JP5313193B2 - 建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、作業部分を旋回させるための旋回機構を有する建設機械に関する。
典型的な建設機械の一例として油圧ショベルがある。一般的に、油圧ショベルは、ブームと、ブームの先端に取り付けられたアームと、アームの先端に取り付けられたバケットとを有する。ブームは上部旋回体に対して回動可能に取り付けられる。上部旋回体を旋回させることで、ブームの先端に取り付けられたアームの先端のバケットを所望の位置に移動する。
上部旋回体には一般的に操縦室となるキャビンが設けられる。また、上部旋回体には、キャビンの他に動力源であるエンジンや油圧モータ等の駆動機構が搭載される。したがって、上部旋回体を旋回させるための旋回駆動機構は大きな動力を必要とする。そこで、上部旋回体を旋回させるための旋回駆動機構を油圧駆動とすることが多い。すなわち、旋回駆動機構の動力源として油圧モータを用いて、油圧モータの回転力により上部旋回体を旋回させる。
油圧モータを用いた旋回駆動機構において、油圧アキュミュレータを用いて旋回減速時の油圧エネルギを回収し、回収した油圧エネルギを旋回駆動力として再利用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭61−254722号公報
上述の特許文献1に開示されたアキュミュレータを用いたエネルギ回生機構では、旋回駆動機構の動力源として設けられた一つの油圧モータを用いて旋回駆動及び慣性エネルギの回収を行なう。すなわち、駆動用の油圧モータを、旋回減速時の慣性力を油圧エネルギとして回収するためのエネルギ回生部としても使用する。このため、一つの油圧モータで旋回駆動力を発生させたら、直ちに当該油圧モータで減速時の動力を油圧エネルギとして回収するという事態が生じる。したがって、一つの油圧モータを駆動装置として機能させることとエネルギ回生部として機能させることを頻繁に切り換える必要がある。
このような切り換え制御を適切に行なうためには、複雑な油圧回路が必要となり、且つ制御自体が複雑となる。
また、回収した油圧エネルギを油圧モータに供給して再利用する際に、油圧ポンプからの油圧とアキュミュレータからの油圧をスムーズに合致させるために複雑な制御を行なう必要がある。このような制御を行なうために、油圧回路にセンサやバルブを設ける必要があり、油圧回路も複雑な構成となってしまう。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、簡単な油圧回路により旋回駆動機構からのエネルギの回収を容易に且つ効率的に行なうことができる建設機械を提供することを目的とする。
本発明によれば、旋回機構により旋回駆動される旋回部と、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、第1の油圧回路を介して前記油圧ポンプに接続され、前記油圧ポンプからの油圧で駆動されて前記旋回機構を駆動する第1の油圧モータと、第2の油圧回路を介してアキュミュレータに接続され、該アキュミュレータからの油圧で駆動されて前記旋回機構を駆動し、且つ前記旋回機構の駆動により駆動されて油圧を発生して前記アキュミュレータに蓄積する第2の油圧モータとを有することを特徴とする建設機械が提供される。
上述の建設機械において、前記第2の油圧モータは可変容量モータであり、前記アキュミュレータに蓄積された油圧に基づいて前記可変容量モータの容量が制御されることが好ましい。また、前記アキュミュレータに蓄積された油圧に基づいて前記第1の油圧モータの作動を制御することが好ましい。さらに、 前記旋回部の旋回速度を検出するセンサをさらに有し、前記旋回部の旋回速度がゼロで無い値で変動しないときは、前記第2の油圧モータを空回り状態とし、前記第1の油圧モータを駆動して前記旋回部を旋回させることとしてもよい。また、前記第1の油圧モータを駆動する際に前記油圧ポンプの吐出量を調節する機能を有する油圧回路を含むこととしてもよい。
上述の発明によれば、簡単な油圧回路により旋回駆動機構からのエネルギの回収を容易に且つ効率的に行なうことができる建設機械を提供することができる。
油圧ショベルの側面図である。 エネルギ回生機構の概略構成を示す図である。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、上部旋回体が停止しているときの状態が示されている。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、旋回アシストモータにより上部旋回体を旋回加速するときの状態が示されている。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、旋回モータにより上部旋回体を旋回加速するときの状態が示されている。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、旋回モータにより上部旋回体を等速運転するときの状態が示されている。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、旋回アシストモータにより上部旋回体を旋回減速するときの状態が示されている。 旋回モータ及び旋回アシストモータを駆動する油圧回路の回路図であり、旋回モータにより上部旋回体を旋回減速するときの状態が示されている。
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明によるエネルギ回生機構を有する建設機械の一例として油圧ショベルについて説明する。なお、本発明によるエネルギ回生機構が適用される建設機械は、油圧ショベルに限定されるものではなく、旋回機構を有する油圧作業機器であればよい。例えば、油圧ショベルのバケットをリフティングマグネットに付け替えたいわゆるリフマグ式建設機械にも適用することができる。
図1は建設機械の一例である油圧ショベルの側面図である。油圧ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3からブーム4が延在し、ブーム4の先端にアーム5が接続される。さらに、アーム5の先端にバケット6が接続される。ブーム4、アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10及び動力源としてのエンジン(図示せず)が搭載される。
上部旋回体3は、下部走行体1に対して旋回機構2を介して旋回可能に搭載されている。本例では旋回機構2は油圧モータにより駆動されるが、電動モータにより駆動することもある。旋回機構2の油圧モータにはエンジンにより駆動される油圧ポンプから油圧が供給される。
本発明の一実施形態では、上述の油圧ショベルにおいて、上部旋回体3の旋回運動中の慣性エネルギをエネルギ回生機構で回収して旋回駆動用の動力として再利用する。
図2はエネルギ回生機構の概略構成を示す図である。図2において図1に示す構成部品と同等の部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
上部旋回体3は旋回機構2により下部走行体1に対して旋回する。旋回機構2は油圧モータである旋回モータ12(第1の油圧モータ)を動力源として駆動される。旋回モータ12には、エンジンで駆動される油圧ポンプ(図示せず)から油圧が供給される。旋回モータ12を有する旋回機構2で上部旋回体3を旋回駆動する構成は周知の技術である。本実施形態では、この旋回機構2にエネルギ回生機構20を設けて上部旋回体3の慣性エネルギを回収し、回収したエネルギを上部旋回体3の加速用動力として再利用する。
エネルギ回生機構20は、旋回アシストモータ22とアキュミュレータ24とを有する。旋回アシストモータ22(第2の油圧モータ)は旋回駆動用の旋回モータ12(第1の油圧モータ)とは別個の油圧モータである。旋回アシストモータ22は旋回機構2に組み込まれており、上部旋回体3の旋回と共に旋回アシストモータ22の回転軸が回転するように構成されている。本実施形態では、旋回アシストモータ22として斜板式油圧モータ等の可変容量モータが用いられる。
旋回アシストモータ22の一方の油圧ポートはアキュミュレータ24に接続され、他方の油圧ポートはタンク26に接続される。ここで、上部旋回体3は両方向に旋回するので、旋回アシストモータ22として両方向に回転可能な油圧モータが用いられる。この場合、旋回アシストモータ22の油圧ポートとアキュミュレータ24及びタンク26との接続は回転方向によって切り換える必要がある。図2に示す構成はエネルギ回生機構20の原理を説明するためのものであり、切り換え弁は省略されている。
ここで、図2において、上部旋回体3を左回り(矢印方向)旋回させる場合を考える。上部旋回体3を左回りに旋回させるためには、通常、旋回機構2の旋回モータ12を所定の方向に回転させる。しかし、本実施形態では、まず、アキュミュレータ24に蓄積されていた油圧が旋回アシストモータ22に供給される。これにより、旋回アシストモータ22が回転して、旋回機構2を介して上部旋回体3が右方向に旋回されて旋回加速状態となる。すなわち、上部旋回体3を旋回させるには、まず、第2の油圧モータである旋回アシストモータ22を駆動して上部旋回体3を旋回加速状態とする。ここで、アキュミュレータ24には十分な油圧が蓄積されているものとする。
アキュミュレータ24からの油圧で上部旋回体3を左回りに旋回加速した後、左回りの等速運転になると、旋回モータ12に油圧ポンプからの油圧が供給されて駆動され、上部旋回体3の左回りの等速運転が維持される。そして、上部旋回体3の回転位置が目標回転位置に近づくと、上部旋回体3の旋回減速が行なわれる。上部旋回体3は大きな重量を有しており、その慣性力で旋回し続けようとするので、上部旋回体3を所定の回転位置に停止させようとするには、上部旋回体3にブレーキをかけて減速させる必要がある。
旋回減速を行なうには、旋回モータ12への油圧の供給が停止される。旋回モータ12への油圧の供給が停止されるとブレーキがかかり減速状態となる。本実施形態では、旋回アシストモータ22が油圧ポンプとして機能するように油圧ポートの接続が切り換えられる。すなわち、旋回アシストモータ22を油圧ポンプとして機能させることで、タンク26から作動油を高圧にしてアキュミュレータ24に蓄積する。すなわち、上部旋回体3の慣性力を旋回アシストモータ22を駆動するための動力として使用し、得られた油圧をアキュミュレータ24に蓄積することで、上部旋回体3の慣性エネルギを油圧として回収する。上部旋回体3の慣性エネルギを油圧に変換することで、上部旋回体の慣性力が低減され、ブレーキがかけられたこととなる。ここで、本実施形態では、旋回アシストモータ22で上部旋回体3の慣性エネルギの大部分を吸収するようにするため、旋回アシストモータ22(第2の油圧モータ)を油圧ポンプとして機能させるときには、旋回モータ12(第1の油圧モータ)は空回りさせることが好ましい。
以上のようにしてアキュミュレータ24に蓄積された油圧は、その次に上部旋回体3を旋回させる際の旋回加速のための動力として使用される。
なお、上述の説明では、上部旋回体3の停止トルク及び等速運転時トルクを旋回モータ12が負担し、旋回加速時トルク及び旋回減速時トルクを旋回アシストモータ22が負担している。しかし、エネルギ回生機構20の保有エネルギが小さい場合、すなわち、アキュミュレータ24に蓄積された作動油が少ない、あるいは油圧が低い場合は、旋回加速時トルクの一部又は全部を旋回モータ12が負担することとしてもよい。反対に、エネルギ回生機構20の保有エネルギが大きい場合、すなわち、アキュミュレータ24に蓄積された作動油が多い、あるいは油圧が高い場合は、減速時において、旋回モータ12のブレーキ回路で減速させるようにしてもよい。
ここで、旋回アシストモータ22を可変容量モータとすることで、アキュミュレータ24に蓄積されている油圧の大きさに応じて、旋回アシストモータ22の容量を制御して発生するトルクを制御することができる。したがって、旋回加速時及び旋回減速時の旋回アシストモータ22のトルクを、回転数によらず一定とすることができる。
上述のエネルギ回生機構20は、油圧ショベルにもともと備えられている旋回モータ12及びそれを駆動制御するための油圧回路を含む旋回機構2に付加的に設けられている。したがって、油圧回路を含む旋回機構2を大きく改造すること無く、従来の油圧ショベルに対して容易にエネルギ回生機構20を組み込むことができるという利点がある。
次に、旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路について説明する。
図3は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、上部旋回体3が停止しているときの状態が示されている。上部旋回体3が停止している状態では、旋回モータ12がブレーキをかけており、且つ旋回アシストモータ22が休止している。図3において、油圧ラインは実線で示され、油圧パイロットラインは点線で示され、電気信号ラインは一点鎖線で示され、動力伝達ラインは太い実線で示されている。図3以降の図4〜8においても同様な表示がなされている。
図3において、エンジン28により駆動される油圧ポンプ30は、作動制御弁32及び旋回系作動切替弁34を介して油圧を旋回モータ12に供給する。作動制御弁32は運転者が操作する操作レバー36からの信号により制御される。操作レバー36からの信号は、油圧回路全体を制御するコントローラ38にも供給される。コントローラ38は、操作レバー36からの信号及びその他センサからの信号に基づいて、旋回系作動切替弁34を制御する。
旋回モータ12を駆動するための油圧回路(第1の油圧回路)は、操作レバー36からの信号により制御される作動制御弁32と、コントローラ38により制御される旋回系作動切替弁34とを含んでいる。エンジン28は常時運転されており、油圧ポンプ30も作動油を常時を吐出している。このため、旋回モータ12を休止しているときには、油圧ポンプ30から吐出された作動油は作動制御弁32を介してタンク26へ戻るように油圧回路が構成されている。
図3に示す停止状態ではレバーは中立位置にあるため、作動制御弁32は作動油をネガコンラインを介してタンク26へ戻すように、ネガコンラインと油圧ポンプ30を連通する位置へ切り替わる。この状態では、油圧ポンプ30から吐出する戻りの作動油によりネガコンラインの圧力が上昇する。この戻りの作動油の上昇がパイロット回路を介してレギュレータに伝達され、傾転角が小さくなるように作用する。ここで、油圧ポンプ30は斜板式容量可変型油圧ポンプであり、戻りの作動油の圧力で油圧ポンプ30の斜板が押されて油圧ポンプ30の容量が小さくなる。すなわち、作動制御弁32が閉じられて作動油がタンク26に戻されているときは、油圧ポンプ30の容量が小さくなり、油圧ポンプ30の吐出量が低減し、旋回停止時において油圧ポンプにより無駄なエネルギを消費しないようになっている。
上部旋回体3が停止しているとき、すなわち、旋回していないときには、操作レバー36からの信号は無く、作動制御弁32は、上述のように油圧ポンプ30からの油圧ラインをタンク26に戻す油圧ラインに接続するように制御されている。そして、作動制御弁32は旋回系作動切替弁34からタンク26へ繋がる油圧ラインを遮断するとともに、油圧ポンプ30から旋回系作動切替弁34へ繋がる油圧ラインも遮断する。また、コントローラ38は、旋回系作動切替弁34を制御し、作動制御弁32から旋回モータ12の油圧ポート12Bに繋がる油圧ラインを連通し、且つ旋回モータ12の油圧ポート12Aから作動制御弁32に繋がる油圧ラインを連通する。これにより、旋回モータ12はブレーキ状態となる。
一方、旋回アシストモータ22を駆動するための油圧回路(第2の油圧回路)を構成する旋回アシスト系方向切替弁42及び旋回アシスト系力行・回生切替弁44は、コントローラ38により制御される。旋回アシストモータ22は、旋回アシスト系方向切替弁42及び旋回アシスト系力行・回生切替弁44を介してアキュミュレータ24に接続されている。アキュミュレータ24に接続された油圧ラインには、旋回アシスト系圧力センサ46が設けられている。旋回アシスト系圧力センサ46は、アキュミュレータ24に蓄積された油圧を検出し、検出圧力に相当する信号をコントローラ38に供給する。コントローラ38は、旋回アシスト系圧力センサ46からの信号に基づいて、アキュミュレータ24内の作動油の量を把握することができる。
上部旋回体3が停止しているときは、コントローラ38は旋回アシスト系力行・回生切替弁44を制御し、旋回アシストモータ22の油圧ポート22Aからの油圧ラインを油圧ポート22Bに接続する。これにより、旋回アシストモータ22は空回り可能な状態となる。
なお、上部旋回体3の回転軸には速度センサ48が設けられ、速度センサ48が検出した旋回速度を表す信号がコントローラ38に供給される。
図3に示す停止状態から、操作レバー36が操作されて上部旋回体3を旋回させる指令が出されると、油圧回路は図4に示す状態に移行する。図4は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、旋回アシストモータ22により上部旋回体3をBポートからAポートへ作動油が抜ける方向へ旋回加速するときの状態が示されている。
上部旋回体3を旋回加速する際には、旋回モータ12は休止され、旋回アシストモータ22が駆動される。すなわち、上部旋回体3の加速は、旋回アシストモータ22のみによって行なわれる。
上部旋回体3を旋回させるために操作レバー36が操作されると、操作レバー36からの信号により、作動制御弁32は、油圧ポンプ30からの油圧ラインを旋回系作動切替弁34への油圧ラインに接続し、且つ旋回系作動切替弁34からの戻りの油圧ラインをタンク26への油圧ラインに接続する。しかし、コントローラ38は、旋回系作動切替弁34を制御し、油圧ポンプ30からの油圧ラインと旋回モータ12の油圧ポート12Bに繋がる油圧ラインとの接続を遮断し、旋回モータ12の油圧ポート12Aに繋がる油圧ラインとタンク26に作動油を戻す油圧ラインとの接続を遮断し、且つ旋回モータ12の油圧ポート12Bに繋がる油圧ラインと油圧ポート12Aに繋がる油圧ラインとを接続する。これにより、旋回モータ12は空回り可能な状態となる。
ここで、加速時にレバーが中立位置から「ON」状態に切り替わると、レバーの傾きに応じて油圧ポンプの吐出量が増加してしまう。このため、レバーが「ON」状態になっても、加速時に油圧ポンプ30の吐出量を制限する必要がある。そこで、本発明では、ネガコンラインと油圧ポンプ30との間に、コントローラ38で制御される旋回系補助ネガコン弁40が配置されている。これにより、レバー「ON」と合わせて作動制御弁32が連通状態になっても、旋回系補助ネガコン弁40を介してネガコンラインへ作動油が流れる。これにより、油圧ポンプ30から吐出する戻りの作動油によりネガコンラインの圧力が上昇する。この戻りの作動油の上昇がパイロット回路を介してレギュレータに伝達され、傾転角が小さくなるように作用する。その結果、レバーが「ON」状態になっても、加速時に油圧ポンプ30の吐出量が制限される。さらに、空転状態の旋回モータ12へ作動油を送ることを抑制できるので、不要なエネルギロスを削減することができ、建設機械の燃費を向上させることができる。
一方、コントローラ38は、旋回アシスト系方向切替弁42及び旋回アシスト系力行・回生切替弁44を制御し、アキュミュレータ24に蓄積された作動油が旋回アシストモータ22の油圧ポート22Bに供給され、旋回アシストモータ22の油圧ポート22Aから排出された作動油がタンク26に流れる油圧回路を構成する。したがって、アキュミュレータ24からの作動油は、旋回アシスト系力行・回生切替弁44及び旋回アシスト系方向切替弁42を通じて、旋回アシストモータ22の油圧ポート22Bに供給される。そして、旋回アシストモータ22を回転させた作動油は、油圧ポート22Aから吐出され、旋回アシスト系方向切替弁42及び旋回アシスト系力行・回生切替弁44を通じてタンク26に排出される。このように、アキュミュレータ24からの油圧によって旋回アシストモータ22が駆動され、上部旋回体3が旋回加速される。
なお、旋回アシストモータ22は容量可変モータであり、コントロールピストン22Cによって容量が可変に制御される。アキュミュレータ24内の油圧はパイロットラインを介してコントロールピストンに作用し、アキュミュレータ24内の圧力によって斜板の角度が制御される。アキュミュレータ24内の圧力が高いときには、斜板の角度が小さくなり、作動油の流量は少なくなる。一方、アキュミュレータ24内の圧力が低くなると、斜板の角度が大きくなり、作動油の流量は多くなる。したがって、アキュミュレータ24内の油圧の高低に関わらず、旋回アシストモータ22のトルクを常に一定にすることができる。
以上のように、旋回アシストモータ22のみにより旋回加速が行なわれ、旋回加速が終了すると等速運転に移行するが、等速運転に移行する前にアキュミュレータ24の油圧が無くなることもあり得る。アキュミュレータ24の油圧が無くなると、旋回アシストモータ22は駆動できなくなるから、旋回アシストモータ22を休止させ、旋回モータ12により駆動することで旋回加速を続行する。
図5は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、アキュミュレータ24内の作動油が無くなったため旋回モータ12により上部旋回体3を旋回加速するときの状態が示されている。
アキュミュレータ24内の油圧は旋回アシスト系圧力センサ46が検出しており、コントローラ38は、旋回アシスト系圧力センサ46からの信号に基づいてアキュミュレータ24内の油圧が所定の値より低くなると、旋回アシスト系力行・回生切替弁44を制御して旋回アシストモータ22を休止状態とする。同時に、コントローラ38は、作動制御弁32を制御して、油圧ポンプ30からの油圧で旋回モータ12を駆動する。すなわち、油圧モータ30からの作動油は作動制御弁32及び旋回系作動切替弁34を通じて旋回モータ12の油圧ポート12Bに供給される。そして、旋回モータ12を駆動して油圧ポート12Aから排出された作動油は、旋回系作動切替弁34及び作動制御弁32を通じてタンク26に排出される。
したがって、アキュミュレータ24内に蓄えられた作動油が減少するとともに、アキュミュレータ24の圧力も低下する。そして、アキュミュレータ24の圧力が下限値として予め設定された第1の閾値より小さくなると、コントローラ38は旋回系補助ネガコン弁40を非連通状態に切り替えて、ネガコンラインへの作動油の流入を遮断する。これにより、油圧ポンプ30の傾転角が大きくなり、油圧ポンプ30の吐出量がレバーの傾きと対応して大きくなり、旋回モータ12に十分な作動油を供給することができる。
以上のように、アキュミュレータ24の油圧が無くなると、旋回アシストモータ22に代えて旋回モータ12を駆動し、上部旋回体3を引き続き旋回加速することができる。そして、旋回加速が終了すると、等速運転に移行する。
速度センサ48は上部旋回体3の旋回速度を検出しており、コントローラ38は速度センサ48で検出した速度が操作レバー26の操作から求められる所定の速度に達すると、等速運転に移行する。
図6は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、旋回モータ12により上部旋回体3を等速運転するときの状態が示されている。
上部旋回体3を等速運転するときには、旋回アシストモータ22を休止状態とし、旋回モータ12のみで上部旋回体3を駆動する。このときの油圧回路の状態が図6に示されているが、図5に示す油圧回路の状態と同じであり、その説明は省略する。
なお、アキュミュレータ24の油圧による旋回アシストモータ22のみの駆動で旋回加速が終了した場合は、図4に示す旋回加速状態から図6に示す等速運転状態に移行する。また、アキュミュレータ24の油圧が不足して図5に示すように旋回モータ12の駆動による旋回加速状態となった場合は、油圧回路は図5に示す状態のまま、等速運転状態に移行することとなる。
上部旋回体3を所望の回転位置に停止させるためには、等速運転から旋回減速に移行してブレーキをかける必要がある。操作者が操作レバー36を操作して減速運転に移行すると、油圧回路は図7に示す状態となる。図7は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、旋回アシストモータ22により上部旋回体3を旋回減速するときの状態が示されている。
操作者が操作レバー36を操作して旋回減速運転に移行すると、操作レバー36からの信号により動作制御弁32が制御される。動作制御弁32が制御されると、油圧ポンプ30から旋回系作動切替弁34に至る油圧ラインが遮断され、且つ旋回モータ12からタンク26に至る油圧ラインが遮断された状態となる。これと同時に、油圧ポンプ30からの油圧ラインはタンク26へ戻る油圧ラインに接続される。
また、コントローラ38は、操作レバー36からの信号に基づいて旋回系作動切替弁34を制御し、旋回モータ12の油圧ポート12Aからの油圧ラインが油圧ポート12Bに繋がるようにする。これにより、旋回モータ12は駆動されず、空回りできる状態となる。
減速時には、作動制御弁32の切替えにより、旋回モータ12への油圧回路が非連通状態になり、また、ネガコンラインへは連通状態となる。このため、旋回系補助ネガコン弁40が非連通状態のままでもネガコンラインの圧力は上昇し、コントローラ38は、油圧ポンプ30の傾転角を小さくして、油圧ポンプ30の吐出量を制限することができる。したがって、空転状態の旋回モータ12へ作動油を送ることを抑制できるので、不要なエネルギロスを削減することができ、建設機械の燃費を向上させることができる。
これと同時に、コントローラ38は旋回アシスト系力行・回生切替弁44を制御し、アキュミュレータ24からの油圧ラインを旋回アシストモータ22の油圧ポート22Aに繋がる油圧ラインに接続し、且つ、旋回アシストモータ22の油圧ポート22Bに繋がる油圧ラインをタンク26に繋がる油圧ラインに接続する。これにより、旋回アシストモータ22の回転力により、タンク26からの作動油がアキュミュレータ24内に蓄積される。したがって、アキュミュレータ24内へ蓄積される際に発生する負荷により、旋回アシストモータ22は等速運転時の回転方向とは反対の方向の回転トルクを発生し、ブレーキがかかって旋回減速運転となる。
旋回減速運転を続けると、最終的に旋回速度はゼロとなり、上部旋回体3は所望の回転位置に停止する。ただし、上部旋回体3が停止する前にアキュミュレータ24内の油圧が満杯になるおそれがある。その場合は、旋回アシストモータ22による旋回減速運転の代わりに、旋回モータ12による旋回減速運転に切り換える。
図8は旋回モータ12及び旋回アシストモータ22を駆動する油圧回路の回路図であり、旋回モータ12により上部旋回体3を旋回減速するときの状態が示されている。
アキュミュレータ24内に蓄えられた作動油が増加するとともに、アキュミュレータ24の圧力も上昇する。そして、アキュミュレータ24の圧力が、上限値として予め設定された第2の閾値を上回ったら、コントローラ38は、旋回系作動切替弁34を制御して、旋回モータ12の油圧ポート12Aからの油圧ラインと油圧ポート12Bからの油圧ラインとの接続を遮断する。これにより、作動油は旋回モータ12内を通じて内部ブレーキ回路へ流れ、旋回モータ12にブレーキがかかる。
これと同時に、コントローラ38は、旋回アシスト系力行・回生切替弁44を制御し、アキュミュレータ24からの油圧ラインと旋回アシストモータ22の油圧ポート22Aに繋がる油圧ラインとの接続を遮断し、油圧ポート22Bからの油圧ラインとタンク26への油圧ラインとの接続を遮断し、且つ油圧ポート22Aからの油圧ラインを油圧ポート22Bからの油圧ラインに接続する。これにより、旋回アシストモータ22は空回りすることができるようになる。
以上説明した油圧回路の制御により、上部旋回体3の慣性エネルギを油圧としてアキュミュレータ24に蓄積し、旋回アシストモータ22によりアキュミュレータ24の油圧を旋回加速トルク及び旋回減速トルクに変換して利用することができる。
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
12 旋回モータ
20 エネルギ回生機構
22 旋回アシストモータ
22C コントロールピストン
24 アキュミュレータ
26 タンク
28 エンジン
30 油圧ポンプ
32 作動制御弁
34 旋回系作動切替弁
36 操作レバー
38 コントローラ
40 旋回系補助ネガコン弁
42 旋回アシスト系方向切替弁
44 旋回アシスト系力行・回生切替弁
46 旋回アシスト系圧力センサ
48 速度センサ

Claims (5)

  1. 旋回機構により旋回駆動される旋回部と、
    エンジンにより駆動される油圧ポンプと、
    第1の油圧回路を介して前記油圧ポンプに接続され、前記油圧ポンプからの油圧で駆動されて前記旋回機構を駆動する第1の油圧モータと、
    第2の油圧回路を介してアキュミュレータに接続され、該アキュミュレータからの油圧で駆動されて前記旋回機構を駆動し、且つ前記旋回機構の駆動により駆動されて油圧を発生して前記アキュミュレータに蓄積する第2の油圧モータと
    を有することを特徴とする建設機械。
  2. 請求項1記載の建設機械であって、
    前記第2の油圧モータは可変容量モータであり、前記アキュミュレータに蓄積された油圧に基づいて前記可変容量モータの容量が制御されることを特徴とする建設機械。
  3. 請求項1又は2記載の建設機械であって、
    前記アキュミュレータに蓄積された油圧に基づいて前記第1の油圧モータの作動を制御することを特徴とする建設機械。
  4. 請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の建設機械であって、
    前記旋回部の旋回速度を検出するセンサをさらに有し、
    前記旋回部の旋回速度がゼロで無い値で変動しないときは、前記第2の油圧モータを空回り状態とし、前記第1の油圧モータを駆動して前記旋回部を旋回させることを特徴とする建設機械。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の建設機械であって、
    前記第1の油圧モータを駆動する際に前記油圧ポンプの吐出量を調節する機能を有する油圧回路を含むことを特徴とする建設機械。
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