JP5326709B2 - 低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその製造方法に関するものである。
近年、自動車の燃費向上を目的として各種部材の軽量化を図るために、鉄合金等の鋼板の高強度化やAl合金等の軽金属の適用が進められている。しかし、鋼等の重金属と比較した場合、Al合金等の軽金属は比強度が高いという利点があるものの著しく高価であるという欠点があるため、その適用は特殊な用途に限られている。従って、各種部材の軽量化をより安価でかつ広い範囲推進するためには、鋼板の高強度化が必要とされる。
鋼板の高強度化は、一般的に成形性(加工性)等の材料特性の劣化を伴うため、材料特性を劣化させずに如何に高強度化を図るかが高強度鋼板の開発において重要となる。内板部材、構造部材、足廻り部材等の自動車部材として用いられる鋼板は、伸びフランジ加工性、バーリング加工性、延性、疲労耐久性及び耐食性等が求められ、これら材料特性と高強度性とを如何に高次元でバランス良く発揮させるかが重要である。
特に車体重量の約20%を占める構造部材や足廻り部材等の自動車部材に用いられる鋼板は、せん断や打ち抜き加工によりブランキングや穴開けを行った後、伸びフランジ加工やバーリング加工を主体としたプレス成形が施されるために非常に厳しい穴拡げ性(λ値)が求められる。
また、同時にこのような部材は、プレス加工後にアーク溶接、スポット溶接等により組み付けられ、モジュール化されるために組み付け時に高い寸法精度を求められる。従って、加工後にスプリング・バックや壁そりが起こりにくい、すなわち、加工前には降伏強度が低い(降伏比YRが低い)鋼板が求められる。
そこで、高強度でありながら、優れた穴拡げ性を示すばかりでなく、降伏強度も低い鋼板の需要が高まっている。
高強度と穴拡げ性を両立するために鋼組織をフェライト単相の一様組織として穴拡げ性を向上させ、さらにそのフェライトをTiとMoの複合析出物で析出強化して高強度を実現する技術が開示されている。(例えば、特許文献1、2参照。)
しかしながら、特許文献1、2に開示される技術を適用して製造される鋼板は、析出強化を過度に発現させており、その機構上どうしても降伏強度が上昇してしまう特性を持っているため、降伏比を下げることは難しい。
一方、加工性に優れた高強度熱延鋼板として、特に、低降伏比でかつ延性の優れた高強度鋼板を、フェライトとマルテンサイトを主体とするミクロ組織で実現する発明が開示されている。(例えば、特許文献3、4参照。)
しかしながら、フェライトとマルテンサイトを主体とするミクロ組織は降伏強度を低下させる効果は大きいものの不均質組織であるため著しく穴拡げ性が低いという欠点がある。
さらに、Ti,Nb,Vという析出強化元素を含んでいてもミクロ組織を微小フェライトと粒界に微細なマルテンサイト等の低温変態相を生成することで析出強化型でありながら低降伏比と穴拡げ性を両立する技術が開示されている。(例えば、特許文献5参照。)
しかしながら、当該鋼板は、冷間圧延後に施される急速加熱と二相域焼鈍により得られるものであり、本発明の如く熱間圧延ままでその特性が得られるものではない。
特開2002−322540号公報 特開2002−322541号公報 特開昭58−6937号公報 特開昭60−121225号公報 特開2002−363685号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、540MPa級以上の高強度でありながら強度−穴拡げバランスで75000MPa×%以上の優れた穴拡げ性及び加工後の優れた寸法精度を得るための降伏比YRで80%以下の低降伏強度が要求される部材への適用が可能である低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその鋼板を安価に安定して製造できる製造方法を提供することを目的とするものである。
上述の如き問題点を解決するために、本発明者らは、以下に示す低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板を発明した。即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.02〜0.06%、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.1〜2%、
P:0.1%以下、
S:0.03%以下、
Al:0.001〜1%、
N:0.01%以下、
Nb:0.005%以下、
Ti:0.25%以下、
且つ
Ti含有量を[Ti]、N含有量を[N]としたとき、
Ti*=[Ti]−(48/14)×[N]≧0.01、
C含有量を[C]としたとき、
[C]−(12/48)×[Ti*]≦0.025、
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、上記鋼板中の抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であり、ミクロ組織がフェライト単相もしくはフェライト−ベイナイト組織であり、初析フェライトの体積分率が6割以上で、平均α粒径が2.5μm以上5μm以下であることを特徴とする低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
(2)さらに質量%で、
B:0.0002〜0.002%、
を含有することを特徴とする前記(1)に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
(3)さらに質量%で、
Cu:0.2〜1.2%、
Ni:0.1〜0.6%、
Mo:0.05〜1%、
V:0.02〜0.2%、
Cr:0.01〜1%、
のいずれか一種又は二種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
(4)さらに質量%で、
Ca:0.0005〜0.005%、
REM:0.0005〜0.02%、
のいずれか一種又は二種を含有することを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
(5)亜鉛めっきが施されていることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
(6) 上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の成分を有する鋼片を熱間圧延する際に粗圧延を1100℃以下で終了し、その後の仕上げ圧延を400mpm以上の圧延速度で合計圧下率が85%以上となるように1080℃以下で開始し、Ar変態点温度以上920℃以下の温度域で終了し、冷却開始から700℃までの温度域を20℃/sec未満の冷却速度で冷却し、巻き取り、鋼板中の抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であり、ミクロ組織がフェライト単相もしくはフェライト−ベイナイト組織であり、初析フェライトの体積分率が6割以上で、平均α粒径が2.5μm以上5μm以下とすることを特徴とする低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
(7)上記巻き取り後に得られた鋼板を酸洗し、その後に亜鉛めっき浴中に浸積させて鋼板表面を亜鉛めっきすることを特徴とする前記(6)に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
(8)上記亜鉛めっき後に得られた鋼板を、合金化処理することを特徴とする前記(7)に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
(9)上記巻き取り温度が150℃以下であることを特徴とする前記(6)に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明は低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板及びその製造方法に関するものであり、これらの鋼板を用いることにより厳しい穴拡げ性及び寸法精度が要求される部材への適用が容易である540MPa級以上の高強度鋼板を安価に安定して製造できるため、本発明は工業的価値が高い発明であると言える。
総含有Ti量に対するInsol.Tiの比と降伏比(YR)と穴拡げ値(λ)の関係を表す図である。 総含有Ti量に対するInsol.Tiの比と強度(TS/MPa)の関係を表す図である。 Ti*(固溶Ti)とC*(固溶C)の関係において強度−穴拡げバランスを示す図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態として、低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板(以下、単に熱延鋼板という。)について、詳細に説明する。
鋼板の穴拡げ性を左右するものとしてセメンタイト等の鉄系炭化物の量、サイズ、および硬質第二相の存在が挙げられる。
マルテンサイト等の硬質第二相が存在するDP鋼の場合、低降伏比はそのミクロ組織ゆえに優れるが、穴拡げ加工時に軟質なフェライトと硬質なマルテンサイトの界面にボイドが発生し、このボイドを連結するように破断が進行するため、DP鋼のように硬質第二相が存在するミクロ組織は穴拡げ性が低位となる。
粗大なセメンタイトはブランキングや打抜き加工といったせん断加工がなされる場合、その鋼板の破断面に、後のバーリング加工や伸びフランジ加工での割れを助長するマイクロクラックの起点となる。従って、このマイクロクラックの発生を回避するためセメンタイトの析出を抑制する手段として、C添加量の低減や微細分散析出のためのベイナイト組織の活用が指向されてきた。しかしながら、このようなミクロ組織を得るためには、製造時に巻取り温度を遷移沸騰領域の400℃前後に制御しなければならないので温度的中率が低く材質バラツキ、歩留の点で問題があった。
一方、上記問題を解決する方法としてTi、Nb、Mo等の炭窒化析出物形成元素を添加してCを固定し、セメンタイトの生成を抑制すると同時にこれら析出物の析出強化を有効活用して穴拡げ性と強度を両立する技術が開発された。この場合巻取り温度はこれら添加元素の析出を促進するために600℃前後となり、上記の遷移沸騰領域を回避でき材質バラツキ、歩留の点でも満足する技術であった。
しかしながら、上記技術では析出強化を有効活用するがゆえに必然的に降伏強度が高く(降伏比YRが高く)なってしまい、部品への加工後のスプリングバックや壁そりが問題となっていた。
本発明者らは、熱延鋼板の穴拡げ性および降伏強度について鋭意研究を重ねた結果、穴拡げ性を向上させるためには、粗大なセメンタイト等の鉄系炭化物の生成を抑制するために低C化とともにTiを添加してTi炭化析出物でCを固定することは従来技術と同様であるが、このTiの析出物のサイズ、分布状態を、降伏強度を上昇させないように制御することで低降伏比と穴拡げ性を両立できることを新たに見出した。
図1は、総含有Ti量に対するInsol.Tiの比と降伏比(YR)と穴拡げ値(λ)の関係を表す図で、図2は、総含有Ti量に対するInsol.Tiの比と強度(TS/MPa)の関係を表す図である。
析出強化に活用され、同時に降伏強度を上昇させてしまうTiの析出はフェライト相において析出強化ノーズとなる温度域である時間保持した場合に起こる。これは熱間圧延工程では、仕上げ圧延後の冷却工程かもしくは巻取り後の冷却で進行する。一方、フェライトに変態する前のオーステナイトでTiを析出させるか、もしくはフェライト域でも上記析出強化ノーズより高温で保持すると過時効となり、母相に非整合に粗大に析出するために析出強化能は小さい替わりに降伏強度を上昇させない。これは、熱間圧延工程では、粗圧延後の粗バー搬送時、仕上げ圧延中もしくは仕上げ圧延後の冷却工程での高温での保持、高温での巻取り後の冷却である。このオーステナイト相で析出するTi析出物もしくは高温のフェライト域で析出するTi析出物は製品板の抽出残渣法で測定でき、この測定値であるInsol.Ti量が総含有Ti量(Ti添加量)の3割以上となると穴拡げ値(λ)を劣化させずに降伏強度(YR)を下げることができることを見出した。ただし、Insol.Tiが7割超となると母相に非整合に析出したTiの析出物の分布とサイズが疎に粗大化しすぎる状態となり、析出強化能(TS/MPa)を全く発揮しなくなるばかりか、その粗大な析出物が上記セメンタイト等と同様にマイクロクラックの起点となり、穴拡げ性を劣化させることも見出した(図1、2参照)。
さらに、Insol.Ti量がこの範囲であれば、フェライト相に整合析出するTiの析出強化には劣るもののオーステナイトで母相に非整合析出したTi析出物であっても強度向上に寄与していることも判明した。また、Insol.Ti量を上記の数値にするためには成分範囲を限定することはもちろんであるが、熱間圧延条件を特定の条件に設定しなければならないことも明らかにした。
ここで抽出残渣法とは、上記のように母相に非整合に粗大に析出するTiの析出物を定量測定する方法であり、鋼板より10g程度の切り粉を採取し、そこから1.000gのサンプルをヨウ素(10g)のメタノール(100ml)溶液で溶かした後に0.1μmメッシュのろ紙でろ過し、この残差を灰化、ピロ硫酸カリウム(2g)を加えてバーナー溶融、酒石酸(2%)での抽出を行い、さらにイットリウム溶液(5ml)で希釈した後にICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)分析装置で測定してInsol.Tiの値を求めた。
続いて、本発明における化学成分の限定理由について説明する。
C:0.02〜0.06%
Cは、セメンタイトとして粗大に析出し穴拡げ性を劣化させるので少ないほど好ましいが、0.02%未満では精錬コストの増加を招く。一方、0.06%超では粗大なセメンタイトの析出を抑制するために多量のTiを添加しなければならないため合金コストの増加を招く。このため、Cの含有量は、0.02%以上0.06%以下の範囲に限定した。また、延性の向上を考慮すると、Cの含有量は、0.045%以下であることが望ましい。
Si:0.01〜2%、
Siは固溶強化元素である。ただし、2%超添加してもその効果は飽和する。また、Siはウロコ、紡錘スケールといったスケール系欠陥の発生を抑制する効果がある元素である。その効果を発揮するのは0.01%以上添加した場合である。このため、Si含有量は、0.01以上2%以下の範囲に限定した。
なお、Siは、その含有量の増加に伴い、材料組織中におけるセメンタイト等の鉄系炭化物の析出を抑制し、穴広げ性向上に寄与する効果があるが、そのためには0.1%以上の添加が望ましい。さらに、Siはタイガーストライプ状のSiスケールを鋼板表面に発生させ鋼板表面の美観を著しく損ずる場合があるため、その抑制の観点からは0.9%以下が望ましい。
Mn:0.1〜2%
Mnは、固溶強化及び焼入れ強化により強度向上に寄与する元素である。Mn含有量は、0.1%未満ではこの効果を得ることが出来ず、2%超添加してもこの効果が飽和する。このため、Mn含有量は、0.1%以上2%以下の範囲に限定した。また、Sによる熱間割れの発生を抑制するためにMn以外の元素が十分に添加されない場合には、Mn含有量([Mn])とS含有量([S])が質量%で[Mn]/[S]≧20となるMn量を添加することが望ましい。さらに、Mnは、その含有量の増加に伴いオーステナイト域温度を低温側に拡大させる元素である。オーステナイト相でのTiの析出を促進するためには、Mn含有量が、0.5%未満では発揮しにくいので、Mnは、0.5%以上添加することが望ましい。
P:0.1%以下
Pは、鋼の精錬時に不可避的に混入する不純物であり、粒界に偏析し、含有量の増加に伴い靭性を低下させる元素である。このため、P含有量は、低いほど望ましく、0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼすので、0.1%以下とする。特に、穴拡げ性や溶接性を考慮すると、P含有量は、0.02%以下であることが望ましい。
S:0.03%以下
Sは、鋼の精錬時に不可避的に混入する不純物であり、含有量が多すぎると、熱間圧延時の割れを引き起こすばかりでなく、穴拡げ性を劣化させるA系介在物を生成させる元素である。このためSの含有量は、極力低減させるべきであるが、0.03%以下ならば許容できる範囲であるので、0.03%以下とする。ただし、より良好な穴拡げ性を必要とする場合のS含有量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.003%以下が望ましい。
Al:0.001〜1%
Alの含有量は、鋼板の製鋼工程における溶鋼脱酸のために0.001%以上添加する必要があるが、コストの上昇を招くため、その上限を1%とする。また、Alをあまり多量に添加すると、非金属介在物を増大させ延性及び靭性を劣化させる場合があるので0.06%以下であることが望ましい。
N:0.01%以下
Nは、鋼の精錬時に不可避的に混入する不純物であり、Ti等と結合して窒化物を形成する元素である。Nの含有量が0.01%超の場合、この窒化物は、比較的高温で析出するため粗大化しやすく、粗大化した窒化物がバーリング割れの起点となる恐れがある。また、この窒化物は、後述するようにTiを有効活用するためには少ない方が好ましい。従ってNの含有量は、その上限を0.01%とする。なお、時効劣化が問題となる部材に対して本発明を適用する場合、N含有量は、0.006%超添加すると時効劣化が激しくなるので0.006%以下であることが望ましい。さらに、製造後二週間以上室温で放置した後、加工に供することを前提とする部材に対して本発明を適用する場合、N含有量は、時効劣化対策の観点から0.005%以下添加することが望ましい。また、夏季の高温環境下での放置、又は赤道を超えるような地域への船舶等による輸出を伴う環境下における使用を考慮すると、N含有量は、0.003%未満であることが望ましい。
Nb:0.005%以下
Nbは、Nbは、細粒化効果がある。しかし、細粒化はホールペッチ則でも明らかなように降伏強度を上昇させるので、本発明においては好ましくない。従って、Nb含有量は、低いほど望ましいが、0.005%以下ならば許容できる範囲である。
Ti:0.25%以下
Tiは、本発明において最も重要な元素の一つである。Tiはオーステナイト領域において比較的高温で熱的に安定な窒化物を形成する。従って、固溶CをTiの炭化物として固定するためには、Nと高温で熱的に安定な窒化物を形成した後にも一定量のTiを熱間圧延中にTi含有量を[Ti]、N含有量を[N]としたとき、固溶Ti(Ti*)として確保する必要がある。その下限値は、化学量論を考慮すると、原子量が48、Nの原子量が14であることから、
Ti*=[Ti]−(48/14)×[N]≧0.01、
である。
一方、上記の関係を満たした上で、C含有量を[C]としたとき、固溶C(C*)が、
C*=[C]−(12/48)×[Ti*]≦0.025、
を満たすようなC添加量に抑えればオーステナイト化温度域でCがTiと結合して炭化物を生成し、穴拡げ値を劣化させない程度までセメンタイトの生成を抑制することができる。図3に上記Ti*(固溶Ti)とC*(固溶C)の関係において強度−穴拡げバランスが良好である本発明範囲を示す。
このためTi含有量([Ti])と、C含有量([C])とは、上記数式を満たす範囲で添加する必要がある。
一方、0.25%超添加してもこれらの効果が飽和する。このため、Tiの含有量は0.25%以下に限定した。
以上が、本発明の基本成分の限定理由であるが、本発明においては、必要に応じて、B、Cu、Ni、Mo、V、Cr、Ca、REMを含有していてもよい。以下に、各元素の成分限定理由について述べる。
Bは、固溶C量の減少が原因と考えられるPによる粒界脆化を抑制することによって疲労限を上昇させる効果があるので必要に応じ添加する。ただし、0.0002%未満ではその効果を得るために不十分であり、0.002%超添加するとスラブ割れが起こる。従って、B含有量は、0.0002%以上0.002%以下であることが望ましい。また、その含有量に伴いオーステナイト域温度を低温側に拡大させてオーステナイト相でのTiの析出を促進する元素であるので、0.0005%以上添加することが望ましい。
Cu、Ni、Mo、V、Crは、固溶強化により熱延鋼板の強度を向上させる効果がある元素であり、これらのいずれか一種又は二種以上を添加してもよい。
しかし、Cu含有量が0.2%未満、Ni含有量が0.1%未満、Mo含有量が0.05%未満、V含有量が0.02%未満、Cr含有量が0.01%未満では上記効果を十分に得ることができない。また、Cu含有量が1.2%超、Ni含有量が0.6%超、Mo含有量が1%超、V含有量が0.2%超、Cr含有量が1%を超えて添加しても上記効果は飽和して経済性が低下する。従って、必要に応じて、Cu、Ni、Mo、V、Crを含有させる場合、Cu含有量は0.2%以上1.2%以下、Ni含有量は0.1%以上0.6%以下、Mo含有量は0.05%以上1%以下、V含有量は0.02%以上0.2%以下、Cr含有量は0.01%以上1%以下であることが望ましい。
Ca及びREM(希土類元素)は、破壊の起点となり、加工性を劣化させる原因となる非金属介在物の形態を制御し、加工性を向上させる元素である。Ca及びREMの含有量は、0.0005%未満添加しても上記効果を発揮しない。また、Caの含有量を0.005%超、REMの含有量を0.02%超添加しても上記効果が飽和して経済性が低下する。従ってCa含有量は0.0005%以上0.005%以下、REM含有量は、0.0005以上0.02%以下の量を添加することが望ましい。
なお、これらを主成分とする熱延鋼板には、Zr、Sn、Co、Zn、W、Mgを合計で1%以下含有しても構わない。しかしながらSnは、熱間圧延時に疵が発生する恐れがあるので0.05%以下が望ましい。
次に本発明を適用した熱延鋼板におけるミクロ組織等の冶金的因子について詳細に説明する。
熱延鋼板の穴拡げ性および低降伏強度の何れも満足するためには、鋼板中の抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であることが必要である。(図1、2参照)
ここで言うInsol.Ti量とは粗圧延後の粗バー搬送時、仕上げ圧延中もしくは仕上げ圧延後の冷却中のγ→α変態前のオーステナイト相で析出した0.1μm以上の粗大なTi炭窒化物の量であり、穴拡げ性にとって有害なセメンタイトの析出を抑制する一方でフェライト相に対して非整合で粗大な析出物であるため降伏強度の上昇には寄与しないが引張強度の向上に寄与する。
このInsol.Ti量が総含有Ti量の3割未満であるとその残部は製品板において固溶もしくはフェライト相で整合に微細に析出したTiと言うことになるが、前者であればTiC等の析出物として固定されないCの量が増加し、セメンタイト等の鉄系炭化物の生成量が増加し、穴拡げ性を劣化させる。
また、後者であればTiの析出強化により降伏強度が上昇し、部品への加工後のスプリングバックや壁そりが増加する。さらに望ましくは4割以上である。
一方、Insol.Ti量が総含有Ti量の7割超であると粗大なTi炭窒化物のサイズが粗大になりすぎ、塑性変形時のボイドの起点となり延性を劣化させる恐れがある。さらに望ましくは6割以下である。
本発明において発明の効果を得るためにはミクロ組織にマルテンサイトに代表される硬質第二相を含んではいけないが、それ以外のミクロ組織を限定する必要はない。
ただし、本発明のミクロ組織は実質的にフェライト単相もしくはフェライト−ベイナイト組織である。特に540MPa超の強度グレードの高強度を実現するためには、ベイナイトの組織分率を後述する初析フェライトの望ましい分率を考慮しながら必要に応じて高める必要がある。
ここでいうフェライトとは、ポリゴナルフェライト(PF)だけではなく、比較的低温で変態したベイニティックフェライト(α°)、グラニュラーフェライト(α)およびクワジポリゴナルフェライト(α)を含む。これらのミクロ組織は、日本鉄鋼協会基礎研究会ベイナイト調査研究部会/編;低炭素鋼のベイナイト組織と変態挙動に関する最近の研究−ベイナイト調査研究部会最終報告書−(1994年 日本鉄鋼協会)に記載されているように拡散的機構により生成するポリゴナルフェライトやパーライトを含むミクロ組織と無拡散でせん断的機構により生成するマルテンサイトとの中間段階にある変態組織と定義されるミクロ組織である。
より優れた穴拡げ性を得るためには、仕上げ圧延終了後の冷却工程にて、比較的高温で変態する初析フェライトの体積分率が6割以上であることが望ましい。また、より優れた低降伏比を得るためには、平均α粒径が2.5μm以上5μm以下であることが望ましい。
ここで初析フェライトとは、高温で生成するフェライトで比較的転位密度が低く、降伏強度の上昇を抑制する効果があるばかりでなく、延性にも優れる。その初析フェライトの体積分率とは鋼板板幅の1/4W若しくは3/4W位置より切出した試料からサンプルを切り出し、L断面をコロイダルシリカ研磨剤で30〜60分研磨し、倍率400倍の分解能で、1/4t位置160×256μmエリア、測定ステップ0.5μmの測定条件で実施したEBSP測定より得られる。
EBSP−OIMTM(Electron Back Scatter Diffraction Pattern−Orientation Image Microscopy)法とは、走査型電子顕微鏡(Scaninng Electron Microscope)内で高傾斜した試料に電子線を照射し、後方散乱して形成された菊池パターンを高感度カメラで撮影し、コンピュータ画像処理する事により照射点の結晶方位を短時間で測定する装置及びソフトウエアで構成されている。
EBSP法では、バルク試料表面の微細構造並びに結晶方位の定量的解析ができ、分析エリアは、SEMの分解能にもよるが、SEMで観察できる領域内であれば最小20nmの分解能まで分析できる。EBSP−OIMTM法による解析は、数十分〜数時間かけて、分析したい領域を等間隔のグリッド状に数千〜数万点マッピングして行う。多結晶材料では、試料内の結晶方位分布や結晶粒の大きさを見ることができる。本発明おいては、このEBSP−OIMTM法により得られた画像データをKAM法により初析フェライトと定義した。
Kernel Average Misorientation(KAM)法は測定データうちのあるピクセルの隣り合う6個のピクセル間の方位差の平均し、その値をその中心のピクセルの値とする計算を各ピクセルに行う。粒界を超えないようにこの計算を実施することで粒内の方位変化を表現するマップを作成できる。すなわち、このマップは粒内の局所的な方位変化に基づくひずみの分布を表している。なお、今回の解析条件は第三近似5°である。
上述したように高温で生成した初析フェライトは拡散変態よっており、変態ひずみが小さい。その特性を生かし、KAM法でその6個のピクセル間の方位差の平均が1°以下のものを初析フェライトとし、その面積分率を初析フェライトの体積分率と定義した。
また、平均α粒径は、上記、EBSP法により測定された各ピクセルの方位差を15°であるものを粒としてその境を粒界としてマッピングした画像より、初析フェライトのみでなく、全てのミクロ組織の個数平均で得られた粒径と定義される。
この平均α粒径が2.5μm未満であるとホールペッチ則で明らかなように降伏強度が上昇してしまう。一方、5μm超ではリジング等の肌荒れの懸念が生じる。
次に、本発明を適用した熱延鋼板の製造方法の限定理由について、以下に詳細に述べる。
本発明において、熱間圧延工程に先行して行う、上述した成分を有する鋼片の製造方法は特に限定するものではない。すなわち、上述した成分を有する鋼片の製造方法としては、高炉、転炉や電炉等による溶製工程に引き続き、各種の2次精練工程で目的の成分含有量になるように成分調整を行い、次いで通常の連続鋳造、又はインゴット法による鋳造の他、薄スラブ鋳造などの方法で鋳造工程を行うようにしてもよい。なお、原料にはスクラップを使用しても構わない。また、連続鋳造によってスラブを得た場合には、高温鋳片のまま熱間圧延機に直送してもよいし、室温まで冷却後に加熱炉にて再加熱した後に熱間圧延してもよい。
上述した製造方法により得られたスラブは、熱間圧延工程前にスラブ加熱工程においてスラブ内に顕著な温度分布ない程度に加熱する。本発明においてその温度は特に限定しないが、1250℃超であるとスケールオフ量が増大し、歩留が低下するので1250℃以下が妥当である。
後の冷却、巻取り工程において析出強化を抑制し、降伏強度の上昇を抑え、バーリング性にとって有害であるセメンタイトの生成を抑制するためには、スラブ製造時に晶出もしくは析出したTiの炭窒化物を加熱時に再溶解させないことがよいので加熱温度はAc3変態点温度以上ならば低温ほど望ましいが、低温ではスラブ内部まで十分に加熱するのに在炉時間を長くする必要が生じ、スケジュール上操業効率を著しく損なうため、加熱温度は1000℃以上が望ましい。
また、Siを添加し、且つ製品表面の美観が必要とされる場合、スラブ加熱工程における加熱温度は、1170℃超であると、ファイアライトFeSiOとウスタイトFeOとの共晶点を超え液相の酸化物が生成し、Siスケールを発生させ表面性状を悪化させるので、加熱温度は1170℃以下とする。
スラブ加熱工程における加熱時間については特に定めないが、スラブ断面での温度の均一性から、加熱温度にもよるが、例えば1150℃以上の温度に達してから30分以上保持することが望ましい。ただし、鋳造後の鋳片を高温のまま直送して圧延する場合はこの限りではない。
スラブ加熱工程の後は、加熱炉より抽出したスラブに対して粗圧延を行う粗圧延工程を開始し粗バーを得る。この粗圧延工程は、以下に説明する理由により1100℃以下の温度で行った後終了する。即ち、1100℃超では、後の仕上げ工程までの搬送中や仕上げ圧延中に析出させるべきTiの炭窒化物の析出核である転位や変形帯が十分に導入されない恐れがある。一方、粗圧延の終了温度は特に定めないが、1000℃未満では、粗圧延での熱間変形抵抗が増して、粗圧延の操業に障害をきたす恐れがある。
粗圧延の終了を1100℃以下とするために粗圧延開始や、粗圧延の中途パスでの待ち時間が生じて著しく生産性を阻害する場合や、二次スケールが成長しすぎて、後に実施するデスケーリングや仕上げ圧延でスケールを除去することが困難となる場合は、粗圧延開始前もしくは粗圧延の各パス間に粗バー冷却を施してもよい。
なお、粗圧延工程終了後に得られた粗バーは、粗圧延工程と仕上げ圧延工程との間で各粗バーを接合し、連続的に仕上げ圧延工程を行うようなエンドレス圧延を行うようにしてもよい。その際に粗バーを一旦コイル状に巻き、必要に応じて保温機能を有するカバーに格納し、再度巻き戻してから接合を行ってもよい。
また、熱間圧延工程の際に、粗バーの圧延方向、板幅方向、板厚方向における温度のバラツキを小さく制御するように望む場合がある。この場合は、必要に応じて、粗圧延工程の粗圧延機と仕上げ圧延工程の仕上げ圧延機との間、又は仕上げ圧延工程中の各スタンド間において、粗バーの圧延方向、板幅方向、板厚方向における温度のバラツキを制御できる加熱装置で粗バーを加熱してもよい。加熱装置の方式としては、ガス加熱、通電加熱、誘導加熱等の様々な加熱手段が考えられるが、粗バーの圧延方向、板幅方向、板厚方向における温度のバラツキを小さく制御可能であれば、いかなる公知の手段を用いてもよい。なお、加熱装置の方式としては、工業的に温度の制御応答性が良い誘導加熱方式が好ましく、誘導加熱方式でも板幅方向でシフト可能な複数のトランスバース型誘導加熱装置を設置すれば、板幅に応じて板幅方向の温度分布を任意にコントロールできるのでより好ましい。さらに、加熱装置の方式としては、トランスバース型誘導加熱装置と共に板幅全体加熱に優れるソレノイド型誘導加熱装置との組み合わせにより構成される装置が最も好ましい。
これらの加熱装置を用いて温度制御する場合には、加熱装置による加熱量の制御が必要となる場合がある。この場合は、粗バー内部の温度は実測できないため、装入スラブ温度、スラブ在炉時間、加熱炉雰囲気温度、加熱炉抽出温度、さらにテーブルローラーの搬送時間等の予め測定された実績データを用いて、粗バーが加熱装置に到着時の圧延方向、板幅方向、板厚方向における温度分布を推定してこれらの加熱装置による加熱量を制御することが望ましい。
なお、誘導加熱装置による加熱量の制御は、例えば、以下のようにして制御する。誘導加熱装置(トランスバース型誘導加熱装置)の特性として、コイルに交流電流を通じると、その内側に磁場を生ずる。そして、この中に置かれている導電体には、電磁誘導作用により磁束と直角の円周方向にコイル電流と反対の向きの渦電流が起こり、そのジュール熱によって導電体は加熱される。渦電流は、コイル内側の表面に最も強く発生し、内側に向かって指数関数的に低減する(この現象を表皮効果という)。したがって、周波数が小さいほど電流浸透深さが大きくなり、厚み方向に均一な加熱パターンが得られ、逆に、周波数が大きいほど電流浸透深さが小さくなり、厚み方向に表層をピークとした過加熱の小さな加熱パターンが得られることが知られている。よって、トランスバース型誘導加熱装置によって、粗バーの圧延方向、板幅方向の加熱は従来と同様に行なうことができ、また、板厚方向の加熱は、トランスバース型誘導加熱装置の周波数変更によって浸透深さを可変化して板厚方向の加熱温度パターンを操作することでその温度分布の均一化を行なうことができる。なお、この場合は、周波数変更可変型の誘導加熱装置を用いることが好ましいが、コンデンサーの調整によって周波数変更を行ってもよい。また、誘導加熱装置による加熱量の制御は、周波数の異なるインダクターを複数配置して必要な厚み方向加熱パターンが得られるように夫々の加熱量の配分を変更してもよい。さらに、誘導加熱装置による加熱量の制御は、被加熱材とのエアーギャップを変更すると周波数が変動するため、エアーギャップを変更して所望の周波数及び加熱パターンを得るようにしてもよい。
また、必要に応じて赤スケールをはじめとするスケール起因の欠陥を除去するために、粗圧延工程と仕上げ圧延工程との間に、得られた粗バーに対して高圧水を用いたデスケーリングを行ってもよい。この場合は、粗バー表面での高圧水の衝突圧P(MPa)と流量L(リットル/cm)とが以下の条件を満たすことが望ましい。
P×L≧0.0025
ここで、Pは以下のように記述される。(「鉄と鋼」1991 vol.77 No.9 p1450参照)
P=5.64×P×V/H
ただし、
(MPa):液圧力
V(リットル/min):ノズル流液量
H(cm):鋼板表面とノズル間の距離
また、流量Lは以下のように記述される。
L=V/(W×v)
ただし、
V(リットル/min):ノズル流液量
W(cm):ノズル当たり噴射液が鋼板表面に当たっている幅
v(cm/min):通板速度
なお、衝突圧P×流量Lの上限は、本発明の効果を得るためには特に定める必要はないが、ノズル流液量を増加させるとノズルの摩耗が激しくなる等の不都合が生じるため、0.02以下とすることが望ましい。
また、仕上げ圧延後の鋼板表面の最大高さRyは、15μm(15μmRy,l2.5mm,ln12.5mm)以下であることが望ましい。これは、例えば金属材料疲労設計便覧、日本材料学会編、84ページに記載されている通り熱延又は酸洗ままの鋼板の疲労強度は、鋼板表面の最大高さRyと相関があることから明らかである。この表面粗度を得るためには、デスケーリングにおいて、鋼板表面での高圧水の衝突圧P×流量L≧0.003の条件を満たすことが望ましい。また、その後の仕上げ圧延は、デスケーリング後に再びスケールが生成してしまうのを防ぐために5秒以内に行うのが望ましい。
粗圧延工程が終了した後、仕上げ圧延工程を開始する。本発明において粗圧延工程終了から仕上げ圧延工程開始までの時間は特に定めないが、仕上げ圧延終了温度の下限値を確保でき、生産性を阻害しない範囲で長いほど望ましい。Tiの炭窒化物の析出をより進行させたい場合には30秒以上とすることが望ましい。
仕上げ圧延工程においては、仕上げ圧延開始温度が1080℃超であると、仕上げ圧延中に析出させるべきTiの炭窒化物の析出が十分に進行しない恐れがあるので仕上げ圧延開始温度が1080℃以下とする。また、仕上げ圧延前及びパス間で鋼板地鉄の表面スケールの間にウロコ、紡錘スケール欠陥の起点となるブリスターが発生するため、これらスケール欠陥が生成し易くなる恐れがあるので1050℃以下が望ましい。
仕上げ圧延開始温度の下限は後述する圧延終了温度がAr3変態点温度以上を確保できれば特に定める必要はないが、通常の仕上げ圧延工程では仕上げ圧延開始温度が950℃未満であると、圧延速度を上昇させる等のいかなる手法を用いても、圧延終了温度がAr3変態点温度以上に保てない恐れがあるので、仕上げ圧延開始温度の下限は950℃であることが望ましい。
また、仕上げ圧延工程においては、その合計圧下率が85%未満であるとひずみの導入による熱延鋼板内部の転位密度が不十分となり、仕上げ圧延中に析出させるべきTiの炭窒化物の析出が十分に進行しない恐れがあるので、合計圧下率を85%未満とした。また、最終パスの圧下率が3%未満であると通板形状が劣化し、ホットコイル形成時におけるコイルの巻き形状や、製品板厚精度に悪影響を及ぼす懸念がある。一方、最終パスの圧下率が15%超では、圧延ロール表面の微小な凹凸が、鋼板表面のスケールに埋め込まれ、スケール系欠陥になる恐れがある。従って、仕上げ圧延工程における最終パスの圧下率は、3%以上15%以下が望ましい。
さらに、仕上げ圧延終了温度がAr変態点温度未満の場合は、圧延前もしくは圧延中にフェライトが析出する。析出したフェライトは、圧延されて加工組織となったまま圧延後においても残留するため、圧延後に得られた鋼板の延性が低下するとともに加工性が劣化する。さらにフェライト域での圧延はオーステナイト域よりも更にTiの炭窒化物の析出が進行し、Insol.TiがTi添加量の7割超となる。すると母相に非整合に析出したTiの析出物の分布とサイズが疎に粗大化しすぎる状態となり、析出強化能を全く発揮しなくなるばかりか、その粗大な析出物が上記セメンタイト等と同様にマイクロクラックの起点となり、穴拡げ性を劣化させる。
一方、仕上げ圧延終了温度が920℃超である場合は、析出させるべきTiの炭窒化物の析出が十分に進行しない恐れがあるばかりでなく、圧延終了後の冷却開始までにγ粒が成長粗大化し、延性を得るためのフェライトが析出可能な領域が減少してしまい、結果として延性が劣化する恐れがある。従って、仕上げ圧延工程における仕上げ圧延終了温度は、Ar変態点温度以上920℃以下の温度域とする。
本発明において圧延速度は、仕上げ最終スタンド側の圧延速度の実績であるが、その圧延速度が400mpm未満であると動的再結晶が起こり、析出核となる転位や変形帯が解消されてしまい仕上げ圧延中に析出させるべきTiの炭窒化物の析出が十分に進行しない恐れがあり、さらにγ粒が成長粗大化し、延性を得るためのフェライトの析出可能な領域が減少してしまい延性が劣化する恐れがある。
また、上限については特に限定しなくとも本発明の効果を奏するが、設備制約上1800mpm以下が現実的である。従って、仕上げ圧延工程において圧延速度の下限は、400mpm以上とする。圧延速度の上限は、1800mpm以下とすることが望ましい。
なお、Ar変態点温度とは、例えば以下の計算式により鋼成分との関係で簡易的に示される。すなわち、Siの含有量(%)を[Si]、Crの含有量(%)を[Cr]、Cuの含有量(%)を[Cu]、Moの含有量(%)を[Mo]、Niの含有量を[Ni]とすると、以下のように記述される。
Ar=910−310×[C]+25×[Si]−80×[Mneq]
ただしBが添加されていない場合、[Mneq]は下記数式(A)によって示される。
[Mneq]=[Mn]+[Cr]+[Cu]+[Mo]+[Ni]/2+10([Nb]−0.02)・・・・・(A)
または、Bが添加されている場合、[Mneq]は下記数式(B)によって示される。
[Mneq]=[Mn]+[Cr]+[Cu]+[Mo]+[Ni]/2+10([Nb]−0.02)+1・・・・・(B)
仕上げ圧延工程終了後は、仕上げ圧延終了温度から700℃までの温度領域を以下に示す理由により冷却速度20℃/sec未満で冷却する。即ち、仕上げ圧延工程終了後から700℃までのオーステナイト単相温度、オーステナイト−フェライト二相温度域での相界面もしくはフェライト単相域にて析出させるべき粗大なTiの炭窒化物の析出を促進させる。
この温度域はTiCのオーステナイトでの析出ノーズもしくは、フェライトでの析出強化ノーズを外れて過時効となる高温域にあたるので、この温度でのできるたけ長時間の保持が最も重要である。この温度域での冷却速度が20℃/sec以上であると、Tiの拡散距離が稼げず、粗大で降伏強度を上昇させないTiCの析出が十分促進されない。冷却速度の下限値は特に限定しないが、当該工程での冷却ゾーンを無注水として空冷としても、自動車用鋼板を対象とした板厚では5℃/sec未満とはならない。
上記温度域から、さらに冷却し巻き取る。本発明においてその際の冷却速度は特に定めないが、巻取り温度が650℃以上の場合は、実質的に当該工程での冷却ゾーンを無注水として空冷となる。550℃以下の場合は、その狙い温度に到達できる冷却速度で構わない。
巻取り温度はそれまでの工程で十分に粗大で降伏強度を上昇させないTiの析出物が析出していれば、上記冷却工程終了ままの温度で差し支えない。ただし、巻取り温度が550℃超650℃未満であると、この温度域がフェライト相でのTiCの析出強化ノーズに合致するので、それまでの工程で析出し切れなかった僅かな残留TiがTiCとして微細析出し、その影響により降伏強度が上昇してしまう恐れがある。一方、750℃超では巻取り後に密着性の高いスケール層が形成され、後の酸洗工程におけるスケール除去にラインスピードを低下させなければならない。従って、巻取り温度は550℃以下、もしくは650℃以上750℃以下が望ましい。ここで650℃以上であれば、フェライト相において析出したTiCが成長し、析出強化に寄与しないほど過時効となり粗大化して降伏強度を上昇させてしまうことはない。
さらに当該鋼板に60MPa以上のBH性を付与したい場合は巻取り温度を150℃未満とする。
なお、鋼板形状の矯正や可動転位導入により延性の向上を図ることを目的として、全工程終了後においては、圧下率0.1%以上2%以下のスキンパス圧延を施すことが望ましい。また、全工程終了後は、得られた熱延鋼板の表面に付着しているスケールの除去を目的として、必要に応じて得られた熱延鋼板に対して酸洗してもよい。更に、酸洗した後には、得られた熱延鋼板に対してインライン又はオフラインで圧下率10%以下のスキンパス又は圧下率40%程度までの冷間圧延を施しても構わない。
更に、本発明を適用した熱延鋼板は、鋳造後、熱間圧延後、冷却後の何れかの場合において、溶融めっきラインにて熱処理を施してもよく、更にこれらの熱延鋼板に対して別途表面処理を施すようにしてもよい。溶融めっきラインにてめっきを施すことにより、熱延鋼板の耐食性が向上する。
なお、酸洗後の熱延鋼板に亜鉛めっきを施す場合は、得られた鋼板を亜鉛めっき浴中に浸積し、必要に応じて合金化処理してもよい。合金化処理を施すことにより、熱延鋼板は、耐食性の向上に加えて、スポット溶接等の各種溶接に対する溶接性が向上する。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに説明する。
表1に示す化学成分を有するA〜Oの鋼は、転炉にて溶製して、連続鋳造後直送もしくは再加熱し、粗圧延に続く仕上げ圧延で2.30〜4.5mmの板厚に圧下し、ランナウトテーブルで冷却後に巻き取った熱延鋼板である。より詳細には、これらの熱延鋼板は、表2及び表3に示す製造条件に従って得られた熱延鋼板をいう。なお、表中の化学組成についての表示は、全て質量%である。また、表1における成分の残部は、Fe及び不可避的不純物をいい、更に表2、表3及び表4における下線は、本発明の範囲外であることをいう。
ここで、「成分」とは表1に示した各記号に対応した成分を有する鋼を、「Ar3変態点温度」とは数式(A)又は数式(B)にて算出される温度をいう。また、「加熱温度」とは加熱工程における加熱温度を、「保持時間」とは加熱工程における所定の加熱温度での保持時間を、「粗スタンド間冷却」とは粗圧延工程の粗圧延各パス間での冷却装置による冷却の有無を、「粗圧延終了温度」とは粗圧延工程において粗圧延を終了する温度を、「粗/仕上パス間時間」とは粗圧延工程終了から仕上げ圧延工程開始までの時間を、「粗バー加熱」とは粗圧延工程と仕上げ圧延工程との間に設置された加熱装置の適用の有無を、「デスケ圧」とは粗圧延工程と仕上げ圧延との間に設置された比較的高圧なデスケーリング装置によるデスケ圧力を、「仕上げ圧延開始温度」とは仕上げ圧延工程を開始する温度をいう。更に、「仕上合計圧下率」とは、仕上げ圧延工程における開始パスから最終パスまでの合計圧下率(粗バー厚から製品厚までの圧下率)を、「仕上げ圧延終了温度」とは、仕上げ圧延工程を終了する温度を、「仕上げ出側圧延速度」とは、仕上げ最終スタンド出側での通板速度を、「冷却開始までの時間」とは仕上げ圧延工程を終了した後、冷却工程において冷却を開始するまでの時間を、「冷却速度」とは、ランナウトテーブルにおける冷却工程の開始から700℃までの平均冷却速度を、「巻取り温度」とは、巻き取り工程においてコイラーにて巻取る温度を、「酸洗」とは得られた熱延鋼板に対する酸洗処理の有無を、「スキンパス」とは得られた熱延鋼板に対するスキンパス圧延の有無を、「めっき浴浸漬」とは得られた熱延鋼板に対するめっき浴への浸漬の有無を、「合金化処理」とはめっき浴への浸漬を施した後の合金化処理の有無を示している。
このようにして得られた鋼板の材質を表4に示す。
Figure 0005326709
Figure 0005326709
Figure 0005326709
Figure 0005326709
得られた鋼板の評価方法は、前述の方法と同一である。ここで、「Insol.Ti/添加Ti量」とは、抽出残渣法により測定したInsol.Ti量の総含有Ti量に対する比を表す。ただし、Insol.Ti量が測定されなかった場合は、「−」とした。
「初析フェライト分率」とは、KAM法でその6個のピクセル間の方位差の平均が1°以下のものの面積分率を、「平均α粒径」とは、EBSP法により測定された各ピクセルの方位差を15°であるものを粒としてその境を粒界としてマッピングした画像より、初析フェライトのみでなく、全てのミクロ組織の個数平均で得られた平均粒径を、「ミクロ組織」とは、鋼板板厚の1/4tにおけるミクロ組織を示す。「引張試験」結果は、C方向JIS5号試験片の結果を、「穴拡げ」結果は、JFS T 1001−1996記載の穴拡げ試験方法で得られた結果を示す。「2%BH」結果は、JIS Z 2201に記載の5号試験片を切出し、これら試験片に2%の引張予ひずみを付与した後、170℃×20分の塗装焼き付け工程相当の熱処理を施してから再度引張試験を実施した、上降伏点の上昇分として求められるBH量を示す。引張試験はJIS Z 2241の方法に従った。なお、表4における下線は、本発明の範囲外であることをいう。
本発明に沿うものは、鋼番1、2、3、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20の13鋼である。これらの鋼板は、所定の量の鋼成分を含有し、抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であることを特徴とし、一般的な析出強化鋼の降伏比が90〜95%であることと比較して降伏比が80%未満である540MPa級以上のグレードの低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板が得られている。また、鋼番13は、CTが100℃未満であるため、上記、低降伏比の条件を満たした上で、2%BH量が60MPa以上得られている。
上記以外の鋼は、以下の理由によって本発明の範囲外である。すなわち、鋼番4は、粗圧延終了温度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番5は、仕上げ圧延開始温度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番6は、仕上げ圧延開始温度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番7は、仕上げ圧延開始温度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、伸び、穴拡げ値が低い。鋼8は、仕上げ出側圧延速度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番9は、仕上げ圧延終了後の冷却速度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番10は、仕上げ圧延終了後の冷却速度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、YRが高い。
鋼番21は、仕上げ圧延の合計圧下率が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番22は、仕上げ圧延開始温度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、穴拡げ値が低い。鋼番23は、仕上げ圧延終了後の冷却速度が本発明請求項6の範囲外であるので、Insol.Ti量が本発明請求項1の範囲外となり、YRが高い。
鋼24は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、YRが高い。鋼25は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、YRが高い。鋼番26は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、強度が低い。鋼番27は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、YRが高い。
鋼番28は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、穴拡げ値が低い。鋼番29は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であり目的とするセメンタイト粒径が得らないので、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、穴拡げ値が低い。鋼番23は、鋼成分が本発明請求項1の範囲外であるので、YRが高い。
本発明で製造した鋼板は、高強度性、低降伏強度及び穴拡げ性が厳しく要求される、内板部材、構造部材、足廻り部材等の自動車部材をはじめとして、造船、建築、橋梁、海洋構造物、圧力容器、ラインパイプ、機械部品などあらゆる用途に用いることができる。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.02〜0.06%、
    Si:0.01〜2%、
    Mn:0.1〜2%、
    P:0.1%以下、
    S:0.03%以下、
    Al:0.001〜1%、
    N:0.01%以下、
    Nb:0.005%以下、
    Ti:0.25%以下、
    且つ
    Ti含有量を[Ti]、N含有量を[N]としたとき、
    Ti*=[Ti]−(48/14)×[N]≧0.01、
    C含有量を[C]としたとき、
    [C]−(12/48)×[Ti*]≦0.025、
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、上記鋼板中の抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であり、ミクロ組織がフェライト単相もしくはフェライト−ベイナイト組織であり、初析フェライトの体積分率が6割以上で、平均α粒径が2.5μm以上5μm以下であることを特徴とする低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
  2. さらに質量%で、
    B:0.0002〜0.002%、
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
  3. さらに質量%で、
    Cu:0.2〜1.2%、
    Ni:0.1〜0.6%、
    Mo:0.05〜1%、
    V:0.02〜0.2%、
    Cr:0.01〜1%、
    のいずれか一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
  4. さらに質量%で、
    Ca:0.0005〜0.005%、
    REM:0.0005〜0.02%、
    のいずれか一種又は二種を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
  5. 亜鉛めっきが施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の成分を有する鋼片を熱間圧延する際に粗圧延を1100℃以下で終了し、その後の仕上げ圧延を400mpm以上の圧延速度で合計圧下率が85%以上となるように1080℃以下で開始し、Ar変態点温度以上920℃以下の温度域で終了し、冷却開始から700℃までの温度域を20℃/sec未満の冷却速度で冷却し、巻き取り、鋼板中の抽出残渣法により測定したInsol.Ti量が総含有Ti量の3割以上7割以下であり、ミクロ組織がフェライト単相もしくはフェライト−ベイナイト組織であり、初析フェライトの体積分率が6割以上で、平均α粒径が2.5μm以上5μm以下とすることを特徴とする低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
  7. 上記巻き取り後に得られた鋼板を酸洗し、その後に亜鉛めっき浴中に浸積させて鋼板表面を亜鉛めっきすることを特徴とする請求項6に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
  8. 上記亜鉛めっき後に得られた鋼板を、合金化処理することを特徴とする請求項7に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
  9. 上記巻き取り温度が150℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の低降伏比型高バーリング性高強度熱延鋼板の製造方法。
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