JP5326470B2 - 転写箔フィルム及びそれを用いて得られるマスク付き固体高分子電解質膜、マスク付き触媒転写フィルム、触媒層−電解質膜積層体、固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Description
転写箔フィルムは、剥離層からなるマスク形成層と基材フィルムとで構成されており、
該マスク形成層は、基材フィルム上にパターン形成されており、
該剥離層は、フッ素樹脂を含んでいる、
転写箔フィルム。
本発明の転写箔フィルムは、固体高分子形燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜の上にパターンで形成する際に用いられる転写箔フィルムであって、転写箔フィルムは、剥離層からなるマスク形成層と基材フィルム(1)とで構成されており、該マスク形成層は、基材フィルム上にパターン形成されており、該剥離層は、フッ素樹脂を含んでいるものである。
本発明の転写箔フィルムを構成する好ましい基材フィルム(1)の具体例は、コンデンサー紙、グラシン紙、パラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等の各種プラスチックの延伸あるいは未延伸フィルム又はシートが使用でき、又これらの材料の表面に易接着処理等を施したもの、又これらの材料を積層したものが挙げられる。
マスク形成層は、固体高分子電解質膜や触媒転写フィルム等に、マスクとして転写されるものであり、基材フィルム(1)上にパターン形成されている。これにより、マスク形成層が転写された触媒転写フィルムを固体高分子電解質膜に転写する際、又は触媒転写フィルムを、マスク形成層が転写された固体高分子電解質膜に転写する際に、触媒層をパターンで形成することが可能となる。なお、このマスク形成層は、剥離層からなるものである。
マスク形成層は、フッ素樹脂を含む剥離層からなる。この剥離層は、基材フィルム(1)からマスク形成層がきれいに転写するためのもので、安定してマスク形成層がフィルムより剥離し、それがフィルムに残るのを防ぐ役割を有するものであり、フッ素樹脂を含むことにより、固体高分子電解質膜や触媒転写フィルム等にマスク形成層を転写する際、マスク形成層と基材フィルムとが剥離しやすくなり、固体高分子電解質膜や触媒転写フィルム上にマスクを形成しやすくなる。
本発明では、マスク形成層は、上述の剥離層からなるものであるが、電解質膜や触媒転写フィルムへの接着性を良好にするためには、剥離層と接着層からなるものを使用することが好ましい。その際、基材フィルム/剥離層/接着層の順に積層するようにする。
本発明では、電解質膜や触媒転写フィルムに転写する際に、マスク形成層が基材フィルムから剥離しにくい場合には、基材と剥離層との間に離型層を介在させることが好ましい。言い換えれば、基材フィルムに離型層を設けて、基材フィルムを離型処理することができる。
<マスク付き電解質膜>
本発明のマスク付き電解質膜は、本発明の転写箔フィルムのマスク形成層と固体高分子電解質膜とを対向するように配置し、固体高分子電解質膜上にマスク形成層を転写させる工程を含む製造方法により得られる。
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、触媒転写フィルムの触媒層と本発明のマスク付き電解質膜のマスクとを対向するように配置し、マスク付き固体高分子電解質膜に触媒転写フィルムを転写し、固体高分子電解質膜のマスクが形成されていない箇所に触媒層を形成する工程を含む製造方法により得られる。
本発明の触媒層−電解質膜積層体の両面に公知又は市販の電極基材(例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等)及びセパレータを順次積層させることにより、本発明の固体高分子形燃料電池が得られる。
<マスク付き触媒転写フィルム>
本発明のマスク付き触媒転写フィルムは、本発明の転写箔フィルムのマスク形成層と触媒転写フィルムの触媒層とを対向するように配置し、触媒転写フィルムの触媒層上にマスク形成層を転写させる工程を含む製造方法により得られる。
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、本発明のマスク付き触媒転写フィルムの触媒層と固体高分子電解質膜のマスクとを対向するように配置して転写し、固体高分子電解質膜にマスク付き触媒転写フィルムのマスクが形成されていない箇所の触媒層を固体高分子電解質膜上に形成する工程を含む製造方法により得られる。
本発明の触媒層−電解質膜積層体の両面に公知又は市販の電極基材(例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等)及びセパレータを順次積層させることにより、本発明の固体高分子形燃料電池が得られる。
シリコーン変性アクリル系樹脂(セルトップ226、ダイセル化学株式会社製)45.7重量部、アルミ硬化剤(セルトップCAT−A、ダイセル化学株式会社製)8.5重量部、メチルエチルケトン22.9重量部、トルエン22.9重量部を混合することにより、離型層形成用ペースト組成物を調製した。
剥離層形成用ペースト組成物(1)
アクリル樹脂(ダイアナールBR−83、三菱レイヨン株式会社製)45.5重量部、フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名:ルブロンL−2、種類:PTFE)
4.5重量部、メチルエチルケトン25重量部、トルエン25重量部を混合することにより、剥離層形成用ペースト組成物(1)を調製した(樹脂成分全量に対して、フッ素樹脂:9.0重量%、アクリル樹脂:91.0重量%)。
アクリル樹脂(ダイアナールBR−83、三菱レイヨン株式会社製)41.7重量部、フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名:ルブロンL−2、種類:PTFE)8.3重量部、メチルエチルケトン25重量部、トルエン25重量部を混合することにより、剥離層形成用ペースト組成物(2)を調製した(樹脂成分全量に対して、フッ素樹脂:16.6重量%、アクリル樹脂:83.4重量%)。
アクリル樹脂(ダイアナールBR−83、三菱レイヨン株式会社製)50重量部、メチルエチルケトン25重量部、トルエン25重量部を混合することにより、剥離層形成用ペースト組成物(3)を調製した(樹脂成分全量に対して、フッ素樹脂:0重量%、アクリル樹脂:100重量%)。
アクリル樹脂(ダイアナールBR−83、三菱レイヨン株式会社製)25重量部、フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名:ルブロンLD−2、種類:PTFE)
25重量部、メチルエチルケトン25重量部、トルエン25重量部を混合することにより、剥離層形成用ペースト組成物(4)を調製した(樹脂成分全量に対して、フッ素樹脂:50重量%、アクリル樹脂:50重量%)。
ポリエステル樹脂(バイロン700、東洋紡績株式会社製)62.1重量部、アクリル樹脂(UVA635L、BASFジャパン株式会社製)15.5重量部、シリカ(サイリシア310、富士シリシア化学株式会社製)22.4重量部を混合することにより、接着層形成用ペースト組成物を調製した。
<離型層の形成>
調製した離型層形成用ペースト組成物を、基材フィルム(種類:PETフィルム、東洋紡績株式会社製、商品名:E5100)にワイヤーバーで塗布し、100℃で乾燥させることにより、基材フィルム上に離型層(厚み:0.8μm)を形成した。
調製した剥離層形成用ペースト組成物(1)を、離型層の基材フィルムと接していない側の面にワイヤーバーで塗布し、100℃で乾燥させることにより、離型層上に剥離層(厚み:1.0μm)を形成した。
調製した接着層形成用ペースト組成物を、剥離層の離型層と接していない側の面にワイヤーバーで塗布し、100℃で乾燥させることにより、剥離層上に接着層(厚み: μm)を形成し、実施例1の転写箔フィルムとした。
剥離層形成用ペースト組成物(1)の代わりに、剥離層形成用ペースト組成物(2)を用いること以外は実施例1と同様に、実施例2の転写箔フィルムを作製した。
剥離層形成用ペースト組成物(1)の代わりに、剥離層形成用ペースト組成物(3)を用いること以外は実施例1と同様に、比較例1の転写箔フィルムを作製した。
実施例1〜2及び比較例1の転写箔フィルムの作製において、剥離層の上に接着層が形成できるかどうかを、以下の基準により目視で評価した。
×:剥離層の上に接着層が形成できない
試験例2:触媒層転写
実施例1〜2及び比較例1の転写箔フィルムの接着層を7.5cm×7.5cmの大きさに2枚裁断した後、当該転写箔フィルム2枚を、7.5cm×7.5cmの大きさに断裁した電解質膜(デュポン社製、NafionNRE212CS)に狭持した。その後、90℃に加熱されたプレス機で、圧力10kgf/cm2下で両側からプレスを行い、電解質膜の中央部に口の字に5.0cm×5.0cm開口したマスク形成層を転写した。
×:触媒層が転写しなかった
結果を表1に示す。
7.5cm×7.5cmの大きさに断裁した電解質膜(デュポン社製、NafionNRE212CS)中央に試験例2で使用した触媒転写フィルムを5.0cm×5.0cmの大きさに2枚裁断した後、当該触媒転写フィルム2枚を、上記の電解質膜に狭持した。その後、150℃に加熱されたプレス機で、圧力50kgf/cm2下で両側からプレスを行い、電解質膜中央に5.0cm×5.0cmの触媒層を転写した。
実施例1および比較例2の触媒層−電解質膜積層体の断面を電子顕微鏡にて観察し触媒層が電解質膜へ食い込みが電解質膜にダメージを与えているかを確認した。
×:ほとんど食い込みがなく、ダメージを与えていなかった
結果を表2に示す。
実施例1及び比較例2の触媒層−電解質膜積層体について、JARI仕様評価セルを使用し、燃料ガスに純水素(利用率70%)、酸化ガスに空気(利用率40%)を用いて、セル温度80℃、ガス30%RHにて負荷変動サイクル試験(0.3A⇔0.01A/60sec⇔60sec)を行い、電解質膜が破れるまでの時間を測定した。
Claims (13)
- 固体高分子形燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜の上にパターンで形成する際に用いられる転写箔フィルムであって、
転写箔フィルムは、剥離層からなるマスク形成層と基材フィルムとで構成されており、
該マスク形成層は、基材フィルム上に、パターン形成されており、
該剥離層は、フッ素樹脂を含んでいる、
転写箔フィルム。 - 剥離層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂からなる、請求項1に記載の転写箔フィルム。
- 剥離層が、フッ素樹脂を樹脂成分全量に対して1〜49重量%含む、請求項1又は2に記載の転写箔フィルム。
- 剥離層上に接着層を形成させて、剥離層及び接着層からなるマスク形成層と基材フィルムとで構成された、請求項1〜3のいずれかに記載の転写箔フィルム。
- 基材フィルムとマスク形成層との間に、離型層を介している、請求項1〜4のいずれかに記載の転写箔フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の転写箔フィルムのマスク形成層と固体高分子電解質膜とを対向するように配置し、固体高分子電解質膜上にマスク形成層を転写させる工程を含む、マスク付き固体高分子電解質膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の転写箔フィルムのマスク形成層が、固体高分子電解質膜の少なくとも一方面と対向するように配置されてなる転写箔フィルム付き固体高分子電解質膜。
- 請求項6に記載の製造方法によりマスク付き固体高分子電解質膜を得た後、前記マスク付き固体高分子電解質膜に触媒転写フィルムを転写し、マスク付き固体高分子電解質膜のマスクが形成されていない箇所に触媒層を形成する工程を含む、触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法により触媒層−電解質膜積層体を製造する工程を含む、固体高分子形燃料電池の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の転写箔フィルムのマスク形成層と、触媒転写フィルムの触媒層とを対向するように配置し、触媒転写フィルムの触媒層上にマスク形成層を転写させる工程を含む、マスク付き触媒転写フィルムの製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法により製造される、マスク付き触媒転写フィルム。
- 固体高分子電解質膜に、請求項11に記載のマスク付き触媒転写フィルムを転写し、マスク付き触媒転写フィルムのマスクが形成されていない箇所の触媒層を固体高分子電解質膜上に形成する工程を含む、触媒層−電解質膜積層体の製造方法。
- 請求項12に記載の製造方法により触媒層−電解質膜積層体を製造する工程を含む、固体高分子形燃料電池の製造方法。
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