JP5323691B2 - メタセシス反応用触媒としての新規ルテニウム錯体 - Google Patents

メタセシス反応用触媒としての新規ルテニウム錯体 Download PDF

Info

Publication number
JP5323691B2
JP5323691B2 JP2009517106A JP2009517106A JP5323691B2 JP 5323691 B2 JP5323691 B2 JP 5323691B2 JP 2009517106 A JP2009517106 A JP 2009517106A JP 2009517106 A JP2009517106 A JP 2009517106A JP 5323691 B2 JP5323691 B2 JP 5323691B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkyl
aryl
halogen
formula
mmol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009517106A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009541414A5 (ja
JP2009541414A (ja
Inventor
プエンテナー,クルト
スカローン,ミケランジェロ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
F Hoffmann La Roche AG
Original Assignee
F Hoffmann La Roche AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by F Hoffmann La Roche AG filed Critical F Hoffmann La Roche AG
Publication of JP2009541414A publication Critical patent/JP2009541414A/ja
Publication of JP2009541414A5 publication Critical patent/JP2009541414A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5323691B2 publication Critical patent/JP5323691B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
    • C07F15/0006Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table compounds of the platinum group
    • C07F15/0046Ruthenium compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • B01J31/22Organic complexes
    • B01J31/2265Carbenes or carbynes, i.e.(image)
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • B01J31/22Organic complexes
    • B01J31/2265Carbenes or carbynes, i.e.(image)
    • B01J31/2269Heterocyclic carbenes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • B01J31/22Organic complexes
    • B01J31/2265Carbenes or carbynes, i.e.(image)
    • B01J31/2269Heterocyclic carbenes
    • B01J31/2273Heterocyclic carbenes with only nitrogen as heteroatomic ring members, e.g. 1,3-diarylimidazoline-2-ylidenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C253/00Preparation of carboxylic acid nitriles
    • C07C253/30Preparation of carboxylic acid nitriles by reactions not involving the formation of cyano groups
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2231/00Catalytic reactions performed with catalysts classified in B01J31/00
    • B01J2231/50Redistribution or isomerisation reactions of C-C, C=C or C-C triple bonds
    • B01J2231/54Metathesis reactions, e.g. olefin metathesis
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2531/00Additional information regarding catalytic systems classified in B01J31/00
    • B01J2531/80Complexes comprising metals of Group VIII as the central metal
    • B01J2531/82Metals of the platinum group
    • B01J2531/821Ruthenium

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Pyrrole Compounds (AREA)

Description

本発明は、式I:
Figure 0005323691
の新規メタセシス触媒、同触媒を製造する方法、及び閉環又は交差メタセシスなどのメタセシス反応におけるそれらの使用に関する。
一方、ルテニウム又は他の遷移金属錯体を触媒として使用するメタセシス反応は周知であり、有機合成において広く適用されてきた(WO 2004/035596、WO 2002/14376又はEP-A 1180108を参照)。
式:
Figure 0005323691
のメタセシス触媒は、2006年6月17日にインターネット上で公表されたOrganometallicsにおいて、Barbasiewiczらにより記載されている。著書らは、この触媒を、室温でのジクロロメタン中のN,N−ジアリル−4−メチルベンゼンスルホンアミドの閉環メタセシス反応において適用すると、24時間の反応時間の後、41%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロールが形成されたことを示した。同じ条件下で再度実施してみると、その変換は非常に乏しいもので(<3%)、1%未満の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロールしか得られず、より高温の反応温度でも(トルエン中、110℃)、この触媒の活性は乏しいままであった。
したがって、本発明の目的は、優れたメタセシス触媒を提供することである。
驚くべきことに、窒素原子のアルファ位置での置換が、触媒の活性を著しく向上させることが見出された。
式Iのルテニウム錯体が、閉環又は交差メタセシス反応などのメタセシス反応において有用な触媒となる可能性を有することを示すことができた。
本発明の化合物は、式I:
Figure 0005323691
[式中、
Lは中性リガンドであり;
及びXは、互いに独立して、アニオンリガンドであり;
はC1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオもしくはSO−C1−6−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル又はOSi(C1−6−アルキル)及びSO−NR’R”(ここで、R’及びR”は、互いに独立して、水素又はC1−6−アルキルを意味するか、あるいはR’及びR”はN原子と共に炭素環を形成する)であり;
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオもしくはSO−C1−6−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル又はOSi(C1−6−アルキル)及びSO−NR’R”(ここで、R’及びR”は、互いに独立して、水素又はC1−6−アルキルを意味するか、あるいはR’及びR”は、N原子と共に、炭素環を形成する)を意味し、
Yは、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル又はアリールであるか、あるいはY及びRは一緒になって、(CH=CR)−又は−(CH−架橋(ここで、nは2又は3を意味し、RはRと同義である)を形成する]を特徴とする。
本発明は更に、式Iの化合物の調製方法及びメタセシス反応におけるその使用を含む。
以下の定義は、本明細書の発明を記載するのに使用する種々の用語の意味と範囲を説明し、定義するために示される。
用語「アルキル」は、単独又は他の基との組み合わせで、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の、分枝鎖又は直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語は更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−アダマンチル及び本明細書に具体的に例示した基などの基により例示される。
用語「アルケニル」は、単独又は他の基との組み合わせで、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子の、分枝鎖又は直鎖一価不飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語は更に、ビニルとプロペニル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルならびにそれらの異性体などの基により例示される。好ましいアルケニル基はビニルである。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。好ましいハロゲンは塩素である。
用語「ハロゲン−C1−6−アルキル」は、ハロゲンにより置換されたC1−6−アルキル基(ここで、ハロゲンは上記と同義である)を指す。好ましい「ハロゲン−C1−6−アルキル」基は、CF、CHCF、CH(CF、Cなどのフッ素化C1−6−アルキル基である。
用語「アルコキシ」は、酸素原子に結合した、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の、分枝鎖又は直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。「アルコキシ」の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシである。好ましいものは、本明細書で具体的に例示したアルコキシ基である。アルコキシ基のアルキル鎖は場合により、上記と同義のアルコキシ基、好ましくはメトキシ、又はエトキシ、あるいはアリール基、好ましくはフェニルにより、置換、特にモノ−、ジ−又はトリ−置換されることができる。好ましい置換アルコキシ基はベンジルオキシ基である。
用語「アルキルカルボニル」は、C1−6−アルキルカルボニル基、好ましくはC1−4−アルキルカルボニル基を指す。それには、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル又はピバロイルが含まれる。好ましいアルキルカルボニル基はアセチルである。
用語「アルキルチオ」は、基R’−S−(ここで、R’はC1−6−アルキル、好ましくはC1−4−アルキルである)、例えば、メチルチオ又はエチルチオを指す。好ましいものは、本明細書に具体的に例示したアルキルチオ基である。
用語「SO−C1−6−アルキル」は、スルホニル置換C1−6−アルキル基を指す。好ましいSO−C1−6−アルキル基はSO−メチルである。
用語「SO−アリール」は、スルホニル置換アリール基を指す。好ましいSO−アリール基はSO−フェニルである。
用語「SO−NR’R”」は、スルホニル置換アミノ基NR’R”(ここで、R’及びR”は、互いに独立して、水素又はC1−6−アルキルを意味するか、あるいはR’及びR”は、N原子と共に、炭素環を形成する)を指す。好ましいSO−NR’R”基はSO−N(メチル)である。
用語「OSi(C1−6−アルキル)」は、トリ−C1−6−アルキル−置換シリルオキシ基を指す。好ましくは、OSi(C1−6−アルキル)は、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ及びt−ブチルジメチルシリルオキシを意味する。
用語「モノ−又はジ−アルキル−アミノ」は、C1−6−アルキル、好ましくはC1−4−アルキルでモノ−又はジ置換されているアミノ基を指す。モノ−C1−6−アルキル−アミノ基には、例えばメチルアミノ又はエチルアミノが含まれる。用語「ジ−C1−6−アルキル−アミノ」には、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はエチルメチルアミノが含まれる。好ましいものは、本明細書に具体的に例示したモノ−又はジ−C1−4−アルキルアミノ基である。これにより、用語「ジ−C1−6−アルキル−アミノ」が環系を含み、この環系では、2個のアルキル基が、それらが結合する窒素原子と共に、4〜7員複素環を形成し、それは、窒素、酸素又は硫黄から選択される更に1個のヘテロ原子も担持してよいことが理解される。
用語「アミノ」及び「モノ−又はジ−アルキル−アミノ」はまた、式:−NR’R”H(式中、R’及びR”は上記と同義であり、Zは、ハロゲン化物などのアニオン、特に塩化物又はスルホン酸塩、特にメタンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩である)の基を包含する。
用語「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を含む「C3−7−シクロアルキル」基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを示す。
用語「アリール」は、フェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基に関し、それは、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、CF,NO,NH,N(H、アルキル)、N(アルキル)、カルボキシ、アミノカルボニル、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−アルキル、SO−NR’R”、アリール及び/又はアリールオキシにより、モノ−、ジ−、トリ−又は多重置換されることができる。好ましいアリール基はフェニルである。
用語「アリールオキシ」は、酸素原子に結合したアリール基に関する。用語「アリール」は上記と同義である。好ましいアリールオキシ基はフェニルオキシである。
用語「ヘテロアリール」は、環中に1〜3個のヘテロ原子を含み、残りが炭素原子である複素環式アリール基に関する。適切なヘテロ原子には、酸素、硫黄、及び窒素が含まれるが、それらに制限されない。代表的なヘテロアリール基には、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、及びインドリルが含まれる。アリール基と同様に、ヘテロアリール基は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、CF、NO、NH、N(H、アルキル)、N(アルキル)、カルボキシ、アミノカルボニル、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−アルキル、SO−NR’R”、アリール及び/又はアリールオキシにより、モノ−、ジ−、トリ−又は多重置換されることができる。
リガンドLは、好ましくは、式:
Figure 0005323691
[式中、
及びRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニル又は1−アダマンチルであり、
9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル又はアリールであるか、あるいはR9b及びR9c又はR9a及びR9dは一緒になって、a−(CH−架橋を形成し;
10は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである]から選択される中性リガンドである。
好ましい実施態様において、R及びRは、C1−6−アルキル、又はC1−6−アルキルで、ジ−又はトリ−置換されたフェニル基である。R及びRは、より好ましくは、t−ブチル、1−アダマンチル、イソプロピル、2,6−ジイソプロピルフェニル又は2,4,6−トリメチルフェニルを意味し、最も好ましくは2,4,6−トリメチルフェニルを意味する。
好ましい実施態様においては、R9a及びR9cはメチル又はフェニルであり、R9b及びR9dは水素であるか、あるいはR9a及びR9c又はR9b及びR9dは、一緒になって、−(CH−架橋(ここで、nは5又は6を意味する)を形成する。これにより、キラル炭素原子が存在する場合、ラセミ及び鏡像異性体的に純粋な形態の両方が含まれることが理解される。
更に好ましい実施態様においては、R9a−dは水素である。
更に好ましい実施態様においては、Lは、
Figure 0005323691
(式中、R及びRは上記と同義である)である。
更に好ましい実施態様においては、R10はシクロヘキシルである。
アニオンリガンドX及びXとして、ハロゲン化物又はシアン化物、ロダン化物、シアン酸塩、イソシアン酸塩、酢酸塩又はトリフルオロ酢酸塩などの擬似ハロゲン化物を選択してもよい。X及びXとして好ましいアニオンリガンドはハロゲン化物であり、一方クロロが最も好ましいアニオンリガンドである。
更に好ましい実施態様においては、RはC1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル又はアリールである。Rは、より好ましくは、メチル、トリフルオロメチル、フェニル、オルト−トリル又は2,6−ジメチルフェニルである。
更に好ましい実施態様においては、R、R、R及びRは水素である。
は、好ましくは、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、ニトロ、アミノ及びハロゲンである。より好ましいRは、クロロ、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、アミノ、ニトロ及びアセチルを表す。
以下の化合物は、本発明の最も好ましい代表的なものを表す。
略号:ImHMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン;
ImMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリリデン
試験した触媒の表:
Figure 0005323691
本発明はまた、式III:
Figure 0005323691
(式中、X及びXは上記と同義であり、Cyはシクロヘキシルを意味し、Phはフェニルである)のRu−前駆体化合物を、式IV:
Figure 0005323691
(式中、R〜Rは上記と同義である)の化合物で変換することを含む、式Iの化合物の調製方法を含む。
概して、変換は、銅塩、好ましくは塩化銅の存在下、約0℃〜60℃の温度で、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような有機溶媒中で実施する。
式IVの化合物は、例えば、F. Diederich及びP. J. Stang in 'Metal-catalyzed cross-coupling reactions' Wiley-VCH, 1998又はJ. March in 'Advanced organic chemistry' Wiley-VCH, 1992に記載された、いくつかの周知のクロスカップリング反応により、例えば、ビニルスタンナン、エチレン、ボロン酸ビニル、ビニルボラン、ビニルグリニャール試薬を用い、市販又は容易に入手可能な式Vの化合物から出発するか、あるいはWittig、 Wittig-Horner、 Wittig-Horner-Emmons、Tebbe又はPeterson条件下、市販の式VI:
Figure 0005323691
(式中、Zは、ハロゲン又はトリフルオロメタンスルホニルオキシであり、R〜Rは上記と同義である)のアルデヒドから出発して調製することができる。
本発明の化合物は、メタセシス反応、特に閉環又は交差メタセシス反応において使用することができる。当業者には、反応条件を各基質に適合させなければならないことは明白であるが、概して以下の条件を適用することができる。
閉環又は交差メタセシス反応は、通常、トルエン、キシレン、メシチレン、及びジクロロメタンなどの不活性有機溶媒中、20℃〜180℃の反応温度で実施する。触媒濃度は、普通、0.1mol%〜10mol%の範囲から選択する。
以下の実施例は、本発明を制限することなく説明する。
実施例
略号:ImHMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン;
ImMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリリデン
試験した触媒の表:
Figure 0005323691
触媒の合成:実施例1〜11
実施例1
[RuCl (ImH Mes)(8−キノリニルメチレン)]
塩化メチレン40ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc., St. Louis, USAから市販)500mg(0.59mmol)、塩化銅60mg(0.61mmol)及び8−ビニルキノリン(G.T. Crisp, S. Papadopoulos, Aust. J. Chem. 1989, 42, 279-285に従って調製)100mg(0.64mmol)の懸濁液を、室温で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)により精製して、標記化合物255mg(70%)を緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例2
4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−ビニル−キノリン
エタノール40ml中の8−ブロモ−4−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン(Maybridge, Cornwall, UKから市販)2.00g(6.25mmol)、PdCldppfCHCl 258mg(0.31mmol)、カリウムビニルテトラフルオロボラート1.29g(9.37mmol)及びトリエチルアミン0.88ml(6.28mmol)の懸濁液を3時間加熱還流した。得られた黄色の懸濁液を濾過し、濾液を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチルに懸濁させ、濾過し、濾液を水で抽出した。有機層を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して、標記化合物1.17g(72%)を白色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例3
[RuCl (ImH Mes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン100ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)]1.39g(1.64mmol)、塩化銅0.17g(1.80mmol)及び4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−ビニル−キノリン464mg(1.69mmol)の懸濁液を、30℃で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 5:2)により精製して、標記化合物278mg(24%)を緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例4
2−フェニル−8−ビニル−キノリン−4−オール
ジオキサン20ml中の8−ブロモ−2−フェニル−キノリン−4−オール(Ubichem Research Ltd, Budapest, Hungaryから市販)500mg(1.67mmol)、Pd(PPh 97mg(0.09mmol)、塩化リチウム71mg(1.67mmol)及びトリブチルビニルスタンナン528mg(1.67mmol)の懸濁液を、90℃で16時間加熱した。得られた黄色の懸濁液を濾過し、濾液を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチルに懸濁させ、濾過し、濾液を水で抽出した。有機層を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、標記化合物178mg(43%)を黄色を帯びた結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例5
[RuCl (ImH Mes)((4−ヒドロキシ−2−フェニル−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン11ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)]100mg(0.12mmol)、塩化銅12mg(0.12mmol)及び2−フェニル−8−ビニル−キノリン−4−オール100mg(0.12mmol)の懸濁液を40℃で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)により精製して、標記化合物51mg(61%)を緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例6
4−クロロ−8−ビニル−キノリン
エタノール20ml中の8−ブロモ−4−クロロキノリン(Ubichem Research Ltd, Budapest, Hungaryから市販)975mg(4.02mmol)、PdCldppfCHCl 166mg(0.20mmol)、カリウムビニルテトラフルオロボラート833mg(6.00mmol)及びトリエチルアミン0.57ml(4.10mmol)の懸濁液を、3時間加熱還流した。得られた黄色の懸濁液を濾過し、濾液を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチルに懸濁させ、濾過し、濾液を水で抽出した。有機層を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 9:1)により精製して、標記化合物207mg(27%)を白色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例7(比較のため)
[RuCl (ImH Mes)((4−クロロ−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン70ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)]790mg(0.93mmol)、塩化銅95mg(0.96mmol)及び4−クロロ−8−ビニル−キノリン196mg(1.03mmol)の懸濁液を、30℃で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 5:2)により精製し、室温で30分間、ペンタン20mlに最終的に蒸解して、標記化合物311mg(51%)を緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例8
2−メチル−8−ビニル−キノリン
エタノール150ml中の8−ブロモ−2−メチルキノリン(ACB Block Ltd, Moscow, Russiaから市販)4.80g(21.60mmol)、PdCldppfCHCl 0.89g(1.10mmol)、カリウムビニルテトラフルオロボラート4.48g(32.40mmol)及びトリエチルアミン3.10ml(22.10mmol)の懸濁液を、3時間加熱還流した。得られた黄色の懸濁液を濾過し、濾液を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチルに懸濁させ、濾過し、濾液を水で抽出した。有機層を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/酢酸エチル 98:2)により精製して、標記化合物2.68g(73%)を無色の油状物として得た。
Figure 0005323691
実施例9
[RuCl (ImH Mes)((2−メチル−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン17ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)]218mg(0.26mmol)、塩化銅26mg(0.26mmol)及び2−メチル−8−ビニル−キノリン49mg(0.29mmol)の懸濁液を、30℃で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 7:3)により精製し、室温で30分間、ヘキサン15mlに最終的に蒸解して、標記化合物157mg(96%)を緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例10
[RuCl (トリシクロヘキシルホスフィン)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン135ml中の[RuCl(PCy(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc., St. Louis, USAから市販)3.07g(3.73mmol)、塩化銅380mg(3.84mmol)及び4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−ビニル−キノリン1.06g(4.10mmol)の懸濁液を、30℃で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)により精製し、室温で30分間、ペンタン50mlに最終的に蒸解して、標記化合物429mg(17%)を暗緑色の結晶として得た。
Figure 0005323691
実施例11
[RuCl (ImMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]
塩化メチレン100ml中の[RuCl(PCy)(ImMes)(フェニルメチレン)](J. Huang, E. Stevens, S. Nolan, J. Petersen, J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 2674-2678に従って調製)1.30g(1.54mmol)、塩化銅0.15g(1.54mmol)及び4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−ビニル−キノリン435mg(1.68mmol)の懸濁液を、30℃で90分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、単離した粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 5:2)により精製して、標記化合物260mg(24%)を橙色の結晶として得た。
Figure 0005323691
閉環メタセシスにおける触媒の適用:実施例12〜18
実施例12
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
トルエン5ml中のN,N−ジアリル4−メチルベンゼンスルホンアミド(S. Varray, R. Lazaro., J. Matinez, F. Lamaty, Organometallics 2003, 22, 2426-2435に従って調製)257mg(1.02mmol)及び[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]19mg(0.03mmol)の溶液を110℃で撹拌した。その変換と選択性を監視するために、1時間後及び4時間後に、0.2mlのサンプルを取った。各サンプルをシリカゲルパッドで濾過し、濾液を蒸発乾固させ、GC(カラム:DB-1701;注入器:260℃;検出器:260℃;オーブン:70〜250℃/1分毎に5℃;キャリアガス:H(60kPa);保持時間:N,N−ジアリル4−メチルベンゼンスルホンアミド 15.5分、1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール 24.5分、1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール 25.5分)により分析した。1時間後に(98%の変換)、96%の標記化合物及び2%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、そして4時間後に(100%の変換)、92%の標記化合物及び8%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
Figure 0005323691
実施例13(比較のため)
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−8−キノリニル)メチレン)]17mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(7%の変換)、7%の標記化合物、そして4時間後に(15%の変換)、14%の標記化合物及び1%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
実施例14(比較のため)
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
a)触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImHMes)(8−キノリニルメチレン)]16mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(7%の変換)、7%の標記化合物、そして4時間後に(31%の変換)、28%の標記化合物及び3%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
b)Barbasiewiczら (Organometallics, 2006年6月17日にインターネット上で公表)に従って、ジクロロメタン17.5ml中のN,N−ジアリル4−メチルベンゼンスルホンアミド88mg(0.35mmol)及び[RuCl(ImHMes)(8−キノリニルメチレン)]11.2mg(0.018mmol)の溶液を、室温で撹拌した。その変換と選択性を監視するために、4時間後及び24時間後に、0.2mlのサンプルを取った。各サンプルをシリカゲルパッドで濾過し、濾液を蒸発乾固させ、実施例12に記載するとおり、GCにより分析した。4時間後に(2%の変換)、0.6%の標記化合物及び0.3%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、そして24時間後に(3%の変換)、1.5%の標記化合物及び0.5%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
実施例15
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImHMes)((4−ヒドロキシ−2−フェニル−8−キノリニル)メチレン)]18mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(99%の変換)、98%の標記化合物及び1%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、そして4時間後に(100%の変換)、99%の標記化合物及び1%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
実施例16
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImHMes)((2−メチル−8−キノリニル)メチレン)]18mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(22%の変換)、11%の標記化合物、そして4時間後に(66%の変換)、22%の標記化合物及び5%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
実施例17
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(トリシクロヘキシルホスフィン)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]16mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(11%の変換)、7%の標記化合物及び1%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、そして4時間後に(42%の変換)、25%の標記化合物及び1%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
実施例18
1−(トルエン−4−スルホニル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]20mg(0.03mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例12と同様にして、1時間後に(53%の変換)、11%の標記化合物及び11%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、4時間後に(100%の変換)、54%の標記化合物及び2%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール、そして20時間後に(100%の変換)、1%の標記化合物及び64%の1−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロールが形成された。
交差メタセシスにおける触媒の適用:実施例19〜20
実施例19
(E)/(Z)−ジエチル2−[3−シアノ−2−プロペニル]マロナート
トルエン5ml中のジエチルアリルマロナート100.0mg(0.48mmol)、アクリロニトリル77.4mg(1.45mmol)及び[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]35.0mg(0.05mmol)の溶液を110℃で撹拌した。その変換と選択性を監視するために、3時間後及び40時間後に、0.05mlのサンプルを取った。各サンプルをシリカゲルパッドで濾過し、濾液を蒸発乾固させ、GC(カラム:HP-5、5%フェニルメチルシロキサン(Agilent 19091-413);注入器:250℃;検出器:250℃;オーブン:100〜150℃/1分毎に5℃、150℃で5分、150〜200℃/1分毎に5℃、及び200〜300℃/1分毎に20℃;キャリアガス:He(0.46bar);保持時間:ジエチルアリルマロナート 9.2分、(Z)−ジエチル2−[3−シアノ−2−プロペニル]マロナート 17.5分、及び(E)−ジエチル2−[3−シアノ−2−プロペニル]マロナート 18.8分)により分析した。3時間後に(66%の変換)、57%の標記化合物、そして40時間後に(94%の変換)、83%の標記化合物が、1:2の(E):(Z)混合物として形成された。減圧下で、溶媒を蒸発させた後、粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 8:2)により精製して、標記化合物65.1mg(60%)を1:2の(E):(Z)混合物として得た。
Figure 0005323691
実施例20
(E)/(Z)−ジエチル2−[3−シアノ−2−プロペニル]マロナート
触媒として、[RuCl(ImHMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]の代わりに、[RuCl(ImMes)((4−クロロ−2−トリフルオロメチル−8−キノリニル)メチレン)]34.9mg(0.05mmol)の存在下で実施することを除いては、実施例19と同様にして、19時間後に(80%の変換)、48%の標記化合物、そして40時間後に(87%の変換)、49%の標記化合物が、1:2の(E):(Z)混合物として形成された。

Claims (14)

  1. 式I:
    Figure 0005323691

    [式中、
    Lは中性リガンドであり;
    及びXは、互いに独立して、アニオンリガンドであり;
    はC1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオもしくはSO−C1−6−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル又はOSi(C1−6−アルキル)及びSO−NR’R”(ここで、R’及びR”は、互いに独立して、水素又はC1−6−アルキルを意味するか、あるいはR’及びR”はN原子と共に炭素環を形成する)であり;
    、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオもしくはSO−C1−6−アルキル、SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル又はOSi(C1−6−アルキル)及びSO−NR’R”(ここで、R’及びR”は、互いに独立して、水素又はC1−6−アルキルを意味するか、あるいはR’及びR”は、N原子と共に、炭素環を形成する)を意味し、
    Yは、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル又はアリールであるか、あるいはY及びRは一緒になって、(CH=CR)−又は−(CH−架橋(ここで、nは2又は3を意味し、RはRと同義である)を形成する]の化合物。
  2. Lが、
    Figure 0005323691

    [式中、
    及びRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニル又は1−アダマンチルであり、
    9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル又はアリールであるか、あるいはR9b及びR9c又はR9a及びR9dは一緒になって、−(CH−架橋を形成し;
    10は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである]から選択される中性リガンドである、請求項1に記載の化合物。
  3. Lが、
    Figure 0005323691

    (式中、R及びRは上記と同義である)である、請求項2に記載の化合物。
  4. 及びRが、2,4,6−トリメチルフェニルである、請求項2又は3に記載の化合物。
  5. 及びXが、互いに独立して、ハロゲンである、請求項1〜4に記載の化合物。
  6. 及びXが、クロロである、請求項5に記載の化合物。
  7. が、C1−6−アルキル、ハロゲンC1−6−アルキル又はアリールである、請求項1〜6に記載の化合物。
  8. が、メチル、トリフルオロメチル、オルト−トリル、2,6−ジメチルフェニル又はフェニルである、請求項7に記載の化合物。
  9. が、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシ、ニトロ、アミノ及びハロゲンである、請求項1〜8に記載の化合物。
  10. 、R、R及びRが水素である、請求項1〜9に記載の化合物。
  11. 式III:
    Figure 0005323691

    (式中、X及びXは上記と同義であり、Cyはシクロヘキシルを意味し、Phはフェニルである)のRu−前駆体化合物を、式IV’:
    Figure 0005323691

    (式中、R〜Rは上記と同義である)の化合物で変換することを含む、請求項1〜10に記載の式Iの化合物の調製方法。
  12. メタセシス反応における、請求項1〜10に記載の式Iの化合物の使用。
  13. 閉環メタセシス反応における、請求項12に記載の式Iの化合物の使用。
  14. 交差メタセシス反応における、請求項12に記載の式Iの化合物の使用。
JP2009517106A 2006-06-30 2007-06-18 メタセシス反応用触媒としての新規ルテニウム錯体 Expired - Fee Related JP5323691B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP06116373.9 2006-06-30
EP06116373 2006-06-30
PCT/EP2007/055995 WO2008000644A1 (en) 2006-06-30 2007-06-18 New ruthenium complexes as catalysts for metahesis reactions

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009541414A JP2009541414A (ja) 2009-11-26
JP2009541414A5 JP2009541414A5 (ja) 2010-06-03
JP5323691B2 true JP5323691B2 (ja) 2013-10-23

Family

ID=38475927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009517106A Expired - Fee Related JP5323691B2 (ja) 2006-06-30 2007-06-18 メタセシス反応用触媒としての新規ルテニウム錯体

Country Status (15)

Country Link
US (1) US7781586B2 (ja)
EP (1) EP2044095B1 (ja)
JP (1) JP5323691B2 (ja)
KR (1) KR101461682B1 (ja)
CN (1) CN101479283B (ja)
AT (1) ATE440852T1 (ja)
AU (1) AU2007263808B2 (ja)
BR (1) BRPI0713871B1 (ja)
CA (1) CA2655575C (ja)
DE (1) DE602007002199D1 (ja)
ES (1) ES2329424T3 (ja)
IL (1) IL195868A (ja)
MX (1) MX2008016069A (ja)
TW (1) TWI422430B (ja)
WO (1) WO2008000644A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009142535A1 (ru) * 2008-05-22 2009-11-26 Общество С Ограниченной Ответственностью "Объединённый Центр Исследований И Разработок" Катализатор метатезисной полимеризации дициклопентадиена
US8809563B2 (en) 2009-11-09 2014-08-19 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Metathesis catalyst and process for use thereof
US9024034B2 (en) 2009-11-09 2015-05-05 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Metathesis catalysts and processes for use thereof
CA2785897C (en) * 2010-02-12 2014-01-28 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Metathesis catalyst and process for use thereof
US9073801B2 (en) * 2011-06-03 2015-07-07 Massachusetts Institute Of Technology Z-selective ring-closing metathesis reactions
EP2639219B1 (en) * 2012-03-14 2016-08-10 Umicore AG & Co. KG Ruthenium-based metathesis catalysts and precursors for their preparation
CN104394987A (zh) * 2012-06-28 2015-03-04 埃克森美孚化学专利公司 复分解催化剂及其使用方法
WO2014201300A1 (en) 2013-06-12 2014-12-18 Trustees Of Boston College Catalysts for efficient z-selective metathesis
JP7117375B2 (ja) * 2017-12-01 2022-08-12 天地融科技股▲ふん▼有限公司 データ送信回路、データ受信回路及び装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002506455A (ja) * 1997-06-27 2002-02-26 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド 新しい触媒
CA2372746C (en) 1999-05-24 2012-10-02 California Institute Of Technology Imidazolidine-based metal carbene metathesis catalysts
ATE448019T1 (de) 2000-08-10 2009-11-15 Trustees Boston College Wiederverwendbare methathese-katalysatoren
PL199412B1 (pl) 2002-10-15 2008-09-30 Boehringer Ingelheim Int Nowe kompleksy rutenu jako (pre)katalizatory reakcji metatezy, pochodne 2-alkoksy-5-nitrostyrenu jako związki pośrednie i sposób ich wytwarzania
US20060293526A1 (en) * 2003-08-11 2006-12-28 Merk Patent Gmbh Immobilised imidazoles and ruthenium catalysts
US20050261451A1 (en) * 2004-03-29 2005-11-24 California Institute Of Technology Latent, high-activity olefin metathesis catalysts containing an N-heterocyclic carbene ligand

Also Published As

Publication number Publication date
IL195868A0 (en) 2009-09-01
DE602007002199D1 (de) 2009-10-08
US7781586B2 (en) 2010-08-24
CA2655575C (en) 2014-07-29
KR20090024737A (ko) 2009-03-09
KR101461682B1 (ko) 2014-11-13
ATE440852T1 (de) 2009-09-15
WO2008000644A1 (en) 2008-01-03
CN101479283B (zh) 2012-07-04
BRPI0713871B1 (pt) 2016-12-06
TWI422430B (zh) 2014-01-11
AU2007263808A1 (en) 2008-01-03
MX2008016069A (es) 2009-01-15
EP2044095B1 (en) 2009-08-26
EP2044095A1 (en) 2009-04-08
TW200810832A (en) 2008-03-01
CA2655575A1 (en) 2008-01-03
JP2009541414A (ja) 2009-11-26
IL195868A (en) 2013-02-28
US20080021219A1 (en) 2008-01-24
CN101479283A (zh) 2009-07-08
AU2007263808B2 (en) 2012-04-19
BRPI0713871A2 (pt) 2012-12-18
ES2329424T3 (es) 2009-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5323691B2 (ja) メタセシス反応用触媒としての新規ルテニウム錯体
JP5546861B2 (ja) 新規メタセシス触媒
KR101216900B1 (ko) 복분해 반응을 위한 촉매로서의 신규 루테늄 착물
WO2015024403A1 (zh) 一种氮杂卡宾类钯催化剂及其制备方法和应用
US20130338370A1 (en) Method for manufacturing ruthenium carbene complexes
Usui et al. Research on the design, synthesis, and catalytic activity of chiral N-heterocyclic carbene ligand–metal complexes
JP5414889B2 (ja) ルテニウムメタセシス錯体触媒の製造方法
Lin et al. Asymmetric synthesis of chiral β-hydroxy-α-amino acid derivatives by organocatalytic aldol reactions of isocyanoesters with β, γ-unsaturated α-ketoesters
WO2016193761A1 (en) Benzo[h]quinoline ligands and complexes thereof
Cheng et al. Synthesis of novel C3 symmetric tris (thiazoline) ligands and their application in the allylic oxidation reaction
CA2551412A1 (en) Transition metal complexes of n-heterocyclic carbenes, method of preparation and use in transition metal catalyzed organic transformations
CN107011218A (zh) 一种氟氮型胺化试剂、其制备方法和应用
CN114605273B (zh) 一种钯催化co参与的1,4-烯炔芳构化反应合成芳胺基酚类化合物的方法
CN109265319A (zh) 二(杂)芳基甲醇类化合物的制备方法
Müller et al. Desymmetrization of spiro-activated meso-cyclopropanes via nucleophilic substitution
JP2019011286A (ja) ホスフィン化合物及びこれを配位子とするカップリング用触媒
Hollmann et al. Pyrrolidine Activation: C–N Bond Cleavage and Formation and New Mechanistic Aspects in the Activation of the Shvo Catalyst
Baldino et al. Benzo [h] quinoline ligands and complexes thereof.
Martínez Cuezva et al. Gold (I)-Catalyzed enantioselective synthesis of functionalized indenes
KR20090081867A (ko) 구리촉매와 염기화합물 존재하에서 삼성분 짝지움 반응에의해 헤테로고리 화합물을 제조하는 방법 및 동 방법에의해 제조한 헤테로고리 화합물

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100408

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100408

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5323691

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees