JP5319611B2 - 耐火トンネル覆工構造および耐火トンネル覆工構造の構築方法 - Google Patents
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Description
このグラウトホールは、セグメント組み立て後にグラウトホールキャップ等により遮蔽する。
そのため、特許文献2や特許文献3には、耐火性を備えたグラウトホールキャップとして、セラミックス等により構成されたものが開示されている。
底部材は、線状部材によりその位置が規制されているため、蓋部材(セメント系硬化体)の深さを規制することが可能となる。
本実施形態のトンネル覆工構造(耐火トンネル覆工構造)Sは、図1に示すように、セグメント部材1と、吊手部材2と、蓋部材3と、を備えて構成されている。
耐火層11は、セグメント部材1のトンネル内空側表面から地山側に向かって、少なくとも60mm以上の厚みを有して形成されている。
ここで、耐火部(耐火代)を60mm確保することでセグメントに耐火性能を付与することが可能であることは、文献等(例えば、川村彰誉、中津賢一、佐野陽一、「耐火型セグメントの開発(その2)−実大加熱試験結果−」、土木学会第62回年次学術講演会)において実証されている。
なお、耐火代は60mm以上に限定されるものではなく、セグメント部材1の耐火性能によって変化する場合がある。
なお、本実施形態では、貫通孔であるグラウトホール13をセグメント部材1に形成するが、裏込注入等を行う必要がない場合等、セグメント組み立て時のみに使用する場合には、必ずしも貫通孔を形成する必要はない。
本実施形態では、吊手部材2を、筒状の金物により構成するが、吊手部材2を構成する材料は限定されるものではない。また、本実施形態では、吊手部材2として、貫通した筒状の部材を使用するが、グラウトホールとして利用しない場合は、有底の筒状部材を使用してもよい。
雌ネジ21は、エレクタの把持方法に応じて形成されるものであり、エレクタの把持方法がネジ形式ではない場合は、省略してもよい。
注入孔33には、逆止弁が設けられている。逆止弁により、袋部材32内に注入されたセメント系材料の逆流が防止される。
なお、筒状部31bの外面には、必ずしも雄ネジ34加工を施す必要はなく、吊手部材2への取り付け方法に応じて適宜設定すればよい(図4参照)。また、キャップ部材31の吊手部材2への固定方法に応じて筒状部31bを省略してもよい。
袋部材32を構成する材料はポリプロピレンに限定されるものではなく、例えばポリプロピレンゴム等により構成してもよい。また、袋部材32の厚さは限定されるものではなく、好ましくは0.01〜0.1mmの範囲内のものを、適宜使用すればよい。なお、本実施形態では、袋部材32として、厚さが0.02mm程度のものを使用する。
なお、袋部材32は、セメント系材料を注入する前は、図3(a)に示すように、筒状部31b内に折りたたまれた状態で収容されている。
底部材35は、吊手部材2の内径よりも小さい外径からなる円板である。
底部材35を構成する材料は限定されるものではなく、適宜材料を選定して使用すればよい。また、底部材35の形状寸法は、吊手部材2の形状等に応じて適宜設定すればよい。
線状部材36は、セメント系硬化体4が60mm以上の厚さ(長さ)を確保できる長さを有している。
セグメントリングの組み立ては、吊手部材2に図示しない治具を取り付け、当該治具を介してセグメント部材1を吊り上げた状態で、セグメント部材1同士を連結することにより行う。
このとき、袋部材32は、キャップ部材31内に収容されている。
つまり、トンネル内において火災が生じた場合に想定される急激な温度上昇に対して、甚大な被害が発生することを防止できる。
比較的安価なセメント系材料を採用しているため安価である。
また、火災等により、蓋部材3が劣化した場合には、蓋部材3(セメント系硬化体4)を叩いて係止凸部41を割れば、抜き出すことができるため、蓋部材3の交換作業が容易である。
同様に線状部材を介してセグメント部材1内に熱が伝達することはない。
キャップ部材31は、雄ネジ34を雌ネジ21にねじ込むことにより吊手部材2に固定されているため、セメント系材料4aを充填する際の圧力により抜け出すことがない。
また、セメント系材料4aは、耐火代(60mm以上)を確保する深さまで充填されているため、グラウトホール13がモルタル等の蓋部材により塞がれた状態が形成される。
また、セメント系硬化体4を構成する材料は、高温時に高温時に膨張や爆裂しにくい材料であれば限定されるものではない。
つまり、雌ネジ21の凹部にセメント系硬化体4(袋部材32)が密着して噛み合うことで、係合する構成としてもよい。
底部材35は、袋部材32の外面に固定されていてもよいし袋部材32内に配置されていてもよい。
なお、底部材35および線状部材36は省略してもよい。
11 耐火層
2 吊手部材
21 雌ネジ
22 係止凹部
3 蓋部材
31 キャップ部材
32 袋部材
33 注入孔
34 雄ネジ
35 底部材
36 線状部材
4 セメント系硬化体
41 係止凸部
G 地山
S トンネル覆工構造(耐火トンネル覆工構造)
Claims (6)
- トンネル周方向に複数組み合わされることによりセグメントリングを構成するセグメント部材と、
トンネル内空側に開口するように前記セグメント部材に埋設された吊手部材と、
前記吊手部材の開口を塞ぐ蓋部材と、を備える耐火トンネル覆工構造であって、
前記蓋部材は、注入孔が形成されたキャップ部材と、前記キャップ部材の地山側に一体に取り付けられた袋部材と、を有し、
前記吊手部材の内周面には係止凹部が形成されていて、前記注入孔から前記袋部材に注入したセメント系材料を硬化させてなるセメント系硬化体に前記係止凹部と係合する係止凸部が形成されていることを特徴とする耐火トンネル覆工構造。 - 前記セメント系材料が、モルタルまたは繊維補強モルタルであることを特徴とする、請求項1に記載の耐火トンネル覆工構造。
- 前記袋部材の底部に底部材が配設されており、
前記底部材は、線状部材を介して前記キャップ部材に連結されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の耐火トンネル覆工構造。 - 前記吊手部材の内周面に雌ネジ加工が施されており、前記キャップ部材の外面に雄ネジ加工が施されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐火トンネル覆工構造。
- 前記注入孔に逆止弁が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の耐火トンネル覆工構造。
- トンネル内空側に開口するようにセグメント部材に埋設された吊手部材を利用して前記セグメント部材を吊上げつつ、複数の前記セグメント部材同士を組み合わせてセグメントリングを形成する工程と、
袋部材を備えた蓋部材を前記吊手部材の開口部に配置する工程と、
前記蓋部材の注入孔から前記袋部材にセメント系材料を充填し養生することで前記吊手部材の内部にセメント系硬化体を形成する工程と、を備えることを特徴とする、耐火トンネル覆工構造の構築方法。
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