封止材でもある透明樹脂、或いはガラスなどで覆われた光源の出射光(放射光)は、空気との界面に対して臨界角を超えて入射すると全反射を起こし取り出せなくなる。この結果、光取り出し効率が低下するという問題がある。もう一つの問題は、臨界角の存在により光の取り出し領域が制約されることで、光源のもつ輝度均一性,視野角も同時に低下する。そして、もう一つの問題は、全反射を取り除く解決策にもなっているが、点光源からの放射光に対して半球型、又は半円柱型の光取り出し構造体(砲弾型構造体など)を用いている点である。即ち、界面を点光源に対する半球型形状とすることで全反射を防ぎ光り取り出し効率を向上できる。しかし、もう一方では平坦面の界面に比べて構造体の凸部形状の厚み分が加わり薄型化構造に対しては本質的に不利になるという問題がある。特に大型の構造体では、体積の増加も伴い軽量化にも不利になるという問題もある。
本発明は、光源からの放射光に対して光源を覆った透明材料の界面が常に直交する面を持つ薄型構造体を提供する手段により、界面に対する入射角を零にできるため高屈折率材料を用いても全反射を除去、抑制でき、光源モジュールの超薄形化,軽量化構造を実現する中で、光取り出し効率向上,輝度均一性向上,視野角拡大を同時に実現する。
薄型化構造で全反射を除去,抑制する界面を形成する手段は、光源からの放射光に対して直交する面を形成し、曲率の異なる同心の半球型曲面をもつ透明構造体の界面を連続的に平面状に並べ、放射光に対して平行になる面と直交する面とを交互に形成した凹凸構造により実現する。界面に形成した凹凸構造を微細化することにより、透明構造体をより一層薄型化,軽量化構造にできる。
本発明のその他の効果としては、以下の点がある。
(1)LEDチップなどの光源を高屈折率材料で覆うことができるため、透明構造体を形 成する材料から外部への光取り出し効率向上に加えて、LEDチップなどの光源か ら透明材料への光取り出し効率も同時に向上でき、全体の効率向上に対して相乗効 果がある。
(2)界面の全領域から全反射を抑制できるため、単色LED,白色LEDなどの光源の 配光パターンに依存せず、光取り出し効率を向上できる。
(3)透明構造体側面の界面に反射構造体を形成した光源モジュールにおいて、反射構造 体からの反射光(鏡面反射)を透明構造体の界面(平行になる面)に直交するよう に形成することにより、放射光に加え反射光に対しても全反射を除去,抑制でき、 更に効率を向上できる。
(4)上記(3)の反射光に対して、反射構造体の反射光を発生させる面と、反射光を取 り出す透明構造体の界面(平行になる面)位置との組合せ構造により制御すること で輝度均一性を向上できる。
(5)透明構造体を機能面から光源を覆う封止部と光取り出しを行う凹凸構造の界面形成 部とに2分割し、後者の界面形成部を光学シート(光学フィルム)にすることによ り光源モジュールの組立性,歩留まり,使い勝手などを向上できる。
図1aは、実施例1に関わる光源モジュール1の上面図を示す。図1bは、図1aで透明構造体5,周辺枠4を取り除いた光源モジュール1の上面図である。図2aは、図1aの光学的構造を示すA−A線断面図である。図2bは、光源モジュール1の図1bに示すB−B線での断面図である。図2cは、光源モジュール1の図1bに示すC−C線での断面図である。
図1aで、光源としてのLEDチップ2は配線基板3上の中央部に配置され、配線基板3の上を四角形状の周辺枠4に収まるように透明構造体5で覆われている。
図2aで、透明構造体5はLEDチップ2を中心に配置する形で複数の同心の曲率をもつ凹凸構造からなる界面9を形成している。界面9は、LEDチップ2からの放射光6(6−0,6−1,6−2,6−3……)に対して、離散的に直交する面7(7−0,7−1,7−2,7−3……)と平行になる面8(8−1,8−2,8−3……)とで交互に形成される。透明構造体5は、直交する面7の間に平行になる面8を挿入し、長さ(ピッチ)d10で曲率,形状を変化させることで、界面9を凸部が平面状に並ぶようにしている。つまり、凸部を構成する円のそれぞれの曲率は光源から遠ざかるにつれて小さくなっている。平行になる面8、即ち透明構造体5の断面においては円の半径の一部を等しい長さd10で形成することで、平面形状でリング状に形成された凹凸部の溝に発生する構造歪(熱膨張収縮歪,加圧変形歪など)を透明構造体5全体で均一化し低減している。同様に、凹凸構造の溝深さをLEDチップ2を配置した中央部に向かって一定の割合で増加させる場合もある。
透明構造体5の断面において、面8はLEDチップ2を中心とする円の半径の一部であり、面7はLEDチップ2を中心とする円の弧または弦で構成されている。この結果、半球型の直交する面(最大半径をもつ半球面)12で形成される凸部の厚み13を除去でき、平坦な薄型構造を容易に実現している。この時、透明構造体5の中心部に配置されたLEDチップ2からの放射光6は界面9に対して直交する面7を透過するため全反射は抑制され、光取り出し効率は大幅に向上している。
特に薄型化の条件を緩和する場合は、界面9の並べ方は平面状である必要はない。
LEDチップ2の大きさは通常最小サイズでも約0.1mm角以上であるため、LEDチップ2の全発光領域は透明構造体5の界面9に対して必ずしも点光源にはならない。放射光6は直交する面7に対して直交せず(点光源からずれるため)、曲面である直交する面7の法線に対して入射角θiが発生する場合も起こる。このような場合でも、入射角θiが臨界角θo以内であれば全反射が抑制される(透過,屈折する)ため光取り出し効率は向上する。
平行になる面8に放射光6が入射する場合も幾何光学的な構造から同様である。平行になる面8で全反射する反射光(点光源であれば入射せず、発生しない)は、隣接する直交する面7に入射し、直接的な放射光6とほぼ等しい入射角θiをもつ。従って、LEDチップ2のサイズや材料の屈折率で決まる臨界角θoを考慮し、透明構造体5(の界面9)の形状にばらつき幅を許容させて光取り出し効率を向上させている。
透明構造体5の界面9の表面積が図2aに示す水平方向(X,Y軸方向)に増加する場合は、界面9の全領域から全反射を防止,抑制して光取り出しをできるため放射光6に対する輝度均一性の向上と同時に視野角も拡大させている。
透明構造体5は、光透過率の高いシリコーン系樹脂(屈折率n1は1.4)を用いて形成されている。アクリル系樹脂を用いる場合もある。界面9の凹凸構造は、金型で一括形成されている。空気(屈折率no=1)に対して上記のシリコーン系樹脂を用いると臨界角θoは約45度になる。従って、直交する面7に対して全反射を抑制する入射角θiの条件は、放射光6に対して透過,屈折を許容すれば基本的に45度まで緩和できる。臨界角θoを考慮することで、界面9の形成,製造プロセスに対して加工,組立のばらつき精度を緩和すると共に歩留まり向上などのコストメリットも加わる。
更に、入射角θiの自由度(θi≦θo)を活用することにより、機能の付加も実現できる。例えば、直交する面7の傾斜角度をずらすことで、透明構造体5からの放射光である透過光に対しても輝度均一性向上や集光特性の向上,制御を容易に実現することができる。
透明構造体5は、モジュール形態によっては有機系材料に代り屈折率n1の大きいガラス等の無機系材料を用いる場合もある。即ち、透明構造体5に屈折率n1の高い低融点ガラス(300℃以下)を、また配線基板3、周辺枠4にセラミック基材を用いたモジュールである。LEDチップ2の基材屈折率n2が大きい(2.0以上)場合でも、透明構造体5を用いることにより界面9での全反射を防ぐことができるため、屈折率n1を基材屈折率n2に近づけることができる。従って、LEDチップ2から透明構造体5への光取り出し効率を向上させると同時に、透明構造体5から空気中(no)への光取り出し効率も向上させることができる。LEDチップ2に白色LED(例えば、青色LED+黄色蛍光体)を用いる場合は、粉末状の低融点ガラスに黄色蛍光体を混合,混練して一括溶融形成する場合もある。
一方、透明構造体5を凹型に取り囲む配線基板3,周辺枠4の表面は高反射率の特性を備える。周辺枠4は配線基板3上、かつ、透明構造体5の側面に形成される。周辺枠4の内側面は、透明構造体5の側面と反射界面11を形成している。反射界面11の形状は、光源であるLEDチップ2の放射光6が透明構造体5の反射界面11で反射され(効率向上のため、反射界面11への入射角θiを全反射できるようにする場合もある)、透明構造体5の平行になる面8から取り出されるように形成されている。この時、周辺枠4について、反射光が平行になる面8に対して放射光6とは逆に直交するように反射界面11が傾斜して形成されている。
図1bで、配線基板3は両面配線構造でありCuスルーホール14を介して表面の電極パターン(実線部)15(15−1,15−2,15−3)と裏面の電極パターン(破線部)16(16−1,16−2,16−3)との間を電気的に接続している。
電極パターン15は、LEDチップ2の電極(図中省略)とAuワイヤー17−1,17−2で接続するための電極パターン15−1,15−2、及びLEDチップ2を搭載するためのダイボンディング部の電極パターン15−3とで形成されている。LEDチップ2にフリップチップを用いてCCB接続する場合もある。中央の電極パターン15−3は、LEDチップ2で発生した熱量を裏面に放熱するため複数本のCuスルーホール14を介して配線基板3の電極パターン16−3に接続される高放熱構造(低熱抵抗構造)を形成している。
図2b及び図2cにおいて、配線基板3はガラスエポキシ基板であり、両面に形成された電極パターン15(15−1,15−2,15−3),電極パターン16(16−1,16−2,16−3)を含み、配線基板3の表面上にはそれぞれ高反射率で高信頼度の白色レジスト層18及び白色レジスト層19が形成されている。配線基板3にフレキシブル配線基板を用いる場合もある。
裏面のレジスト層19は、直接光学特性に関係しない場合、高反射率材料としない場合もある。電極パターン15,電極パターン16上へレジスト層18,レジスト層19が形成されない開口部20(20−1,20−2,20−3),開口部21(21−1,21−2,21−3)にはCu箔パターン上にNi/Auめっきが施されている。開口部20はLEDチップ2をDB/WBする領域を確保し、それ以外の領域をレジスト層18で覆って放射光を反射させている。裏面の開口部21は、光源モジュール1を外部配線基板(図示せず)や外部放熱構造部(図示せず)にはんだ接続などするために設けられている。
電極パターン15−3に形成した開口部20(20−3)では、LEDチップ2からの裏面への放射光に対して高反射特性を向上させるため、Ni/Auめっきの上にAgペーストによるダイボンディング層22を形成している。開口部20(20−3)は、Ni/Auめっきに代りNi/Agめっきを施す場合もある。更に、Agめっきに代えて、高反射特性(85%以上、Ag同等)で高信頼度なSnめっきを用い、高信頼度で高放熱の白色(或いは透明)ダイボンディング層22を薄く(1〜20μm程度)形成する場合もある。ダイボンディング層22には白色の高熱伝導性フィラー(アルミナ粒子など)入りのシリコーン系樹脂を用いている。
白色のレジスト層18,レジスト層19を用いない場合として、配線基板3をガラスエポキシ基板に代えて白色のセラミック(アルミナ)基板を用いる場合もある。周辺枠4は白色の反射シート(アクリル系樹脂)を金型で成形して形成される。白色反射シートに代りに、高反射率の白色セラミック基板、或いは積層形成した白色レジスト層などで周辺枠4の外形を直接形成する場合もある。つまり、周辺枠4の表面は反射性を有しており、周辺枠4は白色セラミック基板,白色レジスト層等により高反射率(90%以上)の表面が形成されている。白色セラミック基板の場合は、配線基板3と周辺枠4を一体化した積層セラミック基板とすることで、高信頼度で高反射率,高効率特性を得ることができる。
図3は、実施例2に関わる透明構造体25を用いた光源モジュール23で、光学的構造を示す断面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。図3で、光源モジュール23の基本構造は光源としてのLEDチップ24を配線基板32の中央部に配置し、その上を四角形状の周辺枠33に収まるように透明構造体25で覆っている。
透明構造体25から光取り出しを行う界面28は、LEDチップ24の真上に当たる中央部がフラットな界面27と凹凸構造からなる界面28をもつ。つまり、透明構造体25の光取出し面に平坦な領域が形成されている。界面27のフラットな領域は、全反射の起きない臨界角θoの範囲内31に形成されている。界面28は、LEDチップ24からの放射光26に対して直交する面29(29−1,29−2,29−3……)と平行になる面30(30−1,30−2,30−3……)で交互に形成されている。界面27,界面28は、透明構造体25を薄型化するため、基本的に一つの平面状に並べて配置されている。出射光を制御する場合、薄型化は緩和されるが界面28の並べ方にある程度の幅を持たせる場合もある。この場合でも、界面28の凹凸構造を微細化することで薄型化を独立に実現できる。
図4は、実施例3に関わる透明構造体34を用いた光源モジュール35で、光学的構造を示す断面図である。実施例2の透明構造体25に対する変形例である。
図4で、光源モジュール35の基本構造は光源としてのLEDチップ36を配線基板37の中央部に配置し、その上を四角形状の周辺枠38に収まるように透明構造体34で覆われている。
透明構造体34から光取り出しを行う界面39は、フラットな界面40と凹凸構造からなる界面41で凸部が平面状に並ぶようにフラットに形成されている。界面40は、2つの領域からなり、LEDチップ36の真上方向に当たる中央部の界面40−1と周辺枠38の端部近傍の界面40−2でフラットな界面を形成している。つまり、平坦な領域が透明構造体34の中央部または透明構造体34の周辺部に形成されている。フラットな界面を設けることで構造の安定性を確保している。更に、界面40−2は周辺枠38との配置関係から金型成形時の凹凸構造からなる界面41を形成し易くしている。特に、連続的な平面を形成する場合、透明構造体34の境界領域での加工を容易にしている。
界面40−1のフラットな領域は、LEDチップ36からの放射光45−1に対して全反射の起きない臨界角44θoの範囲内に形成されている。界面41は、LEDチップ36からの放射光45−1に対して直交する面42と平行になる面43で交互に形成されている。界面40−2では、LEDチップ36からの放射光45−2に対して全反射が起きやすい。この場合は、周辺枠38の反射界面47−1(周辺枠38と透明構造体34とで形成される傾斜した面)、配線基板37の反射界面47−2(配線基板3の白色反射レジスト層(図4では省略されているが、図2b,図2cのレジスト層18と同じ)と透明構造体34とで形成される面)と順次反射(多重反射)を繰り返し、界面41からの光取り出し構造を形成している。界面47−1,47−2の多重反射では、高反射率の部材を用いて効率を向上させている。
図5は、実施例4に関わる透明構造体48を用いた光源モジュール49で、光学的構造を示す断面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。図5で、光源モジュール49の基本構造は光源としてのLEDチップ50を配線基板51の中央部に配置し、その上を四角形状の周辺枠52に収まるように透明構造体48で覆っている。
透明構造体48から光取り出しを行う界面53は、LEDチップ50からの放射光54に対して直交する面55と平行になる面56を交互に繰り返す凹凸構造で形成され、その溝深さ57を一定とした構造を特徴とする。つまり、透明構造体における複数の凸部の厚さを等しくしている。溝深さ57を均一化することで透明構造体48の熱膨張などのストレスで発生する構造歪を均等化し低減している。更に、凹凸部構造を金型で形成する場合、容易に形成できている。
図6は、実施例5に関わる透明構造体58を用いた光源モジュール59で、光学的構造を示す断面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図6で、光源モジュール59の基本構造は光源としてのLEDチップ60を配線基板61の中央部に配置し、その上を四角形状の周辺枠62に収まるように透明構造体58で覆っている。
透明構造体58から光取り出しを行う界面(64+65)は、LEDチップ60からの放射光63に対して直交する面64と平行になる面65を交互に繰り返す凹凸構造で形成される中で、LEDチップ60から見た直交する面64の角度幅66を一定にした構造を特徴とする。つまり、複数の凸部を構成する弧のそれぞれの円周角を等しくしている。分割された直交する面64の角度幅66を一定にすることにより、LEDチップ60からの立体角を等しくし、光度を適正化している。更に、透明構造体58の熱膨張などのストレスで発生する中央部への構造歪を低減している。
図7aは、実施例6に関わる透明構造体67を用いた光源モジュール68で、光学的構造を示す上面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図7aで、光源モジュール68の基本構造は、光源としてのLEDチップ69を中央部に配置し、その上を矩形形状(細長形状)の周辺枠70の内部領域を透明構造体67で覆っている。透明構造体67の界面(実線と破線で繰り返した凹凸面)は周辺枠70の内部に納まる形で同心円状に形成されている。
同様に、図7bは、実施例6に関わる透明構造体71を用いた光源モジュール72で、光学的構造を示す上面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図7bで、光源モジュール72の基本構造は、光源としてのLEDチップ73を中央部に配置し、その上を円形形状(楕円形状でも同じ)の周辺枠74の内部領域を透明構造体71で覆っている。透明構造体71の界面(実線と破線で繰り返した凹凸面)は周辺枠74の内部に納まる形で同心円状に形成されている。
図8は、実施例7に関わる透明構造体75を用いた光源モジュール76の一部で、透明構造体75の界面曲面構造を平坦面で形成した場合の部分構造図であり、断面図(XZ面)と上面図(XY面)を兼ねている。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図1a,図2aの透明構造体5の界面9を構成する直交する面7,平行になる面8の3次元的な曲面77(XZ面,YZ面)を平坦面78で形成した構造を特徴とする。直交する面7,平行になる面8に対する平坦面78のずれ量(角度)は、臨界角θo以内に収めている。ここで、透明構造体75の断面において、複数の凸部のそれぞれは、光源を中心とする円の半径の一部及び複数の円の弦で構成されている。曲面77を多分割し適正な微細平坦面構造(図8:78−1,78−2の2分割)とすることにより、界面77に対する金型形状の単純化,金型成型の簡易化,低コスト化を実現している。
図9は、実施例8に関わる透明構造体79を用いた光源モジュール80で、光学的構造を示す上面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図9で、光源モジュール80の基本構造は光源としてのLEDチップ81を配線基板82の中央部に配置し、その上を四角形状の周辺枠83に収まるように透明構造体79で覆っている。
透明構造体79は、太線破線88の内部が直交する面84と平行になる面85で形成される凹凸構造89(凹部86が実線円、凸部87が破線円)を備え、それを除く領域は平坦面90を形成している。平坦面90は、凹凸構造89の表面を等価的に同一材料で埋められた構造をとっている。透明構造体79の凹凸構造89(全反射の発生しない領域)の配置を制御することにより、太線破線88を任意の形状,構造(文字,パターン)で表示することができる。凹凸構造89を微細化することで、透明構造体79の表面を平坦化すると同時に文字/パターン/マーク等の表示分解能を向上させることができている。
図10aは、実施例9に関わる第一の透明構造体98と第二の透明構造体93で構成される透明構造体91を用いた光源モジュール92の断面図である。図10bは、第二の透明構造体93の断面図を示す。図10cは、光源モジュール92で第二の透明構造体93を取り除いた光源モジュール94の断面図である。実施例1の透明構造体5に対する変形例である。
図10aで、光源モジュール92の基本構造は、光源としてのLEDチップ95を配線基板96の中央部に配置し、その上を周辺枠97の高さにまで収まるように第一の透明構造体98で覆い(光源モジュール94の形成)、その上に図10bに示すフィルムまたはシートで形成される第二の透明構造体93を用いて形成している。LEDチップ95からの放射光102に対して形成された第二の透明構造体93の凹凸構造103は、前記した実施例1などでの光学的な配置関係と同じである。
透明構造体91は、第一の透明構造体98と第二の透明構造体93とで構成され、第一の透明構造体98の屈折率n1a,第二の透明構造体93の屈折率n1bはほぼ等しい。
つまり、第二の透明構造体93の屈折率と第一の透明構造体98の屈折率との比率を0.9以上1.1としている。図10cに示すように、第一の透明構造体98は、あらかじめ光源モジュール94において透明なシリコーン系樹脂を用いて、周辺枠97の上部高さまで平坦面状の界面101を備えるように形成される。第二の透明構造体93は図10bに示すように凹凸構造を有する透明なアクリル系樹脂層99と透明な粘着剤層100の2層構造でシート状(フィルム状)に形成されており、各々の屈折率もほぼ等しい。つまり、第二の透明構造体の屈折率と粘着剤層100の屈折率との比率を0.9以上1.1としている。
光源モジュール92は、第二の透明構造体93の粘着剤層100を用いて前記した光源モジュール94の第一の透明構造体98の界面101に密着させて形成される。この時、界面101にはボイドなどを含まないようにするため、粘着剤層100に格子状の空気抜け構造(図示せず)を形成して張り付けている。
図10aは、光源モジュール92の基本構成のみを示しているが、複数個用いて平面的、2次元的に連続して配列する場合もある。図10aに示すように、第二の透明構造体93を周辺枠97の上部を覆う構造とすることにより、隣接部の境目で起こる非発光部を取り除き境界むらの除去と同時に視野角を拡大している。周辺枠97の上部を鋭角、或いは細線上の構造(図示せず)にして、非発光部の境界むらを取り除く場合もある。また、視野角拡大では、光源モジュール92の構造を幾何学的に薄型化と大面積化により180度に近づけられる。
図11aは、実施例10に関わる光源モジュール104で、実施例1の光源であるLEDチップ2に対する変形例を示す断面図である。
光源105は青色のLEDチップ106と蛍光体を分散した透明樹脂107とからなり、LEDチップ106を透明樹脂107でほぼ半球状で全体を覆っている。透明樹脂107の形状は金型成形、或いはポッティングで形成している。LEDチップ106の上部に形成される蛍光体厚み108は励起光を透過させるため、5〜50μmtとしている。透明
樹脂107にはLEDチップ106を励起光源とするYAG(Ce)蛍光体を分散させて用いている。同様にして、励起光源にUV−LEDを用いて3波長蛍光体を分散させる場合もある。
図11bは、実施例11に関わる光源モジュール109で、実施例10の変形例を示す断面図である。
光源110はLEDチップ111と、蛍光体を含まない第一の透明樹脂112と、蛍光体を分散した第二の透明樹脂113とからなり、第一の透明樹脂112はLEDチップ111を覆い、第二の透明樹脂113は第一の透明樹脂112を覆っている。第一の透明樹脂112,第二の透明樹脂113は、LEDチップ111を中心に配置したほぼ半球状の形状で覆っている。第二の透明樹脂113は、LEDチップ111から見た球殻の厚み114をほぼ一定(5〜50μmt)にし、励起光も均一に透過させている。第二の透明樹脂
113には青色のLEDチップ111を励起光源とするYAG(Ce)蛍光体を分散させて用いている。同様にして、励起光源にUV−LEDを用いて3波長蛍光体を分散させる場合もある。
図11cは、実施例12に関わる光源モジュール115で、実施例10の変形例を示す断面図である。
光源116はLEDチップ117と蛍光体を分散した透明樹脂118とからなり、LEDチップ117に対しては一定の厚み(5〜50μmt)119の透明樹脂118で上面の
みを部分的に覆っている。LEDチップ117からの放射光は、側面からは直接の励起光,上面からは蛍光体発光と励起光を取り出している。
図12aは、実施例13に関わる光源モジュール120で、実施例12の変形例を示す断面図である。
光源121はLEDチップ122と蛍光体を分散した透明樹脂123とからなる。光源121の上には、全反射を除去,抑制する凹凸構造からなる界面124を備えた透明構造体125が形成されている。透明構造体125の中央部には、全反射が発生しないようにして曲率半径を小さくした球面上の凹部形状126が形成されている。これにより、光源121の真上からの出射光を制御し、光源モジュール120からの光取り出し強度を均一化している。
図12bは、実施例14に関わる光源モジュール127で、実施例13の変形例を示す断面図である。
透明構造体128の中央部には、全反射が発生しないようにして逆円錐型の凹部形状129が形成されている。これにより、光源130の真上からの出射光を制御し、光源モジュール127からの光取り出し強度を均一化している。
図13aは、実施例15に関わる光源モジュール131で、実施例1の変形例を示す断面図である。
光源モジュール131は、配線基板132の上にLEDチップ133、その周辺側面に反射構造体134を配置し、その上を透明構造体135で覆うように形成されている。LEDチップ133からの放射光136は、透明構造体135の上部の界面137から、直接取り出される出射光138−1と反射構造体134で反射されて出で来る反射光138−2で取り出されている。
出射光138−1は、放射光136に対して界面137を構成する直交する面139(139−0,139−1,139−2……)から取り出される。反射光138−2は、放射光136に対して界面137を構成する平行になる面141(141−1,141−2,141−3……)に対して、直交する面として作用するように反射構造体134の界面140で反射(主に、鏡面反射)させて取り出されている。
界面140の形状は、LEDチップ133と反射構造体134、及び透明構造体135の形状,配置により幾何光学的に決定され、断面が凸曲面構造(放物線近似曲線,楕円近似曲線など)をとる。即ち、LEDチップ133の任意表面(点光源)からでる放射光136に対して透明構造体135の平行になる面141で反射光138−2を直交させて取り出す場合、反射構造体134の界面140の形状,位置は前記した凸曲面構造で一意的に決定される。反射構造体134は、高反射率で高信頼度の白色アクリル系樹脂を用いて金型成形されている。
LEDチップ133からの放射光136は、光源であるLEDチップ133の放射パターンに依存せず出射光138−1,反射光138−2の殆ど全てを取り出すことができるため、光源モジュール131の光取り出し効率を大幅に向上させている。
図13bは、実施例16に関わる光源モジュール142で、実施例15の変形例を示す断面図である。
光源モジュール142は、配線基板143の上にLEDチップ144、その周辺側面に反射構造体145を配置し、その上を透明構造体146で覆うように形成されている。LEDチップ144からの放射光147は、透明構造体146の上部の界面148から直接取り出される出射光149−1と反射構造体145で反射されて出で来る反射光149−2で取り出されている。反射構造体145について透明構造体146と接する部分は階段状としている。
出射光149−1は、放射光147に対して界面148を構成する直交する面150(150−0,150−1,150−2……)から取り出される。反射光149−2は、放射光147に対して界面148を構成する平行になる面151(151−1,151−2,151−3……)に対して、直交する面として作用するように反射構造体145の界面152で反射(主に、鏡面反射)させて取り出されている。
界面152は、放射光147に対して平行になる面(反射しない面)153と放射光147を反射させる面154とで交互に段差構造により形成されている。実施例15の場合と異なり、界面152に平行になる面153を加えることで、反射光149−2を取り出す透明構造体146の界面148の位置,領域を拡大させている。これにより、放射光147に対して透明構造体146の平行になる面151を反射構造体145の界面152での反射光155に対して直交する面156(平行になる面151と同じ面)とする中で、透明構造体146の平行になる面151(直交する面156)に対してほぼ全体領域からの光取り出しを行い、輝度均一性を向上させている。
図14は、実施例17に関わる複数の光源モジュール157(157−1,157−2……)の断面図である。
複数の光源モジュール157(157−1,157−2……)は、LEDチップ158と反射構造体159を配線基板160に搭載し、その上に透明構造体161が形成され、一体形成されている。透明構造体161は、第一の構造体169と第二の構造体170で構成されている。
図15aは、透明構造体161を構成する第二の構造体170の上面図である。
図15bは、図15aのD−D線断面図であり、第二の構造体170に剥離セパレータ171を取り付けた構造を示す。
図14に示すように、配線基板160は両面配線構造であり、各光源モジュール157毎にLEDチップ158を搭載する基板中央部で両面に配線パターン162−1,162−2がCuスルーホール163で接続され、AGSP基板構造により高放熱構造を形成している。配線基板160の表面にはCuスルーホール163を除く領域に高反射率の白色レジスト164が形成されている。配線基板160の裏面に形成される配線パターン162−2は薄型アルミ板からなる放熱筐体165に高熱伝導性の粘着シート166を介して密着され、LEDチップ158からの発熱を効率よく放熱している。
放熱筐体165として高熱伝導性の薄型カーボンシート(0.1〜1.0mmt)を用いる場合もある。平面横方向に対する異方性の熱伝導率はCuレベルであり、配線パターン162−2の発熱部から周辺部(図示せず)への熱引きを向上させて外部空気中への高放熱構造を実現している。同時に、アルミ板からカーボンシートにすることで、軽量化も実現している。
配線パターン162−2の構造は、LEDチップ158,Cuスルーホール163の面積よりも1桁以上大きな形状で厚い銅箔(50〜150μmt)を用いて熱広がり構造を形
成し、放熱筐体165への高放熱性を確保している。
LEDチップ158が搭載されるCuスルーホール163上の配線パターン162−1の表面には、Ni/Agめっき167を施し、LEDチップ158からの光束を反射させている。高信頼性や光学特性を確保するためNi/Ag/Auめっき、或いはNi/Snめっきを用いる場合もある。Cuスルーホール163とLEDチップ158の接続には、LEDチップ158の裏面をメタライズし、Au/Au,Au/Sn接合で固着(ダイボンディング)している。裏面メタライズを形成しない場合は直接白色のシリコーン系樹脂(高反射率部材)で固着する。この場合、固着部の熱抵抗を低減するため厚さを1〜20μm以内に薄くする。また、配線基板160に白色のアルミナ基板を用いる場合は、LEDチップ158のダイボンディング材に透明なシリコーン系樹脂(透過)を用いアルミナ基板で反射させる場合もある。
配線基板160の上にはLEDチップ158とその周辺を取り囲む反射構造体159が配置され、その上に透明構造体161が形成されている。隣接する反射構造体159−1,159−2は、段差構造を一体化する形で形成されている。
透明構造体161は、反射構造体159の最高部位の面168で第一の構造体169と第二の構造体170に2分されて形成されている。
第一の構造体169は、表面が単調な平坦面、或いは平坦面で近似される凹面、又は凸面をもち、シリコーン系透明樹脂で形成されている。
第二の構造体170は、図15a,図15bに示すように、アクリル系透明樹脂層173とアクリル系透明樹脂で透過率の高い粘着剤層174の積層構造で形成されている。図15bの第二の構造体170は、アクリル系透明樹脂層173の光を取り出す面側に全反射を除去,抑制する凹凸界面172が形成されている。
第一の構造体169と第二の構造体170は、前記した単調な平坦面を吸収できる粘着剤層174を介して最高部位の面168で密着一体化され、透明構造体161を形成している。透明構造体161の凹凸界面172は、LEDチップ158からの放射光175に対して全反射を除去,抑制する構造に形成されている。
光学的な面から、第一の構造体169の屈折率n1aとして1.4を用い、第二の構造体170の屈折率n1bとして1.4から1.7を用いて、n1a≦n1bの関係を維持している。許容される屈折率niの数値範囲は、臨界角の存在などから、第一の構造体169の屈折率n1aと第二の構造体170の屈折率n1bとの比率を0,9以上1.1以下で満足させることにより、透明構造体161の内部での全反射を抑制できている。また、n1a<n1bとして、差を設ける場合もある。放射光が第一の構造体から第二の構造体に入射する場合、屈折率差を用いて集光機能を実現できる。
更に、透明構造体161から外部(空気中no=1.0)への全反射を除去,抑制できているため、屈折率n1a,n1bをLEDチップ158の基材屈折率n2(青色LEDの場合、n2=2.4)まで近づけることができる。即ち、LEDチップ158から透明構造体161への光取り出し効率も同時に大幅に向上できる効果が得られる。
LEDチップ158に対する反射構造体159,透明構造体161(169+170)の形状を大型化と同時に薄型化することにより、視野角が拡大され180度近くにできている。
隣接する光源モジュール157−1,157−2間の輝度むらは、反射構造体159−1,159−2の上部に透明構造体161を構成する第二の構造体170を配置する構造をとるため、放射光175が行き交うことができ緩和,抑制される。
透明構造体161が2分割されているため、第二の構造体170を後工程で組み立てることができ、光源モジュール157の作業性,歩留まりを向上させている。
光源モジュールの薄型化については、LEDチップ158,配線基板160,透明構造体161(169+170),反射構造体159で構成される光源モジュール157の場合、一例として光源モジュール157のサイズ:30mm角,LEDチップ158のサイズ
:0.3mm角、更に配線基板160の厚み:0.5mm,反射構造体159の厚み:1.0mm
,第二の構造体170の厚み:0.5mmとすると、約2.0mmにできる。半球型の透明構造
体の場合は高さが16mm以上になるため1桁近くの低減効果がある。薄型化の効果は、光
源モジュール157のサイズを増加できる場合、厚さが基本的に増大しないため更に増加させることができる。同時に、第二の構造体170の体積,重量の増加も抑制できるため、光源モジュール157の軽量化に対しても大きな割合で低減効果が得られる。
光源モジュール157を薄型化した結果、基材機能としてフレキシブル化することができるため、平坦型の替わりに曲面型の光源モジュールも容易に形成できる自由度,効果がある。
変形例として、第二の構造体170を構成するアクリル系透明樹脂層173と粘着剤層174の積層界面(図示せず)に気泡が発生しないように蛍光体層を形成して白色光源とする場合もある。この時の光源モジュールは、励起光源として青色のLEDチップ、或いはUV−LEDを用いてそれぞれYAG(Ce)蛍光体層,3波長蛍光体層を第二の構造体170に形成している。蛍光体層はアクリル系樹脂、或いはシリコーン系樹脂に分散させた薄型シート,フィルムであり、これを用いて第二の構造体170を3層構造で形成させている。LEDチップからの放射光に対してシート厚さ依存による色調差を取り除くため、励起光源であるLEDチップから離れるに従って蛍光体の分散密度が減少する分布を薄型シートにパターン形成している。蛍光体の密度分布パターンの効率的な形成により低コスト化も実現している。
もう一つの変形例として、第二の構造体170を構成するアクリル系透明樹脂層173の表面に薄い蛍光体膜を形成して白色光源とする場合もある。この時の光源モジュールは、励起光源として青色のLEDチップ、或いはUV−LEDを用いてそれぞれYAG(Ce)蛍光体膜,3波長蛍光体膜を凹凸界面172上に形成している。この蛍光体膜の厚さは5〜100μmであり、アクリル系透明樹脂に蛍光体を分散させてある。蛍光体膜を薄膜シート,フィルム化した後で、第二の構造体170の凹凸界面172に搭載し金型成形時に積層密着させ、一体化させている。また、凹凸界面172の形成時に蛍光体膜も同時にアクリル系透明樹脂173中に一体で形成する場合もある。
もう一つの変形例として、蛍光体を分散させたアクリル系透明樹脂で薄板、或いはシート、フィルムを形成し、第二の構造体170の凹凸界面172上に空気層を介して配置した構造を用いる場合もある。光源モジュール157から出射した励起光は、薄板、或いは薄いシート,フィルムの内部に分散された蛍光体を励起、或いは反射,透過して白色光を形成している。この時、薄板の蛍光体は出射光を散乱させる効果があるため拡散板の機能も兼ねている。即ち、光源モジュール157の外部に拡散板を配置する照明装置の場合では、後述する図16b(実施例18)の拡散板185として従来の拡散板に代えて蛍光体を分散させた拡散板を用いることで白色照明装置を形成することができる。
光源モジュール157から蛍光体を分離し、かつ拡散板に蛍光体を付加する機能分離付加により、照明装置の部材コスト,製造コストを抑制,低減することができる。
図16aは、実施例18に関わる多数個の光源モジュール176(176−1,176−2,176−3……)を平面的に縦横配列した直下型照明装置181で拡散板185を取り除いた場合の上面図であり、実施例17の変形例である。図16bは、図16aの直下型照明装置181のE−E線断面図である。
光源モジュール176(176−1,176−2,176−3……)は、LEDチップ177と反射構造体178を配線基板179に搭載し、その上に透明構造体180が形成され、多数個に対して一体形成されている。
本実施例では光源としてLEDチップ177を用いているが、これに代り実施例10〜実施例12に記載の励起光源と蛍光体から基本構成される白色光源を用いる場合もある。
更に、LEDチップ177がRGB3色の発光(同一駆動電流により外部電極2端子形成)による白色光を出射でき、蛍光体を不要とする1チップの場合も含まれる。
直下型照明装置181は、放熱筐体183と光源モジュール176からの光を出射する拡散板185と多数個の光源モジュール176(LEDチップ177の駆動回路,電源部は省略)から構成される。
前記した拡散板185に代り実施例17に記載した蛍光体を分散させたアクリル系透明樹脂の薄板、或いはシートを用いる場合は、光源モジュール176のLEDチップ177を青色LED、或いはUV−LEDの励起光源とすることで白色光源を形成している。これは、白色光源の蛍光体を光源モジュール176から分離し、照明装置181の拡散板185に別途蛍光体を分散,形成できるためである。光源モジュール176は、蛍光体が分離されることで構造単純化と同時に組立構造,製造プロセスが簡易化され、歩留まり向上,特性ばらつき低下などを容易に実現できている。
光源モジュール176は高熱伝導の粘着シート182を介して放熱筐体183に固着され、拡散板185が光源モジュール176の光取り出し面側に空気層184を介して配置され、前記放熱筐体183と拡散板185が外枠筐体186に組み込まれる形で構成されている。
図16cは、直下型照明装置181に用いられる透明構造体180を構成する第二の構造体187を多数個平面的に配列した光学シート188の上面図である。図16dは、図16cのF−F線断面図である。実施例17の場合と同様に、第二の構造体187は、光を取り出す面側が全反射を抑制する凹凸界面189が形成されているアクリル系透明樹脂層190とアクリル系透明樹脂で透過率の高い粘着剤層191の2層構造で一体形成され、粘着剤層191側には剥離セパレータ192を取り付けて独立した光学シート188として用いている。
図16eは、直下型照明装置181に用いる光源モジュール176の反射構造体178を多数個一体成型した上面図である。図16fは、図16eのG−G線断面図である。
光源モジュール176を構成する配線基板179,第二の構造体187に加えて、反射構造体178を一体化構造とすることにより、直下型照明装置181の組立工程を簡易化し、組立性向上,歩留まり向上、更には低コスト化を実現している。
図16gは、直下型照明装置181を組み込んだ液晶表示装置193の断面図である。
直下型照明装置181を白色光源とするため、前記したように拡散板185には基材樹脂と異なる屈折率を有する微粒子と蛍光体粒子とが混合分散されたアクリル系透明樹脂の薄板、或いはシート,フィルムを効果的,機能的に形成し、かつ光源モジュール176のLEDチップ177を青色LED、或いはUV−LEDとしている。特に、アクリル系透明樹脂に対して屈折率の異なる透明な微粒子に代り、蛍光体の微粒子のみを用いて拡散板185を形成する場合もある。
アクリル系樹脂の代りに、スチレン系樹脂,塩化ビニル系樹脂,ポリカーボネート樹脂などを用いる場合もある。
LEDチップ177から透明構造体180を介して空気層184へ取り出される出射光が拡散板185に入射する場合、蛍光体層の厚みの影響を受けて入射角に依存する色調差が発生する場合がある。これを取り除くため、励起光源であるLEDチップ177(点光源)の方向から見込んだ蛍光体層の分散量を等しくしている。即ち、LEDチップ177から離れるに従い分散密度を減少させた分布を拡散板185に形成している。これにより、白色光の色調を視野角に対して均一化すると同時に、蛍光体使用量を減少させ低コスト化を実現している。
直下型照明装置181の拡散板185からの白色光は、一対の基板と一対の基板に挟持される液晶層とを有する液晶パネル194と、液晶パネル194の両面に配置した一対の偏向板195a及び偏光板195b、を介して取り出される。
薄型の光源モジュール176を縦横に複数個配列することで、超薄型化,軽量化と同時に2次元エリア制御を行うことができ低消費電力化も実現している。
直下型照明装置181に組み込まれている光源モジュール176での発熱は、直下型であるため光源モジュール176の基本単位で均等に分散され、放熱筐体183から直接空気中へ高放熱性をもつ。外部筐体196に設けたスリット上の開口部197を介して外部に放熱している。
図17aは、実施例19に関わるもう一つの光源モジュール198の上面図であり、実施例1の変形例である。図17bは、図17aの光源モジュール198のH−H線断面図である。
光源モジュール198は、LEDチップ199と周辺に配置した反射構造体200を配線基板201に搭載し、その上に透明構造体202が形成されている。
配線基板201、反射構造体200は、共に高反射率をもつ白色セラミック基板で形成されている。配線基板201の上に反射構造体200を積層し、多数個取りで一体形成されている。配線基板201の配線パターン(図中省略)は、実施例1の場合と同様に2層配線でスルーホール接続されている。透明構造体202の表面には、全反射を抑制する凹凸界面203が平面状に形成され、光源モジュール198の透明構造体202の薄型化(半球型に対する厚さの減少分204)と同時にLEDチップ199からの光取り出し効率を大幅に向上させている。また、凹凸界面203の高さは、透明構造体202の薄型化の効果を活かして反射構造体200の最高部位よりも低く形成されている。光源モジュール198の取り扱い時に凹凸界面203に傷などのダメージが加わらないようにできている。
図18aは、実施例19に関わる光源モジュール198(198−1a,198−1b,198−2a,198−2b……)を引き回し配線基板207上に直線状に配列実装した線状光源モジュール205の上面図である。
図18bは、線状光源モジュール205に放熱基板206を高熱伝導の粘着シート208を用いて取り付けた構造を示し、図16aのI−I線断面図である。
図18cは、実施例19に関わる線状光源モジュール205を用いたブロック型照明装置209で、拡散板210を取り除いた場合の上面図である。図18dは、図18cのJ−J線断面図である。
図18eは、実施例19に関わるブロック型照明装置209を用いた液晶表示装置211の断面図である。
図18fは、実施例19に関わる液晶表示装置211を用いた映像表示装置212の一実施例を示し、映像表示装置212の背面側の内部を見た平面図を示す。
線状光源モジュール205で発生した発熱は、放熱基板206からブロック型照明装置209の放熱筐体217に一様に放熱され効率よく空気中に取り出されている。
ブロック毎に離散化した放熱基板206(206−1,206−2……)は、放熱筐体217の一部を加工して複数個の突起部を作り、これを直角に折り曲げて形成されている。
図18cのブロック型照明装置209は、N×M個のブロック毎に分割されて点灯制御できる機能を有するため、輝度調整などが容易であり消費電力の低減を実現している。
図18cに示すブロック型照明装置209は、線状光源モジュール205を一体型導光板213のブロック毎側面部214に対して、光源モジュール198の輝度を確保するため必要個数(本実施例では、2個)だけ近接配置して光を入射させている。光源モジュールに対して点光源化が困難であった透明構造体202の薄型化(半球型に対する厚さの減少分204)を実現したことにより、光源モジュール198の高効率化と同時に透明構造体202をブロック毎側面部214に対して近接配置し輝度むらを抑制している。更に、光源モジュール198からの光を出射する一体型導光板213の上には空気層215を介して拡散板210が配置されブロック毎の輝度むらを減少させている。
また、引き回し配線基板207の上には、高反射率をもつ白色レジストを形成し、一体型導光板213のブロック毎側面部214と引き回し配線基板207との間の多重反射に対して吸収損失を減少させている。
本実施例では光源としてLEDチップ199を用いているが、これに代り実施例10〜実施例12に記載の励起光源と蛍光体で基本構成される白色光源を用いる場合もある。
変形例として、光源モジュール198において、LEDチップ199に青色LED、或いはUV−LEDのみを用い、蛍光体を光源モジュール198から分離する場合もある。
即ち、光源モジュール198では透明構造体202から励起光のみを効率よく取り出し、その後で光源モジュール198の外部に形成,配置した蛍光体を励起発光させ白色光を形成させる方法である。
蛍光体の配置場所は、励起発光を取り出した直後の一体型導光板213のブロック毎側面部214とする場合がある。この場合は、蛍光体を分散させた薄いアクリル系樹脂シート、或いはフィルムをブロック毎の側面部214に透明粘着シート(図示せず)で固着し、白色光として一体型導光板213のブロック毎に入射させる。変形例として、蛍光体を分散させたアクリル系樹脂シートは、側面部に固着すると同時に蛍光体微粒子を分散させるために、透明粘着シートで一体形成される場合もある。
色調差が発生する場合、これを取り除くために励起光源であるLEDチップ199(点光源)の方向から見込んだ蛍光体の分散量を等しくしている。即ち、LEDチップ199から離れるに従い分散密度を減少させた分布を側面部214に形成している。これにより、白色光の色調を導光板213に対して均一化すると同時に、蛍光体使用量を減少させて低コスト化を実現できる。
もう一つの変形例として、蛍光体を、一体型導光板213から均一化した励起発光を取り出した後、即ちN×Mブロック間の輝度むらを減少させる拡散板210に形成,配置する場合もある。拡散板210には、従来の拡散板に代えて蛍光体も分散させた拡散板、或いは蛍光体のみを分散させて用いることで白色照明を形成できる。光源モジュール198から蛍光体を分離し、拡散板210には蛍光体を拡散微粒子として形成する。これにより、照明装置209の中で構成部材に対する機能を分離・付加している。この結果、照明装置203の部材コスト,製造コストの増加を抑制,除去している。
ブロック型照明装置209の拡散板210からの白色光216は、一対の基板と一対の基板に挟持される液晶層とを有する液晶パネル219と、液晶パネル219の両面に配置した一対の偏向板218a及び偏光板218b、を介して取り出される。
映像表示装置212は、背面側の放熱筐体217と筐体220の空隙部221に、ブロック型照明装置(バックライト装置)209や液晶表示部などに電源を供給するための電源部222,液晶表示部に供給する映像信号に対してコントラスト,フレームレート等の信号処理を行う信号処理部223、及びスピーカ等の構造体224a,224bを備えている。なお、実施例17に記載の直下型照明装置(バックライト装置)181を本実施例の映像表示装置に適用してもよい。
図19は、実施例20に関わるもう一つの光源モジュール225の上面図である。図20は、図19の光源モジュール225のK−K線断面図である。
光源モジュール225は光源としての複数個のLEDチップ226(226−1,226−2,226−3……)を配線基板227の中央部にある中心軸231方向に一定のピッチp228で配置し、その上を細長の四角形状の周辺枠229に収まるように透明構造体230で覆っている。
透明構造体230は、実施例1の半球型の構造を薄型化した場合と異なり、半円柱形の構造を対象に薄型化している。半球型の場合はLEDチップからの放射光を点光源として透明構造体から取り出すことができるが、本実施例の場合は半円柱型であるため、中心軸231の方向に対しては入射角θiが増加するため中心軸231に直交する方向240に対してのみ全反射を除去,抑制することができる。半円柱型のメリットは、図19,図20に示すように、薄型化構造を形成する中でLEDチップ226を多数個高密度で搭載でき、高輝度・高出力な光源モジュール225を実現できる点である。光取り出し割合は、透明構造体230の薄型化構造とは関係なく、界面が半球型の場合に比べて低下するが平坦面に比べると増加する。
図19,図20に示すように、透明構造体230の界面232は、中心軸231に平行な凹凸構造を平面状に形成している。即ち、透明構造体230は複数個のLEDチップ226(226−1,226−2,226−3……)に対して中心軸231に直交する方向に対して複数の同心の曲率をもつ凹凸構造からなる界面232を平面状に形成している。
界面232は、LEDチップ226からの中心軸231に直交する放射光233(233−0,233−1,233−2……)に対して、離散的に直交する面234と平行になる面235とで交互に形成される。透明構造体230は、直交する面234の間に平行になる面235を挿入し、長さ(ピッチ)d236で曲率,形状を変化させることで、界面232の凸部構造が平面状に並ぶようにしている。この結果、中心軸231に直交する方向に半円型の直交する円(放射光233に対して最大半径をもつ半円)237で形成される凸部の厚み238を除去でき、平坦な薄型構造を容易に実現している。この時の光取り出し効率は、透明構造体230の中心部に配置されたLEDチップ226からの放射光233に対して界面232の直交する面234を透過するため、半球型と同様に全反射は発生せず向上している。
図20に示すように、界面232の中央平坦部239は、全反射が起きない範囲の幅で形成されている。即ち、LEDチップ226からの放射光233に対して臨界角θo以下の角度θ241に収められる。
光源モジュール225における界面232の形成領域は、中央平坦部239も含まれているが、本発明の原理からフラット化されても全反射が発生しないため十分に大きくとれている。高輝度・高出力に加えて、輝度均一性の向上や視野角の拡大(180度化)が得られている。
一方、中心軸231の方向に対しては、図19に示すようにLEDチップ226を一定のピッチp228以内で配置している。即ち、ピッチp228の長さは、放射光233に対して臨界角θo以下の角度θ241におさめられ、界面232の中央平坦部239の幅とほぼ等しくしている。これは、中心軸231の方向の界面領域でLEDチップ226からの放射光233が全反射される無駄な領域を取り除くためである。逆に、マルチチップのピッチp228の長さをより短くすることにより、更に高輝度・高出力の薄型・高効率モジュールを実現できている。
光源モジュール225において、LEDチップ226はRGB単色の場合も含めて、青色LED、或いはUV−LEDのみを用いている。青色LED、或いはUV−LEDに対して白色光を得るため、蛍光体は光源モジュール225から分離して形成,配置されている。即ち、光源モジュール225では透明構造体230から励起光のみを効率よく取り出し、その後の拡散板(図16a,図16bの多数個の光源モジュール176に対する拡散板185から構成される直下型照明装置181に対応)で蛍光体を励起発光させ白色光を形成させている。拡散板には屈折率の異なる微粒子に加えて蛍光体の微粒子も加えている。また、蛍光体の微粒子のみで拡散板の機能も持たせる場合もある。
色調差が発生する場合、これを取り除くために励起光源であるLEDチップ226の方向から見込んだ蛍光体の分散量を等しくしている。即ち、LEDチップ226から離れるに従い分散密度を減少させた分布を拡散板(図示せず)に形成している。これにより、白色光の色調を拡散板(図示せず)に対して均一化すると同時に、蛍光体使用量を減少させて低コスト化を実現している。
光源モジュール225に拡散板(図示せず)を加えた照明装置(図示せず)の中で、構成部材に対する機能を分離・付加した結果、照明装置の部材コスト,製造・組立コストの増加を抑制,除去している。
変形例として、凹凸構造の界面232を構成する面、即ち直交する面234と平行になる面235とを、中心軸231の方向に代ってこれに直交する方向240に形成する場合もある。
本発明の原理から、前記した場合とは逆にLEDチップ226のピッチp228の長さを中心軸231方向に対して十分に大きくとれる。この場合、直交する方向240に対しては全反射が発生しない幅に形成されている。即ち、図19に示す光源モジュール225の外形が中心軸231の方向に細長くなる。
もう一つの変形例として、細長の光源モジュール225を多数個配列することで、2次元的に極薄な高輝度・高出力の光源モジュールを形成できる。
もう一つの変形例として、中心軸231の方向に対して十分に長くすることもできるため、極薄の線状光源モジュールとして用いることができる。この場合、LEDチップ226の個数を最小単位の1個にすることもできる。
もう一つの変形例として、中心軸231を湾曲させてリング状の光源モジュールにすることもできる。この場合、LEDチップ226を複数個用い、凹凸構造の界面232もリング状に形成する必要がある。
もう一つの変形例として、リング状の光源モジュールを同心円状に配列して、2次元的に極薄の高輝度・高出力の光源モジュールを形成できる。
もう一つの変形例として、リング状の線状光源モジュールを3次元的に同心円状に配列する場合もある。