JP3861037B2 - き裂進展解析方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はき裂進展解析方法及び装置に関し、配管の突合せ溶接部や板状部材などに生じたき裂の進展を解析する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
図11(a)は板状部材にき裂が発生した状態の例を示す斜視図、図11(b)は図11(a)のB−B線矢視断面拡大図、図11(c)は図11(a)のC−C線矢視断面拡大図である。
【0003】
例えば図11(a)に示すように板状部材1の下面1aにき裂2が発生した場合、この板状部材1に対して図中に矢印で示すような応力σが繰り返し作用すると、図11(b)及び図11(c)に一点鎖線で示すようにき裂2は徐々に進展していく。
【0004】
このような疲労き裂の進展を解析(有限要素解析)する場合、これまでは応力拡大係数のデータベースを用いた簡易進展解析(2次元)が主であったが、現在、3次元FEM解析で応力拡大係数、き裂進展量を計算し、き裂を自動的に進める解析方法が実用化されつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、3次元FEM解析によりき裂進展解析を実施する場合には、き裂の進展にともなってメッシュ(要素)を再分割し、しかも、メッシュを再分割するたびに最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要があるため、非常に労力と時間を要していた。
【0006】
従って、本発明は上記の事情に鑑み、容易にき裂の進展解析(有限要素解析)を行うことができるき裂進展解析方法及び装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する第1発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0008】
また、第2発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0009】
また、第3発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0010】
また、第4発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなることを特徴とする。
【0011】
また、第5発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有する構成であることを特徴とする。
【0012】
また、第6発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とする。
【0013】
また、第7発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とする。
【0014】
また、第8発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなる構成であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は本発明の実施の形態に係るき裂進展自動化システムのシステム構成図であり、図1のA部は図2のA部につながる。これらの図に示すように本実施の形態のき裂進自動化システムは(1)の初期形状作成・初期計算ブロック、(2)の進展予測ブロック、及び、(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有する構成となっている。
【0017】
例えば図1及び図3に示すような配管11の突合せ溶接部12に残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータ(K値、ΔK値など)を用いて、図3に一点鎖線で示すようなき裂13の進展を予測する場合には、解析ツールとして(1)+(2)+(3)のブロックを用いることにより、コンピュータ(き裂進展解析装置)で自動的にき裂の進展解析を行う。
【0018】
以下、これらの各ブロックの処理内容を図1,図2及び図4〜図10に基づいて説明する。なお、図4及び図5において、図4(a)は図4(b)のD−D線矢視図、図4(c)は図4(d)のE−E線矢視図、図4(e)は図4(f)のF−F線矢視図、図5(a)は図5(b)のG−G線矢視図、図5(c)は図5(d)のH−H線矢視図、図5(e)は図5(f)のI−I線矢視図である。また、図4及び図5には説明の便宜ために簡略的なメッシュ分割例を示し、図6〜図9には実際のメッシュ分割例を示している。
【0019】
<初期形状作成・初期計算ブロック>
図1に示すように(1)の初期形状作成・初期計算ブロックでは、まず、ステップS1において、残留応力解析用のメッシュ分割を使用して、熱弾塑性解析により、初期残留応力を算出する。
【0020】
例えば図4(a)及び図4(b)に示すような残留応力解析用のメッシュ分割とし、このメッシュ分割を使用して、熱弾塑性解析により、初期残留応力を算出する。図6には、このときの実際の残留応力解析用のメッシュ分割例(図中の実線)と、このメッシュ分割を用いて算出した初期残留応力の分布例(図中の点線)を示す。なお、図6では単に応力分布の境界部を点線で示しているだけであるが、実際には応力の大きさごとに赤、黄などに色分けをして応力分布を表すようになっている。このことは図7〜図9においても同様である。
【0021】
続いて、ステップS2では、任意に設定した初期き裂の前縁(先端)の形状を考慮してメッシュの再分割を行う。即ち、前記初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行う。なお、初期き裂は入力値として与える。また、このときに初期き裂部の節点は、後で解放(切り離して)してき裂を進展させる(初期き裂を模擬する)ことができるようにする。その後、この再分割したメッシュ上にステップS1で算出した初期残留応力を貼り付ける(設定する)。
【0022】
例えば図4(c)及び図4(d)に示すように初期き裂の前縁13Aの形状を設定した場合、この初期き裂の前縁13A上にメッシュの節点14Aが位置するように初期き裂の前縁13Aの形状に応じてメッシュを再分割する。また、このときに初期き裂部、即ち、初期き裂の前縁13Aの手前(内側)の節点14Bは、後で解放してき裂を進展させる(初期き裂を模擬する)ことができるようにする。その後、この再分割したメッシュ上に算出した初期残留応力を貼り付ける。図7には、このメッシュ再分割による実際のメッシュ分割の例(実線)と、これに貼り付けた初期残留応力分布の例(点線)を示す。
【0023】
次に、ステップS3及びステップS4若しくはステップS5では、初期き裂部、即ち、初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータK(応力拡大係数)又はΔK(応力拡大係数の変動範囲)を求める。SCCき裂の場合、即ち、連続的な荷重(配管の内圧など)によるき裂の進展を解析する場合にはステップS4で破壊力学パラメータとしてKを求める。疲労き裂の場合、即ち、繰り返し荷重によるき裂の進展を解析する場合にはステップS5で破壊力学パラメータとして繰り返し荷重に対するΔKを求める。
【0024】
図4(e)及び図4(f)に示す例では、初期き裂の前縁13Aの手前の節点14Bを解放する。なお、図4(e)及び図4(f)では、この解放した節点14Bを白丸で示し、且つ、解放部のメッシュは点線で示している。そして、このメッシュ分割に基づき、初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータK又はΔKを求める。この破壊力学パラメータはき裂前縁上の各節点で求める。図8には、このときの実際のメッシュ分割例(実線)と、メッシュ分割に基づいて算出した残留応力分布の例(点線)を示す。
【0025】
<進展予測ブロック>
図2に示すように(2)の進展予測ブロックでは、ステップS11において、(1)の初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータK又はΔKに基づいて、き裂進展則から、き裂の進展方向と進展量を予測し、また、(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータK又はΔKに基づいて、き裂進展則から、き裂の進展方向と進展量を予測する。き裂進展則は周知のものであり、例えば下記のように表される。
(Kの場合) da/dT=C1 ・Km1
(ΔKの場合) da/dN=C2 ・ΔKm2
a:進展量
T:時間
N:変動荷重の回数
1 ,C2 ,m1,2 :定数
【0026】
具体的には、まず、(1)の初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータK又はΔKに基づいて、き裂の進展方向と進展量を予測する。その後は、(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータK又はΔKに基づいて、き裂の進展方向と進展量を予測する処理を繰り返し行う。そして、このき裂進展予測よってき裂の進展方向と進展量を予測することにより、予測後のき裂の前縁形状を求める。例えば図5(a)及び図5(b)に一点鎖線で示すような予測後のき裂の前縁13Bを求める。なお、図5(a)及び図5(b)に示すメッシュ分割は図4(e)及び図4(f)に示すメッシュ分割と同じものである。
【0027】
<メッシュ再作成・節点解放ブロック>
図2に示す(3)の連続の(メッシュ再作成、節点解放などの処理を繰り返し行う)メッシュ再作成・節点解放ブロックでは、まず、ステップS21において、(2)の進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成(再分割)する。
【0028】
この場合、例えば、図10に示すように、予測前のき裂の前縁13A上と予測後のき裂の前縁13B上にメッシュの節点14A,14Cがそれぞれあり、この予測前のき裂前縁13Aと予測後のき裂前縁13Bの形状に対応するようにメッシュを再作成すればよい。また、予測後のき裂前縁の手前(内側)の節点、即ち、予測前のき裂前縁上の節点や予測前のき裂前縁と予測後のき裂前縁の間の節点は、後で解放してき裂を進展させることができるようにする。図10に示す例では、予測前のき裂前縁13Aと予測後のき裂前縁13Bとの間のメッシュ分割数が等しくなるようにメッシュを再作成しているが、必ずしもその必要はなく、任意のメッシュ形状で分割でき、分割数を等しくする必要はない。
【0029】
図5(c)及び図5(d)に示す例では、予測後のき裂の前縁13B上にメッシュの節点が位置するようにこの予測後のき裂の前縁13Bの形状に応じてメッシュを再作成する。この場合、予測前のき裂の前縁13A上の節点14Aは、後で解放してき裂を進展させることができるようにする。また、図5(c)及び図5(d)に示す例では予測前のき裂前縁13Aと予測後のき裂前縁13Bとの間に節点がないが、この前縁13A,13B間をもっと細かくメッシュ分割して、前縁13A,13B間にもメッシュの節点を設けてもよい。この場合、前縁13A,13B間の節点も、後で解放してき裂を進展させることができるようにする。
【0030】
続いて、ステップS22では、ステップS21で再作成後のメッシュに古いメッシュ(再作成前のメッシュ)の応力・ひずみ等の情報量(状態量)を貼り付ける。例えば図5(c)及び図5(d)に示すような再作成後のメッシュに図5(a)及び図5(b)に示すような再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付ける。
【0031】
次に、ステップS23では、予測後のき裂前縁の手前にある節点、即ち、予測前のき裂前縁上の節点や予測前のき裂前縁と予測後のき裂前縁の間の節点を解放して、き裂の進展を模擬する。予測後のき裂の前縁上に節点が位置するようにメッシュを再作成しているため、このように予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂の前縁までき裂を進展させることができる。このとき節点が解放されることにより、予測後のき裂前縁の手前部分の応力は解放され、予測後のき裂の前縁部分の応力が最も大きくなる。そして、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータK又はΔKを求める。この破壊力学パラメータはき裂前縁上の各節点で求める。
【0032】
図5(e)及び図5(f)に示す例では、予測前のき裂の前縁13A上の節点14Aを解放することにより、き裂の進展を模擬する。なお、図5(e)及び図5(f)では、この解放した節点14Aを白丸で示し、且つ、解放部のメッシュは点線で示している。また、図示は省略するが、予測前のき裂前縁13Aと予測後のき裂前縁13Bとの間にも節点を設けた場合には、この節点も解放して、き裂の進展を模擬する。そして、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータK又はΔKを求める。
【0033】
ここで求めた破壊力学パラメータK又はΔKは、先にも述べたように(2)の進展予測ブロックにおけるき裂進展予測(き裂の進展方向と進展量の予測)に利用する。以後は、上記のような(2)の進展予測ブロックの処理と(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックの処理とを繰り返すことにより、順次き裂を進展させる。
【0034】
図9には、配管の板厚tの半分までき裂が進展したときの実際のメッシュ分割例(実線)と、応力分布例(点線)とを示す。なお、図6〜図8では配管溶接部の内周面側に発生したき裂の進展を解析する場合のメッシュ分割例を示しているのに対し、図9では配管溶接部の外周面側に発生したき裂の進展を解析する場合のメッシュ分割例を示している。また、図9では配管溶接部の右半分のメッシュ分割のみを示し左半分については図示を省略している。
【0035】
以上のように、本実施の形態のき裂進展解析方法によれば、破壊力学パラメータK又はΔKに基づいてき裂の進展を予測し、しかも、この予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになり、例えば実機の配管溶接部のき裂進展予測を容易にモニタリングすることができるようになる。
【0036】
ところで、上記では解析ツールとして(1)+(2)+(3)のブロックを用いて、構造物の溶接部などのように残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展予測解析(事前予測解析)をする場合について説明したが、本発明は、これに限定するものではない。
【0037】
残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合、即ち、例えば構造物の溶接部に対するき裂進展挙動評価(事後解析)を行う場合には、解析ツールとして(1)+(3)のブロックを用いることにより、コンピュータ(き裂進展解析装置)で自動的にき裂の進展解析を行う。
【0038】
この場合、具体的には(1)の初期形状作成・初期計算ブロックでは、上記のように残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する。
【0039】
(3)の連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックでは、進展後(予測後)のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する。
【0040】
この場合にはき裂の進展挙動が予め分かっているため、(2)の進展予測ブロックによるき裂進展予測は行う必要がなく、予め分かっているき裂の進展挙動を入力しておき、これを用いて進展後(予測後)のき裂の前縁を順次設定すればよい。
【0041】
また、残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合、即ち、例えば通常の構造物(母材部)のき裂進展予測をするような場合には、解析ツールとして(2)+(3)のブロックを用いることにより、コンピュータ(き裂進展解析装置)で自動的にき裂の進展解析を行う。
【0042】
この場合、具体的には(2)の進展予測ブロックでは、(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する。
【0043】
(3)の連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックでは、(2)の進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する。
【0044】
この場合には残留応力・残留ひずみがないため、(1)の初期形状作成・初期計算ブロックでの処理は不要となる。なお、この場合も初期き裂は入力して任意に設定する。(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックでは、始め、この初期き裂の前縁上に節点が位置するように初期き裂の前縁形状に応じてメッシュ分割をし、このメッシュに応力・ひずみ等の状態量を貼り付けて、破壊力学パラメータK又はΔKを求める。
【0045】
また、残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合、即ち、例えばレーザ加工や放電加工或いはせん断加工などで予め決めたとおりに切断や穴あけ(この場合は切断部や穴あけ部がき裂に相当する)などの加工を行うときのようにき裂の進展が予め予測できる場合には、解析ツールとして(3)のブロックを用いることにより、コンピュータ(き裂進展解析装置)で自動的にき裂の進展解析を行う。
【0046】
この場合、具体的には(3)の連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックでは、予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する。
【0047】
この場合には残留応力・残留ひずみがないため、(1)の初期形状作成・初期計算ブロックでの処理は不要となる。また、き裂の進展予測が予め分かっているため、(2)の進展予測ブロックによるき裂進展予測も行う必要がなく、予め分かっているき裂の進展予測を入力しておき、これを用いて予測後のき裂の前縁を順次設定すればよい。なお、この場合も初期き裂は入力して任意に設定する。(3)のメッシュ再作成・節点解放ブロックでは、始め、この初期き裂の前縁上に節点が位置するように初期き裂の前縁形状に応じてメッシュ分割をし、このメッシュに応力・ひずみ等の状態量を貼り付ける。
【0048】
これらの場合にも、上記と同様、予測後(進展後)のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになる。
【0049】
なお、上記では破壊力学パラメータとしてK又はΔKを用いているが、本発明に用いる破壊力学パラメータとしては、これらに限らず、他のパラメータ(例えばJ)であってもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態とともに具体的に説明したように、第1発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0051】
従って、この第1発明のき裂進展解析方法によれば、破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展を予測し、しかも、この予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになり、例えば実機の配管溶接部のき裂進展予測を容易にモニタリングすることができるようになる。
【0052】
また、第2発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0053】
第3発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とする。
【0054】
第4発明のき裂進展解析方法は、残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなることを特徴とする。
【0055】
従って、これらの第2,第3又は第4発明のき裂進展解析方法においても、上記の第1発明と同様、予測後(進展後)のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになる。
【0056】
また、第5発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有する構成であることを特徴とする。
【0057】
従って、この第5発明のき裂進展解析装置によれば、破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展を予測し、しかも、この予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになり、例えば実機の配管溶接部のき裂進展予測を容易にモニタリングすることができるようになる。
【0058】
また、第6発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とする。
【0059】
また、第7発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とする。
【0060】
また、第8発明のき裂進展解析装置は、残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなる構成であることを特徴とする。
【0061】
従って、これらの第6,第7又は第8発明のき裂進展解析装置においても、上記の第5発明と同様、予測後(進展後)のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再分割することにより、予測後のき裂前縁の手前の節点を解放して予測後のき裂前縁までき裂を進展させることができるようにしたため、従来のように最初から(初期き裂の状態から)解析をし直す必要がなく、き裂を順次進展させて解析を行うことができる。このため3次元FEMによるき裂進展解析が容易且つ短時間で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るき裂進展自動化システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るき裂進展自動化システムのシステム構成図である。
【図3】配管溶接部におけるき裂進展の様子を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るき裂進展解析方法の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るき裂進展解析方法の説明図である。
【図6】実際のメッシュ分割例を示す図である。
【図7】実際のメッシュ分割例を示す図である。
【図8】実際のメッシュ分割例を示す図である。
【図9】実際のメッシュ分割例を示すである。
【図10】本発明の実施の形態に係るき裂進展解析方法の説明図である。
【図11】板状部材におけるき裂進展の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
11 配管
12 溶接部
13 き裂(前縁)
13A,13B き裂の前縁
14A,14B,14C メッシュの節点

Claims (8)

  1. 残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
    残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
    この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
    この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とするき裂進展解析方法。
  2. 残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
    残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
    進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とするき裂進展解析方法。
  3. 残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測する場合のき裂進展解析方法であって、
    メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
    この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなることを特徴とするき裂進展解析方法。
  4. 残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析方法であって、
    予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなることを特徴とするき裂進展解析方法。
  5. 残留応力・残留ひずみがある部位に対し、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
    残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出し、この残留応力に基づいて破壊力学パラメータを求めるステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
    この初期形状作成・初期計算ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測し、また、メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
    この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有する構成であることを特徴とするき裂進展解析装置。
  6. 残留応力・残留ひずみがあり、き裂の進展挙動が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
    残留応力解析用のメッシュ分割を使用して初期残留応力を算出するステップと、初期き裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記初期き裂の前縁形状に応じてメッシュの再分割を行い、この再分割したメッシュ上に前記ステップで算出した初期残留応力を貼り付けるステップと、前記初期き裂の前縁の手前の節点を解放することにより、前記初期き裂を導入した場合の残留応力を算出するステップとを有する初期形状作成・初期計算ブロックと、
    進展後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記進展後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記進展後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とするき裂進展解析装置。
  7. 残留応力・残留ひずみがなく、破壊力学パラメータを用いてき裂の進展を予測するき裂進展解析装置であって、
    メッシュ再作成・節点解放ブロックで求めた破壊力学パラメータに基づいてき裂の進展方向と進展量を予測する進展予測ブロックと、
    この進展予測ブロックで予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・ひずみ等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬し、この進展後のき裂形状に対して破壊力学パラメータを求めるステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックとを有してなる構成であることを特徴とするき裂進展解析装置。
  8. 残留応力・残留ひずみがなく、き裂の進展予測が予め分かっている場合のき裂進展解析を行うき裂進展解析装置であって、
    予測後のき裂の前縁上にメッシュの節点が位置するように前記予測後のき裂の前縁形状に応じてメッシュを再作成するステップと、この再作成後のメッシュに再作成前のメッシュの応力・歪み等の状態量を貼り付けるステップと、前記予測後のき裂前縁の手前に設けた節点を解放して、き裂の進展を模擬するステップとを有する連続のメッシュ再作成・節点解放ブロックを有してなる構成であることを特徴とするき裂進展解析装置。
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