボウ株式会社製)であった。培養はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件にて行った。培養96時間後、細胞がラインパターン状の細胞接着領域(ポリエチレングリコールジアクリレートが存在していない領域)に接着していることを位相差顕微鏡により確認した。
また、細胞はライン方向に沿って伸展(配向)していなかったことも確認した。
(4−1) 細胞接着阻害材料の固定化
メタクリロキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社より入手、TSL8370)を用意し、これをイソプロピルアルコール(IPA)で1重量%になるように希釈した。
紫外線で10分処理したガラス(NA35、NHテクノグラス社製、厚み0.7mm)上に、スピンナー(ミカサ製)を用いて、メタクリロキシシランをコーティングした。このときのスピンナーの条件は750rpm×3秒であった。
シラン塗布前後の室温での静止水接触角を接触角測定装置(協和界面化学株式会社製、液滴量2μL、滴下後10秒後に測定、測定点数3点)で測定したところ、塗布前が2.3°、塗布後は43.2°であった。
このようにして得られた培養支持体ツールを、5cm角に切り出し、100mmφポリスチレンディッシュ(ベクトンディッキンソン社製)底面に配置し、これをエチレンオキサイドガスにて滅菌した。滅菌時間は40℃、5時間、エアレーション14時間した。
ヒト正常血管内皮細胞(クラボウ株式会社より入手)を、5×105cells/cm2になるように調整し、ツール内に播種した。
このとき、使用培地は10%FBS含有HuMedia−EB2(クラボウ株式会社製)であった。培養はCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件にて行った。培養96時間後、細胞がラインパターン状の細胞接着領域(ポリエチレングリコールジアクリレートが存在していない領域)に接着していることを位相差顕微鏡により確認した。
また、細胞はライン方向に沿って伸展(配向)していたことを確認した。
Claims (12)
- 表面が易接着処理された基材層と、
前記基材層上に形成された、表面がシラン処理された温度応答性ポリマー層と、
前記温度応答性ポリマー層上に形成された、細胞接着阻害材料層と
から構成されてなる、配向が制御された細胞パターンの回収ツールであって、
細胞接着阻害材料層において、温度応答性ポリマー層が露出されてなる細胞接着領域を挟んで存在する、細胞接着阻害材料に覆われてなる細胞接着阻害領域同士の間の幅を、伸展方向が制御された細胞培養が可能な最大幅以下とし、かつ8〜60μmとすることを特徴とする、細胞パターン回収ツール。 - 細胞接着阻害材料層において、細胞接着領域と、細胞接着阻害領域とが交互に配置されることによって、目的とする細胞パターンが形成されてなる、請求項1に記載の細胞パターン回収ツール。
- 細胞接着領域がライン状となるように、目的とする細胞パターンが細胞接着阻害材料層に形成されてなり、かつ
細胞接着領域のライン幅が、伸展方向が制御された細胞培養が可能な最大幅以下である、請求項1または2に記載の細胞パターン回収ツール。 - 細胞接着領域のライン幅が、8〜40μmである、請求項2に記載の細胞パターン回収ツール。
- 細胞接着阻害材料がエチレングリコール系材料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール。
- 温度応答性ポリマー層におけるシラン処理が、温度応答性ポリマー層をメタクロイルオキシシランでコーティングすることにより行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール。
- 温度応答性ポリマーが、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール。
- 表面が易接着処理された基材層が、易接着層を含むポリエステルフィルムまたはコロナ処理されたポリスチレンフィルムからなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール。
- 基材層が粘着層を介して、ポリスチレンディシュまたはマルチウェルプレート上に固定されてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツールの製造方法であって、
表面が易接着処理された基材層上に、温度応答性ポリマー層を形成した後、温度応答性ポリマーの層の表面をシラン処理し、その上に光重合反応を利用して、細胞接着阻害材料層を、目的とする細胞パターンを形成可能な形状に、形成することを含んでなる、方法。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞パターン回収ツール上に、細胞を播種して、培養に適した温度条件下にて細胞を培養し、伸展方向が制御された細胞培養を行った後、該ツールの温度を、温度応答性ポリマーが疎水性から親水性に変化する臨界溶解温度またはそれより低い温度に変化させて、細胞を該ツールから剥離させることによって、目的とする配向が制御された細胞パターンを迅速に回収することを含んでなる、配向が制御された細胞パターンの作製方法。
- 前記臨界溶解温度が室温である、請求項11に記載の方法。
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