JP5315489B2 - エフェクター機能が増強されたヒトIgG抗体を作製する方法 - Google Patents

エフェクター機能が増強されたヒトIgG抗体を作製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、その断片を含めて、エフェクター機能が増強されたヒトIgG抗体、特にIgG抗体を作製する方法に関する。
抗体−抗原複合体の形成および特殊化した免疫細胞による認識は、広範な免疫系の反応を引き起こす。最も一般的な抗体のアイソタイプはIgGであり、それは、2本の同一の軽鎖とジスルフィド結合した2本の同一の重鎖からなる。抗原認識は、結合した重鎖および軽鎖の末端で形成される相補性決定領域中で行われる。他方の抗体の末端では、抗体のFcドメインとFc受容体の結合を介して開始される相互作用により、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、細胞媒介性補体活性化(CDC)や食作用(オプソニン作用)などのFcエフェクター機能が生じる。
Fc受容体は、抗体の末端Fc部分と結合することができる特定の免疫細胞上で認められる細胞表面糖タンパク質である。これらのFc受容体は、その分布、イムノグロブリンのサブタイプの特異性および開始されるエフェクター反応によって定義される。例えば、マクロファージ、末梢血単核細胞(PBMC)、およびナチュラルキラー細胞(NK)上で認められるFcγR受容体は、IgG型分子により特異的である。次いで、NK細胞のFcRγIIIa受容体と、抗体が結合した標的の結合は、ADCC標的細胞溶解を媒介する。その一方で、補体カスケードの活性化は、血清補体タンパク質C1qと抗体−抗原複合体のFc部分の結合によって開始される。C1qは、C3補体成分の沈着の動員、その後の様々な食細胞上のC3受容体による認識によってCDCまたは食作用を誘導できるので、細胞表面分子ではないが、それでもC1qはFc受容体とみなすことができる。
各ヒトIgG重鎖は、抗原を認識する可変ドメイン(V)および3つの相同な定常領域ドメイン;C1、C2およびC3を有し、C2およびC3はFc領域を含む。突然変異生成の研究から、C2およびC3ドメインが、これらのFc受容体媒介反応にとって最も重要であることが示されている。したがって、Fc受容体相互作用を媒介する重要なFcアミノ酸残基を同定することにより、抗体Fc工学は、Fc−エフェクター機能を選択的に高め、より効率のよい放射性核種へのFcRの標的化または細胞傷害性薬物の標的化を変化させ、かつ/あるいは長期にわたる投与計画を必要とする治療薬の半減期の様相を最適化する新たな将来性および進歩を潜在的にもたらすことができる。
したがって、それによって、選択したFcエフェクター特性についてのFc領域全体にわたる有益な突然変異を迅速にかつ効率よく同定することができる、体系的な突然変異生成およびスクリーニングの方法を提供することが望ましい。そのスクリーニング方法を促進するために、その結果、Fc変異体を、in vitroでのADCCおよび/またはCDCアッセイの読み取り情報によって直接スクリーニングすることができる、Fc突然変異を哺乳動物Fc変異体ライブラリーとして哺乳動物細胞の表面上に発現させる方法を提供することがさらに望ましい。
本発明は、一態様では、エフェクター機能が増強されたヒトIgG抗体を生成する方法を含む。その方法を実施する際に、IgGFcルックスルー突然変異生成(LTM)コードライブラリーを構築する。ライブラリーは、抗体のFc断片のC2およびC3領域をそれぞれ表す配列番号1および2によって特定される2つのIgGFc領域のうち少なくとも1つ、ならびに複数の各アミノ酸について、2つのIgGFc領域のうち1つの中にある複数のアミノ酸位での個々のアミノ酸置換物をコードする領域LTMライブラリーでよい。あるいは、ライブラリーは、配列番号1によって特定されるIgGFcC2領域内に含まれる配列番号14〜17によって特定される4つの各領域、および複数の選択された各アミノ酸について、各領域内にある複数のアミノ酸位での個々の置換物をコードする小領域LTMライブラリーでよい。
LTMライブラリーによってコードされるIgGFc断片を選択可能な発現系中で発現させ、エフェクター機能の増強を特徴とする発現IgGFc断片を選択する。エフェクター機能の増強は、(i)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた結合親和定数(K)の変化;または(ii)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた解離速度定数(Koff)の変化と関係し、それは、直接的なKもしくはKoffの測定に基づいてもよく、または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、細胞媒介性補体活性化(CDC)や食作用(オプソニン作用)などの結合の間接的な尺度に基づいてもよい。
ライブラリーによってコードされる発現Fc断片を、ウイルス粒子、原核細胞、および真核細胞からなる選択可能な発現系中で発現させることができ、発現Fc粒子を発現系粒子の表面と結合し、その発現Fc粒子がその表面上でFc結合タンパク質による結合に利用可能となる。例示的な発現系の1つは、BaF3、FDCP1、CHOやNSO細胞などの哺乳動物細胞を含み、それは、(i)臨床用品質のモノクローナル抗体を産生することができ、(ii)培養中で非付着性であり、(iii)レトロウイルスを導入することが容易である。
発現系は、その表面上にFc断片を発現し、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、細胞媒介性補体活性化(CDC)や食作用(オプソニン作用)などのFcエフェクター機能の直接測定を可能にする哺乳動物細胞を含んでよい。この直接的方法は、(i)LTMライブラリーの単一クローン変異体に対応する発現細胞を、複数の各アッセイ用ウェルに添加するステップと、(ii)各ウェルに、Fc結合タンパク質を含み、表面に結合したFc断片と相互作用し、それと結合するレベルに応じて細胞を溶解するのに有効な試薬を添加するステップと、(iii)細胞溶解産物が存在するかどうかウェルの内容物についてアッセイを行うステップと、(iv)最大レベルの細胞溶解を示す、細胞上に発現したIgGFc断片を選択するステップとを含む。
ADCCの直接測定では、ステップ(ii)で添加する試薬は、抗体依存性細胞性細胞傷害作用によりその表面上にFc断片を発現する細胞を溶解することができる末梢血単核細胞でよい。その方法は、ステップ(i)の前に、Fc結合タンパク質FcγRIまたはFcγRIIIaに対して高い結合親和定数または低い解離速度定数を有するFc断片を発現するものについて、そのような細胞を濃縮するステップをさらに含んでよい。
CDCの直接測定では、ステップ(ii)で添加する試薬は、補体媒介性細胞死により細胞を溶解することができるヒトC1q複合体およびヒト血清である。その方法は、ステップ(i)の前に、Fc結合タンパク質C1qに対して高い結合親和定数または低い解離速度定数を有するFc断片を発現するものについて、そのような細胞を濃縮するステップをさらに含んでよい。
エフェクター機能を直接測定するどちらの場合でも、その方法は、(i)Fc結合タンパク質C1q、FcγRI、FcγRIIaおよびFcγRIIIaに対する高い結合親和定数または低い解離速度定数、(ii)Fc結合タンパク質FcγRIIb、FcγRIIIbに対する低い結合親和定数または高い解離速度定数、ならびに(iii)Fc結合タンパク質FcRNおよびプロテインAに対するそれぞれ高いまたは低い結合親和定数あるいは低いまたは高い解離速度定数のうち1つを有するFc断片を発現するものについて、細胞を濃縮するステップをさらに含んでよい。
C1q、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、FcRNおよびタンパク質からなる群から選択されるFc結合タンパク質に対して、天然IgGFc断片の結合親和定数と比べて高い結合親和定数を有する発現Fc断片の生成では、選択ステップは、(i)提示されたFc断片を有する発現粒子およびFc結合タンパク質の混合物を形成するステップと、(ii)Fc結合タンパク質を混合物中の提示されたFc断片と結合させて、Fc結合複合体を形成するステップと、(iii)混合物からFc結合複合体を単離するステップとを含んでよく、結合タンパク質に対して最高の結合親和定数を有するFc断片を発現する粒子を単離する。
C1q、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、FcRNおよびプロテインAからなる群から選択されるFc結合タンパク質に対して、天然IgGFc断片の結合親和定数と比べて高い平衡結合親和定数を有するFc断片の生成では、選択ステップは、(i)高い結合親和定数を有するFc断片を発現する粒子ほど強く標識されるように、提示されたFc断片を有する発現粒子と、限定的な量の溶解型蛍光標識Fc結合タンパク質の混合物を形成するステップと、(ii)混合物中の結合が平衡に達した後に、結合した蛍光標識の量に基づいて粒子を選別するステップと、(iii)最高レベルの結合した蛍光を有する粒子を選択するステップとを含んでよい。
FcγRIIb、FcγRIIIb、FcRNおよびプロテインAからなる群から選択されるFc結合タンパク質に対して、天然IgGFc断片の結合親和定数と比べて低い解離速度定数を有するFc断片の生成では、選択ステップは、(i)低い結合親和定数を有するFc断片を発現する粒子ほど強く標識されなくなるように、提示されたFc断片を有する発現粒子と、限定的な量の溶解型蛍光標識Fc結合タンパク質の混合物を形成するステップと、(ii)混合物中の結合が平衡に達した後に、結合した蛍光標識の量に基づいて粒子を選別するステップと、(iii)最低レベルの結合した蛍光を有する粒子を選択するステップとを含んでよい。
C1q、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、FcRNおよびプロテインAからなる群から選択されるFc結合タンパク質に対して、天然IgGFc断片の結合親和定数と比べて低い解離速度親和定数を有するFc断片の生成では、選択ステップは、(i)提示されたFc断片を有する発現粒子と、飽和量の溶解型蛍光標識Fc結合タンパク質の混合物を形成するステップと、(ii)ステップ(i)後の選択された時間に、飽和量の非標識Fc結合タンパク質を添加するステップと、(iii)ステップ(ii)から結合の平衡までの選択された時間に、結合した蛍光標識の量に基づいて粒子を選別するステップと、(iv)最高レベルの結合した蛍光を有する粒子を選択するステップとを含んでよい。
FcγRIIb、FcγRIIIb、FcRNおよびプロテインAからなる群から選択されるFc結合タンパク質に対して、天然IgGFc断片の結合親和定数と比べて高い解離速度親和定数を有するFc断片の生成では、その方法は、(i)提示されたFc断片を有する発現粒子と、飽和量の溶解型蛍光標識Fc結合タンパク質の混合物を形成するステップと、(ii)ステップ(i)後の選択された時間に、飽和量の非標識Fc結合タンパク質を添加するステップと、(iii)ステップ(cii)から結合の平衡までの選択された時間に、結合した蛍光標識の量に基づいて粒子を選別するステップと、(iv)最低レベルの結合した蛍光を有する粒子を選択するステップとを含んでよい。
IgG抗体中に組み込まれたときに、抗体依存性細胞毒性を増強する能力を有するFc断片の生成では、その方法は、FcγRIIIAに対する高い結合親和定数または低い解離速度定数を特徴とするIgGFc断片を同定した後、FcγRIIB受容体に対して低い結合親和定数または高い解離速度定数を示すFcγRIIB受容体に対する結合親和性で、同定した断片を選択するステップをさらに含んでよい。
IgG抗体中に組み込まれたときに、補体依存性細胞傷害作用(CDC)を増強する能力を有するFc断片の生成では、ステップ(c)は、C1q複合体に対する高い結合親和定数または低い解離速度定数を特徴とするIgGFc断片を同定した後、FcγRIIB受容体に対して低い結合親和定数または高い解離速度定数を示すFcγRIIB受容体に対する結合親和性で、同定した断片を選択するステップをさらに含む。
外因性治療用IgG抗体中に組み込まれたときに、FcγRIIIA受容体における158位の受容体多型を有するヒト患者での抗体に対する治療反応を増強する能力を有するFc断片の生成では、選択ステップは、少なくともFcγRIIIA V158受容体多型に対する結合親和性と同程度であるFcγRIIIA F158受容体多型に対する結合親和性を特徴とする発現IgGFc断片を選択するステップを含んでよい。
外因性治療用IgG抗体中に組み込まれたときに、FcγRIIA受容体における134位の受容体多型を有するヒト患者での抗体に対する治療反応を増強する能力を有するFc断片の生成では、選択ステップは、少なくともFcγRIIA H131受容体多型に対する結合親和性と同程度であるFcγRIIA R131受容体多型に対する結合親和性を特徴とする発現IgGFc断片を選択するステップを含んでよい。
その方法は、最初の選択ステップの後に、LTMライブラリー中でアミノ酸置換がなされたFcコード領域の少なくとも1つについて、その領域内の複数のアミノ酸位での同じアミノ酸置換物をコードするウォークスルー突然変異生成(WTM)ライブラリーを構築するステップであって、置換されたアミノ酸が、最初に選択されたFc断片の少なくとも1つのアミノ酸位で認められたアミノ酸変異と対応するステップと、選択可能な発現系中でWTMライブラリーによってコードされたIgGFc断片を発現させるステップと、選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然Fc断片で測定した同じ定数と比較しての結合親和定数または解離速度定数の所望の変化を特徴とするそのように発現させたIgGFc断片を選択するステップとをさらに含んでよい。
その方法で生成されたIgGFc断片は、ヒトIgGFc結合タンパク質に対する高い結合親和定数または低い解離速度定数を特徴とする可能性があり、その場合、天然Fc断片で測定した同じ定数と比べての定数の変化は1.5倍より大きい。
その方法で生成されたIgGFc断片は、ヒトIgGFc結合タンパク質に対する低い結合親和定数または高い解離速度定数を特徴とする可能性があり、その場合、天然Fc断片で測定した同じ定数と比べての定数の変化は1.5倍より大きい。
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、添付図面と併せて下記の本発明の詳細な説明を読んだときにより十分に明らかとなるであろう。
I.定義
以下の用語は、別段の指定がない限り本明細書において下記の定義を有する。
IgG Fc断片およびその断片を含む重鎖における残基の番号付けは、参照により本明細書に特に組み込まれている、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国国立衛生研究所公衆衛生局(Public Health Service,National Institutes of Health)、メリーランド州Bethesda(1991)にあるEUインデックスのものである。「KabatにあるEUインデックス」とは、ヒトIgGEU抗体の残基の番号付けを指す。
「Fc領域」または「Fc断片」という用語は、図1に示すIgG重鎖のC末端領域を定義するのに使用する。ヒトIgGFc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基からカルボキシル末端までの領域と定義される。「Fc領域含有ポリペプチド」という用語は、Fc領域を含む、抗体やイムノアドヘシン(下記の定義を参照)などのポリペプチドを指す。「Fc断片」という用語は、抗体のFc領域またはその小領域、例えば、エフェクター機能を含むC2またはC3領域を指す。
IgGのFc領域は、図1Aに示すように、2つの定常ドメインC2およびC3を含む。ヒトIgG Fc領域の「C2」ドメイン(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる)は通常、アミノ酸231〜アミノ酸340にわたっている。C2ドメインは、それがしっかり他のドメインと対にならない点で独特である。むしろ、2つのN−結合型分枝糖鎖が、完全な天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。
「ヒンジ領域」は一般に、ヒトIgGのGlu216〜Pro230にわたる領域と定義される(Burton、Molec.Immunol.22:161〜206(1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置で重鎖間S−S結合を形成する最初と最後のシステイン残基を並べることによってIgG配列と整列させることができる。
「C1q」とは、イムノグロブリンのFc領域の結合部位を含むポリペプチドである。C1qは、2つのセリンプロテアーゼC1rおよびC1sと一緒に、補体依存性細胞傷害作用(CDC)経路の第1の成分である複合体C1を形成する。ヒトC1qは、例えば、Quidel、カリフォルニア州San Diegoから商業的に購入することができる。
「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域と結合する受容体を示すのに使用する。好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)と結合するものであり、それには、対立遺伝子変異体および選択的スプライス型を含めたFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体がある。FcRは、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol、9:457〜92(1991);Capelら、Immunomethods、4:25〜34(1994);ならびにde Haasら、J.Lab.Clin.Med.、126:330〜41(1995)で総説されている。他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語によって包含される。その用語はまた、母のIgGを胎児へと移行する役割を担う新生児の受容体FcRnをも含む(Guyerら、J.Immunol.、117:587(1976)およびKimら、J.Immunol.、24:249(1994))。その用語はまた、C1qペプチド複合体やプロテインAなど、IgG抗体のFc領域と特異的に結合することが知られている他のポリペプチドをも含む。
「結合ドメイン」という用語は、他の分子と結合するポリペプチドの領域を指す。FcRの場合、結合ドメインは、Fc領域と結合する役割を担うそのポリペプチド鎖(例えばそのα鎖)の一部を含み得る。有用な結合ドメインの1つは、FcRα鎖の細胞外ドメインである。
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、特に、(全長モノクローナル抗体を含む)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す限りで抗体断片を包含する。
本明細書において「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質の抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在する可能性がある、天然に存在する起こり得る突然変異を除いて同一である。
本明細書において「Koff」という用語は、動態選択の機構から決定される、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての解離速度定数を指すものとする。Koff速度定数の単位は秒−1であり、結合している複合体が解離する速度を示す。Koff定数が高値であることは、解離が高速であり、したがって2つの結合している種間の親和性が低いことを意味する。すなわち、2つの結合している種間の親和性は、そのKoffを低下させ、かつ/またはそのKonを増大させることによって増大させることができる。
本明細書において「K」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を指し、平衡状態にある抗体分子の溶液中に存在するすべての抗体結合部位の半分を占めるのに必要な抗原の濃度(Mで表される)を示すものであり、抗体の結合および解離速度定数のKoff/Konに等しい。抗体の結合定数Kは1/Kである。Kの測定から、結合作用物質がすべて溶液中にあることが想定される。例えば、哺乳動物細胞発現系で、抗体が細胞壁に繋がっている場合、対応する平衡速度定数はEC50として表され、それからKの十分な近似値が得られる。Kの値が低いほど結合定数は高くなり、すなわち、K10−8Mは、10−7Mより親和性が高い。
本明細書で使用する3文字および1文字のアミノ酸の略記法ならびに単一文字のヌクレオチド塩基の略記法は、確立された慣例に従っている。
II.Fc−LTMライブラリー
この節では、本発明の方法で使用するFc−LTMライブラリーを説明する。下記の第IV節でより十分に論じるように、そのライブラリーの目的は、Fc断片の1つまたは複数の選択された領域においてそれぞれまたは実質的にそれぞれのアミノ酸位で選択されたアミノ酸置換突然変異を生成して、エフェクター機能が増強されたFc断片についてスクリーニングすることができるFc断片のライブラリーを生成することである。
IgG抗体20のFc部分または断片を図1Aに示し、それは、C2およびC3と呼ばれる2つの相同な定常領域ドメイン22、24を含み、それらのドメインは、Fc受容体媒介反応にとって最も重要であるドメインであることが知られている。「不偏性」LTMライブラリーは、これらのドメインの一方または両方の中に局在し、「活性領域」LTMライブラリーは、典型的には、FcとFc受容体タンパク質の相互作用に関与するC2ドメインの1〜4つの領域中に局在する。
2つの重要なエフェクター機能は、図1Bおよび1Cでそれぞれ示される細胞媒介性細胞傷害作用(CDC)および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)であり、その機能についてFc機能の増強がスクリーニングされ、その機能を下記の第IV節でさらに検討する。これらおよび他の適用では、Fcエフェクター機能の増強は、(i)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた結合親和定数(K)の変化;および/または(ii)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた解離速度定数(Koff)の変化と関係する。第IV節でみられるように、Fcライブラリーを結合定数の変化で直接スクリーニングすることができ、その変化は、測定する結合定数、関与するFc結合タンパク質、および結合定数の変化の所望される効果に応じて、結合定数の増大である可能性もあり、あるいは低下である可能性もある。あるいは、エフェクター機能の増強、例えば、CDCまたはADCCの増大または低下を直接測定することができる。
下記で詳述するLTMライブラリーおよびスクリーニング法を、IgG型抗体での増強されたFcの性質の生成に特に適用する。しかし、その方法を、IgG、IgG、およびIgGサブタイプのIgG抗体にも同様に適用できることが理解されるであろう。下記のB節では、各IgGサブタイプで所望される可能性があるエフェクター機能の増強の様々な型について論じる。
A.Fc−LTMライブラリー
ルックスルー突然変異生成(LTM)の目的は、ポリペプチドの領域中で、多数の標的突然変異の各位置で選択された置換を導入することである。単一ポリペプチド中の1つ1つの位置での残基置換を可能にするコンビナトリアル法またはウォークスルー突然変異生成(WTM)(下記を参照)と異なり、LTMでは、置換を単一の選択された位置に限定し、すなわち、定められた領域または小領域内で単一の置換を行う。
本発明は、LTM分析用に構築される2つの一般的な型のFcライブラリーを意図するものであり、どちらも下記でFc−LTMライブラリーと呼ばれる。第1のライブラリーは「不偏性」C2×C3ライブラリーと称され、各ライブラリーコード配列は、C2領域中の1つの選択された残基の位置でのアミノ酸置換、およびC3領域中の1つの選択された残基の位置での単一アミノ酸を含み、ライブラリーは、好ましくは、両方の領域中のそれぞれまたは実質的にそれぞれの位置で、主要なアミノ酸のクラスを集合的に表す選択されたLTMアミノ酸の各サブセットの置換物を含む。すなわち、天然L−アミノ酸20種すべての効果を調べるのではなく、その群全体の化学的多様性を表すこれらのサブセットを使用するとより効率がよい。この基準を満たすL−アミノ酸の代表的なサブセットの1つは、アラニン、アスパラギン酸塩、リシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、チロシン、およびヒスチジンのアミノ酸9種を含む。これらのアミノ酸は、抗体の特性の向上に必要な化学官能性について意味のある初期情報を提供する、サイズ、電荷、疎水性、および水素結合する能力における十分な化学的多様性を示す。
図2でみられるように、1926個のLTMオリゴヌクレオチド(217個のFcドメインアミノ酸×Fcの位置当たり9個のLTMアミノ酸置換物)があり、それは平均して長さが63塩基対である。「不偏性」Fcドメインライブラリーでは、CH2(配列番号1)およびCH3(配列番号2)領域を、長さ5〜7アミノ酸の並列させた小区分(それぞれ配列番号12および13)に人為的に分割する。したがって、18個のC2および16個のC3小区分は、連続した全長IgGFc配列の部分を個々に表す。C2およびC3の各ドメイン中の1つの位置に異なるアミノ酸9個のうち1個を置くことにより、990×963個の異なるライブラリー遺伝子、すなわち9.5×10個の異なるライブラリー遺伝子が得られる。
2およびC3の各ドメイン中の1つの位置で、例えばアミノ酸9個のうち1個の単一突然変異を含む不偏性ライブラリーを調製する代替スキームを図3に示す。その図は、C2領域の(任意の)小領域18個のうち1個、およびC3領域の小領域16個のうち1個を示す。ここでの手法は、C2における18個の各小領域およびC3における16個の各小領域について18×16個の「不偏性」サブライブラリーを作製するためのものであり、これらの各サブライブラリーは、選択された小領域、例えばC2における小領域−8中の1つの位置、および選択された小領域、例えばC3における小領域1中の1つの位置でアミノ酸突然変異9個のうち1個を含む。
第2の一般的な型のFc LTMライブラリーは、IgG1FcとFcγRIIIaの共結晶構造から同定された別々のIgGFcとFcγRIIIaの「接触」点4つのうち1つまたは複数の位置での突然変異に相当する(図4)。次いで、この第2のライブラリーから、全部の上記「不偏性」C2×C3ライブラリー内にある4つの小領域(配列番号14〜17)が描かれる。「接触」小領域1での所望のアミノ酸置換物を図5に示す。「接触」小領域1:LLGG(配列番号14)は、DNA配列:CTG CTG GGG GGAによってコードされ、DNA配列5’−cca ccg tgc cca gca cct gaaおよびccg tca gtc ttc ctc ttc ccc cca aaa ccc−3’のフレームワークに隣接する。「接触」小領域1についてのグリシンLTM置換オリゴヌクレオチド4つを列挙する(配列番号18)。LTMオリゴヌクレオチド配列:5’−cca ccg tgc cca gca cct gaa GGG CTG GGG GGA ccg tca gtc ttc ctc ttc ccc cca aaa ccc−3’は、グリシン置換コドンを示す(太字)。「接触」小領域1では、アスパラギン(配列番号19)、アスパラギン酸塩(配列番号20)、ヒスチジン(配列番号21)、トリプトファン(配列番号22)、イソロイシン(配列番号23)、アルギニン(配列番号24)、プロリン(配列番号25)、およびセリン(配列番号26)の残りの対応するLTMオリゴヌクレオチドは、類似した配列設計の戦略を示す。図6に、IgGFc CH2ドメインの第1の接触小領域でのアスパラギン置換のLTMオリゴヌクレオチド4つを示す。
図7は、4つのFc「接触」小領域を組み合わせる際に利用できる様々な組合せを表す図であり、各「接触」小領域がそれ自体9個のLTMライブラリーである。例えば1つのライブラリーで、それは「接触」小領域1中の1つの位置でのアスパラギンLTM、「接触」小領域2中の1つの位置でのアスパラギン酸塩LTM、「接触」小領域3中の1つの位置でのトリプトファン、および「接触」小領域4中の1つの位置でのプロリンからなり得る。異なるアミノ酸9個の組についてのライブラリーサイズは、したがって36である。
B.コンビナトリアル有益突然変異生成(CBM)ライブラリー
機能アッセイを使用してLTM Fc変異体をスクリーニングし選択した後、下記で詳述するように、次いでそれらのクローンを救済することにより、そのDNAコード配列の同定が可能となる。コンビナトリアル有益突然変異の手法では、同定された有益なLTM突然変異の組合せに相当するコード配列をその後生成し、それらを一緒に混合して単一のライブラリーにする。これらの組合せは、単一の小領域内での、またはFc内の2つ以上の小領域間での異なる有益な突然変異の組合せである可能性がある。したがって、複数の突然変異の相乗効果をこの過程で探ることができる。
コンビナトリアル手法は、Fc小領域内で選択されたコドン置換がLTMによって同定された異なる有益なアミノ酸置換である以外はウォークスルー突然変異生成法(米国特許第5798208号、第5830650号、第6649340B1号、および米国特許出願第20030194807号)と類似している。図8に示すように、このコード配列ライブラリーは、可変コード領域中の異なる各位置に単一アミノ酸のコドンを置く代わりに、導入するコドンがLTM法で検出されたすべての有益な突然変異に対応するものである以外は、WTM法の改変によって調製することができる。WTMのように、Fc CBMライブラリー中の残基の位置がすべて突然変異を含むわけではなく、いくつかの位置はその位置で置換された複数の異なるアミノ酸を有する。全体的に、有益な突然変異のすべてではないが多い潜在的な組合せは、ライブラリー中のコード配列の少なくとも1つに相当する。
III.エフェクター増強IgGFc断片の生成
この節では、本発明に従ってFc−LTMライブラリーのFc断片を生成し発現させる方法を説明する。オリゴヌクレオチドLTMおよびCBMライブラリーの設計は、好ましくは、自動化された注文製DNAの合成機とつながったソフトウェアを使用して実施する。LTMおよびCBM戦略の実施では下記のステップを行う。選択された(複数の)Fc領域中に組み込む標的アミノ酸を選択した後、ソフトウェアが、選択された位置に標的アミノ酸を導入するのに必要なコドン配列を決定する。選択された提示およびスクリーニング用宿主、例えば哺乳動物発現系での発現に最適なコドン使用頻度を選択する。ソフトウェアはまた、この設計過程によって生じる可能性がある野生型配列の任意の重複をも削除する。次いでそれは潜在的な終止コドン、ヘアピン、ループおよび他の問題のある配列があるかどうか分析し、次いでそれを修正する。ソフトウェアは、(CBMの)合成で各ステップに添加する塩基の比を決定して、アミノ酸組み込み比を微調整する。次いで、完成したLTMまたはCBM設計計画をDNA合成機に送り、それが、突然変異を誘発させた遺伝子を生成する際に使用するオリゴヌクレオチドのプライマーの自動合成を行う。
A.LTM分析用表面発現Fcの構築
入手可能な供給源から野生型IgG遺伝子を得、標準的な技術によってそれを増幅することができる(実施例1A)。キメラ表面発現Fc野生型遺伝子構築物(約0.65kb)は、N末端で細胞外輸送シグナルを、C末端で膜アンカーシグナルを融合することによって、SOE−PCRによりin vitroで構築することができる。潜在的なN末端細胞外輸送シグナルのリストには、ヒトIgGおよびネズミIgG由来のもの(配列番号7)が含まれる。潜在的なC末端膜アンカーシグナルのリストには、胎盤アルカリホスファターゼタンパク質(PLAP)、膜IgMおよび血小板由来成長因子(PDGF)(配列番号8)が含まれる。様々な融合構築物を図9で図式的に示す。実施例1Bで詳述するように、これらの成分をPCRで増幅し集合させた。N末端ネズミIgGκシグナルとC末端PDGF膜貫通領域(配列番号9)、N末端ヒトIgGシグナルとC末端IgM膜貫通領域(配列番号10)、またはN末端ヒトIgGシグナルとC末端PLAP膜脂質挿入シグナル(配列番号11)を融合する際に、様々なFc表面発現構築物(図9)が考えられる。この反復では、融合構築物は細胞膜に対して近位である(最も近い)C3ドメインを有するが、C2ドメインは遠位である(図10A)。図11は、N末端IgκリーダーとC末端PDGF受容体膜貫通アンカーの間にFc−LTM構築物をクローン化するためのpDisplay発現ベクターを示す。
いくつかの適用では、IgGの標的結合の自然な提示を模倣するとき、C2ドメインが細胞表面膜に対して近位であり、C3が遠位である(図10B)ことが望ましい可能性がある。この代替の位置付けのため、下記のベクターは、実施例1Cで詳述するように、Fc遺伝子領域に先行するようにN末端膜貫通リーダー/アンカーシグナル配列を融合することにより設計されている(図12)。
B.クンケル(Kunkel)突然変異生成によるFc−LTMライブラリーの調製
実施例2で詳述するように、本発明で使用するFc−LTMライブラリーを、上記のA節で調製したFc発現構築物のクンケル突然変異生成によって調製する。実施例2Aと同様に、クンケル用一本鎖Fc鋳型を調製した。例えば、Kunkel,T.A.(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:488〜92;Kunkel,T.A.ら(1987)、Meth.Enzymol.、154:367〜82;Zoller,M.J.およびSmith,M.(1983)、Meth.Enzymol.、100:468〜500;Hanahan,D.(1983)、J.Mol.Biol.、166:557〜80;ならびにManiatis,T.、Fritsch,E.F.およびSambrook,J.(1989)、Molecular Cloning,A Laboratory Manualに詳述されている標準的な方法に従って、鋳型のクンケル突然変異生成を実施した。
図13Aは、鋳型の野生型Fcコード配列中に単一コドン置換を導入するクンケル突然変異生成における一般的なステップを示す。最初に、一本鎖ウリジン化鋳型(ステップ1での破線の円)を、遺伝子のC2および/またはC3ドメイン中の選択された位置に選択されたコドン置換を有するオリゴヌクレオチド(実線の断片)とともにハイブリダイゼーション条件下で反応させる(図13Aでのステップ1)。相補鎖(ステップ2での実線)を合成して二本鎖の二重鎖を形成した後、ウリジン化鎖を変性して、コドン置換の変化が組み込まれた一本鎖の鋳型を得る(ステップ3)。この鎖を使用して二本鎖型の突然変異遺伝子を合成する(ステップ4)。突然変異遺伝子中にさらなる突然変異を導入するために、二本鎖遺伝子を操作して、遺伝子上の新たな位置に他のオリゴヌクレオチドを付加したウリジン化一本鎖鋳型を再生する(ステップ5)。例えば、その2つの領域は、Fcコード配列のC2およびC3ドメインに相当する可能性もあり、あるいはC2ドメインの4つの接触領域のうち2つに相当する可能性もある。
実際には、鋳型に、そのコドン置換が遺伝子の所与の領域内の各位置での個々のアミノ酸置換のすべてに相当する異なるオリゴヌクレオチドを付加することによって、図13Aで示すような単一の反応スキームを実施する。例えば、Fc領域中の5個の各領域に9個の各アミノ酸のLTM突然変異を導入するには、合計45個の異なるオリゴヌクレオチドを単一反応混合物に加えることになる。ステップ1〜5を行った後、十分な数の反応産物を調べて、所望の異なるLTM配列が存在することを確認する。例えば、上記の例で45個の異なる配列がすべて存在することを確認するために、20〜30個の配列を決定して異なる配列が混合物中にそれぞれあることを実証すると十分となり得る。
野生型Fc遺伝子をクンケル鋳型として使用する代わりに、予め生成したLTMライブラリー鋳型を選択する以外は上記の通りに、二重、三重および四重の領域LTMライブラリーを作り出すことができる。「接触」小領域1および3両方の二重LTMライブラリーを作り出すために、予め生成したLTM「接触」小領域1突然変異遺伝子を一本鎖の鋳型として使用して、それと1組の小領域3オリゴヌクレオチドをアニールして、二重LTMライブラリーを生成する。次いで、二重LTMライブラリーをLTM「接触」小領域4オリゴヌクレオチドを組み込む鋳型として使用して、三重LTMライブラリーを作製することができる。開始用単一および二重LTMライブラリーを累進的に利用することによって、より複雑な一連のLTMライブラリーを、LTMアミノ酸の反復をすべて使用して開発することができる(図15A)。
図13Bに、Fcコード領域の各ライブラリー中で複数の突然変異を生成する、本発明の一態様によるクンケル法の新規な適用を示す。この手法では、それぞれがFc遺伝子の選択された領域と対応する別々の組のオリゴヌクレオチド(図では3組)を、ステップ1でFc鋳型に加える。例えば、その方法で使用する3組のオリゴヌクレオチドは、C2ドメイン中の最初の3つの接触位置でLTMに使用する36、45、および27個の異なる配列に対応し得る。図に示すように、その方法の第1ステップの結果、各組のコドン置換突然変異から1つの構成要素が結合した一本鎖のウリジン化鋳型鎖が得られる。上記に記載の同じステップ2〜4を実施することにより、その方法の結果、それぞれが、標的とする3つの各Fcコード領域で単一の選択された突然変異のいくつかの組合せを含む二本鎖Fcコード領域が生成する。現実のFc−LTMライブラリー中の配列の詳細は実施例2Cで示す。
クンケルLTM突然変異生成の前に、Fcドメインを修飾して、LTMによって調べられる様々な小領域の読み枠中に終止コドンを導入することができる。例えば領域Fc−FcγRIIIa「接触」点LTMライブラリーでは、4個の別々の「終止修飾」した鋳型がある。配列番号28で示すオリゴヌクレオチドを使用して、野生型Fc鋳型を「終止修飾」した。その目的は、クンケル突然変異生成を行わなかった、「終止修飾」した野生型の鋳型を、N末端切断型タンパク質として発現させることである。これらの切断構築物は、細胞外シグナルリーダーおよび様々な長さのFcドメインからなる。しかし、突然変異を誘発させていない読み枠の翻訳は、膜貫通アンカーシグナルまで続かない。したがって、「終止修飾」した鋳型は翻訳され、輸送されるが、細胞外の細胞表面上で保持されない(図14Aと14Bを比較)。したがって、切断を有するライブラリー細胞は、その後添加されるFc受容体および結合タンパク質では認識されない。
これらの「終止修飾」した鋳型は、野生型コード配列を再導入する補助的特徴を許容する。「オープンリーディングフレーム」オリゴヌクレオチド(配列番号29)を加えると、終止コドンを元のFcコドンに置換することが可能となる。このように、「野生型」再導入突然変異生成は、LTMオリゴヌクレオチドによって導入されたものと釣り合っている。したがって、Fc−LTM表面発現ライブラリーは、相対的過多とはならない内部野生型基準対照を有する。
Fc鋳型をLTM修飾した後、構築物をクローン化ベクターから切り出し、それを精製し、適切な発現ベクター(例えば、Clontech、カリフォルニア州Palo Alto)中に連結する。大腸菌(E.coli)の形質転換およびLBampプレート上での選択の後、構築物の配列を決定して、Fcの所望のコード変化、ならびに隣接する細胞外分泌および膜標的化領域を確認することができる。
C.Fc LTMライブラリーの発現
選択可能な抗体の発現および提示の様々な方法が利用可能である。これには、バクテリオファージ、大腸菌(Escherichia coli)、酵母や哺乳動物細胞系統などの生物学的「粒子」(細胞またはウイルス粒子)がある。抗体発現の他の方法には、リボソームディスプレイや、ポリヌクレオチド(すなわち、遺伝子型)とポリペプチド(すなわち、表現型)を関連付けることを可能にするアレイ技術、例えばProfusion(商標)などの無細胞系があり得る(例えば、米国特許第6,348,315号、第6,261,804号、第6,258,558号および第6,214,553号を参照)。
好ましい発現系の1つは哺乳動物細胞を含み、この細胞は、(i)臨床用品質のモノクローナル抗体を産生することができ、(ii)培養中で非付着性であり、(iii)レトロウイルスを導入することが容易である。これらの性質を有する例示的な細胞は、BaF3、FDCP1、CHOおよびNSO細胞である。
既知の手順に従って、これらの細胞にFcライブラリー発現ベクターを導入することができる。実施例3で詳述する方法では、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、Fcコード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含むpLXSN哺乳動物発現ベクターを両栄養性パッケージング細胞系統PA317中にトランスフェクトする。図15は、実施例3Aおよび3Bで詳述する、ウイルス上清を直接収集する一過性トランスフェクションのプロトコールを示す。実施例3Cで詳述するように、発現細胞系統、例えばNSO細胞に、回収したウイルス上清を導入する。実施例3Dで説明するように、細胞表面上でのFc断片の発現、およびFcγRIIIAなどのFc受容体と発現ポリペプチドの結合をFACS分析により確認することができる。
IV.エフェクター機能の増強についてのFc断片のスクリーニング
この節では、エフェクター機能の増強について、上記のFc−LTMライブラリーの発現Fc断片をスクリーニングする方法を検討する。下記のA小節では、いくつかのFc受容体タンパク質を説明し、それぞれについて、スクリーニングすることができる結合親和性の所望の変化(増大または低下)を示す。第II節で述べたように、このエフェクター機能は、(i)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた結合親和定数(K)の変化;および/または(ii)選択されたIgGFc結合タンパク質に対する、天然IgGFcと比べた解離速度定数(Koff)の変化と関係する。したがって、下記のB小節で説明するように、発現Fcライブラリーを結合定数の変化でスクリーニングすることができ、その変化は、測定する結合定数、関与するFc結合タンパク質、および結合定数の変化の所望される効果に応じて、結合定数の増大である可能性もあり、あるいは低下である可能性もある。あるいは、本発明の新規スクリーニング方法に従って、C小節で開示するように、Fc発現細胞で細胞溶解の程度を直接測定することにより、CDCまたはADCCと関係するエフェクター機能の増強についてLTMライブラリーFc断片を直接スクリーニングすることもできる。特定の受容体標的をD小節で示す。
A.Fc受容体
この節では、様々なFc受容体タンパク質(標的)、および4つの主要なサブクラスのIgG抗体についてFcとそのタンパク質の結合の増強または減弱を行う治療上の意味を検討する。一般に、Fc媒介エフェクター機能を増強する場合、IgGおよびIgGと、エフェクター活性を媒介するFcγIIIa受容体などのFc受容体の結合性を増大させることが通常望ましい。しかし、いくつかの適用では、任意の型のFcγR受容体との結合性の低下が必要となる。例えば、細胞傷害性ペイロード(放射性標識)と結合したFc断片を有するすべてのアイソタイプのIgGは、そうしないと、正常なFcγRを有する免疫細胞をFc−放射性結合体にし、それを死滅させる。他の適用では、エフェクター機能を有さない純粋に中和性の抗体を有することが望ましい可能性がある。この状況では、IgGおよびIgGは、ほとんどのFc受容体に対して親和性が低いが、Fc受容体とこれらのアイソタイプの結合性をさらに低下させることが望ましい可能性がある。例えば、IgGとFcγRIの結合性をさらに低下させ、IgGとFcγRIIaの結合性を低下させて、エフェクター機能を最小限にすることができる。IgGはFcRNに対する親和性が低く、この受容体に対する親和性を増大させると、抗体の循環半減期が増大するはずである。
下記の表では、上向きの矢印↑を使用して、結合したFc結合相手に対するFc断片の親和性の増大を示す。この親和性の増大は、結合親和定数Kの増大、またはKoff速度定数の低下によって実現することができる。結合親和定数の増大は、値が小さい数への変化、例えば、10−7Mから10−8Mへの変化を反映する。Koff値の低下はKoffが低値であることを意味し、そのことからFc−結合受容体複合体が解離する傾向が小さいことが示唆される。同様に、表↑中の下向きの矢印↓を使用して、結合したFc結合相手に対するFc断片の親和性の低下を示す。この親和性の低下は、結合親和定数Kの低下、またはKoff速度定数の増大によって実現することができる。結合親和定数の低下は、値が大きい数への変化、例えば、10−8Mから10−7Mへの変化を反映する。Koff値の増大はKoffが高値であることを意味し、そのことからFc−結合受容体複合体が解離する傾向が大きいことが示唆される。表中の横向きの矢印→は、結合親和性の変化がない(または実質的にない)ことを意味する。
表中に列挙した様々なFc受容体について検討すると、C1Qは、上記に記載のように、CDCにおいて不可欠な役割を果たす、血漿中に存在する補体結合複合体である。C1qと結合するIgG抗体によって認識された標的細胞は、補体媒介性細胞死(CDC)を誘導する。IgGおよびIgGに対するC1qの親和性を増大させると、CDC機能が増大する(Kが増大し、かつ/またはKoffが低下する)。IgGに対するC1Qの親和性を低下させる(Kを低下させ、かつ/またはKoffを増大させる)と、IgG抗体受容体が関与する望まれていないエフェクター活性を低下させることができる。
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FcγRI受容体は、単球、マクロファージ、好中球上で認められる高親和性受容体であり、食作用およびADCCで機能する。FcγRIは、IgGおよびIgGに対して高親和性であり、FcγRIに対するIgGおよびIgGFcの親和性を増大させると、ADCC機能が増大する。IgG2およびIgG4に対するFcγRIの天然の親和性はそれぞれ認められずまたは非常に低い。IgGおよびIgGFcのFcγRI親和性をさらに低下させると、望まれていない受容体相互作用および望まれていないエフェクター活性を低下させることができる。
FcγRII受容体(FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc)は、B細胞、血小板、好塩基球、好酸球、好中球、単球およびマクロファージ上に認められ、IgGおよびIgGFc断片と結合するが、IgGおよびIgGとは弱くしか結合せず、または全く結合しない。FcγRIIa/c受容体は、Fc機能の正の制御因子であり、FcγRIIb受容体は、Ig産生のフィードバック阻害に関与する負の制御因子である。FcγRIIa/cに対するIgGおよびIgGFcの親和性を増大させると、Fcが媒介するADCCエフェクター機能が増大する。FcγRIIbに対するIgGおよびIgGFcの親和性を低下させると、フィードバック阻害が弱くなる。さらに、FcγRIIa/cに対するIgGFcの親和性を低下させると、IgG2アイソタイプのADCC刺激が低下する。FcγRIIbに対するIgGおよびIgGFcの親和性を増大させると、ADCC活性がさらに負に制御される。
FcγRIII受容体(FcγRIIIaおよびFcγRIIIb)は、単球、マクロファージ、好中球およびNK細胞上で認められる高親和性受容体であり、食作用および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)で機能する。FcγRIIIaはFc機能の正の制御因子であり、FcγRIIIbは細胞内シグナル伝達を行わない負の制御因子である。FcγRIIIは、IgGおよびIgGに対する親和性を有する。したがって、FcγRIIIaに対するIgGおよびIgGFcの親和性を増大させると、Fcが媒介するADCCエフェクター機能が増大する。
FcRN受容体は、一定のIgGレベルの維持において、循環からIgGを除去し、細胞内小胞を介して再循環させることにより機能する。FcRNは、IgG、IgGおよびIgGに対して高親和性であり、再循環を介して3週間の循環半減期が可能となる。FcRNはIgGに対して低親和性であり、その結果、循環半減期がはるかに短くなる。したがって、IgGおよびIgGに対するFcRN親和性を維持しまたは増大させると、IgGの循環半減期が向上し、IgGおよびIgGのエフェクター機能の拡大が促進される。特定の実施形態では、半減期を短縮すると有利となる可能性がある。例えば、血液細胞に対する非特異的毒性を引き起こす可能性があるため、循環している放射標識抗体があると望ましくない可能性がある。FcRNとの結合性を低下させると、結合していない放射標識抗体のより迅速な排除が可能となる。
プロテインAは、細胞培養製造物からの抗体のアフィニティー精製を可能にするIgG結合タンパク質である。すべてのIgGアイソタイプに対するプロテインA親和性を維持しまたは増大させると、他の細胞成分および増殖培地成分からのより良好な精製が可能となる。
実施例4は、KまたはKoff値を、適当な場合には受容体タンパク質のビオチン化を決定する下記に記載のスクリーニングアッセイで使用する、可溶型の様々なFc受容体を得、または作製する方法を記載している。これには、ビオチン化Ciq(実施例4A)、FcγRIIIa176Vおよびその多型構築物であるFcγRIIIa176F、FcγRIIIa176V、FcγRIIbおよびFcγRIIaの多型物、FcγRIIIa176Fおよびその多型構築物であるFcγRIIIa176V(実施例4B)、ならびにFcR受容体(実施例4C〜4E)がある。図16を参照しながら実施例5で詳述するように、BIAcore分析を実施して、再び折り畳まれたFcγRIIIa断片の機能的IgG Fc結合および予備的親和性(K)を評価した。BIAcore分析はまた、IgG FcとV158およびF158多型のFcγRIIIaの結合親和性における既知の差とも一致する。
B.結合する性質が増強されたFc断片についてのFc産生細胞のスクリーニング
この小節では、KまたはKoffの所望の変化(増大または低下)に基づいて、エフェクター機能が増強されたFc−LTMライブラリーによって産生されたFc断片をスクリーニングする方法を説明する。どちらの方法でも、発現している機能的Fc断片について細胞を事前選択し、すなわち、選択されたFc受容体と少なくとも中程度の親和性で結合することができるFc断片を発現している細胞を事前選択することが一般に望ましい。
B1.機能的Fcについて濃縮する細胞の事前選択
図17および18に示す事前選択法では、Fc発現細胞、例えば、NSO細胞を、平衡条件下でビオチン標識受容体、例えば、ビオチン標識FcγRIIIaとともに、次いでストレプトアビジン標識磁性ビーズとともにインキュベートする。図17の右側にみられるように、機能的Fc受容体を発現する細胞は、「磁性」細胞−受容体−ビーズ複合体を形成するが、非機能的Fc断片を発現する細胞は、大部分が反応しないままである。次いで、図17の左側に示すように、反応混合物を含むカラムを磁場内に置き、反応しなかった細胞を溶出することによって、磁性標識細胞を反応しなかった細胞から分離する。残存している細胞混合物を磁場から除去した後、機能的Fc断片について濃縮した細胞集団をカラムから溶出する。
事前選択法に関与する反応ステップを図18に示す。Fc産生細胞とビオチン標識FcγRIIIaを平衡状態にした後(上段の中央フレーム)、ストレプトアビジン標識粒子を添加し(上段の右側)、機能的Fc断片を産生する細胞で細胞−受容体複合体を作製する。磁性(MACS)カラム中でのカラム洗浄、その後の所望される細胞の溶出により磁性標識細胞を非標識細胞から分離し、濃縮した細胞を増殖させて、その後Fc受容体の結合親和特性に基づいて選択する。事前選択法の詳細は実施例6で示す。
B2.Kが増強されたFc断片のスクリーニング
結合親和定数が高い(または受容体および所望される治療効果に応じて低い)、すなわちKが高い(低値である)Fc断片について、一部改変した図17および18に示す事前選択法も使用する。その方法では、選択されたビオチン化Fc受容体、例えばFcγRIIIa受容体およびストレプトアビジン被覆磁性ビーズを使用して、哺乳動物細胞ライブラリーから高親和性分子を選択する。
最初に、(通常は機能的Fc発現について事前選択した)Fc発現細胞を、ビオチン化FcγRIIIaと平衡状態にして、ビオチン化FcγRIIIaが結合した細胞と低親和性非発現細胞の混合物を作製する。FcγRIIIaとの結合の平衡状態の後、ストレプトアビジン被覆ビーズを混合物に添加して、高親和性発現細胞、ビオチン化FcγRIIIa、および磁性ビーズからなる結合複合体を形成する。磁石を使用して混合物から複合体を単離し、結合した複合体を厳密な条件下で数回洗浄して低親和性細胞および非特異的に結合した細胞の複合体を除去する。得られた精製複合体を、適切な解離用培地での処理により複合体から遊離させて、高親和性Fc断片の発現について濃縮された細胞を得る。
例示的なスクリーニング方法の1つでは、単離した細胞を低密度でプレートに播き、次いでクローン性コロニーを既知の細胞密度で培地中に懸濁する。次いで、ビオチン化FcγRIIIaで、例えば、10pM〜1000nMで示される既知の量のFcγRIIIaを添加することにより細胞を定量処理(titrate)する。平衡状態の後、遠心分離により細胞をペレットにし、それを1回または複数回洗浄して結合しなかったFcγRIIIaを除去し、次いでフルオレセイン化ストレプトアビジンを含む培地中に最後に再懸濁する。フルオレセイン化細胞をFACSでスキャンして、細胞1個当たりに結合したフルオレセインの平均の程度を決定する。選択されたFc断片は、選択された受容体に関して、野生型Fc断片より好ましくは少なくとも1.5倍高く、通常は1.5〜2.5倍高い(または、結合親和性の低下が所望される場合は低い)結合親和性を有する。
B3.Koffが変化したFc断片のスクリーニング
あるいは、Koffの増強で、すなわち結合親和性の増大が所望される場合はKoffが低値であることで、または結合親和性の低下が所望される場合はKoffが高値であることで、発現細胞上で発現したFc断片を選択することもできる。選択されたFc断片は、同一の動態的結合条件下で測定したときに、好ましくは野生型Fc断片の測定されたKoffと比べて1.5分の1以下、少なくとも5分の1〜2分の1である(または低親和性Fc断片が求められる場合は1.5〜2.5倍高い)Koff値を有する。
off値を決定する方法では、Fc発現細胞を、飽和量のビオチン化Fc受容体、例えばビオチン標識FcγRIIIaとともに、例えば25℃で30分間の条件下で振盪しながらインキュベートして、受容体が結合した提示Fc断片を有効に飽和させる。次いで、細胞を、非ビオチン化FcγRIIIaとともに、飽和条件下で、抗原の解離速度の関数として細胞と結合したビオチン化FcγRIIIaの百分率が低下するのに十分である選択された時間インキュベートする。インキュベーション後、細胞を遠心分離し洗浄して結合しなかったビオチン化FcγRIIIaを除去すると、抗体のKoffの割合でビオチン化FcγRIIIaと天然のFcγRIIIaの比を含む細胞が得られる。その方法の詳細は実施例7で示す。
次いで、フルオレセイン化ストレプトアビジン(ストレプトアビジン−PE)およびフルオレセイン化細胞マーカー(抗his−フルオレセイン)とともに細胞をインキュベートし、細胞を洗浄しFACSで選別することによってKoff値を決定する。既知の方法に従って、2つの蛍光マーカーの比からKoff値を決定する。実施例7でその方法についてさらに詳述する。
ある場合には、1つのFc受容体に対する結合親和性が増強し、第2のFc受容体に対する結合活性が変化した、例えば低下したFc断片を選択すると有利となる可能性がある。図19は、この型の選択についての選択スキームを示す。図の左の部分は、RIIIa受容体またはC1Q複合体に対するKoff速度定数が増強されたFc断片、すなわち、これらのFc受容体の1つに関してKoff値が低値であるFc断片を選択する(1回または複数回反復することがある)ステップを示す。これらのクローンのFc断片は、その後CDCまたはADCCアッセイで細胞溶解活性について試験したときにCDCまたはADCC活性の増大を示す。所望されるFc発現クローンの群を同定したとき、これらのクローンを、第2のFc受容体、例えばRIIbに対する結合親和性の低下について、例えば、標的Fc受容体に関してKoff定数が高値であるFc断片について細胞をスクリーニングする類似の方法を使用してさらにスクリーニングすることができる。
B4.細胞増殖および増強されたエフェクター配列の決定
結合親和性アッセイを行った後、Fcの性質の所望される増強を示す細胞を、増殖拡大のため増殖させることができる。次いで、これらのクローンのFc−LTM配列を、Fc−LTMベクター特異的プライマーを用いたPCRにより「救済」し、それを配列分析およびLTMアミノ酸変化の同定に適した配列決定用ベクター中にサブクローン化する。こうして同定された、活性が増強した(特定のFc受容体に関して結合親和性が増大または低下した)クローンを、現実のエフェクター機能について、例えば、下記に記載する型のCDCまたはADCCアッセイでさらに試験することができる。
例示的な受容体標的、および結合親和性の所望される増強は、(i)Fc結合タンパク質C1q、FcγRI、FcγRIIa、およびFcγRIIIaに対する結合親和定数の上昇または解離速度定数の低下、(ii)Fc結合タンパク質FcγRIIb、FcγRIIIbに対する結合親和定数の低下または解離速度定数の上昇;ならびにFc結合タンパク質FcRNおよびプロテインAに対するそれぞれ結合親和定数の上昇もしくは低下または解離速度定数の低下もしくは上昇の1つを含む。
実験9で詳述するように、いくつかの実験では、その方法を使用して、FcγRIIIaF158/V158および/またはFcγRIIaH131/R131多型を有する個人間にある定量的なADCCエフェクターの差をモニターした。
B5.コンビナトリアル有益突然変異
機能アッセイを使用してLTM Fc変異体をスクリーニングし選択した後、次いでそれらのクローンを救済することにより、そのDNAコード配列の同定が可能となる。コンビナトリアル有益突然変異(CBM)の手法では、同定された有益なLTM突然変異の組合せに相当するコード配列をその後生成し、それらを一緒に混合して単一のライブラリーにする。これらの組合せは、単一の小領域内での、またはFc内の2つ以上の小領域間での異なる有益な突然変異の組合せである可能性がある。したがって、複数の突然変異の相乗効果をこの過程で探ることができる。
コンビナトリアル手法は、Fc小領域内で選択されたコドン置換がLTMによって同定された異なる有益なアミノ酸置換である以外はウォークスルー突然変異生成法(米国特許第5798208号、第5830650号、第6649340B1号、および米国特許出願第20030194807号)と類似している。図8に示すように、このコード配列ライブラリーは、可変コード領域中の異なる各位置に単一アミノ酸のコドンを置く代わりに、導入するコドンがLTM法で検出されたすべての有益な突然変異に対応するものである以外は、WTM法の改変によって調製することができる。WTMのように、Fc CBMライブラリー中の残基の位置がすべて突然変異を含むわけではなく、いくつかの位置はその位置で置換された複数の異なるアミノ酸を有する。全体的に、有益な突然変異のすべてではないが多い潜在的な組合せは、ライブラリー中のコード配列の少なくとも1つに相当する。
C.直接的機能スクリーニング
本発明の一態様によれば、Fc発現細胞をスクリーニングの標的細胞として使用して、CDCまたはADCCの増強または阻害と関係するエフェクター機能の所望される増強を直接スクリーニングすることができる。図1Bおよび1Cを参照しながらその方法を説明し、実施例8で詳述する。CDCまたはADCCのレベルを増強する発現Fc断片をスクリーニングする方法を説明する。しかし、どのようにその方法を改変するとCDCまたはADCC機能が低下しまたは「中和」されたFc断片を選択できるかが理解されるであろう。
図1Bは、細胞媒介性細胞傷害作用(CDC)に関与する事象を示し、それは、抗原特異的抗体26と、腫瘍細胞の表面上に発現した腫瘍特異的抗原など、細胞の表面上に発現した細胞表面抗原28の最初の結合を含む。抗体が細胞と結合した状態で、C1q補体因子32と抗体のFc断片34が結合することにより、細胞の溶解および破壊が起こる。この細胞溶解機構は、身体から潜在的に有害な細胞を除去することを目的とする。
実施例8Aおよび8Bで詳述する直接スクリーニング手順では、上記の通りに得られた、事前選択したライブラリーを希釈し、個々のクローン細胞をマイクロタイタープレートのウェルに入れ、同じ細胞を用いて第2の「レプリカ」プレートを形成する。C1q複合体を含むヒト血清補体を実施例8Bと同様に調製し、それを段階希釈物においてマイクロタイタープレートのウェルに添加し、得られたCDC活性を蛍光定量的に測定する。添加した補体の量の点から表される最高のCDCレベルを示す細胞を、所望の増強されたCDエフェクター機能を有するものとして同定することができ、かつ/またはCDC活性の所望される増強を示す細胞が同定されるまで増殖させCDC活性について再度スクリーニングすることができる。上記のように、増強されたFc断片が同定されたとき、関係する細胞発現ベクターを分析してその断片のFcコード配列を決定することができる。
抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)における細胞溶解の機構を図1Cに示す。CDCと同様に、その機構には、腫瘍細胞40上に発現した腫瘍特異的抗原など、細胞表面抗原38と結合する抗原特異的抗体36の最初の結合が関与する。次いで抗体のFc断片42はFc受容体タンパク質44、この場合ではナチュラルキラー(NK)細胞46上にあるFcγRIIIa受容体と結合して、腫瘍細胞の細胞媒介性の溶解を起こすことができる。
実施例8Cで詳述する直接スクリーニング手順では、上記の通りに得られた、事前選択したライブラリーを希釈し、個々のクローン細胞をマイクロタイタープレートのウェルに入れ、同じ細胞を用いて第2の「レプリカ」プレートを形成する。マイクロタイタープレートのウェルに、表面発現受容体を有するNK細胞を含むPBMCを添加する。実施例8Cで詳述するように、インキュベーション後、細胞を遠心分離し、放出LDHについて細胞上清のアッセイを行う。最高レベルのADCC活性を示す細胞を、Fc活性の増強について選択することができ、かつ/またはADCCの所望される増強を示す細胞が同定されるまで増殖させADCC活性について再度スクリーニングすることができる。
Fcエフェクター細胞アッセイを行った後、所望されるレベルのADCCまたはCDC活性を示すその対応するレプリカの娘ウェルを、増殖拡大のため増殖させることができる。次いで、これらのクローンのFc−LTM配列を、Fc−LTMベクター特異的プライマーを用いたPCRにより「救済」し、それを配列分析およびLTMアミノ酸変化の同定に適した配列決定用ベクター中にサブクローン化する。
上記で論じたように、親和性が増強したFc断片の同定および配列決定の後、同定された配列を、例えば、選択された抗原結合特異性および増強された受容体機能、例えば対象に投与したときにCDCまたはADCCを増強または抑制する能力を有する全長抗体または単鎖抗体の構築で使用することができる。実施例10で、CDCまたはADCC機能が増強された全長リツキシン(Rituxin)抗体の構築について説明する。
下記の実施例は、限定することなく、本発明の様々な方法および適用について示すものである。
(実施例1)
A.野生型IgGFc遺伝子のクローン化
野生型IgG1は、(imageクローン番号4765763、ATCC、バージニア州Manassas)から入手した。個々のCH2およびCH3ドメインのアミノ酸配列およびDNA配列を配列番号1〜4でそれぞれ示す。IgGFc遺伝子(配列番号5および6)をPCRで増幅し、増殖、ミニプレップDNA精製および一本鎖DNA鋳型の作製(QIAgen、カリフォルニア州Valencia)用に、pBSKII(Stratagene、カリフォルニア州La Jolla)中にクローン化した。
プログラム可能なサーモサイクラー(MJ Research、マサチューセッツ州Waltham)を使用して、フォワードFc PCRプライマー5’−TAT GAT GTT CCA GAT TAT GCT ACT CAC ACA TGC CCA CCG T−3’、リバースFc PCRプライマー5’−GCA CGG TGG GCA TGT GTG AGT AGC ATA ATC TGG AAC ATC A−3’、10uMのオリゴヌクレオチドミックス5μl、PfxDNAポリメラーゼ(2.5U/μl)0.5μl、Pfx緩衝液(Invitrogen、カリフォルニア州Calsbad)5μl、10mMのdNTP1μl、50mMのMgSO4 1μlおよびdH20 37.5μlからなるFcドメインのPCR反応を行い、94℃で2分間、その後94℃で30秒、50℃で30秒、および68℃で1分を24サイクル、次いで68℃で5分間のインキュベーションを行った。
B.LTM分析用表面発現Fc遺伝子の構築
キメラ表面発現Fc野生型遺伝子構築物(約0.65kb)は、N末端で細胞外輸送シグナルを、C末端で膜アンカーシグナルを融合することによって、SOE−PCRによりin vitroで構築した。潜在的なN末端細胞外輸送シグナルのリストには、ヒトIgGおよびネズミIgG由来のもの(配列番号7)が含まれる。潜在的なC末端膜アンカーシグナルのリストには、胎盤アルカリホスファターゼタンパク質(PLAP)、膜IgMおよび血小板由来成長因子(PDGF)(配列番号8)が含まれる。様々な融合構築物を図9で図式的に示す。簡潔に述べると、IgG細胞外リーダーおよびHAタグ配列を、センス5’−AGT AAC GGC CGC CAG TGT GCT−3’およびアンチセンス5’−GCA CGG TGG GCA TGT GTG AGT AGC ATA ATC TGG AAC ATC−3’オリゴヌクレオチドを使用してpDISPLAYベクター(図4、Invitrogen)からPCRで増幅した。センス5’−TCC CTG TCC CCG GGT AAA GAA CAA AAA CTC ATC TCA GAA−3’およびアンチセンス5’−AGA AGG CAC AGT CGA GGC TGA−3’を使用して、pDISPLAYのmycタグおよびPDGF C末端膜アンカーシグナルを増幅した。3つのPCR反応の産物はすべて、隣接する上流および下流のオリゴヌクレオチドによって導入される約20塩基対の重複した相補的領域を有する。
次いで、PCR産物であるN末端リーダーシグナル、Fc遺伝子、およびC末端膜アンカーセクションをすべて一緒に混合物(10uMのオリゴヌクレオチドミックス5μl)としてインキュベートし、PfxDNAポリメラーゼ(2.5U/μl)0.5μl、Pfx緩衝液(Invitrogen)5μl、10mMのdNTP1μl、50mMのMgSO4 1μlおよびdH20 37.5μlを使用し、94℃で2分間、その後94℃で30秒、50℃で30秒、および68℃で1分を24サイクル、次いで68℃で5分間のインキュベーションを行うSOE−PCRによって集合させた。SOE−PCR集合反応により、オリゴヌクレオチドの重複をアニールし、塩基対のギャップを埋め、別々のDNA断片を連結して、連続した遺伝子を形成することができた。次いで、PCR反応由来のFcDNAを抽出および精製して(QiagenPCR精製キット)、その後製造業者の使用説明書の通りにXho IおよびEcoRI制限エンドヌクレアーゼ消化を行った(New England Biolabs、マサチューセッツ州Beverly)。次いでキメラFc表面発現構築物をpBSKIIベクター中にサブクローン化し、その配列を決定して、突然変異、欠失および挿入が導入されなかったことを確認した。確認した後、このN末端リーダーシグナル、Fc遺伝子、およびC末端膜アンカーのキメラ表面発現構築物を、その後のFc−LTMライブラリーを構築する戦略用の野生型の鋳型として使用した。
N末端ネズミIgGシグナルとC末端PDGF膜貫通領域(配列番号9)、N末端ヒトIgGシグナルとC末端IgM膜貫通領域(配列番号10)、またはN末端ヒトIgGシグナルとC末端PLAP膜脂質挿入シグナル(配列番号11)を融合する際に、様々なFc表面発現構築物(図9)が考えられる。この反復では、融合構築物は細胞膜に対して近位である(最も近い)CH3ドメインを有するが、CH2ドメインは遠位である(図10A)。
C.表面発現Fc遺伝子のII型提示物の構築
いくつかの適用では、IgGの標的結合の自然な提示を模倣するとき、CH2ドメインが細胞表面膜に対して近位であり、CH3が遠位である(図10B)ことが望ましい可能性がある。この代替の位置付けのため、下記のベクターを、Fc遺伝子領域に先行するようにN末端膜貫通リーダー/アンカーシグナル配列を融合することにより設計している(図12)。潜在的なN末端シグナルアンカーは、TNF−α(配列番号37および38)などのII型膜貫通タンパク質由来のものを含み得る。TNF−αは通常、細胞外提示のための小胞体膜(ER)を越える移動に必要な76残基のリーダー配列を有する。しかし、このTNFリーダー/アンカーシグナルはまた、細胞からTNFを遊離させる天然のタンパク質分解性の切断部位を有する。どんなFc融合構築物も膜輸送後に切断および放出されないような欠失により、TNFタンパク質分解性シグナルを最初に改変した。SOE−PCRおよび配列番号38で示す適当なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、N末端TNF−Fc遺伝子融合物を上記の通りに構築した。次いで、キメラN末端TNF−Fc遺伝子配列をDNA配列決定により確認した。
(実施例2)
A.クンケル突然変異生成用のFc一本鎖鋳型の調製
Fc一本鎖DNAを調製するため、上記のFc発現構築物をすべてPBSKII中にクローン化した。大腸菌宿主CJ236を、OD600が約0.2〜0.5吸光度単位に達するまで2YT/Amp液体培地中で増殖させた。この時点で、M13 K07ヘルパーファージ1mLを細菌培養物に添加して37℃でインキュベーションを継続した。30分後、細菌およびファージの培養物を、0.25ug/mLのウリジンを含む体積の大きい2YT/Amp液体培地(30mL)に移して1晩増殖させた。
次の日に、遠心分離(10000gで10分)により培地を清澄にし、その後上清を収集し1/5の体積のPEG−NaClを添加して30分置いた。その混合物をさらに2回遠心分離したが、各遠心の後、保持されたPEG/ファージペレットの方を選んで上清を捨てた。次いで、PEG/ファージペレットをPBS(1mL)中に再懸濁し、それを再度遠心分離した(14000gで5分)。上清を収集し、次いでそれをDNA精製カラム(QIAprep Spin M13、Qiagen)にかけて、一本鎖野生型IgGFcウリジン化DNAを溶出させた。
B.ルックスルー突然変異生成(LTM)オリゴヌクレオチド:
製造業者の使用説明書の通りに3900 Oligosynthesizer(Syngen Inc.、カリフォルニア州San Carlos)上で合成オリゴヌクレオチドを合成し、PCRまたはクンケル突然変異生成での使用の前にプライマーの品質をPAGE電気泳動によって確認した。LTM分析では、定められた領域内で(野生型アミノ酸がLTMアミノ酸と同じでない限り)あらゆる位置に所定のアミノ酸を導入する(米国特許出願第2004020306号)。他の確率論的な突然変異生成技術と異なり、ウリジン化一本鎖鋳型とアニールしたLTMオリゴヌクレオチドは、1つの定められたアミノ酸位にしか突然変異を導入しないように設計されている。
C.LTMオリゴヌクレオチドを用いたFcドメインのクンケル突然変異生成
本明細書の上記に記載のように、LTM分析用に構築される2つのFcライブラリーがある。第1の実施形態は、「不偏性」C2×C3ライブラリーと称され、Fc領域中の各アミノ酸位が9種の選択されたLTMアミノ酸によって置換される(図6)。合計で1926個のLTMオリゴヌクレオチド(214個のFcドメインアミノ酸×Fcの位置当たり9個のLTMアミノ酸置換物)があり、それは平均して長さが63塩基対である。「不偏性」Fcドメインライブラリーでは、C2(配列番号1)およびCH3(配列番号2)領域を、長さ5〜7アミノ酸の並列させた小区分(それぞれ配列番号12および13)に人為的に分割した。したがって、18個のCH2および16個のCH3小区分は、連続した全長IgGFc配列の部分を個々に表す。
第2のFc LTMライブラリーは、IgGFcとFcγRIIIaの共結晶構造から同定された別々のIgGFcとFcγRIIIaの「接触」点4つに相当する(図2A)。次いで、この第2のライブラリーから、全部の上記「不偏性」CH2×CH3ライブラリー内にある4つの小領域(配列番号14〜17)が描かれる。したがって、4つの「接触」小領域LTMライブラリーは、単に上記で得られた「不偏性」C2×C3LTM変異体のサブセットである。「接触」小領域1での所望のアミノ酸置換物を図2Bに示す。この「接触」小領域1:LLGG(配列番号14)は、DNA配列:CTG CTG GGG GGAによってコードされ、DNA配列5’−cca ccg tgc cca gca cct gaaおよびccg tca gtc ttc ctc ttc ccc cca aaa ccc−3’のフレームワークに隣接する。「接触」小領域1についてのグリシンLTM置換オリゴヌクレオチド4つを列挙する(配列番号18)。LTMオリゴヌクレオチド配列:5’−cca ccg tgc cca gca cct gaa GGG CTG GGG GGA ccg tca gtc ttc ctc ttc ccc cca aaa ccc−3’は、グリシン置換コドンを示す(太字)。「接触」小領域1では、アスパラギン(配列番号19)、アスパラギン酸塩(配列番号20)、ヒスチジン(配列番号21)、トリプトファン(配列番号22)、イソロイシン(配列番号23)、アルギニン(配列番号24)、プロリン(配列番号25)、およびセリン(配列番号26)の残りの対応するLTMオリゴヌクレオチドは、類似した配列設計の戦略を示す。図3に、イソロイシンについての4つのLTMオリゴヌクレオチドを示す。図17は、4つのFc「接触」小領域を組み合わせる際に利用できる様々な組合せを表す図であり、各「接触」小領域がそれ自体9個のLTMライブラリーである。例えば1つのライブラリーで、それは「接触」小領域1でのアスパラギンLTM、「接触」小領域2でのアスパラギン酸塩LTM、「接触」小領域3でのトリプトファン、および「接触」小領域4でのプロリンからなり得る。
「不偏性」C2×C3ライブラリーの例では、5つのグリシンLTM置換オリゴヌクレオチド(配列番号27)を使用して、アミノ酸配列LLGGPSV(配列番号12)によって定義されるC2ドメインの最初の小領域での類似した置換を行う。次いで、図18は、ヒスチジンLTMを有する「不偏性」C3小領域1と組み合わせたアスパラギン酸塩LTMを有する「不偏性」CH2小領域8の例である。以後、上記の通りに構築したライブラリーは、「接触」小領域であれ「不偏性」C2×C3小領域であれ、「Fc−LTM」ライブラリーと呼ぶ。
(実施例3)
A.レトロウイルスpLXSNの構築およびウイルス粒子の回収
pLXSN哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介する1つのプロモーターエレメント、ポリペプチドコード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。pLXSNは、モロニー(Moloney)ネズミ白血病ウイルス(MoMuLV)およびモロニーネズミ肉腫ウイルス(MoMuSV)に由来するエレメントを含み、レトロウイルスによる遺伝子送達および発現用に設計されている。
簡潔に述べると、pLXSN/Fc構築物を、リン酸カルシウム沈殿により両栄養性パッケージング細胞系統PA317(または他の代替細胞)中にトランスフェクトする(Gibco、カリフォルニア州Carlsbad)。図14は、ウイルス上清を直接回収する一過性トランスフェクションのプロトコールを示す。安定細胞系統では、濃度800μg/mlのG418(Gibco)を含む完全DMEM中で細胞を2週間培養することによってトランスフェクタントを選択する。その抗生物質選択から、組み込まれたベクターを安定して発現する細胞の集団を得ることができる。必要に応じて、別々のpLXSN/Fc変異ウイルス粒子産生PA317クローンをこの集団から単離し、(ネオマイシン耐性遺伝子とFc mRNAの両方についての)逆転写(RT)−PCRによって積極的に同定することができる。次いで、陽性pLXSN/FcクローンをDMEM中で増殖させ、ウイルスを含有する上清を回収してネズミNS0細胞系統(Sigma)、CHO−K1(ATCC、バージニア州Manassas)に感染させる。レトロウイルス上清をすぐに回収できるとき、上清を穏やかに取り出し、45μMフィルターを通して濾過し、または遠心分離(500g、4℃で5分)して、生細胞を除去する。レトロウイルス上清を数時間以内に使用する場合、それを氷上で保持することができる。その他の場合、レトロウイルス上清を凍結し、−70℃で貯蔵することができる。解凍したレトロウイルス上清は、その後の実験で直ちに使用できる。
B.NS0導入のための一過性トランスフェクションおよびウイルス上清の回収
エコトロピック細胞系統pECO(Clontech)を増殖培地(10%熱非働化ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、100U/mlストレプトマイシン、2mMのL−グルタミンを含むDME)中で増殖させる。下記の手順は、図14で図示されている。トランスフェクションの1日前に、細胞をプレート上に播き、均等に分布させてサブコンフルエント状態(50〜60%)にする。従来のリン酸カルシウムプロトコールまたはLipofectamine(Invitrogen)などのカチオン性脂質を使用して、サブコンフルエント状態の細胞にトランスフェクトすることができる。簡潔に述べると、1枚のプレートで細胞にトランスフェクトするには、Opti−MEM125μlをLipofectamine2000 5μlと混合し、(RTで)5分間置く。別々の反応で、Opti−MEM混合物125μlをDNA約5μgに添加する。次いでこれら2つの溶液を混合し、20分間置いた後それを細胞に添加する。次いで、増殖培地中のトランスフェクション試薬および細胞を37℃で1晩インキュベートする。次の日に、1晩経た培地を新鮮なGMと交換する。トランスフェクションの2日(48時間)後、細胞培養上清を15ml管に収集し、遠心分離(2000gで5分)して残骸をペレットにする。
リンパ芽球の形態を有するマウス骨髄腫細胞系統であるNS0などの懸濁細胞では、細胞を対数期まで増殖させて1ml当たり細胞約5×10個にする。NS0細胞を短時間遠心分離した後にペレットにし、希釈したレトロウイルス上清(>100倍)を含む新鮮な培地1ml中にそれを再懸濁し、37℃で12〜24時間インキュベートする。レトロウイルス上清で一連の試験希釈を行って、導入効率を最適化することができる。次いで、その後のFACS分析により、導入効率およびFc−LTM発現についてNS0ライブラリー細胞をモニターすることができる。
C.レトロウイルス上清の添加による非付着性細胞の感染
ネズミ腫瘍細胞系統NS0に、回収したpLXSN/Fcレトロウイルスベクター上清を導入する(図14で示される一過性の系)。簡潔に述べると、合計体積が3mlとなるような、RPMI増殖培地、(新鮮なまたは解凍した)レトロウイルス上清およびポリブレン(2μg/ml)からなる感染用カクテルを調製する。指数関数的に増殖しているNS0標的細胞を遠心分離(500gで5分)し、1ml当たり細胞10〜10個の濃度で感染用カクテル中に再懸濁する。感染から24時間後、NS0細胞を遠心分離し、RPMI増殖培地中で再懸濁して、アッセイ前にさらに24〜48時間正常に増殖させる。RPMI増殖培地は、2mMのL−グルタミン、100U/mlペニシリン(Sigma−Aldrich、ミズーリ州St.Louis)、100ug/mlストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび1×非必須アミノ酸入りのRPMI中に10%確定ウシ血清(defined calf serum)(Hyclone、ユタ州Logan)を入れたものである(すべての補充物はBio−Whitakerから入手)。
D.Fc−LTM変異体表面発現のFACS分析
スクリーニング過程の必須の目標は、各哺乳動物細胞でLTM Fc−融合タンパク質をその細胞表面上に発現させることである。抗ヒト抗Fcγフィコエリスリン抗体により、あるいはMycまたはHAタグの染色によっても(すべてPharMingen、カリフォルニア州San Diego)Fcの表面発現を決定し、フローサイトメトリーによりそれを確認することができる。低速の遠心分離(500gで5分)によりpLXSN/Fc NS0導入細胞を収集し、CSB(PBSおよび0.5%BSA)で2回洗浄し、再懸濁し、次いで可溶性抗Fcγ−PE抗体とともにインキュベートする。(暗所で、覆いをかけ氷上に置いて)1時間後、細胞を冷CSBで2回洗浄し、1ml当たり細胞10×10個の濃度で再懸濁する。陰性対照細胞は空のpLXSNベクターを導入したNS0であり、陽性対照細胞は野生型Fcを含むpLXSNを導入したNS0である。pLXSN−Fc形質転換細胞は、空のpLXSNベクターと比較して蛍光の著しい変化を示すはずである。次いで、製造業者の使用説明書の通りにCellQuestソフトウェアを使用してFACSscan(Becton Dickinson)上で細胞を分析する。
LTMライブラリー細胞上でのFc表面発現を確認した後、次の作業は、細胞外Fc構築物が、Fc受容体、すなわちFcγRIIIaおよびC1qと結合できることを確認することである。これは、最初の事前選択手順として必須であり、その後のFcエフェクター機能アッセイは、Fc受容体の結合を必要とする。調べるには、野生型Fcドメインを発現するNS0細胞を上記の通りに収集し、標識したFcγRIIIaまたはC1qタンパク質とともにインキュベートする。FcγRIIIaまたはC1qタンパク質は、下記に記載のようにフィコエリスリンまたはFITCで蛍光標識しあるいはビオチン化することができる。例えば、次いで、ビオチン−C1qと結合できるFc変異体を発現するNS0細胞を二次のストレプトアビジン−PEで対比染色し、FACSにより分析することができる。機能的FC−LTM変異体は、標識したFcγRIIIaおよび/またはC1qタンパク質と結合し、そのことから高い蛍光の読み取り値が得られる。下記のプロトコールは、FcγRIIIaまたはC1qタンパク質を単離し、精製し、ビオチン標識する手順を記載するものである。
(実施例4)
Fc結合タンパク質の作製および精製:
A.C1qのビオチン標識
生体活性C1qタンパク質は、ヘテロ三量体[配列番号30〜32]として構成され、精製された形で市販されている(Calbiochem、カリフォルニア州San Diego)。C1qタンパク質のビオチン化は、様々な方法によって実現できるが、過剰なビオチン化は、エピトープという、抗体と相互作用する部位を遮断する可能性があるので望ましくない。使用したプロトコールは、Molecular ProbesのFluoReporter Biotin−XX Labeling Kit(カタログ番号F−2610)から改変した。簡潔に述べると、0.9mg/mlストックのC1q(Calbiochem)1μlを、pH8.3の1M炭酸水素ナトリウム緩衝液100μlおよびBiotin−XX溶液(10mg/mlのBiotin−XXのDMSO溶液)9.4μlに添加した。その混合物を25℃で1時間インキュベートした。その溶液を微小遠心分離フィルター管に移し、遠心分離しPBS溶液で(4回)反復して洗浄した。ビオチン化C1q溶液を収集し、Sephadex G−25カラムを通して精製し、そのタンパク質濃度をOD280で決定した。
B.可溶性FcγRIIIa、FcγRIIa、およびFcγRIIbの大腸菌での発現および精製
FcγRIIIa176VのDNA配列をATCCから入手した(配列番号33)。FcγRIIIa176F多型構築物を、上記に記載のクンケル突然変異生成によって再度作製した(配列番号34)。下記の大腸菌精製プロトコールはまた、FcγRIIb(配列番号35および36)およびFcγRIIa(配列番号40、41および42)の細胞外ドメインにも適切である。FcγRIIIa176FおよびFcγRIIIa176VをpET20b発現ベクター(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)中にクローン化し、タンパク質にC末端6×HISタグを追加した。次いでpET20b−FcγRIIIaV/F176構築物をBL21大腸菌宿主細胞中に形質転換した。大腸菌細胞の液体培養物(LB−Amp)を、1晩小規模培養物(5mL)から250(mL)にして増殖させ、吸光度の値が600nmで0.5に達した後、FcγRIIIaタンパク質を、IPTG(0.5mM)で、25℃で4時間誘導した。下記の精製スキームで直ちに使用しない場合、その後増殖培養物をペレットにし、それを−80℃で貯蔵した。次いで、目に見える大きな凝集塊がなくなるまで激しくボルテックスをかけることにより、細胞ペレットをB−PER(登録商標)II溶解試薬(Pierce、イリノイ州Rockford)6ml中に再懸濁した。均一に懸濁した後、細胞をRTで10分間穏やかに振盪した。その後、細胞溶解混合物を遠心分離(10000RPMで10分)して、不溶性タンパク質から可溶性タンパク質を最初に分離した。同じ形式で、FcγRIIaH/R131多型の細胞外ドメインをクローン化した。
C.封入体タンパク質の変性
溶解用上清は(収集し、蓄えた/捨てた)が、ペレットは、B−PER(登録商標)II試薬6ml中に再度再懸濁した。終濃度200μg/mlで、再懸濁したペレットにライソザイムを添加し、RTで5分間インキュベートした。次いで、遠心分離(10000RPMで30分)によって不溶性の封入体を収集した。B−PER(登録商標)II15ml中に得られたペレットを再度再懸濁し(B−PER希釈液に対して約1:20のペレットの体積)、激しくボルテックスをかけることによってそれを混合した。遠心分離(10000RPMで15分)によって封入体を収集した。ペレットを再懸濁し、それにボルテックスをかけ、遠心分離するステップをさらに10回反復し、その後、精製された封入体の最終的なペレットを蓄え貯蔵した。
D.変性条件下でのNi−NTAタンパク質精製
精製された封入体を氷上で解凍し、それを緩衝液B[100mMのNaHPO、10mMのトリスCl、8M尿素、pH:8]1.5ml中に再懸濁した。泡立ちを避けるように注意しながら、約60分間(RT)または(溶液が半透明になるときに観察される)溶解の終了まで懸濁液をゆっくりと撹拌した。その混合物を遠心分離(10000RPMで15分)して細胞の残骸をペレットにした。次いで、上清(清澄になった溶解液)を収集し、それにNi−NTA樹脂(Qiagen)5mLを添加し、穏やかに混合した(4℃で60分)。溶解液と樹脂の混合物を空のカラム中に注意深く充填し、緩衝液B(pH:6.3)100mlでそれを洗浄した。次いで、組換えタンパク質を緩衝液B(pH:4.5)20mlで溶出した。
E.Ni−NTA精製タンパク質の再折り畳み
上記から3mLのNi−NTA精製FcRタンパク質を、再折り畳み用緩衝液[0.1Mトリス/HCl、1.4Mアルギニン、150mMのNaCl、5mM還元型グルタチオン、0.5mM酸化型グルタチオン、0.1mMフッ化フェニルメチルスルホニル、0.02%NaN]に撹拌しながら6時間にわたって滴下し、次いでそれを72時間撹拌した。次いで、再生したタンパク質の溶液を透析緩衝液[0.1Mトリス/HCl、5MのNaCl、0.1MのMgCl・6HO]4Lに対して透析し、1晩の透析期間の前にそれを新鮮な緩衝液と2回さらに交換した。Ni−NTA樹脂(2mL)を再生したタンパク質の溶液に添加し、次いで穏やかに(RTで)60分間撹拌した。溶解液と樹脂の混合物を空のカラム中に注意深く充填し、洗浄緩衝液B(10mMトリス/HCl、300mMのNaCl、50mMイミダゾール、pH:8.0)100mlでそれを洗浄した。次いで組換えタンパク質を溶出緩衝液(10mMトリス/HCl、300mMのNaCl、250mMイミダゾール、pH:8.0)10mlを用いて溶出した。
(実施例5)
再び折り畳まれたFcγRIIIaタンパク質とヒトIgG−Fcの結合のBiacore分析
機能的なIgG Fcの結合を評価し、再び折り畳まれたFcγRIIIa断片の予備的親和性(KD=k/k=koff/kon)を測定するために、BIAcore−2000表面プラズモン共鳴系分析を使用した(BIAcore,Inc、ニュージャージー州Piscatawy)。製造業者の使用説明書(BIAcore,Inc)に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ−ジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロスクシンイミド(NHS)を使用する共有結合により、リガンドであるヒト全長IgG(Calbiochem)をBIAcoreバイオセンサーチップ表面上に固定化した。エタノールアミン溶液を遮断剤として注入した。
フロー分析では、FcγRIIIaをBIAcore流動緩衝液(20mM Hepes緩衝食塩水、pH7.0)中で希釈して、0.13μM、0.26μM、および0.52μMの3つの濃度にした。FcγRIIIaのアリコートを流速2μl/分で注入して動態測定を行った。解離作用物質を含まない流動緩衝液中で解離を観察した。次いで、BIAevaluation2.1ソフトウェアを使用して、結合反応の動態パラメーターを決定した。
図13Aは、FcγRIIIaとIgGの結合のBIAcoreによる結果を示す。これらのプロットから、熱変性タンパク質の陰性対照と比較してのRUの増大(Kon)によって示されるように、再構成されたFcγRIIIaが、固定化されたIgGと結合することが明らかである。さらに、RUの増大は、適用したFcγRIIIaタンパク質濃度と比例していた。BIAcoreプロファイルはまた、FcγRIIIaの予想された解離プロファイルをも示した。
FcγRIIIaV158とFcγRIIIaF158多型の間にあるKoffの動態的な差も測定し、それを下記の表に示す。これらの予備的な結果は、FcγRIIIaF158多型がIgG Fcに対して低い親和性を有し、そのことが、Koff動態が6倍速いことによって示された他の刊行物に一致する。
Figure 0005315489
(実施例6)
磁性選別によるFc−LTM変異体ライブラリーのハイスループット事前選択
増殖培養後、NS0 Fc−LTM細胞を、飽和濃度(400nM)のビオチン化C1qとともに穏やかに回転させて37℃で3時間インキュベートして標識付けする。次いで、結合しなかったビオチン化C1qを除去するために、NS0細胞をRPMI増殖培地で2回洗浄した後、PBS中に1μl当たり細胞1.0×10個に再懸濁する。細胞約10個の単一細胞懸濁液(100μl)を、ストレプトアビジン被覆または抗ビオチンマイクロビーズ(MACS、Miltenyi Biotec)10μlと混合し、それを周期的に転倒させながら氷上で20分間インキュベートする。低速での遠心分離の後、次いでその混合物を緩衝液で2回洗浄し、それを0.5mL中に再懸濁する。これらの手順および細胞成分を図4Aおよび4Bに図示する。
細胞懸濁液を磁場分離器の保持器中に置いたLS MACSカラムにかける。次いで、MACSカラムを2×6mLの緩衝液で洗浄して、流動の中で結合しなかった細胞を除去する。次いでMACSカラムを分離器から取り出し、適切な収集管上に置く。緩衝液6mLをMACSカラム上に添加し、その直後に、カラムプランジャーにかけることにより、結合したFc−LTM細胞を流し出す。低親和性のまたは非機能的に結合しているFc−LTM変異細胞はこの形では保持されない。
次いで、この積極的な選択により、C1q/FcgRIIIaに対する機能的な親和性を有するFc−LTM変異細胞だけが回収される。このMACS濃縮ステップにより、望まれていない細胞を処理し選別するFACSの必要がなくなる。次いで、溶出後、濃縮したNS0細胞をインキュベートしてさらに培養する(図4B)。
(実施例7)
Fc−LTM変異体ライブラリー細胞のFACS選別
下記の方法では、FcR結合親和性変異体の濃縮および単離について、LTM FcライブラリーをFACSでスクリーニングする。増殖培養後、上記のNS0細胞を、飽和濃度(400nM)のビオチン化C1qとともに穏やかに回転させて37℃で3時間インキュベートする。(前記のように、適当な実験ではビオチン化FcγRIIIaに置換することができる。)次いで、NS0細胞をRPMI増殖培地で2回洗浄して、結合しなかったビオチン化C1q/FcγRIIIaを除去する。次いで、製造業者の使用説明書の通りにCellQuestソフトウェアを使用してFACS−Vantage(Becton Dickinson)上で細胞を選別する。
所望される結合の性質に応じて、選別ゲートを調整して、Fc−LTM集団の分画を収集する。例えば、FcγRIIIaに対する親和性の増強が所望される場合、高い蛍光シグナル用にゲートを設定する。FACSのゲート設定により、他の細胞系統および結合した結合タンパク質を用いた試験系で、80%を超える程度で高親和性部分集団を濃縮できることが示されている(図19)。
(実施例8)
A.Fc−LTM細胞ライブラリーに対するFcエフェクター機能アッセイ
下記の試験を実施して、NS0細胞によるFc−LTMの表面発現により、単球や活性化顆粒球などのエフェクター細胞上のFcγRの結合が生じ、それによってFcγR依存性エフェクター機能(図7:CDC、ADCC)を惹起できることを示す。
FACSで事前選別されたライブラリーを96ウェルプレート中に希釈する。あるいは、NS0細胞のpLXSN/Fc導入後、小さいライブラリーしか作製しない場合(10個)、これらの細胞はまた、単一クローン/ウェルの希釈で直接プレートに播くこともできる。次いで、これらの単一クローンのウェルを増殖拡大して、娘プレートにすることができる。これらの娘プレートの1つを、後にFc−エフェクターアッセイ用プレートとして使用することができる。したがって、ある場合には、小さいFc−LTMライブラリーは、上記のMACSおよび/またはFACS事前選別を必要としない。
Fc受容体C1q/FcγRIIIaに対する高い親和性および関連するFcエフェクターC1q/FcγRIIIa機能の増強についての下記の選択アッセイでは、FcγRIIbなどの他のFc受容体に対する低い親和性およびFcエフェクター機能の減弱についてスクリーニングするさらなるステップを並行して行うことができることに留意されたい(図5)。
B.細胞依存性細胞傷害作用(CDC)アッセイ
正常なヒト単核細胞を、Ficoll−Hypaque密度分離勾配を通しての遠心分離によりヘパリン化骨髄試料から調製した。ヒトAB血清(Gemini Bioproducts、カリフォルニア州Woodland)を、ヒト補体の供給源として使用した。NS0ライブラリー細胞の補体媒介性細胞傷害作用促進能を類似した形で測定した。簡潔に述べると、NS0細胞を上記の通りに培養し、プレートに播き(5×10個)、96ウェル平底マイクロタイターウェル中に入れた。ヒト血清補体(Quidel、カリフォルニア州San Diego)を連続して希釈して、溶解の作用範囲を最初に測定した。次いで、希釈した補体とNS0細胞懸濁液の混合物を、5%COインキュベーター中で、37℃で2時間インキュベートしてCDCを促進する。その後、Alamar Blue(Accumed International、オハイオ州Westlake)50μlを各ウェルに添加し、さらに37℃で1晩インキュベートする。96ウェル用蛍光計を使用して、530nmで励起され590nmで放出された蛍光の読み取り値を測定した。通常、結果は生細胞の数に比例する相対的蛍光単位(RFU)で表す。次いで、Ab濃度(Alamar Blueの添加前の終濃度)の対数に対して%CDC活性をプロットすることにより、様々な突然変異体の活性を調べる。%CDC活性は、下記の通りに計算した:%CDC活性=(試験RFU−背景RFU)×100(細胞溶解全体でのRFU−背景RFU)。
C.ADCC用PBMCエフェクター細胞の調製
正常ヒト志願者のヘパリン化全静脈血からエフェクターPBMCを調製する。全血を、5%デキストランを含むRPMI(Life Technologies,Inc.)で2.5:1(v/v)の比で希釈する。次いで、氷上で45分間赤血球を沈降させ、その後、上清中の細胞を新しい管に移し、遠心分離によりそれをペレットにする。次いで、残存している赤血球を低張溶解によって除去する。残っているリンパ球、単球および好中球は、結合アッセイで使用するまで氷上で維持することができる。あるいは、リンパ球分離培地(Lymphocyte Separation Medium)(LSM、Organon Technika、ノースカロライナ州Durham)を使用して、供与者からエフェクター細胞を精製することもできる。
Fc変異体を発現する標的NS0ライブラリー細胞をRPMI1640培地で3回洗浄し、1mg/ml(最大のADCCについて決定される濃度)の精製FcR(すべての型)とともに25℃で30分間インキュベートする。上記で精製したPBMCエフェクター細胞を培地で3回洗浄し、96ウェルU字底Falconプレート(Becton Dickinson)中に入れる。これらの実験についてADCCの作用範囲を最初に測定するために、1ウェル当たり細胞3×10個(エフェクター/標的比100:1)から1ウェル当たり細胞600個(0.2:1)の3倍連続希釈物をプレートに播く。通常は、50倍過剰な回収PMBCの存在下でADCCのアッセイを行う。
次いで、標的NS0細胞を各ウェルに1ウェル当たり細胞3×10個で添加する。エフェクター細胞を添加していないNS0標的のウェルによって自発的放出(SR、陰性対照)を測定し、逆に、2%のTriton X−100をNS0標的細胞のウェルに添加することによって最大放出(MR、陽性対照)を測定する。37℃、5%CO2中で4時間インキュベートした後、ADCCアッセイ用プレートを遠心分離する。次いで、上清を96ウェル平底Falconプレートに移し、LDH反応混合物(LDH検出キット、Roche Molecular Biochemicals)とともに25℃で30分間インキュベートする。次いで、1NのHClを50ml添加することによって反応を停止する。その後、基準波長を650nmにして試料を490nmで測定する。%細胞傷害作用を[(LDH放出試料−SRエフェクター−SR標的)/(MR標的−SR標的)]×100として計算した。各アッセイで、%細胞傷害作用対log(エフェクター/標的比)をプロットし、曲線下面積(AUC)を計算する。アッセイは3連で行う。
(実施例9)
PMBC供与者の遺伝子型判定:FcγRIIIaF158/V158多型およびFcγRIIaH131/R131多型のスクリーニング。
ある実験では、詳細な説明で説明したように、FcγRIIIaF158/V158および/またはFcγRIIaH131/R131多型を有する個人間での定量的なADCCエフェクターの差をモニターすることを必要とする。PCR後の直接配列決定、対立遺伝子特異的プライマーを使用するPCR、またはPCR後の対立遺伝子特異的制限酵素消化を含めて、多型の遺伝子型を判定するいくつかの方法がある。本発明者らの目的で、FcγRIIIaF158/V158での、後者の対立遺伝子特異的制限酵素消化の手順を説明するが、その方法は(異なるPCR増幅プライマーを使用するが)FcγRIIaH131/R131多型でも同様である。
FcγRIIIA−158V/F多型の遺伝子型判定を、PCRに基づく対立遺伝子特異的制限分析アッセイによって行う。2つのFcγRIIIa遺伝子特異的プライマー:5’−ATA TTT ACA GAA TGG CAC AGG−3’;アンチセンス配列番号:5’−GAC TTG GTA CCC AGG TTG AA−3’を使用して、多型部位を含む1.2kb断片を増幅する。このPCRアッセイを、ゲノムDNA5ng、各プライマー150ng、200μmol/Lの各dNTP、およびTaqDNAポリメラーゼ(Promega、ウィスコンシン州Madison)2Uを含む緩衝液中で、製造業者による推奨の通りに行った。最初のPCRサイクルは、95℃で10分の変性、56℃で1分半のプライマーアニーリング、および72℃で1分半の伸長からなった。この後、変性時間を1分に短縮したサイクルを35サイクル行った。最後のサイクルの後、72℃で8分の完全伸長を行った。第2のPCR反応でのセンスプライマーは、FcγRIIIA−158VをコードするDNAだけにNlaIII制限部位を作り出すミスマッチを含み:5’−atc aga ttc gAT CCT ACT TCT GCA GGG GGC AT−3’(大文字はアニールするヌクレオチドを示し、小文字はアニールしないヌクレオチドを示す)、アンチセンスプライマーは、第4イントロンのちょうど5’を選択した:5’−acg tgc tga gCT TGA GTG ATG GTG ATG TTC AC−3’。この第2のPCR反応は、最初に増幅した断片1μL、各プライマー150ng、200μmol/Lの各dNTP、およびTaqDNAポリメラーゼ2Uを、推奨される緩衝液中で希釈して行う。最初のサイクルは、95℃で5分の変性、64℃で1分のプライマーアニーリング、および72℃で1分の伸長からなった。この後、変性時間が1分であるサイクルを35サイクル行った。最後のサイクルの後、72℃で9分半の完全伸長を行った。94bpの断片をNlaIIIで消化し、消化した断片を、10%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、それをエチジウムブロマイドで染色し、UV光で視覚化した。
遺伝子特異的なセンス:5’−GGA AAA TCC CAG AAA TTC TCG C−3’;アンチセンス配列番号:5’−CAA CAG CCT GAC TAC CTA TTA CGCG GG−3’プライマーを使用して、FcγRIIaの遺伝子型を判定した。センスプライマーは、コドン131の上流にある第2の細胞外ドメインおよび多型部位のすぐ5’にある末端をコードするエキソンに由来する。それは、その次のヌクレオチドがAでなくGであるときにPCR産物中にBst UI部位(5’−CGCG−3’)を導入する1ヌクレオチド置換を含む。アンチセンスプライマーは、下流のイントロン中に位置し、このプライマーを使用するすべてのPCR産物中に絶対的なBst UI部位を導入する2ヌクレオチド置換を含む。PCR条件は下記の通りであった:96℃、5分間を1サイクル、92℃、40秒間および55℃、30秒間を35サイクル、72℃、10分間を1サイクル。R131対立遺伝子の存在下では1度、H131対立遺伝子の存在下では2度切断するBst UIを使用して産物を消化した。3%アガロースゲル上での電気泳動によって断片を分析した。
(実施例10)
ADCCおよびCDC比較分析用の完全長リツキシン−Fc LTM変異体の構築
次いで、所望されるin vitroでのFc受容体結合特性を示すCBM−FcまたはLTM−Fc変異体を、相関関係にあるFcエフェクター機能について試験する。これらのアッセイでは、CBM−FcまたはLTM−Fc変異体をリツキシンFcと比較して、ADCCおよびCDC活性に差があるかどうかを判定する。リツキシンは、非ホジキンリンパ腫の治療用に開発された、B細胞マーカーCD20に特異的なキメラモノクローナルIgG抗体である。本発明者らの目的で、野生型リツキシン(野生型IgGFc領域を有する)を、リツキシン(CH1:VおよびV)とCBM−FcまたはLTM−Fc変異体(ヒンジ、C2およびC3)のキメラ置換物と比較する。
適当なプライマーを用いたPCRにより、CBM−FcまたはLTM−Fc変異体からヒンジ、C2およびC3を増幅する。そのプライマーはまた、重鎖のヒンジおよびC3のC末端中にその後の制限消化およびクローン化用の制限部位をも導入する。リツキシンベクターは、アミノ酸配列の変化を伴わない、重鎖のヒンジ領域およびC3のC末端での同様の制限部位で改変されている。次いで、改変リツキシンベクターにより、CD20に対するそのVおよびVの特異性を保持しつつFcドメインの単一置換が可能となる。
配列の確認後、リツキシン−Fc−LTM構築物をPcDNA3ベクター(Invitrogen)中に再クローン化して、可溶性IgGとして発現させる。簡潔に述べると、PcDNA3−リツキシン−Fc−LTMを、lipofectamine(Invitrogen)を使用してCHO−K1細胞中にトランスフェクトし、5%熱非働化ウシ胎児血清を入れたダルベッコ改変イーグル培地中で培養する。安定トランスフェクトクローンが所望される場合、G418(400ug/ml)を補充したDMEM増殖培地内で選択することができる。次いで、上記トランスフェクションからの上清を収集し、遠心分離により清澄にして、すべての脱離細胞および残骸をペレットにする。培養上清をプロテインAセファロース4Bアフィニティーカラムに通過させることによって、分泌された完全長リツキシン−Fc−LTMIgGを精製することができる。2〜3倍のカラム容量のPBSで洗浄した後、結合したリツキシン−Fc−LTMIgGタンパク質を、KSCN(3M)のリン酸緩衝食塩水(10mMリン酸ナトリウム、0.154MのNaCl、pH7.3)溶液で溶出する。280nmでの吸光度を使用してタンパク質濃度を概算し、アジ化ナトリウム(0.8mM)を含むリン酸緩衝食塩水(pH7.3)中で、それを−20℃で長期間貯蔵することができる。
次いで、精製された抗体をWILS−2標的細胞に添加して、ADCC、CDCまたはアポトーシスアッセイを行う。ヨウ化プロピジウム(PI;Molecular Probes、オレゴン州Eugene)およびアネキシンV−FITC(Caltag、カリフォルニア州Burlingame)を使用するフローサイトメトリー分析によってWIL2−S細胞のアポトーシスを分析することができる。簡潔に述べると、WIL2−S細胞5×10個を、特定の濃度のリツキシン野生型またはリツキシンを移植したFc−LTMとともに、37℃およびCO5%で24時間インキュベートする。次いで、標的WIL2−S細胞をPBSで洗浄し、氷冷アネキシン結合緩衝液(BD PharMingen、カリフォルニア州San Diego)400ml中に再懸濁し、それにアネキシンV−FITC10mlおよびPI 0.1mgを添加する。次いで、細胞をフローサイトメーター(Beckman−Coulter、フロリダ州Miami)上で分析する:488nmで励起し、重複する放出スペクトルの補正後に525nm(FITC)および675nm(PI)での放出を測定する。
特定の実施形態および適用に関して本発明を説明してきたが、本発明から逸脱することなく様々な改変および変更を加えることができることが明らかとなるであろう。
配列表
配列番号1:(ヒトIgGFcのC2領域のアミノ酸配列):
Figure 0005315489
配列番号2:(ヒトIgGFcのC3領域のアミノ酸配列):
Figure 0005315489
配列番号3:(ヒトIgGFcのC2領域のコード領域):
Figure 0005315489
配列番号4:(ヒトIgGFcのC3領域のコード領域):
Figure 0005315489
配列番号5:(完全なヒトIgGFc領域のアミノ酸配列):
Figure 0005315489
配列番号6:(完全なヒトIgGFc領域のコード領域):
Figure 0005315489
配列番号7:イムノグロブリン細胞外輸送シグナルのDNAコード配列:
ヒトIgGシグナル配列:
Figure 0005315489
ネズミIgκシグナル配列:
Figure 0005315489
配列番号8:膜アンカーシグナルのDNAコード配列:
膜IgM膜貫通領域のコード配列:
Figure 0005315489
PDGF−受容体膜貫通領域のコード配列:
Figure 0005315489
ヒト胎盤アルカリホスファターゼタンパク質(PLAP)の最後の33アミノ酸をコードする配列:
Figure 0005315489
配列番号9:ネズミIgκシグナル配列、HAタグ、ヒトIgGヒンジC2〜C3、Mycエピトープ+PDGF−R膜貫通領域からなるC末端アンカーを有するFc表面発現構築物のDNAコード配列。これら5つのセクションは、連結した配列において異なる影を付けたブロックで示し、また以下で別々に示す:
Figure 0005315489
ネズミIgGκシグナル配列:
Figure 0005315489
HAエピトープタグ配列:
Figure 0005315489
ヒトIgGヒンジCH2〜CH3配列:
Figure 0005315489
Mycエピトープタグ配列:
Figure 0005315489
PDGF−R膜貫通領域配列:
Figure 0005315489
配列番号10:ヒトIgG輸送シグナル配列、HAタグ、IgG1ヒンジ、C2〜C3、Mycエピトープ、ネズミIgM膜貫通領域からなるC末端アンカーを有するFc表面発現構築物のDNAコード配列。上記の配列番号9と同様に、これら5つのセクション成分は、連結した配列において異なる影を付けたブロックで示す。
Figure 0005315489
配列番号11:ヒトIgGシグナル配列、HAタグ、ヒトIgG1ヒンジC2〜C3、Mycエピトープ、およびヒトPLAP脂質付加シグナルからなるC末端アンカーを有するFc表面発現構築物のDNAコード配列。配列番号9と同様に、これら5つのセクション成分は、連結した配列において異なる影を付けたブロックで示す。
Figure 0005315489
配列番号12:アミノ酸231〜340(Kabatの定義)の不偏性LTM分析でのIgGFcのCH2小領域の分割:
N末端−
Figure 0005315489
−C末端
配列番号13:アミノ酸341〜447(Kabatの定義)の不偏性LTM分析でのIgGFcのC3小領域の分割:
N末端−
Figure 0005315489
−C末端
配列番号14:ヒトIgG2上のFc受容体「接触」小領域1のアミノ酸配列):
・LLGG
配列番号15:ヒトIgG2上のFc受容体「接触」小領域2のアミノ酸配列):
・DVSHED
配列番号16:ヒトIgG2上のFc受容体「接触」小領域3のアミノ酸配列):
・NST
配列番号17:ヒトIgG2上のFc受容体「接触」小領域4のアミノ酸配列):
・KALPA(P)I
配列番号18:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのグリシン(GLYcine)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号19:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのアスパラギン(ASparagiNe)置換物のオリゴヌクレオチドコード配列)
Figure 0005315489
配列番号20:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのアスパラギン酸塩(ASPartate)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号21:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのヒスチジン(HIStidine)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号22:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのトリプトファン(TRyPtophan)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号23:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのイソロイシン(IsoLEucine)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号24:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのアルギニン(ARGinine)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号25:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのプロリン(PROline)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号26:ヒトIgGFcC2のLLGG領域(「接触」小領域1)中の4つの各位置でのセリン(SERine)置換物のコード配列)
Figure 0005315489
配列番号27:ヒトIgGFcC2:不偏性CH2×CH3ライブラリーのアミノ酸LLGGPSV小区分中の5つのアミノ酸位でのグリシン(GLYcine)LTM置換物のオリゴヌクレオチド配列。
Figure 0005315489
配列番号28:Fc受容体「接触」小領域1〜4に基づく「終止コドン」鋳型のヒトIgG2アミノ酸配列。置換コドンを小文字で示す。
Fc受容体「接触」小領域1:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域2:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域3:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域4:
Figure 0005315489
配列番号29:「終止コドン」鋳型をオープンリーディングフレームに再置換する野生型オリゴヌクレオチド。置換コドンを小文字で示す。
Fc受容体「接触」小領域1:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域2:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域3:
Figure 0005315489
Fc受容体「接触」小領域4:
Figure 0005315489
配列番号30:C1q−aアミノ酸配列
Figure 0005315489
配列番号31:C1q−bアミノ酸配列
Figure 0005315489
配列番号32:C1q−gアミノ酸配列
Figure 0005315489
配列番号33:Fc受容体FcγRIIIa−V多型細胞外ドメインアミノ酸配列:
Figure 0005315489
配列番号34:Fc受容体FcγRIIIa−F多型細胞外ドメインアミノ酸配列:
Figure 0005315489
配列番号35:Fc受容体FcγRIIb細胞外ドメインアミノ酸配列:
Figure 0005315489
配列番号36:Fc受容体FcγRIIbのDNAコード配列
Figure 0005315489
配列番号37:TNF−α野生型と、修飾された、タンパク質分解で切断されないTNF−α膜貫通領域挿入物のアミノ酸配列の比較:2つの欠失およびKからQへの点突然変異を上段の配列上の修飾配列で示す。
Figure 0005315489
配列番号38:修飾された、タンパク質分解で切断されないTNF−α膜貫通領域挿入物のSOE−PCR用オリゴヌクレオチドのDNA配列。
Figure 0005315489
配列番号39:N末端II型TNF細胞膜アンカー:
修飾ヒトTNF膜貫通領域配列、HAタグ、IgGヒンジCH2〜CH3、およびMycエピトープを使用するFc表面発現構築物のDNA配列。これら5つのセクションは、連結した配列において異なる影を付けたブロックで示す。
Figure 0005315489
配列番号40:Fc受容体FcγRIIaのDNAコード配列
Figure 0005315489
配列番号41:Fc受容体FcγRIIa−H131多型細胞外ドメインアミノ酸配列
Figure 0005315489
配列番号42:Fc受容体FcγRIIa−R131多型細胞外ドメインアミノ酸配列
Figure 0005315489
(1A)そのC2およびC3領域を指し示すFc部分を示すIgG抗体の図式的構造、(1B)CDC機能のための抗体のC2との結合による補体成分C1qの動員、ならびに(1C)ADCC機能のためのC2断片の結合によるFcγRIIIaの動員を示す図である。 「不偏性」FcエフェクターライブラリーのC2およびC3領域を示す図である。描かれたセクションについては配列番号12および13を参照されたい。下にある計算は、9種の予め選択されたLTMアミノ酸でC2とC3のライブラリーの組合せを作り出す際に考えられるLTM変異体の予測数である。 2とC3の両方の「不偏性」ドメインについての図式的な一連のLTMライブラリーの組合せを示す図である。例えば、考えられる「二重」Fc−LTMライブラリーは、C2小領域8中のAspLTMライブラリー、その後にあるC3小領域1中のHisFc−LTMからなり得る。 FcドメインとFcγRIIIaの共結晶構造から同定されたFcC2の4つの「接触」小領域を示す図である。小さな差込み画像は、ヒトIgG Fc領域の三次元構造を描くものであり、4つのFcγRIIIa「接触」小領域中のアミノ酸を強調している(淡黄色)。下にある計算は、接触残基をLTMアミノ酸に置換し、「接触」小領域間でコンビナトリアル複数LTM置換物ライブラリーを作り出す際に考えられるLTM変異体の予測数である。 本発明で使用するLTM選択法による、FcC2ドメインの最初の「接触」小領域の各領域の位置での9種のLTMアミノ酸置換物を示す図である。 図5に示したアスパラギン置換ポリペプチドに対応する4つのオリゴヌクレオチドコード配列を示す図である。 4つのFc−FcγRIIIa「接触」小領域を分析するための、CH2ドメイン中の考えられるFc−LTMライブラリーの組合せをすべて示す図である。各「接触」小領域LTMライブラリーは、「接触」小領域中の1つ1つの位置における9種の予め選択されたLTMアミノ酸による単一のアミノ酸置換物からなる。例えば、考えられる「三重」Fc−LTMライブラリーは、「接触」小領域2中のLTM分析を有さず、「接触」小領域1中のArgLTMライブラリー、その後にある「接触」小領域3中のProFc−LTMおよび「接触」小領域4中のHisFc−LTMからなり得る。 コンビナトリアル有益突然変異分析(CBM)用の変性オリゴヌクレオチドの例示的な例を示す図である。Fc受容体「接触」小領域2の野生型アミノ酸およびコードDNA配列を上段の部分で示す。Fc−LTMエフェクター増強アミノ酸置換物の仮定的な例は下段の図にある。これらのFc−LTM置換物は、野生型アミノ酸の上に示す。次いで、CBM(実施例11を参照)について、様々な組合せにおいて所望の変化を組み込むのに各コドンで必要なヌクレオチドを、下の変性オリゴヌクレオチド中で示す。 本発明に従って形成された種々の図式的なIgG1とFc−断片の代表的キメラ分子を示す図である。上の4つのキメラ構築物は、細胞外輸送のためのN末端リーダー配列、Fcドメイン、およびタンパク質を保持するためのC末端膜アンカーシグナルからなる。一番下のキメラ構築物は、II型N末端アンカーの例を示し、それによって、修飾されたTNF−αリーダーが、細胞外分泌シグナルにもなり膜貫通アンカーシグナルにもなる。 C末端(10A)およびII型N末端(10B)アンカーFc提示系を示す図である。II型N末端提示系は、CH3が遠位に位置することが、細胞上の標的抗原と結合したIgGの自然な提示により生物学的に類似することを示すものである。 N末端IgκリーダーとC末端PDGF受容体膜貫通アンカーの間にFc−LTM構築物をクローン化するためのpDisplay発現ベクターを示す図である。 TNF細胞外リーダー由来のII型N末端アンカーおよび細胞表面提示用のFc−LTM構築物を利用するベクターの図式的設計を示す図である。 単一オリゴヌクレオチドアニーリング反応(図13A)および複数オリゴヌクレオチドアニーリング反応(図13B)を使用する、Fcコード配列を生成する本発明で適用されるクンケル突然変異生成法を示す図であり、第1の修飾Fc−LTM鋳型を再度単離し、それを第2の異なるオリゴヌクレオチドと再度アニールさせて、別々に位置する2つのFc−LTM突然変異を生成しなければならない。次いで、所望のFc−LTM突然変異が組み込まれるまでこれらの反復を繰り返す。 Fc突然変異生成鋳型上で終止コドンを置換するオリゴヌクレオチドアニーリングの結果を示す図である。Fc−LTMオリゴヌクレオチドがアニールした鋳型では(14A)、完全長Fc−LTMタンパク質が、膜貫通シグナルと結合した状態で翻訳され、それによって細胞表面での保持が可能となる。切断型Fc−LTMタンパク質の翻訳によっても細胞外輸送が行われるが、(斑点の付いた楕円によって示されるように)細胞表面アンカータンパク質がないので、次いでこのキメラFc−LTMは遊離して細胞から解離する(図14B)。 本発明による一過性レトロウイルス発現系の手順のステップを示す図である。pDisplay Fc−LTMベクターの一過性トランスフェクション後、pEco細胞培養上清を回収して、pDisplay Fc−LTMレトロウイルスを収集する。次いで、レトロウイルスを適したライブラリー標的細胞に感染させ、所望の特性について個々のクローンをスクリーニングする。クローンを単離し、その後の配列分析用の保存されている隣接プライマーを使用するPCRにより、対象とするFc−LTM遺伝子を回収する。 固定化されたIgGとの近似された様々な濃度のFcγRIIIaの結合の結合動態のBIAcoreセンサーグラム決定を示す図である。 FcγRIIIa受容体との平衡結合に基づく高い結合親和性についての、本発明に従って形成されたIgGFc断片の磁性事前選択における一般的なステップおよび細胞結合成分を示す図である。 本発明に従って、FcγRIIIa受容体との高い結合親和性についてFc断片を事前選択する方法のステップを示す図である。 蛍光標識FcγR受容体との平衡結合に基づく高い結合親和性について、本発明に従って形成されたIgGFc−LTM断片をスクリーニングするステップ、すなわち、平衡結合に基づくFcクローンのFACS選別のフロー図である。低いFcγRIIb親和性を示すFc−LTM部分集団を同時にスクリーニングする任意選択のステップも示す。 標識した結合タンパク質に対する結合親和性が増強された、対象とする細胞表面タンパク質を発現するクローンを同定するための選択ゲート(P2台形)を示すFACSプロットである。平衡結合の後、FACSプロファイルにより、その高い蛍光シグナル(Y軸)により親和性が高いクローンが順序付けられる。結合親和性の分布が選別前の集団中で観察され(A)、高親和性クローンは、全体集団の6%を占めるに過ぎない。選別後(B)、所望の増強された結合親和性を目下示す選別集団が25%を超えることが示される。

Claims (1)

  1. エフェクター機能が増強されたヒトIgG抗体を生成する方法であって、
    (a)配列番号1によって特定されるIgGFcC2領域内に含まれる、配列番号14〜17のそれぞれによって特定される、各々が分離されていて、各領域内にある複数のアミノ酸位での個々の置換物をコードする、領域1(Kabat位置234−237)、領域2(Kabat位置265,267−270)、領域3(Kabat位置297−299)、および領域4(Kabat位置326−330,332)の、一つ又は複数についての小領域LTMライブラリーを含む、IgGFcルックスルー突然変異生成(LTM)コードライブラリーを構築するステップであって、ここで領域1における各アミノ酸はアスパラギンで置換されており、領域2における各アミノ酸はアスパラギン酸で置換されており、領域3における各アミノ酸はトリプトファンで置換されており、領域4における各アミノ酸はプロリンで置換されている、ステップと、
    (b)選択可能な発現系中で前記LTMライブラリーによってコードされるIgGFc断片を発現させるステップと、
    (c)(i)FcγRIIIaに対する、天然IgGFcと比べた結合親和定数(K)の変化;および
    (ii)FcγRIIIaに対する、天然IgGFcと比べた解離速度定数(Koff)の変化
    のうち少なくとも1つと関係するエフェクター機能の増強を特徴とする、(b)で発現させたIgGFc断片を選択するステップと、
    (d)前記LTMライブラリー中でアミノ酸置換がなされたFcコード領域の少なくとも1つについて、その領域内の複数のアミノ酸位での同じアミノ酸置換物をコードするウォークスルー突然変異生成(WTM)ライブラリーを構築するステップであって、置換されたアミノ酸が、ステップ(c)で選択されたFc断片の少なくとも1つのアミノ酸位で認められたアミノ酸変異と対応するステップと、
    (e)選択可能な発現系中でWTMライブラリーによってコードされたIgG Fc断片を発現させるステップと、
    (f)FcγRIIIaに対する、天然Fc断片で測定した同じ定数と比較しての結合親和定数または解離速度定数の所望の変化を特徴とする(e)で発現させたIgG Fc断片を選択するステップと
    を含む方法。
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