JP5316663B2 - セメント製造装置 - Google Patents
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Description
このセメント原料を導管に供給する場合、その上方に複数のサイクロンが設置されている関係上、これらサイクロンでの予熱を均等にするために均等に原料を供給する必要がある。
特許文献1記載の装置は、セメント原料の粉体を供給する原料供給管(傾斜シュート)の底板の下端部上面に、確率曲線状に隆起した山形の凸部が設けられている。この凸部は下端側がもっとも高く上流側の高さが零になるように形成されており、供給した原料が凸部に当たると、左右に分散して導管内に供給されるようになっている。
これら特許文献2又は3記載の装置では、導管内に突出させた分散板や原料スライド面に原料を衝突させることにより、導管内に分散させて供給するようにしている。
また、特許文献2のように、原料供給管の接続口の下に分散板を設けたとしても、導管内への分散板の差し込み長さを十分に長くして設置しなければ、セメント原料の大部分は、導管の内壁付近を流れる旋回流に乗って、1つの分配出口に偏って流出することとなる。
そこで、本発明は以下の解決手段とした。
第1実施形態のセメント製造装置は、図3に全体を示したように、セメント原料として石灰石、粘土、珪石、鉄原料等を個別に貯蔵する原料貯蔵庫1と、これらセメント原料を粉砕、乾燥する原料ミル及びドライヤ2と、この原料ミルで得られた粉体状のセメント原料を予熱するプレヒータ3と、プレヒータ3によって予熱されたセメント原料を焼成するセメントキルン4と、セメントキルン4で焼成された後のセメントクリンカを冷却するためのクーラー5等とを備えている。
なお、図3においては、プレヒータ3の構成を簡略化して示したものであり、本実施形態ではプレヒータ3は上下4段のサイクロン13により構成されている。この場合、3段目の一つのサイクロン13Bに対して最上段である4段目に2基のサイクロン13A(本発明で言う、上段側サイクロン。)が並列状態に接続されており、3段目のサイクロン13Bが2基並んで設けられていることにより、最上段のサイクロン13Aは2基ずつ、合計4基設けられている。プレヒータ3は、この構成と異なる構成のものとしてもよい。
図1に示すプレヒータ3では、最上段側の2基のサイクロン13Aに対応して原料供給管22が2個接続されている。そして、導管21の軸線C1の回りに180°回転させた位置、すなわち、各原料供給管22の接続口22aが、互いに向かい合わせとなる位置に接続されている。また、導管21内に開口する各原料供給管22の接続口22aは、導管21の内壁面に面一に設置されている。なお、接続口22aは、導管21の内壁面に厳密に面一でなくとも、若干突出してもよい。また、分配部23は、導管21の軸線C1と上段側の両サイクロン13Aへの分配出口21a中心間を結ぶ線C2との交点部分とする(図1参照)。なお、図1では、分配出口21a中心間を結ぶ線C2に対して、両原料供給管22の接続口22aが略90°の角度で設置されているが、この角度はこれに限定されるものではなく、任意の角度に設定しても、各原料供給管22の接続口22aを360°/nずつずれた位置に配置することで、旋回流の個々の流れにセメント原料を供給することができる。
また、原料供給管22は、導管21の軸線に対して20°〜50°の適宜の角度θで傾斜して形成され、この原料供給管22を通してセメント原料が一定量ずつ落下しながら投入される。
また、この旋回流は、図1の模式図に示すように、下段側のサイクロン13Bから導管21を経由して分配部23で2つに分配され、上段側の2基のサイクロン13Aに分かれて流通する。2基のサイクロン13Aのうちの一方側に流れる流れを黒塗り矢印で示し、他方側に流れる流れを白抜き矢印で示しており、導管21内ではこれらが螺旋状にねじれながら上昇する。そして、導管21内を上昇して分配部23まで到達し、この分配部23から分岐した状態で分配出口21aからそれぞれのサイクロン13Aに導出される。
このように、導管21内が2つの流れがねじれながら上昇する旋回流となることから、セメント原料がそのいずれか一方の流れにのみ投下されてしまうと、上段側の2基のサイクロン13Aのうちの一方にのみ偏って供給され、その一方のサイクロン13Aのみ負荷が増大することになる。
なお、3基以上のサイクロンを設けた場合には、図6及び図7に示すように、導管21内に、分配出口21aの数に合わせて旋回流の流れが生じる。この場合には、原料供給管22の導管21への接続口22aを、各分配出口21aに流れ込む排ガスの旋回流の個々の流れに対応する位置に1個ずつ配置することで、投下された原料が、各旋回流の流れに乗って各分配出口21aから上段側サイクロンに均等に供給される。図6に示す例では、120°ずつずれた位置に配置された各原料供給管22から、3つの旋回流の流れのそれぞれにセメント原料が供給され、その流れに乗って各分配出口21aから上段側サイクロンに均等に供給される。また、図7に示す例では、90°ずつずれた位置に配置された各原料供給管22から、4つの旋回流の流れのそれぞれにセメント原料が供給され、その流れに乗って各分配出口21aから上段側サイクロンに均等に供給される。
すなわち、原料供給管22を、上段側サイクロンへの分配出口21aの数nに合わせて、360°/nずつずれた位置に配置することで、セメント原料を各旋回流の流れに乗せて上段側サイクロンに均等に供給することができる。
この図4に示すセメント原料装置のように、原料供給管22の各接続口22aを、導管21の一側面の上下に離間して2個所定の間隔で配置することにより、排ガスの旋回流の2つの流れに対応する位置に1個ずつ配置する構成としてもよい。この場合も、各原料供給管22から2つの流れのそれぞれにセメント原料を供給できる。そして、これら2つの流れに供給されたセメント原料は、その流れに乗って各上段側サイクロン13Aに供給される。したがって、上段側のサイクロン13Aへの各分配出口21aにセメント原料を均等に流出させることができ、その予熱を均等にして熱交換効率を高めることができる。
また、3基以上のサイクロンに分配して原料を供給する場合には、原料供給管22を、上段側サイクロンへの分配出口の数nに合わせて、導管の一側面の上下に離間してn個所定の間隔で配置することで、旋回流の個々の流れに対応する位置に1個ずつ配置することができる。
シミュレーションの導管モデルは、図1に示すように、最上段のサイクロンへの分配出口21aを2個備え、原料供給管22の接続口22aを導管21の軸線回りに180°ずらして対向配置させた構成とした。また、上段側サイクロンの各分配出口21aの中心を通る水平面P1から原料供給管22の各接続口22aの中心を通る水平面P2の間の垂直距離Hと、導管の直径Dとの比率H/Dを、1.07,1.47,1.84,2.22,2.68に設定した5種類の導管モデルを構成し、これらの導管について熱流体シミュレーションを行った。そして、分配部を経由した後の導管の左右の分配出口温度を計算し、その温度差を求めた。また、導管の左右の分配出口から流出するセメント原料の割合を計算し、その割合差を求めた。
また、シミュレーションの条件としては、クリンカ生産量200ton/hのセメントキルンのプレヒータを想定し、3段目のサイクロンに風量14300Nm3/h、温度640℃のガスを供給し、原料供給管に風量1400Nm3/h、温度80℃のガスを供給するものとした。なお、原料供給管22の傾斜角度θは35°に設定した。結果を、表1及び図5に示す。図5の縦軸は、左右の分配出口間の排ガス温度差である。
また、比率H/Dが1.4〜2.7に設定される位置に原料供給管の各接続口を配置した場合は、左右の分配出口間の排ガス温度差を20℃以内にして、流出原料の割合差を小さく抑えることができ、好ましい。
さらに、比率H/Dが1.5〜2.4に設定される位置に原料供給管の各接続口を配置した場合は、左右の分配出口間の排ガス温度差を10℃以内にして、流出原料の割合差を小さく抑えることができ、より好ましい。
例えば、最上段のサイクロン13Aに接続されている導管への原料供給についてのみ説明したが、各段で複数設置されるサイクロンへの導管や、最下段のサイクロン13Dとセメントキルンの窯尻部6との間を接続するライジングダクト25(図3参照))に原料を供給する場合にも本発明を適用することもできる。
また、セメント原料としてミルから送られる生原料だけでなく、上部のサイクロンを経由した後に下部のサイクロンに導かれる予熱途中の原料を導管に供給する場合にも、本発明を適用することができる。
4 セメントキルン
6 窯尻部
13,13A〜13D サイクロン
21 導管
21b 内壁面
22 原料供給管
23 分配部
24 上端
25 ライジングダクト
Claims (3)
- セメントキルンで発生した排ガスを流通させる複数のサイクロンが上下方向に連結状態とされるとともに、複数の上段側サイクロンとその下方に配置される下段側サイクロンとの間に、下段側サイクロンから導出される前記排ガスを上方に流通させ分配して各上段側サイクロンに導く導管が設けられ、前記導管における前記複数の上段側サイクロンへの分配部よりも下方位置に、セメント原料を供給する原料供給管が前記上段側サイクロンへの分配出口の数と同数設けられており、各原料供給管の前記導管への接続口は、各分配出口に流れ込む排ガスの旋回流の個々の流れに対応する位置に1個ずつ配置されていることを特徴とするセメント製造装置。
- 前記上段側サイクロンへの分配出口の数をnとした場合に、前記原料供給管の各接続口が、前記導管の軸線回りに360°/nずつずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載のセメント製造装置。
- 前記上段側サイクロンへの分配出口の数をnとした場合に、前記原料供給管の各接続口が、前記導管の一側面の上下に離間してn個所定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1記載のセメント製造装置。
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