JP5327751B2 - 白金錯体化合物およびその利用 - Google Patents

白金錯体化合物およびその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP5327751B2
JP5327751B2 JP2009550001A JP2009550001A JP5327751B2 JP 5327751 B2 JP5327751 B2 JP 5327751B2 JP 2009550001 A JP2009550001 A JP 2009550001A JP 2009550001 A JP2009550001 A JP 2009550001A JP 5327751 B2 JP5327751 B2 JP 5327751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
platinum complex
complex compound
substituent
platinum
tetrazolato
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009550001A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009090903A1 (ja
Inventor
誠治 米田
正彦 千熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yakult Honsha Co Ltd filed Critical Yakult Honsha Co Ltd
Priority to JP2009550001A priority Critical patent/JP5327751B2/ja
Publication of JPWO2009090903A1 publication Critical patent/JPWO2009090903A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5327751B2 publication Critical patent/JP5327751B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic System
    • C07F15/0006Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic System compounds of the platinum group
    • C07F15/0086Platinum compounds
    • C07F15/0093Platinum compounds without a metal-carbon linkage
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D257/00Heterocyclic compounds containing rings having four nitrogen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D257/02Heterocyclic compounds containing rings having four nitrogen atoms as the only ring hetero atoms not condensed with other rings
    • C07D257/04Five-membered rings

Description

本発明は、テトラゾラト架橋型の白金錯体化合物、該白金錯体化合物の製造方法およびその利用に関する。
なお、本出願は2008年1月16日に出願された日本国特許出願第2008−007357号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
シスプラチン(cis-diamminedichloroplatinum(II))は塩化物イオン2基とアンミン2基とがシス型に配位した白金(II)一核錯体であり、最も効果的な抗癌剤の一つとして化学療法に広く用いられている。また、シスプラチン療法における副作用または癌細胞の耐性への対処として、カルボプラチン、ネダプラチンおよびオキサリプラチンのシスプラチン類似体が臨床利用されている。
シスプラチンの作用機序や体内代謝経路には、該錯体が細胞内のDNA鎖と1,2−鎖内架橋を形成しDNA鎖に顕著な歪みを生じさせることが関与していると考えられている(非特許文献1)。シスプラチンと類似した構造を有する上記の白金製剤も同様の態様でDNAに結合すると考えられる。
一方、これら既存の白金製剤とは異なる薬剤プロファイルを有する白金製剤の開発が望まれている。そのための一つの有効な手段として、既存のシスプラチン系製剤とは作用機序や体内代謝経路において異なる白金錯体化合物を設計することが考えられる。例えば、シスプラチンとは分子構造が大きく異なることによりシスプラチンとは異なる態様でDNAに結合し得る白金錯体(例えば白金多核錯体)によれば、シスプラチン系白金製剤とは異なる薬剤プロファイルが実現されることが期待される。この種の技術に関する従来技術文献として、特許文献1および非特許文献2,3が挙げられる。
国際公開第96/16068号パンフレット Jamieson, E. R. and Lipperd, S. J. "Structure, Recognition, and Processing of Cisplatin-DNA Adducts" Chem. Rev., 1999, 99, 2467-2498. Kasparkova, J.; Zehnulova, J.; Farrell, N.; and Brabec, V. "DNA interstrand cross-links of the novel antitumor trinuclear platinum complex BBR3464. Conformation, recognition by high mobility group domain proteins, and nucleotide excision repair." J Biol Chem 2002, 277, (50), 48076-48086. Komeda, S.; Lutz, M.; Spek, A. L.; Chikuma, M.; and Reedijk, J. "New antitumor-active azole-bridged dinuclear platinum(II) complexes: synthesis, characterization, crystal structures, and cytotoxic studies." Inorg Chem 2000, 39, (19), 4230-4236.
本発明は、シスプラチン系製剤とは異なる態様でDNAに結合し得る新規な白金(II)二核錯体化合物および該化合物を有効成分として含む抗癌剤を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる錯体化合物の製造方法を提供することである。
本発明によると、次式(I):
によって表される白金錯体化合物が提供される。ここで、Aは置換されていてもよいテトラゾラトであり、Bは有機または無機のアニオンであり、mおよびnは白金錯体部(角括弧内の錯イオン)の電荷数およびアニオンの電荷数に対応して決まる整数である。
なお、本明細書において「テトラゾラト」とは、1H−テトラゾール系化合物(C5位に置換基を有するまたは有しない1H−テトラゾール)の脱プロトン化(N1位のプロトンの引き抜き)によって得られるアニオン一般を指す用語である。すなわち、1H−テトラゾール系化合物のN1位のプロトンが解離してなるアニオン一般を意味する。
上記式(I)により表される化合物は、配位中心をなす2つの白金(II)イオンに対するAの架橋態様によって、Aを構成するテトラゾール環のN1およびN2が2つの白金イオンにそれぞれ配位したN1,N2−架橋構造の白金錯体化合物と、該テトラゾール環のN2およびN3が2つの白金イオンにそれぞれ配位したN2,N3−架橋構造の白金錯体化合物とに大別される。ここに開示される化合物の好ましい一態様は、N2,N3−架橋構造の白金錯体化合物である。かかる架橋構造の白金錯体化合物は、抗癌剤その他の薬剤の有効成分としてより有用な(例えば、より高い細胞毒性を発揮する)ものであり得る。なかでも、式(I)におけるAが置換基を有しないテトラゾラトであるN2,N3−架橋白金錯体化合物が特に好ましい。
本発明によると、また、上記式(I)中のAが置換基(すなわち、テトラゾール環の5位のCに結合した置換基)を有するテトラゾラトであるN2,N3−架橋白金錯体化合物が提供される。該置換基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、該置換期中に更に置換基を備えていてもよい。例えば、炭素数1〜6の炭化水素基、−CHCOO-および−CHCOORx(ここで、Rxは炭素数1〜4のアルキル基である。)からなる群から選択されるいずれかであり得る。このような置換基を有するN2,N3−架橋白金錯体化合物は、高純度のものが得られやすいので好ましい。
また、ここに開示されるいずれかの白金錯体化合物は、シスプラチンの病理学上の利用態様に準じて利用することができる。例えば、上記白金錯体化合物の少なくとも1つを抗癌剤の有効成分の1つとして用いることができる。この場合、上記式(I)中のBは薬理学上許容されるアニオンであることが好ましい。
本発明によると、上記式(I)により表される白金錯体化合物は、次式(II):
で表される化合物と、置換基を有するまたは有しない1H−テトラゾール系化合物とを、1:1〜1:1.2のモル比で反応させることを含む製造方法によって好ましく製造することができる。この工程で、N1,N2−架橋白金錯体化合物とN2,N3−架橋白金錯体化合物との混合物が生じた場合、本発明によると、該混合物に含まれる上記2つの化合物のいずれか一方から他方を分離することにより、上記化合物の少なくともいずれかを精製することができる。
上記製造方法の好ましい一つの態様では、上記混合物から上記化合物の少なくとも一方を分離する工程において、移動相として過塩素酸塩水溶液を用いた逆相クロマトグラフィを用いる。また、該水溶液中の過塩素酸塩は過塩素酸リチウムであることが好ましい。
図1は、例1で得られた混合物のH−NMRスペクトルである。 図2は、例3で得られた5−H−N1,N2のH−NMRスペクトルである。 図3は、例3で得られた5−H−N2,N3のH−NMRスペクトルである。 図4は、例4で得られた混合物のH−NMRスペクトルである。 図5は、例3で得られた5−H−N1,N2の質量スペクトルである。 図6は、例3で得られた5−H−N2,N3の質量スペクトルである。 図7は、例5で得られた5−メチル−N2,N3の質量スペクトルである。 図8は、例6で得られた5−エチルアセテート−N2,N3の質量スペクトルである。 図9は、例7で得られた5−アセテート−N2,N3の質量スペクトルである。 図10は、例8で得られた5−フェニル−N2,N3の質量スペクトルである。 図11は、X線解析によって得られた上記5−メチルの結晶構造である。 図12は、X線解析によって得られた上記5−アセテートの結晶構造である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば化合物の合成方法や分離精製方法)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば白金化合物を有効成分とする抗癌剤(薬剤組成物)の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、無機化学、薬学、医学、病理学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される白金錯体化合物は、上記式中のAが1H−テトラゾール系化合物の脱プロトン化(N1位のプロトンの引き抜き)によって得られるテトラゾラトである。Aは、好ましくはC5位に水素原子または低級炭化水素基を有するテトラゾラトである。
また、上記式中のBは特に制限されず、例えば無機酸イオンおよび有機酸イオンから選択される一種または二種以上であり得る。無機酸イオンとしては、例えば、クロリド、ブロミド、ニトラート、ホスファート、スルファート、ペルクロラート等が挙げられる。有機酸イオンとしては、例えば、アセタート、シトラート、ラクタート、マレアート、タルトラート、ベジラート等が挙げられる。なお、上記式(I)により表される錯体化合物は水和物として存在し得る。したがって、本発明により提供される白金錯体化合物には、上記式(I)で表される化合物の水和物が包含され得る。
上記式中のmおよびnは白金錯体部(角括弧内の錯イオン)の電荷数およびBのアニオンの電荷数に対応して決まる整数である。ここで、各白金(II)イオンの電荷は+2であり、水酸基の電荷は−1である。従って、例えば、Aが置換基を持たない或いは電荷を持たない置換基を有するテトラゾラトである場合、テトラゾラト環上の電荷は−1であるため、白金錯体部の電荷数は+2となる。従って、Bの電荷が−2であれば、mおよびnは共に1であり、Bの電荷が−1であれば、mは1、nは2である。
ここに開示されるいずれかの白金錯体化合物は、シスプラチンの病理学上の利用態様に準じて利用することができる。この場合、式(I)中のBは薬理学上許容されるアニオンであることが好ましい。かかる白金錯体化合物は、例えば、シスプラチンと同様に抗癌剤として利用することができる。本発明に基づく抗癌剤の調製については、本発明による白金錯体化合物の少なくとも1種を有効成分として含有すること以外に特に制限はない。有効成分として、上記白金錯体化合物のいずれか1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。また、その他の有効成分として、別の抗癌剤、副作用を緩和するような薬剤、および/または抗癌作用を向上させるような薬剤等を含んでもよい。投与方法についても薬理効果が得られる範囲内において特に制限はない。例えば、他の白金製剤同様、該白金錯体化合物を生理食塩水等に溶解させたものを静脈注射により患者に投与することができる。
本発明による白金錯体化合物は、適当な溶媒中で式(II)で表される化合物(出発物質)と1H−テトラゾール系化合物とを1:1〜1:1.2のモル比で反応させることを含む製造方法によって好ましく製造することができる。ここで、1H−テトラゾール系化合物の使用量が上記モル比よりも多すぎると、副生成物(式(I)で表される白金錯体化合物以外の生成物、すなわち不純物)が多く生じること等により、目的物の分離精製が困難となることがある。出発物質と1H−テトラゾール系化合物とを上述した好ましいモル比で反応させることにより、不純物をほとんど含まず取り扱いが容易な生成物(N1,N2−架橋白金錯体化合物とN2,N3−架橋白金錯体化合物との混合物であり得る。)が、典型的には白色粉末状として得られる。特に、式(I)におけるAが置換基を有しないテトラゾラトである白金錯体化合物の製造においては、上記出発物質と1H−テトラゾール系化合物とを上記範囲のモル比で反応させることにより、目的物の収率や分離精製の容易性等の点で顕著な効果が得られる。
出発物質と1H−テトラゾール系化合物とを反応させる際には、典型的には、出発物質を適当な溶媒に溶解させた溶液に1H−テトラゾール系化合物を添加する。使用できる溶媒としては該出発物質を溶解し得るもので所望の白金錯体化合物の生成を阻害しないものであれば特に制限はないが、好適には水(蒸留水)である。1H−テトラゾール系化合物は、一度にまたは何度かに分割して添加することができる。該化合物を適当な溶媒(好ましくは出発物質の溶解に用いた溶媒と同様の溶媒)に溶解させた溶液を一度にまたは何度かに分割して添加してもよいし、或いは徐々に滴下してもよい。例えば、上記1H−テトラゾール系化合物溶液を一度に添加する態様を好ましく採用することができる。
得られた反応液は、好ましくは遮光下で攪拌する。この際の温度は該反応を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは25〜55℃程度であり、より好ましくは35〜45℃であり、更に好ましくは約40℃である。また、反応時間は収率を著しく減少させない範囲で特に制限されないが、好ましくは24時間〜64時間であり、より好ましくは36時間〜52時間であり、更に好ましくは40時間〜48時間である。なお、上記式(II)で表される出発物質(例えば、式[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2で表される化合物)については公知の合成方法に従って合成することができる。例えば、R. Faggiani. R.; B. Lippert. B; Lock, C. J. L.; and Rosenberg, B. "Hydroxo-bridged platinum(II) complexes. 1. Di-μ-hydroxo-bis[diammineplatinum(II)] nitrate, [(NH3)2Pt(OH)2Pt(NH3)2](NO3)2. Crystalline structure and vibrational spectra." J Am Chem Soc 1977, 99, (3), 777-781(以下、「非特許文献4」という。)に記載の合成方法を好ましく採用することができる。
上記反応において、1H−テトラゾール系化合物としては、好ましくはC5位に水素原子または低級炭化水素基を有する1H−テトラゾールを、特に好ましくはC5位に水素原子を有する1H−テトラゾールを用いることができる。C5位が水素原子の1H−テトラゾールを用いた場合、上記反応によってN1,N2−架橋白金錯体化合物とN2,N3−架橋白金錯体化合物との混合物(2つの構造異性体の混合物)が生じ得る。しかし、ここに開示される製造方法に従えば、該混合物はこれらの構造異性体以外に副生成物(不純物)をほとんど含まない。そのため、上記不純物を多く含む混合物に比べて吸湿性が極めて低い等の特性により、取り扱いが容易である。
また、一般的に、上記のように構造上非常に類似した異性体の混合物は高度に分離精製することが困難であるところ、本発明によると、該混合物から少なくともいずれか一方の構造異性体を分離することにより、上記混合物に含まれる異性体を効率よく高純度に精製することができる。この分離精製には、例えば、逆相クロマトグラフを用いる。使用するクロマトグラフとしては市販のものを用いることが可能であり、例えば高速液体クロマトグラフまたは中圧分取クロマトグラフ等を好ましく用いることができる。特に好ましくは中圧分取クロマトグラフを用いる。
使用するカラムとしては、目的物の分離精製を可能にするものであれば特に制限はないが、好適にはODS(C18)カラムを用いる。該ODSカラムとしては、例えば、山善株式会社の商品名「ウルトラパック」を好ましく採用することができる。
移動相としては、混合物から少なくとも一方の構造異性体を分離できれば特に制限はないが、好ましくは過塩素酸塩溶液(典型的には水溶液)を用いる。該過塩素酸塩は、得られた白金錯体化合物を損なわなければ特に制限されないが、好ましくはリチウム塩、ナトリウム塩等であり、リチウム塩の使用が特に好ましい。これにより、精製後の白金錯体化合物の脱塩を簡便に行うことができる。すなわち、分取した溶液を凍結乾燥して得られた白金錯体化合物を少量のアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)により洗浄することにより、過塩素酸塩を容易に除去することができる。過塩素酸塩溶液の濃度は、該溶液のpHが凡そ2.5〜3.5(例えば凡そ3.0)となるように設定するとよい。過塩素酸塩溶液として例えば過塩素酸リチウム溶液を用いる場合、該溶液中の過塩素酸リチウム濃度が約0.1Mになるように調製すると、pHが上記範囲内となり好適である。その他の事項(カラムのサイズ、流速等)については注入するサンプル量に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明の製造方法によれば、C5位に置換基を有するテトラゾラト架橋白金錯体化合物を製造することもできる。該置換基に特に制限はなく、直鎖状、分岐鎖状、環式のいずれであってもよい。特に好ましくは低級炭化水素基である。例えば、炭素数1〜6の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等)またはアリール基等(例えばフェニル基)である。また該置換基はさらに置換されていてもよい。例えば、アセテート基やエチルアセテート基等によって置換された低級アルキル基であってもよい。C5位の置換基の他の例としては、アミノ基(Nが+1の電荷を帯びている又は帯びていないアミノ基であり得る。)、メチルチオ基、カルボキサミド基等が挙げられる。
なお、上記製造方法においてC5位に置換基を有する1H−テトラゾールを反応させる場合には、N2,N3架橋による構造異性体が主として生成し得る。この場合には、上述した混合物の分離精製工程を省略した製造方法によっても当該異性体を高純度に得ることができ得る。したがって、本明細書により開示される技術には、上記式(I)におけるAが置換基を有するテトラゾラトである白金錯体化合物を製造する方法であって、上記式(II)で表される化合物と置換基を有する1H−テトラゾール系化合物とを1:1〜1:1.2のモル比で反応させることを特徴とする、白金錯体化合物の製造方法が含まれる。ここで使用する1H−テトラゾール系化合物の有する置換基は、式(I)中のAの有する置換基と同一の基であってもよく、式(I)に示す化合物と1H−テトラゾール系化合物とを反応させた後に簡単な工程によって上記Aの有する置換基に変換可能な基であってもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
なお、以下に示す例1、例4〜6、例8の出発物質である[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2としては、上記非特許文献4に従って合成したものを用いた。
<例1>
本例は、式(II)で表される化合物と1H−テトラゾール(すなわち、置換基を有しない1H−テトラゾール系化合物)とを1:1.1のモル比で反応させることにより、式(I)におけるAが置換基を有しないテトラゾラトである白金錯体化合物を合成した例である。
すなわち、[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)22.0gを蒸留水75mLに溶解させた溶液に1H−テトラゾール(同仁化学)0.252g(1.1当量)を加え、得られた反応液を遮光下40℃で約40時間攪拌した。この反応液を、ロータリーエバポレーターを用いて、得られた白金錯体のポリマー化反応を避けるため30℃以下で減圧濃縮し、残った粗生成物をメタノールおよびジエチルエーテルで洗浄・濾取した後、真空デシケータで乾燥させて白色粉末1.9gを得た。この白色粉末の1H-NMRスペクトル(VarianMercury300NMR)を図1に示す。このNMRスペクトルからわかるように、上記白色粉末は、N1,N2架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N1,N2)](NO3)2と、N2,N3架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N2,N3)](NO3)2とを約6.5:3.5のモル比で含む混合物であり、他の不純物はほとんど含まれていなかった。また、上記白色粉末は取扱い容易であった。
<例2>
例1により得られた混合物(サンプル1)を繰り返し水から再結晶することにより、N1,N2架橋型とN2,N3架橋型とのモル比が4:6程度となるまでN2,N3−架橋白金錯体化合物を精製した(サンプル2)。
サンプル1、サンプル2および比較例としてシスプラチン(サンプル3)の細胞毒性を以下の手法により評価した。
<H460非小肺癌細胞に対するインヴィトロ細胞毒性(癌細胞増殖抑制活性)の検討>
薬物を添加する日の前日に、24ウェル平底マイクロプレート上にH460非小肺癌細胞を12,000〜20,000個/ウェルとなるようにプレートした。各サンプル(表1中のサンプル番号参照)のそれぞれを濃度が100μMとなるようにQ−HO水に溶解して各水溶液を用意した。これらの水溶液を希釈して得られた様々な濃度の溶液1mLを各ウェルに注入した。このマイクロプレートを37℃で24時間培養した後、200μLの臭化2,5−ジフェニル−3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)テトラゾリウム(MTT)溶液(5mg/mL)を各ウェルに加え、37℃でさらに4時間培養した。MTTの還元により生成・析出したフォルマザンを溶解するため、各ウェルにジメチルスルフォキシド(DMSO)200μLを加えた。マイクロプレートレーダーを用いて各ウェルの550nmにおける吸光度を測定した。
各ウェルの吸光度を3回測定し、各実験を少なくとも3回繰り返した。IC50値は薬剤を添加しなかったコントロールと比較して、フォルマザン生成量が50%となる濃度として算出した。
その結果を表1に示す。N2,N3−架橋白金錯体化合物を粗精製してなるサンプル2はより高い細胞毒性を示すことがわかった。
<例3>
本例では、例1で得られた混合物をN1,N2架橋型とN2,N3架橋型とに高度に分離精製した。
すなわち、上記混合物を中圧分取クロマトグラフィーにより分離した。当該分離は、山善株式会社の中圧分取クロマトグラフ装置「YFLC-prep」を使用して、以下の条件により行った。
移動相:0.1M過塩素酸リチウム(pH3.0)
カラム:φ26mm×300mmウルトラパックODSカラム(山善株式会社)
検出波長:254nm
流速:20mL/min
サンプル注入量:1回5mL
それぞれの溶離液を凍結乾燥して得られた白色粉末をジエチルエーテルで洗浄して、N1,N2架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N1,N2)](ClO4)2(以下、5−H−N1,N2という。)0.86g、および、N2,N3架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N2,N3)](ClO4)2(以下、5−H−N2,N3という。)0.47gを得た。この5−H−N1,N2は、上記式(I)における置換基Aが下記式(III)で表される基である白金錯体化合物に該当する。また、5−H−N2,N3は、上記式(I)における置換基Aが下記式(IV)で表される基である白金錯体化合物に該当する。
分離精製後の5−H−N1,N2および5−H−N2,N3の収量の和を理論収量で除して算出した最終収率は56.5%であった。また、分離精製後の5−H−N1,N2(サンプル4)および5−H−N2,N3(サンプル5)の収率は、それぞれ36.5%および20.0%であった。
5−H−N1,N2および5−H−N2,N3の同定に用いた構造分析データ(分離精製後)を以下に記す(NMRスペクトロスコピー:Varian INOVA 500、質量分析装置:JOEL JMX-700)。また、5−H−N1,N2および5−H−N2,N3のNMRスペクトルをそれぞれ図2および図3に、これらの質量スペクトルをそれぞれ図5および図6に示す。
[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N1,N2)](ClO4)2(5−H−N1,N2)
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)8.84(s,1H,NH)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)152.6
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2127,-2177
質量分析(ESI)
[M-H] + :542.2(理論値543.1)
[M+ClO 4 ] + :642.8(理論値643.0)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N1,N2)]2+)
[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N2,N3)](ClO4)2(5−H−N2,N3)
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)8.66(s,1H,NH)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)152.6
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2192
質量分析(ESI)
[M-H] + :542.2(理論値543.1)
[M+ClO 4 ] + :642.8(理論値643.0)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N2,N3)]2+)
<例4>
本例では、式(II)で表される化合物と1H−テトラゾール(すなわち、置換基を有しない1H−テトラゾール系化合物)とを1:4のモル比で反応させた。すなわち、[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2に対する1H−テトラゾールの使用量を4当量とした。その他の点は例1と同様にして生成物を得た。この生成物は、図4のNMRスペクトルから明らかなように、N1,N2架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N1,N2)](NO3)2およびN2,N3架橋型の白金錯体化合物[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-N2,N3)](NO3)2の他に、少なくとも1種の副生成物(不純物)を含み、吸湿性が非常に高く取り扱いが困難であった。また、不純物を含む該混合物(粗生成物)の収率は10%以下であった。仮に実施例1の方法に従って該混合物の分離精製を行うと、構造異性体の総収率はさらにその半分近くまで下がることになる。これは本発明による製造方法に従った場合の約9分の1以下である。
<例5>
本例では、式(I)におけるAがC5位にメチル基を有するテトラゾラトである白金錯体化合物を合成した。
すなわち、[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2 1.0gを蒸留水30mLに溶解させた溶液に1H−5−メチルテトラゾール(アルドリッチ)0.150g(1.1等量)を加え、得られた反応液を遮光下40℃で約40時間攪拌した。この反応液をロータリーエバポレーターを用いて30℃以下で減圧濃縮し、残った粗生成物を再結晶(50%(v/v)2−メチル−2,4−ペンタンジオール水溶液)により精製し、[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-5-methyltetrazolato-N2,N3)](NO3)2 0.15gを得た。この化合物は、式(I)におけるAが下記式(V)で表される基である白金錯体化合物である。以下、当該化合物を5−メチル−N2,N3(サンプル6)という。
この5−メチル−N2,N3の同定に用いた構造分析データ(例3と同じ分析機器により測定した)を以下に記す。また、5−メチル−N2,N3の質量スペクトルを図7に、X線解析による結晶構造を図11に示す。
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)2.64(s,3H,CH3)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)10.1,162.2
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2179
質量分析(ESI)
[M-H] + :556.3(理論値557.1)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-5-methyltetrazolato-N2,N3)]2+)
<例6>
本例では、式(I)におけるAがC5位にエチルアセテート基を有するテトラゾラトである白金錯体化合物を合成した。
すなわち、[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2 1.0gを蒸留水38mLに溶解させた溶液にエチル−1H−テトラゾール−5−アセテート(アルドリッチ)0.279g(1.1等量)を加え、得られた反応液を遮光下40℃で約48時間攪拌した。この反応液をロータリーエバポレーターを用いて40℃で減圧濃縮し、得られた白色粉末を2−プロパノールおよびジエチルエーテルで洗浄・濾取した後、真空デシケータで乾燥させ、[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-5-ethylacetate-N2,N3)](NO3)2 0.8gを得た。この化合物は、式(I)におけるAが下記式(VI)で表される基である白金錯体化合物である。以下、当該化合物を5−エチルアセテート−N2,N3(サンプル7)という。
この5−エチルアセテート−N2,N3の同定に用いた構造分析データ(例3と同じ分析機器により測定した)を以下に記す。また、5−エチルアセテート−N2,N3の質量スペクトルを図8に示す。
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)1.28(t,3H,CH3),4.11(s,2H,CH2),
4.24(q,2H,CH2)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)16.1,34.2,65.7,174.0
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2182
質量分析(ESI)
[M-H] + :628.7(理論値629.4)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-5-ethylacetate-N2,N3)]2+)
<例7>
本例では、例6で得られた化合物の置換基を簡単な工程により変換することで、式(I)におけるAがC5位にアセテート基を有するテトラゾラトである白金錯体化合物を合成した。
すなわち、例6で得られた[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-5-ethylacetate-N2,N3)](NO3)2 0.2gを蒸留水5mLに溶解させた溶液に1Mの水酸化リチウム溶液300μLを加え、得られた反応液を室温で約10分間攪拌した。この反応液を0.1M硝酸水溶液でpH7に調節し、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮した。得られた白色粉末を2−プロパノールおよびジエチルエーテルで洗浄・濾取した後、真空デシケータで乾燥させ、[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-5-acetate-N2,N3)](NO3)2 0.15gを得た。この化合物は、式(I)におけるAが下記式(VII)で表される基である白金錯体化合物である。以下、当該化合物を5−アセテート−N2,N3という。
この5−アセテート−N2,N3の同定に用いた構造分析データ(例3と同じ分析機器により測定した)を以下に記す。また、5−アセテート−N2,N3の質量スペクトルを図9にX線解析による結晶構造を図12に示す。
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)3.84(s,2H,CH2)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)37.0,164.1,179.2
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2181
質量分析(ESI)
[M-H] + :600.5(理論値600.4)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-tetrazolato-5-acetate-N2,N3)]+)
<例8>
本例では、式(I)におけるAがC5位にフェニル基を有するテトラゾラトである白金錯体化合物を合成した。
すなわち、[{cis-Pt(NH3)2}(μ-OH)]2(NO3)2 1.0gを蒸留水40mLに溶解させた溶液と、1H−5−フェニルテトラゾール(アルドリッチ)0.273g(1.1等量)をメタノール10mLに溶解した溶液とを混合し、得られた反応液を遮光下40℃で約48時間攪拌した。得られた白色の懸濁液をロータリーエバポレーターを用いて30℃以下で減圧濃縮し、残った粗生成物にメタノール200mLを加え、メタノール不溶分を濾過により除去した。ろ液を減圧濃縮し、残った白色粉末をジエチルエーテルで洗浄・濾取し、真空デシケータ中で乾燥させた後、再結晶(60%(v/v)メタノール水溶液)により精製し、[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-5-phenyltetrazolato-N2,N3)](NO3)2 0.55gを得た。この化合物は、式(I)におけるAが下記式(VIII)で表される基である白金錯体化合物である。以下、当該化合物を5−フェニル−N2,N3という。
この5−フェニル−N2,N3の同定に用いた構造分析データ(例3と同じ分析機器により測定した)を以下に記す。また、5−フェニル−N2,N3の質量スペクトルを図10に示す。
NMR分析
1H-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)7.60(1H,p-CH),7.62(2H,CH),
8.06(2H,CH)
13C-NMR(D2O,TSP-d4):δ(ppm)129.4, 132.1,133.7,166.3
195Pt-NMR(D2O,Na2PtCl6):δ(ppm)-2185
質量分析(ESI)
[M-H] + :618.6(理論値619.4)
(M=[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-5-phenyltetrazolato-N2,N3)]2+)
サンプル4〜7の細胞毒性を比較対象の白金錯体化合物(サンプル3,8,9)と併せて上述の手法により評価した。その結果を表2に示す。
ここで、表2中のAMPZ(サンプル8)は式[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-pyrazolato)](NO3)2で表されるピラゾラト架橋白金(II)二核錯体であり、AMTA(サンプル9)は式[{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-1,2,3-triazolato-N1,N2)](NO3)2で表される1,2,3−トリアゾラト架橋白金(II)二核錯体である。これらAMPZおよびAMTAは、シスプラチンとは異なる抗癌活性スペクトルを示すことが知られており(非特許文献3)、またDNA鎖と結合して1,2−鎖内架橋を形成するが結合部分のDNA鎖に上記のような顕著な歪みを及ぼさないことが観察されている。すなわち、これらのアゾラト架橋白金(II)二核錯体は、上記シスプラチン系製剤のいずれとも異なる態様でDNAに結合すると考えられる。
表2に示す結果から明らかなように、サンプル4〜7のいずれもH460非小肺癌細胞に対してシスプラチンと同程度以上の細胞毒性を示した。また、上記の癌細胞に対する細胞毒性はAMPZおよびAMTAと比べ著しく優れていた。本発明による白金化合物は構造上シスプラチン系製剤とは異なる態様でDNAに結合し得る(すなわち、異なる作用機序および体内代謝経路をたどり得る)。さらに、上記の測定結果は、本発明による白金錯体化合物がAMPZおよびAMTAとは異なる薬剤プロファイルを有し得ることを示唆するものである。

Claims (8)

  1. 次式(I):
    (式中、Aは置換基を有するまたは有しないテトラゾラトであり、Bは有機または無機のアニオンであり、mおよびnは白金錯体部の電荷数および前記Bの電荷数に対応して決まる整数である。);
    によって表される白金錯体化合物。
  2. 前記白金錯体部は、前記Aを構成するテトラゾール環の2位および3位のNが二つの白金イオンにそれぞれ配位したN2,N3−架橋構造を有する、請求項1に記載の白金錯体化合物。
  3. 前記Aは置換基を有しないテトラゾラトである、請求項2に記載の白金錯体化合物。
  4. 前記Aは置換基を有するテトラゾラトであり、該置換基は、炭素数1〜6の炭化水素基、−CHCOO-および−CHCOORx(ここで、Rxは炭素数1〜4のアルキル基である。)からなる群から選択されるいずれかである、請求項2に記載の白金錯体化合物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の白金錯体化合物を有効成分として含む、抗癌剤。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の白金錯体化合物を製造する方法であって、
    次式(II):
    (式中、Bは有機または無機のアニオンであり、nは前記Bの電荷数に対応して決まる整数である。);
    で表される化合物と、置換基を有するまたは有しない1H−テトラゾールとを、1:1〜1:1.2のモル比で反応させて、N1,N2−架橋白金錯体化合物とN2,N3−架橋白金錯体化合物との混合物を得る工程と、
    該混合物に含まれるN1,N2−架橋白金錯体化合物およびN2,N3−架橋白金錯体化合物のいずれか一方から他方を分離することにより前記白金錯体化合物の少なくともいずれかを精製する工程と、
    を包含する、白金錯体化合物製造方法。
  7. 前記白金錯体化合物を精製する工程は、移動相として過塩素酸塩溶液を用いた逆相クロマトグラフィにより行う、請求項6に記載の方法。
  8. 前記過塩素酸が過塩素酸リチウムである、請求項7に記載の方法。
JP2009550001A 2008-01-16 2009-01-07 白金錯体化合物およびその利用 Active JP5327751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009550001A JP5327751B2 (ja) 2008-01-16 2009-01-07 白金錯体化合物およびその利用

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008007357 2008-01-16
JP2008007357 2008-01-16
JP2009550001A JP5327751B2 (ja) 2008-01-16 2009-01-07 白金錯体化合物およびその利用
PCT/JP2009/050084 WO2009090903A1 (ja) 2008-01-16 2009-01-07 白金錯体化合物およびその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009090903A1 JPWO2009090903A1 (ja) 2011-05-26
JP5327751B2 true JP5327751B2 (ja) 2013-10-30

Family

ID=40885294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009550001A Active JP5327751B2 (ja) 2008-01-16 2009-01-07 白金錯体化合物およびその利用

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8283473B2 (ja)
EP (1) EP2243773B1 (ja)
JP (1) JP5327751B2 (ja)
KR (1) KR101566568B1 (ja)
CN (1) CN101918379B (ja)
CA (1) CA2712408C (ja)
EA (1) EA017521B1 (ja)
WO (1) WO2009090903A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104152953A (zh) * 2014-08-29 2014-11-19 昆明贵金属研究所 磷酸槽电镀铂用的主盐及其合成方法
CN111718376B (zh) * 2019-03-19 2023-11-14 海南长安国际制药有限公司 具有式(j)结构的铂类化合物、制备及其应用
CN111317826B (zh) * 2020-03-19 2022-02-11 上海交通大学 基于金属离子配位自组装构建核酸复合纳米药物及其制备方法和应用

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1271089B (it) 1994-11-24 1997-05-26 Boehringer Mannheim Italia Platino complessi cationici trinucleari ad attivita' antitumorale
WO2008070136A1 (en) 2006-12-06 2008-06-12 University Of South Florida Compositions including triciribine and one or more platinum compounds and methods of use thereof

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013029381; Seiji Komeda et al.: Inorganic Chemistry Vol.39, No.19, 2000, p.4230-4236 *
JPN6013029383; Ganna V. Kalayda et al.: European Journal of Inorganic Chemistry No.24, 2003, p.4347-4355 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2243773A4 (en) 2012-03-28
CN101918379B (zh) 2013-12-11
US8283473B2 (en) 2012-10-09
EP2243773B1 (en) 2013-08-14
KR101566568B1 (ko) 2015-11-05
WO2009090903A1 (ja) 2009-07-23
EA017521B1 (ru) 2013-01-30
EA201070846A1 (ru) 2011-02-28
CA2712408A1 (en) 2009-07-23
JPWO2009090903A1 (ja) 2011-05-26
US20110046386A1 (en) 2011-02-24
CN101918379A (zh) 2010-12-15
CA2712408C (en) 2015-06-16
KR20100107015A (ko) 2010-10-04
EP2243773A1 (en) 2010-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sundquist et al. Synthesis, characterization, and biological activity of cis-diammineplatinum (II) complexes of the DNA intercalators 9-aminoacridine and chloroquine
EP0219936B1 (en) Novel platinum complexes
Sacht et al. Synthesis and characterisation of mixed-ligand platinum (II)–sulfoxide complexes,[PtCl (DMSO)(L)], for potential use as chemotherapeutic agents (HL= N, N-dialkyl-N′-(3-R-benzoyl) thiourea)
CN111171080A (zh) 细胞及活体内自催化合成的高效低毒抗癌化合物及其合成方法
Sacht et al. Chiral and achiral platinum (II) complexes for potential use as chemotherapeutic agents: crystal and molecular structures of cis-[Pt (L 1) 2] and [Pt (L 1) Cl (MPSO)][HL 1= N, N-diethyl-N′-benzoylthiourea]
JP5327751B2 (ja) 白金錯体化合物およびその利用
Pollak et al. Synthesis and structures of 9-oxabispidine analogues of cisplatin, carboplatin, and oxaliplatin
Williams et al. Reaction of platinum (II) diamine and triamine complexes with selenomethionine
WO2012155559A1 (zh) 有机杂化四核铂配合物及其制备方法和在制备抗肿瘤药物中的应用
CN110128482B (zh) 一种具有肿瘤靶向的新型Pt(IV)配合物的制备方法及其应用
Mazumder et al. Antineoplastic and antibacterial activity of some mononuclear Ru (II) complexes
CA2259478C (en) New salts of anionic complexes of ru(iii), as antimetastatic and antineoplastic agents
HU193339B (en) Process for producing amino-anthracene-dion-platinum-complexes
WO2004099224A1 (de) Carboplatin-artige platin (ii)- komplexe
Tella et al. Synthesis and biological studies of Co (II) and Cd (II) 5-(3, 4, 5-trimethoxybenzyl) pyrimidine-2, 4-diamine (Trimethoprim) complexes
Goudarzi et al. In vitro cytotoxicity and antibacterial activity of [Pd (AMTTO)(PPh 3) 2]: a novel promising palladium (ii) complex
US6001872A (en) Water soluble transplatinum complexes with anti-cancer activity and method of using same
JPS61249993A (ja) 新規有機白金錯体及びその製法
Bai et al. A One-Dimensional Coordination Polymer Containing a Hybrid Pyridine Cyclic [Ag and 4 Thioether] Clusters Supported Functionalized by 1, 2, 3-Triazole
KR20230154130A (ko) 거대 고리 리간드를 이용한 착화합물의 전이금속 함량을 인위적으로 조정하는 기술의 발명
JP2021088511A (ja) 抗がん剤
KR910009822B1 (ko) 백금 착화합물의 제조방법
KR20120101798A (ko) 신규한 6핵 아렌-루테늄 나노 프리즘 케이지 화합물, 이의 제조방법 및 이를 유효성분으로 함유하는 암의 예방 및 치료용 약학적 조성물
JPS6344591A (ja) 白金グリ−ン錯体の製造法
JPS6176497A (ja) 白金錯体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111004

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130716

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5327751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150