JP5328683B2 - 橋梁の伸縮装置部位の漏水補修方法 - Google Patents
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Description
したがって、伸縮装置およびその周辺部位は漏水が生じないように定期的に補修する必要がある。伸縮装置の漏水補修方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が挙げられる。
しかしながら、このような種々の漏水経路のほぼ全てについて対応することができる漏水補修方法は、従来、提案されていなかった。
すなわち本発明は、種々の漏水経路について対応することができる漏水補修方法を提供することにある。
本発明は次の(1)〜(4)である。
(1)橋梁の下側から、伸縮性シーリング剤を用いて漏水経路の出口を塞ぐ工程を具備する、橋梁の伸縮装置部位の漏水補修方法。
(2)橋梁の下側から、水分捕捉型の充填剤を前記漏水経路へ充填する工程を具備する、上記(1)に記載の漏水補修方法。
(3)前記充填剤を用いて前記漏水経路の入口を塞ぐ工程を具備する、上記(1)または(2)に記載の漏水補修方法。
(4)前記充填剤のB型回転粘度計を用いた粘度(η)が、初期値(η0)は10〜100(mPa・sec)であり、20分経過後の粘度(η20)はη0<η20<250(mPa・sec)の関係を満たし、45分経過後の粘度(η45)はη45>η0×1.5(mPa・sec)の関係を満たす、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の漏水補修方法。
また、本発明によれば、作業をすべて路面下で行うことができるため、安全に作業を行うことができ、さらに路面上の交通規制の必要はない。
さらに、本発明によれば、既設の伸縮装置を取り替えることなく、そのまま利用できるので、施工コストを抑制することができる。
本発明は、橋梁の下側から、伸縮性シーリング剤を用いて漏水経路の出口を塞ぐ工程を具備する、橋梁の伸縮装置部位の漏水補修方法である。
このような漏水補修方法を、以下では「本発明の方法」ともいう。
本発明において「橋梁の伸縮装置部位」とは、橋梁の伸縮装置およびその周辺部位を意味するものとする。
図1は一般的な橋梁の伸縮装置およびその周辺部位(道路)を上側(路面側)から見た概略図であり、図2は図1のA−A線における概略断面図である。
伸縮装置10における道路面は、互いに噛み合う一対の櫛形鋼製フェースプレート11からなる。フェースプレート11の下方にはシール材13およびバックアップ材15が配置されている。また、フェースプレート11の下面から下方へ、後打ちモルタル等24および/または床板20の側面に密着させるように腹板17が配置されている。シール材13およびバックアップ材15は腹板17の側面に接着されている。バックアップ材15は支持具19によって支えられている。
なお、伸縮装置には様々な種類があり、例えば腹板17を備えないものもある。この場合、シール材13およびバックアップ材15は後打ちモルタル等24および/または床板20の側面に接着される。
図3、図4は、伸縮装置部位に形成された漏水経路を示している。図3、図4に示す伸縮装置部位は、図2に示した態様の伸縮装置部位が老朽化したものと考えてもよい。
また、図3に示す漏水経路33は、フェースプレート11および腹板17と後打ちモルタル等24および床板20との密着性がなくなり形成されたものである。入口33aから漏水経路33へ入り込んだ雨水等は出口33bへ到達して漏水する。
また、図3に示す漏水経路35は、舗装22と後打ちモルタル等24と床板20との密着性がなくなり形成されたものである。入口35aから漏水経路35へ入り込んだ雨水等は出口35bへ到達して漏水する。
また、図4に示す漏水経路37は、シール材13およびバックアップ材15と腹板17との密着性がなくなり形成されたものである。入口37aから漏水経路37へ入り込んだ雨水等は出口37bへ到達して漏水する。
さらに、図4に示す漏水経路39は、後打ちモルタル等24が劣化してひび割れて生じたものである。入口39aから漏水経路39へ入り込んだ雨水等は出口39bへ到達して漏水する。
このような本発明の方法の好適態様について、図5を用いて説明する。
図5は、図3に示した、シール材13およびバックアップ材15が劣化してひび割れて生じた漏水経路31を有する伸縮装置部位に、本発明の方法の好適態様を適用して漏水補修したことを示している。
本発明の方法の好適態様では、初めに伸縮性シーリング剤40を用いて漏水経路31の出口31bを塞ぐ。ここで、後に出口31bから充填剤50を充填するための注入孔42を予め設置しておく。
次に、注入孔42にホース44の一方端部を繋げる。ホース44の他方端部は圧送タンク46およびコンプレッサー48に連結されており、圧送タンク46中の充填剤をホース44を通じて漏水経路31へ充填することができる。
漏水経路へ充填された充填剤は、漏水経路内に残留する水分を捕捉するので、鋼製部材やコンクリート中の鉄筋等の腐食を防止することができる。また、当該水分が凍結することによる漏水経路の拡大やコンクリート等の損壊を防止することができる。
η0は、40〜90(mPa・sec)であることがより好ましく、60〜80(mPa・sec)であることがさらに好ましい。
η20は、η0<η20<230(mPa・sec)の関係を満たすことがより好ましく、η0<η20<200(mPa・sec)の関係を満たすことがさらに好ましい。
η45は、η45>η0×1.8の関係を満たすことがより好ましく、η45>η0×2.0の関係を満たすことがさらに好ましい。
η20は、η0<η20<η0×1.5の関係を満たすことがより好ましく、η0<η20<η0×1.2の関係を満たすことがさらに好ましい。
上記のように水分捕捉型ウレタン樹脂と希釈剤と難燃可塑剤と触媒とを混合して、上記の粘度(η)を備える充填剤を得ることができる。
矩形であって表面のほぼ全面に錆を有する鋼板(錆鋼板)と、錆鋼板と同形状であって錆を有さない鋼板(ダミー鋼板)とを、主面が密着するように重ねた。このとき、錆鋼板とダミー鋼板との主面の間には約1mmの隙間が存在していた。
次に、この隙間を保持したまま、錆鋼板とダミー鋼板とを図6に示すように充填剤の中へ浸漬し、10分間保持した。
図6は浴槽66中の充填剤62に、錆鋼板60とダミー鋼板64とを浸漬した状態を示す概略断面図である。
また、錆鋼板の断面を顕微鏡にて観察したところ、錆鋼板の表面に積層し微細孔構造を備えている錆の内部にまで、充填剤が浸透していることを確認できた。
シーリング用プライマー塗装を全面に行った矩形の鋼板を2枚用意した。
そして、図7の概略断面図に示すように、これらの鋼板70、70の一方の端部をスペーサ72を挟みつつ向い合わせた後、2枚の鋼板の各々の表面とスペーサの側面とにシーリング剤74を塗布した。これによって2枚の鋼板とスペーサとは図7に示すように繋がれた。
さらに、各々の鋼板70、70の他方の端部は、各々、部材76、76と連結させた。部材76、76は互いに近づく方向(圧縮方向)および遠ざかる方向(引張方向)へ移動することができるものであり、このような部材76、76の動きによって、鋼板70、70を図7における矢印の方向へ動かすことができる。
このような引張および圧縮を3650サイクル行った後でも、シーリング剤は鋼板から剥がれなかった。
11 フェースプレート
13 シール材
15 バックアップ材
17 腹板
19 支持具
20 床板
22 舗装
24 後打ちモルタル等
31、33、35、37、39 漏水経路
31a、33a、35a、37a、39a 漏水経路の入口
31b、33b、35b、37b、39b 漏水経路の出口
40 伸縮性シーリング剤
42 注入孔
44 ホース
46 圧送タンク
48 コンプレッサー
50 充填剤
60 錆鋼板
62 充填剤
64 ダミー鋼板
66 浴槽
70 鋼板
72 スペーサ
74 シーリング剤
76 部材
Claims (3)
- 橋梁の下側から、伸縮性シーリング剤を用いて漏水経路の出口を塞ぐ工程と、
橋梁の下側から、水分捕捉型の充填剤を前記漏水経路へ充填する工程と、
を具備する、橋梁の伸縮装置部位の漏水補修方法。 - 前記充填剤を用いて前記漏水経路の入口を塞ぐ工程を具備する、請求項1に記載の漏水補修方法。
- 前記充填剤のB型回転粘度計を用いた粘度(η)が、初期値(η0)は10〜100(mPa・sec)であり、20分経過後の粘度(η20)はη0<η20<250(mPa・sec)の関係を満たし、45分経過後の粘度(η45)はη45>η0×1.5(mPa・sec)の関係を満たす、請求項1または2に記載の漏水補修方法。
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