JP5321251B2 - 回路板及び回路板の製造方法 - Google Patents

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Description

回路板及び回路板の製造方法。
近年、電子機器の小型化、薄型化に伴い、回路部材に形成された回路の高密度化が進展し、隣接する電極との間隔や電極の幅が非常に狭くなる傾向がある。これに伴い、半導体パッケージの薄型化や小型化に対する要求も高まっている。そのため、半導体チップ実装方式として、金属ワイヤを用いて接続する従来のワイヤーボンディング方式に代えて、チップ電極上にバンプと呼ばれる突起電極を形成し、基板電極とチップ電極とをバンプを介して直接接続するフリップチップ接続方式が注目されている。
フリップチップ接続方式としては、ハンダバンプを用いる方式、金バンプと導電性接着剤を用いる方式、熱圧着方式、超音波方式などが知られている。これらの方式では、チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱ストレスが接続部分に集中して接続信頼性が低下するという問題がある。このような接続信頼性の低下を防止するために、一般に、チップと基板の間隙を充填するアンダーフィルが樹脂により形成される。アンダーフィルへの分散により熱ストレスが緩和されるため、接続信頼性を向上させることが可能である。
アンダーフィルを形成する方法としては、一般に、チップと基板とを接続した後に液状樹脂をチップと基板との間隙に注入する方法が知られている(特許文献1参照)。また、異方導電性接着フィルム(以下ACFと称する)や、非導電性接着フィルム(以下NCFと称する)等のフィルム状樹脂を用いてチップと基板とを接続する工程において、アンダーフィル形成も完了させる方法も知られている(特許文献2参照)。
一方、近年ではさらなる高機能化、高速動作を可能とするものとしてチップ間を最短距離で接続する3次元実装技術であるシリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)が注目されている(非特許文献1参照)。この結果、半導体ウエハの厚さはできるだけ薄く、かつ機械的強度が低下しないことが要求されてきている。
そして、半導体装置の更なる薄型化の要求に伴い、半導体ウエハをより薄くするために、ウエハの裏面を研削する、いわゆるバックグラインドが行われており、半導体装置の製造工程は煩雑になっている。そこで、工程の簡略化に適した方法としてバックグラインド時に半導体ウエハを保持する機能とアンダーフィル機能を兼ね備える樹脂の提案がなされてきている(特許文献3、4参照)。
特開2000−100862号公報 特開2003−142529号公報 特開2001−332520号公報 特開2005−028734号公報
しかしながら、半導体装置の薄膜化に伴って、接続部の空隙や端子間のピッチがより一層狭くなってきており、接続時のフィルム状樹脂の流動不足による界面への濡れ不足やフィルム状樹脂の発泡によるボイドの発生等により、フィルム状樹脂のピッチ間への充填が不十分となり、接続信頼性を低下させることがある。
また、半導体チップの電極部分にハンダバンプを形成し、ハンダ接合により直接回路基板に半導体チップを接続するフェイスダウンボンディング方式では、良好な電気的接合を得るために、ハンダ表面に形成される酸化皮膜を除去することが求められている。しかし、従来の方法では、短時間の加熱でハンダ接合を行う場合、ハンダ表面の酸化膜を除去するためのフラックス活性が得られず、ハンダの濡れが不十分となり、接続信頼性を低下させることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回路部材間の接着剤層におけるボイド発生が十分に抑制され、ピッチ間が十分に封止充填されており、且つ接続信頼性に優れる回路板を提供すること、及び当該回路板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、高さtの第一の突起電極と該第一の突起電極上に形成された高さtのハンダを有する第一の回路部材と、高さtの第二の突起電極を有する第二の回路部材とを、上記第一の突起電極と上記第二の突起電極を対向して配置し、対向配置した上記第一の突起電極と上記第二の突起電極の間に厚さtの接着剤層を介在させ、加熱加圧して、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した上記第一の突起電極と上記第二の突起電極を電気的に接続させてなる、回路板を提供する。
≧t+t (1)
×1.3≧t>t+t (2)
×1.3≧t>t+t (3)
[式中、tは加熱加圧後の前記第一の回路部材と前記第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離を示し、tは第一の突起電極の高さを示し、tは第二の突起電極の高さを示し、tは加熱加圧前の接着剤層の厚さを示し、tは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さを示す。]
本発明の回路板によれば、上記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した第一の突起電極と第二の突起電極を電気的に接続させることにより、回路部材間の接着剤層におけるボイド発生が十分に抑制され、ピッチ間が十分に封止充填される。また、第一の突起電極と第二の突起電極とのハンダ接合部で、ハンダが両突起電極に沿って広がるため、繰り返しの耐熱試験に耐えうる接続信頼性に優れた回路板となる。
本発明の回路板において、上記接着剤層は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)潜在性硬化剤と、(D)無機フィラーと、(E)有機微粒子と、(F)室温で固体であり、最大粒径が25μm以下である粉体化合物と、を含む接着剤組成物からなる接着剤層であることが好ましい。上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含む接着剤層を用いることにより、接続時の埋込性が一層優れ、ボイドの発生を一層低減できる。更に(F)成分が配合されることにより、ハンダ表面に形成される酸化皮膜を除去することができ、ハンダ濡れ性が向上する。
また、本発明の回路板において、ハンダ濡れ性が一層向上する観点から、上記(F)成分は、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物及びヒドラジド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。また、耐熱性及び接着性を向上する観点から、(B)成分がエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明はまた、高さtの第一の突起電極と該第一の突起電極上に形成された高さtのハンダを有する第一の回路部材と、高さtの第二の突起電極を有する第二の回路部材とを、上記第一の突起電極と上記第二の突起電極を対向して配置し、対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極の間に厚さtの接着剤層を介在させ、加熱加圧して、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極を電気的に接続させる、回路板の製造方法を提供する。
≧t+t (1)
×1.3≧t>t+t (2)
×1.3≧t>t+t (3)
[式中、tは加熱加圧後の上記第一の回路部材と上記第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離を示し、tは第一の突起電極の高さを示し、tは第二の突起電極の高さを示し、tは加熱加圧前の接着剤層の厚さを示し、tは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さを示す。]
本発明の回路板の製造方法によれば、上記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した第一の突起電極と第二の突起電極を電気的に接続させることにより、回路部材間の接着剤層におけるボイド発生が十分に抑制され、ピッチ間が十分に封止充填された回路板を得ることができる。また、本発明の回路板の製造方法によれば、第一の突起電極と第二の突起電極とのハンダ接合部で、ハンダが両突起電極に沿って広がるため、繰り返しの耐熱試験に耐えうる接続信頼性に優れた回路板が得られる。
本発明の回路板の製造方法において、上記接着剤層は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)潜在性硬化剤と、(D)無機フィラーと、(E)有機微粒子と、(F)室温で固体であり、最大粒径が25μm以下である粉体化合物と、を含む接着剤組成物からなる接着剤層であることが好ましい。上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を含む接着剤層を用いることにより、接続時の接着剤層の埋込性が一層優れ、ボイドの発生を一層低減できる。更に(F)成分が配合されることにより、ハンダ表面に形成される酸化皮膜を除去することができ、ハンダ濡れ性が向上する。
また、本発明の回路板において、ハンダ濡れ性が一層向上する観点から、上記(F)成分は、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物及びヒドラジド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。また、耐熱性及び接着性を向上する観点から、(B)成分がエポキシ樹脂を含有することが好ましい
本発明によれば、回路部材間の接着剤層におけるボイド発生が十分に抑制され、ピッチ間が十分に封止充填されており、且つ接続信頼性に優れる回路板、及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る回路部材接続用接着剤シートの好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る回路部材接続用接着剤シートの好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
図1は、本発明に係る回路板の製造方法において、好適に使用される回路部材接続用接着剤シートの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す回路部材接続用接着剤シート10は、支持基材3と、該支持基材3上に設けられ、接着剤組成物からなる接着剤層2と、接着剤層2を被覆する保護フィルム1とを備えている。
まず、接着剤層2を構成する本実施形態の接着剤組成物について説明する。
本実施形態の接着剤組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)潜在性硬化剤と、(D)無機フィラーと、(E)有機微粒子と、(F)室温で固体であり、最大粒径が25μm以下である粉体化合物とを含む。
(A)熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸共重合体が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(A)成分は、接着剤組成物のフィルム形成性を良好にすることができる。フィルム形成性とは、液状の接着剤組成物を固形化し、フィルム状とした場合に、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械特性を示すものである。通常の状態(例えば、常温)でフィルムとしての取扱いが容易であると、フィルム形成性が良好であるといえる。上述した熱可塑性樹脂の中でも、耐熱性及び機械強度に優れることから、ポリイミド樹脂やフェノキシ樹脂を使用することが好ましい。
(A)成分の重量平均分子量は2万〜80万であることが好ましく、3万〜50万であることがより好ましく、3.5万〜10万であることが更に好ましく、4万〜8万であることが特に好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状又はフィルム状とした接着剤層2の強度、可とう性を良好にバランスさせることが容易となるとともに接着剤層2のフロー性が良好となるため、配線の回路充填性(埋込性)を十分確保できる。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
また、フィルム形成性を維持しつつ、硬化前の接着剤層2に粘接着性を付与する観点から、(A)成分のガラス転移温度は、好ましくは20〜170℃であり、より好ましくは25〜120℃である。(A)成分のガラス転移温度が20℃未満では室温でのフィルム形成性が低下し、バックグラインド工程での半導体ウエハの加工中に接着剤層2が変形し易くなる傾向があり、170℃を超えると接着剤層2を半導体ウエハに貼り付ける際の貼付温度が170℃よりも高温にする必要が生じるため、(B)成分の熱硬化反応が進行し、接着剤層2の流動性が低下して接続不良が発生し易くなる傾向がある。
(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フラン樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂及びシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。耐熱性及び接着性を向上する観点から、(B)成分として、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂ハンドブック(新保正樹編、日刊工業新聞社)等に記載されるエポキシ樹脂を広く使用することができる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
(C)潜在性硬化剤としては、例えば、フェノール系、イミダゾール系、ヒドラジド系、チオール系、ベンゾオキサジン、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド及び有機過酸化物系の硬化剤を挙げることができる。可視時間を延長する観点から、これらの硬化剤を核とし高分子物質、無機物又は金属薄膜等で被覆してマイクロカプセル化したものを(C)成分として用いることが好ましい。
マイクロカプセル型の潜在性硬化剤としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ゼラチン及びポリイソシアネート等の高分子物質、ケイ酸カルシウムやゼオライト等の無機物、又はニッケルや銅等の金属薄膜の被膜により上記硬化剤からなる核が実質的に覆われているものが挙げられる。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤の平均粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下であり、このようなマイクロカプセル型潜在性硬化剤は反応開始温度が一層均一であり、当該マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含む接着剤組成物の硬化開始温度も均一となる。また、平均粒経が10μmより大きくなると、接着剤組成物を硬化してフィルム状に成形した際の表面平坦性が十分に得られない場合がある。なお、表面平坦性が十分でないと、回路部材接続用として使用した際にピッチ間が十分に封止充填できないおそれがある。また、平均粒径の下限値は、1μm以上であることが好ましい。このようなマイクロカプセル型潜在性硬化剤は、フィルム形成時のワニスに使用される溶媒に対する耐溶剤性が高く、加熱加圧前の接着剤組成物の流動性を長時間維持することができる。
本実施形態に係る接着剤組成物における(C)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対して、4〜40質量部であることが好ましく、8〜30質量部であることがより好ましい。(C)成分の含有量が4質量部未満では、硬化反応が進み難くなる傾向にあり、40質量部を超えると、接着剤組成物の流動性が低下すると共に、接着剤組成物全量に占める硬化剤の割合が多くなりすぎるため相対的に熱硬化性樹脂の割合が少なくなり、耐熱性や接着性などの特性を悪化させる傾向にある。
本実施形態に係る接着剤組成物は(D)無機フィラーを含むことで、硬化後の接着剤層2の吸湿率及び線膨張係数を低減し、弾性率を高くすることができため、作製される半導体装置の接続信頼性を向上することができる。また、(D)成分としては、接着剤層2における可視光の散乱を防止して可視光透過率を向上するために、可視光透過率を低減しない無機フィラーを選択することができる。可視光透過率の低下を抑制可能な(D)成分として、可視光の波長よりも細かい粒子径を有する無機フィラーを選択すること、あるいは、樹脂成分である(A)、(B)及び(C)成分からなる樹脂組成物(以下、場合により「樹脂組成物」という)の屈折率に近似の屈折率を有する無機フィラーを選択することが好ましい。
可視光の波長よりも細かい粒子径を有する無機フィラーとしては、透明性を有するフィラーであれば特にフィラーの組成に制限はなく、平均粒径0.3μm未満であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。また、係る無機フィラーの屈折率は、1.46〜1.7であることが好ましい。
樹脂組成物の屈折率に近似の屈折率を有する無機フィラーとしては、(A)、(B)及び(C)成分からなる樹脂剤組成物を作製し屈折率を測定した後、該屈折率に近似の屈折率を有する無機フィラーを選定することができる。該無機フィラーとして、接着剤層2の半導体チップと回路基板との空隙への充填性の観点及び接続工程でのボイドの発生を抑制する観点から、微細なフィラーを用いることが好ましい。このような無機フィラーの平均粒径は、0.01〜5μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましく、0.3〜1μmであることが更に好ましい。平均粒径が0.01μm未満では、粒子の被表面積が大きくなり接着剤組成物の粘度が増加して、無機フィラーの充填し難くなる傾向にある。
樹脂組成物の屈折率に近似の屈折率を有する無機フィラーの屈折率は、樹脂組成物の屈折率±0.06の範囲であることが好ましい。例えば、樹脂組成物の屈折率が1.60であった場合、屈折率が1.54〜1.66である無機フィラーを好適に用いることができる。屈折率は、アッベ屈折計を用いナトリウムD線(589nm)を光源として測定することができる。このような無機フィラーとしては、複合酸化物フィラー、複合水酸化物フィラー、硫酸バリウム及び粘土鉱物が挙げられ、具体的には、コージェライト、フォルスライト、ムライト、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、バリウム又はシリカチタニアを使用することができる。
なお、上述した2タイプの無機フィラーは組み合わせて用いてもよい。ただし、接着剤組成物の粘度増加を妨げないためには、可視光の波長よりも細かい粒子径を有する無機フィラーの添加量を(D)成分を基準として、10質量%未満とすることが好ましい。
また、(D)成分は、接着剤層2の弾性率を向上する観点から、線膨張係数が0〜700℃の温度範囲で7×10−6/℃以下であることが好ましく、3×10−6/℃以下であることがより好ましい。
(D)成分の配合量は、樹脂成分である(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、25〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部でることがより好ましく、75〜125質量部であることが更に好ましい。(D)成分の配合量が25質量部未満では接着剤組成物から形成される接着剤層の線膨張係数の増大と弾性率の低下を招くため、圧着後の半導体チップと基板との接続信頼性が低下し易く、さらに、接続時のボイド抑制効果も得られ難くなる。一方、(D)成分の配合量が200質量部を超えると、接着剤組成物の溶融粘度が増加し、半導体チップと接着剤層との界面又は回路基板と接着剤層との界面の濡れ性が低下することによって、剥離又は埋め込み不足によるボイドの残留が起き易くなる。
(E)有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリルゴム、ポリスチレン、NBR、SBR、シリコーン変性樹脂等を成分として含む共重合体が挙げられる。有機微粒子としては、分子量が100万以上の有機微粒子又は三次元架橋構造を有する有機微粒子が好ましい。このような有機微粒子は接着剤組成物への分散性が高い。また、このような有機微粒子を含む接着剤組成物は、接着性と硬化後の応力緩和性に一層優れる。なお、ここで「三次元架橋構造を有する」とは、ポリマー鎖が三次元網目構造を有していることを示し、このような構造を有する有機微粒子は、例えば、反応点を複数有するポリマーを当該反応点と結合しうる官能基を二つ以上有する架橋剤で処理することで得られる。分子量が100万以上の有機微粒子、三次元架橋構造を有する有機微粒子は、いずれも溶媒への溶解性が低いことが好ましい。溶媒への溶解性が低いこれらの有機微粒子は、上述の効果を一層顕著に得ることができる。また、上述の効果を一層顕著に得る観点からは、分子量が100万以上の有機微粒子及び三次元架橋構造を有する有機微粒子は、(メタ)アクリル酸アルキル−シリコーン共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル共重合体又はこれらの複合体からなる有機微粒子であることが好ましい。
(E)成分として、コアシェル型の構造を有し、コア層とシェル層で組成が異なる有機微粒子を用いることもできる。コアシェル型の有機微粒子として、具体的には、シリコーン−アクリルゴムをコアとしてアクリル樹脂をグラフトした粒子、アクリル共重合体をコアとしてアクリル樹脂をグラフトとした粒子等が挙げられる。
(E)成分が、分子量が100万以上の有機微粒子又は三次元架橋構造を有する有機微粒子である場合、有機溶剤への溶解性が低いことから、粒子形状を維持したままで接着剤組成物中に配合することができる。そのため、硬化後の接着剤層2中に有機微粒子が島状に分散し、接続体の強度が向上する。なお、(E)成分は、応力緩和性を有する耐衝撃緩和剤としての機能を有するものである。
(E)成分は、平均粒径が0.1〜2μmであることが好ましい。(E)成分の平均粒径が0.1μm未満では接着剤組成物の溶融粘度が増加し、接続時のハンダ濡れ性を妨げる傾向があり、2μmを超えると溶融粘度の低減効果が少なくなり、接続時にボイド抑制効果が得られ難い傾向にある。
(E)成分は、接続時のボイド抑制と、接続後の応力緩和効果を接着剤層2に付与させるため、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましい。(E)成分の配合量が5質量部未満では接続時のボイドを抑制する効果を奏し難くなると共に応力緩和効果も発現され難くなる傾向があり、20質量部を超えると流動性が低くなるためハンダ濡れ性が低下し残留ボイドの原因となると共に硬化物の弾性率が低くなりすぎて接続信頼性が低下する傾向にある。
(F)室温で固体であり、最大粒径が25μm以下である粉体化合物は、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物及びヒドラジド化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する化合物である。(F)成分は、ハンダ濡れ性改質剤としての機能を有する。(以下、(F)成分を「ハンダ濡れ性改質剤」という)すなわち、(F)成分は、ハンダの融点よりも低い温度に融点を持ち、溶融した後に回路電極等の金属表面の酸化物を除去することで、接着剤層2のハンダ濡れ性を改善することができる。(F)成分としては、例えば、アセチルサリチル酸、安息香酸、ベンジル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ベンジル安息香酸、マロン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、コハク酸、2,6−ジメトキシメチルパラクレゾール、安息香酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、チオカルボヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びアジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。接着剤層2への分散性を向上する観点から、これらの化合物を乳鉢ですりつぶし、微粉化した後、少なくとも25μmのフィルターで粒径の大きいものを除去して使用することが好ましい。(F)成分の最大粒径は、25μm以下であり、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
(F)成分の融点は、100℃以上であることが好ましく、130〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることが更に好ましい。(F)成分の融点が100℃未満では、フィルム形成時に(例えば、樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥する際に過熱する場合は、その加熱により)(F)成分である粉体化合物が溶解して(B)成分と反応する等、樹脂組成物の保存性が低下する場合がある。
(F)成分の配合量は、接着剤組成物100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。(F)成分の配合量が1質量部未満ではハンダ濡れ性を改善する効果が十分ではなく、20質量部を超えて配合してもハンダ濡れ性改善効果は飽和するため過剰成分となる。
本実施形態に係る接着剤組成物には、無機フィラーの表面を改質し異種材料間の界面結合を向上させ接着強度を増大するために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系及びアルミニウム系のカップリング剤が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係る接着剤組成物には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を向上するために、イオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤が挙げられる。
接着剤組成物は、半導体チップと回路基板とを接続した後の温度変化や、加熱吸湿による膨張等を抑制し、高接続信頼性を達成するため、硬化後の接着剤層2の40〜100℃における線膨張係数が60×10−6/℃以下であることが好ましく、55×10−6/℃以下であることがより好ましく、50×10−6/℃以下であることが更に好ましい。硬化後の接着剤層2の線膨張係数が60×10−6/℃を超えると、実装後の温度変化や加熱吸湿による膨張によって半導体チップの接続端子と回路基板の配線との間での電気的接続が保持できなくなる場合がある。
本実施形態に係る接着剤組成物から形成される接着剤層2は、250℃10秒加熱した後、示差走査熱量測定(以下、「DSC」という)で測定される反応率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。また、回路部材接続用組成物シートを室温で14日間保管した後、DSCで測定される接着剤層2の反応率が10%未満であることが好ましい。これにより、本実施形態に係る接着剤組成物を用いることで、接続時の反応性に十分に優れ、かつ、保存安定性にも優れるフィルム状接着剤を得ることができる。
接着剤層2は、未硬化時の可視光透過率が5%以上であることが好ましく、可視光透過率が8%以上であることがより好ましく、可視光透過率が10%以上であることが更に好ましい。可視光透過率が5%未満ではフリップチップボンダーでの認識マーク識別が行えなくなり、位置合わせ作業ができなくなる傾向がある。一方、可視光透過率の上限に関しては特に制限はない。
可視光透過率は、日立製U−3310形分光光度計をもちいて測定することができる。例えば、膜厚50μmの帝人デュポン製PETフィルム(ピューレックス、555nm透過率86.03%)を基準物質としてベースライン補正測定を行った後、PETフィルムに25μmの厚みで接着剤層2を形成した後、400〜800nmの可視光領域の透過率を測定する。フリップチップボンダーで使用されるハロゲン光源とライトガイドの波長相対強度において550〜600nmが最も強いことから、本明細書においては555nmにおける透過率を用いて接着剤層2の透過率の比較を行っている。
接着剤層2は、上述した本実施形態に係る接着剤組成物を溶剤に溶解若しくは分散してワニスとし、このワニスを保護フィルム(以下、場合により「第一のフィルム」という)1上に塗布し、加熱により溶剤を除去することによって形成することができる。その後、接着剤層2に支持基材3を常温〜60℃で積層し、本発明の回路部材接続用接着剤シートを得ることができる。また、接着剤層2は、上記ワニスを支持基材3上に塗布し、加熱により溶剤を除去することによって形成することもできる。
用いる溶剤は、特に限定されないが、接着剤層形成時の揮発性などを沸点から考慮して決めることが好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶媒は接着剤層形成時に接着剤層の硬化が進みにくい点で好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
保護フィルム1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることができる。剥離性の観点から、保護フィルム1として、ポリテトラフルオロエチレンフィルムのようなフッ素樹脂からなる表面エネルギーの低いフィルムを用いることも好ましい。
保護フィルム1の剥離性を向上するために、保護フィルム1の接着剤層2を形成する面をシリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の離型剤で処理することが好ましい。市販のものとして、例えば、帝人デュポンフィルム社製の「A−63」(離型処理剤:変性シリコーン系)や、「A−31」(離型処理剤:Pt系シリコーン系)を入手することができる。
保護フィルム1は、厚みが10〜100μmであることが好ましく、10〜75μmであることがより好ましく、25〜50μmであることが特に好ましい。この厚みが10μm未満では塗工の際、保護フィルムが破れる傾向があり、100μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
上記ワニスを保護フィルム1(又は支持基材3)上に塗布する方法としては、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等、一般に周知の方法が挙げられる。
接着剤層2の厚みは、特に制限はないが、5〜200μmが好ましく、7〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることが更に好ましい。厚みが5μmより小さいと、十分な接着力を確保するのが困難となり、回路基板の凸電極を埋められなくなる傾向があり、200μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えることが困難となる。
支持基材3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。また、支持基材3は、上記の材料から選ばれる2種以上が混合されたもの、又は、上記のフィルムが複層化されたものでもよい。
支持基材3の厚みは、特に制限はないが、5〜250μmが好ましい。厚みが5μmより薄いと、半導体ウエハの研削(バックグラインド)時に支持基材が切れる可能性があり、250μmより厚いと経済的でなくなるため好ましくない。
支持基材3は、光透過性が高いことが好ましく、具体的には、500〜800nmの波長域における最小光透過率が10%以上であることが好ましい。
また、支持基材3として、上記プラスチックフィルム(以下、場合により「第二のフィルム」という)上に粘着剤層が積層されたものを用いることができる。
図2は、本発明に係る回路部材接続用接着剤シートの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す回路部材接続用接着剤シート11は、プラスチックフィルム3bと該プラスチックフィルム3b上に設けられた粘着剤層3aとを有する支持基材3と、該粘着剤層3a上に設けられ、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層2と、接着剤層2を被覆する保護フィルム1とを備えている。
第二のフィルム3bと粘着剤層3aとの密着性を向上させるために、第二のフィルムの表面には、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理を施してもよい。
粘着剤層3aは、室温で粘着力があり、被着体に対する必要な密着力を有することが好ましく、かつ、放射線等の高エネルギー線や熱によって硬化する(すなわち、粘着力を低下させる)特性を備えるものが好ましい。粘着剤層3aは、例えば、アクリル系樹脂、各種合成ゴム、天然ゴム、ポリイミド樹脂を用いて形成することができる。粘着剤層3aの厚みは、通常5〜20μm程度である。
上述した回路部材接続用接着剤シート10及び11は、相対向しハンダ接合される回路電極を有する回路部材と半導体素子との間又は半導体素子同士の間に介在させ、回路部材と半導体素子又は半導体素子同士を接着するために用いることができる。この場合、回路部材と半導体素子又は半導体素子同士を熱圧着することにより、ボイド発生を抑制しつつ十分な接着力で接着することができ、且つ、回路電極同士を良好にハンダ接合できる。これにより、接続信頼性に優れた接続体を得ることができる。また、回路部材接続用接着剤シート10及び11は、シリコン貫通電極を用いた積層技術における接着剤シートとして使用することもできる。
次に、本実施形態に係る回路板について説明する。
本実施形態に係る回路板は、高さtの第一の突起電極と該第一の突起電極上に形成された高さtのハンダを有する第一の回路部材と、高さtの第二の突起電極を有する第二の回路部材とを、上記第一の突起電極と上記第二の突起電極を対向して配置し、対向配置した上記第一の突起電極と上記第二の突起電極の間に厚さtの接着剤層を介在させ、加熱加圧して、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した上記第一の突起電極と上記第二の突起電極を電気的に接続させてなる。
≧t+t (1)
×1.3≧t>t+t (2)
×1.3≧t>t+t (3)
[式中、tは加熱加圧後の前記第一の回路部材と前記第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離を示し、tは第一の突起電極の高さを示し、tは第二の突起電極の高さを示し、tは加熱加圧前の接着剤層の厚さを示し、tは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さを示す。]
ここで、高さt、t及びtは、いずれも第一の回路部材と第二の回路部材の積層方向に沿った高さを示す。また、ハンダの高さtは加熱加圧の前後で変化し得るが、上記式(2)における高さtは、加熱加圧前のハンダの高さを示す。
以下、本発明に係る回路板の好適な一実施形態として、回路部材接続用接着剤シート10を用いて回路板(以下、「半導体装置」と称する。)を製造する方法について説明する。
図3〜図7は、本発明に係る半導体装置の製造方法の好適な一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、
(a)主面の一方に複数の回路電極(第一の突起電極)を有する半導体ウエハ(第一の回路部材)を準備し、該半導体ウエハの回路電極が設けられている側に、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を設ける工程と、
(b)半導体ウエハの回路電極が設けられている側とは反対側を研削して半導体ウエハを薄化する工程と、
(c)薄化した半導体ウエハ及び接着剤層をダイシングしてフィルム状接着剤付半導体素子に個片化する工程と、
(d)フィルム状接着剤付半導体素子の回路電極を半導体素子搭載用支持部材(第二の回路部材)の回路電極(第二の突起電極)にハンダ接合する工程と、
を備える。
本実施形態における(a)工程では、上述の接着剤シート10の接着剤層2を半導体ウエハの回路電極が設けられている側に貼付けることにより、接着剤層が設けられる。また、本実施形態における(d)工程では、加熱によりハンダ接合が行われるとともに、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との間に介在するフィルム状接着剤の硬化も行われる。以下、図面を参照しながら、各工程について説明する。
(a)工程
先ず、接着剤シート10を所定の装置に配置し、保護フィルム1を剥がす。続いて、主面の一方に複数の回路電極20を有する半導体ウエハAを準備し、半導体ウエハAの回路電極が設けられている側に接着剤層2を貼付け、支持基材3/接着剤層2/半導体ウエハAが積層された積層体を得る(図3を参照)。回路電極20には、ハンダ接合用のハンダが塗布されたバンプ21が設けられている。なお、半導体素子搭載用支持部材の回路電極にハンダを設けることもできる。
上記(a)工程において、支持基材3/接着剤層2/半導体ウエハAが積層された積層体を得る方法としては、市販のフィルム貼付装置又はラミネータを使用することができる。半導体ウエハAにボイドの巻き込み無く、接着剤層2を貼り付けるため、貼付装置には加熱機構及び加圧機構が備わっていることが望ましく、真空吸引機構が備わっていることはより望ましい。また、接着剤シート10の形状は、貼付装置で作業できる形状であればよく、ロール状又はシート状でもよく、半導体ウエハAの外形に合わせて加工されたものであってもよい。
半導体ウエハAと接着剤層2とのラミネートは接着剤層2が軟化する温度で行うことが好ましく、ラミネート温度は、40〜80℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、60〜80℃が更に好ましい。接着剤層2が軟化する温度未満でラミネートする場合、半導体ウエハAの突出した回路電極20周辺への埋込不足が発生し、ボイドが巻き込まれた状態となり、ダイシング時の接着剤層の剥離、ピックアップ時の接着剤層の変形、位置合わせ時の認識マーク識別不良、さらにボイドによる接続信頼性の低下が生じ易くなる。
(b)工程
次に、図4に示されるように、半導体ウエハAの回路電極20が設けられている側とは反対側をグラインダー4によって研削し、半導体ウエハを薄化する。半導体ウエハの厚みは、例えば、10〜300μmとすることができる。半導体装置の小型化、薄型化の観点から、半導体ウエハの厚みを20〜100μmとすることが好ましい。
(b)工程において、半導体ウエハAの研削は一般的なバックグラインド(B/G)装置を用いて行うことができる。B/G工程で半導体ウエハAを厚みムラなく均一に研削するためには、(a)工程において接着剤層2をボイドの巻き込みなく均一に貼り付けることが好ましい。
(c)工程
次に、図5(a)に示されるように、積層体の半導体ウエハAにダイシングテープ5を貼付け、これを所定の装置に配置して支持基材3を剥がす。このとき、支持基材3が粘着剤層3aを備えており、粘着剤層3aが放射線硬化性である場合には、支持基材3側から放射線を照射することにより、粘着剤層3aを硬化させ接着剤層2と支持基材3との間の接着力を低下させることができる。ここで、使用される放射線としては、例えば、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。これにより支持基材3を容易に剥がすことができる。支持基材3の剥離後、図5(b)に示されるように、半導体ウエハA及び接着剤層2をダイシングソウ6によりダイシングする。こうして、半導体ウエハAは複数の半導体素子A’に分割され、接着剤層2は複数のフィルム状接着剤2aに分割される。
次に、図6に示されるように、ダイシングテープ5をエキスパンド(拡張)することにより、上記ダイシングにより得られた各半導体素子A’を互いに離間させつつ、ダイシングテープ5側からニードルで突き上げられた半導体素子A’及びフィルム状接着剤2aからなるフィルム状接着剤付半導体素子12を吸引コレット7で吸引してピックアップする。フィルム状接着剤付半導体素子12は、トレー詰めして回収もよく、そのままフリップチップボンダーで回路基板に実装してもよい。
(c)工程において、研削された半導体ウエハAにダイシングテープ5を貼り合わせる作業は、一般的なウエハマウンタを使用して、ダイシングフレームへの固定と同一工程で実施できる。ダイシングテープ5は市販のダイシングテープを適用することができ、UV硬化型であってもよく、感圧型であってもよい。
(d)工程
次に、図7に示されるように、フィルム状接着剤2aが付着した半導体素子A’の回路電極20と、半導体素子搭載用支持部材8の回路電極22とを位置合わせし、フィルム状接着剤付半導体素子12と半導体素子搭載用支持部材8とを熱圧着する。この熱圧着により、回路電極20と回路電極22とがハンダ接合により電気的且つ機械的に接続されるとともに、半導体素子A’と半導体素子搭載用支持部材8との間にフィルム状接着剤2aの硬化物が形成される。
熱圧着時の温度は、ハンダ接合の観点から、200℃以上であることが好ましく、220〜260℃であることがより好ましい。熱圧着時間は、1〜20秒間とすることができる。熱圧着の圧力は、0.1〜5MPaとすることができる。
フリップチップボンダーを用いた回路基板への実装では、半導体チップの回路面に形成されたアライメントマークを半導体チップの回路面に形成された接着剤層2aを透過して確認し、回路基板への搭載位置を確認して実施することができる。
なお、図7中、aは第一の突起電極の高さtに該当し、bは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さtに該当し、cは第二の突起電極の高さtに該当し、dは加熱加圧後の第一の回路部材と第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離tに該当する。ここで、a、b、c、d及び接着剤層10の厚さtが、上記式(1)、(2)及び(3)を満たすように熱圧着する。このように熱圧着することで、図7に示すようにハンダが回路電極20と回路電極22のハンダ接合部を覆うように広がり、良好な接続信頼性が得られる。
以上の工程を経て、半導体装置30が得られる。上記接着剤組成物からなるフィルム状接着剤は、埋込性及び硬化後の接着力に優れるとともに、短時間でのハンダ接合においてもハンダ表面に形成される酸化皮膜を除去することができハンダ濡れ性を向上することができる。そのため、半導体装置30は、ボイドの発生が十分抑制され、回路電極同士が良好にハンダ接合され、半導体素子A’と半導体素子搭載用支持部材とが十分な接着力で接着された、耐リフロークラック性や接続信頼性に優れたものになり得る。
本実施形態に係る回路板は、回路部材としては、高密度化した回路を有する回路部材を使用してもよく、例えば、シリコン貫通電極を備える回路部材を使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(支持基材の準備)
まず、主モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートを用い、官能基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレートとアクリル酸を用いた溶液重合法によりアクリル共重合体を合成した。得られたアクリル共重合体の重量平均分子量は40万、ガラス転移点は−38℃であった。このアクリル共重合体100質量部に対し、多官能イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コローネートHL」)10質量部を配合して粘着剤組成物溶液を調整した。
得られた粘着剤組成物溶液を、ポリオレフィンフィルム(オカモト株式会社製、商品名「WNH−2110」、厚さ:100μm)の上に乾燥時の粘着剤層の厚みが10μmになるよう塗布して、乾燥した。更に、シリコーン系離型剤で表面処理したニ軸延伸ポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、商品名「A3170、厚さ:25μm)を粘着剤層面にラミネートした。この粘着剤層付き積層体を室温で1週間放置し十分にエージングを行った後、ポリオレフィンフィルムを剥離したものを支持基材として使用した。
[実施例1]
<接着剤組成物の調整>
「ZX1356−2」(東都化成株式会社製商品名、フェノキシ樹脂)25質量部、「1032H60」(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名、エポキシ樹脂)20質量部、「エピコート828」(ジャパンエポキシレジン社製商品名、液状エポキシ樹脂)15質量部及び「HX3941HP」(旭化成エレクトロニクス株式会社製商品名、マイクロカプセル型潜在性硬化剤)40質量部を、トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒中に溶解した。この溶液に、「KW−4426」(三菱レーヨン株式会社製商品名、コアシェルタイプの有機微粒子)10質量部、5μmの分級処理を行った平均粒径1μmコージェライト粒子(2MgO・2Al・5SiO、比重2.4、線膨張係数:1.5×10−6/℃、屈折率:1.57、)75質量部、10μmの分級処理を行った「ADH」(大塚化学社製商品名、アジピン酸ジヒドラジド)10質量部を分散し、接着剤ワニスを得た。
<回路部材接続用接着剤シートの作製>
得られた接着剤ワニスを、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「AH−3」、厚さ:50μm)上にロールコータを用いて塗布し、70℃のオーブンで10分間乾燥させて、厚み30μmの接着剤層を形成した。次に、接着剤層と上記支持基材における粘着剤層面とを常温で貼り合わせて、回路部材接続用接着剤シートを得た。
<半導体装置(回路板)の作製>
上記で得られた回路部材接続用接着剤シートを用い、下記の手順にしたがって、半導体装置を作製した。
(半導体ウエハへの貼付)
ジェイシーエム製のダイアタッチフィルムマウンターの80℃に加熱された吸着ステー上に、高さ12μmの銅バンプ(第一の突起電極)及び高さ13μmのSnAg合金(第一の突起電極上に形成されたハンダ)が形成された半導体ウエハ(6インチ径、厚さ725μm、SnAg合金は銅バンプ上に形成されている。)をバンプ側を上に向けて載せた。回路部材接続用接着剤シートを200mm×200mmに切断し保護フィルムである第一のフィルムを除いた接着剤層を半導体ウエハのバンプ側に向け、エアを巻き込まないように半導体ウエハの端からダイアタッチマウンターの貼付ローラで押しつけてラミネートした。ラミネート後、ウエハの外形に沿って接着剤のはみ出し部分を切断した。
(半導体ウエハ裏面のバックグラインド及び支持基材の剥離)
上記回路部材接続用接着剤シートと半導体ウエハ(厚み725μm)との積層体を、株式会社ディスコ製バックグラインド装置で、厚みが150μmとなるまで半導体ウエハの裏面をバックグラインドした後、バックグラインドした半導体ウエハのバックグラインド面を上に向けた状態でジェイシーエム製のダイアタッチフィルムマウンターの吸着ステージに設置し、室温にてダイシングフレームと同時にアデカ製ダイシングテープ「AD80H」を貼り付けた。次いで、支持基材上に日東電工製バックグラインドテープ剥離テープを貼付し、180度ピール引き剥がしで支持基材のみを引き剥がした。
(ダイシング)
上述のダイシングフレームに固定された接着剤層付き半導体ウエハを株式会社ディスコ製フルオートマチックダイシングソー「DFD6361」にて10mm×10mmにダイシングした。ダイシング後、洗浄し、水分を飛ばした後、ダイシングテープ側からUV照射を行った後、個片化された接着剤付き半導体チップをピックアップした。
(圧着)
接着剤付き半導体チップを、バンプに対向する位置に高さ12μmの銅の端子(第二の突起電極)が形成された回路を有するガラエポ基板に、松下電気産業製フリップチップボンダ「FCB3」で位置あわせを行った後、250℃、0.5MPaで10秒間熱圧着し、半導体装置を得た。
[実施例2]
回路部材接続用接着剤シートの作製における、接着剤層の厚みを26μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[実施例3]
接着剤組成物の調整における、コージェライト粒子の配合量を100質量部とした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[実施例4]
接着剤組成物の調整におけるコージェライト粒子の配合量を100質量部とし、回路部材接続用接着剤シートの作製における接着剤層の厚みを26μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[実施例5]
接着剤組成物の調整におけるコージェライト粒子の配合量を150質量部とした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[実施例6]
接着剤組成物の調整におけるコージェライト粒子の配合量を150質量部とし、回路部材接続用接着剤シートの作製における接着剤層の厚みを26μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[比較例1]
回路部材接続用接着剤シートの作製における、接着剤層の厚みを85μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[比較例2]
回路部材接続用接着剤シートの作製における、接着剤層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[比較例3]
接着剤組成物の調整において「SRK−200」とコージェライト粒子を配合せず、回路部材接続用接着剤シートの作製における接着剤層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[比較例4]
接着剤組成物の調整におけるコージェライト粒子の配合量を200質量部とし、回路部材接続用接着剤シートの作製における接着剤層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
[接着剤層の評価]
(線膨張係数測定)
実施例及び比較例で得られた回路部材接続用接着剤シートを180℃に設定したオーブンに3時間放置し、加熱硬化処理を行った。加熱硬化後の接着剤層を支持基材から剥離し、30mm×2mmの大きさの試験片を作製した。セイコーインスツルメンツ社製「TMA/SS6100」(商品名)を用い、上記試験片をチャック間20mmとなるよう装置内に取り付け、測定温度範囲:20〜300℃、昇温速度:5℃/分、荷重条件:試験片の断面積に対し0.5MPa圧力となる条件で、引張り試験モードにて熱機械分析を行い、線膨張係数を測定した。測定後、100℃と40℃の線膨張差を求め、温度差で割った値を算出し、これを平均線膨張係数として比較に使用した。
(反応率測定)
実施例及び比較例で得られた回路部材接続用接着剤シートにおける接着剤層をアルミ製測定容器に2〜10mg計り取り、パーキンエルマー社製DSC(Differential Scaning Calorimeter)「Pylis1」(商品名)を用いて、昇温速度20℃/分で30〜300℃まで昇温して発熱量を測定し、これを初期発熱量とした。次いで、熱圧着装置の加熱ヘッドをセパレータに挟んだ熱電対で温度確認を行って10秒後に250℃に達する温度に設定した。この加熱ヘッド設定で、回路部材接続用接着剤シートをセパレータに挟んで20秒間加熱し、熱圧着時と同等の加熱処理が施された状態の接着剤層を得た。加熱処理後の接着剤層についても同様に発熱量を測定し、これを加熱後の発熱量とした。また、回路部材接続用接着剤シートを室温(25℃)で14日間保管した後の接着剤層についても同様に発熱量を測定し、これを保管後の発熱量とした。得られた発熱量から次の式で反応率(%)を算出した。
反応率(%)=(初期発熱量−加熱後の発熱量又は保管後の発熱量)/(初期発熱量)×100
(円盤フロー測定)
実施例及び比較例で得られた接着剤ワニスを、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「AH−3」、厚さ:50μm)上にロールコータを用いて塗布し、70℃のオーブンで10分間乾燥させて、厚み25μmの接着剤層を形成した。次に、接着剤層と上記支持基材における粘着剤層面とを常温で貼り合わせて、回路部材接続用接着剤シートを得た。得られた回路部材接続用接着剤シートを5mm×5mmの大きさに切り抜き、大きさ15mm×15mmにカットした#1737ガラス(コーニング社製、厚さ0.5μm)に貼り付け、PETフィルムをはく離し接着剤層のみをガラス上に残した。ガラス上の接着剤層に、12mm×12mmに切断した550um厚みのシリコンチップ(表面ミラー処理)を重ね、接着剤がガラスとシリコンチップに挟まれた状態とした。20秒後に180℃に到達する条件として設定した加熱ツール設定温度197℃の熱圧着機を使用し、シリコンチップ側から20秒間加熱、加圧を行い、接着剤層を流動、硬化させた。流動、硬化後の接着剤面積を画像処理装置によって読み取り、初期面積に対する接着剤のフロー量を算出した。フロー量は、初期面積に対する流動後の接着剤面積の比で表した。
[半導体装置の評価]
実施例及び比較例で作製した半導体装置におけるフィルム状接着剤の埋込性及び接続抵抗を評価した。次いで、作製した半導体装置を85℃、60%RHの恒温恒湿器に168時間放置して吸湿させ、260℃に設定したリフロー炉に3回暴露した。暴露後、接続抵抗及び接続部分の界面状態を確認した。また、リフロー後の半導体装置について、温度サイクル試験を行った。評価結果を表1、表2に示す。
<圧着後の埋込性>
接着剤層の貼付状態を日立建機製超音波探傷装置(SAT)で視察し、下記の基準に基づいて評価した。
○:剥離、ボイドが観察されない。
△:はく離は観察されない。チップ中心部にボイドがなく、チップ外周部の近傍に微小ボイドが観察される。
×:剥離、ボイドがチップ全面に観察される。
<リフロー後の接続性>
接着剤層のリフロー後の接続状態を日立建機製超音波探傷装置(SAT)で視察し、下記の基準に基づいて評価した。
○:剥離が観察されない。
×:剥離が観察される。
<接続抵抗>
作製した半導体装置について、圧着後の接続抵抗及びリフロー後の接続抵抗を、デジタルマルチメータ(アドバンテスト社製、商品名)を用いて測定し、下記の基準に基づいて評価した。
○:試験に適用した実装TEGの全端子連結での接続抵抗が得られる。
×:断線不良端子が存在する。
<温度サイクル試験>
上記リフロー後の半導体装置を−55℃で30分間及び125℃で30分間を1サイクルとする温度サイクル試験に投入し、試験機内での接続抵抗が維持されるかどうかを評価した。通電可能であったサイクル数を表1、表2に示す。
Figure 0005321251
Figure 0005321251
表1に示されるように、実施例1〜6で得られた半導体装置では、ボイド発生が無く、リフロー後も良好な接続性を示し、さらに温度サイクル試験で1000サイクル以上導通可能であった。これに対し、比較例1〜4で得られた半導体装置では、ボイド発生が多く見られたり、リフロー後の接続性が悪化したり、温度サイクル試験100サイクルで接続不良が発生し、ハンダ濡れ性が不十分であるためハンダ接合が不十分となり接続信頼性に劣ること等が確認された。
1…保護フィルム、2…接着剤層、3…支持基材、3a…粘着剤層、3b…プラスチックフィルム、4…グラインダー、5…ダイシングテープ、6…ダイシングソウ、7…吸引コレット、8…半導体素子搭載用支持部材、10…回路部材接続用接着剤シート、11…回路部材接続用接着剤シート、12…フィルム状接着剤付半導体素子、20…回路電極、21…ハンダバンプ、30…半導体装置、A…半導体ウエハ。

Claims (8)

  1. 高さtの第一の突起電極と該第一の突起電極上に形成された高さtのハンダを有する第一の回路部材と、
    高さtの第二の突起電極を有する第二の回路部材とを、
    前記第一の突起電極と前記第二の突起電極を対向して配置し、
    対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極の間に厚さtの接着剤層を介在させ、加熱加圧して、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極を電気的に接続させてなる、回路板。
    ≧t+t (1)
    ×1.3≧t>t+t (2)
    ×1.3≧t>t+t (3)
    [式中、tは加熱加圧後の前記第一の回路部材と前記第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離を示し、tは第一の突起電極の高さを示し、tは第二の突起電極の高さを示し、tは加熱加圧前の接着剤層の厚さを示し、tは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さを示す。]
  2. 前記接着剤層は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)潜在性硬化剤と、(D)無機フィラーと、(E)有機微粒子と、(F)室温で固体であり、最大粒径が20μm以下である粉体化合物と、を含む接着剤組成物からなる接着剤層である、請求項1に記載の回路板。
  3. 前記(F)成分は、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物及びヒドラジド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項2に記載の回路板。
  4. 前記(B)成分がエポキシ樹脂を含有する、請求項2又は3に記載の回路板。
  5. 高さtの第一の突起電極と該第一の突起電極上に形成された高さtのハンダを有する第一の回路部材と、
    高さtの第二の突起電極を有する第二の回路部材とを、
    前記第一の突起電極と前記第二の突起電極を対向して配置し、
    対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極の間に厚さtの接着剤層を介在させ、加熱加圧して、下記式(1)、(2)及び(3)を満たすように対向配置した前記第一の突起電極と前記第二の突起電極を電気的に接続させる、回路板の製造方法。
    ≧t+t (1)
    ×1.3≧t>t+t (2)
    ×1.3≧t>t+t (3)
    [式中、tは加熱加圧後の前記第一の回路部材と前記第二の回路部材の間の積層方向に沿った距離を示し、tは第一の突起電極の高さを示し、tは第二の突起電極の高さを示し、tは加熱加圧前の接着剤層の厚さを示し、tは第一の突起電極上に形成されたハンダの高さを示す。]
  6. 前記接着剤層は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)潜在性硬化剤と、(D)無機フィラーと、(E)有機微粒子と、(F)室温で固体であり、最大粒径が20μm以下である粉体化合物と、を含む接着剤組成物からなる接着剤層である、請求項5に記載の回路板の製造方法。
  7. 前記(F)成分は、カルボキシル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物及びヒドラジド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項6に記載の回路板の製造方法。
  8. 前記(B)成分がエポキシ樹脂を含有する、請求項6又は7に記載の回路板の製造方法。
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