JP5319612B2 - トンネルライニング構造の構築方法およびトンネルライニング構造 - Google Patents
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Description
そのため、耐火性を備えた蓋部材として、セラミックス等により構成されたものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、万一、火災等によって蓋材が劣化した場合には、劣化した蓋材を撤去した後、新たな蓋材を用いてグラウトホールを遮蔽することが可能である。さらに、比較的安価な材料を使用しているため、全体の工事費の低減化も可能である。
また、火災等により、袋部材や固化材が劣化した場合であっても、撤去、復旧を簡易に行うことができる。
ここで、耐火代を60mm確保することでセグメントに耐火性能を付与することが可能であることは、文献等(例えば、川村彰誉、中津賢一、佐野陽一、「耐火型セグメントの開発(その2)−実大加熱試験結果−」、土木学会第62回年次学術講演会)において実証されている。
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のトンネルライニング構造は、複数のセグメント部材1をトンネル周方向に組み合わせることにより形成されるものである。
なお、本明細書では、セグメントリングの背面にグラウトを充填するための注入孔やセグメント部材1同士を組み立てる際に把持部として機能する雌ネジ孔等を包括してグラウトホール2と称する。
セグメント部材1には、図2(a)に示すように、内空側表面に、ポリプロピレン繊維入りモルタル(以下「PP入りモルタル」という)により構成された、耐火層11が形成されている。この耐火層11は、少なくとも60mm以上の厚みを有して形成されている。
なお、本実施形態では、貫通孔であるグラウトホール2をセグメント部材1に形成するが、裏込注入等を行う必要がない場合等、セグメント組み立て時のみに使用する場合には、グラウトホール2は有底であってもよい(図3(a)参照)。
なお、雌ネジ21および係止凹部22を形成する位置は限定されるものではない。
なお、係止凹部22の形状は限定されるものではなく、例えば、図3(b)に示すように断面視三角形であってもよいし、図3(c)に示すように、断面視矩形であってもよい。また、係止凹部22は、必ずしも環状に形成されている必要はなく、グラウトホール2の周方向に沿って間隔をあけて複数形成されていてもよい。さらに係止凹部22は、複数段形成されていてもよい。
袋部材3を構成する袋体の肉厚は限定されるものではないが、好ましくは0.01〜0.1mmの範囲内のものを、適宜使用すればよい。本実施形態では、袋部材32として、厚さが0.02mm程度のものを使用する。
なお、本実施形態では、袋部材3として、弾性部材を採用したが、袋部材3は、非弾性体により構成してもよい。また、袋部材3を構成する材料はポリプロピレンに限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレンゴムでもよい。
硬化体41は、図2(c)に示すように、袋部材3を介してグラウトホール2の内面に密着している。硬化体41には、係止凹部22と係合する係止凸部42が形成されている。
セグメントリングの組み立ては、グラウトホール2に図示しない治具を取り付け、当該治具を介してセグメント部材1を吊り上げた状態で、セグメント部材1同士を連結することにより行う。
袋部材3は、セグメント部材1の厚さ方向と厚さ方向に直交する方向とに膨張することで、外周面がグラウトホール2の内周面に密着するとともに、先端部が一般層12(雌ネジ21)に配置される。また、袋部材3は、一部が係止凹部22内に入り込んだ状態でグラウトホール2の内周面に密着している。
つまり、トンネル内において火災が生じた場合に想定される急激な温度上昇に対して、甚大な被害が発生することを防止できる。
比較的安価なセメント系材料を採用しているため安価である。
また、火災等により、袋部材3が劣化した場合には、硬化体41をドリルハンマー等により砕くとで、容易に撤去することができる。硬化体41を撤去した後、前記に示した方法により、簡易に復旧することができる。
本発明の第2の実施の形態のトンネルライニング構造は、第1の実施の形態で示したトンネルライニング構造と同様に、複数のセグメント部材1をトンネル周方向に組み合わせることにより形成されるものである。
なお、第2の実施の形態に係るトンネルライニング構造を構成する各部材の構成は、第1の実施の形態で示した構成と同様なため、詳細な説明は省略する。
袋部材3は、固化材4が注入されることで、円柱状に膨張する。
このとき、袋部材3は、留具31が固定された口元側が地山G側となるように挿入することで、トンネルの内空側に突起が形成されないようにする。
袋部材3は、一部が係止凹部22内に入り込んだ状態でグラウトホール2の内周面に密着する。
例えば、固化材4を構成するPP入りモルタル(繊維補強モルタル)に混入する補強繊維の量は限定されるものではなく、例えばセグメント部材1を構成する繊維補強コンクリートと同程度とするなど、適宜設定すればよい。
また、袋部材3を後端部までグラウトホール2内に挿入し、袋部材3の内空側の周囲に充填材等を充填して、トンネル内面(セグメント部材の表面)を平坦に仕上げてもよい。
つまり、雌ネジ21の凹部に硬化体41(袋部材3)が密着して噛み合うことで、係合する構成としてもよい。
グラウトホール2は、トンネル内空側の表層部においてテーパ状に拡径していることで、グラウト注入時の治具の取り付けや蓋部材3等の吊手部材2への取り付けが容易となるように構成してもよい。
11 耐火層
2 グラウトホール
21 雌ネジ
22 係止凹部
3 袋部材
4 固化材
41 硬化体
G 地山
Claims (5)
- セグメント部材に形成されたグラウトホールを利用して前記セグメント部材を吊上げつつ、複数の前記セグメント部材同士を組み合わせてセグメントリングを形成する工程と、
前記グラウトホールに袋部材を挿入する工程と、
前記袋部材に固化材を注入して前記袋部材をグラウトホールの内周面に密着させる工程と、を備えることを特徴とする、トンネルライニング構造の構築方法。 - セグメント部材に形成されたグラウトホールを利用して前記セグメント部材を吊上げつつ、複数の前記セグメント部材同士を組み合わせてセグメントリングを形成する工程と、
固化材が注入された袋部材を前記固化材が硬化する前に前記グラウトホールに挿入して前記袋部材を前記グラウトホールの内周面に密着させる工程と、を備えることを特徴とする、トンネルライニング構造の構築方法。 - 複数のセグメント部材をトンネル周方向に組み合わせることにより形成されるトンネルライニング構造であって、
前記セグメント部材にはグラウトホールが形成されており、
前記グラウトホールの内部には袋部材が配置されており、
前記袋部材の内部には固化材が注入されており、
前記袋部材の外周面が前記グラウトホールの内周面に密着していることにより当該グラウトホールが遮蔽されていることを特徴とする、トンネルライニング構造。 - 前記グラウトホールの内周面に係止凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のトンネルライニング構造。
- 前記袋部材が、前記セグメント部材の内空側表面から地山側に向かって60mm以上の深さの範囲において、前記グラウトホールの内周面に密着していることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のトンネルライニング構造。
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