JP2013092010A - 補強土壁の補修方法 - Google Patents

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Koshiro Takao
浩司郎 高尾
Naoki Shimura
直紀 志村
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Abstract

【課題】従来の補修方法よりも、工期・工費の節減が可能な補強土壁の補修方法を提供すること。
【解決手段】壁面材と、該壁面材の背面に設けた盛土と、前記壁面材と連結し且つ該盛土の内部に配する補強材と、を少なくとも含む補強土壁の補修方法であって、(a)補修対象の壁面材を、少なくとも壁面材の内部鉄筋が残存し且つ前記補強材との連結関係が維持された状態で撤去し、(b)前記補修対象の壁面材の撤去部分に、充填材を充填して新たな壁面材を構築することを特徴とする。本方法によれば、盛土内に固化部を形成する必要が無い為、工期・工費の節減に寄与する。
【選択図】図1

Description

本発明は、補強土壁の補修方法に関し、より詳しくは、破損した壁面材を入れ換えることで、補強土壁を部分的に補修するための方法に関する技術である。
補強土壁は、壁面材と、該壁面材の背面に設けた盛土と、前記壁面材と連結し、且つ前記盛土の内部に配する補強材と、を少なくとも含んで構成する土留構造物である。
補強土壁は、壁面材に作用する土圧力に対し、前記補強材の引き抜き抵抗力でもって釣り合いを保つことにより土留効果を発揮することができる。
補強土壁を構成する壁面材が、地震や車の衝突等によって破損した場合や、塩害や凍害、経年劣化等により変位・変形し、耐久性が確保できていない場合には、その補修が必要となる。
従来の補修方法は、図2に示す通り、下記の工程からなる。
(1)固化部の形成(図2(a))
補修対象の壁面材aを削孔して注入孔を設け、該注入孔から注入管d1を差し込み、前記壁面材aの背面側近傍の盛土bに固化材d1を注入して、固化部dを形成する。
これは、補修対象の壁面材aの撤去後に、露出した盛土から土砂がこぼれでないようにするためである。
(2)壁面材の撤去(図2(b))
固化材d2が固まって、固化部dが充分に安定したことを確認してから、補修対象の壁面材aを撤去する。
(3)排水部の形成(図2(c))
固化部dの一部或いは全部を排水材に置き換えて、排水部eを形成する。
これは、固化部dによって、盛土内の水分が壁面材側へ排水されずに留まってしまうことを防止するためである。
(4)新たな壁面材の構築(図2(d))
壁面材aの撤去部分に、新たに鉄筋a1を配置し、型枠fを設けてから、モルタルなどの充填材を打設して新たな壁面材を構築する。
しかし、前記した従来の補修方法によれば、以下の様な問題のうち、少なくも一つの問題が生じうる。
(1)工期の長期化
壁面材の撤去部分から土砂のこぼれ出しを防止するべく、固化部の形成工程が必須となるため、固化材の注入作業や、固化材が充分に固化するまでの待機期間(丸1日程度)が必ず発生してしまう。
また、別途排水部の形成作業も工期に含まれてしまうこととなる。
(2)工費の低廉化の限界
補修対象となる壁面材を内部の鉄筋を含んだ形でまとめて撤去するため、新たな鉄筋を用意した上で、新たな壁面材の構築に臨む必要がある。
また、別途排水材を用意する必要もある。
壁面材の補修箇所が増えれば増えるほど、それらの材料費を要することとなるため、工費の低廉化に悪影響がある。
したがって、本願発明は、従来の補修方法よりも、工期・工費の節減が可能な補強土壁の補修方法を提供するものである。
本願発明は、壁面材と、該壁面材の背面に設けた盛土と、前記壁面材と連結し且つ該盛土の内部に配する補強材と、を少なくとも含む補強土壁の補修方法であって、(a)補修対象の壁面材を、少なくとも壁面材の内部鉄筋が残存し且つ前記補強材との連結関係が維持された状態で撤去し、(b)前記補修対象の壁面材の撤去部分に、充填材を充填して新たな壁面材を構築することを特徴とするものである。
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか一つの効果を得ることができる。
(1)工期の短縮化
従来工法における、固化部の形成工程と、排水部の形成工程を省略することができるため、工期を短縮できる。
特に固化部の形成工程は長時間に及ぶことから、当該工程の短縮により、補修作業を当日中の完了に大きく寄与することができる。
(2)工費の低廉化
補修対象の壁面材の内部鉄筋や補強材との接続具をそのまま活かすことができるため、新たな部材を用意する必要が無い。また、固化材や排水材も不要となるため、材料費を節減できる。
また、前記工期の短縮による人件費の節減も見込むことができる。
本発明に係る補強土壁の補修方法。 従来の補強土壁の補修方法。
以下、図1を参照しながら、本発明の補強土壁の補修方法の実施例について説明する。
<1>補強土壁の構造
(1)壁面材
壁面材1は、補強土壁の壁面を構築する部材である。
壁面材1は、該壁面材1の内部に、鉄筋11と、補強材との接続具12とを具備するコンクリートパネル等の、公知の壁面材を使用することができる。
なお、補修前の補強土壁の壁面材は、現場打設によるもの、プレキャストによるものの何れでも構わない。
鉄筋11は、壁面材の内部に格子状に配置される部材である。
接続具12は、一端が鉄筋11に係止可能に構成し、他端は前記補強材と連結可能に構成した部材である。
(2)盛土
盛土2は、壁面材の背面側に土砂を充填してなる、公知の盛土体である。
(3)補強材
補強材3は、引き抜き抵抗力でもって土留効果を発揮するための部材である。
より詳細には、補強材3と盛土2との摩擦抵抗又は支圧抵抗によって壁面材1を支持する部材である。
補強材3は、鋼棒などの棒状体や、シートなどの面状体など、公知の補強材を使用することができる。
なお、本発明に係る補強土壁Aは、直壁に限られるものでは無く、勾配を設けたものでも良い。
<2>壁面材の撤去作業
[概要]
まず始めに、補修対象の壁面材1aを撤去する。
このとき、補修対象の壁面材1aの内部にある鉄筋11や接続具12(以下「鉄筋等」)が、そのまま残存するように、壁面材1aを撤去する。
鉄筋等を残しながら壁面材1aを撤去する方法としては、様々な方法がある。
例えば、壁面材1aを構成するコンクリートを徐々にはつっていきながら鉄筋等を徐々に露出させていき、鉄筋等が破損して取り除かれないように注意しながら撤去作業を行う方法がある。
また、壁面材1a自体を、予め鉄筋等を残しやすいような構造としておいてもよい。
[作用]
壁面材1aを撤去すると、露出した鉄筋等の背面側で盛土2が視認できる状態となる。
このとき、残存した鉄筋11は、盛土2を構成する土砂が前面側にこぼれ出すことを防止し得る仮遮蔽面4として機能する。
<3>新たな壁面材の構築作業
最後に、型枠5を設置し、モルタルなどの充填材を打設して新たな壁面材6を構築する。
このように補修された補強土壁Aは、残存させた鉄筋が盛土のこぼれ出しを防止する仮遮蔽面としても機能し得る為、盛土の露出面側に固化部を形成する必要がない。
従って従来の補修方法と比較して工期の大幅な短縮が期待できる。
また、本発明は、上記の通り、固化部を形成しないため、盛土内の排水性に影響を与えないため、新たに排水材を設ける必要も無い。
また、補修対象の壁面材1aの内部の鉄筋11と接続具12を残存させるため、新たに鉄筋等を配置し直す必要も無い。
本発明の補強土壁の補修方法の第2実施例について説明する。
本実施例は、前記第1実施例において、前記補修対象の壁面材1aの撤去後であって、型枠5の設置前に、前記壁面材1aの撤去部分に別途被覆体を設置する工程を含むものである。
被覆体には、ラス金網や、ビニールシートなどを用いることができる。
本実施例によれば、別途設けた被覆体が露出した盛土の表面を覆うことから、前記壁面材1aの撤去部分からの土砂のこぼれ出しをより確実に防止することができる。
本発明の補強土壁の補修方法の第3実施例について説明する。
本発明では、補修対象の壁面材1aを撤去するにあたり、鉄筋等の一部が除去されてしまう場合も考えられる。
この場合には、撤去されてしまった部分のみの鉄筋等を新たに設けたうえで、新たな壁面材6を構築してもよい。
この場合、第1実施例と比較して、新たな鉄筋等の確保や、それらの設置作業の分だけ、工費・工期の増加が想定されるが、従来の補修方法における、固化部の形成工程の期間を省略できる点で優位であることに変わりはない。
1 壁面材
11 鉄筋
12 接続具
1a 補修対象の壁面材
2 盛土
3 補強材
4 仮遮蔽面
5 型枠
6 新たな壁面材
A 補強土壁

Claims (1)

  1. 壁面材と、該壁面材の背面に設けた盛土と、前記壁面材と連結し且つ該盛土の内部に配する補強材と、を少なくとも含む補強土壁の補修方法であって、
    (a)補修対象の壁面材を、少なくとも壁面材の内部鉄筋が残存し且つ前記補強材との連結関係が維持された状態で撤去し、
    (b)前記補修対象の壁面材の撤去部分に、充填材を充填して新たな壁面材を構築することを特徴とする、補強土壁の補修方法。
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