JP5323019B2 - 実用的な電力系統のオンラインの動的信頼度評価とエネルギマージンの計算とのためのグループベースのbcu法 - Google Patents

実用的な電力系統のオンラインの動的信頼度評価とエネルギマージンの計算とのためのグループベースのbcu法 Download PDF

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Description

本発明は電力系統の分野に関し、より詳しくは、実用的な電力系統のオンライン過渡安定度分析と、オンライン動的信頼度評価と、エネルギマージン計算とのための方法に関する。
本来、電力系統は、自身の不安定性の元となる外乱を常に受けている。このような外乱は、事象外乱又は需要外乱と分類することが可能である。事象外乱は短絡故障であったり、発電機の損失であったり、送電線施設の負荷であったり、これらの組み合わせであったりする。需要外乱は、母線の集合での負荷変動であったり、指定された2つの集合の母線間での電力伝達であったり、これら2つの外乱の組み合わせであったりする。最近では、外乱による電力系統の停電が、ベルギー、カナダ、フランス、日本、スエーデンおよび米国を含むいくつかの国で何件か発生している。近代的なエネルギ管理システムでは、一般に、オンライン動的信頼度評価(DSA)を実行して、ある種の発生しうる想定故障(外乱)に耐える電力系統の能力を確かめようとはしない。我々の社会が信頼性の高い電気供給にますます依存するに連れ、また、停電が発生するとその経費がますます大きくなるに連れて、安定度制限に対する違反はいずれも、巨大なインパクト(財政的および物理的インパクト)を社会に及ぼしかねない。特に規制緩和の時代にあっては、オンラインDSAは、あらゆる潜在的な停電を避けるために必要とされる重要なツールである。
電力系統は、ある種の発生しうる外乱が発生してもそれに耐えるように計画され、操作されなければならない。現在のところ、近代的なエネルギ管理システム(EMS)だけが、オンライン静的信頼度評価というタスクを実行するが、オンライン動的信頼度評価(SSA)というタスクは実行しない。したがって、近代的EMSではいまだ、発生しうる想定故障(外乱)に耐える電力系統の能力を評価することは不可能である。発生しうる想定故障の集合とは、深刻な結果を伴って発生する可能性のある外乱の集合である。EMSを拡大してオンライン動的信頼度評価(DSA)を含むようにするのが望ましく、また、そうすることが、近代的な電力系統にとって必要なこととなりつつある。しかしながら、このような拡大は意欲をそそるタスクであるが、このような拡大に対する一貫した圧力にもかかわらず、部分的には経済的な動機によって、また、部分的には環境に対する配慮によって、DSAを実行することは長い間オフラインの活動にとどまっていた。実際、計算上の観点からすれば、オンラインの静的信頼度評価では、多量の非線形代数方程式を解く必要がある。しかしながら、オンライン動的信頼度評価(DSA)では、SSAで必要とされる非線形代数方程式に加えて、多量の非線形微分方程式を取り扱わなければならない。オンラインDSAで必要とされるこのような計算努力は、SSAで必要とされるそれのほぼ3倍の分量である。
現在のところ、世界中でユーティリティ内で通常用いられている過渡安定度分析プログラムは、専一にステップバイステップ数値的技法に基づいている。時間域方式を介するこの電力系統過渡安定度の慣行には長い歴史がある。この時間域方式は、その性質上いくつかの利点があるとはいえ、欠点もいくつかある。例えば、時間域方式では、時間のかかる計算努力を集中的に実行する必要があり、したがって、時間域方式は、オンラインで適用するには不安定であった。時間域方式は、安定度/不安定度の程度、すなわち、システムが過渡不安定度からどの程度隔たっているか、に関する情報を提供しない。この情報は、電力系統の計画と運営の双方にとって価値のあるものである。さらにそのうえ、時間域方式は、システムの安定度を維持するための増速制御動作や予防制御動作をどのように誘導するかについての情報を提供しない。
オンラインDSAは、工学上の恩典と財政上の恩典を多く提供する。その一部を列挙すると:(i)潜在的な停電を回避することが可能である、(ii)その動的信頼度評価を、オフライン調査で実行されるように、予測される最悪のケースの条件ではなく、実際のシステム構成と実際の操作条件とに基づいて実行すると、電力系統の操作マージンを10分の1以下に減少させることが可能である。オンラインDSAにはこのような能力があるが、これは、現行の電力系統環境に対する需要によって、電力系統の運営条件の準備マージンが低くなっているだけではなく、その安定度限界に近づいているという点で特に重要である。(iii)オンラインDSAによって財政的恩典をもたらすことが可能である。例えば、それによって、過渡安定度制限によって制約される伝達能力を正確に把握することが可能となる。伝達能力をこのように正確に計算することが可能であることによって、遠隔地にある製造コストの低い発電機を経済的に派遣することが可能となる。この経費節減は、中規模の電力系統にとってはかなりの金額、例えば、300Kドル/日となる。
機能的要件という観点からすると、オンラインDSAは次の要件を提供しなければならない。
・発生しうる想定故障のリストの迅速な安定度評価
・故障後定常状態を有しない不安定想定故障(システム崩壊につながる想定故障)の正確な識別
・負のエネルギマージンを有する不安定想定故障(システムの過渡不安定性につながる想定故障)の正確な識別
・過酷想定故障(少ないが正のエネルギマージンを持つ)の正確な識別
・エネルギマージン又は臨界故障除去時間という点での過渡不安定度に対する想定故障の選別とランク付け
・選択された不安定又は過酷な想定故障の詳細な時間域シミュレーション(想定故障の初期事象の後で、回転子の角度、回転子の回転数、電圧、電流、電力の流れなどのシステム変数を、制御と保護スキームや、他の考えられる動作上の事象、例えば、特殊保護スキームや、制御機能の動作状況又は運用者による操作に対する反応を加味して、シミュレートすべきである。)
オンラインDSAの場合に必要とされる計算上の負担を相当量軽減するために、多くの安定な想定故障を選別し、また、詳細なシミュレーションプログラムを潜在的に不安定な想定故障に適用するだけという効果的なスキームを用いる戦略が良好であると認識されている。この戦略は、オンラインSSAで実施して成功を収めており、また、オンラインDSAに適用することが可能であるかもしれない。発生しうる想定故障の集合があるとすると、この戦略では、オンラインDSAのタスクを次の2つの評価段階に分割する:
段階1:迅速な動的想定故障選別というタスクを実行して、明確に安定な想定故障を発生しうる想定故障の集合から選別する。
段階2:段階1の後で残っている想定故障の各々に対して詳細な安定度評価とエネルギマージン計算を実行する。
オンライン動的想定故障選別の分野における研究開発が文献中にいくつか報告されている。現在のところ、動的想定故障を選別するすべての既存の方法では、最初に、発生しうる想定故障の集合に対して、オフラインネットワークデータを用いて莫大な数値シミュレーションを実行して、動的なシステム動作の本質的安定度特徴を捕え、次に、分類器を構築して、新しく見たことのないネットワークデータに基づいてオンラインモードで想定故障を正確に分類することを試行する。このような方法では、オンライン計算要件と信頼性要件とを満足することは不可能である。
最近、BCU法と呼ばれる支配的不安定平衡点を発見するシステマティックな方法が開発され、Chiangの米国特許第5,483,462号[1]に開示された。しかしながら、いくつかの数値的調査では、BCU法は、BCU法で計算された不安定平衡点(UEP)がオリジナルの故障後システムの安定度境界上に常に存在するとは限らないという点で失敗であることが分かっている。したがって、オリジナルの故障後システムの安定度境界上にない計算されたUEPにおけるエネルギ値を、直接安定度評価のための臨界エネルギとして用いることは不可能である。最近、電力系統のオンライン動的想定故障選別用BCU分類器の集合が開発されて、ChiangとWangの米国特許第5,719,787号[2]に開示された。しかしながら、数値的シミュレーションの結果は、このBCU分類器は、不安定想定故障を安定なものと誤って分類しかねないことを示している。例えば、173母線式電力系統中の10個の不安定想定故障が安定なものであると誤って分類されており、したがって、動的信頼度分類器の信頼性要件に違反している。
実用的電力系統のオンライン動的信頼度選別用のいくつかの改良型BCU分類器から成る集合が開発され、[3]に開示されている。この改良型BCU分類器は、オンライン動的信頼度評価のための[2]に記載の5つの要件を満足するだけではない。さらにそのうえ、改良型BCU分類器は、選別された安定想定故障のエネルギマージンを計算する。
現時点では、BCU法の信頼性を劣化させる唯一の要因は、BCU法で計算した支配的UEPが常に真の(正しい)支配的UEPであるとは限らないということである。しかしながら、BCU法の核心である1パラメータ横断条件は容易に検証可能なものではないため、BCU法で計算されたCUEPの正確さに対して100%の信頼性を補償することは不可能である。このため、この1パラメータ横断条件を検証するのが困難であることを回避するだけではなく、BCU法の信頼性を改善できる新しい技法が必要とされる。本発明においては、我々は、臨界エネルギ値の計算におけるBCU法の信頼性と正確度の双方を向上させるはずの、グループベースのBCU法と名付けた、我々が発明した方法の開発を提示する。
我々は、我々の論議を、BCU法の理論的基盤がそれに基づいて構築されるいわゆる1パラメータ横断条件を紹介することから始める。その後で、BCU法で計算したCUPの正確度の検証に関する重要な問題点を分析的に扱う。
2.1 1パラメータ横断条件
BCU法では、1パラメータ横断条件は、BCU法で計算されたUEPが(故障後)電力系統の安定度境界上にあることを確実なものとするための十分条件である。我々は、1パラメータ横断条件は必要条件ではなく、また1パラメータ横断条件をチェックする数値的手順の開発はきわめて煩雑なものとなりかねず、また、不必要であることを指摘する。我々は、BCU法で計算されたUEPが(故障後)電力系統の安定度境界上に存在するかを検証する別の方式を採用することを提案する。この方式を説明するために、我々は最初に、BCU法における1パラメータ横断条件を見直す。
所与の電力系統モデルのためのBCU法を開発するに際して、関連する人工的な縮約状態モデルを定義しなければならない。縮約状態モデルを説明するために、我々は次に示す一般的なネットワーク保存過渡安定度モデルを考える:
Figure 0005323019
ここで、U(u,w,x,y)はスカラー関数である。オリジナルモデル(1)を考慮して、我々は、次の微分・代数系を人工的縮約状態モデルとして選ぶ。
Figure 0005323019
BCU法の基となる基本的な考え方を以下に説明する。ある電力系統安定度モデル(エネルギ関数を含む)を考えると、BCU法は、最初に、以下の静的関係と動的関係が満足されるような人工的縮約状態モデルを定義することを目的として、基礎を成すモデルの特殊な特性を探索する。
静的特性
(S1)縮約状態モデルの平衡点の位置はオリジナルモデル(1)の平衡点の位置に対応する。例えば、(u^,w^,x^,y^,0)がオリジナルモデル(1)の平衡点である場合にだけ、(u^,w^,x^,y^)は縮約状態モデルの平衡点である(ここで、0∈Rであり、mは適当な正の整数である)。
(S2)縮約状態モデルの平衡点のタイプはオリジナルモデルのそれと同じである。例えば、(u,w,x,y,0)がオリジナルモデルの安定平衡点である場合にだけ、(u,w,x,y)は縮約状態モデルの安定平衡点である。(u^,w^,x^,y^,0)がオリジナルモデルのkタイプの平衡点である場合だけ、(u^,w^,x^,y^)は縮約状態モデルのkタイプの平衡点である。
動的特性
(D1)人工的縮約状態モデルにはエネルギ関数が存在する。
(D2)平衡点、例えば、(u^,w^,x^,y^)は、平衡点(u^,w^,x^,y^,0)がオリジナルのモデル(1)の安定度境界∂A(u,w,x,y,0)上にある場合にだけ、縮約状態モデル(2)の安定度境界∂A(u,w,x,y)上に存在する。
(D3)投影された故障時軌跡(u(t),w(t),x(t),y(t))が故障後縮約状態モデル(2)の安定度境界∂A(u,w,x,y)に当たる点を、故障後縮約状態モデル(2)の出口点を計算するための繰り返し時間域手順に依存することなく、効率的に検出することは計算上可能である。
動的関係(D3)は、オリジナルモデルの出口点を計算する繰り返し時間域手順を適用する難しさを回避するBCU法を開発するうえで重要な役割を演じる。次に、BCU法は、安定度境界の特殊構造と縮約状態モデル(2)のエネルギ関数とを探索することによって人工的縮約状態モデル(2)の支配的UEPを発見する。次に、縮約状態モデル(2)の支配的UEPをオリジナルモデル(1)の支配的UEPに関連づける。
ある電力系統安定度モデルを仮定すると、それに対応する種類のBCU法が存在する。これらのBCU法は、オリジナルモデルのCUEPを直接的に計算することはないが、それは、支配的UEPを計算する際に重要なオリジナルモデルの出口点を計算するには、繰り返し時間域手順を必要とするからである。そうする代わりに、BCU法では、人工的縮約状態モデル(2)のCUEPを計算することによってオリジナルモデル(1)のCUEPを計算する。
我々は、次に、ある条件下では、オリジナルモデル(1)と人工的縮約状態モデル(2)とが静的関係(S1)及び(S2)並びに動的関係(D1)及び(D2)を満足することを示すある分析結果を提示する。計算スキームが開発されてBCU法に組み込まれて、動的関係(D3)が満足される。
定理1:(静的関係)
(u,w,x,y)を縮約状態モデル(2)の安定平衡点とする。次の条件:
(1)安定度境界∂A(u,w,x,y)上のすべてのUEP(u,w,x,y)(ここで、i=1,2,…,k)に対して、ゼロが(∂U(u,w,x,y))/(∂u∂w∂x∂y)の正則値であること。
(2)縮約状態モデル(2)の伝達コンダクタンスは十分小さいので、(u^,w^,x^,y^,0)がオリジナルモデル(1)のkタイプの平衡点である場合にだけ、(u^,w^,x^,y^)はkタイプの平衡点であること。
定理1の主張するところは、上記の条件下では、オリジナルモデル(1)と縮約状態モデル(2)との間では、静的特性(S1)と(S2)が成立するということである。
縮約状態モデル(2)には数値的エネルギ関数が存在することが分かる。具体的には、モデル(2)の状態空間のあらゆるコンパクトな集合Sに対して、正の数α画存在し、これで、モデルの伝達コンダクタンスが|G|<αを満足すれば、このコンパクトな集合S上で定義されたエネルギ関数が存在する。
動的特性(D2)を検査するために、我々は、1パラメータ化された系統d(λ)のファミリを導入する。
Figure 0005323019
定理1:(動的関係)
(u,w,x,y)を縮約状態モデル(2)の安定平衡点とする。次の条件:
(1)安定度境界∂A(u,w,x,y)上のすべてのUEP(u,w,x,y)(ここで、i=1,2,…,k)に対して、ゼロが(∂U(u,w,x,y))/(∂u∂w∂x∂y)の正則値であること、
(2)縮約状態モデル(2)の伝達コンダクタンスは十分小さいこと、
(3)1パラメータ化されたモデルd(λ)(3)の安定度境界∂A(u,w,x,y,0)上の平衡点の安定多様体と不安定多様体のすべての交点は、λ∈[0,1]に対する横断条件を満足すること、
を満足すると、
[1]平衡点(u,w,x,y,0)がモデル(1)の安定度境界安定度境界∂A(u,w,x,y,0)上にある場合だけ、平衡点(u,w,x,y)はモデル(2)の安定度境界安定度境界∂A(u,w,x,y)上にある。
[2]モデル(2)の安定度境界∂A(u,w,x,y)は、安定度境界∂A(u,w,x,y)上のすべての平衡点(u,w,x,y)(ここで、i=1,2,…,)の安定多様体の和集合である;すなわち:
∂A(u,w,x,y)=∪W(u,w,x,y) (4)
[3]モデル(1)の安定度境界∂A(u,w,x,y,0)は、安定度境界∂A(u,w,x,y,0)上のすべての平衡点(u,w,x,y,0)(ここで、i=1,2,…,)の安定多様体の和集合である;すなわち:
∂A(u,w,x,y,0)=∪W(u,w,x,y,0) (5)
定理1の主張するところは、上記の条件、すなわち条件(1)〜(3)の下では、動的特性(D2)が満足されるということである。さらにそのうえ、双方のモデルの安定度境界は完全に特徴化されている。条件(1)は一般的な特性であり、条件(2)と(3)はそうではない。我々は、条件(2)と(3)をチェックすることなく動的特性(D2)をチェックする方式を提示する。
概念ネットワーク保存BCU法
定理1と定理1とは、人工的縮約状態モデル(2)の支配的UEPを介してオリジナルネットワーク保存モデル(1)の支配的UEPを発見するための理論的基盤となるものである。ネットワーク保存モデルのための概念BCU法は、次の中で提示される:
ネットワーク保存モデルのための概念BCU法
ステップ1.ネットワーク保存モデル(1)の(維持されている)故障時軌跡(u(t),w(t),x(t),y(t),z(t))から、ネットワーク保存モデルの投影された軌跡(u(t),w(t),x(t),y(t))が故障後縮約状態モデル(2)の安定度境界から脱出する出口点(u,w,x,y)を検出する。
ステップ2.点(u,w,x,y)を初期状態として用いて、故障後縮約状態モデル(2)を積分して、出口点(u,w,x,y)を含む安定多様体を持つUEPを発見する。
ステップ3.ネットワーク保存モデル(1)の故障時軌跡を基準とした支配的UEPは、(u co,w co,x co,y co,0)である。
BCU法の本質は、効果的に計算可能な支配的UEPを持つ縮約状態モデル(2)の支配的UEPを計算することによってオリジナルモデル(1)の支配的UEPを計算することである。概念BCU法のステップ1と2とでは、縮約状態モデルの支配的UEP(すなわち、投影された故障時軌跡の支配的UEP)を発見する。ステップ3では、縮約状態モデル(2)の支配的UEPをオリジナルモデル(1)の支配的UEPと関連づける。BCU法は、基礎を成すオリジナルの電力系統化と安定度モデルの状態空間においてはCUEPの計算を実行しない。その理由は、CUEPの計算にとってキーとなるオリジナルモデルの出口点を計算するというタスクには、繰り返し時間域手順を必要とするからである。そうする代わりに、BCU法では、人工的縮約状態モデルのCUEPを計算することによってオリジナルモデルのCUEPを計算する。そのため、BCU法によるCUEP計算には、成功する度合いが変動する。BCU法で計算されたUEPは常にCUEPであるとは限らない。
1パラメータ横断条件は、概念BCU法の理論的基盤において重要な役割を演ずる。1パラメータ横断条件に違反すると、支配的UEPを計算する際にBCU法が不正確なものとなる。しかしながら、実用的な電力系統モデルは複雑であるため、1パラメータ横断条件は常に満足されるとは限らない。BCU法が正しい安定度評価を与えるのに失敗したことを示すいくつかの反証例がある。
上記の分析に基づいて、我々は別の方式を採用する。1パラメータ横断条件と小伝達コンダクタンス条件とをチェックする代わりに、UEP(u co,w co,x co,y co,0)がオリジナルモデルの安定度境界上に存在するかどうかを直接にチェックする、すなわち、動的特性(D2)をチェックすることを我々は提案する。我々はまた、動的特性(D2)を境界特性と呼ぶ。
境界特性は高ダンピングシステムには当てはまるが、低ダンピングシステムには当てはまらないことが分かる。それを越えると境界特性が当てはまる臨界ダンピング値をどのように決定するかという問題点は未解決のままである。臨界ダンピング値は、ネットワークのトポロジ、負荷条件及び用いられるシステムモデルを含む様々な要因によって異なるように思われる。
ダンピング項と境界特性
1パラメータ横断条件下では、BCU法で正確なCUEPを計算することが可能であることが分かっている。しかしながら、1パラメータ横断条件の検証も容易なタスクではない。現時点では、改良型BCU分類器の開発によって、BCU法の信頼性を劣化させる唯一の要因(すなわち、BCU法では、不正確な安定度評価が提供される)は、BCU法で計算された不安定平衡点(UEP)が常に、真の(正しい)支配的UEPであるとは限らないということである。さらにそのうえ、BCU法で計算されたUEPは境界条件を満足することさえない。我々の主張では、計算されたUEP(想定故障に対するそれ)は、計算されたUEPがオリジナルの想定故障後システムの安定度境界上に存在すれば、境界条件を満足すると言われている。
この要因は、BCU法ではあるタイプの想定故障に対してはなぜ不正確な安定度評価が提供されるという理由を明確に説明するものである。BCU法が失敗するのは、不十分なシステムダンピングのため境界条件に違反するからである。技術的に言えば、不十分なシステムダンピングによって、BCU法を基礎を成すパラメータ化された動的システムにおいてグローバル分岐が発生する。また一方では、BCU法は、境界条件が満足されれば非常に良好に実行され、加えて、システムダンピング項が十分大きければ境界条件が満足されることが分かっている。
BCU法では、あるタイプの想定故障(ケース)に対しては不正確な安定度評価が提供される。解説目的で、我々は、BCU法が場合によっては、多重スイング現象又は低ダンピング(light damping)のために正しい安定度評価を提供することに失敗する数値結果を提示する。いずれの場合も、BCU法は境界条件に違反したために失敗する。BCU法は、境界条件が満足されればうまくいき、さらにそのうえ、システムダンピング項が十分大きければ境界条件が満足されることが分かるであろう。
いくつかの数値例
我々は、BCU法を適用して、テストシステムの想定故障を分析する。我々は、BCU法が失敗する例をいくつか提示して、この失敗の発生する理由を指摘する。
表1に、BCU法が正しい安定度評価を提供するのに失敗するいくつかのケースを示す。我々は、このようなケースはすべて多重スイング現象を示しており、また、境界特性が満足されていないことを指摘する。表1にリストアップされているすべてのケースは同じグループ、すなわち、グループ#4に属している。我々はまた、BCU法がうまくいく例をいくつか表2に提示する。表2中のケースはすべて、コヒーレント想定故障からなる2つのグループ、すなわち、グループ#13とグループ#43に属し、また、これらはすべて境界条件を満足することを指摘すべきである。
Figure 0005323019
Figure 0005323019
Figure 0005323019
ダンピング係数
我々は、安定度評価の際のBCU法の信頼性は、システムのダンピングが大きくなるに連れて増大する(すなわち、より多くの想定故障に対して効く)ことを観察した。例えば、BCU法は、表3にリストアップされた想定故障に対しては、ダンピングが少ないため失敗するが、表4に示すように、システムのダンピング係数が増すに連れて、これらの想定故障の内の1部のもの、特に、グループ#52に対しては効き目がある。この表から、境界距離が1.0に近づく、言い換えれば、計算されたCUEPが、オリジナルシステムの安定度境界に近づくことが分かる。さらにそのうえ、このような想定故障が発生する対象電力系統の時間域動作が改善されるが、具体的には、過渡安定度が向上する。
我々がダンピング効果をさらに増大させるに連れて、BCU法の信頼性がさらに改善される。表5に、システムのダンピング係数が倍となっている他は表4のケースと同じケースの場合のBCU法の性能をリストアップする。BCU法で、コヒーレント想定故障の内でグループ#27、#39及び#52の想定故障の境界特性を満足するCUEPを計算する。加えて、グループ#35の各想定故障に対する計算されたUEPの境界距離はすべて1.0に近い値である。この結果は、システムのダンピング係数が増すに連れて、BCU法による計算されたCUEPの境界距離が増大し、また、BCU法による想定故障に対する境界条件の満足度も増大する。さらにそのうえ、このような想定故障が発生する対象電力系統の過渡安定度が向上することを明瞭に示している。
Figure 0005323019
Figure 0005323019
状態空間という観点からすると、システムのダンピングの増加によって計算されたUEPの境界距離が増大するということは、過渡安定度に対してダンピング項が影響を及ぼすこと、すなわち、故障後SEPの安定度領域を拡大することによって過渡安定度を向上させることを明らかに示しており、したがって、臨界故障除去時間とエネルギマージンとを増大させる。
これらの観察によって、境界特性がチェックされるグループベースのBCU法が開発されることになる。境界特性を効率的にチェックするスキームを開発するために、コヒーレント想定故障からなるグループという概念が提案され、探索される。いくつかのグループ特性を探索して調査する。このようなグループ特性は、グループベースのBCU法の開発に取り入れられる。グループベースのBCU法はまた、境界特性が満足されないような想定故障の臨界エネルギを計算するスキームを含む。
境界特性の導入によって、計算されたCUEPの正しさを、チェックするのが非常に難しい1パラメータ横断条件をチェックする代わりに、その境界特性をチェックすることによって、例えば、BCU法で、チェックすることが可能である。計算されたCUEPの境界距離を計算することによって、計算されたCUEPがオリジナルシステムの安定度境界上に存在するかどうか検証することが可能であり、計算されたCUEPの境界が1.0であれば、CUEPはオリジナルの故障後システムの安定度境界上にあり、そうでなければ、安定度境界上にはない。
境界特性はグループ特性である(グループ特性とは、そのグループ中のメンバーのすべてに対して成り立つ特性のことである)ことが分かり、したがって、コヒーレント想定故障から成る各グループ中の各計算されたUEPに対して境界距離を計算する必要はない。コヒーレント想定故障のグループ中のUEPの境界距離を計算すれば、そのグループ中のすべての想定故障の境界距離を十分決定することが可能である。グループ特性を探索すると、後で説明するように計算努力がかなり減少する。
我々は本発明において、グループベースのBCU−DSAと呼ばれる、近代的なエネルギ管理システムにおいて実用的な電力系統のオンライン動的信頼度評価を実行し、また、エネルギマージンの計算を実行する新規なシステムを説明する。この新規なシステムは、グループベースのBCU法(及び改良型BCU分類器)と詳細時間域シミュレーションプログラムとの双方の利点を効果的に探索することによって、オンライン動的信頼度評価とエネルギマージン計算との要件を満たすものである。このアーキテクチャには次の3つの主要なコンポーネントがある:(i)シーケンスを成す改良型BCU分類器であり、その主要な機能は、発生しうる想定故障の集合から明確に安定であるすべての想定故障を選別し、また、(潜在的に)不安定な想定故障のすべてを捕える分類器と、(ii)前記の(i)中のシーケンスを成す改良型BCU分類器によって捕えられた(潜在的に)不安定な想定故障と不確定想定故障との双方の安定度分析とエネルギマージン計算とのためのBCU法補助時間域プログラムと、(iii)グループベースのBCU法と、である。
上記の緊急の必要性を満たすため、本発明は、実用的な電力系統のオンライン動的信頼度評価(DSA)とエネルギマージン計算とを実行する信頼性が高く効果的なシステム、すなわち、グループベースのBCU−DSAを提供する。特に、本発明は次のものを開発する:
(i)境界特性をチェックする検証スキーム
(ii)BCU出口点法
(iii)コヒーレント想定故障のグループ
(iv)グループベースの検証スキーム
(v)グループベースのBCU出口点法
(vi)グループベースのBCU法
(vii)改良型BCU分類器
(viii)グループベースのBCU−DSA
3.1 検証スキーム
本発明において、我々は、BCU法によって計算されたUEPの境界条件をチェックする検証スキームを提案する。この検証スキームは、1パラメータ横断条件をチェックするという非常に困難なタスクを克服するものである。我々は、UEP、例えば、XUEPがSEP、例えば、X postの一般的非線形動的システムの安定度境界上に存在するかどうかをチェックする計算手順を提示する。
ステップ1.(選択ステップ)
ある点(テストベクトル)を選択する。実際に実施する際には、我々は選択された各UEP、例えば、XUEPのテストベクトルを、次式を用いて計算する:
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、αは1よりも小さい1.0に近い正の数であり、例えば、0.99である。X postは想定故障後のSEPである。
ステップ2.(チェックステップ)
故障後オリジナルシステムの軌跡をXtestからシミュレートすることによってXUEPの境界条件をチェックする。一意に定まるシステム軌跡がX postに収束すれば、XUEPは故障後オリジナルシステムの安定度境界上にあり、そうでなければ、この境界上にはない。
3.2 BCU出口点法
計算されたUEPの境界条件に違反すると、計算されたUEPはオリジナルの(故障後の)システムの安全度境界上には存在しない。したがって、計算されたUEPでのエネルギ値を臨界エネルギとして用いるのは不適切である。すると、この問題点は、境界条件に違反すると臨界エネルギとして用いることが可能なエネルギ値を持つ点をどのように発見するかということになる。本発明において、我々はこの問題点に対処するためにBCU出口点法を開発する。
BCU出口点法
所与の条件:ある電力系統過渡安定度モデルと、対象想定故障と、故障後電力系統モデルのエネルギ関数を考える。
ステップ1.BCU法を用いて、対象想定故障のCUEPと故障後SEPとを計算する。
ステップ2.ステップ1での計算されたCUEPに対して検証手順を適用する。境界条件が満たされれば、対象想定故障の臨界エネルギは計算されたCUEPでのエネルギ値であり、ステップ4に進み、そうでなければ、次のステップに進む。
ステップ3.効果的な時間域ベースの方法を適用して、対応するBCU出口点を計算する。対象想定故障の臨界エネルギは、BCU出口点でのエネルギ値である。
ステップ4.臨界エネルギ値に基づいて、安定度評価を実行して、対象想定故障のエネルギマージンを計算する。
3.3 コヒーレント想定故障のグループ
本発明では、我々は、コヒーレント想定故障から成るグループという概念を開発し、また、このコヒーレント想定故障グループ内でもいくつかの特性を探索する。我々は、想定故障のグループに対するBCU法で計算されたUEPは互いに近づく傾向があることを発見する。このようなUEPは状態空間中では互いに近接しており、他方、この想定故障グループの故障の位置は地理的空間中で互いに近接している。この想定故障グループは、コヒーレント想定故障のグループと呼ばれる。我々はまた、想定故障のリストをコヒーレント想定故障のグループに分類することが可能であることを発見する。多くの想定故障を含んでいるグループもあれば、少ない想定故障を含んでいるグループもある。
我々は、コヒーレント想定故障の各グループ内で、SEP距離が最大であるUEPとSEP距離が最小のUEPとによって、そのグループ中のすべてのUEPに対する境界特性が識別されることを発見するが、より具体的には、我々は次のグループ特性を発見する:
グループ特性1:SEP距離が最大であるUEPとSEP距離が最小のUEPの双方が境界条件を満足すれば、コヒーレントグループ全体のUEPがすべて、対応するオリジナルシステムの安定度境界上に存在する。言い換えれば、コヒーレントグループの「双方の端部」にあるUEPが対応するオリジナルシステムの安定度境界上にあれば、グループ全体のUEPもまた、オリジナルシステムの安定度境界上にある。
グループ特性2:SEP距離が最大であるUEPとSEP距離が最小のUEPのどちらも境界条件を満足しなければ、グループ全体のUEPもまた、オリジナルシステムの安定度境界上にはない。
最大のSEP距離と最小のSEP距離との間の差が小さい場合には、グループ特性1は次のように表すことが可能である:
グループ特性1−A:SEP距離が最大であるUEPが境界条件を満足すれば、コヒーレントグループ全体のUEPはすべて、対応するオリジナルシステムの安定度境界上にある。
最大のSEP距離と最小のSEP距離との間の差が小さい場合には、グループ特性2は次のように表すことが可能である:
グループ特性2−A:SEP距離が最大であるUEPが境界条件を満足しなければ、コヒーレントグループ全体のUEPのどれもが、対応するオリジナルシステムの安定度境界上にない。
我々は、コヒーレント想定故障のグループをいくつかのコヒーレント想定故障グループに再分類し、これで、特性1と特性2とが満足されるようにするための指針を開発する。
再分類のための指針:上記2つのUEPの内の一方、すなわち、SEP距離が最大であるUEPとSEP距離が最小のUEPの内のどちらかが境界条件を満足し、他方が満足しない場合、コヒーレントグループ全体の内で、境界条件を満足するUEPもあれば、満足しないUEPもある。
想定故障のリストがあると、我々はBCU法を適用して、この想定故障リスト中の各想定故障に対する支配的UEPを計算する。次に、我々は、想定故障リスト中のすべての想定故障を、計算されたUEPの座標とそのSEP距離との間の差に基づいてコヒーレント想定故障のグループに分類する。いくつかの分類スキームを開発することが可能であるが、これらは特性1と特性2とを満足すべきである。
3.4 グループベースの検証スキーム
本発明で、我々は、コヒーレントグループ中の(想定故障に対する)各計算されたUEPがその対応するオリジナル(故障後)システムの安定度境界上にあるかどうかをチェックする効果的な数値的手順を開発する。特に、我々は、本発明において、コヒーレント想定故障グループに対する境界特性をチェックするグループベースの手順を開発する。
グループベースの検証手順
ステップ0:あるコヒーレント想定故障グループがあるとする。
ステップ1.(選択ステップ)
このコヒーレント想定故障グループに対して、このコヒーレント想定故障グループから1つの想定故障又は2つの想定故障を境界特性の検証のために選択する次の判定基準を我々は提案する。コヒーレント想定故障中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満である場合、そのグループ中の最大のSEP距離を持つ計算されたUEPを選択し、そうでなければ、最大のSEP距離を持つ計算されたUEPとそのグループ中で最小のSEP距離を持つ計算されたUEPを選択する。
ステップ2.(チェックステップ)
選択ステップで選択された想定故障に対応する計算されたUEPの境界条件をチェックする。我々は、選択されたUEP、例えば、XUEPに対してテストベクトルを次式を用いて計算する:
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、X postは、XUEPに対応する想定故障の故障後SEP、αは1に近い正の実数。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。この故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界条件を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ3.(評価ステップ)
ステップ2のチェックの結果に基づいて、次の評価結果が得られる。
(1)選択されたUEPが境界条件を満足すれば、全グループ中のコヒーレント想定故障の計算されたUEPは、(オリジナルの)故障後システムの安定度境界上に存在する。
(2)選択されたUEPの内のどれもが境界条件を満足しなければ、グループ全体のUEPは(オリジナルの)故障後システムの安定度境界の外にある。
3.5 グループベースのBCU出口点法
我々は、本発明において、1部のグループ特性を探索して、コヒーレントグループ中の各想定故障に対してBCU出口点を計算するという難しさを克服することによってグループベースのBCU出口点法を開発する。境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループがあるとして、我々は、そのグループ中の想定故障毎に臨界エネルギを計算する次のグループベースのBCU出口点法を開発する。次に、このグループベースのBCU出口点法のフローチャートを示す(図3)。
グループベースのBCU出口点法
所与の条件:境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループがあるとして、次のステップによって、コヒーレントグループ中の想定故障毎に臨界エネルギを決定する。
ステップ1.(選択ステップ)
このコヒーレント想定故障のグループから、想定故障、例えば、Lに対する最大のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えば、X UEPを選択し、また、想定故障、例えば、Lに対する最小のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えば、X UEPを選択する。
ステップ2.(BCU出口点)
それぞれX UEPとX UEPとの対応するBCU出口点を計算する。それらの計算値をそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ3.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ4.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
3.6 グループベースのBCU法
我々は、本発明において、グループベースの検証スキーム、すなわち、本発明のグループベースのBCU出口点法を統合したグループベースのBCU法を開発する。この発明されたグループベースのBCU法は、BCU法の信頼性を改善するだけではなく、直接過渡安定度評価におけるBCU法の過小評価性をも改善する。
グループベースのBCU法
ステップ1.BCU法を用いて、想定故障リスト中の各対象想定故障の支配的UEPと故障後SEPとを、この想定故障リストが終了するまで、計算する。
ステップ2.(分類ステップ)各想定故障と関連する計算されたUEPを、特性1と特性2とを満足するようなコヒーレント想定故障グループに分類する。
各UEPグループに対して、次のステップを実行する:
ステップ3.(選択ステップ)グループ中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満の場合、最大のSEP距離を持つUEPが選択され、そうでなければ、最大のSEPを持つUEPと最小のSEP距離を持つUEPとが選択される。
ステップ4.(チェックステップ)選択されたUEPの境界特性をチェックする。実際に実施する場合、我々は選択された各UEP、例えば、XUEPに対するテストベクトルを次式を用いて計算する。
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、α<1は正の数であって1.0に近い、例えば0.99という値であり、X POSTは想定故障の故障後SEP、XUEPは選択されたUEPである。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界特性を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ5.選択されたUEPが境界特性を満足すれば、グループ全体のUEPはオリジナルシステムの安定度境界上にあり、ステップ6に進む。選択されたUEPのどれもが境界特性を満足しない場合、グループ全体のUEPは安定度境界外にあり、ステップ7に進む。
ステップ6.コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障の臨界エネルギ値は、計算されたUEPにおけるエネルギ値であり、ステップ11に進む。
ステップ7.最大のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとし、また、最小のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとする。
ステップ8.(BCU出口点)
それぞれX UEPとX UEPとに対する対応するBCU出口点を計算する。これらをそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ9.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ10.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
ステップ11.臨界エネルギに基づいて、直接安定度評価を実施し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対するエネルギマージンを計算する。
3.7 改良型BCU分類器
改良型BCU分類器の設計の主要目的は、[3]で説明したオンライン動的想定故障選別の5つの要件をすべてが満足されることを確実なものとすることである。
入力:動的信頼度評価のための関連データを持つ電力系統モデルと対象想定故障
出力:電力系統の想定故障に対する安全度評価とエネルギマージン値
この改良型BCU分類器は、次のステップで実行される(図4を参照):
ステップ1.BCU分類器I:想定故障をこの改良された分類器に送ると、プログラムは最初に、ネットワーク分離の有無という問題を検出する分類器であるBCU分類器Iをチェックする。BCU分類器Iでは、電力系統が想定故障のためいくつかの部分に分離されたときは想定故障下にある電力系統はきわめて不安定であると考えられる。そのため、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障に割り当てられて、計算を停止するが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIに送られる。
ステップ2.BCU分類器II−AとBCU分類器II−B:対象想定故障下にある故障後SEPを計算する。故障後SEPが発見されなければ又は故障後SEPは発見されたが故障前SEPからはるかに隔たっていれば、分類器2−Aでは、対象想定故障は非常に不安定であると評価され、大きい負のエネルギマージン、例えば−999が、対象想定故障に割り当てられて計算を終了する。故障後SEPが故障前SEPからあまり隔たっていなければ、分類器2−Bにより対象想定故障はやはり非常に不安定であると考えられるが、予備評価を検証するには時間域シミュレーションが必要である。それが実際不安定であれば、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、を対象想定故障に割り当てて手順を停止するが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIIに送られる。
ステップ3.BCU分類器III:出口点を計算する。出口点が指定された期間内で発見されなくて、この指定された期間の終点におけるポテンシャルエネルギが正でない場合、BCU分類器IIIにより対象想定故障は非常に安定であると評価され、大きいエネルギマージン、例えば999、を対象想定故障に割り当てて計算を終了し、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IVに送られる。
ステップ4.BCU分類器IV:最小勾配点(MGP)を計算する。射線調整(ray adjustment)の手順が失敗するか又はMGPを指定されたステップ数以内で発見することが不可能である場合、BCU分類器IVより対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、計算が終了し、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器Vに送られる。
ステップ5.BCU分類器V:支配的UEPを計算する。支配的UEPを発見できない場合、BCU分類器Vより対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、計算が終了するが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器VIに送られる。
ステップ6.BCU分類器VI:エネルギマージンを、計算された支配的UEPにおけるエネルギ値に基づいて計算する。エネルギマージンが正であれば、対象想定故障は安定であると評価され、そうでなければ、不安定であると評価される。これで、計算は完了する。
改良型BCU分類器のステップ6を修正して、次に説明するようにBCU法の過小評価性を改善することが可能である:
ステップ7.BCU分類器VI:エネルギマージンを、計算された支配的UEPにおけるエネルギ値に基づいて計算する。エネルギマージンが負であれば、このケースは不安定であると評価されて、この評価を検証するために、時間域シミュレーションエンジンが必要とされる。この評価が時間域エンジンによって逆転されると、そのエネルギマージンを、BCU法補助の時間域計算エンジンを用いて再計算する。エネルギマージンが正であれば、対応するエネルギマージンと安定度評価は不変のまま保持され、計算が終了する。
3.8 グループベースのBCU−DSA
本発明は、実用的な電力系統のオンライン動的信頼度評価とエネルギマージン計算とを実行する新規なシステム、すなわち、グループベースのBCU−DSAを提供する。グループベースのBCU−DSAのアーキテクチャは、次の3つの主要なコンポーネントから成っている:8つの改良型BCU分類器から成る動的オンライン分類プログラムと、BCU法補助時間域シミュレーションプログラムと、グループベースのBCU法とである。バージョンIのグループベースのBCU−DSAシステムを次のステップで実行する。
入力:動的信頼度評価用の関連データと発生しうる想定故障のリストとを持つ電力系統モデル
出力:安定度評価(すなわち、安定であるか不安定であるか)、エネルギマージン値及び、発生しうる想定故障のリストの各想定故障に対する推定の臨界故障除去時間
各想定故障を以下のステップで実行する:
ステップ0:発生しうる想定故障のリストのすべての想定故障を連続的に入力する。
改良型BCU分類器とBCU法補助時間域プログラム
ステップ1.BCU分類器I:想定故障が改良型BCU分類器に送られると、プログラムは最初に、ネットワーク分離の有無という問題を検出する分類器であるBCU分類器Iをチェックする。BCU分類器Iにより、電力系統が想定故障のためいくつかの部分に分離されたと判断されると、想定故障下にある電力系統はきわめて不安定であると考えられ、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障に割り当てられて、臨界故障除去時間の推定値がゼロとなって、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIに送られる。
ステップ2.BCU分類器II−AとBCU分類器II−B:対象想定故障下にある故障後SEPを計算する。故障後SEPが発見されなければ又は故障後SEPは発見されたが故障前SEPからはるかに隔たっていれば、分類器2−Aにより、対象想定故障は非常に不安定であると評価されて、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障に割り当てられて、臨界故障除去時間の推定値がゼロになって、ステップ0に進み、そうでない場合、故障後SEPが故障前SEPからあまり隔たっていなければ、分類器2−Bにより対象想定故障はやはり非常に不安定であると考えられるが、予備評価を検証するには時間域シミュレーションが必要である。それが実際不安定であれば、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、を対象想定故障に割り当てて、臨界故障除去時間の推定値がゼロになってステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIIに送られる。
ステップ3.BCU分類器III:出口点を計算する。出口点が指定された期間内で発見されなくて、この指定された期間の終点におけるポテンシャルエネルギが正でない場合、BCU分類器IIIにより、対象想定故障は非常に安定であると評価され、次に、大きいエネルギマージン、例えば999、を対象想定故障に割り当てて、臨界故障除去時間の推定値は非常に大きいとされ、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IVに送られる。
ステップ4.BCU分類器IV:最小勾配点(MGP)を計算する。射線調整の手順が失敗する又はMGPポイントを射線調整での指定されたステップ数以内で発見することが不可能である場合、BCU分類器IVにより、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、臨界故障除去時間をエネルギマージンとエネルギと、故障後システム軌跡からも止まるエネルギーを利用して計算し、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器Vに送られる。
ステップ5.BCU分類器V:支配的UEPを計算する。支配的UEPを発見できない場合、BCU分類器Vにより、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、臨界故障除去時間をエネルギマージンと故障後システム軌跡から求まるエネルギを利用して計算し、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器VIに送られる。
グループベースのBCU法
ステップ6.このステップに送られてきた各対象想定故障の計算されたUEPと故障後SEPとを記憶する。想定故障のリストが終了したかどうかチェックする。想定故障リストが終了していれば、次のステップに進み、そうでなければ、ステップ0に進む。
ステップ7.(分類ステップ)各想定故障と関連する計算されたUEPを、特性1と特性2とを満足するように、コヒーレント想定故障のグループに分類する。
計算されたUEPの各グループに対して、コヒーレント想定故障のすべてのグループが実行されるまで、次のステップを実行する:
ステップ8.(選択ステップ)グループ中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満の場合、最大のSEP距離を持つUEPが選択され、そうでなければ、最大のSEPを持つUEPと最小のSEP距離を持つUEPとが選択される。
ステップ9.(チェックステップ)選択されたUEPの境界特性をチェックする。実際に実施する場合、選択された各UEP、例えば、XUEPに対するテストベクトルを次式を用いて計算する。
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、α<1は正の数であって1.0に近い、例えば0.99という値であり、X POSTは想定故障の故障後SEP、XUEPは選択されたUEPである。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界特性を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ10.選択されたUEPが境界特性を満足すれば、グループ全体のUEPはオリジナルシステムの安定度境界上にあり、ステップ11に進む。選択されたUEPのどれもが境界特性を満足しない場合、グループ全体のUEPは安定度境界外にあり、ステップ12に進む。
ステップ11.コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障の臨界エネルギ値は、計算されたUEPにおけるエネルギ値であり、ステップ16に進む。
ステップ12.最大のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとし、また、最小のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとする。
ステップ13.(BCU出口点)
対応するX UEPとX UEPをそれぞれ計算する。これらをそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ14.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ15.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
ステップ16.臨界エネルギに基づいて直接安定度評価を実施して、エネルギマージンを計算し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対して、エネルギマージンと故障後軌跡のエネルギとに基づいて臨界故障除去時間を出力する。
グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンII)を、ステップ16を次のように拡大する以外は、グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)と同じステップ順序で実行する:
ステップ16.臨界エネルギに基づいて直接安定度評価を実施して、エネルギマージンを計算し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対して、エネルギマージンと故障後軌跡のエネルギとに基づいて臨界故障除去時間を出力する。
ステップ17.コヒーレント想定故障の各グループに対して、そのグループ中の想定故障が不安定であると評価されたらステップ18に進み、そうでなければ、コヒーレント想定故障のグループがすべてチェックされるまで、次のコヒーレント想定故障グループをチェックする。
ステップ18.故障除去時間の時の状態を初期状態として、対応する故障後システムの時間域シミュレーションを実行する。故障後システム軌跡が不安定であると評価されたら、対応するエネルギマージンと、安定度評価と、臨界故障除去時間の推定値とが不変のまま保持され、そうでなければ、それは安定な想定故障であって、BCU法補助時間域シミュレーションに送られて、エネルギマージンの計算と臨界故障除去時間の推定とが実行される。そして、ステップ17に進む。
境界距離計算と臨界エネルギ計算のための単一メンバーグループの完全なグループベースの分析は必要ではない。我々は次のことを提案する。
・グループベースのBCU−DSAでは、グループベースのBCU法をコヒーレント想定故障の複数メンバーグループに適用する。
・グループベースのBCU−DSAでは、BCU法補助時間域法をコヒーレント想定故障の単一メンバーグループに適用する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる実用的な電力系統のオンラインの動的信頼度評価とエネルギマージンの計算とのためのグループベースのBCU法について説明する。
現時点では、改良型BCU分類器が開発されたことにより、BCU法の信頼性を劣化させる(すなわち、BCU法は不正確な安定度評価をする)唯一の要因は、BCU法で計算された不安定平衡点(UEP)が常に真(正しい)支配的UEPであるとは限らないということである。さらにそのうえ、BCU法で計算されたUEPは、境界条件を満足させしないことがある。(想定故障に対する)計算されたUEPは、この計算されたUEPがオリジナルの想定故障後システムの安定度境界上にあれば、境界条件を満足するといわれている。
この要因は、BCU法があるタイプの想定故障に対しては不正確な安定度評価を与える理由を明確に説明するものである。BCU法は、不十分なシステムダンピングによる境界条件違反のため失敗する。技術的にいえば、システムダンピングが不十分であると、BCU法の基礎を成すパラメータ化された動的システムにグローバル分岐が発生する。他方、BCU法は、境界条件が満足されれば良好に作動し、加えて、境界条件は、システムダンピング項が十分長ければ満足されることが分かっている。
これらの開発によって我々は、チェックするのが非常に難しい1パラメータ横断条件をチェックするのではなく、BCU法をその境界条件をチェックすることによって検証することが可能となる。計算されたUEPの境界距離を計算することによって、計算されたUEPがオリジナルシステムの安定度境界上にあるかどうかを検証可能であり、すなわち、計算されたUEPの境界距離が1.0であれば、UEPはオリジナルの故障後システムの安定度境界上にあり、そうでなければ、境界上にない。
我々は、境界条件はグループ特性(グループ特性とは、そのグループ中のすべての想定故障に対して成立する特性のことである)であることを発見した。したがって、コヒーレント想定故障の各グループ中のすべての計算されたUEPの境界距離を計算する必要はない。コヒーレント想定故障のグループ中のある想定故障に対応する計算されたUEPの境界距離を計算して、そのグループ中の他の想定故障の境界条件を検証するだけで十分である。グループ特性を探索すると、実際、計算労力がかなり減少する。想定故障が一対一で対応する方式でBCU法を検証する手順と比較して、想定故障のグループ全体に対してBCU法を検証する手順は、コヒーレント想定故障のグループ特性を探索するので、より効果的である。これがグループベースのBCU法の精神である。
5.1 境界特性
BCU法では、境界条件は、オリジナルシステムの対応するUEPに対して縮約状態システムの計算されたUEPを関連づける重要な特性である。計算されたUEPの境界条件が満足されることによって、縮約状態システムの計算されたUEPに対して、オリジナルシステムのそれと対応するUEPがオリジナルシステムの安定度境界上に確実に存在することになる。また、それによって、この計算されたUEPでのエネルギ値を対象想定故障の臨界エネルギとして用いることが可能となる。
一般に、BCU法は、境界条件を満足する、すなわち、境界条件が成立するような想定故障に対しては良好に作動する。他方、境界条件に違反するような想定故障に対しては、BCU法は不正確な安定度評価とエネルギマージン計算を提供する。境界条件をチェックするため、我々は、本発明において、境界距離(BD)と呼ばれる性能指標を開発する。この指標は、計算されたUEPの境界条件を数値検証するために開発されている。その境界距離が1.0である場合だけ、計算されたUEPはオリジナルの故障後システムの安定度境界上にある。BCU法による計算されたUEPがオリジナルの故障後システムの安定度境界上にあれば、この計算されたUEPでのエネルギ値を対象想定故障の臨界エネルギとして用いることが可能である。境界距離という概念は、グラフ図解の手を借りれば明瞭に説明可能であることに注意すべきである。ある計算されたUEPがあるとすると、我々は、この計算されたUEPとその故障後SEPとの間に射線を引いて、その射線とオリジナルシステムの安定度境界との間の交点を特定する。この計算されたUEPが安定後領域の外にあれば、射線は故障後SEPの安定度境界と交わる。SEPに始まる射線に沿ったこの第1の交点はBCU出口点(又はUEP出口点)と呼ばれる(図1を参照)。計算されたUEPが境界条件を満足すれば、BCU出口点は計算されたUEP自身である。この交点は、時間域シミュレーション方式で計算することが可能である。次に、我々は、計算されたUEPの境界距離を、交点と故障後SEP間のユークリッド距離を計算されたUEPとその故障後SEP間のユークリッド距離で除算したスカラーとして定義する(図2参照)。UEPの境界距離は1.0を越えることはないことに注意すべきである。UEPの境界距離が1.0であれば、そのUEPはオリジナルシステムの安定度境界上にあり、そうでなければ、その安全度境界外にある。したがって、境界距離が小さいほど、UEPはオリジナルシステムの安定度境界らより隔たっている。計算されたUEPは、それがオリジナル故障後システムの安定度境界上にあれば、BCU出口点に等しいので、この計算されたUEPは、その境界距離が1.0である場合にだけ、オリジナル故障後システムの安定度境界上に存在する。
実用的な観点からすれば、計算されたUEPは、その境界距離が1.0に近い、例えば、0.97と1の間であれば、オリジナル故障後システムの安定度境界上に存在するものと考えられる。これは、数値誤差が計算プロセス中に発生し得るという考慮によるものである。
5.2 検証スキーム
我々は、本発明において、BCU法によって、計算されたUEPの境界条件をチェックする検証スキームを提案する。この検証スキームは、1パラメータ横断条件をチェックするという非常に困難なタスクを克服するものである。計算されたUEPの境界距離を計算することによって、計算されたUEPがオリジナルシステムの安全度境界上にあるかどうか検証可能である;すなわち、計算されたUEPの境界距離が1.0であればそのUEPはオリジナル故障後システムの安全度境界上にあり、そうでなければ、安全度境界上にはない。
UEPが一般的な非線形動的システムの安全度境界上にあるかどうかをチェックするタスクは非常に時間がかかることがよく認識されよう。我々は、UEP、例えばXUEP、がSEP、例えばX postという一般的非線形動的システムの安全度境界上にあるかどうかをチェックする計算手順を提示する。
ステップ1.(選択ステップ)
ある点(テストベクトル)を選択する。実際に実施する際には、我々は選択された各UEP、例えば、XUEPのテストベクトルを、次式を用いて計算する:
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、X postはSEP、αは1に近い正の実数(例えば、0.99)である。
ステップ2.(チェックステップ)
故障後オリジナルシステムの軌跡をXtestからシミュレートすることによってXUEPの境界条件をチェックする。一意に定まるシステム軌跡がX postに収束すれば、XUEPは故障後オリジナルシステムの安定度境界上にあり、そうでなければ、この境界上にはない。
上記の手順の理論的基盤は、安全度境界の特性である。XUEPが安全度境界上にあれば、テストベクトルXtestは安全度領域の内部にあるはずであり、そうでなければ、XUEPは安全度境界外にあるはずである。上記の手順で必要とされる計算努力は、1回の時間域軌跡シミュレーションにほぼ匹敵する。
上記の手順を適用して、BCU法で計算した各UEPを検証することが可能である。しかしながら、この検証手順には、故障後オリジナルシステムの時間域軌跡シミュレーションを1回実行する必要がある。この検証手順を改善するためには、我々は、想定故障のリスト中にコヒーレント想定故障が存在することとそのグループ特性が存在することとを発見した。言い換えれば、我々は、コヒーレント想定故障から成るいくつかのグループが想定故障リスト中に形成されていることをそのグループ特性が形成されていることとを発見した。我々はまた、これらのグループ特性を探索して、コヒーレント想定故障の各グループに対する検証手順を改善した。具体的には、我々は、コヒーレント想定故障のグループ中の各想定故障に対して各計算されたUEPの境界条件を迅速にしかも正確に検証するグループベースの検証スキームを開発した。その詳細は後に提示する。
2つのテストシステムに関する我々の数値的考察では、境界条件を満足するすべての計算されたUEPの比率は、これら2つのテストシステムでは87.0%から87.7%の範囲にある。この2つのテストシステムは111発電機システムと134発電機システムである。
5.3 補正スキーム−BCU出口点法
過渡安定度分析のための直接的方法によって、故障後システム軌跡が安定のままであるかどうかを、基礎を成す故障が除去された直後の状態におけるシステムエネルギを臨界エネルギと比較することによって判定する。故障除去点におけるエネルギが臨界エネルギ未満であれば、故障後システム軌跡は安定であり、そうでなければ、不安定である。したがって、臨界エネルギ値を不正確に決定すると、次の問題が発生し得る:
問題1(P1):臨界エネルギが過大評価されると、不安定な想定故障が安定であると分類される。
問題(P2):臨界エネルギを不当に過小評価して計算すると、安定な想定故障は判定であると分類される。
したがって、想定故障の安定度を正しく評価するためには、臨界エネルギを正確に計算することが必須である。
我々は理論的結果を展開して、想定故障の正確な臨界エネルギ値は、故障時軌跡と故障後電力系統の安定度境界との交点である(オリジナルの)出口点でのエネルギ値であり、また、それに加えて、(オリジナルの)出口点は時間域シミュレーションにおける臨界故障除去時間(CCT)に対応することを示した。(CCTを得るために)時間シミュレーションを数回実行する必要があるオリジナルの出口点を得る際の計算努力を改善するために、我々はまた[4]で、支配的不安定平衡点(CUEP)でのエネルギ値が正確な臨界エネルギとなることを示した。したがって、BCU法などのある方法による計算されたUEPが実際に、故障後電力系統の安定度境界上に存在する支配的UEPであることを検証することが重要である。我々は、CUEPは、故障時軌跡と交わる安定な多様体を持つ故障後電力系統の安定度境界上のUEPであることに注目する。
すでに示したように、計算されたUEPの境界条件に違反すると、この計算されたUEPはオリジナルの(故障後)システムの安定度境界上にはない。したがって、計算されたUEPでのエネルギ値を臨界エネルギとして用いるのは不適切である。すると、問題点は、境界条件に違反したときに臨界エネルギとして用いることが可能なエネルギ値を持つ点をいかにして発見するかということになる。本発明において、我々は、この問題点に対処するためにBCU出口点法を開発する。
BCU出口点法の1つの主要な設計目標は、前記の問題(P1)と(P2)とを解決して次の状況に到達することである。
(S1)BCU出口点法はエネルギマージンを過大評価しない、言い換えれば、BCU出口点法は不安定な想定故障を安定であると分類することはない。
(S2)BCU出口点法は、BCU法で計算されたエネルギマージンより大きめにエネルギマージンを計算する。
BCU出口点法
境界条件に違反する計算されたUEPはすべて、1つの共通した特性、すなわち、対応する故障後SEPの安定度境界上にではなく、安定度領域の外部に存在するという特性を共有する。計算されたUEPでのエネルギ値は臨界エネルギとして用いることが不可能である。このような状況下では、我々は、BCU出口点を計算して、それを臨界エネルギとして用いることを提案する。
次に、我々は、BCU出口点を定義する。境界条件に違反している、想定故障に対する(BCU法による)計算されたUEPを考える。我々は、対応する故障後SEPと計算されたUEPを接続する射線を引く。計算されたUEPは安定度領域外にあるので、射線は故障後SEPの安定度境界と交わる。SEPに始まる射線との第1の交点はBCU出口点と呼ばれる。計算されたUEPが境界条件を満足すれば、BCU出口点は計算されたUEP自身である。
BCU出口点は、BCU出口点法の開発に重要な役割を演じる。それはまた、境界条件に違反する想定故障のコヒーレントグループ中の各想定故障の正確な臨界エネルギ値を決定するグループベースのBCU出口点法の開発にも重要な役割を演じる。
計算されたUEPの境界距離が1.0未満であれば、その計算されたUEPは安定度境界外にあり、計算されたUEPでのポテンシャルエネルギを臨界エネルギとして用いることが可能であることに注意すべきである。次に、我々は、BCU法による計算されたUEPが境界条件に違反したすべての想定故障の正確な臨界エネルギを計算するBCU出口点法を提示する。BCU出口点法が実用的であるためには、次の判定基準を満たさなければならない:
(C1):エネルギマージンの計算値は、正確なエネルギマージンと比較して、常に過小評価であるが過小評価すぎることはない。
この判定基準(C1)は、一般に直接的方法の精神と特に支配的UEP法の精神とに沿ったものである。
我々は、対象想定故障下にある電力系統を考える。次のBCU出口点法は、対象想定故障の正確な臨界エネルギを計算する。
BCU出口点法
所与の条件:電力系統過渡安定度モデルと、対象想定故障と、故障後電力系統のエネルギ関数とがあるとする。
ステップ1.BCU法を用いて、CUEPと対象想定故障の故障後SEPとを計算する。
ステップ2.検証手順を、ステップ1の計算されたCUEPに適用する。境界条件が満足されれば、対象想定故障の臨界エネルギは計算されたCUEPでのエネルギ値であり、ステップ4に進み、そうでなければ、次のステップに進む。
ステップ3.効果的な時間域ベースの方法を適用して、対応するBCU出口点を計算する。対象想定故障の臨界エネルギは、BCU出口点でのエネルギ値である。
ステップ4.この臨界エネルギ値に基づいて、安定度評価を実行し、また、対象想定故障のエネルギマージを計算する。
Figure 0005323019
数値的調査
次に、我々は、実用的な電力系統の数値的調査を通じて、BCU出口点法が判定基準(C1)を満たすことを示す。我々は、この数値的調査の結果を、5つのカラムを含んでいる表6に示すが;第1のカラムには想定故障番号がリストアップされており、第2のカラムには第1カラムの各想定故障と関連する各計算されたUEPの境界距離がリストアップされている。境界距離の値から明らかなように、計算されたUEPはすべて境界条件を満足しない。したがって、計算されたUEPでのエネルギ値は臨界エネルギとして用いることは不可能である。その代わり、BCU出口点でのエネルギ値は臨界エネルギ値として使用可能である。第3のカラムには、各想定故障と関連するSEP距離がリストアップされている。我々は、BCU出口点法に基づいた臨界エネルギ値と正確時間域法(あるベンチマーク方法)に基づいたそれとを比較して、これら2つの方法によるエネルギマージンの計算値に注目する。各対象想定故障に対して、我々は、繰り返し時間域シミュレーションを実行することによって正確なエネルギマージンを計算する。我々は、この繰り返し時間域シミュレーションにおいて、黄金二分割法を採用して、(時間域における)臨界故障除去時間、すなわち正確な出口点(安定度境界と故障時軌跡との(第1の)交点)、を決定する。正確な(オリジナルの)出口点のエネルギ値は、正確な臨界エネルギである。この正確時間域法による臨界エネルギ値を表の第4のカラムにリストアップし、BCU出口点法による臨界エネルギ値を第5のカラムにリストアップする。
我々は、表6に要約したシミュレーションを含むいくつかの数値的シミュレーションから、すべての対象想定故障に対して、BCU出口点でのエネルギ値は正確な臨界エネルギより少し少ないことを観察した。したがって、このテストシステムでは判定基準は満足されており、具体的には:
・BCU出口点でのエネルギ値は、臨界故障除去時間点でのエネルギ値(すなわち正確な臨界エネルギ)より常に低い。これは、BCU出口点法は、支配的UEP法の精神に則って、安定後評価においては保守的であることを示している。
・BCU出口点でのエネルギ値は、臨界故障除去時間点でのエネルギ値(すなわち正確な臨界エネルギ)に常に近い。これは、BCU出口点法は、支配的UEP法の精神に則って正確であり、しかも安定度評価において保守的過ぎることはないことを示している。
5.4 コヒーレント想定故障のグループ
本発明において、我々はとりわけ、コヒーレント想定故障のグループという概念を開発し、また、このコヒーレント想定故障グループ内のいくつかの特性を探索する。我々は、コヒーレント想定故障という概念は、グループベースのBCU法の開発においてだけではなく、想定故障分析や補正制御や予防制御などのいくつかの応用分野においても有用であることが証明されるものと強く信じている。
我々は、想定故障のグループに対してBCU法で計算されたUEPは互いに接近する傾向があることを発見する。このようなUEPは状態空間中では互いに接近しており、他方、この想定故障グループの故障位置は地理的空間中で互いに接近している。この想定故障グループはコヒーレント想定故障のグループと呼ばれる。我々はまた、想定故障のリストをコヒーレント想定故障のグループに分類することが可能であることを発見する。多くの想定故障を含んでいるグループもあれば、少ない想定故障を含んでいるグループもある。
コヒーレント想定故障のグループの検討に進む前に、定義と用語をいくつか次に提示する。
定義:(想定故障のリスト)
所与の電力系統動的モデルに対して、動的信頼度評価(DSA)プログラムによって1回の実行で調査される想定故障(例えばL)のグループ全体は、想定故障リストを形成すると言われる。
各想定故障に対して、我々はその故障前SEPと故障後SEPを計算することが可能である。我々は想定故障のSEP距離を次のように定義する:
定義(SEP距離)
ある想定故障があると、我々はその想定故障のSEP距離をその故障前SEP例えばδ preとその故障後SEP例えばδ postのとの間の無限大ノルム、すなわち次のように定義する:
SEP距離=‖δ pre−δ post
定義:(コヒーレント想定故障)
2つの想定故障があるとそれは、それらの対応する計算されたSEPと計算されたUEPとにおける発電機の回転子相差角が互いに近ければコヒーレントであると言われる。数学的に言えば、我々は、想定故障iと想定故障jとは、次の条件が満足されればコヒーレントである:
‖δ cuep−δ cuep<εcuep
‖δ sep−δ sep<εsep
ここで、(i)δ sepのとδ sepとは、それぞれ想定故障iとjとの故障後SEPの発電機回転子の相差角ベクトルであり、εsepには相差角許容差が指定される。
(ii)δ cuepのとδ cuepとは、それぞれ想定故障iとjとの計算されたUEPの発電機回転子の相差角ベクトルであり、εcuepには相差角許容差が指定される。
この定義で用いられるノルムは無限大ノルムであることに注意すべきである。したがって、この定義は、大型の電力系統と小型の電力系統の双方に対して有効である。
定義:(コヒーレント想定故障のグループ)
コヒーレント想定故障のグループは想定故障の部分集合であり、この集合中では、このグループ中のどの想定故障を2つ取っても、それらはコヒーレントである。
コヒーレント想定故障のグループに含まれる想定故障の数は大きかったり小さかったりするが、最小のグループには1つの想定故障しか含まれていないことに注意すべきである。
SEP距離は、想定故障の静的過酷度の尺度とみなすことが可能である。計算されたUEPと想定故障の故障後SEPとの間の「分離」は、想定故障の動的過酷度の尺度とみなすことが可能である。我々は、これら2つの尺度を定義して、それを適用して、想定故障のリストをコヒーレント想定故障のグループに分類するスキームを開発する。
我々は、我々の実行した数値的調査中で、各コヒーレント想定故障グループ内で、最大のSEP距離を持つUEPと最小のSEPを持つUEPとがそのグループ中のすべてのUEPの境界特性を定義することを観察したが、より具体的には、我々は、次のグループ特性を観察した:
グループ特性1:最大のSEP距離を持つUEPと最小のSEPを持つUEPとの双方が境界条件を満足する場合、コヒーレントグループ全体のすべてのUEPが、対応するオリジナルシステムの安定度境界上に存在する。言い換えれば、コヒーレントグループの「両端」にあるUEPが対応するオリジナルシステムの安定度境界上にあれば、グループ全体のUEPもまたオリジナルシステムの安定度境界上にある。
グループ特性2:最大のSEP距離を持つUEPと最小のSEPを持つUEPとの双方が境界条件を満足しない場合、コヒーレントグループ全体のUEPは、オリジナルシステムの安定度境界上に存在しない。
グループ特性1は、最大のSEP距離と最小のSEP距離との間の差が小さければ、次のように表すことが可能である:
グループ特性1−A:最大のSEP距離を持つUEPが境界特性を満足すれば、コヒーレントグループ全体の各UEPは対応するオリジナルシステムの安定度境界上に存在する。
グループ特性2は、最大のSEP距離と最小のSEP距離との間の差が小さければ、次のように表すことが可能である:
グループ特性2−A:最大のSEP距離を持つUEPが境界特性を満足しなければ、コヒーレントグループ全体の各UEPは対応するオリジナルシステムの安定度境界上に存在しない。
我々は、コヒーレント想定故障のグループをいくつかのコヒーレント想定故障グループに再分類し、これで、特性1と特性2とが満足されるようにするための指針を開発する。
再分類のための指針:上記2つのUEPの内の一方、すなわち、SEP距離が最大であるUEPとSEP距離が最小のUEPの内のどちらかが境界条件を満足し、他方が満足しない場合、コヒーレントグループ全体の内で、境界条件を満足するUEPもあれば、満足しないUEPもある。
想定故障のリストがあると、我々はBCU法を適用して、この想定故障リスト中の各想定故障に対する支配的UEPを計算する。次に、我々は、想定故障リスト中のすべての想定故障を、計算されたUEPの座標とそのSEP距離との間の差に基づいてコヒーレント想定故障のグループに分類する。いくつかの分類スキームを開発することが可能であるが、これらは特性1と特性2とを満足すべきである。
数値的調査
我々は、集約的に数値的シミュレーションを実行することによって、想定故障のグループに対してBCU法で計算されたUEPは故障後システムの状態空間中では互いに近接することを観察した。我々は、コヒーレント想定故障のグループという概念を、詳細な発電機モデルを持ついくつかのテストシステムに関する数値的調査をすることによって検証する。
我々は、詳細な発電機モデルを持つテストシステムに関する想定故障リストに対するBCU法の適用のシミュレーション結果を提示する。次に、このリスト中の想定故障をすべて、計算されたUEPと関連するSEP距離とに基づいてコヒーレント想定故障のグループに分類する。数値的シミュレーションは、想定故障リストがコヒーレント想定故障のグループを包含しているが、その一部は規模が大きい;例えば、グループ#4は43のコヒーレント想定故障を含んでいるが、たった1つの想定故障しか含んでいないグループもあることを示している。表7に、我々は、グループ番号と4以上の想定故障を有する各コヒーレントグループ中のコヒーレント想定故障の数とをリストアップする。
我々は、いくつかのコヒーレント想定故障グループ中の想定故障を、グループ中の各想定故障の境界距離と共にリストアップする(表8から表15を参照)。コヒーレント想定故障グループ中のすべての想定故障の境界距離は互いに近いことに注意すべきである。加えて、境界距離が正確(すなわち1.0)であれば、境界条件は満足される。
我々は、我々の概念とコヒーレント想定故障グループの定義とによって、境界特性をコヒーレント想定故障グループに対する境界特性とすることが可能であることを発見する。
Figure 0005323019
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Figure 0005323019
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我々の数値的調査から引き出されたいくつかの観察を以下に提示する:
観察1:各コヒーレント想定故障グループ中のBCU法で計算されたUEPの境界距離は互いに近接している。
観察2:コヒーレント想定故障のグループに対して、あるコヒーレント想定故障グループ中の想定故障に対するBCU方で計算されたUEPがオリジナルシステムの安定度境界上にあれば(すなわちそれが境界条件を満足すれば)、同じコヒーレント想定故障グループ中の他のどの想定故障に対してBCU法で計算されたUEPもオリジナルシステムの安定度境界上にある;言い換えれば、境界特性はグループ特性である。
観察3:単一スイング安定度/不安定度現象はコヒーレント想定故障のグループ特性である。
観察4:多重スイング安定度/不安定度現象はコヒーレント想定故障のグループ特性である。
5.5 グループベースの検証スキーム
UEPがオリジナル(故障後)システムの安定度境界上にあるかどうかをチェックする手順はかなり時間がかかる。本発明において、我々は、コヒーレントグループ中の(想定故障に対する)各計算されたUEPがその対応するオリジナル(故障後)システムの安定度境界上にあるかどうかをチェックする効果的な数値的手順を開発する。特に、我々は、本発明において、コヒーレント想定故障のグループの境界特性をチェックするグループベースの手順を開発する。
グループベースの検証手順
ステップ0:コヒーレント想定故障のグループがあるとする
ステップ1.(選択ステップ)
このコヒーレント想定故障グループに対して、このコヒーレント想定故障グループから1つの想定故障又は2つの想定故障を境界特性の検証のために選択する次の判定基準を我々は提案する。コヒーレント想定故障中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満である場合、そのグループ中の最大のSEP距離を持つ計算されたUEPを選択し、そうでなければ、最大のSEP距離を持つ計算されたUEPとそのグループ中で最小のSEP距離を持つ計算されたUEPを選択する。
ステップ2.(チェックステップ)
選択ステップで選択された想定故障に対応する計算されたUEPの境界条件をチェックする。我々は、選択されたUEP、例えば、XUEPに対してテストベクトルを次式を用いて計算する:
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、X postは、XUEPに対応する想定故障の故障後SEP、αは1に近い正の実数(例えば、0.99)である。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。この故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界条件を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ3.(評価ステップ)
ステップ2のチェックの結果に基づいて、次の評価結果が得られる。
(1)選択されたUEPが境界条件を満足すれば、全グループ中のコヒーレント想定故障の計算されたUEPは、(オリジナルの)故障後システムの安定度境界上に存在する。
(2)選択されたUEPの内のどれもが境界条件を満足しなければ、グループ全体のUEPは(オリジナルの)故障後システムの安定度境界の外にある。
上記のグループベースの検証手順は次の3つのステップ、すなわち、選択ステップと、チェックステップと、評価ステップとから成っている。主な計算労力は、1つの時間域シミュレーション結果を実行して境界条件をチェックするステップ2で必要とされる。境界条件をチェックすることによって、BCU法で計算されたUEPがオリジナル(故障後)のシステムの安定度境界上にあるかどうかを、1パラメータ横断条件をチェックする必要なく、検証することが可能である。そのうえ、上記の検証手順では、各コヒーレント想定故障グループ中のすべての想定故障の境界条件を完全にチェックする必要性が解消される。
5.6 グループベースのBCU出口点法
我々は、対象想定故障を持つ電力系統を考える。この対象想定故障は、自身が改良型BCU分類器の選別手順をパスし、また、BCU法で対象想定故障のUEPを計算するというBCU的な意味で、数値的に良好に調整されているものと仮定する。すると、問題点は、計算されたUEPが故障後システムの安定度境界上にあるかどうかということになる。この問題点に対処するため、BCU法の延長であるBCU出口点法には、境界条件をチェックする効果的な検証手順と、境界条件に違反した場合に正確な臨界エネルギを計算する補正スキームとが含まれる。事実、BCU出口点法では、必要とされる境界条件が満足されるかどうかとは無関係に、対象想定故障の正確な安定度評価とエネルギマージンの計算とが実行される。
しかしながら、BCU出口点法で必要とされる計算労力はBCU法でのそれよりかなり大きなものとなりかねない。したがって、BCU出口点法で必要とされる計算努力を減少させるのが非常に望ましい。検証手順を改善するために、我々は、本発明において、コヒーレント想定故障のグループ中の各想定故障に対して時間域シミュレーションを1回実行する代わりに、このグループ全体毎に時間域シミュレーションを1回又は2回実行するだけのグループベースの検証手順を開発する。このグループベースの検証手順によって得られる高速化はm倍又は0.5×m倍である(ここでmはコヒーレントグループ中の想定故障の数である)。
本発明において我々は、一部のグループ特性を探索することによってコヒーレントグループ中の各想定故障に対してBCU出口点を計算するという困難さを克服するグループベースのBCU出口点法を開発する。我々は、コヒーレントグループ中の各想定故障に対してBCU出口点を計算する必要なく、各想定故障に対して正確な臨界エネルギを計算するグループベースの補正手順を開発する。このグループベースのBCU出口点法では、コヒーレントグループ中の(特定の)想定故障のBCU出口点を計算するだけでよい;したがって、高速化はほぼm倍である(ここでmはコヒーレントグループ中の想定故障の数である)。
次に、我々は、グループベースのBCU出口点法を提示する。次に、我々は、境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループを考える。我々の目標は、コヒーレントグループ中の各想定故障の(正確な)臨界エネルギを決定することである。Lを、グループ中で最大のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えばX UEP、を有する想定故障とする。Lを、グループ中で最小のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えばX UEP、を有する想定故障とする。境界条件はグループ特性であるため、コヒーレントグループ中の想定故障はすべて、境界条件に違反する。
UEPとX UEPのBCU出口点をそれぞれX bcuとX bcuとする。我々は、次のことを発見をした:
・BCU出口点X bcuでのエネルギ値は、想定故障Lの臨界エネルギ値として正確に用いることが可能である。他方、計算されたUEPであるX UEPでのエネルギ値は想定故障Lの臨界エネルギ値として用いることは不可能である。
・BCU出口点X bcuでのエネルギ値は、想定故障Lの臨界エネルギ値として正確に用いることが可能である。他方、計算されたUEPであるX UEPでのエネルギ値は想定故障Lの臨界エネルギ値として用いることは不可能である。
我々は次に、想定故障の各コヒーレントグループに対して成立する次の関係を開発することによってさらにもう1つステップを移動する:
・コヒーレントグループ中の各想定故障に対して、正確な臨界エネルギ(すなわち出口点でのエネルギ)とそのSEP距離との間にどんな関係があるか?
・コヒーレントグループ中の各想定故障に対して、BCU出口点とそのSEP距離との間にどんな関係があるか?
我々は次の発見をする:
・コヒーレント想定故障グループ内には、その臨界エネルギとそのSEP距離との間に非線形関係が存在する。
・コヒーレント想定故障グループ内には、BCU出口点でのエネルギとそのSEP距離との間にほぼ線形の関係が存在する。
我々は次に、BCU出口点でのエネルギとそのSEP距離との間の関係を探索するグループベースのBCU出口点法を提示する。
グループベースのBCU出口点法
境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループがあるとして、我々は、このグループ中の各想定故障の臨界エネルギを計算する次のグループベースのBCU出口法を開発する。このグループベースのBCU出口法のフローチャートを次に示す(図3を参照)。図3は、コヒーレント想定故障の各グループに対して臨界エネルギ値を決定する際のグループベースのBCU出口点法のフローチャートを示す。
グループベースのBCU出口点法
所与の条件:境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループがあるとして、次のステップで、このコヒーレントグループ中の各想定故障の臨界エネルギを決定する。
ステップ1.(選択ステップ)
このコヒーレント想定故障のグループから、想定故障、例えば、Lに対する最大のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えば、X UEPを選択し、また、想定故障、例えば、Lに対する最小のSEP距離を持つ計算されたUEP、例えば、X UEPを選択する。
ステップ2.(BCU出口点)
それぞれX UEPとX UEPとの対応するBCU出口点を計算する。それらの計算値をそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ3.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ4.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPsiとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
数値的調査
我々は、134発電機システムに対するグループベースのBCU出口点法を評価する。評価目的で、我々は臨界エネルギを計算する互いに異なった2つの方法を比較する。
Figure 0005323019
・時間域シミュレーションを適用して臨界故障除去時間を計算することによる正確な臨界エネルギ
・グループベースのBCU出口点法(G−BCU出口点法)に基づく臨界エネルギ
Figure 0005323019
我々は最初に、グループベースのBCU出口点法の正確さと信頼性とを評価する。比較目的で、我々は、時間域シミュレーションを用いて、正確な臨界エネルギが与えられる臨界故障除去時間を計算することによって正確な臨界エネルギを計算する。これはもっとも厳密であるが、時間のかかる方法である。時間域シミュレーションで黄金二分割方法を用いて、臨界故障除去時間を決定する。
表16に、我々は、コヒーレント想定故障のあるグループに対して、時間域シミュレーション方法とグループベースのBCU出口点法に基づく臨界エネルギとを用いることによって、ケース番号と、境界距離と、SEP距離と、臨界エネルギとを含むあるグループの情報をリストアップする。表17に、我々は、境界条件に違反するコヒーレント想定故障のあるグループに対して、時間域シミュレーション方法とグループベースのBCU出口点法に基づく臨界エネルギとを用いることによって、ケース番号と、境界距離と、SEP距離と、臨界エネルギとを含むあるグループの情報をリストアップする。我々は次のことを発見した。
・グループベースのBCU出口点に基づく臨界エネルギは、正確な臨界エネルギより常に低い。これは、このシミュレーションにおけるすべての想定故障に対して真である。これは、グループベースのBCU出口点法に基づく臨界エネルギは、直接的な安定度評価では、CUEP法の精神に則って保守的であることを示している。
・BCU出口点法に基づく臨界エネルギは、正確な臨界エネルギに常に近い。これは、このシミュレーションにおけるすべての想定故障に対して真である。これは、グループベースのBCU出口点法に基づく臨界エネルギは、正確であり、しかも直接的安定度評価において保守的過ぎることはないことを示している。
・グループベースのBCU出口点に基づく臨界エネルギは常に、BCU出口点法に基づく臨界エネルギ未満であるがこれに近い。
・コヒーレント想定故障の各グループ内に対して、BCU出口点でのエネルギとSEP距離との間にほぼ線形の関係が存在する。
・コヒーレント想定故障の各グループに対して、正確な臨界エネルギとSEP距離との間に非線形の関係が存在する。
しかしながら、BCU出口点法はオンラインで応用には適していないかもしれないが、それは、各想定故障に対してBCU出口点を計算するというタスクが非常に時間のかかるものであり、他方、グループベースのBCU出口点法はオンラインでの応用には効果的であることが分かるからである。
5.7 グループベースのBCU法
我々は、本発明において、グループベースの検証スキームを組み込むグループベースのBCU法、すなわち、本発明によるグループベースのBCU出口点法を開発する。この発明されたグループベースのBCU法は、BCU法の信頼性だけではなく、直接過渡安定度評価におけるBCU法の過小評価性をも改善することが可能である。
グループベースのBCU法
ステップ1.BCUを用いて、想定故障リストの各調査想定故障の支配的UEPと故障後SEPとを、この想定故障リストが終了するまで、計算する。
ステップ2.(分類ステップ)各想定故障と関連する計算されたUEPを、特性1と特性2とを満足するようなコヒーレント想定故障グループに分類する。
各UEPグループに対して、次のステップを実行する:
ステップ3.(選択ステップ)グループ中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満の場合、最大のSEP距離を持つUEPが選択され、そうでなければ、最大のSEPを持つUEPと最小のSEP距離を持つUEPとが選択される。
ステップ4.(チェックステップ)選択されたUEPの境界特性をチェックする。実際に実施する場合、我々は選択された各UEP、例えば、XUEPに対するテストベクトルを次式を用いて計算する。
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、α<1は正の数であって1.0に近い、例えば0.99という値であり、X POSTは想定故障の故障後SEP、XUEPは選択されたUEPである。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界特性を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ5.選択されたUEPが境界特性を満足すれば、グループ全体のUEPはオリジナルシステムの安定度境界上にあり、ステップ6に進む。選択されたUEPのどれもが境界特性を満足しない場合、グループ全体のUEPは安定度境界外にあり、ステップ7に進む。
ステップ6.コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障の臨界エネルギ値は、計算されたUEPにおけるエネルギ値であり、ステップ11に進む。
ステップ7.最大のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとし、また、最小のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとする。
ステップ8.(BCU出口点)
それぞれX UEPとX UEPとに対する対応するBCU出口点を計算する。これらをそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ9.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ10.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
ステップ11.臨界エネルギに基づいて、直接安定度評価を実施し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対するエネルギマージンを計算する。
5.8 改良型BCU分類器
改良型BCU分類器は、本発明の改良型BCU分類器の上に構築されている[3]。この改良型BCU分類器の主要な設計目標は、[3]で説明したオンライン動的想定故障選別の5つの要件をすべてが満足されることを確実なものとすることである。
入力:動的信頼度評価のための関連データを持つ電力系統モデルと対象想定故障
出力:電力系統の想定故障に対する安全度評価とエネルギマージン値
この改良型BCU分類器は、次のステップで実行される(図4を参照)。図4は、改良型BCU分類器と、BCU法補助時間域シミュレーションと、エネルギマージン計算エンジンとを連続的に介することによって想定故障の安定度分析とエネルギマージンの計算とを実行するための計算フローを示している。
ステップ1.BCU分類器I:想定故障をこの改良された分類器に送ると、プログラムは最初に、ネットワーク分離の有無という問題を検出する分類器であるBCU分類器Iをチェックする。BCU分類器Iにより、電力系統が想定故障のためいくつかの部分に分離され、したがって、想定故障下にある電力系統はきわめて不安定であると考えられ、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障に割り当てられて、手順を停止するが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIに送られる。
ステップ2.BCU分類器II−AとBCU分類器II−B:対象想定故障下にある故障後SEPを計算する。故障後SEPが発見されなければ又は故障後SEPは発見されたが故障前SEPからはるかに隔たっていれば、分類器2−Aにより、対象想定故障は非常に不安定であると評価されて、大きい負のエネルギマージン、例えば−999が、対象想定故障に割り当てられて手順が停止されるが;そうでない場合、故障後SEPが故障前SEPからあまり隔たっていなければ、分類器2−Bにより対象想定故障はやはり非常に不安定であると考えられるが、予備評価を検証するには時間域検証が必要である。それが実際不安定であれば、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、を対象想定故障に割り当てて手順を停止するが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIIに送られる。
ステップ3.BCU分類器III:出口点を計算する。出口点が指定された期間内で発見されなくて、この指定された期間の終点におけるポテンシャルエネルギが正でない場合、BCU分類器IIIにトリガーが掛けられて、対象想定故障は非常に安定であると評価され、次に、大きいエネルギマージン、例えば999、を対象想定故障に割り当てて手順を停止し、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IVに送られる。
ステップ4.BCU分類器IV:最小勾配点(MGP)を計算する。射線調整の手順が失敗する又はMGPポイントを指定されたステップ数以内で発見することが不可能である場合、BCU分類器IVにより、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、手順が停止され、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器Vに送られる。
ステップ5.BCU分類器V:支配的UEPを計算する。支配的UEPを発見できない場合、BCU分類器Vにトリガーが掛けられて、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、手順が停止されるが、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器VIに送られる。
ステップ6.BCU分類器VI:エネルギマージンを、計算された支配的UEPにおけるエネルギ値に基づいて計算する。エネルギマージンが正であれば、対象想定故障は安定であると評価され、そうでなければ、不安定であると評価される。これで、手順は完了する。
改良型BCU分類器のステップ6を修正して、次に説明するようにBCU法の過小評価性を改善することが可能である:
ステップ7.BCU分類器VI:エネルギマージンを、計算された支配的UEPにおけるエネルギ値に基づいて計算する。エネルギマージンが負であれば、このケースは不安定であると評価されて、この評価を検証するために、時間域シミュレーションエンジンが必要とされる。この評価が時間域エンジンによって逆転されると、そのエネルギマージンを、BCU法補助の時間域計算エンジンを用いて再計算する。エネルギマージンが正であれば、対応するエネルギマージンと安定度評価は不変のまま保持され、手順が停止される。
上記の改良型BCU分類器は、本発明の改良型BCU分類器の上に構築されたものである[3]。実際、この改良された分類器の内でもBCU分類器Iは改良型BCU分類器の内のBCU分類器Iと同じであり、他のBCU分類器は、改良型BCU分類器の改良版である。改良型BCU分類器で用いられるBCU法補助時間域シミュレーションエンジンは本発明で開発されたものである[3]。
5.9 グループベースのBCU−DSA
我々は、実用的な電力系統のオンライン動的信頼度評価とエネルギマージン計算のための新規なシステム、すなわちグループベースのBCU−DSAシステムを開発する。このグループベースのBCU−DSAシステムは次の3つのサブシステムから成っている:
(1)改良型BCU分類器
(2)BCU法補助時間域シミュレーションプログラム
(3)グループベースのBCU法
我々は、BCU−DSAと、グループベースの検証手順と、グループベースのBCU出口点法とに基づいてグループベースのBCU−DSAシステムを設計する。G−BCU−DSAシステム(バージョンI)のアーキテクチャを図5に示す。改良型BCU分類器は、本発明の改良型BCU分類器の上に構築されており[3]、BCU法補助時間域シミュレーションプログラムは本発明で開発されたものである[3]。グループベースのBCU法は本発明で開発されている。改良型BCU分類器の主要な設計目標は、[3]で説明したオンライン動的想定故障選別の5つの要件をすべて満足されることを確実なものとすることである。
本発明は、実用的な電力系統のオンライン動的信頼度評価とエネルギマージン計算を実行する新規なシステム、すなわちグループベースのBCU−DSAシステムを提供する。グループベースのBCU−DSAのアーキテクチャは、次の3つの主要なコンポーネントから成っている:8つの改良型BCU分類器から成っている動的想定故障分類プログラムと、BCU法補助時間域シミュレーションプログラムと、グループベースのBCU法とである。新しいDSAサイクルが保証されると、最初に、発生しうる想定故障のリストが、状態推定器とトポロジ的分析とで得られた情報と共に、潜在的に不安定であるか絶対的に安定であるかどちらかである想定故障を選別することを基本的機能として持つ改良型BCU分類器に入力される。絶対的に安定であると分類された想定故障にはエネルギ関数値が割り当てられて、次に、さらなる安定度分析から除外される。潜在的に不安定であると識別された想定故障は次にBCU法補助時間域しミューレーションプログラムに送られて、さらなる安定度分析とエネルギマージン計算とを受ける。
バージョンIのグループベースのBCU−DSAシステムは次のステップで実行される。
入力:動的信頼度評価用の関連データと発生しうる想定故障のリストとを持つ電力系統モデル
出力:安定度評価(すなわち、安定であるか不安定であるか)、エネルギマージン値及び、発生しうる想定故障のリストの各想定故障に対する推定の臨界故障除去時間
各想定故障を以下のステップで実行する:
ステップ0:発生しうる想定故障のリストのすべての想定故障を連続的に入力する。
改良型BCU分類器とBCU法補助時間域プログラム
ステップ1.BCU分類器I:想定故障が改良型BCU分類器に送られると、プログラムは最初に、ネットワーク孤立化という問題を検出する分類器であるBCU分類器Iにて判定を行なう。BCU分類器Iにてネットワーク孤立と判定された場合、電力系統が想定故障のためいくつかの部分に分離され、したがって、想定故障下にある電力系統はきわめて不安定であると考えられ、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障ケースに対して割り当てられて、臨界故障除去時間の推定値がゼロとなって、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障ケースはBCU分類器IIに送られる。
ステップ2.BCU分類器II−AとBCU分類器II−B:対象想定故障下にある故障後SEPを計算する。故障後SEPが発見されなければ又は故障後SEPは発見されたが故障前SEPからはるかに隔たっていれば、分類器2−Aにトリガーが掛けられて、対象想定故障は非常に不安定であると評価されて、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、が対象想定故障に割り当てられて、臨界故障時間の推定値がゼロになって、ステップ0に進み、そうでない場合、故障後SEPが故障前SEPからあまり隔たっていなければ、分類器2−Bにトリガーが掛けられて対象想定故障はやはり非常に不安定であると考えられるが、予備評価を検証するには時間域シミュレーションが必要である。それが実際不安定であれば、大きい負のエネルギマージン、例えば−999、を対象想定故障に割り当てて、臨界故障除去時間の推定値がゼロになってステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IIIに送られる。
ステップ3.BCU分類器III:出口点を計算する。出口点が指定された期間内で発見されなくて、この指定された期間の終点におけるポテンシャルエネルギが正でない場合、BCU分類器IIIにトリガーが掛けられて、対象想定故障は非常に安定であると評価され、次に、大きいエネルギマージン、例えば999、を対象想定故障に割り当てて、臨界故障除去時間の推定値は非常に大きいとされ、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器IVに送られる。
ステップ4.BCU分類器IV:最小勾配点(MGP)を計算する。射線調整の手順が失敗する又はMGPポイントを射線調整での指定されたステップ数以内で発見することが不可能である場合、BCU分類器IVにトリガーが掛けられて、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、臨界故障除去時間をエネルギマージンとエネルギとに基づいて故障後システム軌跡に沿って出力して、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器Vに送られる。
ステップ5.BCU分類器V:支配的UEPを計算する。支配的UEPを発見できない場合、BCU分類器Vにトリガーが掛けられて、対象想定故障がBCU法補助の時間域シミュレーションエンジンに送られて、安定度評価とエネルギマージン計算が実行されて、臨界故障除去時間をエネルギマージンとエネルギとに基づいて故障後システム軌跡に沿って出力して、ステップ0に進み、そうでなければ、対象想定故障はBCU分類器VIに送られる。
グループベースのBCU法
ステップ6.このステップに送られてきた各対象想定故障の計算されたUEPと故障後SEPとを記憶する。想定故障のリストが終了したかどうかチェックする。想定故障リストが終了していれば、次のステップに進み、そうでなければ、ステップ0に進む。
ステップ7.(分類ステップ)各想定故障と関連する計算されたUEPを、特性1と特性2とを満足するように、コヒーレント想定故障のグループに分類する。
計算されたUEPの各グループに対して、コヒーレント想定故障のすべてのグループが実行されるまで、次のステップを実行する:
ステップ8.(選択ステップ)グループ中の各想定故障のSEP距離が小さい、例えば、3度未満の場合、最大のSEP距離を持つUEPが選択され、そうでなければ、最大のSEPを持つUEPと最小のSEP距離を持つUEPとが選択される。
ステップ9.(チェックステップ)選択されたUEPの境界特性をチェックする。実際に実施する場合、我々は選択された各UEP、例えば、XUEPに対するテストベクトルを次式を用いて計算する。
test=X post+α(XUEP−X post
ここで、α<1は正の数であって1.0に近い、例えば0.99という値であり、X POSTは想定故障の故障後SEP、XUEPは選択されたUEPである。Xtestから始まる故障後システム軌跡をシミュレートして評価する。故障後システム軌跡がX postに収束すれば、選択されたUEP、すなわち、XUEPは境界特性を満足し、そうでなければ、満足しない。
ステップ10.選択されたUEPが境界特性を満足すれば、グループ全体のUEPはオリジナルシステムの安定度境界上にあり、ステップ11に進む。選択されたUEPのどれもが境界特性を満足しない場合、グループ全体のUEPは安定度境界外にあり、ステップ12に進む。
ステップ11.コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障の臨界エネルギ値は、計算されたUEPにおけるエネルギ値であり、ステップ16に進む。
ステップ12.最大のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとし、また、最小のSEP距離を有する選択されたUEPを想定故障、例えば、Lに対するX UEPとする。
ステップ13.(BCU出口点)
対応するX UEPとX UEPをそれぞれ計算する。これらをそれぞれX bcuとX bcuと示す。
ステップ14.(臨界エネルギ)
bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。同様に、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用いる。
ステップ15.(他の想定故障の臨界エネルギ)
上記のコヒーレント想定故障のグループ中の想定故障、例えば、LのSEP距離をSEPとする。すると、想定故障Lの臨界エネルギは次式のとおりである。
cr=a×SEP+b
ここで、
a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
ステップ16.臨界エネルギに基づいて直接安定度評価を実施して、エネルギマージンを計算し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対して、エネルギマージンとエネルギとに基づいて臨界故障除去時間を故障後システム軌跡に沿って出力する。
グループベースのBCU−DSA(バージョンI)システムは、次の特性を持つ実用的電力系統の各想定故障に対してオンライン動的信頼度評価を実行するように設計されている:
[1]想定故障の過渡安定度エネルギマージンがゼロより大きい場合、想定故障後電力系統は、提供された(過渡安定度調査用の)データとモデルとに対して安定であると保証される。
[2]想定故障の過渡安定度エネルギマージンがゼロ未満であり、グループベースのBCU法で計算されていない場合、想定故障後電力系統は、(過渡安定度調査用の)データとモデルとに対して不安定であると保証される。
[3]想定故障の過渡安定度エネルギマージンがゼロ未満であり、グループベースのBCU法で計算されている場合、想定故障後電力系統は、(過渡安定度調査用の)データとモデルとに対して不安定であると保証される。
特性[3]は、この特性を持つことを特徴とするような想定故障の安定度評価が過小評価であることを示している。しかしながら、本発明で開発されたBCU−DSA[3]と比較すれば、グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)はその特性[3]はかなり向上していて、過小な安定度評価をされている想定故障の数が減少しており、さらにそのうえ、グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)は常に特性[1]と特性[2]とを有している。
グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)の特性[3]を改善するために、グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンII)は、次の特性を持つ実用的な電力系統の各想定故障に対して過渡安定度エネルギ関数と臨界故障除去時間の推定値とを計算するように設計されている:
[1]想定故障の過渡安定度エネルギマージンがゼロより大きい場合、想定故障後電力系統は、提供された(過渡安定度調査用の)データとモデルとに対して安定であると保証される。
[2]想定故障の過渡安定度エネルギマージンがゼロ未満である場合、想定故障後電力系統は、(過渡安定度調査用の)データとモデルとに対して不安定であると保証される。
グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンII)を、ステップ16を次のように拡大する以外は、グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)と同じステップ順序で実行する:
ステップ16.臨界エネルギに基づいて直接安定度評価を実施して、エネルギマージンを計算し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対して、エネルギマージンとエネルギとに基づいて臨界故障除去時間を故障後システム軌跡に沿って出力する。
ステップ17.コヒーレント想定故障の各グループに対して、そのグループ中の想定故障が不安定であると評価されたらステップ18に進み、そうでなければ、コヒーレント想定故障のグループがすべてチェックされるまで、次のコヒーレント想定故障グループをチェックする。
ステップ18.故障除去時間の時の状態を初期状態として、対応する故障後システムの時間域シミュレーションを実行する。故障後システム軌跡が不安定であると評価されたら、対応するエネルギマージンと、安定度評価と、臨界故障除去時間の推定値とが不変のまま保持され、そうでなければ、それは安定な想定故障であって、BCU法補助時間域シミュレーションに送られて、エネルギマージンの計算と臨界故障除去時間の推定とが実行される。そして、ステップ17に進む。
グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンII)は、BCU分類器VIIの出力を、グループベースのBCU法で不安定であると分類された想定故障がすべてBCU法補助時間域エンジンに送られて不安定度がないか最終的に検証され、また、必要とあればエネルギマージンの再計算がなされるように修正されることによってグループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)の上に構築されている。
我々は、2つの電力系統についてグループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)を評価した。これら2つのテストシステムは116マシン式テストシステムと134マシン式テストシステムである。116マシン式システムの故障除去時間は0.09秒に設定されており、134マシン式システムの故障除去時間は0.07秒に設定されている。我々は、動的信頼度評価と分類結果とを表18に要約する。我々は次の観察を持っている。
・グループ特性はすべてのテストシステムにおいて成立する。
・発生しうる想定故障のリストが与えられたとき、コヒーレント想定故障のグループの数は、とりわけ、システムと、負荷付けと、想定故障とに依存する。
・116マシン式システムと134マシン式システムとの想定故障の数はそれぞれ312と135とである。前者のテストシステムの場合の最大のコヒーレント想定故障グループは30を超える想定故障を含み、134マシン式テストシステムの場合の最大のコヒーレント想定故障グループはたった6個の想定故障しか含まない。
・たった1つの想定故障しか含まない単一メンバーグループがいくつか存在する。中でも、134マシン式テストシステムは単一メンバーグループを3つ有している。
Figure 0005323019
単一メンバーグループを分析するという戦略は多重メンバーグループを分析する戦略とは異なる。境界距離を計算したり臨界エネルギを計算したりするために単一メンバーグループを完全にグループベースで分析する必要はない。我々は、BCU法補助時間域法を単一メンバーグループに適用することを提案する。提案は以下の通り。
・グループベースのBCU−DSAでは、グループベースのBCU法をコヒーレント想定故障の複数メンバーグループに適用する。
・グループベースのBCU−DSAでは、BCU法補助時間域法をコヒーレント想定故障の単一メンバーグループに適用する。
我々は、[3]のBCU−DSAシステムとグループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)との間でこれら2つのシステムに関する数値比較を提示する。特に、我々は、次の問題点に焦点を合わせる:
・故障除去時間で安定な想定故障を不安定であると分類する問題点(故障除去時間の過小評価)
・故障除去時間で不安定な想定故障を安定であると分類する問題点(故障除去時間の誤った評価)
・臨界故障除去時間を過大評価する問題点
我々はグループベースのBCU法の代わりに、BCU法補助法を用いて、コヒーレント想定故障の単一メンバーグループを取り扱うことを提案しているのであるから、我々は、表19ではこのような想定故障は除外している。次の比較の表は、以下の点でグループベースのBCU−DSAはBCU−DSAシステムを進歩させたものであることを示している。
Figure 0005323019
・安定度の過小評価の改善(すなわち、安定な想定故障を不安定であると誤分類する数の減少)
・不正確な安定度評価の解消(すなわち、不安定な想定故障を安定であると誤分類することがなくなる)
・臨界故障除去時間の過大評価の解消(各想定故障に対する臨界故障除去時間の過大推定がなくなる)
我々は数値例を用いて、グループベースのBCU−DSAシステムによる上記の進歩を説明する。116マシン式テストシステムの場合、BCU−DSAは、合計で312の想定故障の内の310の想定故障の安定度を正確に分類し、2つの安定な想定故障を不安定であると過小評価して分類する。他方、グループベースのBCU−DSAシステムは、合計で312の想定故障の内の312の安定度を正確に分類して、過小評価な分類はなかった。臨界故障除去時間に関しては、BCU−DSAシステムは、合計で312の想定故障の内の306に対して臨界故障除去時間を少し過小評価して推定し、6の想定故障に対しては臨界故障除去時間を過大に推定し、他方、グループベースのBCU−DSAシステムは、合計で312の想定故障の内の312の想定故障に対して臨界故障除去時間を少し過小評価して推定し、どの想定故障に対しても臨界故障除去時間を過大に推定はしない。
我々は、臨界故障除去時間を過小評価して推定するという特性は、支配的UEPを正確なエネルギ関数と共に用いる限りいかなる支配的UEPベースのエネルギ関数にも伴うものであることを指摘する。
134マシン式テストシステムの場合、BCU−DSAは、合計で135の想定故障の内の132の想定故障の安定度を正確に分類し、3つの想定故障を過小評価して分類して不安定であるとする。他方、グループベースのBCU−DSAシステムは、合計で135の想定故障の内の134の想定故障の安定度を正確に分類し、過小評価な分類はたった1つである。臨界故障除去時間に関しては、BCU−DSAシステムは、合計で135の想定故障の内の135の想定故障に対して臨界故障除去時間を少し過小評価して推定し、どの想定故障に対しても臨界故障除去時間を過大に推定しないが、他方、グループベースのBCU−DSAシステムは、合計で135の想定故障の内の135の想定故障に対して臨界故障除去時間を少し過小評価して推定し、どの想定故障に対しても臨界故障除去時間を過大には推定しない。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
6. 参考文献
[1] H.D. Chiang, “On-Line Method for determining Power System Transient Stability,” U.S. patent, No.5,483,462, Jan. 9, 1996.
[2] H.D. Chiang and C.S. Wang, “Method for On-Line Dynamic Contingency Screening of Electric Power Systems”, U.S. patent, No.5,719,787, Feb. 17, 1998.
[3] H.D. Chiang, A. Kurita, H. Okamoto, R. Tanabe, Y.Tada, K. Koyanagi, and Y. Zhou, “Method and system for on-line dynamical screening of electric power system”, U.S. Patent Application Publication, Pub. No. US 2003/0200010 A1, Oct. 23, 2003
[4] H.D. Chiang, F.F. Wu, and P.P. Varaiya, “Foundations of direct methods for power system transient stability analysis”, IEEE Trans. on Circuits and Systems, CAS-34(2): pp. 160--173, Feb. 1987.
BCU出口点の概念を示す図である。 境界距離と境界条件との概念を示す図である。 境界距離と境界条件との概念を示す図である。 グループベースのBCU出口点法のフローチャートである。 改良型BCU分類器と、BCU法補助時間域シミュレーションと、エネルギマージン計算エンジンとを連続的に介することによって想定故障の安定度分析とエネルギマージンの計算とを実行するための計算フロー図である。 グループベースのBCU−DSAシステム(バージョンI)のフローチャートである。

Claims (2)

  1. 境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループを得て、
    前記得られた境界条件に違反するコヒーレント想定故障のグループから不安定平衡点(UEP)を計算し、
    想定故障Lに対する最大の安定平衡点(SEP)を持つ計算されたUEPX UEPを選択し、想定故障Lに対する最小の安定平衡点を持つ計算されたUEPX UEPを選択し、
    前記選択されたX UEPとX UEPとの対応するBCU出口点をそれぞれ計算し、これらの計算値をそれぞれX bcuとX bcuとし、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Llの臨界エネルギとして用い、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用い、
    前記コヒーレント想定故障のグループ中の想定故障LのSEPをSEPとし、想定故障Lの臨界エネルギを次式に基づいて求め、この求められた臨界エネルギをBCUシステムにおける境界条件を満たす臨界エネルギとして利用する方法。
    cr=a×SEP+b
    ここで、
    a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
    b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
    である。
  2. BCUを用いて、想定故障リストの各対象想定故障の支配的不安定平衡点(CUEP)と故障後安定平衡点(SEP)とをこの想定故障リストが終了するまで計算し、
    所定の条件に基づいて、各想定故障と関連する計算された不安定平衡点(UEP)をコヒーレント想定故障グループに分類し、
    各分類された不安定平衡点グループは、
    グループ中の各想定故障の安定平衡点距離が所定量よりも小さい場合、最大の安定平衡点を持つ不安定平衡点 UEP を選択し、そうでなければ、最大の安定平衡点を持つ不安定平衡点 UEP と最小の安定平衡点を持つ不安定平衡点 UEP とを選択し、
    所定の方法にしたがって、選択された不安定平衡点の境界条件をチェックし、
    チェック結果に基づいて、グループ全体の不安定平衡点がオリジナルシステムの安定度境界上にあることを決定し、
    前記決定ステップがグループ全体の不安定平衡点がオリジナルシステムの安定度境界上にあることを決定した場合に、グループ全体のUEPがオリジナルシステムの安定度境界上にあることを決定し、臨界エネルギに基づいて、直接安定度評価を実施し、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障に対するエネルギマージンを計算し、この場合において、コヒーレント想定故障のグループ中の各対象想定故障の臨界エネルギ値は、計算された不安定平衡点におけるエネルギ値であり、
    前記決定ステップがグループ全体の不安定平衡点がオリジナルシステムの安定度境界上にないことを決定した場合、前記選択されたX UEPとX UEPとの対応するBCU出口点をそれぞれ計算し、これらの計算値をそれぞれX bcuとX bcuとし、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用い、X bcuにおけるエネルギ(V bcuと示す)を想定故障Lの臨界エネルギとして用い、
    前記コヒーレント想定故障のグループ中の想定故障Lの安定平衡点距離をSEPとし、想定故障Lの臨界エネルギを次式に基づいて求めグループベースベースBCU法における方法。
    cr=a×SEP+b
    ここで、
    a=(V bcu−V bcu)/(SEP−SEP
    b=(V bcu×SEP−V bcu×SEP)/(SEP−SEP
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