JP5322874B2 - 衣類 - Google Patents
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Description
上記口ゴム方式の靴下は、ゴム糸を穿き口部(開口部)の周方向に環状に挿入しているだけであって、編み糸のように編目ループを形成させて編み込んだものではないため、周長が編み糸よりも短い。
上記不具合を改善するものとして、靴下の締付部に、ゴム糸を挿入せずに、表糸と裏糸の添え糸編組織に編成し、裏糸にスパンデックス糸を使用したもの、さらには、前記添え糸編組織をパール編みにして横畦を付与したものが提案されている(特許文献1参照)。
一方、特許文献2の靴下では、スパイラルメッシュ編み部分が、編み糸(非弾性糸)と弾性糸とで編成されているため、この部分における弾性糸による締付力が編み糸(非弾性糸)によって削減(半減)され、ズレ落ち防止機能が不足する不具合があった。この締付力不足をカバーするため、この特許文献2では、スパイラルメッシュ編み部分を、穿き口部だけではなく、脚部にも形成させることが必要となり、そのため、編成中の編組織の変更作業を脚部でも行わせる必要があり、ループの長さが不安定となることから、横方向の伸びにばらつきが生じやすくなり、その結果、サイズ基準を満たすためにコストアップを招くのみならず、スパイラルメッシュ編み部分が穿き口部だけでなく脚部にも表れるため、外観体裁が悪化する不具合があった。
また、従来、下肢用衣類のウエスト部の開口部、裾口の開口部、上肢用衣類の袖口の開口部、裾口の開口部などに口ゴムが使用されているものがあるが、これらについては、ゴム糸による締付力が大きすぎる傾向があり、長時間着用すると、圧迫感による苦痛、血行
阻害、跡形残存等の不具合があった。
この構成によれば、強い締付力部分は、表糸と裏糸とを両方ともに弾性糸で編成しているため、非弾性糸と弾性糸とで編成された他の部分よりも締付力を大きくすることができ、その結果、衣類の開口部のズレ落ち防止機能を向上させることができる。この強い締付力部分は、衣類の開口部の編地中に1〜複数コース分に亘って形成するものであるから、締付力の調整が容易であり、適正な締付力が容易に付与できる。また、強い締付力部分は、衣類の開口部だけに形成するものであり、他の部分には形成しないため、編成中の給糸切り替え作業等を開口部についてだけ行わせればよく、作業工数を減少させることができる。さらに、糸の伸縮度が、表糸>裏糸である場合に、表糸(非弾性糸)を弾性糸に切り替えて添え糸編みした強い締付力部分は、ゴロつかず、伸びがよく、キックバックがよい。
この構成によれば、強い締付力部分を衣類の開口部の内側(肌に接する側)の編地にだけ形成させておくものであるから、必要な締付力を肌に接する側の編地から直接効果的に付与させることができ、しかも、外側の編地には表れないため、外観体裁を向上させることができると共に、開口部を二重に折り返して袋状としてあることによって、開口部の形態安定性が向上し、ズレ落ち防止機能を増進させることができる。
前記強い締付力部分が、衣類の開口部の編地の複数コース置きに複数段に亘って形成されているのが望ましい。この構成によれば、表糸と裏糸とを両方とも弾性糸で編成した強い締付力部分と、表糸が非弾性糸で裏糸が弾性糸からなる弱い締付力部分とが交互に複数段に亘って形成されていることになり、強い締付力部分を多段に分散させて配置することができてソフトな締付力を付与することができるようになり、それと共に、ズレ落ち防止機能を多段に具備させることもできるため、ズレ落ち防止機能をさらに向上させることができる。
図1は、本発明を靴下に適用した実施形態を示しており、この実施形態における衣類の
開口部に相当するのは穿き口部1である。靴下自体は、図1に示すように、穿き口部1、脚部2、踵部3、足甲部4、底部5、爪先部6を有し、これら各部は、図3に示すように、非弾性糸からなる表糸7と弾性糸からなる裏糸8とにより添え糸編み組織9で編成されている。
表糸7としては、綿糸、綿アクリル混紡糸、毛糸、毛アクリル混紡糸、絹糸、絹アクリル混紡糸等、靴下に採用される非弾性糸が使用される。
裏糸8としては、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、ナイロン糸を巻き付けたSCY(シングルカバリングヤーン)、DCY(ダブルカバリングヤーン)その他の弾性糸(例えば、ポリウレタン弾性糸の裸糸等)が使用される。
表糸7に切り替えて使用される弾性糸7aとしては、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、ナイロン糸を巻き付けたSCY(シングルカバリングヤーン)、DCY(ダブルカバリングヤーン)その他の弾性糸(例えば、ポリウレタン弾性糸の裸糸等)が使用される。
前記強い締付力部分10は、図3に示すように、スパイラル編み組織11で編成されている。スパイラル編み組織11は、一方の弾性糸7aをコース方向に1目〜複数目ごとに編目ループを形成させずに浮かせて編む組織であって、図3は、1×1(1目ごとに編目ループを形成させずに浮かせて編む組織)とした場合を例示しているが、2×1、その他の組織としてもよい。
本実施形態では、穿き口部1を袋状に編み込む編機(K式)が使用され、表糸7には、ウール糸1/34(34番手のウール糸1本)が使用され、裏糸8には、40デニールのポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これに70デニールのナイロン糸を巻き付けた40/70のSCYが使用され、また、表糸7と切り替えられる弾性糸7aとして、140デニールのポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これに70デニールのナイロン糸を巻き付けた140/70のSCYが使用される。
本発明を適用した靴下は、穿き口部1に強い締付力部分10を備えている。この強い締付力部分10は、表糸7と裏糸8とを両方ともに弾性糸で編成しているため、非弾性糸と弾性糸とで編成された他の部分よりも締付力を大きくすることができ、その結果、穿き口部1のズレ落ち防止機能を向上させることができる。
また、強い締付力部分10は、穿き口部1だけに形成するものであり、脚部2や他の部
分には形成しないため、編成中の給糸切り替え作業等を穿き口部1についてだけ行わせればよく、作業工数を減少させることができる。
また、穿き口部1は、二重に折り返されて袋状に編成され、強い締付力部分10が袋状の内側の編地1aにだけ形成されているため、必要な締付力を肌に接する側の編地1aから直接効果的に付与させることができ、しかも、外側の編地1bには表れないため、外観体裁を向上させることができると共に、穿き口部1を二重に折り返して袋状としてあることによって、穿き口部1の形態安定性が向上し、ズレ落ち防止機能を増進させることができる。
さらに、強い締付力部分10が、穿き口部の編地の複数コース置きに複数段に亘って形成されているため、強い締付力部分10を多段に分散させて配置することができてソフトな締付力を付与することができるようになり、それと共に、ズレ落ち防止機能を多段に具備させることもできるため、ズレ落ち防止機能をさらに向上させることができる。
1a 内側の編地
1b 外側の編地
2 脚部
3 踵部
4 足甲部
5 底部
6 爪先部
7 表糸
7a 弾性糸
8 裏糸
9 添え糸編み組織
10 強い締付力部分
11 スパイラル編み組織
Claims (4)
- 非弾性糸からなる表糸と弾性糸からなる裏糸とにより添え糸編み組織で編成された衣類において、前記衣類の開口部が、添え糸編み組織中に、1〜複数コース分に亘って非弾性糸からなる表糸を弾性糸に切り替えて前記裏糸の弾性糸と共に編成された強い締付力部分を備えていることを特徴とする衣類。
- 前記衣類の開口部は、二重に折り返されて袋状に編成され、前記強い締付力部分が前記袋状の内側の編地にだけ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
- 前記強い締付力部分が、スパイラル編み組織で編成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衣類。
- 前記強い締付力部分が、衣類の開口部の編地の複数コース置きに複数段に亘って形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の衣類。
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