(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。なお、図1では本発明に係わる機器および装置のみを示し、それ以外の機器および装置については図示と説明を省略する。カメラ1は、カメラボディ100と、カメラボディ100に着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
カメラボディ100には交換レンズ200が着脱可能に取り付けられるバヨネット構造のボディ側マウント部101が設けられている。ボディ側マウント部101の近傍(ボディ側マウント部101の内周側)の位置には、ボディ側マウント部101の内周側に部分的に突出する状態で、12個のボディ側接続端子を保持する保持部(電気的な接続部)102が設けられている。
また交換レンズ200には、ボディ側マウント部101に対応し、カメラボディ100が着脱可能に取り付けられるレンズ側マウント部201が設けられている。レンズ側マウント部201の近傍(レンズ側マウント部201の内周側)の位置には、レンズ側マウント部201の内周側に部分的に突出する状態で、12個のレンズ側接続端子と1個のレンズ側予備端子とを保持する保持部(電気的な接続部)202が設けられている。
ボディ側マウント部101の開口部の中心と、交換レンズ200の光軸とを一致させ、交換レンズ200に設けられた回転位置を表す不図示の指標とカメラボディ100に設けられた同様の指標とを合わせると、レンズ側マウント部201をボディ側マウント部101に挿入できる。その後、カメラボディ100の正面から見て交換レンズ200を反時計方向に回動させると、レンズ側マウント部201の爪がボディ側マウント部101の爪の後側に入り込む。交換レンズ200を所定角度回動させると、レンズ側マウント部201がボディ側マウント部101に結合され(レンズ側爪とボディ側爪との結合が完了し)、交換レンズ200の装着が完了する。
カメラボディ100に交換レンズ200が装着されると、保持部102(後に詳述)に設けられた複数のボディ側接続端子が、保持部202(後に詳述)に設けられた複数のレンズ側接続端子に電気的に且つ物理的に接続される。これらの端子は、カメラボディ100から交換レンズ200への電力供給、および、カメラボディ100と交換レンズ200との信号の送受信に利用される。なお、詳細は後述するが、交換レンズ200の保持部202に設けられたレンズ側予備端子は、カメラボディ100の保持部102に設けられたどの端子にも接続されない。
カメラボディ100内のボディ側マウント部101後方には撮像素子104が設けられる。カメラボディ100の上方には、入力装置たるボタン105が設けられている。ユーザはボタン105等の入力装置を用いてカメラボディ100に撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。
図2は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。交換レンズ200は、被写体像を結像させる結像光学系210を備える。結像光学系210は複数のレンズ210a〜210cにより構成されている。これら複数のレンズ210a〜210cには、被写体像のピント位置を制御するためのフォーカシングレンズ210bが含まれている。
交換レンズ200内部には、交換レンズ200の各部の制御を司るレンズ制御部203が設けられている。レンズ制御部203は不図示のマイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ制御部203には、レンズ側第1通信部217、レンズ側第2通信部218、レンズ駆動部212、レンズ位置検出部213、ROM215、およびRAM216が接続されている。
レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218は、保持部102、202の端子を介してカメラボディ100とのデータの授受を行う。このレンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218はそれぞれ、交換レンズ側の通信インターフェースである。レンズ制御部203はこれら通信インターフェースを使って、カメラボディ100(後述するボディ制御部103)との間で後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
レンズ駆動部212は例えばステッピングモータ等のアクチュエータを有し、レンズ駆動部212に入力された信号に応じてフォーカシングレンズ210bを駆動する。レンズ位置検出部213は、例えばレンズ駆動部212が有するステッピングモータに入力された信号のパルス数を計数して、フォーカシングレンズ210bの位置を検出する。あるいは、交換レンズ200に設けられた周知の距離エンコーダ等を用いてフォーカシングレンズ210bの位置を検出してもよい。
なお、交換レンズ200内に、上記フォーカシングレンズ210b以外の被駆動部材を設けていても良い。例えば、上記フォーカシングレンズ210bと同様に、交換レンズ(結像光学系210)の光軸方向に移動可能な部材としてズームレンズを備え、そのズームレンズを電気的に駆動する機構(パワーズーム機構)を、交換レンズ200内に設けても良い。また結像光学系210の光軸方向とは垂直な方向の成分(X,Y方向成分)を含む移動方向に移動可能なブレ補正レンズを含み、そのブレ補正レンズを駆動することにより像振れの補正を行うブレ補正機構を、交換レンズ200内に設けても良い。また、被写体光束の通過する絞り開口の大きさを変更するように移動可能な絞り部材(絞り羽根)の駆動を制御する絞り電動機構を、交換レンズ200内に設けても良い。このような被駆動部材が設けられている場合には、レンズ制御部203が、レンズ駆動部212およびレンズ位置検出部213を用いて、ブレ補正レンズ、絞り部材、ズームレンズそれぞれの、駆動や位置検出を制御する。
ROM215は不揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203が実行する所定の制御プログラム等が予め記憶される。RAM216は揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203により各種データの記憶領域として利用される。
撮像素子104の前面には、撮像素子104の露光状態を制御するためのシャッター115と、光学的ローパスフィルターや赤外線カットフィルターを組み合わせた光学フィルター116とが設けられている。結像光学系210を透過した被写体光は、シャッター115およびフィルター116を介して撮像素子104に入射する。
カメラボディ100内部には、カメラボディ100の各部の制御を司るボディ制御部103が設けられている。ボディ制御部103は不図示のマイクロコンピュータ、RAMおよびその周辺回路等から構成される。
ボディ制御部103には、ボディ側第1通信部117およびボディ側第2通信部118が接続されている。ボディ側第1通信部117は保持部102に接続されており、レンズ側第1通信部217とデータの授受を行うことができる。同様に、ボディ側第2通信部118はレンズ側第2通信部218とデータの授受を行うことができる。換言すれば、ボディ側第1通信部117とボディ側第2通信部118はそれぞれ、ボディ側の通信インターフェースである。ボディ制御部103はこれら通信インターフェースを使って、交換レンズ200(レンズ制御部203)との間で、後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
カメラボディ100の背面には、LCDパネル等により構成される表示装置111が配置される。ボディ制御部103はこの表示装置111に対し、撮像素子104の出力に基づく被写体の画像(いわゆるスルー画)や、撮影条件等を設定するための各種のメニュー画面を表示する。
(保持部102,202の説明)
図3は保持部102,202の詳細を示す模式図である。図3に示すように、保持部102には12個のボディ側接続端子BP1〜BP12が存在する。また保持部202には、上記の12個のボディ側接続端子にそれぞれ対応する12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12と、どのボディ側接続端子にも対応しないレンズ側予備端子LPAとが存在する。
第11ボディ側接続端子BP11および第12ボディ側接続端子BP12は、カメラボディ100内の第1電源回路130に接続されている。第1電源回路130は、第11ボディ側接続端子BP11に、レンズ駆動部212を除く交換レンズ200内の各部の動作電圧を供給する。すなわち、第11ボディ側接続端子BP11および第11レンズ側接続端子LP11からは、レンズ駆動部212を除く交換レンズ200内の各部(レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218を含む)の動作電圧が供給される。この第11ボディ側接続端子BP11に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲(例えば3V台での電圧幅)をもつが、標準的に供給される電圧値はその最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流値は、電源ON状態において、約数10mA〜数100mAの範囲内の電流値である。
第12ボディ側接続端子BP12は、第11ボディ側接続端子BP11に与えられる上記動作電圧に対応する接地端子である。すなわち、第12ボディ側接続端子BP12および第12レンズ側接続端子LP12は、上記の動作電圧に対応する接地端子である。
以下の説明では、第11ボディ側接続端子BP11および第11レンズ側接続端子LP11により構成される信号線を、信号線V33と呼ぶ。また、第12ボディ側接続端子BP12および第12レンズ側接続端子LP12により構成される信号線を、信号線GNDと呼ぶ。第11レンズ側接続端子LP11、第12レンズ側接続端子LP12、第11ボディ側接続端子BP11、および第12ボディ側接続端子BP12は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系端子を構成する。
第3ボディ側接続端子BP3、第4ボディ側接続端子BP4、第5ボディ側接続端子BP5、および第8ボディ側接続端子BP8は、ボディ側第1通信部117に接続されている。これらのボディ側接続端子に対応する交換レンズ200側の第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、第5レンズ側接続端子LP5、および第8レンズ側接続端子LP8は、レンズ側第1通信部217に接続されている。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217は、これらの端子(通信系端子)を用いて、互いにデータの送受信を行う。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217が行う通信の内容については、後に詳述する。
なお以下の説明では、第3ボディ側接続端子BP3および第3レンズ側接続端子LP3により構成される信号線を、信号線CLKと呼ぶ。同様に、第4ボディ側接続端子BP4および第4レンズ側接続端子LP4により構成される信号線を信号線BDATと、第5ボディ側接続端子BP5および第5レンズ側接続端子LP5により構成される信号線を信号線LDATと、第8ボディ側接続端子BP8および第8レンズ側接続端子LP8により構成される信号線を信号線RDYと呼ぶ。
レンズ側第1通信部217は上述した各レンズ側接続端子に加えて、レンズ側予備端子LPAにも接続されている。レンズ側予備端子LPAは交換レンズ200の内部において、不図示のプルアップ抵抗により所定の電圧にプルアップされている。カメラボディ100に交換レンズ200が取り付けられている間、レンズ側予備端子LPAにはカメラボディ100側のどの端子も接続されないので、レンズ側第1通信部217のレンズ側予備端子LPAに対応する入力端子は電源電圧が印加された状態が保たれる。
第9ボディ側接続端子BP9、第10ボディ側接続端子BP10、第6ボディ側接続端子BP6、および第7ボディ側接続端子BP7は、ボディ側第2通信部118に接続されている。これらのボディ側接続端子に対応する交換レンズ200側の第9レンズ側接続端子LP9、第10レンズ側接続端子LP10、第6レンズ側接続端子LP6、および第7レンズ側接続端子LP7は、レンズ側第2通信部218に接続されている。レンズ側第2通信部218は、これらの端子(通信系端子)を用いて、ボディ側第2通信部118にデータの送信を行う。ボディ側第2通信部118とレンズ側第2通信部218が行う通信の内容については、後に詳述する。
なお以下の説明では、第9ボディ側接続端子BP9および第9レンズ側接続端子LP9により構成される信号線を、信号線HREQと呼ぶ。同様に、第10ボディ側接続端子BP10および第10レンズ側接続端子LP10により構成される信号線を信号線HANSと、第6ボディ側接続端子BP6および第6レンズ側接続端子LP6により構成される信号線を信号線HCLKと、第7ボディ側接続端子BP7および第7レンズ側接続端子LP7により構成される信号線を信号線HDATと呼ぶ。
第1ボディ側接続端子BP1および第2ボディ側接続BP2は、カメラボディ100内の第2電源回路140に接続されている。第2電源回路140は、第1ボディ側接続端子BP1に、レンズ駆動部212の駆動電圧を供給する。すなわち、第1ボディ側接続端子BP1および第1レンズ側接続端子LP1からは、レンズ駆動部212の駆動電圧が供給される。この第1ボディ側接続端子BP1に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲をもつが、その範囲はいずれも、前述した第11ボディ側接続端子BP11に供給可能な電圧値範囲よりも大きい電圧値である(例えば、第1ボディ側接続端子BP1に供給可能な最大電圧値は、第11ボディ側接続端子BP11に供給可能な最大電圧値の数倍程度)。即ち第1ボディ側接続端子BP1に供給される電圧値は、上述の第11ボディ側接続端子BP11に供給される電圧値とは、その大きさが異なる電圧値である。なお第1ボディ側接続端子BP1に標準的に供給される電圧値は、第1ボディ側接続端子BP1に供給可能な最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流は、電源ON状態において、約10mA〜数Aの電流値となる。
第2ボディ側接続端子BP2は、第1ボディ側接続端子BP1に与えられる上記駆動電圧に対応する接地端子である。すなわち、第2ボディ側接続端子BP2および第2レンズ側接続端子LP2は、上記駆動電圧に対応する接地端子である。
以下の説明では、第1ボディ側接続端子BP1および第1レンズ側接続端子LP1により構成される信号線を、信号線BATと呼ぶ。また、第2ボディ側接続端子BP2および第2レンズ側接続端子LP2により構成される信号線を、信号線PGNDと呼ぶ。すなわち、第1ボディ側接続端子BP1、第1レンズ側接続端子LP1、第2ボディ側接続端子BP2、および第2レンズ側接続端子LP2は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系端子を構成する。
なお、上述の第1ボディ側接続端子BP1、第1レンズ側接続端子LP1に供給される電圧値(電流値)と、第11ボディ側接続端子BP11、第11レンズ側接続端子LP11に供給される電圧値(電流値)との大小関係から明らかなように、それら各端子に供給される電圧にそれぞれに対する接地端子となる第2ボディ側接続端子BP2および第2レンズ側接続端子LP2を流れる電流の最大値と最小値との差は、第12ボディ側接続端子BP12および第12レンズ側接続端子LP12を流れる電流の最大値と最小値との差よりも大きくなっている。これは、アクチュエータ等の駆動系を有するレンズ駆動部212が消費する電力が、交換レンズ200内のレンズ制御部203等の電子回路に比べて大きいこと、ならびに、フォーカシングレンズ210bを駆動する必要がない場合にはレンズ駆動部212が電力を消費しないことに拠る。
図4は、ボディ側マウント部101の正面図である。図4(a)は、カメラボディ100のボディ側マウント部101を交換レンズ200側から見た図であり、図4(b)は図4(a)のうち保持部102を拡大した図である。また、図5は、レンズ側マウント部201の正面図であり、図5(a)には交換レンズ200のレンズ側マウント部201をカメラボディ100側から見た様子が、図5(b)には図5(a)のうち保持部202を拡大した様子がそれぞれ示されている。各マウント部は円形の形状を有しており、以下の説明ではその円の中心をマウント中心点Oと称する。
図4(a)に示すように、ボディ側マウント部101のマウント面よりも奥まった場所(図4(a)における紙面奥方向)には、保持部102が配置されている。また、図5(a)に示すように、レンズ側マウント部201のマウント面よりも突出した場所(図5(a)における紙面手前方向)には、保持部202が配置されている。前述した手順によりボディ側マウント部101とレンズ側マウント部201とを結合させ、カメラボディ100に交換レンズ200を装着すると、保持部102と保持部202とが接続され、両保持部に設けられている12個のボディ側接続端子BP1〜BP12と12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12とが互いに接続することとなる。図4および図5において、12個のボディ側接続端子BP1〜BP12および12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12の上に描画されている一点鎖線は、カメラボディ100と交換レンズ200との結合時における12個のボディ側接続端子BP1〜BP12の軌跡を表している。このようなマウント構造については周知であるので、これ以上の説明を省略する。
図4(a)に示すように、12個のボディ側接続端子BP1〜BP12はそれぞれ円筒形の形状を有しており、保持部102の内部に設けられたバネ等により、ボディ側マウント部101の正面方向(交換レンズ200の方向)に付勢されている。また図5(a)に示すように、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12および1個のレンズ側予備端子LPAはそれぞれ保持部202の表面に略矩形の導体が露出する形状を有している。保持部102が保持部202に接続されると、各ボディ側接続端子は上記の付勢により各レンズ側接続端子に押圧され、レンズ側接続端子とボディ側接続端子とが電気的に導通する。なお図5(a)および図5(b)において、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12に重ねて描画されている円は、対応するボディ側接続端子の押圧位置を示す円である。
以下の説明において、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12およびレンズ側予備端子LPAの各々について、レンズ側端子全体のうちカメラボディ100と交換レンズ200との結合時にボディ側接続端子と接触する領域(図5(a)に円で示した領域)を接触部と称する。また、「カメラボディ100と交換レンズ200との結合時」とは、第11レンズ側接続端子LP11に対して第11ボディ側接続端子BP11から電圧が供給されている時のことをいう。ただし、レンズ予備端子LPAについては、カメラボディ100と交換レンズ200との取り付け過程において、ボディ側接続端子BP1〜BP12と接触し得る領域(図5(a)一点鎖線周辺の領域)を接触部と称する。なお本実施形態においてレンズ側接続端子およびレンズ側予備端子とは、図5(a)に斜線で塗りつぶして示した保持部202の表面に露出する略矩形の領域(接触部を含む)だけではなく、この略矩形領域とレンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218とを接続する電気配線(リード線やフレキシブルケーブル等)を含む呼称である。また、上述しているような斜線で塗りつぶして示した保持部202の表面に露出する領域のことを、以降、レンズ側接続端子LP1〜LP12およびレンズ側予備端子LPAの露出領域と呼称することがある。以下の説明において、「レンズ側接続端子の中心部」とは、図5(b)に黒い点で図示したように、当該レンズ側接続端子の露出領域の中心のことを指す。なお、露出領域については、後で、図14を用いて詳細に説明する。
図5(a)に示すように、レンズ側マウント部201の保持部202には、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12(の露出領域)とレンズ側予備端子LPA(の露出領域)が、レンズ側マウント部201に沿った方向(外観形状が略円形状のレンズ側マウント部201の一部分に沿うような円弧方向)にマウント中心点Oを中心として円弧状(円弧形状)に配置されている。
以下、図5(b)を基に、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12(の露出領域)同士の位置関係について説明する。第1レンズ側接続端子LP1の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ11は、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12から任意に選択された2つのレンズ側接続端子の接触部がマウント中心点Oに対して成す内角の中で最も大きい。
第11レンズ側接続端子LP11の接触部と第12レンズ側接続端子LP12の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ1は、第1レンズ側接続端子LP1から第10レンズ側接続端子LP10のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ2〜θ11より小さい。第3レンズ側接続端子LP3の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ2は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、および第4レンズ側接続端子LP4から第10レンズ側接続端子LP10のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ3〜θ11より小さい。
第4レンズ側接続端子LP4の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ3は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、および第5レンズ側接続端子LP5から第10レンズ側接続端子LP10のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ4〜θ11より小さい。第5レンズ側接続端子LP5の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ4は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、および第6レンズ側接続端子LP6から第10レンズ側接続端子LP10のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ5〜θ11より小さい。
第8レンズ側接続端子LP8の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ5は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、第6レンズ側接続端子LP6、第7レンズ側接続端子LP7、第9レンズ側接続端子、および第10レンズ側接続端子LP10のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ6〜θ11より小さい。第9レンズ側接続端子LP9の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ6は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、第6レンズ側接続端子LP6、第7レンズ側接続端子LP7、および第10レンズ側接続端子LP10のいずれかのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ7〜θ11より小さい。
第10レンズ側接続端子LP10の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ7は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、第6レンズ側接続端子LP6、および第7レンズ側接続端子LP7のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ8〜θ11より小さい。第6レンズ側接続端子LP6の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ8は、第1レンズ側接続端子LP1、第2レンズ側接続端子LP2、および第7レンズ側接続端子LP7のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ9〜θ11より小さい。
第7レンズ側接続端子LP7の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ9は、第1レンズ側接続端子LP1および第2レンズ側接続端子LP2のうちいずれか1つのレンズ側接続端子の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ10、θ11より小さい。第2レンズ側接続端子LP2の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部とがマウント中心点Oに対して成す内角θ10は、第1レンズ側接続端子LP1の接触部と第11レンズ側接続端子LP11の接触部がマウント中心点Oに対して成す内角θ11より小さい。
12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12(の露出領域)は、以上のような位置関係で保持部202に配置されている。更に本実施形態では、第12レンズ側接続端子LP12と第3レンズ側接続端子LP3との間に、レンズ側予備端子LPAが配置されている。各レンズ側接続端子は、この第12レンズ側接続端子LP12と第3レンズ側接続端子LP3とを除き、同一形状の露出領域を有しており、各接続端子の間隔も等しい。他方、第12レンズ側接続端子LP12と第3レンズ側接続端子LP3は、他のレンズ側接続端子よりも小さい(細い)露出領域を有している。レンズ側予備端子LPAは、第12レンズ側接続端子LP12および第3レンズ側接続端子LP3と同一形状の露出領域を有している。第12レンズ側接続端子LP12および第3レンズ側接続端子LP3との間隔は、上述した各接続端子の間隔よりも狭く(短く)なっている。つまり、レンズ側予備端子LPAは、本来であれば第12レンズ側接続端子LP12および第3レンズ側接続端子LP3の露出領域が配置されるはずのスペースを削減することにより、これら2つのレンズ側接続端子の間に挿入された、追加の端子である。第12レンズ側接続端子LP12および第3レンズ側接続端子LP3の露出領域は、他のレンズ側接続端子の露出領域より小さいものの、ボディ側接続端子との接続には十分の大きさを有している。なお、レンズ側予備端子LPA(の露出領域)の形状は、レンズ側接続端子とは異なる形状であってもよいし、同一形状であってもよい。なお、間に配置されるとは、マウント中心点に対して円弧状に配置された12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12と同じ円弧上に配置されることをいう。
なお、通信系の端子(通信系端子)である第3レンズ側接続端子LP3〜第10レンズ側接続端子LP10と、電源系の端子のうち、電源電圧(既述した動作電圧や駆動電圧)を供給する第1レンズ側接続端子LP1および第11レンズ側接続端子LP11との間に、それらの接地端子(グランド端子)である第2レンズ側接続端子LP2および第12レンズ側接続端子LP12を配置する構成としたのは、電源系の端子(信号線)が通信系の端子(信号線)に及ぼす影響を最小限に抑えるためである。
電源電圧を供給する信号線(第1レンズ側接続端子LP1や第11レンズ側接続端子LP11を含む信号線)は、電源電圧の供給先での負荷変動に応じて大きな電圧変化を生じる。この大きな電圧変化が通信系の信号線に悪影響を及ぼす場合がある。この悪影響を抑制するために、本実施形態では、電源端子(第1レンズ側接続端子LP1や第11レンズ側接続端子LP11)よりも電圧変化の安定している接地端子(第2レンズ側接続端子LP2および第12レンズ側接続端子LP12)を、通信系端子(第3レンズ側接続端子LP3〜第10レンズ側接続端子LP10)と電源端子(第1レンズ側接続端子LP1および第11レンズ側接続端子LP11)との間に介在配置させている。
レンズ側第1通信部217に接続されている第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、第5レンズ側接続端子LP5、および第8レンズ側接続端子LP8と、レンズ側第2通信部218に接続されている第9レンズ側接続端子LP9、第10レンズ側接続端子LP10、第6レンズ側接続端子LP6、および第7レンズ側接続端子LP7とは互いに隣に配置されているが、レンズ側第1通信部217の第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、および第5レンズ側接続端子LP5とレンズ側第2通信部218の第6レンズ側接続端子LP6および第7レンズ側接続端子LP7とは、互いに異なる(他方の)通信部(217、または218)に接続されている端子の隣に配置させないよう構成している。すなわち、異なる(他方の)通信部に接続されている端子に近い位置には、第8レンズ側接続端子LP8、第9レンズ側接続端子LP9、および第10レンズ側接続端子LP10がまとめて配置されている。これは、後述するように、第8レンズ側接続端子LP8、第9レンズ側接続端子LP9、および第10レンズ側接続端子LP10には、クロック信号に同期しない信号(クロック信号やそれに同期する信号に比して比較的に変化の少ない信号、例えば単位時間当たりの状態変化が1kHz〜数kHz程度の信号)を伝達するためである。一般にクロック信号やそれに同期する信号は単位時間当たりの変化が数MHz程度と激しいため(一例としてクロック信号が8MHzで、それに同期するデータ信号が(データ量にも拠るが)4MHzのケース等)、雑音源となりやすい。従って、このような端子は通信に及ぼす影響を最小限にするために、異なる(他方の)通信部に接続されている端子から互いに離して配置することが望ましい。そこで本実施形態では、レンズ側第1通信部217内においてクロック信号およびそれに同期する信号を伝達する端子群(第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、および第5レンズ側接続端子LP5)と、レンズ側第2通信部218内においてクロック信号およびそれに同期する信号を伝達する端子群(第6レンズ側接続端子LP6および第7レンズ側接続端子LP7)との間に、クロック信号に同期しない信号を伝達する端子群(第8レンズ側接続端子LP8、第9レンズ側接続端子LP9、および第10レンズ側接続端子LP10)を介在させる端子配置を採用している。
第9レンズ側接続端子LP9、第10レンズ側接続端子LP10、第6レンズ側接続端子LP6、および第7レンズ側接続端子LP7は第2電源回路140寄りに、第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、第5レンズ側接続端子LP5、および第8レンズ側接続端子LP8は第1電源回路130寄りに、それぞれ配置されている。これは、レンズ側接続端子LP9、LP10、LP6、LP7の方が、雑音による影響が小さいためである。第2電源回路140はレンズ駆動部212に電力を供給するが、レンズ駆動部212の消費電力はフォーカシングレンズ210bを駆動している場合とそうでない場合とで激しく変化する。したがって、第2レンズ側接続端子LP2を流れる電流の大きさは激しく変化し、隣接する通信系の端子に及ぼす影響は第12レンズ側接続端子LP12よりも大きい。しかし後述するように、レンズ側接続端子LP9、LP10、LP6、およびLP7を用いて行われる通信は、レンズ側接続端子LP3、LP4、LP5、およびLP8を用いて行われる通信よりも周期が短いので(レンズ側接続端子LP9、LP10、LP6、およびLP7を用いる通信の周期は、レンズ側接続端子LP3、LP4、LP5、およびLP8を用いる通信の周期の1/10以下程度の周期である。後述するが本実施形態ではレンズ側接続端子LP9、LP10、LP6、およびLP7を用いる通信は1msec周期で行われ、レンズ側接続端子LP3、LP4、LP5、およびLP8を用いる通信は16msec周期で行われる)、仮に第2レンズ側接続端子LP2の影響で通信が失敗したとしても、速やかに通信をやり直すことができる。つまり、レンズ側接続端子LP9、LP10、LP6、およびLP7であれば、第2レンズ側接続端子LP2の隣に配置したとしても、レンズ側接続端子LP3、LP4、LP5、およびLP8に比べて雑音による影響が小さいといえる。
また、第2レンズ側接続端子LP2は、第7レンズ側接続端子LP7の隣に配置させている。これは、第6レンズ側接続端子LP6よりも第7レンズ側接続端子LP7の方が、雑音への耐性が高いためである。後述するように、第6レンズ側接続端子LP6にはクロック信号が、第7レンズ側接続端子LP7にはこのクロック信号に同期するデータ信号が伝送される。クロック信号は、雑音の影響を受けて立ち上がりや立ち下がりのエッジが不明瞭になってしまうと、受信側で正しく同期を取れなくなってしまう。他方、データ信号は、クロック信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミングにおいて信号レベルのサンプリングが行われる。従って、上記のタイミングにおいて信号レベルが明確になってさえいればよく、雑音への耐性はクロック信号に比べて高いといえる。
なお、図4に示すカメラボディ100側の保持部102に配置された12個のボディ側接続端子BP1〜BP12については、上述した交換レンズ200側の12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12と同様であるので、説明を省略する。
前述の通り、ボディ側マウント部101はレンズ側マウント部201と向かい合わせてから、回転させて係合させる、いわゆるバヨネット式のマウント構造になっている。このため図4(a)および図5(a)に示すように、ボディ側接続端子BP1〜BP12の並びの方向は、レンズ側接続端子LP1〜LP12(の露出領域)の並びの方向とは反対になっている(図5において、左端に第11レンズ側接続端子LP11が配置され右端に第1レンズ側接続端子LP1が配置されているのに対して、図4では第11ボディ側接続端子BP11が右端に配置され第1ボディ側接続端子BP1が左端に配置されている)。
交換レンズ200のカメラボディ100への取付時、図5に示したレンズ側マウント部201は時計回りに回転される。このとき、保持部102に設けられた12個のボディ側接続端子BP1〜BP12は、保持部202の表面に押圧された状態で、図5(a)に一点鎖線で示した軌跡に沿って移動する。つまり、12個のボディ側接続端子BP1〜BP12は、カメラボディ100のレンズ側マウント部201への取り付け過程において、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12およびレンズ側予備端子LPAの接触部と摩擦されることになる。12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12およびレンズ側予備端子LPAの接触部は、保持部202の表面よりもボディ側接続端子BP1〜BP12が滑らかに移動できるように構成されている。
(コマンドデータ通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217を制御して、第3レンズ側接続端子LP3、第4レンズ側接続端子LP4、第5レンズ側接続端子LP5、および第8レンズ側接続端子LP8、すなわち信号線CLK、BDAT、LDAT、およびRDYを介して、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して、第1の所定周期(本実施形態では16ミリ秒)で行う。以下、レンズ側第1通信部217とボディ側第1通信部117との間で行われる通信の詳細を説明する。
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217と、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117との間で行われる通信を「コマンドデータ通信」と称する。
図6は、コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、コマンドデータ通信の開始時(T1)、まず信号線RDYの信号レベルを確認する。信号線RDYの信号レベルはレンズ側第1通信部217の通信可否を表している。レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、通信できない状態である場合には、第8レンズ側接続端子LP8からH(High)レベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、信号線RDYがHレベルである場合、これがLレベルになるまで通信開始しない。また通信中の次の処理を実行しない。
信号線RDYがL(Low)レベルであれば、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は第3ボディ側接続端子BP3からクロック信号401を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号401を伝送する。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号401に同期して、第4ボディ側接続端子BP4から制御データの前半部分であるボディ側コマンドパケット信号402を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側コマンドパケット信号402を伝送する。
また、信号線CLKにクロック信号401が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、クロック信号401に同期して第5レンズ側接続端子LP5から応答データの前半部分であるレンズ側コマンドパケット信号403を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側コマンドパケット信号403を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側コマンドパケット信号403の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする(T2)。レンズ制御部203は、受信したボディ側コマンドパケット信号402の内容に応じた処理である第1制御処理404(後述)を開始する。
レンズ制御部203は第1制御処理404が完了すると、レンズ側第1通信部217に第1制御処理404の完了を通知する。レンズ側第1通信部217はこの通知に応じて、第8レンズ側接続端子LP8からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T3)。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこの信号レベルの変化に応じて、第3ボディ側接続端子BP3からクロック信号405を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号405を伝送する。
ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号405に同期して、第4ボディ側接続端子BP4から制御データの後半部分であるボディ側データパケット信号406を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側データパケット信号406を伝送する。
また、信号線CLKにクロック信号405が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217はクロック信号405に同期して第5レンズ側接続端子LP5から応答データの後半部分であるレンズ側データパケット信号407を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側データパケット信号407を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側データパケット信号407の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルを再びHレベルにする(T4)。レンズ制御部203は、受信したボディ側データパケット信号406の内容に応じた処理である第2制御処理408(後述)を開始する。
ここで、レンズ制御部203が行う第1制御処理404、および第2制御処理408について述べる。
例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、交換レンズ側の特定のデータを要求する内容であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、当該要求されている特定データを生成する処理を実行する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、コマンドパケット信号402の通信にエラーがないか否かをデータバイト数から簡易的にチェックする通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された特定データの信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。なお、この場合においてコマンドパケット信号402の後でボディ側から出力されるボディ側データパケット信号406は、レンズ側にとっては特に意味をなさないダミーデータ信号(チェックサムデータは含む)となっている。この場合にはレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた、上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
また例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ側の被駆動部材を駆動する指示であった場合について述べる。例えば、コマンドパケット信号402がフォーカシングレンズ210bの駆動指示であり、受信したボディ側データパケット信号406がフォーカシングレンズ210bの駆動量であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、その内容を理解したことを表す了解信号を生成する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、上述の如き通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された了解信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。またレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406の内容の解析処理を実行すると共に、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
レンズ制御部203は第2制御処理408が完了すると、レンズ側第1通信部217に第2制御処理408の完了を通知する。これによってレンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に、接点LP6からLレベルの信号を出力させる。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T5)。
なお受信したボディ側コマンドパケット信号402が、上述のようなレンズ側の被駆動部材(たとえばフォーカシングレンズ)を駆動する指示であった場合、レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に信号線RDYの信号レベルをLレベルにさせつつ、レンズ駆動部212に対して、フォーカシングレンズ210bを当該駆動量だけ駆動する処理を実行させる。
上述した時刻T1〜時刻T5に行われた通信が、1回のコマンドデータ通信である。上述のように、1回のコマンドデータ通信では、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117により、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、処理の都合上2つに分割されて送信されるものの、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406は2つ合わせて1つの制御データを構成する。
同様に、1回のコマンドデータ通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217によりレンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、レンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407は2つ合わせて1つの応答データを構成する。
以上のように、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して行う。コマンドデータ通信に利用される第8レンズ側接続端子LP8および第8ボディ側接続端子BP8は、他のクロック信号に同期しない非同期信号(信号線RDYの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
(ホットライン通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第2通信部218を制御して、第9レンズ側接続端子LP9、第10レンズ側接続端子LP10、第6レンズ側接続端子LP6、および第7レンズ側接続端子LP7、すなわち信号線HREQ、HANS、HCLK、およびHDATを介して、ボディ側第2通信部118へレンズ位置データを送信する。以下、レンズ側第2通信部218とボディ側第2通信部118との間で行われる通信の詳細を説明する。
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218と、ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118との間で行われる通信を「ホットライン通信」と称する。
図7は、ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。本実施形態のボディ制御部103は、ホットライン通信を第2の所定周期(本実施形態では例えば1ミリ秒)毎に開始するように構成されている。この周期は、コマンドデータ通信を行う周期よりも短い。図7(a)は、ホットライン通信が所定周期Tn毎に繰り返し実行されている様子を示す図である。繰り返し実行されるホットライン通信のうち、ある1回の通信の期間Txを拡大した様子が図7(b)に示されている。以下、図7(b)のタイミングチャートに基づいて、ホットライン通信の手順を説明する。
ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、ホットライン通信の開始時(T6)、まず第9ボディ側接続端子BP9からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをLレベルにする。レンズ側第2通信部218は、この信号が第9レンズ側接続端子LP9に入力されたことをレンズ制御部203に通知する。レンズ制御部203はこの通知に応じて、レンズ位置データを生成する生成処理501の実行を開始する。生成処理501とは、レンズ制御部203がレンズ位置検出部213にフォーカシングレンズ210bの位置を検出させ、検出結果を表すレンズ位置データを生成する処理である。
レンズ制御部203が生成処理501を実行完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は第10レンズ側接続端子LP10からLレベルの信号を出力する(T7)。すなわち、信号線HANSの信号レベルをLレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、この信号が第10ボディ側接続端子BP10に入力されたことに応じて、第6ボディ側接続端子BP6からクロック信号502を出力する。すなわち、信号線HCLKを介してレンズ側第2通信部218にクロック信号を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は、このクロック信号502に同期して、第7レンズ側接続端子LP7からレンズ位置データを表すレンズ位置データ信号503を出力する。すなわち、信号線HDATを介してボディ側第2通信部118にレンズ位置データ信号503を伝送する。
レンズ位置データ信号503の送信が完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は第10レンズ側接続端子LP10からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HANSの信号レベルをHレベルにする(T8)。ボディ側第2通信部118は、この信号が第10ボディ側接続端子BP10に入力されたことに応じて、第9ボディ側接続端子BP9からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをHレベルにする(T9)。
上述した時刻T6〜時刻T9に行われた通信が、1回のホットライン通信である。上述のように、1回のホットライン通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218により、レンズ位置データ信号503が1つ送信される。ホットライン通信に利用される第9レンズ側接続端子LP9、第10レンズ側接続端子LP10、第9ボディ側接続端子BP9、および第10ボディ側接続端子BP10は、他のクロック信号に同期しない非同期信号が伝送される接点である。つまり第9レンズ側接続端子LP9および第9ボディ側接続端子BP9は、非同期信号(信号線HREQの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点であり、第10レンズ側接続端子LP10および第10ボディ側接続端子BP10は、非同期信号(信号線HANSの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される端子である。
なお、コマンドデータ通信とホットライン通信は、同時にも或いは一部並行的にも実行することが可能である。すなわち、レンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218との一方は、その他方がカメラボディ100と通信を行っている場合であってもカメラボディ100と通信を行うことが可能である。
(レンズ管理装置の説明)
図8は、交換レンズ200を着脱可能なレンズ管理装置を示した断面図である。本実施形態の交換レンズ200は、カメラボディ100とは異なるレンズ管理装置300にも着脱可能である。レンズ管理装置300は、交換レンズ200のメンテナンスを行うための装置である。
レンズ管理装置300には、カメラボディ100のボディ側マウント部101と同様の構造を有する管理側マウント部301が設けられている。また、この管理側マウント部301の近傍(管理側マウント部301の内周側)の位置には、ボディ側マウント部101と同様に、管理側マウント部301の内周側に部分的に突出する状態で、7個の管理側接続端子を保持する保持部(電気的な接続部)302が設けられている。
レンズ管理装置300に交換レンズ200が装着されると、保持部302に設けられた複数の管理側接続端子が、保持部202に設けられた複数のレンズ側接続端子と電気的に且つ物理的に接続される。これらの端子は、レンズ管理装置300から交換レンズ200への電力供給、および、レンズ管理装置300と交換レンズ200との信号の送受信に利用される。
レンズ管理装置300内部には、レンズ管理装置300の各部の制御を司る管理制御部303が設けられている。管理制御部303は不図示のマイクロコンピュータ、RAMおよびその周辺回路等から構成される。
管理制御部303には管理側第1通信部317が接続されている。管理側第1通信部317は保持部302に接続されており、レンズ側第1通信部217とデータの授受を行うことができる。換言すれば、管理側第1通信部317はレンズ管理装置300側の通信インターフェースである。管理制御部303はこの通信インターフェースを使って、交換レンズ200(レンズ制御部203)との間で、前述のコマンドデータ通信を行う。
図9は保持部302の詳細を示す模式図である。図9(a)に示すように、保持部302には第8管理側接続端子EP8、第5管理側接続端子EP5、第4管理側接続端子EP4、管理側予備端子EPA、第3管理側接続端子EP3、第12管理側接続端子EP12、および第11管理側接続端子EP11が存在する。
第11管理側接続端子EP11および第12管理側接続端子EP12は、それぞれ第11ボディ側接続端子BP11および第12ボディ側接続端子BP12と同様の機能を有する。すなわち、第11管理側接続端子EP11および第11レンズ側接続端子LP11からは、レンズ駆動部212を除く交換レンズ200内の各部(レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218を含む)の動作電圧が供給される。また、第12管理側接続端子EP12は、第11管理側接続端子EP11に与えられる上記動作電圧に対応する接地端子である。
同様に、第8管理側接続端子EP8、第5管理側接続端子EP5、第4管理側接続端子EP4、および第3管理側接続端子EP3は、それぞれ第8ボディ側接続端子BP8、第5ボディ側接続端子BP5、第4ボディ側接続端子BP4、および第3ボディ側接続端子BP3と同様に、コマンドデータ通信を行うための端子である。管理側第1通信部317は、これらの接続端子により、交換レンズ200とのコマンドデータ通信を行う。
なお、本実施形態のレンズ管理装置300は、交換レンズ200との間で上述したホットライン通信を行わない。従って、ホットライン通信に用いられる接続端子は保持部302から取り除かれている。
管理側予備端子EPAは、第3管理側接続端子EP3と第12管理側接続端子EP12との間に設けられた通信用の端子であり、交換レンズ200のレンズ側予備端子LPAに接続される。管理側予備端子EPAはレンズ管理装置300内において接地されている。これにより、交換レンズ200とレンズ管理装置300とが結合したとき、レンズ側予備端子LPAはグランド電位となり、レンズ側第1通信部217にはL(Low)レベルの信号が入力されることになる。
レンズ制御部203は、レンズ側予備端子LPAからレンズ側第1通信部217に入力される信号の信号レベルにより、レンズ側マウント部201に取り付けられているのがカメラボディ100なのか、あるいはレンズ管理装置300なのかを判定する。そして、レンズ管理装置300が取り付けられていると判定した場合、コマンドデータ通信において、特定の管理用コマンドを受け付ける。仮にカメラボディ100からこの「特定の管理用コマンド」が送信されてきた場合、レンズ制御部203はそのコマンドを受け付けない(例えばボディ制御部103に対しエラーを表す情報を送信したり、あるいは単純に無視したりする)。
上述した「特定の管理用コマンド」には、例えばROM215の内容を書き換えるファームウェア更新コマンドや、交換レンズ200の各部が正常に稼動することを確認するための動作確認コマンド等が含まれる。交換レンズ200の製造者は、例えば製品出荷時の最終検査や製品の補修などにおいて、このレンズ管理装置300を用いて交換レンズ200のメンテナンスを行う。
上述した第1の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)保持部202に、12個のボディ側接続端子BP1〜BP12のいずれにも接続されないレンズ側予備端子LPAを、カメラボディ100のレンズ側マウント部201への取り付け過程において、12個のボディ側接続端子BP1〜BP12のうち少なくとも1つのボディ側接続端子と接触するように配置した。このようにしたので、交換レンズの取り付けを円滑に行うことができると共に、マウント面に特定の配置パターンが構成され、各端子を認識しやすくなる。
(2)レンズ側予備端子LPAを、レンズ側マウント部201にカメラボディ100が取り付けられていないときに、レンズ管理装置300の管理側予備端子EPAに接続可能に構成した。このようにしたので、カメラボディ100以外の装置を交換レンズ200に取り付けた場合の拡張性を高めることができる。
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係るカメラシステムの各保持部の詳細を示す模式図である。本発明を適用した第2の実施の形態のカメラシステムは、第1の実施の形態のカメラボディ100と同様の構成を有するカメラボディ800と、第1の実施の形態の交換レンズ200と同様の構成を有する交換レンズ900とから成る。以下、図10を用いて、この第2の実施の形態に係るカメラシステムについて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同様の各部については、第1の実施の形態と同一の符号を付し説明を省略する。
カメラボディ800の保持部802は、図9に示した管理側予備端子EPAと同一の位置に、第2ボディ側端子BPAが設けられている点を除き、第1の実施の形態に係るカメラボディ100の保持部102と同様の構成を有している。第2ボディ側端子BPAは、ボディ側第1通信部817に接続され、交換レンズ900との間で信号線BD2を構成する。信号線BD2はカメラボディ800から交換レンズ900にデータを送信するための信号線である。ボディ側第1通信部817は、図6に示すコマンドデータ通信において、信号線BDATと並行して信号線BD2からもデータを送信することが可能である。つまり、本実施形態のボディ側第1通信部817は、第1の実施の形態に係るボディ側第1通信部117と比べ、コマンドデータ通信を約2倍のデータ送信速度で実行することができる。
他方、交換レンズ900の保持部202に設けられたレンズ側予備端子LPAは、交換レンズ900の内部で、レンズ側第1通信部917に接続されている。レンズ側第1通信部917は、図6に示すコマンドデータ通信において、信号線BDATと並行して信号線BD2からもデータを送信することが可能である点を除き、第1の実施の形態に係るレンズ側第1通信部217と同等である。
本実施形態の交換レンズ900には更に、第1の実施の形態に係るカメラボディ100を取り付けることも可能である。ただし、カメラボディ100は、レンズ側予備端子LPAに接続される端子を有していないので、上述した信号線BD2を用いたデータ通信を行うことはできない。レンズ制御部203は、カメラボディ100が取り付けられた場合には、第1の実施の形態において説明した通常のコマンドデータ通信を行う。他方、カメラボディ800が取り付けられた場合には、上述した信号線BD2を用いたコマンドデータ通信を行う。
上述した第2の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)レンズ側マウント部201に、カメラボディ100と択一的に取り付け可能なカメラボディ800が取り付けられたとき、レンズ側予備端子LPAが第2ボディ側端子BPAに接続されるようにした。このようにしたので、新たなカメラボディにおいて、従来よりも優れた機能を提供することができ、拡張性が向上する。
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施の形態に係るカメラシステムを示した斜視図である。本実施形態のカメラシステム3は、カメラボディ100と、カメラボディ100に着脱可能な中間アダプタ700と、中間アダプタ700に着脱可能な交換レンズ600とから構成される。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の部材等については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
交換レンズ600は、第1の実施の形態に係る交換レンズ200と同様の構成を有し、中間アダプタ700を介さずにカメラボディ100に取り付けることも可能に構成されている。中間アダプタ700は、いわゆるテレコンバーター(テレコン)である。すなわち、交換レンズ600と共に利用することで、交換レンズ600が有する結像光学系210の焦点距離を長くすることが可能な中間アダプタである。中間アダプタ700の筐体は円筒形の形状を有している。中間アダプタ700の一方の側面には、ボディ側マウント部101に対応するアダプタ側第1マウント部701が設けられている。このアダプタ側第1マウント部701は、交換レンズ200のレンズ側マウント部201と同一の構成となっている。中間アダプタ700の他方の側面には、レンズ側マウント部201に対応するアダプタ側第2マウント部703が設けられている。このアダプタ側第2マウント部703は、カメラボディ100のボディ側マウント部101と同一の構成となっている。なお、中間アダプタ700の筐体の形状は円筒形の形状に限られるものではなく、他の形状でもよい。アダプタ側第1マウント部701は、カメラボディ100のボディ側マウント部101に着脱可能に取り付けることができる。また、アダプタ側第2マウント部703は、交換レンズ600のレンズ側マウント部201に着脱可能に取り付けることができる。
中間アダプタ700のアダプタ側第1マウント部701の近傍(アダプタ側第1マウント部701の内周側)の位置には、第1の実施の形態に係る交換レンズ200と同様に、アダプタ側第1マウント部701の内周側に部分的に突出する状態で、複数の端子を保持する保持部702が設けられている。保持部702は、レンズ側予備端子LPAが存在しないことを除き、第1の実施の形態に係る保持部202と同様の構成となっている。
また、中間アダプタ700のアダプタ側第2マウント部703の近傍(アダプタ側第2マウント部703の内周側)の位置には、アダプタ側第2マウント部703の内周側に部分的に突出する状態で、端子を保持する保持部704が設けられている。この保持部704には複数の端子が設けられている。中間アダプタ700に交換レンズ600が装着されると、保持部202に設けられた端子が、保持部704に設けられた複数の端子と電気的に且つ物理的に接続される。
図12は、アダプタ側第2マウント部703の正面図である。保持部704には、保持部102に設けられたボディ側接続端子BP1〜BP12と同様に、アダプタ側接続端子AP1〜AP12が設けられている。これらの各接続端子は、中間アダプタ700の内部で、保持部702に設けられた各接続端子に接続されている。従って、カメラボディ100(ボディ制御部103)は、中間アダプタ700を介して、第1の実施の形態と同様のコマンドデータ通信およびホットライン通信を、交換レンズ600との間で実行することができる。
保持部704には更に、レンズ側予備端子LPAに対応する位置に、アダプタ側予備端子APAが設けられている。中間アダプタ700に交換レンズ600が取り付けられると、このアダプタ側予備端子APAは、交換レンズ600のレンズ側予備端子LPAに接続される。アダプタ側予備端子APAは中間アダプタ700の内部で接地されている。
カメラボディ100に交換レンズ600が取り付けられた場合、レンズ側予備端子LPAはどの端子にも接続されない。この場合、レンズ側予備端子LPAが交換レンズ600の内部でプルアップされているので、交換レンズ600のレンズ側第1通信部217にはH(High)レベルの信号が入力される。他方、カメラボディ100に中間アダプタ700を介して交換レンズ600が取り付けられた場合、レンズ側予備端子LPAはアダプタ側予備端子APAに接続される。この場合、交換レンズ600のレンズ側第1通信部217には、L(Low)レベルの信号が入力される。このように、カメラボディ100との間に中間アダプタ700が介在するか否かで、レンズ側予備端子LPAからレンズ側第1通信部217に入力される信号の信号レベルが変化する。レンズ制御部203は、この信号レベルの変化により、中間アダプタ700の有無を検知する。
上述した第3の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)レンズ制御部203は、レンズ側予備端子LPAを用いて、中間アダプタ700の有無を検知する。このようにしたので、中間アダプタ700の有無を容易に検知することが可能となる。
(第4の実施の形態)
本発明を適用した第4の実施の形態のカメラシステムは、第1の実施の形態のカメラシステムと同様の構成を有するが、第1の実施の形態とはレンズ側接続端子の露出領域の表面形状が異なる。以下、この第4の実施の形態におけるレンズ側接続端子の露出領域の表面形状について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同様の各部については、第1の実施の形態と同一の符号を付し説明を省略する。また、カメラボディおよびレンズ管理装置については第1の実施の形態と同一であるものとする。
図13は、第4の実施の形態における保持部202の正面図である。図13(a)および図13(b)に示すように、本実施形態において、レンズ側マウント部201の保持部202に配置された12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12およびレンズ側予備端子LPAは、保持部202の内周側(マウント中心点Oに近い辺)から外周側(マウント中心点Oに遠い辺)までを覆う大きさを有している。しかしながら、その露出領域の大きさおよび位置は、図5(a)および図5(b)に示した第1の実施形態のものと同一である。以下、この点について、第8レンズ側接続端子LP8の断面図を示して説明する。
図14(a)は、第8レンズ側接続端子LP8の正面図を拡大した図であり、図14(b)は第8レンズ側接続端子LP8および保持部202の断面図である。図14(b)の断面図に示すように、第8レンズ側接続端子LP8を構成する金属片209は、その一端が、保持部202の表面に設けられた凹部208に入り込んでいる。つまり、金属片209の表面は、保持部202の表面に露出する露出領域LP8aと、金属片209を保持部202に固定するための固定部LP8bとに分かれている。そして、図14(a)のように表面から見るとあたかも露出領域が図5より大きいように見えるが、実際には、露出領域LP8aの大きさは変わらない。従って、本実施形態において第8レンズ側接続端子LP8の中心部とは、露出領域の中心部0aであって、固定部LP8bを含む範囲の中心部0bではない。
以上、本実施形態における第8レンズ側接続端子LP8の露出領域について説明をしたが、他の11個のレンズ側接続端子およびレンズ側予備端子LPAについては第8レンズ側接続端子LP8と同様であるので説明を省略する。すなわち、他の11個のレンズ側接続端子およびレンズ側予備端子LPAの露出領域の大きさおよび位置も、図5に示したものと同一であり、表面上増えたように見える領域は、金属片を保持部202に固定するための固定部である。なお、露出領域の大きさおよび位置は、図5(a)および図5(b)に示した第1の実施形態のものと同一であるとしたが、露出領域の大きさおよび位置は同一でなくともよい。
上述した第4の実施の形態によるカメラシステムによれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
例えば図15のように、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12とレンズ側予備端子LPAとのうち、いずれか1つの端子(例えば、レンズ側予備端子LPA)の露出領域だけが、保持部202の内周側(マウント中心点Oに近い辺)寄りに配置され、他の12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12の露出領域が、保持部202の外周側(マウント中心点Oに遠い辺)寄りに配置されてもよい。換言すれば、前記12個のレンズ側接続端子および前記レンズ側予備端子のうち少なくとも1つのレンズ側接続端子の露出領域と前記マウント中心点との間の距離が、他の少なくとも1つのレンズ側接続端子の露出領域と前記マウント中心点との間の距離と異なるように配置してもよい。なお、内周側寄りに配置される露出領域はレンズ側予備端子LPA以外の端子の露出領域であってもよいし、その個数は1つより多くてもよい。また、12個のレンズ側接続端子LP1〜LP12とレンズ側予備端子LPAとの露出領域の大きさは、それぞれ同一であってもよいし、1個以上のレンズ側接続端子の露出領域の大きさが他の端子の露出領域の大きさと異なっていてもよい。前記12個のレンズ側接続端子および前記レンズ側予備端子のうち少なくとも1つのレンズ側接続端子の露出領域と前記マウント中心点との間の距離が、他の少なくとも1つのレンズ側接続端子の露出領域と前記マウント中心点との間の距離と異なるように配置した。このようにしたので、交換レンズの取り付けを円滑に行うことができると共に、マウント面に特定の配置パターンが構成され、各端子を認識しやすくなる。
(変形例2)
上述の実施の形態では、図5に示すように、複数のレンズ側接続端子を保持部202の下側の縁に沿って配置していた。これら複数のレンズ側接続端子を、これ以外の形態で保持部202に配置してもよい。また、複数のレンズ側接続端子は保持部202のどの位置に配置してもよいし、保持部202の形状も図5に示す形状に限定されずどのような形状であってもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、ホットライン通信で、フォーカシングレンズ210bの位置データを、交換レンズ200からカメラボディ100に送信するものとして説明した。しかしながらホットライン通信を使って、フォーカシングレンズ以外の被駆動部材の状態情報をも送信するようにシステムを構成しても良い。例えば交換レンズ200に手振れ補正のためのブレ補正レンズが設けられている場合には、そのブレ補正レンズの位置(X,Y位置)を送信するようにしても良い。また交換レンズ内の絞りの位置(絞り開口サイズに関連する情報)を送信するようにしても良い。また交換レンズ200がズームレンズであれば、レンズの焦点距離に関する情報を送信するようにしても良い。このような場合には、図7(b)に示す生成処理501として、ブレ補正レンズの位置データを生成する処理や、絞り開口を形成する絞りの制御位置データ(開口サイズに対応する位置情報)を生成する処理や、ズームレンズの位置データを生成する処理が含まれる。
(変形例4)
上述の実施形態では、保持部102(ボディ側)および保持部202(レンズ側)をそれぞれ一体部品(一部品)としている。しかしながら、この保持部102,202はそれぞれ、幾つかに(幾つかの端子ごとに)分割されている複数の保持部部品を組合わせることで、一体に形成するように構成しても良い。
(変形例5)
上述の実施形態では、通信インターフェースを、2つの通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)に対してそれぞれ個別に設けているが、これらが一体に形成されていてもよい。すなわち交換レンズ側で言えば、レンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218とが一体に形成されていても良い。同様にカメラボディ側で言えばボディ側第1通信部117とボディ側第2通信部118とが一体に形成されていても良い。更に、ボディ制御部103やレンズ制御部203の代わりに、これらの各通信インターフェースの機能が組み込まれたボディ制御部やレンズ制御部を使用しても良い。
(変形例6)
上記実施形態では、カメラボディ100と交換レンズ200から構成されるカメラシステムについて説明した。しかしながら本発明はカメラシステムに限られるものではない。交換レンズ200を着脱可能なマウントを備え、交換レンズ200と通信可能であり、且つ交換レンズに給電可能な電子機器であれば、その電子機器にも上記実施形態で説明した構成(カメラボディ側の構成)を適用可能である。このような電子機器として、例えばプロジェクターが考えられる。プロジェクターの投影レンズ部分を、着脱可能な交換式の投影レンズとして構成することで、上記実施形態と同様なプロジェクターシステムを得ることができる。
(変形例7)
上記実施形態では、ブレ補正機構として、結像光学系210の光軸方向とは垂直な方向の成分をもつように移動可能なブレ補正レンズを含み、そのブレ補正レンズを駆動することにより手振れ補正を行うものについて述べた。しかしながらブレ補正機構としてはこれに限らず、ブレ補正光学系を、結像光学系210の光軸を含む面内方向に回転(揺動)させてブレ補正を行う方式のものでも良い。
(変形例8)
上記実施形態ではバヨネット構造のマウントを例示して本発明の説明を行ったが、バヨネット構造以外のマウントに対して本発明を適用することも可能である。例えばスクリューマウントなど異なる構造のマウントを有する交換レンズに本発明を適用してもよい。
(変形例9)
上述した各実施形態では、レンズ側予備端子LPAは1個だけ設けられていた。これを2個以上としてもよい。この場合、各々のレンズ側予備端子にそれぞれ異なる機能を割り当ててもよいし、同一の機能を割り当ててもよい。また、レンズ側予備端子LPAの位置は図5に示した位置に限定されない。カメラボディ100のレンズ側マウント部201への取り付け過程において、ボディ側接続端子BP1〜BP12のいずれかと接触する位置であれば、どのような位置にレンズ側予備端子が設けられていてもよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。