JP2018071311A - エネルギ回生システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギ回生システムの効率を高める。
【解決手段】エネルギ回生システム100は、エンジン11により駆動され作動油を吐出するポンプ10と、ポンプ10から吐出される作動油により駆動される旋回モータ30及びブームシリンダ50と、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動される回生モータ80と、回生モータ80とエンジン11とを連結し、回生モータ80とエンジン11の変速比を連続的に変化させる無段変速機90と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】エネルギ回生システム100は、エンジン11により駆動され作動油を吐出するポンプ10と、ポンプ10から吐出される作動油により駆動される旋回モータ30及びブームシリンダ50と、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動される回生モータ80と、回生モータ80とエンジン11とを連結し、回生モータ80とエンジン11の変速比を連続的に変化させる無段変速機90と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、エネルギを回生するシステムに関する。
油圧ショベル等の旋回式作業機械において、アクチュエータから排出される作動流体のエネルギを回生するエネルギ回生システムが知られている。特許文献1には、エンジンに連結される可変容量型の回生モータを備えるエネルギ回生システムが開示されている。このエネルギ回生システムでは、旋回減速時に旋回モータから排出される作動流体により回生モータが駆動され、エンジンが回生モータによってアシストされる。
特許文献1に開示されるエネルギ回生システムでは、回生モータはエンジンの出力シャフトに直接連結され、回生モータの回転数はエンジンの回転数と一致する。そして、回生モータに供給される作動流体の流量に応じて回生モータの容量を変化させることによって、エンジンがアシストされる。
しかしながら、可変容量型の回生モータにおける容量変化の応答性は、小容量域及び大容量域において低い。そのため、回生モータに小流量又は大流量の作動流体が供給される際に、回生モータの容量を十分な応答性で変化させることができない。この場合、回生モータがエンジンの負荷となってエンジンの燃費が低下するおそれがある。また、エンジンの定格動力を超える動力が回生モータからエンジンに伝達されるおそれがある。
このため、特許文献1のエネルギ回生システムでは、アクチュエータから小流量又は大流量の作動流体が排出される際には回生モータを迂回してタンクに作動流体を排出する必要がある。つまり、回生モータにより回生可能な流量範囲が制限され、作動流体のエネルギを効率的に回生することができない。
本発明は、エネルギ回生システムの効率を高めることを目的とする。
第1の発明は、エンジンにより駆動されるポンプと、ポンプから吐出される作動流体により駆動されるアクチュエータと、アクチュエータから排出される作動流体により駆動される回生モータと、回生モータとエンジンとを連結し回生モータとエンジンの変速比を連続的に変化させる無段変速機と、を備えることを特徴とする。
第1の発明では、無段変速機が変速比を連続的に変化させるので、エンジンと回生モータとの連結に関わらず、回生モータはアクチュエータから送られる作動流体の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動流体の流量に応じて回生モータの容量を変化させることなく回生モータを作動流体により駆動して回生モータの動力をエンジンに伝達させることができ、回生可能な流量範囲を拡大することができる。
第2の発明は、エンジンと回生モータとの連結を切り離すクラッチを更に備えることを特徴とする。
第2の発明では、クラッチがエンジンと回生モータとの連結を切り離す。クラッチにより連結が切り離された状態では、エンジンと回生モータとの間の動力の伝達が遮断され、エンジンは回生モータから独立して駆動される。したがって、回生モータへの作動流体の供給が遮断された場合に回生モータがエンジンにより駆動されるのを防ぐことができ、回生モータとアクチュエータとの間の通路の圧力の低下を防ぐことができる。
第3の発明は、クラッチが、エンジンと無段変速機との間に設けられることを特徴とする。
第3の発明では、クラッチがエンジンと無段変速機との間に設けられる。クラッチにより連結が切り離された状態では、エンジンと無段変速機との間の動力の伝達が遮断され、エンジンは無段変速機から独立して駆動される。したがって、エンジンが無段変速機を駆動するのを防止することができ、エンジンの負荷を低減してエンジンの燃費を向上させることができる。
第4の発明は、タンク内の作動流体を回生モータに導くタンク通路と、タンク通路を通じてタンクへ向かう作動流体の流れを遮断する逆止弁と、を更に備えることを特徴とする。
第4の発明では、タンク内の作動流体はタンク通路により回生モータに導かれる。そのため、アクチュエータからの作動流体の排出が停止し回生モータがエンジンにより駆動されるときには、回生モータは、タンク通路を通じてタンク内の作動流体を吸い込む。したがって、回生モータとアクチュエータとの間の通路の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。また、逆止弁がタンク通路を通じてタンクへ向かう作動流体の流れを遮断するので、アクチュエータから排出される作動流体は、タンク通路を通じてタンクへ向かうことなく、回生モータに供給される。したがって、より多くの作動流体のエネルギを回生モータにより回生することができる。
第5の発明は、アクチュエータから排出される作動流体をアキュムレータに導くとともにアキュムレータ内の作動流体を回生モータに導くアキュムレータ通路を更に備えることを特徴とする。
第5の発明では、アキュムレータ通路がアキュムレータ内の作動流体を回生モータに導く。そのため、アクチュエータからの作動流体の排出が停止し回生モータがエンジンにより駆動されるときには、回生モータは、アキュムレータ通路を通じてアキュムレータ内の作動流体を吸い込む。したがって、回生モータとアクチュエータとの間の通路の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
第6の発明は、アキュムレータ通路における作動流体の流れを遮断する制御弁を更に備えることを特徴とする。
第6の発明では、制御弁がアキュムレータ通路における作動流体の流れを遮断する。制御弁により作動流体の流れが遮断された状態では、アキュムレータに蓄圧された作動流体は、アキュムレータ内に貯留される。したがって、所望のタイミングでアキュムレータ内に貯留された作動流体を回生モータに供給して回生モータを駆動することができ、効率的にエンジンをアシストすることができる。
第7の発明は、タンク内の作動流体を回生モータに導くタンク通路と、アクチュエータから排出される作動流体をアキュムレータに導くとともにアキュムレータ内の作動流体を回生モータに導くアキュムレータ通路と、タンク通路とアキュムレータ通路とにわたって設けられる制御弁と、を更に備え、制御弁は、タンク通路におけるタンクから回生モータへ向かう作動流体の流れを許容しアキュムレータ通路における作動流体の流れを遮断する第1位置と、タンク通路における作動流体の流れを遮断しアキュムレータ通路における作動流体の流れを許容する第2位置と、を有することを特徴とする。
第7の発明では、制御弁は、第1位置と第2位置とを有する。制御弁が第1位置にある場合には、タンク内の作動流体が回生モータに導かれる。制御弁が第2位置にある場合には、アキュムレータ内の作動流体が回生モータに導かれる。したがって、回生モータがタンク内の作動流体を吸い込む状態と、回生モータがアキュムレータから供給される作動流体により駆動される状態と、を容易に切り換えることができ、効率的にエンジンをアシストすることができる。
本発明によれば、エネルギ回生システムの効率を高めることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ここでは、油圧ショベルに適用されるエネルギ回生システムについて説明するが、本実施形態は油圧ショベル以外の装置にも適用可能である。油圧ショベルでは、作動流体として作動油が用いられるが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
<第1実施形態>
まず、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るエネルギ回生システム100について説明する。
まず、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るエネルギ回生システム100について説明する。
図1に示すように、油圧ショベル1は、クローラ式の走行部2と、走行部2の上部に旋回可能に設けられる旋回部3と、旋回部3の前方部に設けられる掘削部4と、を備える。走行部2は、走行モータ(図示省略)によって駆動される左右一対のクローラ2aを有する。左右一対のクローラ2aが駆動されると油圧ショベル1が走行する。
旋回部3の回転軸は、鉛直軸と略一致する。旋回部3は旋回モータ30(図2等参照)を介して走行部2に連結され、旋回モータ30の作動により走行部2に対して左右に旋回する。
掘削部4は、ブーム5と、アーム6と、バケット7と、を有する。ブーム5は旋回部3に回動可能に支持され、アーム6はブーム5の先端に回動可能に支持され、バケット7はアーム6の先端に回動可能に支持される。ブーム5、アーム6及びバケット7の回転軸は、水平軸と略一致する。
ブーム5はブームシリンダ50を介して旋回部3と連結され、ブームシリンダ50によって旋回部3に対して上下に回動する。同様に、アーム6はアームシリンダ60を介してブーム5と連結され、アームシリンダ60によってブーム5に対して回動する。バケット7はバケットシリンダ70を介してアーム6と連結され、バケットシリンダ70によってアーム6に対して回動する。
本明細書の説明において、旋回モータ30、ブームシリンダ50、アームシリンダ60及びバケットシリンダ70を単に「アクチュエータ」とも称する。
図2に示すように、エネルギ回生システム100は、作動油を吐出するポンプ10と、ポンプ10から吐出された作動油の流れを制御する制御弁ユニット20と、を備える。制御弁ユニット20は、供給通路21を通じてポンプ10に接続されるとともに、排出通路22を通じてタンク12に接続される。
ポンプ10は、エンジン11の出力シャフト11aに連結される。エンジン11が作動すると、ポンプ10はエンジン11により駆動され作動油を吐出する。ポンプ10から吐出された作動油は、供給通路21を通じて制御弁ユニット20に導かれる。
制御弁ユニット20は、図3に示すように、旋回モータ30、ブームシリンダ50、アームシリンダ60及びバケットシリンダ70への作動油の供給をそれぞれ制御する旋回制御弁31、ブーム制御弁51、アーム制御弁61及びバケット制御弁71を有する。旋回制御弁31、ブーム制御弁51、アーム制御弁61及びバケット制御弁71は、供給通路21に接続される。
また、制御弁ユニット20は、旋回モータ30、ブームシリンダ50、アームシリンダ60及びバケットシリンダ70を介することなく供給通路21と排出通路22とを接続する中立通路23を有する。中立通路23には、旋回制御弁31、ブーム制御弁51、アーム制御弁61及びバケット制御弁71が設けられる。つまり、旋回制御弁31、ブーム制御弁51、アーム制御弁61及びバケット制御弁71は、中立通路23における作動油の流れも制御する。
図2に示すように、エネルギ回生システム100は、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動される回生モータ80と、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達する無段変速機90と、を更に備える。回生モータ80が旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動されると、回生モータ80の動力が無段変速機90を通じてエンジン11に伝達され、エンジン11がアシストされる。
このように、エネルギ回生システム100では、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油のエネルギが回生モータ80により回生される。
ポンプ10、旋回モータ30、ブームシリンダ50、回生モータ80及び無段変速機90、並びにこれらに関連する構成について詳述する。
まず、ポンプ10及びポンプ10に関連する構成について、図1及び図3を参照して説明する。
ポンプ10は、中立通路23における作動油の流量に応じて容量を変更可能な可変容量型ポンプである。具体的には、ポンプ10は斜板を有し、斜板の傾転角の変化に伴って押し除け量が変化する。斜板の傾転角は、レギュレータ10aにより制御される。
レギュレータ10aは、パイロット通路13aを通じてパイロット圧生成部13に接続される。パイロット圧生成部13は、中立通路23に設けられ、中立通路23における作動油の流量に応じたパイロット圧を生成する。具体的には、パイロット圧生成部13は、中立通路23における作動油の流量が多いほど高いパイロット圧を生成し、中立通路23における作動油の流量が少ないほど低いパイロット圧を生成する。
パイロット圧生成部13のパイロット圧は、パイロット通路13aを通じてレギュレータ10aに伝達される。レギュレータ10aは、パイロット圧生成部13のパイロット圧に応じてポンプ10の傾転角を制御し、ポンプ10の押し除け量を変化させる。具体的には、レギュレータ10aは、パイロット圧が高いほど傾転角を小さくし、ポンプ10の押し除け量を小さくする。また、レギュレータ10aは、パイロット圧が低いほど傾転角を大きくし、ポンプ10の押し除け量を大きくする。
このように、ポンプ10は、中立通路23における作動油の流量が多いほど押し除け量が小さくなり中立通路23における作動油の流量が少ないほど押し除け量が大きくなるように、パイロット圧生成部13及びレギュレータ10aにより制御される。中立通路23における作動油の流量が0(零)の場合には、ポンプ10の傾転角は最大になり、1回転当たりの1回転当たりの押し除け量が最大になる。
次に、旋回モータ30及び旋回モータ30に関連する構成について、図1及び図3を参照して説明する。
旋回モータ30は、ポンプ10から吐出される作動油により駆動され動力(トルク)を発生する油圧モータである。旋回モータ30と旋回制御弁31とは、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32bを通じて接続される。
旋回制御弁31は、3位置切換弁である。具体的には、旋回制御弁31は、ポンプ10から旋回モータ30への作動油の供給を遮断する中立位置31aと、ポンプ10から旋回モータ30への作動油の供給を許容する第1動作位置31b及び第2動作位置31cと、を有する。
旋回制御弁31は、中立位置31aにあるときには、中立通路23における作動油の流れを許容する。このとき、旋回制御弁31は、供給通路21から第1旋回通路32aへの作動油の流れを遮断するとともに、供給通路21から第2旋回通路32bへの作動油の流れを遮断する。そのため、旋回モータ30にはポンプ10から吐出される作動油が供給されず、旋回モータ30は駆動されない。
またこのとき、旋回制御弁31は、第1旋回通路32aから排出通路22への作動油の流れを遮断するとともに、第2旋回通路32bから排出通路22への作動油の流れを遮断する。したがって、旋回モータ30内の作動油は、排出通路22を通じてタンク12に排出されない。
旋回制御弁31は、第1動作位置31bに切り換えられると、中立通路23における作動油の流れを遮断し、供給通路21から第1旋回通路32aへの作動油の流れを許容する。そのため、ポンプ10から吐出された作動油は、供給通路21、旋回制御弁31及び第1旋回通路32aを通じて旋回モータ30に供給される。その結果、旋回モータ30は所定の方向に回転し、旋回部3(図1参照)を旋回させる。
このとき、旋回制御弁31は、第2旋回通路32bから排出通路22への作動油の流れを許容する。旋回モータ30の駆動に伴って、旋回モータ30内の作動油は、第2旋回通路32b、旋回制御弁31及び排出通路22を通じてタンク12に排出される。
旋回制御弁31は、第2動作位置31cに切り換えられると、中立通路23における作動油の流れを遮断し、供給通路21から第2旋回通路32bへの作動油の流れを許容する。そのため、ポンプ10から吐出された作動油は、供給通路21、旋回制御弁31及び第2旋回通路32bを通じて旋回モータ30に供給される。その結果、旋回モータ30は所定の方向とは逆方向に回転し、旋回部3(図1参照)を旋回させる。
このとき、旋回制御弁31は、第1旋回通路32aから排出通路22への作動油の流れを許容する。旋回モータ30の駆動に伴って、旋回モータ30内の作動油は、第1旋回通路32a、旋回制御弁31及び排出通路22を通じてタンク12に排出される。
第1旋回通路32aから分岐しタンク12に接続される通路には、第1リリーフ弁33aが設けられる。第1リリーフ弁33aによって、第1旋回通路32a内の圧力は、所定の設定圧力値以下に保たれる。同様に、第2旋回通路32bから分岐しタンク12に接続される通路には、第2リリーフ弁33bが設けられる。第2リリーフ弁33bによって、第2旋回通路32b内の圧力は、所定の設定圧力値以下に保たれる。
第1旋回通路32aから分岐しタンク12に接続される別の通路には、第1逆止弁34aが設けられる。第1逆止弁34aは、第1旋回通路32aからタンク12への作動油の流れを遮断する一方で、タンク12から第1旋回通路32aへの作動油の流れを許容する。同様に、第2旋回通路32bから分岐しタンク12に接続される別の通路には、第2逆止弁34bが設けられる。第2逆止弁34bは、第2旋回通路32bからタンク12への作動油の流れを遮断する一方で、タンク12から第2旋回通路32bへの作動油の流れを許容する。
旋回部3の旋回加速時には、ポンプ10から吐出された作動油が旋回モータ30へ供給される。このとき、旋回部3の慣性力により、第1旋回通路32a又は第2旋回通路32b内の圧力が第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bの所定の設定圧力まで上昇することがある。
この場合には、第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bが開弁し、ポンプ10から吐出される作動油の一部がタンク12に排出される。つまり、ポンプ10から吐出された作動油の一部は、旋回モータ30の加速に寄与することなく、余剰の作動油としてタンク12に排出される。
旋回部3の旋回減速時には、ポンプ10から旋回モータ30への作動油の供給が遮断される。このとき、旋回モータ30は、旋回部3の慣性力により回転し続け、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32bの一方から作動油を吸い込むとともに他方に作動油を排出する。
作動油の吸込と排出によって、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32bの一方の圧力は低下し、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32bの他方の圧力は上昇する。上昇した圧力はブレーキ圧力として旋回モータ30に作用し、旋回モータ30を減速させ停止する。
第1旋回通路32a又は第2旋回通路32bにおけるブレーキ圧力が第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bの設定圧力に達した場合には、第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bが開く。その結果、第1旋回通路32a又は第2旋回通路32b内の作動油は、タンク12に排出される。つまり、旋回モータ30から排出される作動油の一部は、旋回モータ30の減速に寄与することなく、余剰の作動油としてタンク12に排出される。
旋回モータ30の減速時に旋回モータ30への吸込流量が不足する場合には、タンク12から第1逆止弁34a又は第2逆止弁34bを通じて旋回モータ30に作動油が吸い込まれる。
次に、ブームシリンダ50及びブームシリンダ50に関連する構成について、図1及び図3を参照して説明する。
ブームシリンダ50は、ポンプ10から吐出される作動油により駆動され伸縮する複動型油圧シリンダである。ブームシリンダ50の反ロッド側室50aは第1ブーム通路52aを通じてブーム制御弁51に接続され、ブームシリンダ50のロッド側室50bは第2ブーム通路52bを通じてブーム制御弁51に接続される。
第1ブーム通路52aには、逆止弁53aが設けられる。逆止弁53aは、ブーム制御弁51から反ロッド側室50aへの作動油の流れを許容する一方で、反ロッド側室50aからブーム制御弁51への作動油の流れを遮断する。
また、第1ブーム通路52aには、逆止弁53aを迂回する迂回通路53bが接続される。具体的には、迂回通路53bは、第1ブーム通路52aにおける逆止弁53aとブーム制御弁51との間に接続されるとともに、第1ブーム通路52aにおける逆止弁53aと反ロッド側室50aとの間に接続され、逆止弁53aを迂回する。
ブーム制御弁51は、旋回制御弁31と同様に、3位置切換弁である。具体的には、ブーム制御弁51は、ポンプ10からブームシリンダ50への作動油の供給を遮断する中立位置51aと、ポンプ10からブームシリンダ50への作動油の供給を許容する第1動作位置51b及び第2動作位置51cと、を有する。
ブーム制御弁51は、中立位置51aにあるときには、中立通路23における作動油の流れを許容する。このとき、ブーム制御弁51は、供給通路21から第1ブーム通路52aへの作動油の流れを遮断するとともに、供給通路21から第2ブーム通路52bへの作動油の流れを遮断する。そのため、ブームシリンダ50にはポンプ10から吐出される作動油が供給されない。
またこのとき、ブーム制御弁51は、第1ブーム通路52aから排出通路22への作動油の流れを遮断するとともに、第2ブーム通路52bから排出通路22への作動油の流れを遮断する。したがって、ブームシリンダ50内の作動油は、排出通路22を通じてタンク12に排出されない。よって、ブーム制御弁51が中立位置51aにあるときは、ブームシリンダ50は駆動されない。
ブーム制御弁51は、第1動作位置51bに切り換えられると、中立通路23における作動油の流れを遮断し、供給通路21から第2ブーム通路52bへの作動油の流れを許容する。そのため、ポンプ10から吐出された作動油は、供給通路21、ブーム制御弁51及び第2ブーム通路52bを通じてブームシリンダ50のロッド側室50bに供給される。
このとき、ブーム制御弁51は、第1ブーム通路52aから排出通路22への作動油の流れを許容する。したがって、ブームシリンダ50の反ロッド側室50a内の作動油は、第1ブーム通路52a(迂回通路53b)、ブーム制御弁51及び排出通路22を通じてタンク12に排出される。その結果、ブームシリンダ50は収縮し、ブーム5(図1参照)を降下させる。
ブーム制御弁51は、第2動作位置51cに切り換えられると、中立通路23における作動油の流れを遮断し、供給通路21から第1ブーム通路52aへの作動油の流れを許容する。そのため、ポンプ10から吐出された作動油は、供給通路21、ブーム制御弁51及び第1ブーム通路52a(逆止弁53a又は迂回通路53b)を通じてブームシリンダ50の反ロッド側室50aに供給される。
このとき、ブーム制御弁51は、第2ブーム通路52bから排出通路22への作動油の流れを許容する。したがって、ブームシリンダ50のロッド側室50b内の作動油は、第2ブーム通路52b、ブーム制御弁51及び排出通路22を通じてタンク12に排出される。その結果、ブームシリンダ50は伸長し、ブーム5(図1参照)を上昇させる。
ブーム5(図1参照)を上昇させた状態でブーム制御弁51を中立位置51aに切り換えた場合、ブーム5、アーム6及びバケット7等の重みによって、ブームシリンダ50には収縮方向の負荷が作用する。このとき、ブームシリンダ50は、反ロッド側室50a内の作動油の圧力により負荷を保持する。つまり、反ロッド側室50aが負荷側圧力室として機能する。
アームシリンダ60及びバケットシリンダ70の構造はブームシリンダ50の構造と略同一であり、アーム制御弁61及びバケット制御弁71の構造はブーム制御弁51の構造と略同一である。そのため、ここではそれらの説明を省略する。
次に、回生モータ80及び回生モータ80に関連する構成について、図2を参照して説明する。
回生モータ80は、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動され動力(トルク)を発生する固定容量型油圧モータである。固定容量型油圧モータは、可変容量型油圧モータと比較して簡素であり、また、押し除け量を制御するためのレギュレータを必要としない。したがって、エネルギ回生システム100のコストを低減することができる。
回生モータ80は、回生通路81を通じて旋回モータ30及びブームシリンダ50に接続される。回生通路81は、第1旋回通路32aから分岐する第1旋回回生通路部81aと、第2旋回通路32bから分岐する第2旋回回生通路部81bと、第1ブーム通路52aにおける逆止弁53aとブームシリンダ50との間から分岐するブーム回生通路部81cと、旋回回生通路部81d及び共通回生通路部81eに接続される旋回回生通路部81dと、ブーム回生通路部81c及び旋回回生通路部81dに接続される共通回生通路部81eと、を含む。
第1旋回回生通路部81a及び第2旋回回生通路部81bは、旋回回生通路部81d及び共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に接続される。ブーム回生通路部81cは、共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に接続される。
第1旋回回生通路部81aには第1逆止弁82aが設けられ、第2旋回回生通路部81bには第2逆止弁82bが設けられる。第1逆止弁82aは、第1旋回通路32aから旋回回生通路部81dへの作動油の流れを許容する一方で、旋回回生通路部81dから第1旋回通路32aへの作動油の流れを遮断する。第2逆止弁82bは、第2旋回通路32bから旋回回生通路部81dへの作動油の流れを許容する一方で、旋回回生通路部81dから第2旋回通路32bへの作動油の流れを遮断する。
旋回回生通路部81dには、旋回回生弁83が設けられる。旋回回生弁83は、作動油の流れを遮断する遮断位置83aと、作動油の流れを許容する連通位置83bと、を有する。
ブーム回生通路部81cには、ブーム回生弁84が設けられる。ブーム回生弁84は、ブームシリンダ50から回生モータ80への作動油の流れを遮断する遮断位置84aと、ブームシリンダ50から回生モータ80への作動油の流れを許容する連通位置84bと、を有する。
ブーム回生弁84は、迂回通路53bにおける作動油の流れも制御する。具体的には、ブーム回生弁84は、遮断位置84aにあるときには、迂回通路53bにおける作動油の流れを許容する。また、ブーム回生弁84は、連通位置84bにあるときには、迂回通路53bにおける作動油の流れを、絞り84dを通じて許容する。
旋回回生弁83の動作は電磁比例弁83cにより制御され、ブーム回生弁84の動作は電磁比例弁84cにより制御される。電磁比例弁83c及び電磁比例弁84cの詳細については、ここでは省略する。
電磁比例弁83c及び電磁比例弁84cの動作は、コントローラ40により制御される。つまり、旋回回生弁83及びブーム回生弁84の動作は、電磁比例弁83c及び電磁比例弁84cを介して、コントローラ40により制御される。
コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。CPUは、演算処理を実行し、制御信号を出力する。ROMは、CPUの処理動作に必要なプログラム及び設定値等を記憶する。RAMは、各種センサにより検出された情報を一時的に記憶する。
コントローラ40による旋回回生弁83の制御について説明する。
コントローラ40は、圧力検出器としての圧力センサ41と電気的に接続される。圧力センサ41は、回生通路81における旋回回生弁83と第1逆止弁82a又は第2逆止弁82bとの間の部分の圧力を検出し、検出した圧力に応じた圧力信号を生成する。生成された圧力信号は、コントローラ40に出力される。
コントローラ40は、圧力センサ41により検出された圧力が予め設定された旋回回生開始圧力に達したと判定した場合には、電磁比例弁83cに制御信号を出力し、旋回回生弁83を連通位置83bに切り換える。これにより、旋回モータ30から第1旋回通路32a又は第2旋回通路32b及び回生通路81を通じて回生モータ80に向かう作動油の流れが許容される。
旋回回生弁83が連通位置83bに切り換えられた状態では、旋回モータ30の余剰の作動油は回生モータ80に供給され、回生モータ80を駆動する。その結果、余剰の作動油のエネルギが回生モータ80により回生される。
予め設定される旋回回生開始圧力について説明する。
旋回回生開始圧力が、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力よりもかなり低い圧力に設定された場合を仮定する。この場合には、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力が第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力に達する前に、旋回回生弁83が連通位置83bに切り換えられる。つまり、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力は、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力に達せず、十分に上昇しない。
旋回モータ30は、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力を受けて、旋回部3の慣性力に抗して旋回部3を旋回させ始める。そのため、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力が十分に上昇しない場合には、旋回速度が増加しにくく、旋回に時間がかかってしまう。
また、旋回モータ30は、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力を受けて、旋回部3の慣性力に抗して旋回部3の旋回を停止する。そのため、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力が上昇しない場合には、旋回速度が減少しにくく、旋回の停止に時間がかかってしまう。
このように、旋回回生開始圧力が、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力よりもかなり低い圧力に設定されると、旋回モータ30の応答性が低下するおそれがある。
旋回回生開始圧力が、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力と同等に設定された場合を仮定する。この場合には、第1旋回通路32a及び第2旋回通路32b内の圧力が第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力に達すると、旋回回生弁83が連通位置83bに切り換えられる。つまり、旋回回生弁83が連通位置83bに切り換えられたときには、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bが開弁している。
第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bが開弁した状態では、旋回モータ30の加速及び減速に寄与しない余剰の作動油は、第1リリーフ弁33a又は第2リリーフ弁33bを通じてタンク12に導かれる。つまり、余剰の作動油は、回生モータ80に導かれず、回生モータ80を駆動しない。
このように、旋回回生開始圧力が、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力と同等に設定されると、回生モータ80により回生されるエネルギ量が低下するおそれがある。
このような理由から、旋回回生開始圧力は、第1リリーフ弁33a及び第2リリーフ弁33bの設定圧力よりも少し低い圧力に設定される。これにより、旋回モータ30の応答性を低下させることなく、回生されるエネルギ量を増加させることができる。
コントローラ40によるブーム回生弁84の制御について説明する。
コントローラ40は、ブーム制御弁51の操作方向とその操作量を検出する操作検出器としての操作センサ42と電気的に接続される。操作センサ42は、検出した操作方向及び操作量に応じた操作信号を生成し、コントローラ40に出力する。
コントローラ40は、操作センサ42により検出された操作方向に基づいて、オペレータにより要求されるブームシリンダ50の動作を判定する。コントローラ40は、要求された動作が伸長動作であると判定した場合には、電磁比例弁84cに制御信号を出力し、ブーム回生弁84を遮断位置84aに保つ。
一方、コントローラ40は、要求された動作が収縮動作であると判定した場合には、操作センサ42により検出された操作量に基づいて、オペレータにより要求されるブームシリンダ50の収縮速度(以下、「要求収縮速度」と称する)を演算する。コントローラ40は、要求収縮速度が特に高いと判定した場合には、ブーム回生弁84を遮断位置84aに保つ。
仮に、要求収縮速度が特に高いと判定された場合に、ブーム回生弁84が連通位置84bに切り換えられると、反ロッド側室50a内の作動油のほとんどは、ブーム回生通路部81c及び共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給される。回生モータ80は供給された作動油のエネルギを消費する負荷として機能するので、反ロッド側室50a内の作動油は、十分な流量で排出されない。その結果、ブームシリンダ50の実際の収縮速度が要求収縮速度に達しないおそれがある。
このような理由から、要求収縮速度が特に高いと判定された場合には、ブーム回生弁84を遮断位置84aに保ち、反ロッド側室50a内の作動油を、第1ブーム通路52a(迂回通路53b)、ブーム制御弁51及び排出通路22を通じてタンク12へ排出することが好ましい。排出通路22は回生モータ80といった負荷を経ることなくタンク12に接続されるので、反ロッド側室50a内の作動油を十分な流量で排出することができ、ブームシリンダ50の実際の収縮速度を要求収縮速度と略一致させることができる。
要求収縮速度が特に高いと判定された場合に、反ロッド側室50a内の作動油が持つエネルギを再生してブームシリンダ50の実際の収縮速度をより速めてもよい。作動油が持つエネルギの再生は、反ロッド側室50aとロッド側室50bとを、再生制御弁(図示省略)を介して接続することにより実現される。収縮動作時に再生制御弁を開くことにより、反ロッド側室50aからの作動油がロッド側室50bに供給される。反ロッド側室50a内の作動油がより速く減少しロッド側室50b内の作動油がより速く増加するので、ブームシリンダ50の収縮速度を速めることができる。
要求収縮速度が特に高いか否かは、例えば、予め設定されたブーム回生限界速度(ブーム回生が推奨される限界の収縮速度)を基準に判定される。
コントローラ40は、要求された動作が収縮動作であると判定し、かつ要求収縮速度が低い(例えば、予め設定されたブーム回生限界速度未満)と判定した場合には、ブーム回生弁84を連通位置84bに切り換える。ブーム回生弁84は、迂回通路53bにおける作動油の流れを、絞り84dを通じて許容するので、反ロッド側室50a内の作動油は、切り換え直後は迂回通路53bに導かれ、その後、徐々にブーム回生通路部81cに導かれる。
ブーム回生通路部81cに導かれた作動油は、共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給され、回生モータ80を駆動する。その結果、反ロッド側室50aから排出される作動油のエネルギが回生モータ80により回生される。
操作センサ42に代えて、ブームシリンダ50のピストンロッド50cの移動方向とその移動量を検出するセンサをブームシリンダ50に設け、そのようなセンサにより検出される移動方向及び移動量に基づいてブーム回生弁84を制御してもよい。また、ブーム制御弁51を切り換える操作レバー(図示省略)の操作方向とその操作量を検出するセンサを操作レバーに設け、そのようなセンサにより検出される操作方向及び操作量に基づいてブーム回生弁84を制御してもよい。
次に、無段変速機90及び無段変速機90に関連する構成について、図2を参照して説明する。
無段変速機90は、第1プーリ90aと、第2プーリ90bと、第1プーリ90aと第2プーリ90bとに巻き掛けられるベルト90cと、を有する。第1プーリ90aは回生モータ80の出力シャフト80aに取り付けられ、回生モータ80の駆動により回転する。第1プーリ90aの回転は、ベルト90cを介して第2プーリ90bに伝達される。
第2プーリ90bは、クラッチ91を介してエンジン11の出力シャフト11aに取り付けられる。第2プーリ90bの回転はクラッチ91を通じてエンジン11に伝達され、エンジン11を回転させる。
このように、無段変速機90は、回生モータ80とエンジン11とを連結し、回生モータ80とエンジン11との間で動力を伝達する。
第1プーリ90a及び第2プーリ90bの回転軸は互いに平行である。また、第1プーリ90a及び第2プーリ90bは円錐台形状を有し、テーパ方向が互いに逆になるように配置される。
不図示のベルト移動手段を用いてベルト90cを第1プーリ90a及び第2プーリ90bの回転軸方向に移動させると、巻き掛け径(第1プーリ90a及び第2プーリ90bにおけるベルト90cが巻き掛けられている箇所の径をいう)が無段階に連続的に変化する。第1プーリ90aの巻き掛け径に対する第2プーリ90bの巻き掛け径の比は、回生モータ80に対するエンジン11の変速比に相当するので、巻き掛け径の変化に伴って、変速比も無段階に連続的に変化する。
このように、無段変速機90は、回生モータ80とエンジン11の変速比を無段階に連続的に変化させる。そして、エネルギ回生システム100では、エンジン11と回生モータ80とが無段変速機90を介して連結されるので、エンジン11の回転数に対する回生モータ80の回転数の比の変動が許容される。つまり、エンジン11の回転数に対する回生モータ80の回転数の変動は、無段変速機90によって吸収される。
回生モータ80の回転数の変動が許容されるので、回生モータ80は、エンジン11の回転数に関わらず、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により回生モータ80を駆動し、エンジン11をアシストすることができる。
仮に、変速比が常に一定になるように回生モータ80とエンジン11とが連結される場合には、エンジン11の回転数に対する回生モータ80の回転数の比の変動は許容されない。そのため、回生モータ80として可変容量型油圧モータを用い、回生モータ80に供給される作動油の流量に応じて容量を変化させ、エンジン11の回転数に対する回生モータ80の回転数の比を一定に保つ必要がある。
しかし、容量変化の応答性が低いと、供給される流量の減少に対して容量の減少が遅れ、回生モータ80は、エンジン11の負荷となるおそれがある。また、供給される流量の増加に対して容量の増加が遅れると、回生モータ80は過大な動力を発生し、エンジン11の定格動力を超える動力が回生モータ80からエンジン11に伝達されるおそれがある。そのため、可変容量型油圧モータの性能によっては、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の一部又は全部を、回生モータ80を迂回してタンク12に排出する必要があり、回生モータ80により回生可能な流量範囲が制限される。
エネルギ回生システム100では、前述のように、回生モータ80の回転数の変動が許容される。そのため、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量が変化しなくとも、回生モータ80はエンジン11の負荷とならず、エンジン11の定格動力を超える動力も回生モータ80からエンジン11に伝達されない。したがって、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油を、回生モータ80を迂回してタンク12に排出する必要がなく、回生モータ80により回生可能な流量範囲を拡大することができる。その結果、エネルギ回生システム100の効率を高めることができる。
クラッチ91は、エンジン11の出力シャフト11aと無段変速機90との連結を切り離し可能に形成される。クラッチ91が連結を切り離した状態では、エンジン11と回生モータ80との間の動力の伝達が遮断され、エンジン11は回生モータ80から独立して駆動される。
仮に、エンジン11と回生モータ80とが連結されている状態で回生モータ80への作動油の供給が遮断されると、回生モータ80は、エンジン11により駆動される。このとき、回生モータ80はポンプのように機能し、回生通路81内の圧力を低下させる。圧力の低下は、旋回モータ30及びブームシリンダ50の動作に影響を及ぼすおそれがある。また、回生モータ80内の圧力が低下し、キャビテーションが発生するおそれがある。
エネルギ回生システム100では、エンジン11と無段変速機90とがクラッチ91を介して連結される。そのため、回生モータ80への作動油の供給が遮断されたときにエンジン11と無段変速機90との連結を切り離すことができる。回生モータ80がエンジン11により駆動されるのを防ぐことができ、回生通路81及び回生モータ80内の圧力が低下するのを防ぐことができる。したがって、旋回モータ30及びブームシリンダ50の動作への影響を防ぐことができるとともに、回生モータ80内でのキャビテーションの発生を防止することができる。
クラッチ91は、エンジン11と無段変速機90との間、より具体的にはエンジン11と第2プーリ90bとの間に設けられる。そのため、クラッチ91が連結を切り離した状態では、エンジン11は無段変速機90から独立して駆動される。したがって、エンジン11による無段変速機90の駆動を停止させることができ、エンジン11の燃費を向上させることができる。
クラッチ91の動作は、コントローラ40により制御される。
コントローラ40は、旋回回生弁83又はブーム回生弁84を連通位置83b,84bに切り換える際に、クラッチ91に制御信号を出力し、エンジン11と無段変速機90とを連結する。これによって、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により回生モータ80が駆動されるときに、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達することができ、エンジン11をアシストすることができる。
コントローラ40は、旋回回生弁83及びブーム回生弁84を遮断位置83a,84aに切り換える際には、クラッチ91に制御信号を出力し、エンジン11と無段変速機90との連結を切り離す。これによって、エンジン11の動力が回生モータ80に伝達されず、エンジン11が回生モータ80から独立して駆動する。したがって、回生モータ80に作動油が供給されない状態で回生モータ80がエンジン11により駆動されるのを防止することができ、エンジン11の負荷を低減することができる。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
エネルギ回生システム100では、無段変速機90が変速比を連続的に変化させるので、エンジン11と回生モータ80との連結に関わらず、回生モータ80は旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく回生モータ80を作動油により駆動することができ、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達させることができる。その結果、回生可能な流量範囲を拡大することができ、エネルギ回生システム100の効率を高めることができる。
また、エネルギ回生システム100では、クラッチ91がエンジン11と回生モータ80との連結を切り離す。クラッチ91により連結が切り離された状態では、エンジン11と回生モータ80との間の動力の伝達が遮断され、エンジン11は回生モータ80から独立して駆動される。したがって、回生モータ80への作動油の供給が遮断された場合に回生モータ80がエンジン11により駆動されるのを防ぐことができ、回生通路81の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
また、エネルギ回生システム100では、クラッチ91がエンジン11と無段変速機90との間に設けられるので、エンジン11は無段変速機90から独立して駆動される。したがって、エンジン11による無段変速機90の駆動を停止させることができ、エンジン11の燃費を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るエネルギ回生システム200について、図4を参照して説明する。第1実施形態に係るエネルギ回生システム100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、エネルギ回生システム200を適用可能な油圧ショベルは、図1に示される油圧ショベル1とほぼ同じであるので、その図示を省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係るエネルギ回生システム200について、図4を参照して説明する。第1実施形態に係るエネルギ回生システム100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、エネルギ回生システム200を適用可能な油圧ショベルは、図1に示される油圧ショベル1とほぼ同じであるので、その図示を省略する。
図4に示すように、エネルギ回生システム200は、回生通路81の共通回生通路部81eから分岐し回生モータ80を介すことなくタンク12に接続されるタンク通路291を備える。タンク通路291は、タンク内の作動油を、共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に導く。
タンク通路291には、逆止弁292が設けられる。逆止弁292は、タンク12から共通回生通路部81eへの作動油の流れを許容する一方で、共通回生通路部81eからタンク12への作動油の流れを遮断する。
エネルギ回生システム200では、タンク12が、回生モータ80を介すことなく回生通路81に接続される。そのため、旋回モータ30及びブームシリンダ50からの作動油の排出が停止し回生モータ80がエンジン11により駆動された場合に、回生モータ80は、タンク12から作動油を吸い込む。したがって、回生通路81及び回生モータ80内の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
また、エネルギ回生システム200では、逆止弁292が共通回生通路部81eからタンク12へ向かう作動油の流れを遮断する。そのため、旋回モータ30又はブームシリンダ50から回生通路81に排出される作動油は、タンク12へ向かうことなく、回生モータ80に導かれる。したがって、より多くの作動油のエネルギを回生モータ80により回生することができる。
以上の第2実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
エネルギ回生システム200においても、無段変速機90が変速比を連続的に変化させるので、エンジン11と回生モータ80との連結に関わらず、回生モータ80は旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく回生モータ80を作動油により駆動することができ、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達させることができる。その結果、回生可能な流量範囲を拡大することができ、エネルギ回生システム200の効率を高めることができる。
また、エネルギ回生システム200では、タンク通路291がタンク12内の作動油を回生モータ80に導く。そのため、回生モータ80は、エンジン11により駆動されたときには、タンク通路291を通じてタンク12内の作動油を吸い込む。したがって、回生通路81及び回生モータ80内の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るエネルギ回生システム300について、図5を参照して説明する。第1実施形態に係るエネルギ回生システム100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態に係るエネルギ回生システム300について、図5を参照して説明する。第1実施形態に係るエネルギ回生システム100と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、エネルギ回生システム300は、作動油を蓄圧するアキュムレータ392と、アキュムレータ392に接続されるアキュムレータ通路391と、を備える。アキュムレータ通路391は、共通回生通路部81eに接続され、共通回生通路部81e内の作動油をアキュムレータ392に導くとともにアキュムレータ392内の作動油を共通回生通路部81eに導く。
アキュムレータ392は、ハウジング392aと、ハウジング392aの内部を油室392bと気体室392cとに区画するダイヤフラム392dと、を備える。アキュムレータ通路391は油室392bに連通する。気体室392cには圧縮空気が封入される。
ハウジング392aの内部を油室392bと気体室392cとに区画する部材はダイヤフラム392dに限られず、例えばハウジング392aに摺動自在に収容されたフリーピストンであってもよい。また、気体室392cには空気以外の気体、例えば窒素が封入されてもよい。
アキュムレータ通路391には制御弁393が設けられる。制御弁393は、アキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する遮断位置393aと、アキュムレータ通路391における作動油の流れを絞り393dを通じて許容する連通位置393bと、を有する。制御弁393の動作は、電磁比例弁393cを介してコントローラ40により制御される。
制御弁393が連通位置393bにありかつ共通回生通路部81e内の圧力が油室392b内の圧力よりも高いときには、共通回生通路部81e内の作動油がアキュムレータ通路391を通じて油室392bに流入する。油室392bへの作動油の流入により気体室392cが収縮し、気体室392cの圧力が上昇する。つまり、作動油がアキュムレータ392に蓄圧される。
気体室392cの圧力と共通回生通路部81e内の圧力とが同じになったところで、共通回生通路部81eから油室392bへの作動油の流入が停止する。
制御弁393が連通位置393bにありかつ共通回生通路部81e内の圧力が油室392b内の圧力よりも低いときには、油室392b内の作動油がアキュムレータ通路391を通じて共通回生通路部81eへ流出する。油室392b内の作動油の流出により気体室392cが膨張し、気体室392cの圧力が低下する。つまり、アキュムレータ392に蓄圧された作動油が共通回生通路部81eに供給される。
気体室392cの圧力と共通回生通路部81e内の圧力が同じになったところで、油室392bから共通回生通路部81eへの作動油の供給が停止する。
このように、アキュムレータ392は、アキュムレータ392内の圧力と共通回生通路部81e内の圧力との差に応じて、共通回生通路部81eからの作動油を蓄圧する又はアキュムレータ392内の作動油を共通回生通路部81eへ供給する。アキュムレータ392内の作動油が共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給されることにより、回生モータ80が駆動されエンジン11がアシストされる。
共通回生通路部81e内の圧力は、共通回生通路部81eに導かれた作動油のエネルギを回生モータ80が全て回収できない場合に上昇する。共通回生通路部81e内の圧力が油室392b内の圧力を超えると、共通回生通路部81eから油室392bに作動油が流入する。つまり、アキュムレータ392は、共通回生通路部81eに導かれる作動油の一部を余剰の作動油として蓄圧する。
共通回生通路部81e内の圧力は、共通回生通路部81eに導かれた作動油のエネルギを全て回生モータ80が回収する場合に低下する。共通回生通路部81e内の圧力が気体室392c内の圧力よりも下がると、アキュムレータ392は、作動油を共通回生通路部81eに供給する。
コントローラ40による制御弁393の制御について説明する。
まず、旋回モータ30又はブームシリンダ50から作動油が排出されこの作動油のエネルギを回生する場合について説明する。
この場合には、コントローラ40は、旋回回生弁83又はブーム回生弁84を連通位置83b,84bに切り換えるとともに、制御弁393を連通位置393bに切り換える。これによって、アキュムレータ通路391における作動油の流れが許容される。
共通回生通路部81e内の圧力がアキュムレータ392内の圧力よりも高いときには、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の一部がアキュムレータ392に蓄圧される。つまり、回生モータ80で回収することができない余剰の作動油がアキュムレータ392に蓄圧される。
また、共通回生通路部81e内の圧力がアキュムレータ392内の圧力よりも低いときには、アキュムレータ392に蓄圧された作動油が共通回生通路部81eに供給される。つまり、アキュムレータ392から供給される作動油により回生モータ80が駆動され、エンジン11をアシストする。
アキュムレータ392内の圧力がアキュムレータ392の圧力上限値を越えるのを防止するため、コントローラ40はアキュムレータ392内の圧力に応じて制御弁393を切り換えてもよい。
具体的には、不図示の圧力センサがアキュムレータ392内の圧力を検出し、検出された圧力信号をコントローラ40に出力する。コントローラ40は、圧力センサの検出圧力が予め設定された圧力値に達したと判定した場合には、旋回回生弁83及びブーム回生弁84の位置に関わらず、制御弁393を遮断位置393aに切り換える。これにより、アキュムレータ通路391における作動油の流れが遮断され、アキュムレータ392内の圧力がアキュムレータ392の圧力上限値を越えるのを防止することができる。
次に、旋回モータ30及びブームシリンダ50から作動油が排出されない場合又は旋回モータ30及びブームシリンダ50から排出される作動油のエネルギを回生しない場合について説明する。
この場合には、コントローラ40は、旋回回生弁83及びブーム回生弁84を遮断位置83a,84aに切り換える。また、コントローラ40は、回転数センサ43の検出結果に基づいて、制御弁393を制御する。
回転数センサ43は、エンジン11の出力シャフト11aに設けられ、エンジン11の回転数を検出する。回転数センサ43にて検出された回転数信号はコントローラ40に出力される。
コントローラ40は、回転数センサ43の検出結果に基づいて、エンジン11がアシストを必要としているかを判定する。エンジン11がアシストを必要としているかどうかは、例えば、予め設定されたアシスト開始回転数を基準に判定される。
コントローラ40は、回転数センサ43により検出される回転数が予め設定されたアシスト開始回転数以下と判定した場合には、制御弁393を連通位置393bに切り換える。これにより、アキュムレータ392に蓄圧された作動油が共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給される。その結果、エンジン11がアシストされる。
このように、エネルギ回生システム300では、アキュムレータ通路391に制御弁393が設けられているので、作動油を蓄圧した状態でアキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断することができる。したがって、アキュムレータ392内に貯留された作動油を所望のタイミングで回生モータ80に供給して回生モータ80を駆動することができ、効率的にエンジン11をアシストすることができる。
また、コントローラ40は、操作センサ42の検出結果に基づいて、制御弁393を制御する。具体的には、コントローラ40は、操作センサ42により検出された操作方向から、オペレータにより要求された動作が伸長動作であると判定した場合には、制御弁393を連通位置393bに切り換える。これにより、アキュムレータ392内の作動油が共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に導かれる。
オペレータにより要求された動作が伸長動作である場合には、ブームシリンダ50から回生通路81に作動油は排出されない。そのため、回生モータ80は、エンジン11をアシストせず、エンジン11により駆動される。
このとき、制御弁393が連通位置393bに切り換えられているので、回生モータ80は、アキュムレータ392から作動油を吸い込む。したがって、回生通路81及び回生モータ80内の圧力の低下を防止することができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
また、アキュムレータ392は、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油を蓄圧する。そのため、回生モータ80は、アキュムレータ392から供給される作動油によっても駆動される。したがって、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油だけでなく、アキュムレータ392から供給される作動油によってもエンジン11をアシストすることができ、エンジン11の燃費を向上させることができる。
以上の第3実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
エネルギ回生システム300においても、無段変速機90が変速比を連続的に変化させるので、エンジン11と回生モータ80との連結に関わらず、回生モータ80は旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく回生モータ80を作動油により駆動することができ、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達させることができる。その結果、回生可能な流量範囲を拡大することができ、エネルギ回生システム300の効率を高めることができる。
アキュムレータ通路391がアキュムレータ392内の作動油を回生モータ80に導く。そのため、回生モータ80は、エンジン11により駆動されたときには、アキュムレータ通路391を通じてアキュムレータ392内の作動油を吸い込む。したがって、回生通路81及び回生モータ80内の圧力の低下を防止することができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
また、制御弁393がアキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する。制御弁393により作動油の流れが遮断された状態では、アキュムレータ392に蓄圧された作動油は、アキュムレータ392内に貯留される。したがって、所望のタイミングでアキュムレータ392内に貯留された作動油を回生モータ80に供給して回生モータ80を駆動することができ、効率的にエンジン11をアシストすることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るエネルギ回生システム400について、図6を参照して説明する。第1、第2及び第3実施形態に係るエネルギ回生システム100,200,300と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の第4実施形態に係るエネルギ回生システム400について、図6を参照して説明する。第1、第2及び第3実施形態に係るエネルギ回生システム100,200,300と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、エネルギ回生システム400は、タンク通路291及びアキュムレータ通路391にわたって設けられる制御弁493を備える。制御弁493の動作は、電磁比例弁493cを介してコントローラ40により制御される。
制御弁493は、第1位置493aと第2位置493bとを有する2位置切換弁である。制御弁493が第1位置493aにあるときには、タンク通路291は、逆止弁292を介して共通回生通路部81eとタンク12とを接続する。逆止弁292は、タンク12から共通回生通路部81eへの作動油の流れを許容する一方で、共通回生通路部81eからタンク12への作動油の流れを遮断する。また、制御弁493は、第1位置493aにあるときには、アキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する。
制御弁493は、第2位置493bにあるときには、アキュムレータ通路391における作動油の流れを、絞り393dを通じて許容し、タンク通路291における作動油の流れを遮断する。
コントローラ40による制御弁493の制御について説明する。
まず、旋回モータ30又はブームシリンダ50から作動油が排出されこの作動油のエネルギを回生する場合について説明する。
この場合には、コントローラ40は、旋回回生弁83又はブーム回生弁84を連通位置83b,84bに切り換えるとともに、制御弁493を第2位置493bに切り換える。これによって、タンク通路291における作動油の流れが遮断される。そのため、タンク12内の作動油は、タンク通路291を通じて共通回生通路部81eへ導かれない。また、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油は、タンク通路291を通じてタンク12へは排出されない。
共通回生通路部81e内の圧力がアキュムレータ392内の圧力よりも高いときには、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の一部がアキュムレータ392に流入し、アキュムレータ392内に蓄圧される。つまり、回生モータ80で回収することができない余剰の作動油がアキュムレータ392に蓄圧される。
また、共通回生通路部81e内の圧力がアキュムレータ392内の圧力よりも低いときには、アキュムレータ392に蓄圧された作動油が共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給される。つまり、アキュムレータ392から供給される作動油により回生モータ80が駆動され、エンジン11がアシストされる。
次に、旋回モータ30及びブームシリンダ50から作動油が排出されない場合又は旋回モータ30及びブームシリンダ50から排出される作動油のエネルギを回生しない場合について説明する。
この場合には、コントローラ40は、旋回回生弁83及びブーム回生弁84を遮断位置83a,84aに切り換える。
また、コントローラ40は、回転数センサ43により検出される回転数が予め設定されたアシスト開始回転数以下と判定した場合には、制御弁493を第2位置493bに切り換える。これにより、アキュムレータ392に蓄圧された作動油が共通回生通路部81eを通じて回生モータ80に供給され、エンジン11がアシストされる。
このように、エネルギ回生システム400では、エネルギ回生システム300と同様に、アキュムレータ392内に貯留された作動油を所望のタイミングで回生モータ80に供給して回生モータ80を駆動することができ、効率的にエンジン11をアシストすることができる。
また、コントローラ40は、回転数センサ43により検出される回転数が予め設定されたアシスト開始回転数を超えていると判定した場合には、制御弁493を第1位置493aに切り換える。これにより、タンク通路291におけるタンク12から共通回生通路部81eへ向かう作動油の流れが許容され、アキュムレータ通路391における作動油の流れが遮断される。
アキュムレータ通路391における作動油の流れが遮断されるので、アキュムレータ392内の作動油は回生モータ80に供給されない。また、旋回回生弁83及びブーム回生弁84から回生通路81に作動油が排出されないので、回生モータ80は、エンジン11により駆動される。
このとき、回生モータ80は、タンク12内の作動油をタンク通路291及び共通回生通路部81eを通じて吸い込む。したがって、回生通路81及び回生モータ80内の圧力の低下を防止することができる。
また、回生モータ80がタンク12から作動油を吸い込むので、回生モータ80内の圧力が低下するのを防止することができる。したがって、回生モータ80内でのキャビテーションの発生を防止することができる。
以上の第4実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
エネルギ回生システム400においても、無段変速機90が変速比を連続的に変化させるので、エンジン11と回生モータ80との連結に関わらず、回生モータ80は旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく回生モータ80を作動油により駆動することができ、回生モータ80の動力をエンジン11に伝達させることができる。その結果、回生可能な流量範囲を拡大することができ、エネルギ回生システム400の効率を高めることができる。
また、制御弁493が第1位置493aにある場合には、タンク12内の作動油が回生モータ80に導かれる。制御弁493が第2位置493bにある場合には、アキュムレータ392内の作動油が回生モータ80に導かれる。したがって、回生モータ80がタンク12内の作動油を吸い込む状態と、回生モータ80がアキュムレータ392から供給される作動油により駆動される状態と、を容易に切り換えることができ効率的にエンジン11をアシストすることができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用及び効果をまとめて説明する。
本実施形態では、エネルギ回生システム100,200,300,400は、エンジン11に連結され、エンジン11により駆動され作動油を吐出するポンプ10と、ポンプ10に接続され、ポンプ10から吐出される作動油により駆動される旋回モータ30及びブームシリンダ50と、旋回モータ30又はブームシリンダ50から排出される作動油により駆動される回生モータ80と、回生モータ80とエンジン11とを連結し、回生モータ80とエンジン11の変速比を連続的に変化させる無段変速機90と、を備える。
この構成では、無段変速機90が変速比を連続的に変化させるので、エンジン11と回生モータ80との連結に関わらず、回生モータ80は旋回モータ30又はブームシリンダ50から送られる作動油の流量に応じた回転数で駆動される。したがって、作動油の流量に応じて回生モータ80の容量を変化させることなく回生モータ80を作動油により駆動して回生モータ80の動力をエンジン11に伝達させることができ、回生可能な流量範囲を拡大することができる。その結果、エネルギ回生システム100,200,300,400の効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、エネルギ回生システム100は、エンジン11と回生モータ80との連結を切り離すクラッチ91を更に備える。
この構成では、クラッチ91がエンジン11と回生モータ80との連結を切り離す。クラッチ91により連結が切り離された状態では、エンジン11と回生モータ80との間の動力の伝達が遮断され、エンジン11は回生モータ80から独立して駆動される。したがって、回生モータ80への作動油の供給が遮断された場合に回生モータ80がエンジン11により駆動されるのを防ぐことができ、回生通路81内の圧力の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態では、クラッチ91は、エンジン11と無段変速機90との間に設けられる。
この構成では、クラッチ91がエンジン11と無段変速機90との間に設けられる。クラッチ91により連結が切り離された状態では、エンジン11と無段変速機90との間の動力の伝達が遮断され、エンジン11は無段変速機90から独立して駆動される。したがって、エンジン11が無段変速機90を駆動するのを防止することができ、エンジン11の負荷を低減してエンジン11の燃費を向上させることができる。
また、本実施形態では、エネルギ回生システム200は、作動油を貯留するタンク12と、タンク12に接続され、タンク12内の作動油を回生モータ80に導くタンク通路291と、タンク通路291に設けられ、タンク通路291を通じてタンク12へ向かう作動油の流れを遮断する逆止弁292と、を更に備える。
この構成では、タンク12内の作動油はタンク通路291により回生モータ80に導かれる。そのため、旋回モータ30及びブームシリンダ50からの作動油の排出が停止し回生モータ80がエンジン11により駆動されるときには、回生モータ80は、タンク通路291を通じてタンク12内の作動油を吸い込む。したがって、回生通路81内の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。また、逆止弁292がタンク通路291を通じてタンク12へ向かう作動油の流れを遮断するので、旋回モータ30及びブームシリンダ50から排出される作動油は、タンク通路291を通じてタンク12へ向かうことなく、回生モータ80に供給される。したがって、より多くの作動油のエネルギを回生モータ80により回生することができる。
また、本実施形態では、エネルギ回生システム300は、作動油を蓄圧するアキュムレータ392と、アキュムレータ392に接続され、旋回モータ30及びブームシリンダ50から排出される作動油をアキュムレータ392に導くとともにアキュムレータ392内の作動油を回生モータ80に導くアキュムレータ通路391と、を更に備える。
この構成では、アキュムレータ通路391がアキュムレータ392内の作動油を回生モータ80に導く。そのため、旋回モータ30及びブームシリンダ50からの作動油の排出が停止し回生モータ80がエンジン11により駆動されるときには、回生モータ80は、アキュムレータ通路391を通じてアキュムレータ392内の作動油を吸い込む。したがって、回生通路81内の圧力の低下を防ぐことができ、キャビテーションの発生も防止することができる。
また、本実施形態では、エネルギ回生システム300は、アキュムレータ通路391に設けられ、アキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する制御弁393を更に備える。
この構成では、制御弁393がアキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する。制御弁393により作動油の流れが遮断された状態では、アキュムレータ392に蓄圧された作動油は、アキュムレータ392内に貯留される。したがって、所望のタイミングでアキュムレータ392内に貯留された作動油を回生モータ80に供給して回生モータ80を駆動することができ、効率的にエンジン11をアシストすることができる。
また、本実施形態では、エネルギ回生システム400は、作動油を貯留するタンク12と、タンク12に接続され、タンク12内の作動油を回生モータ80に導くタンク通路291と、作動油を蓄圧するアキュムレータ392と、アキュムレータ392に接続され、旋回モータ30及びブームシリンダ50から排出される作動油をアキュムレータ392に導くとともにアキュムレータ392内の作動油を回生モータ80に導くアキュムレータ通路391と、タンク通路291とアキュムレータ通路391とにわたって設けられ、タンク通路291及びアキュムレータ通路391における作動油の流れを制御する制御弁493と、を更に備え、制御弁493は、タンク通路291におけるタンク12から回生モータ80へ向かう作動油の流れを許容し、アキュムレータ通路391における作動油の流れを遮断する第1位置493aと、タンク通路291における作動油の流れを遮断し、アキュムレータ通路391における作動油の流れを許容する第2位置493bと、を有する。
この構成では、制御弁493は、第1位置493aと第2位置493bとを有する。制御弁493が第1位置493aにある場合には、タンク12内の作動油が回生モータ80に導かれる。制御弁493が第2位置493bにある場合には、アキュムレータ392内の作動油が回生モータ80に導かれる。したがって、回生モータ80がタンク12内の作動油を吸い込む状態と、回生モータ80がアキュムレータ392から供給される作動油により駆動される状態と、を容易に切り換えることができ効率的にエンジン11をアシストすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、回生モータ80として固定容量型の油圧モータが用いられているが、可変容量型の油圧モータが用いられてもよい。
上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。例えば、エネルギ回生システム100におけるクラッチ91を、エネルギ回生システム200,300,400に用いてもよい。
100,200,300,400・・・エネルギ回生システム、10・・・ポンプ、11・・・エンジン、12・・・タンク、30・・・旋回モータ(アクチュエータ)、50・・・ブームシリンダ(アクチュエータ)、80・・・回生モータ、90・・・無段変速機、91・・・クラッチ、291・・・タンク通路、292・・・逆止弁、391・・・アキュムレータ通路、392・・・アキュムレータ、393・・・制御弁、493・・・制御弁、493a・・・第1位置、493b・・・第2位置
Claims (7)
- エネルギ回生システムであって、
エンジンに連結され、前記エンジンにより駆動され作動流体を吐出するポンプと、
前記ポンプに接続され、前記ポンプから吐出される作動流体により駆動されるアクチュエータと、
前記アクチュエータから排出される作動流体により駆動される回生モータと、
前記回生モータと前記エンジンとを連結し、前記回生モータと前記エンジンの変速比を連続的に変化させる無段変速機と、を備えることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項1に記載のエネルギ回生システムであって、
前記エンジンと前記回生モータとの連結を切り離すクラッチを更に備えることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項2に記載のエネルギ回生システムであって、
前記クラッチは、前記エンジンと前記無段変速機との間に設けられることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のエネルギ回生システムであって、
作動流体を貯留するタンクと、
前記タンクに接続され、前記タンク内の作動流体を前記回生モータに導くタンク通路と、
前記タンク通路に設けられ、前記タンク通路を通じて前記タンクへ向かう作動流体の流れを遮断する逆止弁と、を更に備えることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のエネルギ回生システムであって、
作動流体を蓄圧するアキュムレータと、
前記アキュムレータに接続され、前記アクチュエータから排出される作動流体を前記アキュムレータに導くとともに前記アキュムレータ内の作動流体を前記回生モータに導くアキュムレータ通路と、を更に備えることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項5に記載のエネルギ回生システムであって、
前記アキュムレータ通路に設けられ、前記アキュムレータ通路における作動流体の流れを遮断する制御弁を更に備えることを特徴とする
エネルギ回生システム。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のエネルギ回生システムであって、
作動流体を貯留するタンクと、
前記タンクに接続され、前記タンク内の作動流体を前記回生モータに導くタンク通路と、
作動流体を蓄圧するアキュムレータと、
前記アキュムレータに接続され、前記アクチュエータから排出される作動流体を前記アキュムレータに導くとともに前記アキュムレータ内の作動流体を前記回生モータに導くアキュムレータ通路と、
前記タンク通路と前記アキュムレータ通路とにわたって設けられ、前記タンク通路及び前記アキュムレータ通路における作動流体の流れを制御する制御弁と、を更に備え、
前記制御弁は、
前記タンク通路における前記タンクから前記回生モータへ向かう作動流体の流れを許容し、前記アキュムレータ通路における作動流体の流れを遮断する第1位置と、
前記タンク通路における作動流体の流れを遮断し、前記アキュムレータ通路における作動流体の流れを許容する第2位置と、
を有することを特徴とする
エネルギ回生システム。
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