JP5317926B2 - き裂進展解析方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、き裂進展解析方法及びプログラムに関し、特に有限要素法を用いて全自動でき裂の進展過程をシミュレーションするき裂進展解析方法及びプログラムに関する。
プラントの長期運転に伴う健全性評価あるいは自動車の耐久性評価等を行うためには、構造体の応力集中部等に発生したき裂の進展過程をシミュレーションすることが望まれている。き裂の進展の要因としては、疲労き裂あるいは応力腐食割れ等があるが、これらの要因によるき裂進展は、き裂の破壊力学パラメータ(応力拡大係数、J積分等)を求めることにより、き裂の進展則を用いて予測することができる(例えば特許文献1、2)。
き裂の進展を求める方法として、仮想き裂進展法(Virtual Crack Extension Method)が、ABAQUS、MARCあるいはFINAS等の汎用構造解析コードにおいて、き裂のエネルギー解放率を求める方法として採用されている。仮想き裂進展法は、き裂を仮想的に進展させたときと、進展させる前のエネルギー差を評価し、き裂長さに関するポテンシャルエネルギーの減少率(すなわち、エネルギー解放率)を求める方法である。仮想き裂進展法は、仮想き裂の進展に伴うエネルギーの変化分を求める方法であるため、一般に精度が高いと考えられており、き裂の進展方向を決定する方法も確立されている。
ここで、エネルギー解放率Gとは、き裂が単位長さだけ進展するときに解放されるエネルギーをいう。弾性状態、平面歪条件では、G= K2/(1+ν)Eで表される。ここで、Kは応力拡大係数、νはポアソン比、Eはヤング率である。
また、き裂の破壊力学パラメータを求めるために用いられる有限要素法では解析領域全体を有限個の部分領域に分割し、この部分領域を要素(elements)と呼ぶ。各要素は番号付けにより識別され、その幾何学的形状は節点(nodes)の座標値により規定される。また、節点には要素節点番号と呼ばれる要素内での節点の番号を付ける。
このようにして作成されるモデルを(有限要素)メッシュ(mesh)といい、領域を部分領域に分割する作業をメッシュ分割とも言う。
特開2008−116255 特開2008−275466
しかしながら、仮想き裂進展法におけるメッシュ周辺の幾何学的な処理の都合で、ABAQUS等の汎用コードでは、仮想き裂進展法は、6面体(ヘキサ)要素のみに実装されており、4面体(テトラ)要素には適用できないという問題があった。
即ち、有限要素法(Finite Element Method, FEM) 解析のためのメッシュの生成方法は、テトラ要素については、デローニー法等のアルゴリズムにより、自動生成が行なわれるようになっているが、テトラ要素によるメッシュの自動生成技術を、き裂のある構造体に適用することは難しいという問題があった。
本発明のき裂進展解析方法は、コンピュータの演算部が、構造体に形成されたき裂の大きさ並びに位置に関する情報及び構造体の形状データ並びに第1表面パッチデータを読み込むステップと、前記演算部が、前記情報及び形状データを用いて、前記き裂の先端部に沿って複数の20節点ヘキサ要素を含むチューブ状のき裂先端要素群を生成するステップと、前記演算部が、前記き裂先端要素群の第2表面パッチデータを抽出し、前記第1表面パッチデータと組み合わせて、き裂を含む構造体の第3表面パッチデータを生成するステップと、前記演算部が、前記第3表面パッチデータを用いて、前記構造体の内部空間に対して複数のテトラ要素を生成して、き裂を含む構造体の有限要素法(FEM)メッシュを生成するステップと、前記演算部が、仮想き裂進展法による応力解析により、前記FEMメッシュ及びFEMコードを用いて、前記き裂先端部が連続する方向に対して垂直な平面における複数の方向に関して前記き裂を微小変位させたときのエネルギー解放率Gを算出し、Gが最大のGmaxとなるき裂進展方向を求めるステップと、前記演算部が、き裂進展則に従って、前記Gmax及びき裂進展方向を用いて、前記き裂先端部に沿ったき裂進展量を求めるステップと、前記演算部が、前記き裂進展量及びき裂進展方向に基づいて、前記き裂先端部の位置情報を更新し、出力部に前記位置情報を出力するステップと、を有することを特徴とする。
本発明のき裂進展解析プログラムは、コンピュータの演算部を、構造体に形成されたき裂の大きさ並びに位置に関する情報及び構造体の形状データ並びに第1表面パッチデータを読み込む手段、前記情報及び形状データを用いて、前記き裂の先端部に沿って複数の20節点ヘキサ要素を含むチューブ状のき裂先端要素群を生成する手段、前記き裂先端要素群の第2表面パッチデータを抽出し、前記第1表面パッチデータと組み合わせて、き裂を含む構造体の第3表面パッチデータを生成する手段、前記第3表面パッチデータを用いて、前記構造体の内部空間*に対して複数のテトラ要素を生成して、き裂を含む構造体の有限要素法(FEM)メッシュを生成する手段、仮想き裂進展法による応力解析により、前記FEMメッシュ及びFEMコードを用いて、前記き裂先端部が連続する方向に対して垂直な平面における複数の方向に関して前記き裂を微小変位させたときのエネルギー解放率Gを算出し、Gが最大のGmaxとなるき裂進展方向を求める手段、き裂進展則に従って、前記Gmax及びき裂進展方向を用いて、前記き裂先端部に沿ったき裂進展量を求める手段、及び前記き裂進展量及びき裂進展方向に基づいて、前記き裂先端部の位置情報を更新し、出力部に前記位置情報を出力する手段、として機能させることを特徴とする。
本発明は、このようなき裂進展過程の予測を、有限要素法を用いて全自動で行なうことを最も主要な特徴とする。
本発明のき裂進展解析法およびプログラムは、このようなき裂進展過程の予測を、有限要素法を用いて全自動で行なうシミュレーション技術を提供することができるという利点がある。
本発明のき裂進展解析プログラムを実行するためのコンピュータシステムのブロック図である。 本発明のき裂進展解析方法の手順を説明するためのフローチャートである。 き裂の先端に沿って生成したチューブ状のき裂先端要素群の斜視図である。 き裂先端のチューブ状のき裂先端要素群の表面に構造体内部のテトラ要素の表面を結合させた状態の断面図である。 き裂進展方向を求める方法を説明するための概念図である。 運転サイクルの増加に伴うき裂進展解析結果の一例を示す図である。 構造体の物性値が特定の境界で異なる場合における、き裂先端のチューブ状のき裂先端要素群の表面に構造体内部のテトラ要素の表面を結合させた状態の断面図である。 PLCの概念を説明するための図である。 CDTの概念を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るき裂進展解析方法及びプログラムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
き裂進展解析の手順は大まかに以下の3段階に分けられる。
まず第1に、仮想き裂進展法により複数方向にき裂を進展させた時のエネルギー解放率を計算し、最も大きなエネルギー解放率を与える方向にき裂を進展させる。
第2に、き裂進展後、再度、チューブ上のき裂先端要素群を更新し、周辺部の構造体のテトラ要素を自動生成し、き裂先端要素群と隣接するテトラ要素の表面をアセンブリ機能により結合する。
第3に、き裂面に荷重を再負荷あるいは、要素のひずみ情報を再マッピングした上で、上記第1乃至第3の段階を繰り返して、き裂を自動的に進展させていく。
次に、本発明のき裂進展解析方法及びプログラムについて図面を用いて説明する。図1に本発明のき裂進展解析プログラムを実行するためのコンピュータシステム100を示す。コンピュータシステム100は、演算部101、記憶部102、ファイル装置103、入力部104、出力部105を備えており、これらはバスライン106を介して接続されている。記憶部102にはき裂進展解析プログラム1021が格納されており、演算部101にき裂進展解析を実行させる。
次に、本発明のき裂進展解析方法について図面を用いて説明する。図2に本発明のき裂進展解析方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS101において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、構造体の形状を入力するために、ファイル装置103に内蔵されたCADあるいはモデラーにより生成された構造体の形状データ及び表面のパッチデータ(第1表面パッチデータ)を含む構造物データファイル1031と、構造体に形成されたき裂の大きさ及び位置に関する情報を含む初期き裂データファイル1032とをコンピュータの演算部101に読み込む。あるいは、節点座標および要素の結合情報を含むFEMのメッシュデータを読み込み、表面パッチデータを生成するようにしてもよい。なお、構造体が複合材料で構成されている場合のように、内部に異なる材料の境界を持っている場合には、これらの境界面を抽出し、パッチデータを生成する。
次に、ステップS102において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、き裂を含む構造体のき裂進展解析を行うにあたり、演算部101が、初期き裂の大きさ、位置の情報および構造物の形状データを元に、き裂の先端に沿ってチューブ状のき裂先端要素群を生成する。図3に、き裂の先端に沿って生成した、チューブ状の20節点ヘキサ要素を示す。構造体1に初期き裂2が形成されており、き裂先端部3に沿って複数の20節点ヘキサ要素4を形成し、チューブ状のき裂先端要素群5を形成する。このチューブ状のき裂先端要素群5は、コンピュータの演算部101によって自動生成される。
ここで、き裂先端部3近傍のチューブ状のき裂先端要素群5に用いるヘキサ要素41は、中間節点の位置をき裂先端側に寄せることにより、r-1/2の応力場の特異性をもつ特異要素である。ここでrはき裂先端からの距離である。このようなモデル化を行なうことにより、汎用コードにおいて広く採用されている仮想き裂進展法等を用いて破壊力学パラメータを算出できる。
次に、ステップS103において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、チューブ要素表面のパッチデータ(第2表面パッチデータ)を抽出し、構造体の第1表面パッチデータと組み合わせることにより、き裂を含む構造体の表面パッチデータ(第3表面パッチデータ)を生成する。
次に、ステップS104において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、第3表面パッチデータを用いて、図3に示す構造体1の内部空間に対して、複数のテトラ要素6を自動生成する。自動生成するアルゴリズムには、デローニー法あるいはアドバンシング・フロント法等を用いる。これによりき裂を含む構造体のFEMメッシュが得られる。
き裂先端のチューブ状のき裂先端要素群5の表面と、構造体内部のテトラ要素6の表面との結合は、アセンブル結合により結合する。図4に、き裂先端のチューブ状のき裂先端要素群5の表面と、構造体内部のテトラ要素6の表面とを結合させた状態の断面図を示す。ここで、アセンブル結合とは、結合面の双方の節点変位を多点拘束(Multiple Point Constraint, MPC)により自動的に結合する機能をいう。接合面において、両構造体の節点が一致していなくても、MPCにより変位を滑らかに補間して力学的に結合することができるため、メッシュ生成における制約を大幅に緩和することができる。
次に、ステップS105において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、このFEMメッシュ及びFEMコードを用いて、所定の荷重条件で応力解析を実施する。さらに、ステップS106において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、応力解析結果を用いて、仮想き裂進展法等により、き裂先端部3に沿ったエネルギー解放率Gを算出する。
き裂進展方向を求める方法を説明するための概念図を図5に示す。仮想き裂進展法等を用いてき裂先端部3に対して、垂直な平面上で所定の方向に対して角度θを変えた多数の方向について、き裂を微小変位させたときのエネルギー解放率Gを算出する。例えば、図5に示すように、多数の方向に関してエネルギー解放率G1〜G7を算出する。
次に、ステップS107において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、Gが最大値Gmaxとなる方向を決定し、これをき裂進展方向と決定する。さらに、ステップS108において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、図3に示すき裂先端部3の長手方向の各位置において、エネルギー解放率が最大になるき裂進展方向を求め、き裂進展則(いわゆるパリス則)に従ってき裂の進展量を算出する。
き裂進展則の例を以下に示す。疲労き裂の進展則は以下の式に従う。
Figure 0005317926
ここで、da/dNは1荷重サイクルあたりのき裂量、ΔKは応力拡大係数の変動範囲、A,nは材料、環境条件に依存する定数である。
応力腐食割れの進展則は以下の式に従う。
Figure 0005317926
ここで、da/dtは単位時間あたりのき裂進展量、Kは応力拡大係数、A,nは材料、環境条件に依存する定数である。
次に、ステップS109において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、き裂の進展量および方向に基づいて、き裂先端部の位置情報を更新し、出力部にき裂先端部の位置情報を出力する。即ち、き裂の進展則に従って、チューブ状のき裂先端部要素グループと共にき裂を進展させ、それに伴い、近傍のヘキサ要素を更新していく。更新の方法は、節点の移動あるいは、周辺部のメッシュの再自動生成を行なう。なお、出力部105へのき裂先端部の位置情報の出力方法は、表示装置等に位置座標を数値として表示してもよいし、2次元平面上に表示してもよいし、斜視図等により3次元的に表示してもよいが、これらには限られない。
以下、上記の処理手順を、設定した運転サイクルあるいは限界き裂長さ等の設定条件に達するまで自動的に繰り返すようにするため、ステップS110において、演算部101は、記憶部102に格納されたき裂進展解析プログラム1021からの命令を受け、設定した運転サイクルあるいは限界き裂長さに達したか否かを判断する。設定条件は、き裂進展解析プログラム1021に予め設定しておいてもよいし、入力部104から入力するようにしてもよい。設定条件に達していない場合には、ステップS104に戻って、新しいき裂先端部の情報を用いて、テトラ要素を自動生成し、FEMメッシュを再び生成する。ここで、再生するとき、構造体全体のメッシュを再生成せずに、き裂周辺のメッシュのみを修正するようにしてもよい。
図6(a)、(b)、(c)に運転サイクルをそれぞれ0、1000、2000とした場合のき裂進展解析結果の一例を示す。図6においては、構造体1に形成されたき裂2が運転サイクルの増加に伴ってどのように進展するかを示している。図6のき裂進展解析結果は出力部105(図1参照)に出力することができ、表示装置に表示したり、プリンタに印刷することにより出力することができるが、出力方法はこれらには限られない。運転サイクルを0、1000、2000と増加することによって、き裂先端部が31a→31b→31c及び32a→32b→32cと進展している様子がわかる。所望の運転サイクルを2000とした場合には、運転サイクル2000の場合の解析後に解析を終了する。
き裂進展量が小さい場合には、要素の結合関係はそのままにき裂先端および近傍の節点位置のみを修正し、き裂進展量が大きくなり、修正しきれなくなった場合には、再び、自動メッシュ機能により周辺のメッシュを再生成するようにすればよい。ステップS110において、設定条件に達した場合には、き裂進展解析を終了する。解析結果はコンピュータシステム100の出力部105に出力する。
上記の説明においては、単一の物性値を有する構造体の場合を例にとって説明したが、構造体によっては、構造体内部に、ヤング率等の物性値が異なる異種材料との境界部が含まれている場合がある。き裂先端が、そのような内部境界部を通過する場合には、図7に示すように、チューブ状のき裂先端要素群の形状を保持し、周辺のテトラ要素の部分のみを、再生成することにより、通過時点の有限要素メッシュを生成する。チューブ状のき裂先端要素群を構成するヘキサ要素が、第1領域11と第2領域12の異種材料の境界をまたぐヘキサ要素42では、同図に示すように、それぞれの位置の積分点7に、その材料の物性値を与え、次式により要素剛性を得る。
Figure 0005317926
ここで、Bは要素節点変位と要素内歪とを結び付けるBマトリクス、Dmは弾性係数マトリクス、mは材料の区分を示す。
このような方法を用いることにより、内部境界部を含む構造体のき裂進展解析にも本方法を適用することができる。
構造体内部の分割にはデローニー法に代表される自動分割アルゴリズムを適用するが、単純なデローニー分割には内部の境界や空間という概念は存在しないため、これによって分割を行った場合、内部界面および内部空間の維持は保証されない。前述のように、構造体内部に、異種材料との境界部が含まれている場合には、四面体分割における内部界面および内部空間の維持は必須となる。そこで、これら内部界面および内部空間の維持が保障される手法として、3次元形状の入力データとしてPiecewise Linear Complex(PLC)を用い、メッシュ生成のアルゴリズムとして制約付きデローニー三角形分割(Constrained Delaunay Tetrahedralizations、CDT)を行う手法等を適用する。
図8(a)にPLCの例を示す。PLCは、3次元形状の境界を記述する形式であり、節点81、エッジ82、ファセット83によって構成される。ファセット83は、節点81とエッジ82によって構成される3次元空間内の平面多角形である。ファセットは内部空隙や独立した節点、エッジを持つことができる。ファセットとファセット、エッジとファセットなど構成要素同士の交点は必ず節点またはエッジで表現されなければならない。PLCは、独立した節点やエッジ、内部界面、内部空間を表現することができる。またPLCはファセット内部同様に他の要素と交わりを持たない独立した点、エッジを持つことが可能である。これらの独立した点やエッジの独立性やファセットの形状の任意性は、本発明のき裂進展解析の内部界面および内部空間を表現するのに適している。図8(b)にPLCに対するCDTの例を示す。CDTについて以下に説明する。
CDTの概念図を図9に示す。CDTとはファセットの反対側にある点を無視してデローニー分割を行うものである。あるPLCに対する四面体分割Tがあったとき、TにはPLCに含まれるすべての節点、エッジが存在し、またすべてのファセットはTによって生成された三角形によって表現されており、かつTのすべての四面体tは、ファセットに対して自分と同じ側にある節点に対してデローニーであるというものである。図9では四面体abcdの外接球Sに点eが含まれ、abcdは通常のデローニー分割とはなっていない。しかし三角形abcが存在するファセット面によって点dから点eは見えず、四面体は制約付きデローニー(constrained delaunay)となっている。これによってPLCのファセット面は分割された四面体集合においても存在が保証される。
モデラーからモデル形状をPLCの形式で出力し、このPLCに対してCDTによって四面体生成を行うことで、四面体分割における内部界面や内部空間の存在は保証され、かつ内部でのデローニー分割が保証される。
上記の段階で得られた四面体分割はPLCの節点のみを使用した粗い分割であり、有限要素法による数値解の精度が、十分保証される程度に細分割する必要がある。また、き裂進展の全自動解析を行うためには、き裂先端フロントの進展量に合わせて解析ステップごとに四面体メッシュを自動細分割する必要がある。この自動細分割は、解析領域内で四面体メッシュサイズを指定するスカラー関数であるサイズファンクションを、自動的に生成することによって実現する。すなわち、解析領域の形状、き裂面の形状、き裂先端のチューブ状のき裂先端要素群のサイズから、ある場所での数値解の精度を保証するに十分な四面体メッシュサイズの算出を解析ステップごとに行い、この値を満たすサイズになるまで四面体の細分割をデローニー法に基づいて自動的に繰り返し行う。
1 構造体
2 き裂
3 き裂先端部
4 ヘキサ要素
5 き裂先端要素群
6 テトラ要素
100 コンピュータシステム
101 演算部
102 記憶部
103 ファイル装置
104 入力部
105 出力部
106 バスライン

Claims (12)

  1. コンピュータの演算部が、構造体に形成されたき裂の大きさ並びに位置に関する情報及び構造体の形状データ並びに第1表面パッチデータを読み込むステップと、
    前記演算部が、前記情報及び形状データを用いて、前記き裂の先端部に沿って複数の20節点ヘキサ要素を含むチューブ状のき裂先端要素群を生成するステップと、
    前記演算部が、前記き裂先端要素群の第2表面パッチデータを抽出し、前記第1表面パッチデータと組み合わせて、き裂を含む構造体の第3表面パッチデータを生成するステップと、
    前記演算部が、前記第3表面パッチデータを用いて、前記構造体の内部空間に対して複数のテトラ要素を生成して、き裂を含む構造体の有限要素法(FEM)メッシュを生成するステップと、
    前記演算部が、仮想き裂進展法による応力解析により、前記FEMメッシュ及びFEMコードを用いて、前記き裂先端部が連続する方向に対して垂直な平面における複数の方向に関して前記き裂を微小変位させたときのエネルギー解放率Gを算出し、Gが最大のGmaxとなるき裂進展方向を求めるステップと、
    前記演算部が、き裂進展則に従って、前記Gmax及びき裂進展方向を用いて、前記き裂先端部に沿ったき裂進展量を求めるステップと、
    前記演算部が、前記き裂進展量及びき裂進展方向に基づいて、前記き裂先端部の位置情報を更新し、出力部に前記位置情報を出力するステップと、
    を有することを特徴とするき裂進展解析方法。
  2. 前記パッチデータを読み込む代わりに、構造体の節点座標および要素の結合情報を含むFEMのメッシュデータを読み込み、前記第1表面パッチデータを生成する、請求項1に記載のき裂進展解析方法。
  3. 前記テトラ要素を生成するアルゴリズムには、デローニー法あるいはアドバンシング・フロント法を用いる、請求項1または2に記載のき裂進展解析方法。
  4. 前記き裂進展則は、疲労き裂の進展則に基づくものであり、
    1荷重サイクルあたりのき裂進展量をda/dN、応力拡大係数の変動範囲をΔK、材料及び環境条件に依存する定数をA及びnとすると、
    da/dN=AΔKn
    で表される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のき裂進展解析方法。
  5. 前記き裂進展則は、応力腐食割れの進展則に基づくものであり、単位時間あたりのき裂進展量をda/dt、応力拡大係数をK、材料及び環境条件に依存する定数をA及びnとすると、
    da/dt=AKn
    で表される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のき裂進展解析方法。
  6. 更新されたき裂先端部の位置情報を用いて、FEMメッシュを再び生成するステップをさらに有し、
    前記き裂進展量が小さい場合には、各要素間の結合関係を維持したまま、前記き裂先端部およびその近傍の節点位置のみを修正し、
    前記き裂進展量が大きくなり、修正しきれなくなった場合には、前記き裂先端部周辺のFEMメッシュを再び生成する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のき裂進展解析方法。
  7. コンピュータの演算部を、構造体に形成されたき裂の大きさ並びに位置に関する情報及び構造体の形状データ並びに第1表面パッチデータを読み込む手段、
    前記情報及び形状データを用いて、前記き裂の先端部に沿って複数の20節点ヘキサ要素を含むチューブ状のき裂先端要素群を生成する手段、
    前記き裂先端要素群の第2表面パッチデータを抽出し、前記第1表面パッチデータと組み合わせて、き裂を含む構造体の第3表面パッチデータを生成する手段、
    前記第3表面パッチデータを用いて、前記構造体の内部空間*に対して複数のテトラ要素を生成して、き裂を含む構造体の有限要素法(FEM)メッシュを生成する手段、
    仮想き裂進展法による応力解析により、前記FEMメッシュ及びFEMコードを用いて、前記き裂先端部が連続する方向に対して垂直な平面における複数の方向に関して前記き裂を微小変位させたときのエネルギー解放率Gを算出し、Gが最大のGmaxとなるき裂進展方向を求める手段、
    き裂進展則に従って、前記Gmax及びき裂進展方向を用いて、前記き裂先端部に沿ったき裂進展量を求める手段、及び
    前記き裂進展量及びき裂進展方向に基づいて、前記き裂先端部の位置情報を更新し、出力部に前記位置情報を出力する手段、
    として機能させることを特徴とするき裂進展解析プログラム。
  8. 前記パッチデータを読み込ませる代わりに、構造体の節点座標および要素の結合情報を含むFEMのメッシュデータを読み込ませ、前記第1表面パッチデータを生成させる、請求項7に記載のき裂進展解析プログラム。
  9. 前記テトラ要素を生成するアルゴリズムには、デローニー法あるいはアドバンシング・フロント法を用いる、請求項7または8に記載のき裂進展解析プログラム。
  10. 前記き裂進展則は、疲労き裂の進展則に基づくものであり、
    1荷重サイクルあたりのき裂進展量をda/dN、応力拡大係数の変動範囲をΔK、材料及び環境条件に依存する定数をA及びnとすると、
    da/dN=AΔKn
    で表される、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のき裂進展解析プログラム。
  11. 前記き裂進展則は、応力腐食割れの進展則に基づくものであり、単位時間あたりのき裂進展量をda/dt、応力拡大係数をK、材料及び環境条件に依存する定数をA及びnとすると、
    da/dt=AKn
    で表される、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のき裂進展解析プログラム。
  12. さらに、更新されたき裂先端部の位置情報を用いて、FEMメッシュを再び生成させる手段として機能させ、
    前記き裂進展量が小さい場合には、各要素間の結合関係を維持したまま、前記き裂先端部およびその近傍の節点位置のみを修正させ、
    前記き裂進展量が大きくなり、修正しきれなくなった場合には、前記き裂先端部周辺のFEMメッシュを再び生成させる、請求項7乃至11のいずれか一項に記載のき裂進展解析プログラム。
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